以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施形態は、本発明の一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
また、本実施形態では、鉛直方向を上下方向7と定義し、水平方向のうちラフテレーンクレーン10の進行方向を前としてラフテレーンクレーン10の前後方向8を定義し、上下方向7及び前後方向8と直交する方向をラフテレーンクレーン10の左右方向9と定義する。ラフテレーンクレーン10を後方から前方へ向けて視た状態で右及び左が定義される。
[ラフテレーンクレーン10]
図1及び図2が示すように、本実施形態に係るラフテレーンクレーン10は、下部走行体20と、下部走行体20に搭載された上部作業体30とを備える。ラフテレーンクレーン10は、特許請求の範囲に記載された「クレーン」の一例である。クレーンの具体例はラフテレーンクレーン10に限定されず、例えば、オールテレーンクレーン、積載型トラッククレーン等であってもよい。
[下部走行体20]
図1及び図2が示すように、下部走行体20は、トランスミッション(不図示)を介して伝達されるエンジン(不図示)の駆動力によって走行する。
下部走行体20は、キャビン34内に設置されたステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダル等の各種操作部がオペレータによって操作されることによって走行する。
下部走行体20は、アウトリガ28、29を有する。アウトリガ28、29は、下部走行体20から左右方向9に張り出した位置において地面に接地する張出状態と、地面から離間した状態で下部走行体20に格納される格納状態とに状態変化が可能である。図1及び図2において、アウトリガ28、29は格納状態である。アウトリガ28、29は、上部作業体30の動作時に張出状態とされる。これにより、ラフテレーンクレーン10の姿勢が安定する。一方、アウトリガ28、29は、下部走行体20の走行時に格納状態とされる。
[上部作業体30]
図1及び図2が示すように、上部作業体30は、旋回台31と、伸縮ブーム32と、キャビン34と、カウンタウエイト着脱装置60とを備える。
旋回台31は、旋回ベアリング(不図示)を介して下部走行体20に旋回可能に支持されている。伸縮ブーム32は、起伏及び伸縮可能に旋回台31に支持されている。伸縮ブーム32の先端部に、フック(不図示)が設けられている。フックは、伸縮ブーム32の先端部から下方に延出されるロープによって吊り下げ可能である。
なお、旋回台31は旋回するため、旋回台31の旋回状態によっては、旋回台31の前後がラフテレーンクレーン10の前後と一致しなくなる。そのため、以下の説明において、旋回台31におけるキャビン34が設けられている側を旋回台31の前側とし、旋回台31におけるカウンタウエイト着脱装置60が設けられている側を旋回台31の後側として、旋回台31の前後方向4が定義される。また、上下方向7及び前後方向4と直交する方向が、旋回台31の左右方向5と定義される。また、旋回台31を後方から視た状態で(カウンタウエイト着脱装置60からキャビン34へ向かう方向に視た状態で)、旋回台31の右及び左が定義される。また、以下の説明において、旋回台31の前側と、ラフテレーンクレーン10の前側とが一致している状態、つまり図1及び図2に示される状態が、旋回台31の通常姿勢と定義される。そして、以下において、特に記載のない限り、旋回台31が通常姿勢であるとして説明がなされる。なお、旋回台31の旋回状態にかかわらず、ラフテレーンクレーン10と旋回台31の上下方向7は一致している。
キャビン34は、前後方向4の前端部に設けられており、旋回台31と一体に旋回する。キャビン34は、前側車軸25の上方に位置している。下部走行体20を走行させるための前述の各種操作部、及び上部作業体30を動作させるための各種レバーや操作パネル等が、キャビン34に設けられている。
旋回台31は、旋回モータ(不図示)によって旋回される。伸縮ブーム32は、起伏シリンダ(不図示)によって起伏され、伸縮シリンダ(不図示)によって伸縮される。フック(不図示)は、ウインチ35(図3参照)によるロープの巻き取り及び繰り出しによって昇降される。ウインチ35は、前後方向4の後端部に設けられている。ウインチ35は、後側車軸26、27の上方に位置している。旋回モータ、起伏シリンダ、伸縮シリンダ、ウインチ35、アウトリガ28、29を動作させるアクチュエータ、後述するカウンタウエイト着脱装置60の伸縮シリンダ75、91(図4及び図7参照)は、例えば、油圧式のアクチュエータである。ラフテレーンクレーン10は、供給する作動油の方向及び流量を制御することによって、各アクチュエータを駆動させる。なお、アクチュエータは油圧式に限定されず、電動式等であってもよい。
[カウンタウエイト着脱装置60の全体構成]
図3に示されるカウンタウエイト着脱装置60は、カウンタウエイト40(図1及び図2参照)を旋回台31に着脱するための装置である。なお、図1及び図2には、カウンタウエイト40が旋回台31に装着された状態が示されている。
図2が示すように、カウンタウエイト着脱装置60は、前後方向4の後端部に設けられており、旋回台31によって支持されている。カウンタウエイト着脱装置60は、後側車軸26、27の上方に位置している。
図3が示すように、カウンタウエイト着脱装置60は、着脱部61、62と、ロック機構63とを備えている。
着脱部61、62は、ウインチ35を挟んで左右一対に設けられている。着脱部61は旋回台31の右後端部に設けられており、着脱部62は旋回台31の左後端部に設けられている。着脱部61は、カウンタウエイト40(図1参照)のフレーム41における右側の柱44と係合可能である。着脱部62はカウンタウエイト40(図1参照)のフレーム41における左側の柱44と係合可能である。
ロック機構63は、着脱部61、62の第1係合アーム73(図7~図9参照)を、図9に示されるリフトアップ姿勢にロックするためのものである。
[カウンタウエイト40]
図7が示すように、カウンタウエイト40は、フレーム41と、ウエイト42とを備えている。
フレーム41は、底板43と、底板43から上方へ延びた一対の柱44と、第1係合部45と、第2係合部46とを備えている。
図1が示すように、一対の柱44は、左右方向5に間隔を空けて設けられている。柱44は、平面視において前方が開放されたU字形状である。柱44は、第1板441と、一対の第2板442とを備えている。第1板441は、上下方向7及び左右方向5に延びた板である。第2板442は、第1板441の右端部及び左端部から前後方向4の前方へ延びている。第2板442は、上下方向7及び前後方向4に延びた板である。
図7が示すように、第1係合部45は、柱44の上部に設けられている。第1係合部45は、左右方向9に延びた棒状の部材であり、一対の第2板442を繋いでいる。第2係合部46は、柱44の下部に設けられている。第2係合部46は、下方へ凹んだ凹部であり、一対の第2板442の一方から他方に亘って左右方向9に延びている。第1係合部45は、カウンタウエイト着脱装置60の第1係合アーム73の凹部736と係合する。第2係合部46は、カウンタウエイト着脱装置60の第2係合アーム74の棒部材743と係合する。
なお、カウンタウエイト40とカウンタウエイト着脱装置60との着脱形態は、前記の形態に限らない。例えば、第1係合部45が凹部であり、当該凹部が第1係合アーム73に凹部736の代わりに設けられた棒部材と係合してもよい。また、例えば、図11が示すように、第2係合部46が棒状の部材であり、第2係合アーム74が棒部材743の変わりに凹部746を備えていてもよい。そして、図12が示すように、当該棒状の部材が凹部746と係合してもよい。
ウエイト42は、板状の部材である。ウエイト42は、フレーム41の底板43によって支持されている。フレーム41は、複数のウエイト42を支持可能である。複数のウエイト42がフレーム41に支持される場合、ウエイト42は上下に重ねて配置される。フレーム41に支持されるウエイト42の枚数によって、カウンタウエイト40の重量が調整される。なお、各ウエイト42は、嵌合などの公知の手段によって、フレーム41に固定される。
[着脱部61、62]
図3及び図7が示すように、着脱部61、62の各々は、第1支軸71、第2支軸72、第1係合アーム73(特許請求の範囲に記載された「所定係合アーム」の一例)、第2係合アーム74、伸縮シリンダ75、及び回動規制部材76を備える。着脱部61と着脱部62とは同構成である。そのため、以下において、着脱部62の構成が詳細に説明され、着脱部61の構成の説明は原則省略され必要に応じて行われる。
第1支軸71及び第1係合アーム73は、旋回台31の右後端部の側方の上部に位置している。第1支軸71は、左右方向5に沿って延びている。
図3が示すように、第1係合アーム73は、左右方向5に間隔を開けて対向した第1板731、732と、第1板731、732を繋ぐ第2板733とを備えている。第1板731、732は、板状の部材である。第1板731は、第1板732より旋回台31の左右方向5の外側に設けられている。
図3及び図7が示すように、第1板731、732は、第1支軸71と連結されており、第1支軸71によって回動自在に支持されている。これにより、第1係合アーム73は、第1支軸71を中心として、図7に示される退避姿勢、図8に示される係合姿勢、及び図9に示されるリフトアップ姿勢へ回動可能である。
第1板731、732は、貫通孔734、735と、凹部736を備えている。貫通孔734は、第1係合アーム73に伸縮シリンダ75を連結するためのものである。貫通孔735には、ロック機構63の貫通部材93(図4参照)が貫通可能である。凹部736は、第1板731、732の回動先端部(退避姿勢における下端部(図7参照)であり、係合姿勢及びリフトアップ姿勢における前後方向4の後端部(図8及び図9参照))に設けられている。図8及び図9が示すように、凹部736は、カウンタウエイト40の第1係合部45と係合する。
図7が示すように、第1板731は、左方(旋回台31の左右方向5の外側)へ突出した凸部737を備えている。凸部737は、回動規制部材76の長穴761に挿入されている。
退避姿勢において、貫通孔734は第1支軸71より下方にあり、貫通孔735は第1支軸71より上方にあり、凹部736は貫通孔734より下方にあり、凸部737は第1支軸71より前後方向4の前方にある。
図3及び図7が示すように、第2支軸72及び第2係合アーム74は、旋回台31の右後端部の側方の下部に位置している。第2支軸72は、左右方向5に沿って延びている。つまり、第2支軸72は、第1支軸71と平行に配置されている。
図3が示すように、第2係合アーム74は、左右方向5に間隔を開けて対向した板741、742と、板741、742を繋ぐ棒部材743とを備えている。板741は、板742より左右方向5の外側に設けられている。
図7が示すように、板741、742は、第2支軸72と連結されており、第2支軸72によって回動自在に支持されている。これにより、第2係合アーム74は、第2支軸72を中心として、図7に示される退避姿勢、及び図8に示される係合姿勢へ回動可能である。
板741、742は、貫通孔744を備えている。貫通孔744は、第2係合アーム74に伸縮シリンダ75を連結するためのものである。
板741は、左方(旋回台31の左右方向5の外側)へ突出した凸部745を備えている。凸部745は、回動規制部材76と連結される。
棒部材743は、板741、742の回動先端部(退避姿勢における上端部(図7参照)であり、係合姿勢における前後方向4の後端部(図8参照))に設けられている。図8及び図9が示すように、棒部材743は、カウンタウエイト40の第2係合部46と係合する。
図7が示すように、退避姿勢において、貫通孔744は第2支軸72より上方にあり、凸部745は貫通孔744より上方にあり、棒部材743は凸部745より上方にある。
図3及び図7が示すように、伸縮シリンダ75は、上下方向7において第1係合アーム73及び第2係合アーム74の間に設けられている。つまり、伸縮シリンダ75は、第1係合アーム73及び第2係合アーム74の間に介在されている。
伸縮シリンダ75は、円筒状の本体751と、本体751に対して伸縮するピストンロッド752とを備えている。本体751は、その下端部に突起753を備えている。突起753が貫通孔744に挿入されることにより、本体751は、第2係合アーム74に連結される。ピストンロッド752は、その先端部に突起754を備えている。突起754が貫通孔734に挿入されることにより、ピストンロッド752は、第1係合アーム73に連結される。
図7が示すように、突起754の位置(第1係合アーム73における伸縮シリンダ75との連結位置)と第1支軸71との距離D1は、突起753の位置(第2係合アーム74における伸縮シリンダ75との連結位置)と第2支軸72との距離D2より長い。
なお、本実施形態とは逆に、本体751が第1係合アーム73に連結され、ピストンロッド752が第2係合アーム74に連結されていてもよい。
図3及び図7が示すように、回動規制部材76は、上下方向7において第1係合アーム73及び第2係合アーム74の間に設けられている。つまり、回動規制部材76は、第1係合アーム73及び第2係合アーム74の間に介在されている。
回動規制部材76は、真っ直ぐに延びた平板形状の部材である。回動規制部材76の一端部(上端部)は、第1係合アーム73と連結されている。回動規制部材76の他端部(下端部)は、第2係合アーム74と連結されている。以上より、回動規制部材76は、第1係合アーム73との連結位置から第2係合アーム74との連結位置まで直線状に延びている。
回動規制部材76は、その上端部に長穴761を有している。長穴761は、回動規制部材76の長手方向に沿って延びている。長穴761に凸部737が挿入されることにより、回動規制部材76は第1係合アーム73と連結される。凸部737は、長穴761に対して相対的に移動可能である。回動規制部材76は、第1係合アーム73に対して凸部737を中心として回動可能である。
回動規制部材76は、その下端部に貫通孔(不図示)を有している。当該貫通孔に凸部745が挿入されることにより、回動規制部材76は第2係合アーム74と連結される。回動規制部材76は、第2係合アーム74に対して凸部745を中心として回動可能である。
[ロック機構63]
図3が示すように、ロック機構63は、左右方向5における着脱部61、62の間に設けられている。ロック機構63は、旋回台31の側方の上部に位置している。
図4が示すように、ロック機構63は、伸縮シリンダ91と、貫通部材92、93と、連結部材94、95と、コイルバネ96、97とを備えている。
伸縮シリンダ91は、左右方向5に延びた状態で配置されている。伸縮シリンダ91は、円筒状の本体911と、本体911に対して伸縮するピストンロッド912とを備えている。
貫通部材92は、左右方向5に延びた棒状の部材で、着脱部61の第1係合アーム73の貫通孔735の左方に設けられている。貫通部材92は、当該貫通孔735を貫通可能である。連結部材94は、伸縮シリンダ91の本体911と貫通部材92とを連結している。コイルバネ96は、貫通部材92を右方へ、つまり貫通部材92を着脱部61の第1係合アーム73へ向けて付勢可能である。
貫通部材93は、左右方向5に延びた棒状の部材で、着脱部62の第1係合アーム73の貫通孔735の右方に設けられている。貫通部材93は、当該貫通孔735を貫通可能である。連結部材95は、伸縮シリンダ91のピストンロッド912と貫通部材93とを連結している。コイルバネ97は、貫通部材93を左方へ、つまり貫通部材93を着脱部62の第1係合アーム73へ向けて付勢可能である。
第1係合アーム73が図9に示されるリフトアップ姿勢のとき、着脱部61の貫通孔735と貫通部材92とは左右方向5に対向し、着脱部62の貫通孔735と貫通部材93とは左右方向5に対向する。これにより、図4が示すように、貫通部材92は、コイルバネ96の付勢力によって着脱部61の貫通孔735を貫通し、貫通部材93は、コイルバネ97の付勢力によって着脱部62の貫通孔735を貫通する。これにより、第1係合アーム73は、リフトアップ姿勢にロックされる。
伸縮シリンダ91が作動されて縮小されると、貫通部材92はコイルバネ96の付勢力に抗して左方へ移動し、貫通部材93はコイルバネ97の付勢力に抗して右方へ移動する。これにより、第1係合アーム73のロックは解除される。
なお、ロック機構63の構成は、上述した構成に限定されず、公知の種々の構成が採用可能である。
[カウンタウエイト40の着脱動作]
以下、カウンタウエイト着脱装置60による旋回台31へのカウンタウエイト40の装着動作が説明される。
最初に、図5が示すように、下部走行体20の上面21における旋回台31より前後方向8の前方に、架装台51が配置される。架装台51は、カウンタウエイト40を支持するための台である。架装台51は、ラフテレーンクレーン10とは別のトラックなどによって搬送され、ラフテレーンクレーン10のフックによって吊り下げられて、上面21に配置される。なお、架装台51は、ラフテレーンクレーン10以外のクレーンなどによって上面21に配置されてもよい。
上面21に設けられた突起22が、架装台51の下面に設けられた穴(不図示)に挿入されることにより、架装台51は位置決めされる。なお、架装台51を位置決めする手段は、突起22と当該穴とによるものに限らない。
次に、図6が示すように、架装台51に、カウンタウエイト40が支持される。カウンタウエイト40は、ラフテレーンクレーン10とは別のトラックなどによって搬送され、ラフテレーンクレーン10のフックによって吊り下げられて、架装台51上に配置される。なお、カウンタウエイト40は、ラフテレーンクレーン10以外のクレーンなどによって架装台51上に配置されてもよい。
架装台51の上面に設けられた突起(不図示)が、カウンタウエイト40のフレーム41の底板43に設けられた穴(不図示)に挿入されることにより、カウンタウエイト40は位置決めされる。なお、カウンタウエイト40を位置決めする手段は、当該突起と当該穴とによるものに限らない。
次に、カウンタウエイト着脱装置60がラフテレーンクレーン10の前側に位置し且つキャビン34がラフテレーンクレーン10の後側に位置するように、旋回台31が旋回される。つまり、旋回台31の後側がラフテレーンクレーン10の前側に位置し且つ旋回台31の前側がラフテレーンクレーン10の後側に位置するように、旋回台31が旋回される。これにより、図7が示すように、前後方向4、8において、カウンタウエイト着脱装置60とカウンタウエイト40とが対向した状態となる。
このときの第1係合アーム73及び第2係合アーム74が、退避姿勢である。退避姿勢において、第1係合アーム73及び第2係合アーム74は、上下に延びた状態である。これにより、第1係合アーム73及び第2係合アーム74は、旋回台31から突出していない状態となっている。つまり、退避姿勢の第1係合アーム73及び第2係合アーム74は、カウンタウエイト40に対して旋回台31の側方に退避している。また、退避姿勢において、凸部737は、回動規制部材76の長穴761の下端部77(特許請求の範囲に記載された「長穴の一端部」の一例)に位置している。
また、退避姿勢において、ロック機構63(図4参照)は、第1係合アーム73をロックしていない。詳述すると、退避姿勢において、貫通部材92、93は、第1係合アーム73の貫通孔735と対向していない。そのため、コイルバネ96、97によって付勢された貫通部材92、93は第1係合アーム73の第1板732に当接し、貫通孔735に挿入されない。よって、退避姿勢において、第1係合アーム73は、ロック機構63によってロックされず、回動可能である。
次に、カウンタウエイト着脱装置60が作動される。つまり、伸縮シリンダ75が伸長される。
伸縮シリンダ75が伸長されるにしたがって、最初に、第2係合アーム74が、その回動先端部(棒部材743)が下方へ移動するように、図7における時計回りに回動する。この第2係合アーム74の時計回りの回動向きは、特許請求の範囲に記載された「所定向き」の一例である。第2係合アーム74の回動により、回動規制部材76が第2係合アーム74に引っ張られて下方へ移動する。これにより、凸部737は、長穴761の下端部77から上端部78(特許請求の範囲に記載された「長穴の他端部」の一例)へ向けて、つまり矢印81の向きへ、長穴761に対して相対的に移動する。
凸部737は、長穴761の上端部78に到達すると、それ以上矢印81の向きへ長穴761に対して相対的に移動できない。この状態で伸縮シリンダ75が更に伸長すると、
第1係合アーム73が、その回動先端部(凹部736)が上方へ移動するように、図7における反時計回りに回動する。この第1係合アーム73の反時計回りの回動向きは、特許請求の範囲に記載された「所定向き」の一例である。このとき、第2係合アーム74の時計回りの回動は継続されている。つまり、第1係合アーム73及び第2係合アーム74が互いに逆向きに回動する。この回動によって、図8が示すように、第1係合アーム73の凹部736が下方からカウンタウエイト40の第1係合部45に係合し、第2係合アーム74の棒部材743が上方からカウンタウエイト40の第2係合部46に係合する。これにより、カウンタウエイト着脱装置60は、カウンタウエイト40を保持した状態となる。
このときの第1係合アーム73及び第2係合アーム74の姿勢が、係合姿勢である。係合姿勢において、第1係合アーム73及び第2係合アーム74は、前後方向4の前後に延びた状態である。これにより、第1係合アーム73及び第2係合アーム74は、前後方向4の後方へ突出した状態となっている。また、係合姿勢において、凸部737は、回動規制部材76の長穴761の上端部78に位置している。また、退避姿勢のときと同様に、係合姿勢において、ロック機構63(図4参照)は、第1係合アーム73をロックしていない。
図8に示される状態では、第1係合アーム73が下方からカウンタウエイト40に係合し且つ第2係合アーム74が上方からカウンタウエイト40に係合しているため、これ以上、第1係合アーム73及び第2係合アーム74が互いに逆向きに回動することができない。ここで、上述したように、距離D1は距離D2より長い(図7参照)。そのため、図8に示される状態において伸縮シリンダ75が更に伸長された場合、第1係合アーム73が図8における反時計回りに回動するトルクは、第2係合アーム74が図8における時計回りに回動するトルクよりも大きくなる。これにより、図8に示される状態において伸縮シリンダ75が更に伸長されると、第1係合アーム73及び第2係合アーム74の双方が図8に示される反時計回りに回動する。つまり、第1係合アーム73の回動向きが退避姿勢から係合姿勢への姿勢変化時と変わらないのに対して、第2係合アーム74の回動向きは、退避姿勢から係合姿勢への姿勢変化時と逆向きとなる。この第2係合アーム74の反時計回りの回動向きは、特許請求の範囲に記載された「反所定向き」の一例である。
第1係合アーム73及び第2係合アーム74の双方が図8に示される反時計回りに回動すると、カウンタウエイト40がリフトアップされる(図9参照)。
第1係合アーム73が図8に示される位置から図9に示される位置まで回動すると、つまり第1係合アーム73が係合姿勢からリフトアップ姿勢に姿勢変化すると、貫通部材92、93(図4参照)が、第1係合アーム73の貫通孔735と左右に対向した状態となる。そのため、コイルバネ96、97によって付勢された貫通部材92、93は、貫通孔735に挿入される。これにより、リフトアップ姿勢の第1係合アーム73は、ロック機構63によってロックされる。
また、第2係合アーム74が図8に示される位置から図9に示される位置へ回動する間に、つまり第1係合アーム73が係合姿勢からリフトアップ姿勢へ姿勢変化する間に、第2係合アーム74は、所定角度θ(図9参照)だけ反時計回りに回動する。この回動の間に、回動規制部材76は、第2係合アーム74に押されて上方へ移動する。これにより、凸部737は、長穴761の上端部78から下端部77へ向けて、つまり矢印82の向き(矢印81と逆向き)へ、長穴761に対して相対的に移動する。
第1係合アーム73がリフトアップ姿勢であるとき、第2係合アーム74が図9における反時計回りへ回動するためには、第2係合アーム74に押される回動規制部材76が上方へ移動する必要がある。ここで、第1係合アーム73がリフトアップ姿勢であるとき、凸部737は長穴761の下端部77に位置する(図9参照)。そのため、回動規制部材76が上方へ移動するためには、回動規制部材76が凸部737を押して上方へ移動させる必要がある。しかし、第1係合アーム73はロック機構63によってロックされているため、凸部737は移動できない。よって、回動規制部材76は上方へ移動できない。したがって、第2係合アーム74は図9における反時計回りへ回動できない。つまり、第2係合アーム74は、図9に示される姿勢から図7に示される退避姿勢へ姿勢変化することができない。以上より、回動規制部材76は、第1係合アーム73がリフトアップ姿勢であるときに、第2係合アーム74が図9における反時計回りに回動することを規制する。
カウンタウエイト40がリフトアップされた後、架装台51が下部走行体20から外される。
以下、カウンタウエイト着脱装置60による旋回台31へカウンタウエイト40を降ろす動作が説明される。
最初に、旋回台31へのカウンタウエイト40の装着のときと同様に、下部走行体20に架装台51が配置される(図5参照)。
次に、図9が示すように、カウンタウエイト着脱装置60がラフテレーンクレーン10の前側に位置し且つキャビン34がラフテレーンクレーン10の後側に位置するように、旋回台31が旋回される。このとき、第1係合アーム73及び第2係合アーム74は、リフトアップ姿勢である。
次に、伸縮シリンダ91(図4参照)が縮小される。これにより、貫通部材92が左方へ移動し、貫通部材93が右方へ移動することによって、貫通部材92、93が貫通孔735から抜け出る。その結果、ロック機構63による第1係合アーム73のリフトアップ姿勢へのロックが解除される。なお、当該ロックの解除後に、伸縮シリンダ91は元の状態へ伸長される。
次に、伸縮シリンダ75が縮小される。ここで、距離D1は距離D2より長いため(図7参照)、第1係合アーム73が図9に示される時計回りに回動するトルクは、第2係合アーム74が図9に示される反時計回りに回動するトルクよりも大きくなる。これにより、図9に示される状態において伸縮シリンダ75が縮小されると、第1係合アーム73及び第2係合アーム74の双方が図9に示される時計回りに回動する。
第1係合アーム73及び第2係合アーム74の双方が図9に示される時計回りに回動すると、カウンタウエイト40が下方へ移動し、架装台51に支持される(図8参照)。このときの第1係合アーム73及び第2係合アーム74は、係合姿勢である。
また、第2係合アーム74が図9に示される位置から図8に示される位置へ回動する間に、つまり第1係合アーム73がリフトアップ姿勢から係合姿勢へ姿勢変化する間に、第2係合アーム74は、所定角度θ(図9参照)だけ時計回りに回動する。この回動の間に、回動規制部材76は、第2係合アーム74に引っ張られて下方へ移動する。これにより、凸部737は、長穴761の下端部77から上端部78へ向けて、つまり矢印81の向きへ、長穴761に対して相対的に移動する。
第1係合アーム73及び第2係合アーム74が係合姿勢となって、カウンタウエイト40が架装台51に支持されると、第2係合アーム74はそれ以上時計回りに回動できない。この状態で伸縮シリンダ75が更に縮小すると、第2係合アーム74は、図8における反時計回りに回動する。一方、第1係合アーム73は、図8における時計回りの回動を継続する。つまり、第1係合アーム73及び第2係合アーム74が互いに逆向きに回動する。
この回動によって、第1係合アーム73及び第2係合アーム74は、係合姿勢(図8参照)から退避姿勢(図7参照)へ姿勢変化する。以上より、伸縮シリンダ75は、縮小することによって、第1係合アーム73及び第2係合アーム74を退避姿勢に姿勢変化させる。
また、この回動によって、第1係合アーム73の凹部736の第1係合部45に対する係合が解除される。また、第2係合アーム74の棒部材743の第2係合部46に対する係合が解除される。これにより、カウンタウエイト着脱装置60がカウンタウエイト40を保持した状態が解除される。
なお、第2係合アーム74が図8における反時計周りに回動することによって、回動規制部材76が第2係合アーム74に押されて上方へ移動する。これにより、凸部737は、長穴761の上端部78から下端部77へ向けて、つまり矢印81の向きへ、長穴761に対して相対的に移動する。以上より、第2係合アーム74は、凸部737が長穴761の上端部78から下端部77へ向けて移動することによって、係合姿勢から退避姿勢へ姿勢変化する。
その後、カウンタウエイト40が、ラフテレーンクレーン10のフックによって吊り下げられて、ラフテレーンクレーン10とは別のトラックなどへ運ばれる。また、架装台51も、カウンタウエイト40と同様にして、トラックなどへ運ばれる。
[本実施形態の効果]
本実施形態によれば、ロック機構63がリフトアップ姿勢の第1係合アーム73をロックする一方で、第1係合アーム73が図9に示されるリフトアップ姿勢のときに、第2係合アーム74の図9における反時計回りの回動を回動規制部材76によって規制することができる。よって、第1係合アーム73をロックするロック機構63と同様の機構を、第2係合アーム74をロックするために設ける必要がない。
また、回動規制部材76は、第1係合アーム73及び第2係合アーム74の間に介在されるものである。そのため、第2係合アーム74における第1係合アーム73側にさえスペースがあれば、回動規制部材76を配置することができる。よって、第2係合アーム74における第1係合アーム73側以外の側、例えば第2係合アーム74の右方や左方に、第2係合アーム74の図9における反時計回りへの回動を規制するための部材を配置するスペースは不要である。
また、本実施形態によれば、第1係合アーム73がリフトアップ姿勢であるときに、凸部737及び長穴761が下端部77において当接することによって、第2係合アームの図9における反時計回りへの回動を規制することができる。
また、本実施形態によれば、第1係合アーム73の近傍に、長穴761が設けられる。換言すると、第2係合アーム74の近傍に、長穴761が設けられない。そのため、第2係合アーム74の周辺のスペースの少なくとも一部が長穴761に占められることを防止できる。これにより、第2係合アーム74の周辺に、ワイヤドラム等を配置するためのスペースを大きく確保することができる。
また、本実施形態によれば、第1係合アーム73が図8に示される係合姿勢から図8における反時計回りに回動するトルクは、第2係合アーム74が係合姿勢から図8における時計回りへ回動するトルクより大きくなる。そのため、このトルクの差によって、第1係合アーム73を係合姿勢からリフトアップ姿勢へ姿勢変化させ、第2係合アーム74を係合姿勢から図8における反時計回りに回動させることができる。
また、本実施形態によれば、回動規制部材76が直線状に延びているため、回動規制部材76が占めるスペースを小さくすることができる。
また、本実施形態によれば、第1係合アーム73及び第2係合アーム74が逆方向にカウンタウエイト40と係合するため、第1係合アーム73及び第2係合アーム74によって係合されたカウンタウエイト40の姿勢を安定させることができる。
[変形例]
上記実施形態では、回動規制部材76は、第1係合アーム73との連結位置から第2係合アーム74との連結位置まで直線状に延びていた。しかし、回動規制部材76の形状は、直線状に限らず、湾曲または屈曲していてもよい。
例えば、図10が示すように、回動規制部材76は、第1部分101、第2部分102、及び第3部分103で構成されていてもよい。
第1部分101は、その一端部に長穴761を有しており、凸部737を介して第1係合アーム73と連結されている。第1部分101は、第1係合アーム73との連結位置(長穴761及び凸部737の位置)から、第1係合アーム73の回動方向と接する方向へ延びている。
第2部分102は、その一端部において凸部745を介して第2係合アーム74と連結されている。第2部分102は、第2係合アーム74との連結位置(凸部745の位置)から、第2係合アーム74の回動方向と接する方向へ延びている。
第3部分103の一端部は、第1部分101の他端部と連結されており、第3部分103の他端部は、第2部分102の他端部と連結されている。
なお、回動規制部材76は、第1部分101と、第3部分103とで構成されていてもよい。この場合、第3部分103は、例えば、第1部分101の他端部から凸部745へ直線状に延びている。また、回動規制部材76は、第2部分102と、第3部分103とで構成されていてもよい。この場合、第3部分103は、例えば、第2部分102の他端部から凸部737へ直線状に延びている。
上記変形例によれば、第1係合アーム73の回動による回動規制部材76の移動時に、第1係合アーム73のトルクを効率よく回動規制部材76に作用させることができる。同様に、第2係合アーム74の回動による回動規制部材76の移動時に、第2係合アーム74のトルクを効率よく回動規制部材76に作用させることができる。これにより、回動規制部材76を移動させるために必要な第1係合アーム73及び第2係合アーム74のトルクを小さくすることができる。
上記実施形態では、回動規制部材76は、その上端部に長穴761を備え、その下端部に貫通孔を備えていた。しかし、上記実施形態とは逆に、回動規制部材76は、その上端部に当該貫通孔を備え、その下端部に長穴761を備えていてもよい。そして、凸部737が当該貫通孔に挿入され、凸部745が長穴761に挿入されていてもよい。この場合、第2係合アーム74が、特許請求の範囲に記載された「所定係合アーム」の一例である。
また、回動規制部材76は、その上端部及び下端部の双方に長穴を備えていてもよい。この場合、第1係合アーム73の凸部737が回動規制部材76の上端部の長穴に挿入され、第2係合アーム74の凸部745が、回動規制部材76の下端部の長穴に挿入される。
上記実施形態では、第1係合アーム73及び第2係合アーム74はそれぞれ凸部を備え、回動規制部材76は当該凸部が挿入される長穴及び貫通孔を有していたが、このような構成に限らない。例えば、上記実施形態とは逆に、第1係合アーム73が長穴または貫通孔の一方を有し、第2係合アーム74が長穴または貫通孔の他方を有し、回動規制部材76が凸部を備えていてもよい。この場合、第1係合アーム73及び第2係合アーム74のうち、長穴を備えている方が、特許請求の範囲に記載された「所定係合アーム」の一例である。また、例えば、回動規制部材76がその上端部に長穴761を備え且つその下端部に凸部を備える一方で、第1係合アーム73が長穴761に挿入される凸部737を備え且つ第2係合アーム74が回動規制部材76の凸部に挿入される貫通孔を有していてもよい。
上記実施形態では、長穴761は回動規制部材76を貫通されていたが、長穴761は回動規制部材76を貫通されていない溝であってもよい。
第1支軸71並びに第1係合アーム73の各構成要素(貫通孔734、貫通孔735、凹部736、及び凸部737)の相互の位置関係は、上記実施形態で説明した位置関係(図7に示される位置関係)に限らない。また、第2支軸72並びに第2係合アーム74の各構成要素(貫通孔744、凸部745、及び棒部材743)相互の位置関係は、上記実施形態で説明した位置関係(図7に示される位置関係)に限らない。
上記実施形態では、カウンタウエイト着脱装置60は、ウインチ35を挟んで左右一対に設けられた2つの着脱部61、62を備えていたが、着脱部の数は2つに限らない。例えば、カウンタウエイト着脱装置60は、左右方向9に沿って間隔を空けて設けられた3つの着脱部を備えていてもよい。