JP5741457B2 - 平行型発泡同軸ケーブル - Google Patents
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Description
本実施の形態に係る平行型発泡同軸ケーブルは、並列に並べられた、平行に延びる一対以上の内部導体と、前記内部導体を一括被覆するように配設された、断面形状が楕円型、小判型又は複数の曲線を組合せた擬似楕円型である発泡絶縁体と、前記発泡絶縁体を被覆するように配設された、その最大肉厚が前記発泡絶縁体の断面形状の長径方向の肉厚であるとともに、その最小肉厚が前記発泡絶縁体の断面形状の短径方向の肉厚である無発泡のスキン層と、前記無発泡のスキン層を被覆するように配設された外部導体と、前記外部導体を被覆するように配設された絶縁ジャケットとを備えた平行型発泡同軸ケーブルであって、前記無発泡のスキン層の前記最大肉厚は、前記発泡絶縁体の長径の1%以上であるものである。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る平行型発泡同軸ケーブル10は、並列に並べられた、平行に延びる一対以上(図1、図2では一対)の内部導体1と、内部導体1を一括被覆するように配設された、断面形状が楕円型、小判型又は複数の曲線を組合せた擬似楕円型である発泡絶縁体2と、発泡絶縁体2を被覆するように配設された、その最大肉厚が発泡絶縁体2の断面形状の長径方向に存在するとともに、その最小肉厚が発泡絶縁体2の断面形状の短径方向に存在する無発泡のスキン層3と、無発泡のスキン層3を被覆するように配設された外部導体4と、外部導体4を被覆するように配設された絶縁ジャケット5と、を備えたものである。
(内部導体)
本実施の形態に用いられる内部導体1を構成する材料としては、特に限定されるものではなく、従来から多用されている銅、銅合金、金属メッキ銅、アルミニウム、鋼等を用いることができる。また、この内部導体1は、単一の中実のストランドから構成されてもよく、また、複数の金属素線を撚り合わせた撚り線であってもよい。さらに、この内部導体1の太さも特に限定されるものではないが、実際には、アメリカンワイヤゲージ(AWG)の20番〜32番程度が多用される。
本実施の形態に用いられる発泡絶縁体2を構成する発泡絶縁材料としては、耐圧潰性であって低誘電率を有するものであれば特に限定されるものではないが、一括押出成形によって内部導体1を一括被覆する都合上、押出性、硬化性等に優れた公知の発泡性ポリマー、例えば、ポリエチレン(PE)、フッソエチレンプロピレンコポリマー(FEP)、ペルフルオロアルコキシコポリマー(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリオレフィンコポリマー等の発泡熱可塑性ポリマーを用いることが好ましい。
本実施の形態に用いられる無発泡のスキン層3を構成する材料としては、発泡絶縁体2と同様、押出成形可能であって低誘電率を有するものであれば特に限定されるものではない。また、発泡ガスや発泡核剤を添加しない、又は押出温度の低下やガス注入圧をゼロにするというようなプロセス面での工夫を行うことで、発泡を抑制することができ、無発泡のソリッド層を設けることができるため、発泡絶縁体2と全く同じ材料を用いることができる。
本実施の形態に用いられる外部導体4を構成する材料としては、特に限定されるものではなく、内部導体1と同様に従来から多用されている銅、銅合金、金属メッキ銅、アルミニウム、鋼等の金属素線を用いることができ、これら金属素線を用いて発泡絶縁体2、無発泡のスキン層3を被覆するように、均一の厚さになるように編組されて形成されている。また、この外部導体4として、横巻、金属テープを用いてもよい。
本実施の形態に用いられる絶縁ジャケット5を構成する材料としては、高い誘電体力と電気絶縁性、加えて高い引張強度、良好な耐摩耗性、難燃性等を有するポリマーであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニル配合物、フッソエチレンプロピレンコポリマー(FEP)等を用いることが好ましい。
(スキュー及びインピーダンス)
本実施の形態の平行型発泡同軸ケーブルのスキュー及びインピーダンスは、上述のように、伝送特性の点から、3ps/m以下で、かつインピーダンスを100Ωとすることが好ましい。
表1に示す材料を用いて平行型同軸ケーブルの構造を設計した。すなわち、内部導体として銀メッキ銅線(三州社製、商品名:24AWG(直径φ0.511mm))、発泡絶縁体2として高密度ポリエチレン(ダウ社製、商品名:6944)50質量部、低密度ポリエチレン(宇部興産社製、商品名:B028)50質量部及び核剤(永和化成社製、商品名:ADCA)1質量部、無発泡のスキン層3として高密度ポリエチレン(ダウ社製、商品名:6944)、並びに外部導体として銅テープ(15μm厚(その内6μmはPET))を用いて、スキュー3ps/m以下かつインピーダンス100Ωとなるように平行型同軸ケーブルの構造を設計したところ、図6に示す通りになった。目標とする2芯導体間距離は1.00mmであり、伝送特性に影響を与えない範囲での、導体位置ズレの許容範囲は±0.05mmである。なお、図6において、長径(mm)及び短径(mm)は、内部導体1及び発泡絶縁体2と無発泡のスキン層3からなる絶縁体全体の断面形状の長径(mm)及び短径(mm)を示す。
発泡絶縁体2の発泡度は、50〜60%であることが好ましい。すなわち、発泡絶縁体2を低誘電率化するためには、発泡度は高いほど好ましいが、60%以上の発泡度を狙うと芯線付近で巨大な気泡(鬆と呼ばれる)が発生し、内部導体1との剥離が生じるため、50〜60%であることを目標とした。
発泡絶縁体2及び無発泡のスキン層3からなる絶縁体全体の発泡度は、45〜60%であることが好ましい。ケーブルの伝送特性の点から比重、低誘電率とするには、45%以上であることが好ましく、発泡絶縁体2の発泡度上限を60%と設定したこと、また、絶縁体の機械的強度を考慮し、絶縁体全体の発泡度上限は60%であることが好ましい。発泡絶縁体2の目標発泡度よりも下限が低く設定されるのは、無発泡のスキン層3を含むため、必然的に絶縁体全体の発泡度は低くなるためである。
内部導体と発泡絶縁体2及び無発泡のスキン層3からなる絶縁体全体の合計径は、伝送特性やコネクタのサイズ、発泡絶縁体2の発泡度50〜60%で、かつ絶縁体全体の発泡度45%〜60%といった条件から、長径を3.2±0.1mm、短径を1.6±0.1mmとした。なお、楕円型、小判型又は複数の曲線を組合せた擬似楕円型(これらを複合した形状を含む)のいずれであってもこの目標を満たせばよい。
押出条件は表2に示す通りである。すなわち、発泡層押出機13の押出条件を検討したところ、スクリュー回転数は20rpm、シリンダ温度は220℃で固定すれば、発泡度55%程度の良好な発泡絶縁体2が得られることが分かった。なお、今回は化学発泡方式で作製し、ガス注入は行わない。次に、無発泡のスキン層であるが、こちらはスキン層押出機14のダイス径を変更し(3mm/1.5mm楕円型、3mm/1.6mm楕円型、3mm/1.5mm小判型:長径方向/短径方向)、さらにスクリュー回転数を0rpm〜10rpmに変更させることで、無発泡のスキン層3肉厚を変化させる。スクリュウ回転数は、発泡絶縁体2の場合に20rpm、無発泡のスキン層3の場合に0〜10rpmとし、押出温度は220℃、線速は50〜60m/minとした。
構成材料は、表1に示す材料を用いた。すなわち、内部導体として銀メッキ銅線(三州社製、商品名:24AWG(直径φ0.511mm))、発泡絶縁体として高密度ポリエチレン(ダウ社製、商品名:6944)50質量部、低密度ポリエチレン(宇部興産社製、商品名:B028)50質量部及び核剤(永和化学社製、商品名:ADCA)1質量部、無発泡のスキン層として高密度ポリエチレン(ダウ社製、商品名:6944)、並びに外部導体として銅テープ(15μm厚(内6μmはPET))を用いた。
スキン層押出機14のダイス径及びスクリュー回転数を変更して、無発泡のスキン層の肉厚を変化させたこと以外は、実施例1と同様にした。表3に示す、内部導体、発泡絶縁体、無発泡のスキン層を有するものを得た後、サンプルとして1000mを採取し、外部導体及び絶縁ジャケットを被覆した。
評価は各サンプルにおいて、50m間隔で1mのケーブル20本を採取し、電気特性、発泡度を測定した。
発泡絶縁体のみの発泡度は、アルコール比重法において測定した。この場合、50〜60%の発泡度が好ましい。
発泡絶縁体及び無発泡のスキン層からなる絶縁体全体の発泡度は、アルコール比重法において測定した。この場合、45〜60%の発泡度が好ましい。
発泡絶縁体の長径/短径、無発泡のスキン層の肉厚、絶縁体全体の長径及び短径は1m×20本のサンプル断面のSEM観察を行い、画像処理ソフト(商品名:「WINROOF」)で計測しその平均値を求めた。
内部導体の2芯間距離(1.00±0.05以内で○と判定)、無発泡のスキン層の肉厚に分布があり、かつ発泡絶縁体の長径方向が最大肉厚、短径方向が最小肉厚となっており、インピーダンス変動(100±3Ω以下で合格)及びスキュー(3ps/m以下で合格)が全て目標範囲内であるものを合格(△以上)とした。総合判定が合格であるもののうち、絶縁体全体の発泡度が45%以上と、低誘電率の望めるものについては、総合判定○とした。
本発明は、内部導体の平行方向位置を固定するため、長径方向の肉厚のみ大きくし、短径方向の肉厚は小さければよく、図9に示すように、内部導体を多芯平行型に構成したものを変形例として挙げることができる。
2 発泡絶縁体
3 無発泡のスキン層
4 外部導体
5 絶縁ジャケット
10 平行型発泡同軸ケーブル
11 内部導体送出機
12 内部導体加熱機
13 発泡層押出機
14 スキン層押出機
15 押出ヘッド
16 冷却水槽
17 巻取機
21 内部導体
22 発泡絶縁体
24 外部導体
25 絶縁ジャケット
26 絶縁芯線
A 2芯線間に働く力
B 抗力
Claims (6)
- 並列に並べられた、平行に延びる一対以上の内部導体と、
前記内部導体を一括押出成形によって一括被覆するように配設された、断面形状が楕円型、小判型又は複数の曲線を組合せた擬似楕円型である発泡絶縁体と、
前記発泡絶縁体を被覆するように配設された、その最大肉厚が前記発泡絶縁体の断面形状の長径方向の肉厚であるとともに、その最小肉厚が前記発泡絶縁体の断面形状の短径方向の肉厚である無発泡のスキン層と、
前記無発泡のスキン層を被覆するように配設された外部導体と、
前記外部導体を被覆するように配設された絶縁ジャケットとを備えた平行型発泡同軸ケーブルであって、
前記無発泡のスキン層の前記最大肉厚は、前記発泡絶縁体の長径の1%以上である平行型発泡同軸ケーブル。 - 前記無発泡のスキン層の前記最大肉厚は、前記発泡絶縁体の長径の1%以上、10%未満である請求項1に記載の平行型発泡同軸ケーブル。
- インピーダンス変動が、100±3Ω以下、かつスキューが、3ps/m以下である請求項1又は2に記載の平行型発泡同軸ケーブル。
- 前記発泡絶縁体の発泡度は、50〜60%である請求項1〜3のいずれかに記載の平行型発泡同軸ケーブル。
- 前記発泡絶縁体及び無発泡のスキン層からなる絶縁体全体の発泡度は、45〜60%である請求項1〜4のいずれかに記載の平行型発泡同軸ケーブル。
- 前記発泡絶縁体及び無発泡のスキン層からなる絶縁体全体の径は、長径が3.2±0.1mm、短径が1.6±0.1mmである請求項1〜5のいずれかに記載の平行型発泡同軸ケーブル。
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