JP2021190403A - 同軸ケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】高い電気特性を備えつつ、仕様または工程上の制約が少ない同軸ケーブルを提供する。【解決手段】第一の方向に延在する中心導体と、多孔質絶縁材料を含み前記中心導体上に形成された第一誘電体層と、充実絶縁材料を含み前記第一誘電体層上に形成された第二誘電体層と、金属箔を含み前記第二誘電体層上に形成された外部導体と、絶縁性の樹脂材料を含み前記外部導体上に形成された外被と、を備えた同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルは、前記第一の方向に垂直な断面において、前記第二誘電体層の内周側界面と前記内部導体の外周側界面との間の領域の面積を第一面積、前記第二誘電体層の内周側界面と前記第二誘電体層の外周側界面との間の領域の面積を第二面積と規定したとき、前記第二面積が前記第一面積より大きい。【選択図】図2
Description
本発明は、電気特性に優れた同軸ケーブルに関する。特に15GHz以上の高速伝送を高品質で実現可能な同軸ケーブルに関する。
PCT/JP2004/007117には、内部導体と、該内部導体の外周に形成された発泡絶縁層と、該発泡絶縁層の外周に形成された外部導体とからなる発泡同軸ケーブルにおいて、 該発泡絶縁層の外周に、略真円状の外形を有するスキン層が形成されることを特徴とする発泡同軸ケーブル、が開示されている。このように、多孔質テープ体の巻回層の、その外周に押し出し成形によるスキン層を設けるので、絶縁体の生産性が向上し、外径精度も良くなり、押圧にも強くなる、としている。
さらに、この同軸ケーブルにおいて、内部導体は、4/1000mm以下の外径精度を有し、発泡絶縁層は、多孔質テープ体の巻回により形成され、発泡絶縁層形成後略真円状の外形および±0.02mmの外径精度を有し、発泡絶縁層の外周に、略真円状の外形および±0.02mmの外径精度を有するスキン層が形成され、発泡絶縁層および前記スキン層を介在した前記内部導体と前記外部導体間の特性インピーダンス値の精度が±1Ωであることも開示されている。
このような構成により、伝送速度を高速化し、特性インピーダンス値の精度を向上し、ケーブルの柔軟性を良くし、ケーブルに加わる曲げ、捻り、押圧、摺動等の機械的ストレスを受けても、そのストレスを低減することで所定の機械的強度を維持すると共に特性インピーダンス値の変化を少なくすることができる発泡同軸ケーブルを提供できる、としている。
さらに、この同軸ケーブルにおいて、内部導体は、4/1000mm以下の外径精度を有し、発泡絶縁層は、多孔質テープ体の巻回により形成され、発泡絶縁層形成後略真円状の外形および±0.02mmの外径精度を有し、発泡絶縁層の外周に、略真円状の外形および±0.02mmの外径精度を有するスキン層が形成され、発泡絶縁層および前記スキン層を介在した前記内部導体と前記外部導体間の特性インピーダンス値の精度が±1Ωであることも開示されている。
このような構成により、伝送速度を高速化し、特性インピーダンス値の精度を向上し、ケーブルの柔軟性を良くし、ケーブルに加わる曲げ、捻り、押圧、摺動等の機械的ストレスを受けても、そのストレスを低減することで所定の機械的強度を維持すると共に特性インピーダンス値の変化を少なくすることができる発泡同軸ケーブルを提供できる、としている。
先行技術文献1に記載の技術は、同軸ケーブルを構成する各要素をそれぞれ高精度に形成しているため、優れた電気特性を得られることが期待できるものではあるが、内部導体、発泡絶縁層、及びスキン層のそれぞれの要素単位で高精度の形成が求められる。このことが仕様または工程上に制約をもたらすことがあり、生産性にも改善の余地があった。
本願発明は、高い電気特性を備えつつ、仕様または工程上の制約が少ない同軸ケーブルを提供するものである。
本願発明は、高い電気特性を備えつつ、仕様または工程上の制約が少ない同軸ケーブルを提供するものである。
本発明にかかる同軸ケーブルは、第一の方向に延在する中心導体と、多孔質絶縁材料を含み前記中心導体上に形成された第一誘電体層と、充実絶縁材料を含み前記第一誘電体層上に形成された第二誘電体層と、金属箔を含み前記第二誘電体層上に形成された外部導体と、絶縁性の樹脂材料を含み前記外部導体上に形成された外被と、を備えた同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルは、前記第一の方向に垂直な断面において、前記第二誘電体層の内周側界面と前記内部導体の外周側界面との間の領域の面積を第一面積、前記第二誘電体層の内周側界面と前記第二誘電体層の外周側界面との間の領域の面積を第二面積と規定したとき、前記第二面積が前記第一面積より大きいことを特徴とする。
また、本発明にかかる同軸ケーブルは、第一の方向に延在する中心導体と、多孔質絶縁材料を含み前記中心導体上に形成された第一誘電体層と、充実絶縁材料を含み前記第一誘電体層上に形成された第二誘電体層と、金属箔を含み前記第二誘電体層上に形成された外部導体と、絶縁性の樹脂材料を含み前記外部導体上に形成された外被と、を備えた同軸ケーブルであって、前記第一の方向に垂直な断面において、前記同軸ケーブルの前記第一誘電体層は、第一の径方向の厚さを備えた第一誘電体層の第一領域を含み、前記同軸ケーブルの前記第二誘電体層は、第二の径方向の厚さを備えた第二誘電体層の第一領域を含み、前記第二誘電体層の第二の径方向の厚さは、前記第一誘電体層の第一の径方向の厚さより大きいことを特徴とする。
以下、本発明に係る同軸ケーブルの実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、それぞれの実施例における各々の実施形態は、本発明の技術的な意義を失わない範囲で自由に組み合わせても良い。
本発明にかかる実施形態としては、以下の条件を満たすものであればよい。
(1)第一の方向に延在する中心導体と、多孔質絶縁材料を含み前記中心導体上に形成された第一誘電体層と、充実絶縁材料を含み前記第一誘電体層上に形成された第二誘電体層と、金属箔を含み前記第二誘電体層上に形成された外部導体と、絶縁性の樹脂材料を含み前記外部導体上に形成された外被と、を備えた同軸ケーブルであって、
(2)第一の方向に垂直な断面において、前記第二誘電体層の内周側界面と前記内部導体の外周側界面との間の領域の面積を第一面積、前記第二誘電体層の内周側界面と前記第二誘電体層の外周側界面との間の領域の面積を第二面積と規定したとき、前記第二面積が前記第一面積より大きいことを特徴とする同軸ケーブル。
(1)第一の方向に延在する中心導体と、多孔質絶縁材料を含み前記中心導体上に形成された第一誘電体層と、充実絶縁材料を含み前記第一誘電体層上に形成された第二誘電体層と、金属箔を含み前記第二誘電体層上に形成された外部導体と、絶縁性の樹脂材料を含み前記外部導体上に形成された外被と、を備えた同軸ケーブルであって、
(2)第一の方向に垂直な断面において、前記第二誘電体層の内周側界面と前記内部導体の外周側界面との間の領域の面積を第一面積、前記第二誘電体層の内周側界面と前記第二誘電体層の外周側界面との間の領域の面積を第二面積と規定したとき、前記第二面積が前記第一面積より大きいことを特徴とする同軸ケーブル。
次に、図1を用いて実施形態にかかる同軸ケーブルの構成を説明する。
図1は、本発明にかかる同軸ケーブルの基本構造を説明するための断面概略図である。
同図に示すように、同軸ケーブル10は、長手方向(第1の方向)に延存し、中心導体21、誘電体層22、外部導体23、外被24を備えている。
図1は、本発明にかかる同軸ケーブルの基本構造を説明するための断面概略図である。
同図に示すように、同軸ケーブル10は、長手方向(第1の方向)に延存し、中心導体21、誘電体層22、外部導体23、外被24を備えている。
[中心導体]
中心導体21は、強度、導電性に優れる銅又は銅合金の細線、又は高導電性の金属をメッキした単線(単心)を用いることができるが、撚り線であってもよい。また、周波数帯域が15GHz以上に対応する同軸ケーブルとしては、中心導体21はAWG27よりも細径のものが好ましい。また、良好な導体電気抵抗から、材質は、軟銅に錫めっきを施した錫めっき軟銅が好ましく、より好ましくは、軟銅に銀めっきを施した銀めっき軟銅で構成される。
また、中心導体21は、上述したように、単線または複数の素線を撚り合わせた撚線で構成することができる。同軸ケーブル10が可動部に使用される場合には、柔軟性を向上させる点で、撚線が好ましく、この場合、7本または19本の素線を撚り合わせて1本の撚線を構成することが好ましい。
また、同軸ケーブル10が固定部に使用される場合には、柔軟性は強く要求されないため、上記の撚線の撚りの周期性によって生じるサックアウトを回避するために、単線で構成することが好ましい。
中心導体21は、強度、導電性に優れる銅又は銅合金の細線、又は高導電性の金属をメッキした単線(単心)を用いることができるが、撚り線であってもよい。また、周波数帯域が15GHz以上に対応する同軸ケーブルとしては、中心導体21はAWG27よりも細径のものが好ましい。また、良好な導体電気抵抗から、材質は、軟銅に錫めっきを施した錫めっき軟銅が好ましく、より好ましくは、軟銅に銀めっきを施した銀めっき軟銅で構成される。
また、中心導体21は、上述したように、単線または複数の素線を撚り合わせた撚線で構成することができる。同軸ケーブル10が可動部に使用される場合には、柔軟性を向上させる点で、撚線が好ましく、この場合、7本または19本の素線を撚り合わせて1本の撚線を構成することが好ましい。
また、同軸ケーブル10が固定部に使用される場合には、柔軟性は強く要求されないため、上記の撚線の撚りの周期性によって生じるサックアウトを回避するために、単線で構成することが好ましい。
[誘電体層]
同図に示す誘電体層22は、以下の式(1)に基づき、材料および厚みが決定される。
同図に示す誘電体層22は、以下の式(1)に基づき、材料および厚みが決定される。
(式1)
ここで、式(1)の記号は以下の内容を示している。
fc=高次モード周波数 [GHz]
εɤ=誘電体層の比誘電率
De=誘電体層の外径 [mm]
de=中心導体の外径 [mm]
また、誘電体層22は、中心導体21上に形成された多孔質層22aと、この多孔質層22a上に形成された強化層22bを有している。
ここで、式(1)の記号は以下の内容を示している。
fc=高次モード周波数 [GHz]
εɤ=誘電体層の比誘電率
De=誘電体層の外径 [mm]
de=中心導体の外径 [mm]
また、誘電体層22は、中心導体21上に形成された多孔質層22aと、この多孔質層22a上に形成された強化層22bを有している。
多孔質層22aは、樹脂で構成され、多くの空孔を有する物であればよい。
この空孔は、樹脂を発泡、延伸処理を施すことに、多数の微孔が形成されたものをいう。特定の樹脂に限定されないが、好ましくは、フッ素樹脂、具体例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフロオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(EPE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合樹脂(ETFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂(THV)、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)、エチレン−三フッ化塩化エチレン共重合樹脂(ECTFE)、フッ化ビニリデン樹脂(PVdF)、フッ化ビニル樹脂(PVF)が選択される。また、機械的特性や耐薬品性の面から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)に代表されるポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)に代表されるポリアリレート樹脂も好ましい態様である。
延伸処理が施された延伸多孔質シートの多孔質構造を定義するものに空孔率と空孔サイズがある。本発明において空孔率は50%以上95%以下が好ましく採用される。さらに好ましくは60%以上90%以下が好ましい。もっとも好ましい範囲は65%以上85%以下である。また、空孔率が95%以上になると、加工時の形状保持において変形が起こりやすく工業的な品質保持が困難になる。上述した空孔率は、密度から算出される。
また、発泡処理が施され押出被覆されたものは、発泡率が50〜90%の範囲内が望ましい。50%以下になると、誘電率の低下が小さくなるとともに、強度が大きくなって、シールド導体との密着性が阻害され、シールド効果が低減する。一方、空孔率が90%を越えると、強度低下が顕著になって、中空状の圧縮撚り線をその外周に形成する際に、供給が困難になるとともに、変形が大きくなり過ぎるので、多孔率を、50〜90%の範囲内に制限する。
上記発泡体は、気泡の平均直径が5〜100μmであることが好ましい。本明細書において、発泡率は、発泡前後の比重の変化率を意味し、その発泡体を構成する材料固有の比重と、発泡体の見かけの比重との変化率を、水中置換法により測定した値であり、気泡の平均直径は断面の顕微鏡写真から算出した値である。
この空孔は、樹脂を発泡、延伸処理を施すことに、多数の微孔が形成されたものをいう。特定の樹脂に限定されないが、好ましくは、フッ素樹脂、具体例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフロオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(EPE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合樹脂(ETFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂(THV)、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)、エチレン−三フッ化塩化エチレン共重合樹脂(ECTFE)、フッ化ビニリデン樹脂(PVdF)、フッ化ビニル樹脂(PVF)が選択される。また、機械的特性や耐薬品性の面から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)に代表されるポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)に代表されるポリアリレート樹脂も好ましい態様である。
延伸処理が施された延伸多孔質シートの多孔質構造を定義するものに空孔率と空孔サイズがある。本発明において空孔率は50%以上95%以下が好ましく採用される。さらに好ましくは60%以上90%以下が好ましい。もっとも好ましい範囲は65%以上85%以下である。また、空孔率が95%以上になると、加工時の形状保持において変形が起こりやすく工業的な品質保持が困難になる。上述した空孔率は、密度から算出される。
また、発泡処理が施され押出被覆されたものは、発泡率が50〜90%の範囲内が望ましい。50%以下になると、誘電率の低下が小さくなるとともに、強度が大きくなって、シールド導体との密着性が阻害され、シールド効果が低減する。一方、空孔率が90%を越えると、強度低下が顕著になって、中空状の圧縮撚り線をその外周に形成する際に、供給が困難になるとともに、変形が大きくなり過ぎるので、多孔率を、50〜90%の範囲内に制限する。
上記発泡体は、気泡の平均直径が5〜100μmであることが好ましい。本明細書において、発泡率は、発泡前後の比重の変化率を意味し、その発泡体を構成する材料固有の比重と、発泡体の見かけの比重との変化率を、水中置換法により測定した値であり、気泡の平均直径は断面の顕微鏡写真から算出した値である。
また、強化層22bは、以下のいずれかの条件に従って、構成されていればよい。
(1)長手方向(第1の方向)に垂直な断面において、強化層22bの内周側界面と中心導体21の外周側界面との間の領域の面積を第一面積、強化層22bの内周側界面と強化層22bの外周側界面との間の領域の面積を第二面積と規定したとき、第二面積が前記第一面積より大きいこと
(2)長手方向(第一の方向)に垂直な断面において、同軸ケーブル10の多孔質層22aは、第一の径方向の厚さを備えた多孔質層22aの第一領域を含み、同軸ケーブル10の強化層22bは、第二の径方向の厚さを備えた強化層22bの第一領域を含み、強化層22bの第二の径方向の厚さは、前記第一誘電体層の第一の径方向の厚さより大きいこと
(1)長手方向(第1の方向)に垂直な断面において、強化層22bの内周側界面と中心導体21の外周側界面との間の領域の面積を第一面積、強化層22bの内周側界面と強化層22bの外周側界面との間の領域の面積を第二面積と規定したとき、第二面積が前記第一面積より大きいこと
(2)長手方向(第一の方向)に垂直な断面において、同軸ケーブル10の多孔質層22aは、第一の径方向の厚さを備えた多孔質層22aの第一領域を含み、同軸ケーブル10の強化層22bは、第二の径方向の厚さを備えた強化層22bの第一領域を含み、強化層22bの第二の径方向の厚さは、前記第一誘電体層の第一の径方向の厚さより大きいこと
同軸ケーブルにおいて、上述したDe(誘電体層の外径)とde(中心導体の外径)との間の距離が一定であることは所望の特性を得るうえで非常に重要な構成となる。ここでまず、図2を用いて、同軸ケーブル10の断面における厚みの関係性を説明する。
同図に示すように、ケーブルの断面においては、形状が真円にならない箇所もある。したがって、本発明にかかる同軸ケーブルは、中心導体21の重心CGと、中心導体21の外周の界面が重心CGを通る仮想直線VLと交わる点と、の間の距離を、中心導体21の半径de/2とみなしてよい。同様に、重心CGと、外部導体23の内周の界面が仮想直線VLと交わる点と、の距離を誘電体層22の半径De/2とみなしてよい。
また同軸ケーブル全体の径としては、互いに直行する2本の仮想直線VL上において、重心から4方向の径の平均として算出しても良い。
さらには、径方向の厚さとは、重心CGを通る仮想直線VLと、各層の界面との交点により規定される。具体的には、図2に示すように、重心CGを通る仮想直線VL1および仮想直線VL2のそれぞれが、各層の界面において交点を結んだ線の長さを径方向の厚さとする(Tp:多孔質層の厚さ、Te:補強層の厚さ、Ts:外被の厚さ)。
内部に多数の空気層が形成された多孔質誘電体層はその低い誘電率から電気特性を向上できるが、機械的な強度は同軸ケーブルの他の構成材料に対して相対的に小さいため、ここが変形することで、De―de間距離が安定しないことがあった。これに対して、特定の層を所定の構成とした上で、中心導体や誘電体層の形状安定に 積極的に活用することで、De―de間距離を安定できることを本願発明者らは見出した。具体的には、多孔質誘電体層上に、多孔質誘電体層より機械的な強度が高く、かつ所定の厚さ大きさを備えた充実絶縁層を形成し、この充実絶縁層上に外部導体層を形成する。Deを規定する外部導体の内周面は、高強度かつ所定の厚さを有するこの充実絶縁層により形状が規定されるため、使用時や製造時の外部応力などのストレス下においても、また、多孔質誘電体層等の他の構成部材が特別に高精度に形成されないような場合であっても、De―de間の距離が安定した同軸ケーブルを得ることができる。
同図に示すように、ケーブルの断面においては、形状が真円にならない箇所もある。したがって、本発明にかかる同軸ケーブルは、中心導体21の重心CGと、中心導体21の外周の界面が重心CGを通る仮想直線VLと交わる点と、の間の距離を、中心導体21の半径de/2とみなしてよい。同様に、重心CGと、外部導体23の内周の界面が仮想直線VLと交わる点と、の距離を誘電体層22の半径De/2とみなしてよい。
また同軸ケーブル全体の径としては、互いに直行する2本の仮想直線VL上において、重心から4方向の径の平均として算出しても良い。
さらには、径方向の厚さとは、重心CGを通る仮想直線VLと、各層の界面との交点により規定される。具体的には、図2に示すように、重心CGを通る仮想直線VL1および仮想直線VL2のそれぞれが、各層の界面において交点を結んだ線の長さを径方向の厚さとする(Tp:多孔質層の厚さ、Te:補強層の厚さ、Ts:外被の厚さ)。
内部に多数の空気層が形成された多孔質誘電体層はその低い誘電率から電気特性を向上できるが、機械的な強度は同軸ケーブルの他の構成材料に対して相対的に小さいため、ここが変形することで、De―de間距離が安定しないことがあった。これに対して、特定の層を所定の構成とした上で、中心導体や誘電体層の形状安定に 積極的に活用することで、De―de間距離を安定できることを本願発明者らは見出した。具体的には、多孔質誘電体層上に、多孔質誘電体層より機械的な強度が高く、かつ所定の厚さ大きさを備えた充実絶縁層を形成し、この充実絶縁層上に外部導体層を形成する。Deを規定する外部導体の内周面は、高強度かつ所定の厚さを有するこの充実絶縁層により形状が規定されるため、使用時や製造時の外部応力などのストレス下においても、また、多孔質誘電体層等の他の構成部材が特別に高精度に形成されないような場合であっても、De―de間の距離が安定した同軸ケーブルを得ることができる。
[外部導体]
同図に示す外部導体23は、素線を編組または横巻、テープ状のものを巻き付け、または縦添えにして構成することができる。上記の素線やテープ状部材の材質は、主として金属で構成されるが、遮蔽性の高い材質であればよい。また、テープ状部材としては、樹脂に金属を蒸着させたものでもよく、耐熱性(例えば100℃以上)の場合には、金属のみで構成されることがより好ましい。
同図に示す外部導体23は、素線を編組または横巻、テープ状のものを巻き付け、または縦添えにして構成することができる。上記の素線やテープ状部材の材質は、主として金属で構成されるが、遮蔽性の高い材質であればよい。また、テープ状部材としては、樹脂に金属を蒸着させたものでもよく、耐熱性(例えば100℃以上)の場合には、金属のみで構成されることがより好ましい。
[外被]
同図に示す外被24は、樹脂を押出による被覆または、樹脂テープの巻き回すことによって、誘電体層を被覆している。
同図に示す外被24は、樹脂を押出による被覆または、樹脂テープの巻き回すことによって、誘電体層を被覆している。
以下、本発明に従う同軸ケーブルの製造方法を説明する。
同軸ケーブルの製造方法としては、まず、中心導体を準備する(S1:中心導体準備工程)。
このS1においては、上述したように単線または撚線を用いることができ、その他は公知の製造方法で作ることができる。
同軸ケーブルの製造方法としては、まず、中心導体を準備する(S1:中心導体準備工程)。
このS1においては、上述したように単線または撚線を用いることができ、その他は公知の製造方法で作ることができる。
次に、上記の中心導体に誘電体層の多孔質層を形成する(S2:多孔質層形成工程)。
このS2においては、中心導体に多孔質テープを巻き回すか、または発泡した樹脂を押出すことにより中心導体を被覆し、その他は公知の製造方法で作ることができる。
このS2においては、中心導体に多孔質テープを巻き回すか、または発泡した樹脂を押出すことにより中心導体を被覆し、その他は公知の製造方法で作ることができる。
次に、誘電体層の補強層を被覆する(S3:補強層被覆工程)
このS3においては、内層に充実構造のテープを巻き回すか、または充実構造の樹脂を押出し、成形ダイスに挿通して所定外径と略真円状に成形し、多孔質を被覆する。
このとき、各層の厚さが、すくなくとも以下のいずれかの条件になるように、強化層の厚みを調整する。
(1)長手方向(第1の方向)に垂直な断面において、強化層22bの内周側界面と中心導体21の外周側界面との間の領域の面積を第一面積、強化層22bの内周側界面と強化層22bの外周側界面との間の領域の面積を第二面積と規定したとき、第二面積が前記第一面積より大きいこと
(2)長手方向(第一の方向)に垂直な断面において、同軸ケーブル10の多孔質層22aは、第一の径方向の厚さを備えた多孔質層22aの第一領域を含み、同軸ケーブル10の強化層22bは、第二の径方向の厚さを備えた強化層22bの第一領域を含み、強化層22bの第二の径方向の厚さは、前記第一誘電体層の第一の径方向の厚さより大きいこと
このS3においては、内層に充実構造のテープを巻き回すか、または充実構造の樹脂を押出し、成形ダイスに挿通して所定外径と略真円状に成形し、多孔質を被覆する。
このとき、各層の厚さが、すくなくとも以下のいずれかの条件になるように、強化層の厚みを調整する。
(1)長手方向(第1の方向)に垂直な断面において、強化層22bの内周側界面と中心導体21の外周側界面との間の領域の面積を第一面積、強化層22bの内周側界面と強化層22bの外周側界面との間の領域の面積を第二面積と規定したとき、第二面積が前記第一面積より大きいこと
(2)長手方向(第一の方向)に垂直な断面において、同軸ケーブル10の多孔質層22aは、第一の径方向の厚さを備えた多孔質層22aの第一領域を含み、同軸ケーブル10の強化層22bは、第二の径方向の厚さを備えた強化層22bの第一領域を含み、強化層22bの第二の径方向の厚さは、前記第一誘電体層の第一の径方向の厚さより大きいこと
次に、外部導体を形成する(S4:外部導体形成工程)
このS4においては、金属の素線を編組や、巻き回しするか、金属テープを縦添えまたは巻き回しすることにより外部導体を形成し、その他は公知の製造方法で作ることができる。
このS4においては、金属の素線を編組や、巻き回しするか、金属テープを縦添えまたは巻き回しすることにより外部導体を形成し、その他は公知の製造方法で作ることができる。
次に、外被を被覆する(S5:外被形成工程)
このS5においては、樹脂を押出し、または樹脂テープを外部導体に巻き回しすることにより外部導体を被覆した状態で形成する。押出被覆においては、プレッシャー押出し、チュービング押出し等、種々の被覆方法から、樹脂の粘度に合わせ、被覆方法を選ぶことができる。
このS5においては、樹脂を押出し、または樹脂テープを外部導体に巻き回しすることにより外部導体を被覆した状態で形成する。押出被覆においては、プレッシャー押出し、チュービング押出し等、種々の被覆方法から、樹脂の粘度に合わせ、被覆方法を選ぶことができる。
なお、同軸ケーブル10の多孔質層22は、第三の径方向の厚さを備えた多孔質層22aの第二領域をさらに含み、強化層22bの第二の径方向の厚さは、多孔質層22aの第三の径方向の厚さより小さくてもよい。
強化層22bを過度に大きくした場合、強化層22bと多孔質層22aとの機械的な強度の差が大きくなりすぎることで、同軸ケーブル10の湾曲時に強化層22bが中空チューブのような挙動を示す虞がある。例えば、内部空間を含めて湾曲領域が扁平に押しつぶされるような変形が生じてしまうと、De-de間距離が小さな領域が広く発生し、十分な特性を得られなくなってしまう。
本実施形態の同軸ケーブル10は、主に強化層22b自身の強度により外部導体23の形状が支持されるため、多孔質層22aの厚さや表面形状の凹凸を一定量許容できるが、強化層22bを、この多孔質層22aの厚さのバラツキの範囲内に制御することにより、強化層22bの機会強度のみが突出して大きくならない状態を得ることができる。
強化層22bを過度に大きくした場合、強化層22bと多孔質層22aとの機械的な強度の差が大きくなりすぎることで、同軸ケーブル10の湾曲時に強化層22bが中空チューブのような挙動を示す虞がある。例えば、内部空間を含めて湾曲領域が扁平に押しつぶされるような変形が生じてしまうと、De-de間距離が小さな領域が広く発生し、十分な特性を得られなくなってしまう。
本実施形態の同軸ケーブル10は、主に強化層22b自身の強度により外部導体23の形状が支持されるため、多孔質層22aの厚さや表面形状の凹凸を一定量許容できるが、強化層22bを、この多孔質層22aの厚さのバラツキの範囲内に制御することにより、強化層22bの機会強度のみが突出して大きくならない状態を得ることができる。
また、図2にしめすように、多孔質層22aは多孔質テープを巻き回す場合、長手方向において3層以上の重なりを有することが好ましい。これは、テープを巻き回す場合、重なりが2層以下の場合、テープの厚みによって、重なりの始まりの部分において、段差が生じ、この段差によって、空隙部(例えばGP1)が生じる。この空隙部の影響は、テープの巻き回しの重なりが多いほど、小さくすることができ、電気的特性をより安定させることができる。
Claims (6)
- 第一の方向に延在する中心導体と、
多孔質絶縁材料を含み前記中心導体上に形成された第一誘電体層と、
充実絶縁材料を含み前記第一誘電体層上に形成された第二誘電体層と、
金属箔を含み前記第二誘電体層上に形成された外部導体と、
絶縁性の樹脂材料を含み前記外部導体上に形成された外被と、を備えた同軸ケーブルであって、
前記同軸ケーブルは、前記第一の方向に垂直な断面において、
前記第二誘電体層の内周側界面と前記中心導体の外周側界面との間の領域の面積を第一面積、前記第二誘電体層の内周側界面と前記第二誘電体層の外周側界面との間の領域の面積を第二面積と規定したとき、
前記第二面積が前記第一面積より大きいことを特徴とする同軸ケーブル。 - 第一の方向に延在する中心導体と、
多孔質絶縁材料を含み前記中心導体上に形成された第一誘電体層と、
充実絶縁材料を含み前記第一誘電体層上に形成された第二誘電体層と、
金属箔を含み前記第二誘電体層上に形成された外部導体と、
絶縁性の樹脂材料を含み前記外部導体上に形成された外被と、を備えた同軸ケーブルであって、
前記第一の方向に垂直な断面において、
前記同軸ケーブルの前記第一誘電体層は、第一の径方向の厚さを備えた第一誘電体層の第一領域を含み、
前記同軸ケーブルの前記第二誘電体層は、第二の径方向の厚さを備えた第二誘電体層の第一領域を含み、
前記第二誘電体層の第二の径方向の厚さは、前記第一誘電体層の第一の径方向の厚さより大きいことを特徴とする同軸ケーブル。 - 前記同軸ケーブルの前記第一誘電体層は、第三の径方向の厚さを備えた第一誘電体層の第二領域をさらに含み、
前記第二誘電体層の第二の径方向の厚さは、前記第一誘電体層の第三の径方向の厚さより小さいことを特徴とする請求項2に記載の同軸ケーブル。 - 前記同軸ケーブルの中心導体は、単一の金属線のみで構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の同軸ケーブル。
- 前記外部導体は、金属箔が互いに重なり合う重複領域を含み、前記重複領域において、前記金属箔は、互いに直接、接していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の同軸ケーブル。
- 前記外被は、第四の径方向の厚さを備えた外被第一領域を含み、
前記前記第二誘電体層の第二の径方向の厚さは、前記外被の第四の径方向の厚さより大きいことを特徴とする同軸ケーブル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020098056A JP2021190403A (ja) | 2020-06-04 | 2020-06-04 | 同軸ケーブル |
Applications Claiming Priority (1)
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2020
- 2020-06-04 JP JP2020098056A patent/JP2021190403A/ja active Pending
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