JP5740924B2 - Snめっき用アノードペレット及びその製造方法 - Google Patents
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Description
この連続鋳造法によってアノードを製造する技術として、特許文献1には、Pb合金アノードを連続鋳造する技術が開示されており、Pb合金の溶湯をタンディッシュからモールドに通過させて、連続的に帯状に引き抜きつつ凝固させ、凝固したPb合金をシャーによってアノード形状に切断するようにしている。
特許文献2には、水平式連続鋳造装置が開示されており、溶湯保持炉の側部に、水平筒状の加熱鋳型が設けられ、その加熱鋳型に内蔵した発熱体によって溶湯を加熱しつつ水平に引出し、振れ止め用ガイドを経由した後に冷却水によって冷却している。
本発明者らは、この応力の残留の低減について鋭意研究した結果、連続鋳造する際に、ロッドを間欠的に引き抜き、その停止により生じる不連続部分を切断することにより、切断部の残留応力を低減することができることを見出した。
るつぼのヘッドスペースを非酸化性雰囲気とすることにより、モールドを経由して凝固するまで、溶湯が酸素雰囲気に接しないので、無酸素状態のアノードペレットを製造することができ、高純度Snのアノードペレットの製造に好適である。
ペレットの両端面が微細結晶により構成されるため、溶解性に優れる。なお、両端部を除く中央部分は、両端部に比べて結晶粒が大きくなるのが一般的であるが、両端部よりも中央部が大きい結晶粒となるものに必ずしも限定されるものではない。
まず、本発明のSnめっき用アノードペレットを製造するための装置について説明する。
このアノードペレットの連続製造装置1は、図2及び図3に示すように、縦型の連続鋳造装置を応用したものであり、溶湯Mを貯留する加熱炉2と、この加熱炉2の下端に連結された筒状のモールド3と、このモールド3のほぼ下半分を囲ってモールド3の鋳型通路4を下方に延長するように設けられた孔5を有する冷却体6と、この冷却体6の下方位置で鋳造ロッドRを引き抜く引き抜き機構7と、この引き抜き機構7の下方位置で鋳造ロッドRを切断する切断機構8とを備えている。
モールド3は、るつぼ11と同じくカーボン製とされている。
冷却体6は、円筒状のジャケット構造を有しており、その中心の孔5にモールド3の下半分を嵌合し、モールド3の鋳型通路4を延長するように下方に延びている。
そして、これら加熱炉2からモールド3、冷却体6は、高さの大きい第1架台16の上に載置状態に固定されており、その下方に配置した高さの小さい第2架台17に、引き抜き機構7及び切断機構8が設けられる。
この切断制御部33及び引き抜き制御部23により制御部34が構成される。
図2中、符号34は、切断されたペレットPを受ける箱である。
加熱炉2のるつぼ11内には高純度Sn金属が投入される。例えば、るつぼ11の内容積が15リットルで25kgのSnが投入される。るつぼ11内のヘッドスペースは窒素雰囲気で充満される。また、モールド3の鋳型通路4には、るつぼ11内に投入されるSn金属と同じ材質のスターティングロッド(図示略)を下方から挿入状態に設けておく。このスターティングロッドは、モールド3の途中位置まで挿入され、下端は引き抜き機構7のピンチロール21により挟持される。そして、高周波加熱コイル12の駆動によりSnを溶融させ、その溶湯Mをモールド3内でスターティングロッドに接触させることにより、スターティングロッドとの接触部分から溶湯Mが徐々に凝固していく。そこで、引き抜き機構7を駆動して、スターティングロッドを溶湯Mの凝固速度に合わせるように徐々に下方に引き抜くと、モールド3内で凝固したSn金属がスターティングロッドに牽引されながらモールド3内の鋳型通路4を通って、鋳造ロッドRとして下方に引き抜かれる。
具体的には、アノードペレットとしては、直径が10mm〜15mm、長さが10mm〜15mmであり、その表面から3mmまでの深さの範囲の結晶粒が平均粒径1mm〜2mmとなっている。中心部の結晶粒は、軸方向に長い柱状晶となるものが多いが、必ずしも柱状に成長したものとは限らず、全体的に大きな球状の結晶粒となる場合もあり、その最大径寸法の平均が2mm以上とされる。
純度が99.99%のSnを240℃±5℃の温度で溶解して、前述の連続鋳造法により間欠的に引き抜きながら、その不連続部分を切断してペレットとした。その際、1.3秒間引き抜き、1.5秒間停止して切断することにより、直径11mm、長さ13mmのペレットを作製した。図4がその縦断面写真、図5が横断面写真である。これら写真に示すように、切断箇所である両端部付近は中央部に比べて小さい結晶粒となっている。また、両端部を除く中央部分においても、中心部は長さ方向に延びる柱状晶となっているが、外周部は比較的小さい結晶粒となっている。両端部付近及び外周部の表面から深さ3mmの範囲内の結晶粒の粒径を断面観察により複数箇所測定すると、平均で1mm〜2mmであった。
一方、比較例として、連続鋳造において、引き抜き動作を停止させることなく連続して引き抜き、直径11mmの長尺なロッドを作製した後、そのロッドを長さ13mmに切断してペレットを作製した。
めっき液としては、有機スルホン酸をベースに有機添加剤を加えた酸性浴を用いた。
また、溶解性は、従来のアノードペレットと本実施形態によるアノードペレットとを用いて銅基板上にSnを析出させ、基板の増加重量から求めた溶出歩留りを比較することにより確認した。
Snの理論上の析出は2.2143g/A・Hrであり、5A/wafer(0.373A/cm2)では理論上の析出は11.0715gとなる。従来のアノードペレットが10.84gの析出であり、電解効率97.91%であったところ、本実施形態によるアノードペレットは11.07gの析出であり、電解効率が99.99%であった。その他、従来のアノードペレットの電解効率が95〜98%で推移しているところ、本実施形態によるアノードペレットは98%を超える電解効率であった。
2 加熱炉
3 モールド
6 冷却体
7 引き抜き機構
8 切断機構
11 るつぼ
13 蓋
21 ピンチロール
23 引き抜き制御部
32 シャー
33 切断制御部
R 鋳造ロッド
C 連続成長部分
D 不連続部分
S 切断位置
P ペレット
L 大きい結晶粒組織
T 小さい結晶粒組織
Claims (3)
- Sn金属からなる溶湯を貯留するるつぼから筒状のモールドを経由して凝固させた鋳造ロッドを引き抜くとともに、該鋳造ロッドの引き抜き動作と引き抜き動作の停止とを交互に繰り返し、その停止により生じた前記鋳造ロッドの不連続部分を切断して、その切断箇所である両端面から3mmの深さの範囲が平均粒径1mm〜2mmの微細結晶により構成されたアノードペレットを製造することを特徴とするSnめっき用アノードペレットの製造方法。
- 前記るつぼ内のヘッドスペースを非酸化性ガス雰囲気とすることを特徴とする請求項1記載のSnめっき用アノードペレットの製造方法。
- 連続鋳造された鋳造ロッドを切断して得たSnめっき用アノードペレットであって、円柱状に形成されるとともに、その両端面から3mmの深さの範囲が平均粒径1mm〜2mmの微細結晶により構成されていることを特徴とするSnめっき用アノードペレット。
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