JP2014227586A - アルミニウム精製方法、及び精製装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゾーンメルト法に類似する方法を不純物含有の液状アルミニウムに対して実施できるため、簡易な装置で高純度のアルミニウムを精製することができるアルミニウム精製方法、及び精製装置を提供するものである。【解決手段】本発明に係るアルミニウム精製方法は、坩堝内に不純物含有の液状アルミニウムを母液として収容し、前記母液を前記坩堝の下部側から上部側にかけて順次結晶許容温度未満とすることで、前記坩堝の下部側から上部側にかけてアルミニウム結晶を晶出させながら固体塊を成長させ、前記坩堝内で晶出成長したアルミニウム棒状結晶体を前記坩堝から抜去し、該棒状結晶体の両端部側に形成された不純物濃縮部を切削除去、することを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、アルミニウム精製方法、及び精製装置に関する。
従来から、高純度のアルミニウム(純度99.95%以上のものとする。)に対する需要が存在し、現在に至るまで需要の増加が続いている。これは、半導体や液晶パネル、電解コンデンサー等の製造時に必要なスパッタリングターゲットや蒸着材等の電子部品材料の分野や超電導材料の分野における機能素材として世界的な需要の伸びを続けていることによる。また、今後においては、更に高純度のアルミニウムの要請を伴いながら需要が伸びていくことが予想されている。
また、不純な液状アルミニウム(以下、「母液」とする)から高純度のアルミニウムへの精製は、従来、三層電解法、偏析法(分別結晶法)により行われているが、近年においては、構造上大量の電気を使用する必要があることから、比較的電気の消費量が少ない偏析法が主流となり、その周辺技術の確立も進んでいる。
偏析法において、例えば、特許文献1(特許第4335463号)においては、坩堝内の母液中に押圧手段の一部を構成する冷却体としての黒鉛製のピストンを浸漬し、ピストンの表面にアルミニウムを晶出させ、ピストンに取巻かれた黒鉛環の上下の摺動によって、晶出したアルミニウムの結晶粒塊を坩堝の底部に掻き落とし、更に、押圧手段の一部を構成する押圧先端の底面が、坩堝の底部に堆積したアルミニウムの結晶塊を上方から突き固め、各結晶塊の表面近傍の不純物含有層が発熱体による加熱によって溶解し、これを繰り返すことで、高純度のアルミニウムを精製するものである。当該方法については、坩堝の内壁の一部にアルミニウムを晶出させる方法等、様々な改良、開発がなされて現在に至っている。
また、例えば、特許文献2(特開平5−295465)に開示されている技術においては、坩堝の上方であって母液の液面近傍に配設した冷却体を起点として高純度のアルミニウムを晶出させ、順次下方に成長させていくものであり、これは、坩堝の外周に配設した個々に温度制御可能な複数の発熱体によって坩堝の上方側から下方側にかけて逐次温度を下げながら実行されるものである。また、下方に滞留した金属間化合物等の不純物濃縮液を底部に配設された不純物吸引管から排出するとともに、坩堝の壁面であって不純物吸引管よりも上方に配設された溶湯原料供給管から新規の母液を補充するものである。更に、冷却体を坩堝の上方に引き上げながら高純度のアルミニウムを精製する技術も開示されている。
特許第4335463号公報 特開平5−295465号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明においては、精製されるアルミニウム塊は不純物濃度が高い坩堝底部の溶湯中に位置しており、更に比重の重い金属間化合物等が沈降して堆積するため、精製されたアルミニウム塊の内部に、これらを取り込んでしまうといった問題がある。更に、精製されたアルミニウム塊を坩堝内から取り出す前に、母液の残湯を汲みだす必要があり、その際にアルミニウムの表面や空隙に不純物を含んだ母液が凝固して含有されてしまい、汲み出すタイミングによって精製されるアルミニウムの純度にばらつきが生じるといった問題がある。
また、ピストンの外周縁に晶出した結晶粒塊の表面と内面にアルミニウム以外の他の元素が偏在するので、表面の溶解のみでは、不純物である他の元素の除去には限界がある。更に、ピストン上の結晶粒塊は、アルミニウムの融点近傍から一気に大気へと晒されることで凝固するため凝固速度が速く、結晶粒塊内での不純物元素が拡散するのに多くの時間を費やすことができない。
また、全ての発熱体を一括してON/OFFさせながら制御する必要があると共に、アルミニウムを晶出させる押圧手段を構成する黒鉛製のピストンが大気と母液の間を何度も往復するため母液の温度が低下しやすく、これを補うために発熱体のON状態が支配的になるため、電気の消費量を相当量要する。
また、ピストンに晶出したアルミニウムを掻き落とす操作を繰り返すため、ピストンが経時的に消耗してしまい、更に、押圧手段を構成する押圧先端が坩堝の底部に堆積したアルミニウムを繰り返し突き固めるため、押圧先端が消耗してしまうという問題を有している。
また、ピストンは大気中において冷却されるため、作業環境の温度変化によってピストンの温度も変化し、アルミニウムの晶出速度や母液温度等アルミニウムの精製条件が変化してしまい、特に季節変動によって大きな影響を受けてしまう。
更に、特許文献2に記載の発明においては、母液を坩堝の上方から順次凝固させながらアルミニウムを精製するものであり、一度も溶融を伴わずに凝固し続けて成長した結晶塊となる。結晶塊は、通常、包晶系と呼ばれる元素は中心に、共晶系と呼ばれる元素は外側に偏在するが、一度の凝固では純度の高いアルミニウムと不純物元素の分離を効率よく行うのは難しく、一般的には特許文献1のように、結晶粒塊の融解、凝固を繰り返すことによって純度の高いアルミニウムを分離して取り出している。従って、特許文献2のように新たなアルミニウム溶湯の補充や不純部濃縮液の排出を実施しても、99.95%以上の高純度のアルミニウムを精製することは非常に困難である。
また、純度の高いアルミニウムを精製するために、新たなアルミニウム溶湯の補充や不純物濃縮液の排出を行うように構成しているので、少なくとも不純物吸引管や溶湯原料供給管等を備えなければならず、溶解炉が大型化してしまう。
また、新たな母液の補充や不純物濃縮液を排出しながらアルミニウムの精製を行うためには、少なくとも溶湯原料供給管よりも上方で凝固界面を形成させる必要があり、界面よりも下方の発熱体をOFFにすることができないので、電気使用量の大幅な低減を図ることができない。
また、冷却体を坩堝の上方に引き上げながらアルミニウムを精製する方法においては、精製されたアルミニウムは支持されておらず不安定なので、坩堝内のアルミニウム溶湯に影響を与えないように坩堝の上方にピンチロール等の支持を設ける必要がある。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ゾーンメルト法に類似する方法を不純物含有の液状アルミニウムに対して実施できるため、簡易な装置で高純度のアルミニウムを精製することができるアルミニウム精製方法、及び精製装置を提供することにある。
以上のような目的を達成するために、本発明は以下のようなものを提供する。
請求項1に記載の発明では、坩堝内に不純物含有の液状アルミニウムを母液として収容し、前記母液を前記坩堝の下部側から上部側にかけて順次結晶許容温度未満とすることで、前記坩堝の下部側から上部側にかけてアルミニウム結晶を晶出させながら固体塊を成長させ、前記坩堝内で晶出成長したアルミニウム棒状結晶体を前記坩堝から抜去し、該棒状結晶体の両端部側に形成された不純物濃縮部を切削除去、することを特徴とするアルミニウム精製方法。
請求項2に記載の発明では、前記アルミニウム棒状結晶体に成長するまでの処理を少なくとも二回以上繰り返すことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム精製方法。
請求項3に記載の発明では、前記母液に前記坩堝の下部側から上部側にかけて高温となる略一定の温度勾配を与えつつ前記母液を前記坩堝の下部側から上部側にかけて順次結晶許容温度未満とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム精製方法。
請求項4に記載の発明では、前記坩堝の下部側から上部側にかけて凝固と溶解を繰り返すように順次結晶許容温度の上下の加熱を繰り返しながら順次結晶許容温度未満とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム精製方法。
請求項5に記載の発明では、坩堝内に不純物含有の液状アルミニウムを母液として収容し、前記母液を前記坩堝の上部側から下部側にかけて順次結晶許容温度未満とすることで、前記坩堝の上部側から下部側にかけてアルミニウム結晶を晶出させながら固体塊を成長させ、前記坩堝内で晶出成長したアルミニウム棒状結晶体を前記坩堝から抜去し、該棒状結晶体の両端部側に形成された不純物濃縮部を切削除去、することを特徴とするアルミニウム精製方法。
請求項6に記載の発明では、前記アルミニウム棒状結晶体に成長するまでの処理を少なくとも二回以上繰り返すことを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム精製方法。
請求項7に記載の発明では、前記母液に前記坩堝の上部側から下部側にかけて高温となる略一定の温度勾配を与えつつ前記母液を前記坩堝の上部側から下部側にかけて順次結晶許容温度未満とすることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のアルミニウム精製方法。
請求項8に記載の発明では、前記坩堝の上部側から下部側にかけて凝固と溶解を繰り返すように順次結晶許容温度の上下の加熱を繰り返しながら順次結晶許容温度未満とすることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のアルミニウム精製方法。
請求項9に記載の発明では、前記坩堝の上部側から下部側にかけて支持体を起点としてアルミニウム結晶を晶出させながら固体塊を成長させることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか1項に記載のアルミニウム精製方法。
請求項10に記載の発明では、前記坩堝を上方に移動させながら固体塊を成長させることを特徴とする請求項9に記載のアルミニウム精製方法。
請求項11に記載の発明では、前記支持体を冷却しながらアルミニウム結晶を晶出させ固体塊を成長させることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のアルミニウム精製方法。
請求項12に記載の発明では、母液が収容される坩堝と、前記坩堝を収容する上下方に移動自在のジャケットと、前記ジャケットを収容する鉛直方向で個々に温度制御可能な複数の発熱体を内周に備えた垂直炉と、を備えたことを特徴とするアルミニウム精製装置。
請求項13に記載の発明では、前記坩堝と前記ジャケットは上部開口の略円筒状であり、前記発熱体は前記垂直炉の内周において前記ジャケットを囲繞するように配設したことを特徴とする請求項12に記載のアルミニウム精製装置。
請求項14に記載の発明では、前記坩堝と前記ジャケットは上部開口の略直方体形状であり、前記発熱体は前記垂直炉の内周において前記ジャケットを囲繞するように配設したことを特徴とする請求項12に記載のアルミニウム精製装置。
請求項15に記載の発明では、前記坩堝の開口部を開閉蓋自在とする断熱性を有する蓋を備えたことを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載のアルミニウム精製装置。
請求項16に記載の発明では、前記坩堝の上下方に移動自在の支持体を備えたことを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載のアルミニウム精製装置。
請求項17に記載の発明では、前記支持体に冷却部を備えたことを特徴とする請求項16に記載のアルミニウム精製装置。
請求項18に記載の発明では、前記支持体に加熱部を備えたことを特徴とする請求項16又は請求項17に記載のアルミニウム精製装置。
請求項19に記載の発明では、前記支持体の底部にフック体を備えたことを特徴とする請求項16から請求項18のいずれか1項に記載のアルミニウム精製装置。
本発明によるアルミニウム精製方法、及び精製装置によれば、ゾーンメルト法に類似する方法を不純物含有の液状アルミニウムに対して実施できるため、簡易な装置で高純度のアルミニウムを精製することができる。
本発明の第一の実施形態に係るアルミニウム精製装置の断面図である。 アルミニウム精製装置における精製初期を示す断面図である。 アルミニウム精製装置における精製後期を示す断面図である。 本発明の第二の実施形態に係るアルミニウム精製装置の断面図である。 アルミニウム精製装置における精製初期を示す断面図である。 アルミニウム精製装置における精製後期を示す断面図である。 図1、図4のアルミニウム精製装置のA−A断面図である。 支持体の断面図である。 アルミニウム精製装置における精製初期を示す断面図である。 変形例に係る図1、図4のアルミニウム精製装置のA−A断面図である。 アルミニウム棒状結晶体を示す図である。
本発明に係るアルミニウムの精製方法の要旨は、坩堝内に不純物含有の液状アルミニウムを母液として収容し、母液を坩堝の下部側から上部側、又は上部側から下部側にかけて順次結晶許容温度未満とすることで、坩堝の下部側から上部側、又は上部側から下部側にかけてアルミニウム結晶を晶出させながら固体塊を成長させ、前記坩堝内で晶出成長したアルミニウム棒状結晶体を前記坩堝から抜去し、該棒状結晶体の両端部側に形成された不純物濃縮部を切削除去、することを特徴とする。すなわち、ゾーンメルト法に類似する方法を不純物含有の液状アルミニウムに対して実施できるため、簡易な装置で高純度のアルミニウムを精製することができるアルミニウム精製方法、及び精製装置を提供することにある。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明中における母液2とは、純度が99.94%以下の不純な液状アルミニウムを示したものであり、本実施形態においては、99.95%以上の高純度のアルミニウムの精製を行うものであるが、マグネシウム(Mg)等の不純物が1%〜10%程度と高濃度で存在する等のリサイクルアルミニウムを溶解した母液に対しても、本発明に係る技術を用いることで、精製されたアルミニウム塊の中で不純物を高濃度に偏在させ、純度の高いアルミニウムの部分と分離可能であることは言うまでもなく当然のことである。
また、以下の説明中における結晶許容温度とは、アルミニウムの精製過程において変動する母液2の融点を示すものである。アルミニウムの精製過程では母液2中の不純物濃度の増加に伴い融点も低下してくためである。また、本説明において「結晶許容温度以上」とは、最低温度が融点であり、最高温度が融点よりも5℃程度高い範囲内の温度を示すものとし、「結晶許容温度未満」とは、最高温度が融点未満であり、最低温度が融点よりも5℃程度低い範囲内の温度を示すものとする。
また、以下の説明中におけるアルミニウム結晶(以下、結晶塊とする)とは、不純物元素の濃度に関わりなく坩堝内で晶出した局所的な結晶の塊を示し、固体塊(以下、アルミニウム塊とする)とは、成長途中の結晶塊全体の塊を示し、アルミニウム棒状結晶体とは、坩堝内で成長を終えた最終的なアルミニウム塊を示し、不純物濃縮部とは、アルミニウム棒状結晶体の両端部側に最終的に偏在した不純物元素が濃縮する部分を示し、精製アルミニウム部とは、アルミニウム棒状結晶体の不純物濃縮部以外の中間部分に精製した高純度のアルミニウムが濃縮する部分を示す。
[第一の実施形態]
まず、本発明の第一の実施形態に係るアルミニウム精製装置1と、該アルミニウム精製装置1を用いたアルミニウム精製方法について説明する。
図1は、第一の実施形態に係るアルミニウム精製装置1を示す断面図であり、図2は、アルミニウム精製装置1に一定量の不純物が含有した母液2を収容した精製初期段階を示す断面図であり、図3は、アルミニウム精製装置1においてアルミニウム塊11が坩堝6の上部側6bに向かって成長した精製後期を示す断面図であり、図7は、図1のアルミニウム精製装置1のA−A断面図である。
第一の実施形態に係るアルミニウム精製装置1は、垂直炉5と坩堝6とジャケット7と蓋8とで構成している。
アルミニウム精製装置1の具体的な構造は、耐火レンガ3で形成された上部開口の略円筒状の垂直炉5において、鉛直方向で個々に温度制御が可能な11個の発熱体41〜11を垂直炉5の内周に備え、垂直炉5内には、黒鉛製で上部開口の略円筒状の坩堝6を収容可能な鉄やステンレスによる金属製の上部開口の略円筒状のジャケット7が置かれ、坩堝6の開口部には上方から開閉蓋自在とする坩堝6の開口部の内径よりも大きな外径で形成された断熱性を有する略円盤状の蓋8を配設するように構成している。
このように構成することで、坩堝6内に注入された母液2は密閉され、熱損失を最小限に抑えることができると共に、母液2の温度を略鉛直方向に安定して制御可能となる。
また、個々の発熱体41〜11の制御は、各発熱体41〜11への印加電流をON/OFFさせて母液2の温度を制御してもよく、各発熱体41〜11への印加電流の増減を制御して母液2の温度を制御してもよい。
また、発熱体4の数や種類や構造、制御方法等は本実施形態に限定されるものではなく、母液2の温度を変化させることが可能であれば、本発明の要旨の範囲内である。
なお、ジャケット7は、垂直炉5の上方へ移動可能とし、更に傾斜させることができるように構成している。これによって、ジャケット7の入れ替えや、結果物としてのアルミニウム棒状結晶体11aの取り出しや、ジャケット7に収容された坩堝6内の母液2の排出や坩堝6の内周壁の清掃、保守等を行うことが可能となる。
そのため、ジャケット7の上部開口端は外側に向けて全周に渡りフランジ7aを形成することで、上方のジャケット支持部7bとジャケット7とをフランジ7aを介して吊着している。ジャケット支持部7bは、少なくとも二本以上で耐加重性を有した金属製の鎖や棒状物を用いてジャケット支持部7bの上端部側で移動自在に固定(図示せず)され、ジャケット7を上下方に安定して移動可能としている。ジャケット支持部7bに鎖を使用した場合は、ジャケット7を傾斜可能とすることが容易であるが、外形が変形しない鎖以外の物を使用した場合には、ジャケット支持部7bとフランジ7aとを軸支(図示せず)等して、ジャケット7を軸周りに傾斜自在とすることができる。なお、ジャケット支持部7bやフランジ7a等の材質や形状、構成等は本実施形態に限定されるものではない。
以上、本実施形態に係るアルミニウム精製装置1は構成されているが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
次に、本実施形態に係るアルミニウム精製装置1を用いた第一のアルミニウム精製方法について詳説する。
[第一のアルミニウム精製方法]
第一のアルミニウム精製方法は、母液2に対して、坩堝6の下部側6aから上部側6bにかけて高温となる略一定の温度勾配を与えつつ、母液2を坩堝6の下部側6aから上部側6bにかけて順次結晶許容温度未満とすることでアルミニウム塊11を成長させ、高純度のアルミニウムを精製するものである。
なお、本第一のアルミニウム精製方法を、坩堝6の上部側6bから下部側6aにかけて以下に説明する方法を実施しても、本発明の要旨の範囲内である。
まず、全ての発熱体41〜11を稼動させて坩堝6の温度が均一となるように加熱する。加熱温度は、桶(図示せず)から坩堝6内に入れる母液2の温度が、例えば700℃程度であれば、坩堝6の温度は、例えば700℃近傍に加熱しておくことが望ましい。
このように、予め坩堝6を予熱しておくのは、母液2の注入の際の熱衝撃による坩堝6の損傷とアルミニウムの組成変化を防止すると共に、一部の凝固によって収容した母液2中に不純物の偏りが発生し、後述するアルミニウムの精製制御が不安定となってしまうことを防止するためである。
坩堝6内に母液2が収容されたら、全ての発熱体41〜11を制御して母液2が結晶許容温度以上の温度、すなわち融点である例えば660℃以上となるように安定保持させる。
また、坩堝6内への母液2の注入が終わったら、坩堝6の上部側6bに形成された開口部を、断熱性を有する蓋8を用いて閉蓋する。従って、坩堝6内は密閉され、母液2は充分に断熱された状態となるため、母液2を結晶許容温度近傍で安定保持させることが容易となる。
次に、垂直炉5の内周壁にジャケット7を囲繞するように配設された発熱体41〜11の最下段の第十一の発熱体411から最上段の第一の発熱体4にかけて温度を制御する。具体的には、第十一の発熱体411を制御して母液2の温度が結晶許容温度近傍であって結晶許容温度よりも高い温度とし、上部の発熱体4に行くに従って徐々に母液2の温度が高くなるように、第十一の発熱体411から第一の発熱体4にかけて母液2の温度が略一定の温度勾配となるように制御する。
所定時間経過後に、上述した温度勾配を保ったまま、第十一の発熱体411近傍の母液2の温度が結晶許容温度未満となるように、第十一の発熱体411から第一の発熱体4にかけて発熱体41〜11の温度を制御する。
これにより、第十一の発熱体411近傍の母液2は融点よりも低い温度となり、母液2が凝固し始める。凝固は、核となる複数の初晶が晶出して各々が結晶塊へと成長すると共に、結晶塊の表面、又は結晶塊と結晶塊の間に新たに核となる複数の初晶が晶出して各々が順次結晶塊へと成長する。このように、初晶を起点とした複数の結晶塊の集まりがアルミニウム塊11となる。従って、本第一のアルミニウム精製方法においては、図2に示すように、坩堝6の下部側6aからアルミニウム塊11が成長していくことになる。
ここで、母液2全体を略同時に凝固させた場合、晶出する球状の結晶塊は通常、中心部に包晶系の不純物元素を、外周部近傍に共晶系の不純物が偏在した状態となり、このような状態の結晶塊の集まりは、不純物元素を満遍なく包含した低純度のアルミニウムとなってしまうため、高純度のアルミニウムを精製することができない。
また、不純物元素を含有した固体としてのアルミニウムの一部に、融点近傍の温度を印加することで、低温側には包晶系の不純物元素が、高温側には共晶系の不純物元素が移動することが知られている(ゾーンメルト法)。
本発明は、このような特性を応用するものであり、坩堝6の下部側6aから上部側6bにかけて母液2全体に温度勾配を持たせることで、温度の低い側に集まる性質を有する包晶系の不純物元素はアルミニウム塊11の下側に、温度が高い側に集まる性質を有する共晶系の不純物元素は母液2側となるアルミニウム塊11の上側に偏在するように母液2の温度を制御するものである。従って、高純度のアルミニウムは不純物元素が偏在しない中間部分に精製されることになる。
また、同様の温度勾配を保ったまま所定時間内に母液2全体の温度が徐々に低下するように発熱体41〜11を制御し、第一の発熱体4近傍の母液2の温度が結晶許容温度未満となるまで継続して発熱体4を制御する。これにより、坩堝6内の母液2は全てアルミニウム塊11へと成長する。また、第十一の発熱体411によって母液2を結晶許容温度以上に制御した後、ここまでの処理の流れを一つのルーチンとする。
なお、図3は、第三の発熱体4近傍までを結晶許容温度未満とした精製途中の状態を示すものであり、坩堝6の下部側6aから第三の発熱体4近傍までの母液2が凝固してアルミニウム塊11を形成している様子を模式的に表わしている。
このように初期の温度勾配を維持したまま、母液2全体の温度を低下させていくことで、坩堝6の下部側6aの母液2から上部側6bの母液2にかけて徐々に凝固させることができる。これは、坩堝6の下部側6aの母液2から上部側6bの母液2にかけて温度勾配を設けることで、母液2中には「ゆらぎ」が生じ、母液中のアルミニウムや不純物元素が移動することになるからである。具体的には、上述したように、温度の低い側に集まる性質を有する包晶系の不純物元素は坩堝6の下部側6aに、温度が高い側に集まる性質を有する共晶系の不純物元素は坩堝6の上部側6bに移動することになる。従って、濃縮された高純度のアルミニウムは不純物元素が偏在しない中間部分に精製されることになる。すなわち、ゾーンメルト法に類似する方法を液状の母液2(凝固したアルミニウム塊11を含む)に対して行うことができるものである。
また、上述したルーチンを繰り返すことで不純物元素の偏在をより確実なものとすることができるため、より高純度のアルミニウムを安定して精製可能となる。この場合、一つのルーチンの最終段階である第一の発熱体4近傍の母液2の温度が結晶許容温度未満となってから、再び同様の温度勾配を維持したまま第十一の発熱体411近傍の母液2の温度が結晶許容温度以上となるように制御する際には、温度を一気に上昇させることが望ましい。これは、ゾーンメルト法に類似する方法として、常に坩堝6の下部側6aから上部側6bの一方向にかけて同様の温度勾配を維持しつつ温度の高低差を保つことで、包晶系と共晶系の不純物元素を夫々アルミニウム塊11の両端部側に効率的に移動させ偏在させるためである。
また、第一の発熱体4近傍の母液2の温度が結晶許容温度未満となる前(凝固前)に、上述したルーチンを繰り返し、最終的に全体を凝固させることも可能である。この場合も、再び同様の温度勾配を維持したまま第十一の発熱体411近傍の母液2の温度が結晶許容温度以上となるように制御する際には、上述と同様の理由によって、温度を一気に上昇させることが望ましい。
なお、坩堝6の下部側6aから上部側6bにかけて順次アルミニウム塊11を成長させることから、最下段の第十一の発熱体411から上方の発熱体4にかけて順に、アルミニウム塊11(母液2含む)の溶解、凝固に寄与しなくなる。従って、上記処理の進行に伴い、坩堝6の下部側6aの発熱体4から順次電源をOFF状態にしていくことができる。
次に、坩堝6内の全ての母液2が凝固して母液2全体がアルミニウム塊11(アルミニウム棒状結晶体11a)となったら、ジャケット7を上方に引き上げると共に所定の場所へ移動させ、アルミニウム棒状結晶体11aをアルミニウム精製装置1から取り出す。
取り出したアルミニウム棒状結晶体11aは、図11に示すように、不純物を多く含有する上端部と下端部の各不純物濃縮部17を切断して、中間部分に形成された高純度の精製アルミニウム部18を得ることができ、アルミニウムの精製を終了する。
なお、上述した本第一のアルミニウム精製方法は、坩堝6の下部側6aから上部側6bに向けてアルミニウム塊11を成長させる方法について説明したが、坩堝6の上部側6bから下部側6aに向けてアルミニウム塊11を成長させることもできる。この場合は、上述した説明中の上下を逆として同様の処理を行えばよい。
次に、本実施形態に係るアルミニウム精製装置1を用いた第二のアルミニウム精製方法について詳説する。
[第二のアルミニウム精製方法]
第二のアルミニウム精製方法は、母液2に対して、坩堝6の下部側6aから上部側6bにかけて凝固と溶解を繰り返すように順次結晶許容温度の上下の加熱を繰り返しながら順次結晶許容温度未満とすることでアルミニウム塊11を成長させ、高純度のアルミニウムを精製するものである。
なお、本第二のアルミニウム精製方法を、坩堝6の上部側6bから下部側6aにかけて以下に説明する方法を実施しても、本発明の要旨の範囲内である。
第二のアルミニウム精製方法においては、上述した第一のアルミニウム精製方法で説明した通り、坩堝6内に母液2を注入し、坩堝6の開口部を蓋8で閉蓋して母液2を結晶許容温度近傍で安定保持させるまでは第一のアルミニウム精製方法と同様の方法であるため説明を省略する。
まず、垂直炉5の内周壁にジャケット7を囲繞するように配設された発熱体41〜11の最下段の第十一の発熱体411の温度を制御して発熱体4近傍の母液2の温度を結晶許容温度未満に制御する。
これにより、第十一の発熱体411近傍の母液2は、融点よりも低い温度となり母液2が凝固し始める。凝固は、核となる複数の初晶が晶出して各々が結晶塊へと成長すると共に、結晶塊の表面、又は結晶塊と結晶塊の間に新たに核となる複数の初晶が晶出して各々が順次結晶塊へと成長する。このように、初晶を起点とした複数の結晶塊の集まりがアルミニウム塊11となる。従って、本第二のアルミニウム精製方法においては、図2に示すように、坩堝6の下部側6aからアルミニウム塊11が成長していくことになる。
上述したように、母液2全体を略同時に凝固させた場合、晶出する球状の結晶塊は通常、中心部に包晶系の不純物元素を、外周部近傍に共晶系の不純物が偏在した状態となり、このような状態の結晶塊の集まりは、不純物元素を満遍なく包含した低純度のアルミニウムとなってしまうため、高純度のアルミニウムを精製することができない。
また、不純物元素を含有した固体としてのアルミニウムの一部に、融点近傍の温度を印加することで、低温側には包晶系の不純物元素が、高温側には共晶系の不純物元素が移動することが知られている(ゾーンメルト法)。
本発明は、このような特性を応用するものであり、坩堝6の下部側6aから上部側6bにかけて凝固と溶解を繰り返すように順次結晶許容温度の上下の加熱を繰り返しながら順次結晶許容温度未満としてアルミニウム塊11を成長させる。すなわち、坩堝6の下部側6aから上部側6bにかけて母液2に局所的な温度勾配を順次持たせることで、温度の低い側に集まる性質を有する包晶系の不純物元素はアルミニウム塊11の下側に、温度が高い側に集まる性質を有する共晶系の不純物元素は母液2側となるアルミニウム塊11の上側に偏在するように母液2の温度を制御するものである。従って、高純度のアルミニウムは不純物元素が偏在しない中間部分に精製されることになる。
本第二のアルミニウム精製方法においては、融点よりも低い温度に制御した第十一の発熱体411近傍の母液2と、それよりも上方の母液2との間で温度勾配が形成されるため、温度の低い側に集まる性質を有する包晶系の不純物元素は、成長するアルミニウム塊11の下側に、温度が高い側に集まる性質を有する共晶系の不純物元素は母液2側となる上側に偏在させることができる。よって、高純度のアルミニウムを不純物元素が偏在しない中間部分に精製できることになる。
次に、一定時間経過後に、第十の発熱体410を第十一の発熱体411と同様に制御して第十の発熱体410近傍の母液2の温度を第十一の発熱体411と同じ温度となる結晶許容温度未満とし、アルミニウムの晶出量を増していく。
この場合も、上述したように、包晶系の不純物元素はアルミニウム塊11の下側に、共晶系の不純物元素は母液2側となる上側に移動することになるが、既に凝固してアルミニウム塊11となっている部分も含めて不純物元素が移動することになる。
また、所定時間経過後に、第十一の発熱体411と第十の発熱体410を再び制御して両発熱体410,411近傍の母液2の温度を結晶許容温度以上に制御する。これにより、成長途中のアルミニウム塊11は、その表面の溶融と共に、内部においては半凝固状態となって包晶系と共晶系の不純物元素が更に移動し易い状態となる。
また、所定時間経過後再び、第十一の発熱体411と第十の発熱体410を制御して両発熱体410,411近傍の母液2の温度を結晶許容温度未満に制御することで、更に、不純物元素の移動が促進され、成長途中のアルミニウム塊11の上下端部側に、包晶系と共晶系の各不純物元素を別々に偏在させることができ、アルミニウム塊11の中間部分には、更に高純度のアルミニウムを精製することができる。すなわち、本第二のアルミニウム精製方法においては、ゾーンメルト法に類似する方法を、液状の母液2と略固体のアルミニウム塊11に対して所定の発熱体4を用いて局所的に実施しつつ全体に対して処理の範囲を順次移動させながら行うことができるものである。
以上のように、第十・第十一の二つの発熱体410,411を用いた母液2温度の制御を一つのルーチンとして、母液2全体がアルミニウム塊11(アルミニウム棒状結晶体11a)を形成するまで当該ルーチンを坩堝6の上部側6bに向けて進行させる。
具体的には、第十一の発熱体411の制御を第十の発熱体410が引き続き同様の制御として実行し、更に、第十の発熱体410の制御を第九の発熱体4が新たに担うようにして順次坩堝6の上部側6bに向けて当該ルーチンを繰り返すことになる。
以上のような方法を行うことで、母液2とアルミニウム塊11に対して、坩堝6の下部側6aから上部側6bにかけて局所的な温度勾配を順次形成しつつ凝固と溶解を繰り返しながら、中間部分に高純度のアルミニウムが濃縮されたアルミニウム塊11を得ることができる。
なお、本第二のアルミニウム精製方法においては、一つのルーチンで2回の晶出(凝固)と1回の溶解が行われるように構成しているが、精製されるアルミニウムの量や予定する純度、予定する精製時間等によって発熱体41〜11の制御回数や制御温度、及び制御時間を変更することで、一つのルーチン内における晶出回数と溶解回数を適宜変更することができる。
更に、本実施形態においては、一つのルーチンで二つの発熱体4を制御するように構成しているが、精製条件によって発熱体4の制御数を適宜変更することができる。
本第二のアルミニウム精製方法においては、上述した一連の処理を行うことで高純度のアルミニウムを精製することができるが、不純物元素の偏在をより確実なものとして、更なる高純度化を図るために、一連の処理を複数回行ってもよい。
なお、坩堝6の下部側6aから上部側6bにかけて順次アルミニウム塊11を成長させることから、最下段の第十一の発熱体411から上方の発熱体4にかけて順に、アルミニウム塊11(母液2含む)の溶解と凝固に寄与しなくなる。従って、上記処理の進行に伴い、坩堝6の下部側6aの発熱体4から順次電源をOFF状態にしていくことができる。
次に、坩堝6内の全ての母液2が凝固して母液2全体がアルミニウム棒状結晶体11aとなったら、ジャケット7を上方に引き上げると共に所定の場所へ移動させ、アルミニウム棒状結晶体11aをアルミニウム精製装置1から取り出す。
取り出したアルミニウム棒状結晶体11aは、図11に示すように、不純物を多く含有する上端部と下端部の各不純物濃縮部17を切断して、中間部分に形成された高純度の精製アルミニウム部18を得ることができ、アルミニウムの精製を終了する。
なお、上述した本第一のアルミニウム精製方法は、坩堝6の下部側6aから上部側6bに向けてアルミニウム塊11を成長させる方法について説明したが、坩堝6の上部側6bから下部側6aに向けてアルミニウム塊11を成長させることもできる。この場合は、上述した説明中の上下を逆として同様の処理を行えばよい。
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施形態に係るアルミニウム精製装置1aと、該アルミニウム精製装置1aを用いたアルミニウム精製方法について説明する。なお、第二の実施形態に係るアルミニウム精製装置1aと、第一の実施形態に係るアルミニウム精製装置1との違いは、蓋8の有無と支持体8aの有無のみであるため、共通する構成については説明を適宜省略すると共に、異なる構成についてのみ説明する。
図4は、第二の実施形態に係るアルミニウム精製装置1aを示す断面図であり、図5は、アルミニウム精製装置1aに一定量の不純物が含有した母液2を収容した精製初期段階を示す断面図であり、図6は、アルミニウム精製装置1aにおいてアルミニウム塊11が坩堝6の下部側6aに向かって成長した精製後期を示す断面図であり、図7は、図4のアルミニウム精製装置1aのA−A断面図であり、図8は、支持体8aの内部を示す断面図である。
第二の実施形態に係るアルミニウム精製装置1aは、垂直炉5と坩堝6とジャケット7と支持体8aとで構成している。
アルミニウム精製装置1aの具体的な構造は、耐火レンガ3で形成された上部開口の略円筒状の垂直炉5において、鉛直方向で個々に温度制御が可能な11個の発熱体41〜11を垂直炉5の内周に備え、垂直炉5内には、黒鉛製で上部開口の略円筒状の坩堝6を収容可能な鉄やステンレスによる金属製の上部開口の略円筒状のジャケット7が置かれ、坩堝6の上方には黒鉛製の晶出面9を有する先端部が略円柱状の支持体8aを配設している。また、支持体8aの略円状の晶出面9の外径は坩堝6の開口部の内径よりも若干小さく、更に、支持体8aは、垂直炉5の上下方へ移動可能としている。なお、アルミニウムの精製時は、支持体8aは母液2の液面16近傍の位置で原則保持される。
このように構成することで、支持体8aが坩堝の開口部を略閉蓋するため、坩堝6内に注入された母液2は略密閉され、熱損失を最小限に抑えると共に、母液2の温度を略鉛直方向に安定して制御可能となる。
なお、支持体8aの晶出面9は熱伝導率の高い材質であれば黒鉛製に限定されないが、母液2を汚染したり精製に悪影響を与えないものであることを要する。
また、晶出面9には、複数の例えば、逆キノコ状のフック体10を形成することができる。フック体10は、晶出して成長したアルミニウム塊11が晶出面9から剥離して落下することを防止するためのものであり、例えば、融点が高い高純度の金属製ボルトの頭部が下方となるように晶出面9に垂設することができ、該頭部がアルミニウム塊11の内部においてフックの役割を果たす。
また、図8に示すように、支持体8a内部の晶出面9側に冷却部12を配設することができる。冷却部12は、支持体8aの晶出面9を冷却し母液2の熱を抜熱できるように、内部に冷風や冷却水等の冷却媒体が循環できるような管路13を形成し、後述するアルミニウムの精製過程において本冷却機能と連動して制御できるように構成したものである。
更に、支持体8a内部の晶出面9側に加熱部14を配設することもできる。加熱部14は、晶出面9に晶出したアルミニウムを溶解して分離除去するために、分離用の発熱体15を管路13の一部を囲繞するように配設したものである。
以上、本実施形態に係るアルミニウム精製装置1aは構成されているが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
次に、第二の実施形態に係るアルミニウム精製装置1aを用いた第三のアルミニウム精製方法について詳説する。
[第三のアルミニウム精製方法]
第三のアルミニウム精製方法は、母液2に対して、坩堝6の上部側6bから下部側6aにかけて高温となる略一定の温度勾配を与えつつ、母液2を坩堝6の上部側6bから下部側6aにかけて順次結晶許容温度未満とすることで支持体8aを起点としてアルミニウム塊11を成長させ、高純度のアルミニウムを精製するものである。
第三のアルミニウム精製方法においては、上述した第一のアルミニウム精製方法で説明した通り、坩堝6内に母液2を注入し、母液2を結晶許容温度近傍で安定保持させるまでは第一のアルミニウム精製方法と同様の方法であるため説明を省略する。
まず、垂直炉5の内周壁にジャケット7を囲繞するように配設された発熱体41〜11の最上段の第一の発熱体4から最下段の第十一の発熱体411にかけて温度を制御する。具体的には、第一の発熱体4を制御して母液2の温度が結晶許容温度近傍であって結晶許容温度よりも高い温度とし、下部の発熱体4に行くに従って徐々に母液2の温度が高くなるように、第一の発熱体4から第十一の発熱体411にかけて母液2の温度が略一定の温度勾配となるように制御する。
次に、坩堝6の上方であって母液2の液面16近傍に、上方から支持体8aを降下させ、支持体8aの底部である晶出面9を母液2中に浸漬させる。なお、本説明においては、降下前の支持体8aは常温であるものとする。
これにより、結晶許容温度よりも低い温度の支持体8aが母液2と接触することで、母液2が凝固し始める。凝固は、核となる複数の初晶が晶出して各々が結晶塊へと成長すると共に、結晶塊の表面、又は結晶塊と結晶塊の間に新たに核となる複数の初晶が晶出して各々が順次結晶塊へと成長する。このように、初晶を起点とした複数の結晶塊の集まりがアルミニウム塊11となる。従って、本第三のアルミニウム精製方法においては、図5に示すように、支持体8aの晶出面9側からアルミニウム塊11が成長していくことになる。
なお、アルミニウムの精製が終了して、坩堝6内からアルミニウム棒状結晶体11aを抜去する直前まで、上述した支持体8aの位置は原則固定してもよいが、凝固に伴う体積収縮を考慮して下方に調整してもよい。
また、支持体8aが有する上述した冷却機能を使用した場合には、使用しない場合に比してアルミニウムの晶出速度を速めることができ、後述する発熱体41〜11による母液2の温度や加熱時間の制御と合わせて、凝固を迅速に制御することが可能となる。
所定時間経過後に、上述した温度勾配を保ったまま、第一の発熱体4近傍の母液2の温度が結晶許容温度未満となるように、第一の発熱体4から第十一の発熱体411にかけて発熱体41〜11の温度を制御する。
これにより、第一の発熱体4近傍の母液2は融点よりも低い温度となり、支持体8aの晶出面9に成長した結晶塊を起点として母液2が凝固し始め、坩堝6の下部側6aに向かってアルミニウム塊11の成長が進んでいく。なお、母液2の液面16は、アルミニウムの晶出量が増していくに従い、凝固による体積収縮によってアルミニウム塊11の先端部近傍に低下していく。
なお、本第三のアルミニウム精製方法においては、母液2中に支持体8aの晶出面9を浸漬させてから、第一の発熱体4近傍の母液2の温度が結晶許容温度未満となるように制御しているが、これらが同時であっても、また、逆であっても本発明の要旨の範囲内である。
上述したように、母液2全体を略同時に凝固させた場合、晶出する球状の結晶塊は通常、中心部に包晶系の不純物元素を、外周部近傍に共晶系の不純物が偏在した状態となり、このような状態の結晶塊の集まりは、不純物元素を満遍なく包含した低純度のアルミニウムとなってしまうため、高純度のアルミニウムを精製することができない。
また、不純物元素を含有した固体としてのアルミニウムの一部に、融点近傍の温度を印加することで、低温側には包晶系の不純物元素が、高温側には共晶系の不純物元素が移動することが知られている(ゾーンメルト法)。
本発明は、このような特性を応用するものであり、坩堝6の上部側6bから下部側6aにかけて、支持体8aを低温側の起点として母液2全体に温度勾配を持たせることで、温度の低い側に集まる性質を有する包晶系の不純物元素はアルミニウム塊11の上側に、温度が高い側に集まる性質を有する共晶系の不純物元素は母液2側となるアルミニウム塊11の下側に偏在するように母液2の温度を制御するものである。従って、高純度のアルミニウムは不純物元素が偏在しない中間部分に精製されることになる。
また、同様の温度勾配を保ったまま所定時間内に母液2全体の温度が徐々に低下するように発熱体41〜11を制御し、第十一の発熱体411近傍の母液2の温度が結晶許容温度未満となるまで継続して発熱体4を制御する。これにより、坩堝6内の母液2は全てアルミニウム塊11へと成長する。また、第一の発熱体4によって母液2を結晶許容温度以上に制御した後、ここまでの処理の流れを一つのルーチンとする。
なお、図6は、第九の発熱体4近傍までを結晶許容温度未満とした精製途中の状態を示すものであり、坩堝6の上部側6bから第九の発熱体4近傍までの母液2が凝固してアルミニウム塊11を形成している様子を模式的に表わしている。
このように初期の温度勾配を維持したまま、母液2全体の温度を低下させていくことで、坩堝6の上部側6bの母液2から下部側6aの母液2にかけて徐々に凝固させることができる。これは、坩堝6の上部側6bの母液2から下部側6aの母液2にかけて温度勾配を設けることで、母液2中には「ゆらぎ」が生じ、母液中のアルミニウムや不純物元素が移動することになるからである。具体的には、上述したように、温度の低い側に集まる性質を有する包晶系の不純物元素は坩堝6の上部側6bに、温度が高い側に集まる性質を有する共晶系の不純物元素は坩堝6の下部側6aに移動することになる。従って、濃縮された高純度のアルミニウムは不純物元素が偏在しない中間部分に精製されることになる。すなわち、ゾーンメルト法に類似する方法を液状の母液2(凝固したアルミニウム塊11を含む)に対して行うことができるものである。
また、上述したルーチンを繰り返すことで不純物元素の偏在をより確実なものとすることができるため、より高純度のアルミニウムを安定して精製可能となる。この場合、一つのルーチンの最終段階である第十一の発熱体411近傍の母液2の温度が結晶許容温度未満となってから、再び同様の温度勾配を維持したまま第一の発熱体4近傍の母液2の温度が結晶許容温度以上となるように制御する際には、温度を一気に上昇させることが望ましい。これは、ゾーンメルト法に類似する方法として、常に坩堝6の上部側6bから下部側6aの一方向にかけて同様の温度勾配を維持しつつ温度の高低差を保つことで、包晶系と共晶系の不純物元素を夫々アルミニウム塊11の両端部側に効率的に移動させ偏在させるためである。
また、第十一の発熱体411近傍の母液2の温度が結晶許容温度未満となる前(凝固前)に、上述したルーチンを繰り返し、最終的に全体を凝固させることも可能である。この場合も、再び同様の温度勾配を維持したまま第一の発熱体4近傍の母液2の温度が結晶許容温度以上となるように制御する際には、上述と同様の理由によって、温度を一気に上昇させることが望ましい。
なお、坩堝6の上部側6bから下部側6a側にかけて順次アルミニウム塊11を成長させることから、最上段の第一の発熱体4から下方の発熱体4にかけて順に、アルミニウム塊11の溶解、凝固に寄与しなくなる。従って、上記処理の進行に伴い、坩堝6の上部側6bの発熱体4から順次電源をOFF状態にしていくことができる。
次に、坩堝6内の全ての母液2が凝固して母液2全体がアルミニウム棒状結晶体11aとなったら、固定されていた支持体8aを坩堝6の上方に引き上げると共に所定の場所へ移動させ、アルミニウム棒状結晶体11aをアルミニウム精製装置1から取り出す。
取り出したアルミニウム棒状結晶体11aは、図11に示すように、不純物を多く含有する上端部と下端部の各不純物濃縮部17を切断して、中間部分に形成された高純度の精製アルミニウム部18を得ることができ、アルミニウムの精製を終了する。
なお、支持体8a直下に残ったアルミニウム棒状結晶体11aの一部は、支持体8aをアルミニウムの融点以上の温度環境に置くことで溶解させ、除去することがきる。また、上述したように、支持体8a内部の晶出面9側に加熱部14である分離用の発熱体15を配設したものであれば、支持体8aの晶出面9自体をアルミニウムの結晶許容温度以上の温度にすることで溶解させ、支持体8aからアルミニウム棒状結晶体を分離することができる。
次に、第二の実施形態に係るアルミニウム精製装置1aを用いた第四のアルミニウム精製方法について詳説する。
[第四のアルミニウム精製方法]
第四のアルミニウム精製方法は、母液2に対して、坩堝6の上部側6bから下部側6aにかけて凝固と溶解を繰り返すように順次結晶許容温度の上下の加熱を繰り返しながら順次結晶許容温度未満とすることで支持体8aを起点としてアルミニウム塊11を成長させ、高純度のアルミニウムを精製するものである。
第四のアルミニウム精製方法においては、上述した第一のアルミニウム精製方法で説明した通り、坩堝6内に母液2を注入し、母液2を結晶許容温度近傍で安定保持させるまでは第一のアルミニウム精製方法と同様の方法であるため説明を省略する。
まず、坩堝6の上方であって母液2の液面16近傍に、上方から支持体8aを降下させ、支持体8aの底部である晶出面9を母液2中に浸漬させる。なお、本説明においては、降下前の支持体8aは常温であるものとする。
これにより、結晶許容温度よりも低い温度の支持体8aが母液2と接触することで、母液2が凝固し始める。凝固は、核となる複数の初晶が晶出して各々が結晶塊へと成長すると共に、結晶塊の表面、又は結晶塊と結晶塊の間に新たに核となる複数の初晶が晶出して各々が順次結晶塊へと成長する。このように、初晶を起点とした複数の結晶塊の集まりがアルミニウム塊11となる。従って、本第四のアルミニウム精製方法においては、図5に示すように、支持体8aの晶出面9側からアルミニウム塊11が成長していくことになる。
なお、アルミニウムの精製が終了して、坩堝6内からアルミニウム棒状結晶体11aを抜去する直前まで、上述した支持体8aの位置は原則固定してもよいが、凝固に伴う体積収縮を考慮して下方に調整してもよい。
また、支持体8aが有する上述した冷却機能を使用した場合には、使用しない場合に比してアルミニウムの晶出速度を速めることができ、後述する発熱体41〜11による母液2の温度や加熱時間の制御と合わせて、凝固を迅速に制御することが可能となる。
次に、垂直炉5の内周壁にジャケット7を囲繞するように配設された発熱体41〜11の最上段の第一の発熱体4を制御して発熱体近傍の母液2の温度を結晶許容温度未満に制御する。
これにより、第一の発熱体4近傍の母液は融点よりも低い温度となり、支持体8aの晶出面9に成長した結晶塊を起点として母液2が凝固し始め、坩堝6の下部側6aに向かってアルミニウム塊11の成長が進んでいく。
なお、本第四のアルミニウム精製方法においては、母液2中に支持体8aの晶出面9を浸漬させてから、第一の発熱体4近傍の母液2の温度が結晶許容温度未満となるように制御しているが、これらが同時であっても、また、逆であっても本発明の要旨の範囲内である。
上述したように、母液2全体を略同時に凝固させた場合、晶出する球状の結晶塊は通常、中心部に包晶系の不純物元素を、外周部近傍に共晶系の不純物が偏在した状態となり、このような状態の結晶塊の集まりは、不純物元素を満遍なく包含した低純度のアルミニウムとなってしまうため、高純度のアルミニウムを精製することができない。
また、不純物元素を含有した固体としてのアルミニウムの一部に、融点近傍の温度を印加することで、低温側には包晶系の不純物元素が、高温側には共晶系の不純物元素が移動することが知られている(ゾーンメルト法)。
本発明は、このような特性を応用するものであり、坩堝6の上部側6bから下部側6aにかけて凝固と溶解を繰り返すように順次結晶許容温度の上下の加熱を繰り返しながら順次結晶許容温度未満としてアルミニウム塊11を成長させる。すなわち、坩堝6の上部側6bから下部側6aにかけて母液2に局所的な温度勾配を順次持たせることで、温度の低い側に集まる性質を有する包晶系の不純物元素はアルミニウム塊11の上側に、温度が高い側に集まる性質を有する共晶系の不純物元素は母液2側となるアルミニウム塊11の下側に偏在するように母液2の温度を制御するものである。従って、高純度のアルミニウムは不純物元素が偏在しない中間部分に精製されることになる。
本第四のアルミニウム精製方法においては、融点よりも低い温度に制御した第一の発熱体4近傍の母液2と、それよりも下方の母液2との間で温度勾配が形成されるため、温度の低い側に集まる性質を有する包晶系の不純物元素は、成長するアルミニウム塊11の上側に、温度が高い側に集まる性質を有する共晶系の不純物元素は母液2側となる下側に偏在させることができる。よって、高純度のアルミニウムを不純物元素が偏在しない中間部分に精製できることになる。
次に、一定時間経過後に、第二の発熱体4を第一の発熱体4と同様に制御して第二の発熱体4近傍の母液2の温度を第一の発熱体4と同じ温度となる結晶許容温度未満とし、アルミニウムの晶出量を増していく。なお、母液2の液面16は、アルミニウムの晶出量が増していくに従い、凝固による体積収縮によってアルミニウム塊11の先端部近傍に低下していく。
この場合も、上述したように、包晶系の不純物元素はアルミニウム塊11の上側に、共晶系の不純物元素は母液2側となる下側に移動することになるが、既に凝固してアルミニウム塊11となっている部分も含めて不純物元素が移動することになる。
また、所定時間経過後に、第一の発熱体4と第二の発熱体4を再び制御して両発熱体4,4近傍の母液2の温度を結晶許容温度以上に制御する。これにより、成長途中のアルミニウム塊11は、その表面の溶融と共に、内部においては半凝固状態となって包晶系と共晶系の不純物元素が更に移動し易い状態となる。
更に、一定時間経過後再び、第一の発熱体4と第二の発熱体4を制御して両発熱体4,4近傍の母液2の温度を結晶許容温度未満に制御することで、更に、不純物元素の移動が促進され、成長途中のアルミニウム塊11の上下端部側に、包晶系と共晶系の各不純物元素を別々に偏在させることができ、アルミニウム塊11の中間部分には、更に高純度のアルミニウムを精製することができる。すなわち、本第四のアルミニウム精製方法においては、ゾーンメルト法に類似する方法を、液状の母液2(凝固したアルミニウム塊11を含む)に対して所定の発熱体4を用いて局所的に実施しつつ全体に対して処理の範囲を順次移動させながら行うことができるものである。
以上のように、第一・第二の二つの発熱体4,4を用いた母液2温度の制御を一つのルーチンとして、母液2全体がアルミニウム塊11(アルミニウム棒状結晶体11a)を形成するまで当該ルーチンを坩堝6の下部側6aに向けて進行させる。
具体的には、第一の発熱体4の制御を第二の発熱体4が引き続き同様の制御として実行し、更に、第二の発熱体4の制御を第三の発熱体4が新たに担うようにして順次坩堝6の下部側6aに向けて当該ルーチンを繰り返すことになる。
以上のような方法を行うことで、母液2とアルミニウム塊11に対して、坩堝6の上部側6bから下部側6aにかけて局所的な温度勾配を順次形成しつつ凝固と溶解を繰り返しながら、中間部分に高純度のアルミニウムが濃縮されたアルミニウム塊11を得ることができる。
なお、本第四のアルミニウム精製方法においては、一つのルーチンで2回の晶出(凝固)と1回の溶解が行われるように構成しているが、精製されるアルミニウムの量や予定する純度、予定する精製時間等によって発熱体41〜11の制御回数や制御温度、及び制御時間を変更することで、一つのルーチン内における晶出回数と溶解回数を適宜変更することができる。
更に、本実施形態においては、一つのルーチンで二つの発熱体4を制御するように構成しているが、精製条件によって発熱体4の制御数を適宜変更することができる。
本第四のアルミニウム精製方法においては、上述した一連の処理を行うことで高純度のアルミニウムを精製することができるが、不純物元素の偏在をより確実なものとして、更なる高純度化を図るために、一連の処理を複数回行ってもよい。
なお、坩堝6の上部側6bから下部側6aにかけて順次アルミニウム塊11を成長させることから、最上段の第一の発熱体4から下方の発熱体4にかけて順に、アルミニウム塊11の溶解、凝固に寄与しなくなる。従って、上記処理の進行に伴い、坩堝6の上部側6bの発熱体4から順次電源をOFF状態にしていくことができる。
次に、坩堝6内の全ての母液2が凝固して母液2全体がアルミニウム棒状結晶体11aとなったら、固定されていた支持体8aを坩堝6の上方に引き上げると共に所定の場所へ移動させ、アルミニウム棒状結晶体11aをアルミニウム精製装置1から取り出す。
取り出したアルミニウム棒状結晶体11aは、図11に示すように、不純物を多く含有する上端部と下端部の各不純物濃縮部17を切断して、中間部分に形成された高純度の精製アルミニウム部18を得ることができ、アルミニウムの精製を終了する。
なお、支持体8a直下に残ったアルミニウム棒状結晶体11aの一部は、支持体8aをアルミニウムの融点以上の温度環境に置くことで溶解させ、除去することがきる。また、上述したように、支持体8a内部の晶出面9側に加熱部14である分離用の発熱体15を配設したものであれば、支持体8aの晶出面9自体をアルミニウムの結晶許容温度以上の温度にすることで溶解させ、支持体8aからアルミニウム棒状結晶体を分離することができる。
次に、第二の実施形態に係るアルミニウム精製装置1aを用いた第五のアルミニウム精製方法について詳説する。
[第五のアルミニウム精製方法]
第五のアルミニウム精製方法は、母液2に対して、坩堝6の上部側6bから下部側6aにかけて凝固と溶解を繰り返すように順次結晶許容温度の上下の加熱を繰り返しながら順次結晶許容温度未満としつつ、坩堝6を上方に移動させながら支持体8aを起点としてアルミニウム塊11を成長させ、高純度のアルミニウムを精製するものである。
第五のアルミニウム精製方法においては、上述した第一のアルミニウム精製方法で説明した通り、坩堝6内に母液2を注入し、母液2を結晶許容温度近傍で安定保持させるまでは第一のアルミニウム精製方法と同様の方法であるため説明を省略する。
まず、坩堝6の上方であって母液2の液面16近傍に、上方から支持体8aを降下させ、支持体8aの底部である晶出面9を母液2中に浸漬させる。なお、本説明においては、降下前の支持体8aは常温であるものとする。
これにより、結晶許容温度よりも低い温度の支持体8aが母液2と接触することで、母液2が凝固し始める。凝固は、核となる複数の初晶が晶出して各々が結晶塊へと成長すると共に、結晶塊の表面、又は結晶塊と結晶塊の間に新たに核となる複数の初晶が晶出して各々が順次結晶塊へと成長する。このように、初晶を起点とした複数の結晶塊の集まりがアルミニウム塊11となる。従って、本第五のアルミニウム精製方法においては、図5に示すように、支持体8aの晶出面9側からアルミニウム塊11が成長していくことになる。
また、晶出面9が母液2に浸漬した後、所定時間経過後に、母液2を満たした坩堝6を収容するジャケット7と支持体8aとの上方への移動を開始する。移動速度は、晶出し成長を続けるアルミニウム塊11の先端部が常に第一の発熱体4と略同高さとなるように制御することが望ましい。また、アルミニウムの精製が終了して、坩堝6内からアルミニウム棒状結晶体11aを抜去する直前まで上述した支持体8aの位置とジャケット7内の坩堝6との相対位置は略一定に保たれる。すなわち、ジャケット7と支持体8aは互いの相対位置を保ったまま略一定の速度で上昇することになる。
また、支持体8aが有する上述した冷却機能を使用した場合には、使用しない場合に比してアルミニウムの晶出速度を速めることができ、後述する発熱体41〜11による母液2の温度や加熱時間の制御と合わせて、凝固を迅速に制御することが可能となる。
また、晶出面9を母液2に浸漬してから一定時間経過後に、支持体8aの晶出面9に最も近い第一の発熱体4を制御して発熱体近傍の母液2の温度を結晶許容温度未満に制御する。
これにより、第一の発熱体4近傍の母液は、融点よりも低い温度となり、支持体8aの晶出面9に成長した結晶塊を起点として母液2が凝固し始め、坩堝6の下部側6aに向かってアルミニウム塊11の成長が進んでいく。
なお、本第五のアルミニウム精製方法においては、母液2中に支持体8aの晶出面9を浸漬させてから、第一の発熱体4近傍の母液2の温度が結晶許容温度未満となるように制御しているが、これらが同時であっても、また、逆であっても本発明の要旨の範囲内である。
上述したように、母液2全体を略同時に凝固させた場合、晶出する球状の結晶塊は通常、中心部に包晶系の不純物元素を、外周部近傍に共晶系の不純物が偏在した状態となり、このような状態の結晶塊の集まりは、不純物元素を満遍なく包含した低純度のアルミニウムとなってしまうため、高純度のアルミニウムを精製することができない。
また、不純物元素を含有した固体としてのアルミニウムの一部に、融点近傍の温度を印加することで、低温側には包晶系の不純物元素が、高温側には共晶系の不純物元素が移動することが知られている(ゾーンメルト法)。
本発明は、このような特性を応用するものであり、坩堝6の上部側6bから下部側6aにかけて凝固と溶解を繰り返すように順次結晶許容温度の上下の加熱を繰り返しながら順次結晶許容温度未満としてアルミニウム塊11を成長させる。すなわち、坩堝6の上部側6bから下部側6aにかけて母液2に局所的な温度勾配を順次持たせることで、温度の低い側に集まる性質を有する包晶系の不純物元素はアルミニウム塊11の上側に、温度が高い側に集まる性質を有する共晶系の不純物元素は母液2側となるアルミニウム塊11の下側に偏在するように坩堝6を上昇させながら母液2の温度を制御するものである。従って、高純度のアルミニウムは不純物元素が偏在しない中間部分に精製されることになる。
本第五のアルミニウム精製方法においては、融点よりも低い温度に制御した支持体8aの晶出面9近傍の母液2と、それよりも下方の母液2との間で温度勾配が形成されるため、温度の低い側に集まる性質を有する包晶系の不純物元素は、成長するアルミニウム塊11の上側に、温度が高い側に集まる性質を有する共晶系の不純物元素は母液2側となる下側に偏在させることができる。よって、高純度のアルミニウムを不純物元素が偏在しない中間部分に精製できることになる。
次に、一定時間経過後に、支持体8aの晶出面9に2番目に近い第二の発熱体4を第一の発熱体4と同様に制御して第二の発熱体4近傍の母液2の温度を第一の発熱体4と同じ温度となる結晶許容温度未満とし、アルミニウムの晶出量を増していく。なお、母液2の液面16は、アルミニウムの晶出量が増していくに従い、凝固による体積収縮によってアルミニウム塊11の先端部近傍に低下していく。
この場合も、上述したように、包晶系の不純物元素はアルミニウム塊11の上側に、共晶系の不純物元素は母液2側となる下側に移動することになるが、既に凝固してアルミニウム塊11となっている部分も含めて不純物元素が移動することになる。
また、所定時間経過後に、第一の発熱体4と第二の発熱体4を再び制御して両発熱体4,4近傍の母液2の温度を結晶許容温度以上に制御する。これにより、成長途中のアルミニウム塊11は、その表面の溶融と共に、内部においては半凝固状態となって包晶系と共晶系の不純物元素が更に移動し易い状態となる。
更に、一定時間経過後再び、第一の発熱体4と第二の発熱体4を制御して両発熱体4,4近傍の母液2の温度を結晶許容温度未満に制御することで、更に、不純物元素の移動が促進され、成長途中のアルミニウム塊11の上下端部側に、包晶系と共晶系の各不純物元素を別々に偏在させることができ、アルミニウム塊11の中間部分には、更に高純度のアルミニウムを精製することができる。すなわち、本第五のアルミニウム精製方法においては、ゾーンメルト法に類似する方法を、液状の母液2(凝固したアルミニウム塊11を含む)に対して所定の発熱体4を用いて局所的に実施しつつ坩堝6を上昇させることで全体に対して処理の範囲を順次移動させながら行うことができるものである。
また、最下段の第十一の発熱体411は、坩堝6の上昇に伴い坩堝6よりも下方に位置することとなり、以降の溶解や晶出に寄与しなくなるので、新たなルーチンの開始時には、順次最下段の発熱体4から上方の発熱体4にかけて順次電源をOFF状態にしていくことができる。
以上のように、第一・第二の二つの発熱体4,4を用いた母液2温度の制御を一つのルーチンとして、母液2全体がアルミニウム塊11(アルミニウム棒状結晶体11a)を形成するまで当該ルーチンを坩堝6の下部側6aに向けて進行させる。
以上のような方法を行うことで、母液2とアルミニウム塊11に対して、坩堝6の上部側6bから下部側6aにかけて局所的な温度勾配を順次形成しつつ凝固と溶解を繰り返しながら、中間部分に高純度のアルミニウムが濃縮されたアルミニウム塊11を得ることができる。
なお、本第五のアルミニウム精製方法においては、一つのルーチンで2回の晶出(凝固)と1回の溶解が行われるように構成しているが、精製されるアルミニウムの量や予定する純度、予定する精製時間等によって発熱体の制御回数や制御温度、及び制御時間を変更することで、一つのルーチン内における晶出回数と溶解回数を適宜変更することができる。
更に、本実施形態においては、一つのルーチンで2つの発熱体4,4を制御するように構成しているが、精製条件によって発熱体4の制御数を適宜変更することができる。
本第五のアルミニウム精製方法においては、上述した一連の処理を行うことで高純度のアルミニウムを精製することができるが、不純物元素の偏在をより確実なものとして、更なる高純度化を図るために、一連の処理を複数回行ってもよい。
次に、坩堝6内の全ての母液2が凝固して母液2全体がアルミニウム棒状結晶体11aとなったら、固定されていた支持体8aを坩堝6の上方に引き上げると共に所定の場所へ移動させ、アルミニウム棒状結晶体11aをアルミニウム精製装置1から取り出す。
取り出したアルミニウム棒状結晶体11aは、図11に示すように、不純物を多く含有する上端部と下端部の各不純物濃縮部17を切断して、中間部分に形成された高純度の精製アルミニウム部18を得ることができ、アルミニウムの精製を終了する。
なお、支持体8a直下に残ったアルミニウム棒状結晶体11aの一部は、支持体8aをアルミニウムの融点以上の温度環境に置くことで溶解させ、除去することがきる。また、上述したように、支持体8a内部の晶出面9側に加熱部14である分離用の発熱体15を配設したものであれば、支持体8aの晶出面9自体をアルミニウムの結晶許容温度以上の温度にすることで溶解させ、支持体8aからアルミニウム棒状結晶体を分離することができる。
[変形例]
次に、上述した第一・第二の実施形態に係るアルミニウム精製装置1,1aの変形例を説明する。なお、各アルミニウム精製装置1,1aの構造や効果、精製方法等については、少なくとも第一・第二の実施形態に係るアルミニウム精製装置1,1a及びこれらを使用した精製方法と同様であることから、当該部分については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図1、図4は、本変形例に係るアルミニウム精製装置50,50aを示す断面図であり、図10は、図1、図4に示すアルミニウム精製装置50,50aのA−A断面図である。すなわち、本変形例に係るアルミニウム精製装置50,50aは、坩堝6とジャケット7の外観が、長手方向を上下とした上部開口の略直方体形状とし、垂直炉5の凹部をジャケット7が収容できるように形成したものである。従って、蓋8の形状(図示せず)は、坩堝6を開閉蓋可能なように坩堝6の開口部よりも大きな略直方体形状とし、支持体8aの先端部の形状(図示せず)は、坩堝6の開口部内に挿通可能なように開口部よりも若干小さな略直方体形状として構成される。また、垂直炉5の内周に配設される発熱体41〜11も、上記形状のジャケット7等を囲繞するように配設される。
以上のように、本変形例に係るアルミニウム精製装置50,50aを構成することで、坩堝6内で晶出して成長するアルミニウム塊11は略矩形板状となる。これはすなわち、発熱体41〜11から坩堝6の中央部に至るまでの距離を短くすることができることより、母液2への熱伝導を良好なものとして、アルミニウム塊11の内部におけるアルミニウムの純度のばらつきを少なくすることができると共に、精製時間の短縮や電気の消費量の低減等、精製効率を向上させることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態や変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以上説明したような第一・第二の実施形態に係るアルミニウム精製装置1,1a,50,50aを使用したアルミニウムの各精製方法においては、特に複雑な装置構成を必要とせずに、坩堝6の上部側6bから下部側6a、又は下部側6aから上部側6bにかけて結晶塊(アルミニウム結晶)を成長させて坩堝6の上部側6bから下部側6a、又は下部側6aから上部側6bに向けて高純度のアルミニウムを含有したアルミニウム塊11(アルミニウム棒状結晶体11a)を成長させ、高純度の精製アルミニウム部18を取り出すことができる。
また、従来は、固体としてのアルミニウムに対してのみ実施可能であったゾーンメルト法を、ゾーンメルト法に類似する技術の応用として液状のアルミニウムに対しても実施できることになり、極めて効率よく高純度のアルミニウムを精製することができる。
また、精製処理を複数回行うことでアルミニウムの純度を容易に高めることができるため、所望の純度のアルミニウムを極めて容易に精製することができる。
また、精製過程において消耗部品が発生せず、また、母液2の撹拌を必要とせず、発熱体41〜nを順次停止することができるので、電気の消費量が少なく、更に、凝固や溶解回数や制御時間等を調整して精製時間を制御しやすいため、高純度のアルミニウムを精製する製造コストを大幅に低減することができる。
また、坩堝6を閉蓋して密閉する蓋8、又は略密閉する支持体8aにより、母液2の熱損失が発生し難く、精製条件を安定させることができる。従って、季節変動等による作業環境の温度変化による影響を受け難いと共に、電気の消費量を大幅に低減することができる。
また、例えば、Mg等の不純物を10%程度と非常に多く含んだリサイクルアルミニウムを母液2として使用した場合には、精製アルミニウム部18と不純物濃縮部17とをアルミニウム棒状結晶体11aにおいて分離して形成することができるため、アルミニウムだけでなく、Mg等のリサイクル資源を容易に抽出することができる。
また、第一・第二のアルミニウム精製方法では、支持体8aを必要とせず、極めて簡易な装置構成にも関わらずアルミニウム精製装置1,50の発熱体の温度制御のみで高純度のアルミニウムを精製することができる。
また、第三・四・五のアルミニウム精製方法では、移動可能な支持体8aの晶出面9にアルミニウム塊11を成長させるため、アルミニウム棒状結晶体11aを坩堝6から抜去する作業が容易である。
また、第五のアルミニウム精製方法においては、ジャケット7と坩堝6とが同時に上方へ移動するため、アルミニウム塊11は精製が終了するまで坩堝6内に安定して存在する。従って、アルミニウム塊11を支持するためのピンチロール等が不要であり、精製途中にアルミニウム塊11が母液に影響を与える事がない。
1 アルミニウム精製装置(第一の実施形態)
1a アルミニウム精製装置(第二の実施形態)
2 母液
4 発熱体
5 垂直炉
6 坩堝
6a 坩堝の下部
6b 坩堝の上部
7 ジャケット
8 蓋
8a 支持体
9 晶出面
10 フック体
11 アルミニウム塊
11a アルミニウム棒状結晶体
12 冷却部
14 加熱部
17 不純物濃縮部
50 アルミニウム精製装置(変形例)
50a アルミニウム精製装置(変形例)

Claims (19)

  1. 坩堝内に不純物含有の液状アルミニウムを母液として収容し、前記母液を前記坩堝の下部側から上部側にかけて順次結晶許容温度未満とすることで、前記坩堝の下部側から上部側にかけてアルミニウム結晶を晶出させながら固体塊を成長させ、前記坩堝内で晶出成長したアルミニウム棒状結晶体を前記坩堝から抜去し、該棒状結晶体の両端部側に形成された不純物濃縮部を切削除去、することを特徴とするアルミニウム精製方法。
  2. 前記アルミニウム棒状結晶体に成長するまでの処理を少なくとも二回以上繰り返すことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム精製方法。
  3. 前記母液に前記坩堝の下部側から上部側にかけて高温となる略一定の温度勾配を与えつつ前記母液を前記坩堝の下部側から上部側にかけて順次結晶許容温度未満とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム精製方法。
  4. 前記坩堝の下部側から上部側にかけて凝固と溶解を繰り返すように順次結晶許容温度の上下の加熱を繰り返しながら順次結晶許容温度未満とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム精製方法。
  5. 坩堝内に不純物含有の液状アルミニウムを母液として収容し、前記母液を前記坩堝の上部側から下部側にかけて順次結晶許容温度未満とすることで、前記坩堝の上部側から下部側にかけてアルミニウム結晶を晶出させながら固体塊を成長させ、前記坩堝内で晶出成長したアルミニウム棒状結晶体を前記坩堝から抜去し、該棒状結晶体の両端部側に形成された不純物濃縮部を切削除去、することを特徴とするアルミニウム精製方法。
  6. 前記アルミニウム棒状結晶体に成長するまでの処理を少なくとも二回以上繰り返すことを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム精製方法。
  7. 前記母液に前記坩堝の上部側から下部側にかけて高温となる略一定の温度勾配を与えつつ前記母液を前記坩堝の上部側から下部側にかけて順次結晶許容温度未満とすることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のアルミニウム精製方法。
  8. 前記坩堝の上部側から下部側にかけて凝固と溶解を繰り返すように順次結晶許容温度の上下の加熱を繰り返しながら順次結晶許容温度未満とすることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のアルミニウム精製方法。
  9. 前記坩堝の上部側から下部側にかけて支持体を起点としてアルミニウム結晶を晶出させながら固体塊を成長させることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか1項に記載のアルミニウム精製方法。
  10. 前記坩堝を上方に移動させながら固体塊を成長させることを特徴とする請求項9に記載のアルミニウム精製方法。
  11. 前記支持体を冷却しながらアルミニウム結晶を晶出させ固体塊を成長させることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のアルミニウム精製方法。
  12. 母液が収容される坩堝と、
    前記坩堝を収容する上下方に移動自在のジャケットと、
    前記ジャケットを収容する鉛直方向で個々に温度制御可能な複数の発熱体を内周に備えた垂直炉と、
    を備えたことを特徴とするアルミニウム精製装置。
  13. 前記坩堝と前記ジャケットは上部開口の略円筒状であり、
    前記発熱体は前記垂直炉の内周において前記ジャケットを囲繞するように配設したことを特徴とする請求項12に記載のアルミニウム精製装置。
  14. 前記坩堝と前記ジャケットは上部開口の略直方体形状であり、
    前記発熱体は前記垂直炉の内周において前記ジャケットを囲繞するように配設したことを特徴とする請求項12に記載のアルミニウム精製装置。
  15. 前記坩堝の開口部を開閉蓋自在とする断熱性を有する蓋を備えたことを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載のアルミニウム精製装置。
  16. 前記坩堝の上下方に移動自在の支持体を備えたことを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載のアルミニウム精製装置。
  17. 前記支持体に冷却部を備えたことを特徴とする請求項16に記載のアルミニウム精製装置。
  18. 前記支持体に加熱部を備えたことを特徴とする請求項16又は請求項17に記載のアルミニウム精製装置。
  19. 前記支持体の底部にフック体を備えたことを特徴とする請求項16から請求項18のいずれか1項に記載のアルミニウム精製装置。
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