JP6354391B2 - Cu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法 - Google Patents

Cu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法 Download PDF

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本発明は、Cu−Zn−Sn系合金の棒状の鋳塊を連続的に製造するCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法に関するものである。
上述のCu−Zn−Sn系合金は、各種部品の素材として広く使用されている。例えば特許文献1には、Cu−Zn−Sn系合金からなる棒材及び線材を用いた海水用網状構造物が開示されている。この海水用網状構造物は、例えば、魚類用の養殖網、発電設備や淡水化設備の海水取水口に設置される海水ストレーナ、船舶用エンジンの海水ストレーナ等、海水に浸漬又は接触した状態で使用される。
このような海水用網状構造物においては、海水による腐食及び浸蝕や、貝類や藻類等の海洋生物が付着することによる性能低下が問題となっていた。
ここで、上述のCu−Zn−Sn系合金からなる棒材又は線材は、Snを含有していることから耐蝕性(耐海水性)に優れており、さらにCuイオンが海水中に溶出することによって海洋生物の付着を抑制できるため、上述の海水用網状構造物を構成する素材として特に適している。
ところで、上述のような棒材や線材を製造する場合、通常、大型の鋳塊を熱間で押出加工又は圧延加工することにより棒材とし、この棒材に対して、抽伸加工等の塑性加工を行うことによって製造されている。しかし、押出加工又は圧延加工を行って棒材を製造する場合には、大型の鋳塊を製造する鋳造工程と、鋳塊を加熱する加熱工程と、加熱した鋳塊を押し出す押出工程又は圧延工程と、多くの工程を行う必要があり、多大な製造コスト及び製造時間を要するものであった。
そこで、金属の棒材又は線材を低コストで効率良く製造する方法として、例えば特許文献2に開示されているように、金属の溶湯が貯留された鋳造炉に鋳型を設置し、棒状の鋳塊を連続的に鋳造する連続鋳造法が提供されている。なお、上述の鋳型においては、通常、グラファイトのように自己潤滑性を有するモールドが用いられている。
ところで、棒状の鋳塊を連続的に鋳造する場合には、特許文献3、4に示すように、鋳塊を一定の速度で連続的に引き抜くことなく、引抜工程と停止工程と押戻し工程とを繰り返し行う間欠引抜サイクルを繰り返すことが一般的である。このように間欠引抜サイクルを実施した場合には、引抜時に凝固した固相(凝固シェル)を移動させ、移動後の空間に液相が流れ込む。そして、停止時にその空間で新たに固相が形成される。このように凝固シェルが断続的に形成されるために、鋳塊の表面には、間欠引抜サイクルの周期に同調したオシレーションマークと呼ばれる模様が形成される。
このオシレーションマークは、鋳型内で断続的に形成される凝固シェルの湯境に相当することになるが、製造条件によっては、オシレーションマークの部分にクラックが生じたり、深い凹凸が生じたりして、表面欠陥を伴うことがある。
ここで、特許文献3、4においては、上述のオシレーションマークにおける欠陥発生を抑制するために、間欠引抜サイクルのパターンを規定している。
特許第4814183号公報 特開2010−201505号公報 特開平05−169197号公報 特開平08−168852号公報
ところで、特許文献1に開示されたCu−Zn−Sn系合金においては、Znが鋳型の内壁に付着することにより、グラファイトモールドの自己潤滑性が阻害され、凝固シェルの焼き付きが発生しやすい傾向にある。ここで、特許文献2、3のように、引抜工程時間に対して停止工程時間及び押戻し工程時間を長く設定すると、凝固シェルの焼き付きが発生し、オシレーションマークの部分に深いクラックが生じるおそれがあった。
また、特許文献1に開示されたCu−Zn−Sn系合金においては、固相と液相とが混在する温度幅が広いため、モールド内において固液共存域が幅広く存在し、凝固シェルの強度が不足する傾向にある。このため、間欠引抜サイクルを実施する際に、凝固シェルが破断しやすく、上述のオシレーションマークにおける欠陥が深くなってしまうといった問題があった。
本発明は、以上のような事情を背景としてなされたものであって、Cu−Zn−Sn系合金からなる棒状の鋳塊を連続して鋳造した場合であっても、欠陥の深さを十分に低減でき、高品質な鋳塊を安定して製造することが可能なCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法を提供することを目的としている。
この課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、鋳塊の間欠引抜サイクルのパターンを適正化することにより、Cu−Zn−Sn系合金であっても、安定して鋳造することが可能であるとの知見を得た。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであって、本発明のCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法は、Cuの含有量が62mass%以上91mass%以下、Snの含有量が0.6mass%以上3mass%以下とされたCu−Zn−Sn系合金からなる棒状の鋳塊を間欠的に引き抜いて連続鋳造するCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法であって、前記Cu−Zn−Sn系合金からなる棒状の鋳塊は、断面円形とされ、外径が4mm以上40mm以下の範囲内とされており、前記Cu−Zn−Sn系合金の溶湯が貯留される鋳造炉と、この鋳造炉に連結された鋳型と、を有する連続鋳造機を用いて、引抜工程と押戻し工程と停止工程とからなる間欠引抜サイクルにより、前記鋳塊の引き抜きを行う構成とされ、引抜工程時間t、押戻し工程時間t、停止工程時間tとしたときに、
=(t+t)/tで定義される引抜時間比Rが、R≧0.6とされ、
=t/(t+t+t)で定義される停止時間比Rが、R≧0.02とされており、
さらに、間欠引抜サイクル数S(回/分)が
60≦S≦600−108×R
60≦S≦600−794×R
の範囲内とされていることを特徴としている。
この構成のCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法においては、上述の引抜時間比Rを0.6以上とし、上述の停止時間比Rを0.02以上としているので、鋳型内において鋳塊の引抜方向における凝固シェルの生成開始位置が安定することになり、凝固シェルの破断を抑制することができる。
また、間欠引抜サイクル数Sが、S≦600−108×Rと、引抜時間比Rが大きくなるにつれて間欠引抜サイクル数Sの上限が小さくなるように構成されているので、引抜工程時の加速度が必要以上に大きくなることがなく、凝固シェルの破断を抑制することができる。
さらに、間欠引抜サイクル数Sが、S≦600−794×Rと、停止時間比Rが大きくなるにつれて間欠引抜サイクル数Sの上限が小さくなるように構成されているので、引抜工程又は押戻し工程時の加速度が必要以上に大きくなることがなく凝固シェルの破断を抑制することができる。
また、間欠引抜サイクル数Sが、S≧60とされているので、Cu−Zn−Sn系合金からなる棒状の鋳塊を効率良く製造することができる。
さらに、本発明のCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法においては、前記Cu−Zn−Sn系合金からなる棒状の鋳塊は、断面円形とされ、外径が4mm以上40mm以下と比較的断面積が小さくされているので、欠陥深さを浅くすることにより、製造歩留を大幅に向上することができる。また、間欠引抜サイクル数Sが、S≧60とされているので、比較的断面積が小さい棒状の鋳塊であっても、効率良く製造することができる。
ここで、本発明のCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法においては、前記Cu−Zn−Sn系合金は、Cu:62mass%以上91mass%以下、Sn:0.6mass%以上3mass%以下を含有するとともに、Al:0.02mass%以上1.5mass%以下及びSi:0.02mass%以上1.9mass%以下から選択される1種以上を含有し、残部がZn及び不可避不純物とされた成分組成とされていてもよい。
また、前記Cu−Zn−Sn系合金は、さらに、As:0.02mass%以上0.25mass%以下、Sb:0.02mass%以上0.25mass%以下、Mg:0.001mass%以上0.2mass%以下及びP:0.01mass%以上0.25mass%以下から選択される1種以上を含有していてもよい。
また、前記Cu−Zn−Sn系合金は、さらに、Mn:0.05mass%以上1.5mass%以下及びNi:0.005mass%以上0.5mass%以下から選択される1種以上を含有していてもよい。
上述したCu−Zn−Sn系合金においては、耐蝕性(耐海水性)に優れるとともに、海洋生物の付着を抑制する抗菌性を備えていることから、海水用網状構造物を構成する素材として適したCu−Zn−Sn系合金の棒材を、安定して製造することが可能となる。
本発明によれば、Cu−Zn−Sn系合金からなる棒状の鋳塊を連続して鋳造した場合であっても、欠陥の深さを十分に低減でき、高品質な鋳塊を安定して製造することが可能なCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態であるCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法で用いられる連続鋳造装置の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態であるCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法における間欠引抜サイクルのパターンを示す説明図である。 本発明の実施形態であるCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法で用いられる他の連続鋳造装置の一例を示す説明図である。
以下に、本発明の一実施形態であるCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法について説明する。
本実施形態であるCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法は、Cuの含有量が62mass%以上91mass%以下の範囲内とされ、Snの含有量が0.6mass%以上3mass%以下の範囲内とされたCu−Zn−Sn系合金からなる棒状の鋳塊1を連続的に鋳造するものである。
ここで、本実施形態では、Cu:62mass%以上91mass%以下、Sn:0.6mass%以上3mass%以下を含有するとともに、Al:0.02mass%以上1.5mass%以下及びSi:0.02mass%以上1.9mass%以下から選択される1種以上を含有し、残部がZn及び不可避不純物とされた成分組成を有するCu−Zn−Sn合金の鋳塊1としている。
また、As:0.02mass%以上0.25mass%以下、Sb:0.02mass%以上0.25mass%以下、Mg:0.001mass%以上0.2mass%以下及びP:0.01mass%以上0.25mass%以下から選択される1種以上をさらに含有していてもよい。
さらに、Mn:0.05mass%以上1.5mass%以下及びNi:0.005mass%以上0.5mass%以下から選択される1種以上をさらに含有していてもよい。
また、本実施形態では、Cu−Zn−Sn系合金の鋳塊1は、断面円形とされ、外径が4mm以上40mm以下の範囲内とされている。すなわち、Cu−Zn−Sn系合金の鋳塊1の断面積が12.56mm以上1256mm以下の範囲内とされている。
次に、本実施形態であるCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法に用いられる連続鋳造装置10について図1を参照して説明する。
この連続鋳造装置10は、鋳造炉11と、鋳造炉11に連結された連続鋳造用鋳型20と、連続鋳造用鋳型20から製出された鋳塊1を引き抜くピンチロール17と、を備えている。
鋳造炉11は、溶解原料を加熱溶解して所定の組成の銅溶湯を製出して保持するものであり、溶解原料及び銅溶湯が保持される坩堝12と、この坩堝12を加熱する加熱手段(図示なし)と、を備えている。鋳造炉11の銅溶湯は、950℃から1150℃で保持される。
ピンチロール17は、連続鋳造用鋳型20から製出される鋳塊1を挟み込み、引抜方向Fへ引き抜くものである。本実施形態では、鋳塊1を間欠的に引き抜く構成とされている。
連続鋳造用鋳型20は、供給された銅溶湯が注入される筒状のモールド21と、モールド21を冷却する冷却部28と、を備えている。ここで、本実施形態では、図1に示すように、連続鋳造用鋳型20は、鋳造炉11内の銅溶湯上に耐火断熱材15を介して配置されており、鋳塊1を上方へ引き抜く構成としている。
モールド21は、概略筒状をなしており、一方側から他方側に向けて貫通する鋳造孔24が設けられている。
冷却部28は、図1に示すように、モールド21の外周側に配設された水冷ジャケットとされており、冷却水を循環させることでモールド21を冷却する構成とされている。
次に、上述した連続鋳造装置10を用いた本実施形態であるCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法について説明する。
まず、鋳造炉11の原料投入口から坩堝12内に溶解原料を投入する。原料としては、Cu単体、Zn単体およびSn単体やCu−Zn母合金およびCu−Sn母合金等を用いることができる。また、ZnおよびSnを含む原料を銅原料とともに溶解してもよい。また、本合金のリサイクル材およびスクラップ材を用いてもよい。さらに、Al及びSiやその他の元素についても、金属単体や母合金等を原料として使用することができる。
次に、加熱手段によって坩堝12内に装入された溶解原料を加熱して溶解し、上述した成分組成に調製された銅溶湯を製出する。
この銅溶湯は、坩堝12内において所定の温度にまで加熱されて保持される。そして、この銅溶湯が、連続鋳造用鋳型20へと供給される。
連続鋳造用鋳型20内に供給された銅溶湯は、モールド21内で冷却されて凝固して鋳塊1となる。この鋳塊1がピンチロール17で間欠的に引き抜かれることによって、鋳塊1が連続的に製造される。
ここで、本実施形態であるCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法においては、鋳塊1の間欠引抜サイクルのパターンに特徴を有している。
本実施形態であるCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法においては、図2に示すように、モールド21内で凝固した鋳塊1を引抜方向Fに移動させる引抜工程と、鋳塊1の移動を停止する停止工程と、鋳塊1を引抜方向Fとは反対側に向けて移動させる押戻し工程とからなる間欠引抜サイクルを繰り返し実施する構成とされている。
そして、引抜工程時間t、押戻し工程時間t、停止工程時間tとしたときに、
=(t+t)/tで定義される引抜時間比Rが、R≧0.6とされ、R=t/(t+t+t)で定義される停止時間比Rが、R≧0.02とされている。
また、間欠引抜サイクル数S(回/分)が、下記の(1)式および(2)式を満足する範囲内とされている。
60≦S≦600−108×R ・・・(1)
60≦S≦600−794×R・・・(2)
ここで、上述の引抜時間比Rが0.6未満の場合には、間欠引抜サイクルにおける引抜工程時間tの割合が大きくなりすぎて、凝固シェルの生成開始位置が不規則かつ歪になり、凝固シェルの破断が発生しやすくなる。このため、本実施形態では、引抜時間比Rを0.6以上に設定している。
また、上述の停止時間比Rが0.02未満の場合には、間欠引抜サイクルにおける停止工程時間tが短くなり、凝固シェルが十分に成長せず、凝固シェルの破断が発生しやすくなる。このため、本実施形態では、停止時間比Rを0.02以上に設定している。
さらに、間欠引抜サイクル数S(回/分)が、600−108×Rを超える場合、すなわち、引抜時間比Rに対して間欠引抜サイクル数Sを多くした場合には、引抜工程における鋳塊1の加速度が大きくなり、凝固シェルの破断が発生しやすくなる。
また、間欠引抜サイクル数S(回/分)が、600−794×Rを超える場合、すなわち、停止時間比Rに対して間欠引抜サイクル数Sを多くした場合には、停止工程時間tが占める割合が大きくなることで、相対的に引抜工程及び押戻し工程における鋳塊1の加速度が大きくなり、凝固シェルの破断が発生しやすくなる。
さらに、間欠引抜サイクル数S(回/分)が60未満の場合には、鋳塊1を効率的に製造することができなくなる。特に、断面円形とされ、外径が4mm以上40mm以下の範囲内とされた比較的断面積が小さな鋳塊1においては、生産効率が大幅に低下してしまうことになる。
このため、本実施形態では、間欠引抜サイクル数S(回/分)を、上述の(1)式、(2)式を満足する範囲内に設定している。
次に、上述のように間欠引抜サイクルをくり返し実施した場合のモールド21内の凝固状況について説明する。
まず、引抜工程によって鋳塊1を引抜方向Fに移動させることにより、鋳造炉11内の銅溶湯がモールド21内に流れこむ。
次に、停止工程において、モールド21内の銅溶湯が冷却されて凝固し、凝固シェルが形成される。また、押戻し工程により、凝固シェルとモールド21との焼き付きが防止される。
モールド21内において凝固シェルが十分な厚さで形成された後に、再度、引抜工程によって鋳塊1を引抜方向Fに移動させる。
このように間欠引抜サイクルを繰り返し行うことにより、棒状の鋳塊1が連続的に製出される。
以上のような構成とされた本実施形態であるCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法によれば、上述の引抜時間比Rを0.6以上とし、上述の停止時間比Rを0.02以上としているので、モールド21内における凝固シェルの生成開始位置が安定することになり、凝固シェルの破断を抑制することができる。
また、間欠引抜サイクル数Sが、S≦600−108×Rと、引抜時間比Rが大きくなるにつれて間欠引抜サイクル数Sの上限が小さくなるように構成されているので、引抜工程時の加速度が必要以上に大きくなることがなく、凝固シェルの破断を抑制することができる。
さらに、間欠引抜サイクル数Sが、S≦600−794×Rと、停止時間比Rが大きくなるにつれて間欠引抜サイクル数Sの上限が小さくなるように構成されているので、引抜工程又は押戻し工程時の加速度が必要以上に大きくなることがなく、凝固シェルの破断を抑制することができる。
また、間欠引抜サイクル数Sが、S≧60とされているので、Cu−Zn−Sn系合金からなる棒状の鋳塊1を効率良く製造することができる。
さらに、本実施形態では、Cu−Zn−Sn系合金がCu:62mass%以上91mass%以下、Sn:0.6mass%以上3mass%以下を含有するとともに、Al:0.02mass%以上1.5mass%以下及びSi:0.02mass%以上1.9mass%以下から選択される1種以上を含有し、残部がZn及び不可避不純物とされた成分組成を有しており、さらにAs:0.02mass%以上0.25mass%以下、Sb:0.02mass%以上0.25mass%以下、Mg:0.001mass%以上0.2mass%以下及びP:0.01mass%以上0.25mass%以下から選択される1種以上、またMn:0.05mass%以上1.5mass%以下及びNi:0.005mass%以上0.5mass%以下から選択される1種以上をさらに含有しているので、製出される鋳塊1は、耐蝕性(耐海水性)に優れるとともに、海洋生物の付着を防止する抗菌性を備えることになり、海水用網状構造物を構成する棒材、線材として特に適したCu−Zn−Sn系合金の棒材を、安定して製造することが可能となる。
また、本実施形態であるCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法によって製造されたCu−Zn−Sn系合金からなる棒状の鋳塊1は、オシレーションマークにおける欠陥深さが浅く、表面品質に優れているので、下工程における表面研削量を低減することができ、製造歩留の向上を図ることが可能となる。
以上、本発明の実施形態であるCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、断面円形の棒状鋳塊を製造するものとして説明したが、これに限定されることはなく、断面多角形の棒状鋳塊であってもよいし、内周孔を有する管状鋳塊であってもよい。
また、上述の実施形態では、鋳塊を上方に引き抜く構成として説明したが、これに限定されることはなく、例えば図3に示す連続鋳造装置110のように、連続鋳造用鋳型120を鋳造炉111の坩堝112の側面に配置して鋳塊1をピンチロール117によって水平方向に引き抜く構成としてもよい。
また、上述の実施形態では、Cu:62mass%以上91mass%以下、Sn:0.6mass%以上3mass%以下を含有するとともに、Al:0.02mass%以上1.5mass%以下及びSi:0.02mass%以上1.9mass%以下から選択される1種以上を含有し、残部がZn及び不可避不純物とされた成分組成を有するCu−Zn−Sn合金を対象とするものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の組成のCu−Zn−Sn合金を対象としてもよい。この場合であっても、本発明のCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法を適用することにより、安定して鋳造を実施することが可能となる。
また、上述の本実施形態では、冷却ジャケットを備えた鋳型を使用するものとして説明したが、鋳型の構造に限定はなく、例えばモールド内に二重管からなる水冷プローブを挿入した鋳型であってもよい。
さらに、本実施形態では、モールド21の材質をグラファイトとしたが、グラファイトと同様に自己潤滑性を有する窒化ホウ素としてもよい。
以下に、本発明の効果を確認すべく行った確認実験の結果について説明する。
まず、Cu:66.5mass%、Sn:0.65mass%、Al:0.55mass%、Sb:0.045mass%を含有し、残部がZn及び不可避不純物とされた成分組成となるように、溶解原料を調製した。
調製された溶解原料を、図1に示す鋳造炉11の坩堝内12に500kg装入して、加熱手段で加熱することにより溶解した。
鋳型として、表1に示すように、外径8mmの断面円形の鋳塊を製造するものと、外径12mmの断面円形の鋳塊を製造するものを準備した。
そして、表1に示す間欠引抜サイクルによって、鋳塊の引き抜きを行って150kgの鋳造を行った。
得られた鋳塊を引抜方向に平行な面で切断して断面観察を行い、オシレーションマークにおける欠陥深さを測定した。そして、欠陥深さが150μm未満のものを◎、150μm以上300μm未満のものを○、300μm以上のものを×と評価した。また、鋳造時に鋳塊が破断したものを××として評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 0006354391
引抜時間比Rが本発明の範囲外とされた比較例12、及び停止時間比Rが本発明の範囲外とされた比較例13は、鋳造中に鋳塊が破断してしまった。
また、間欠引抜サイクル数S(回/分)が、上述の式(1)、式(2)の範囲外とされた比較例1、2では、欠陥深さが300μm以上と深くなっていた。また、比較例11では、鋳造中に鋳塊が破断してしまった。
また、間欠引抜サイクル数S(回/分)が、式(1)の範囲内であるが式(2)の範囲外とされた比較例3、比較例14では、欠陥深さが300μm以上と深くなっていた。
これに対して、間欠引抜サイクル数S(回/分)が、式(1)、式(2)の範囲内とされ、引抜時間比Rが0.6以上、停止時間比Rが0.02以上とされた本発明例1、2、本発明例12−15においては、欠陥深さが150μm未満とされており、表面品質に優れた鋳塊を得ることができた。特に、本発明例2では、平均鋳造速度が3m/minを超えており、表面品質に優れた鋳塊を効率良く製造することができた。
以上のことから、本発明のCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法によれば、Cuの含有量が62mass%以上91mass%以下、Snの含有量が0.6mass%以上3mass%以下とされたCu−Zn−Sn系合金からなる棒状の鋳塊を間欠的に引き抜いて連続鋳造する場合であっても、表面品質に優れた鋳塊を効率良く製造することが可能であることが確認された。
1 鋳塊
10 連続鋳造装置
11 鋳造炉
20 連続鋳造用鋳型(鋳型)
21 モールド

Claims (4)

  1. Cuの含有量が62mass%以上91mass%以下、Snの含有量が0.6mass%以上3mass%以下とされたCu−Zn−Sn系合金からなる棒状の鋳塊を間欠的に引き抜いて連続鋳造するCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法であって、
    前記Cu−Zn−Sn系合金からなる棒状の鋳塊は、断面円形とされ、外径が4mm以上40mm以下の範囲内とされており、
    前記Cu−Zn−Sn系合金の溶湯が貯留される鋳造炉と、この鋳造炉に連結された鋳型と、を有する連続鋳造機を用いて、引抜工程と押戻し工程と停止工程とからなる間欠引抜サイクルにより、前記鋳塊の引き抜きを行う構成とされ、引抜工程時間t、押戻し工程時間t、停止工程時間tとしたときに、
    =(t+t)/tで定義される引抜時間比Rが、R≧0.6とされ、
    =t/(t+t+t)で定義される停止時間比Rが、R≧0.02とされており、
    さらに、間欠引抜サイクル数S(回/分)が
    60≦S≦600−108×R
    60≦S≦600−794×R
    の範囲内とされていることを特徴とするCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法。
  2. 前記Cu−Zn−Sn系合金は、Cu:62mass%以上91mass%以下、Sn:0.6mass%以上3mass%以下を含有するとともに、Al:0.02mass%以上1.5mass%以下及びSi:0.02mass%以上1.9mass%以下から選択される1種以上を含有し、残部がZn及び不可避不純物とされた成分組成とされていることを特徴とする請求項1に記載のCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法。
  3. 前記Cu−Zn−Sn系合金は、さらに、As:0.02mass%以上0.25mass%以下、Sb:0.02mass%以上0.25mass%以下、Mg:0.001mass%以上0.2mass%以下及びP:0.01mass%以上0.25mass%以下から選択される1種以上を含有していることを特徴とする請求項2に記載のCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法。
  4. 前記Cu−Zn−Sn系合金は、さらに、Mn:0.05mass%以上1.5mass%以下及びNi:0.005mass%以上0.5mass%以下から選択される1種以上を含有していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のCu−Zn−Sn系合金の連続鋳造方法。
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