JP5736908B2 - キャリアテープの製造方法 - Google Patents

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本発明は、電子部品用のキャリアテープの製造方法に関する。
従来のキャリアテープの製造方法として、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1に記載のキャリアテープの製造方法では、母材テープに複数列の収容凹部を千鳥状にエンボス加工により形成し、その後に1列毎に母材テープを切断して複数のキャリアテープを得ている。このようなキャリアテープの製造方法では、一度に複数列のキャリアテープを形成できるため、生産性の向上が図れる。
特開2002−264204号公報
ところで、母材テープに収容凹部を複数列同時に形成する場合、母材テープの中央部分では、幅方向に収容凹部が並んで形成されるため、母材テープが両側の収容凹部の内側に引っ張られて膜厚が薄くなる。一方で、母材テープの両端部分(複数列の両外側)では、母材テープが中央部分側にのみ引っ張られるため、母材テープの端部側の膜厚が中央部分側に比べて厚くなる。そのため、母材テープの両端部分から形成されるキャリアテープでは、主面(収容凹部が形成されない部分)の膜厚が幅方向の両側で異なることがある。
この点、上記従来のキャリアテープの製造方法では、千鳥状に収容凹部を形成しているため、母材テープの幅方向の両端部分から形成されるキャリアテープにおいて、収容凹部の幅方向(収容凹部の中央部分の両側)の主面の膜厚の差は低減できるものの、収容凹部の角部分における両側の主面の膜厚に差が生じるため、依然として膜厚の差の問題は解決されない。そのため、キャリアテープの収容凹部に電子部品を収容した後にカバーフィルムを貼付する際、膜厚が薄い部分においてカバーフィルムが十分に圧着されず、カバーフィルムとキャリアテープとの接着強度を十分に確保できないといった問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、生産性を維持しつつ、主面の膜厚を均一にできるキャリアテープの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るキャリアテープの製造方法は、熱可塑性樹脂からなる母材テープを準備する準備工程と、母材テープの所定の領域に収容凹部が母材テープの延在方向に等間隔で且つ幅方向に複数列に並んで設けられるように、加熱された状態の母材テープにエンボス加工によって収容凹部を形成する第1のエンボス加工工程と、所定の領域の幅方向の外側の領域に凹部又は凸部が設けられるように、加熱された状態の母材テープにエンボス加工によって凹部又は凸部を形成する第2のエンボス加工工程と、母材テープにおいて所定の領域と外側の領域とを切り離すと共に、所定の領域を延在方向に沿った所定の切断線に沿って切断してキャリアテープを得る切断工程とを有することを特徴とする。
このキャリアテープの製造方法では、収容凹部が形成される所定の領域の外側の領域にも凹部又は凸部を形成している。そのため、所定の領域において外側の領域に隣接する部分では、収容凹部が形成されるとき及び凹部又は凸部が形成されるときに、母材テープが収容凹部側及び凹部又は凸部側の両方に引っ張られる。したがって、所定の領域の両端部分から形成されるキャリアテープでは、収容凹部が並んで形成される中央部分にて形成されるキャリアテープと同様に、主面の膜厚が均一となる。以上のように、本発明のキャリアテープの製造方法では、生産性を維持しつつ、主面の膜厚が均一となるキャリアテープを作製できる。
第1のエンボス加工工程と第2のエンボス加工工程とを同時に行うことが好ましい。このように、凹部又は凸部を収容凹部と同時に形成することにより、生産性をより一層向上させることができる。
凹部又は凸部は、収容凹部と同様の形状を呈していると共に、母材テープの延在方向において収容凹部と同一の間隔で形成されることが好ましい。このようにすれば、母材テープが両側に引っ張られる量が略同等となるため、キャリアテープの主面の膜厚をより一層均一にすることができる。
母材テープは、収容凹部の形成位置に対応する領域が加熱されており、所定の領域において、幅方向の両端部分の加熱領域が中央部分の加熱領域よりも幅広くなるように加熱されることが好ましい。母材テープでは、中央部分よりも両端部分の方が放熱され易いため、中央部分と両端部分とにおいて温度差により伸縮率が変化するおそれがある。これにより、エンボス加工を施す際に母材テープの伸び方が異なり、膜厚を均一にすることが困難となる場合がある。そこで、所定の領域において幅方向の両端部分の加熱領域が中央部分の加熱領域よりも幅広くなるように母材テープを加熱することにより、放熱による温度差を緩和でき、主面の膜厚をより一層均一にできる。
本発明によれば、キャリアテープの生産性を維持しつつ、キャリアテープの主面の膜厚を均一にできる。
本発明の一実施形態に係るキャリアテープの製造方法にて製造されたキャリアテープを示す図である。 キャリアテープの製造に用いられる製造装置の概略図である。 エンボス加工の工程内容を示す図である。 エンボス加工が施された母材テープを示す図である。 従来のキャリアテープの製造方法によりエンボス加工が施された母材テープを示す図である。 従来のキャリアテープの製造方法により製造されたキャリアテープの端面図である。 本実施形態のキャリアテープの製造方法により製造されたキャリアテープの端面図である。 変形例に係るキャリアテープの製造方法によりエンボス加工が施された母材テープを示す図である。 変形例に係るキャリアテープの製造方法によりエンボス加工が施された母材テープを示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係るキャリアテープの製造方法にて製造されたキャリアテープを示す図である。図1に示すように、キャリアテープ1は、例えばコンデンサ等の電子部品を輸送、保管するためのテープである。キャリアテープ1には、電子部品を収容するための収容凹部11が周期的に複数形成されている。収容凹部11は、収容する電子部品のサイズに合わせて形成されている。キャリアテープ1は、リール3に巻き取られており、この状態で輸送、保管等が行われている。
続いて、キャリアテープ1の製造方法について説明する。図2は、キャリアテープの製造に用いられる製造装置の概略図である。
キャリアテープ1の製造工程は、母材テープ準備工程から工程を開始する。母材テープ準備工程では、キャリアテープ1の母材となる母材テープ10を準備する。準備する母材テープ10は、熱可塑性樹脂からなり、例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、PET(Polyethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)などの材料から形成される原反シートである。母材テープ10の厚みは、例えば0.30mm以下であることが好ましい。母材テープ準備工程にて準備された母材テープ10は、図2に示す製造装置100にセットされる。
次に、母材テープ10を加熱する加熱工程が行われる。加熱工程では、製造装置100の予備加熱ヒータ101によって母材テープ10の収容凹部11及び凹部12(図4参照)が形成される部分を加熱する。母材テープ10は、収容凹部11が形成されるキャリアテープ領域(所定の領域)A1、及び凹部12が形成される切除領域(外側の領域)A2が加熱される。このとき、収容凹部11が形成されるキャリアテープ領域A1では、幅方向の中央部分(2列目及び3列目)よりも両端部分(1列目及び4列目)の加熱領域が幅広くなるように加熱される。具体的には、キャリアテープ領域A1の中央部分では、収容凹部11が形成される部分、つまり収容凹部11の幅寸法と略同等の幅だけ加熱される。一方、キャリアテープ領域A1の両端部分では、収容凹部11が形成される部分を含み、収容凹部11の幅寸法の約2倍程度の領域が加熱される。予備加熱ヒータ101では、母材テープ10の材料などに応じて加熱温度が適宜設定される。
母材テープ10が加熱された後、エンボス加工工程(第1及び第2のエンボス加工工程)が行われる。エンボス加工工程では、ロータリー式のエンボス加工金型102によって、母材テープ10にエンボス加工によって収容凹部11及び凹部12を形成する。図3は、エンボス加工の工程内容を示す図である。図3に示すように、母材テープ10は、エンボス加工金型102に設けられた吸引孔(図示しない)から吸気されて減圧状態においてエンボス加工金型102に吸い付けられ、収容凹部11及び凹部12が形成される。収容凹部11と凹部12とは、開口部の大きさ及び深さが同等であり、同形状を呈している。すなわち、エンボス加工金型102の凸部分(凹部分)は、全て同形状となっている。
図4は、エンボス加工が施された母材テープを示す図である。図4に示すように、母材テープ10は、収容凹部11が形成されるキャリアテープ領域A1と、このキャリアテープ領域A1の両端側(母材テープ10の幅方向の両側)で且つ凹部12が形成される切除領域A2とを有している。キャリアテープ領域A1には、母材テープ10の延在方向に等間隔で、且つ母材テープ10の幅方向において一直線上に複数列(ここでは1〜4列)に並んで収容凹部11が形成されている。切除領域A2には、母材テープ10の延在方向に等間隔で、且つ収容凹部11と同一直線上に凹部12が形成されている。すなわち、収容凹部11及び凹部12は、母材テープ10の幅方向において一直線上に形成されている。
母材テープ10にエンボス加工が施された後、冷却装置103によって母材テープ10が冷却される。そして、パンチング金型104によって、母材テープ10に送り穴13(図1参照)が形成される。その後、母材テープ10を切り離すスリット工程(切断工程)が行われる。スリット工程では、母材テープ10がスリッター105によって収容凹部11が一列毎となるように切り離されると共に、凹部12が形成された切除領域A2が切除される。スリッター105では、所定の切断線(スリット加工線)Lに沿って母材テープ10が切断される。スリットにより得られたキャリアテープ1は、巻取リール106a〜106dに巻き取られる。以上の工程によって、キャリアテープ1が製造される。
続いて、本実施形態のキャリアテープ1の製造方法による作用・効果について説明する。
図5は、従来のキャリアテープの製造方法によりエンボス加工が施された母材テープを示す図である。図6は、従来のキャリアテープの製造方法により製造されたキャリアテープの端面図である。図6において、(a)は母材テープの幅方向の一端側で形成されたキャリアテープ、(b)は母材テープの幅方向の中央部分で形成されたキャリアテープ、(c)は母材テープの幅方向の他端側で形成されたキャリアテープを示している。
図5に示すように、従来のキャリアテープの製造方法によりエンボス加工が施された母材テープ20には、収容凹部23だけが形成されており、両端部分に凹部が形成されていない。このような母材テープ20から形成されるキャリアテープ21では、以下のような問題があった。
収容凹部23が形成されるときに、母材テープ20の中央部分(2列目及び3列目)では、エンボス加工金型によって幅方向の両側の収容凹部23の内側に母材テープ20が引っ張られる。これにより、両側に引き伸ばされた分だけ母材テープ20の膜厚が薄くなる。一方、母材テープ20の両端部分(1列目及び4列目)では、収容凹部23が形成されるときに、端部側に隣接する収容凹部が存在しないため、母材テープ20が一方側にだけ引っ張られる。そのため、両端部分の母材テープ20の端部側では、中央部分のように両側から収容凹部23の内側に引っ張られる場合に比べて、母材テープ10の膜厚が厚くなる。
図6に示すように、このように形成されたキャリアテープ21には、収容凹部23に電子部品Cが収容された後、上面にカバーフィルムFが接着される。カバーフィルムFとキャリアテープ21との接着方法は、キャリアテープ21を支持体30の溝31に沿って配置した後に、収容凹部23を覆うようにカバーフィルムFを配置して、カバーフィルムFの幅方向の両端部にアイロンのこてTを押し当てて熱圧着する。
このとき、図6(a)及び(c)に示すように、母材テープ20の両端部分にて形成されたキャリアテープ21では、図6(b)に示すように主面5の膜厚が均一とならず、幅方向の両側で主面5の膜厚が不均一となっている。そのため、キャリアテープ21と支持体30の間に形成された間隙Dにより、アイロンのこてTが十分にカバーフィルムFとキャリアテープ21とに押し当たらず、カバーフィルムFとキャリアテープ21との接着強度を十分に確保できないとった問題が生じる。この問題を解決するために、アイロンのこてTを当接させる角度などを調整することが考えられるが、キャリアテープ21毎(図6(a)及び(c)と図6(b)のキャリアテープ21毎)の調整が必要となり効率的ではない。
これに対して、本実施形態の製造方法によって製造されたキャリアテープ1では、切除領域A2にキャリアテープ領域A1の収容凹部11と同様の凹部12を形成している。そのため、キャリアテープ領域A1の両端部分(1列目及び4列目)に形成される収容凹部11は、中央部分(2列目及び3列目)に形成される収容凹部11と同様の条件で形成される。すなわち、収容凹部11及び凹部12を形成することにより、母材テープ10が幅方向の両側に引っ張られる。これにより、図7に示すように、母材テープ10の両端部分から形成されたキャリアテープ1(図7(a)及び(c))では、中央部分で形成されたキャリアテープ1(図7(b))と同様に、主面5の膜厚を均一にすることができる。したがって、カバーフィルムFを接着する際に、キャリアテープ1とカバーフィルムFとの接着強度を十分に確保することができる。
また、本実施形態では、母材テープ10に複数列の収容凹部11を形成し、その後に収容凹部11が一列毎となるようにカットして複数のキャリアテープ1を得ているため、高い生産性を維持できる。
また、加熱工程において、収容凹部11が形成されるキャリアテープ領域A1では、幅方向の中央部分(2列目及び3列目)よりも両端部分(1列目及び4列目)の加熱領域が幅広くなるように加熱される。母材テープ10では、加熱された際、両端部分の方が中央部分よりも熱が放出され易いため、両端部分が中央部分よりも早く冷めてしまう。この温度差により、母材テープ10の伸縮率が一様ではなくなり、収容凹部11を形成したときに、伸縮率の違いに起因して膜厚が不均一になるおそれがある。そこで、上述のように、母材テープ10の中央部分よりも両端部分の加熱領域を幅広くすることにより、温度による伸縮率の変化を抑制でき、主面5の膜厚が均一なキャリアテープ1を作製することができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、母材テープ10において、収容凹部11及び凹部12を母材テープ10の幅方向において一直線上に形成しているが、収容凹部11及び凹部12は、千鳥状に形成されてもよい。図8は、変形例に係るキャリアテープの製造方法によりエンボス加工が施された母材テープを示す図である。図8に示すように、母材テープ40では、収容凹部11及び凹部12が千鳥状に形成されている。
また、図9に示すように、母材テープ50の切除領域A2には、連続的な凹部51(溝)が形成されてもよい。要は、キャリアテープ領域A1において、母材テープ10が切除領域A2側に引っ張られればよい。
また、上記実施形態では、切除領域A2の凹部12を収容凹部11と同時に形成しているが、凹部12を形成するタイミングはこれに限定されない。凹部12は、スリット工程において切除領域A2が切除されるまでに形成されればよい。
また、上記実施形態では、切除領域A2に凹部12や凹部51を形成しているが、切除領域A2に収容凹部11と同様の形状を有する凸部を形成してもよい。
また、上記実施形態では、ロータリー式のエンボス加工金型102によってエンボス加工を施しているが、エンボス加工には、上金型・下金型を備える装置など様々な装置を用いることができる。
1…キャリアテープ、10…母材テープ、11…収容凹部、12…凹部、A1…キャリアテープ領域(所定の領域)、A2…切除領域(外側の部分)。

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂からなる母材テープを準備する準備工程と、
    前記母材テープの所定の領域に収容凹部が前記母材テープの延在方向に等間隔で且つ幅方向に複数列に並んで設けられるように、加熱された状態の前記母材テープにエンボス加工によって前記収容凹部を形成する第1のエンボス加工工程と、
    前記所定の領域の前記幅方向の外側の領域に凹部又は凸部が設けられるように、加熱された状態の前記母材テープにエンボス加工によって前記凹部又は凸部を形成する第2のエンボス加工工程と、
    前記母材テープにおいて前記所定の領域と前記外側の領域とを切り離すと共に、前記所定の領域を前記延在方向に沿った所定の切断線に沿って切断してキャリアテープを得る切断工程とを有し、
    前記母材テープは、前記収容凹部の形成位置に対応する領域が加熱されており、前記所定の領域において、前記幅方向の両端部分の加熱領域が中央部分の加熱領域よりも幅広くなるように加熱されることを特徴とするキャリアテープの製造方法。
  2. 前記第1のエンボス加工工程と前記第2のエンボス加工工程とを同時に行うことを特徴とする請求項1記載のキャリアテープの製造方法。
  3. 前記凹部又は前記凸部は、前記収容凹部と同様の形状を呈していると共に、前記母材テープの前記延在方向において前記収容凹部と同一の間隔で形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のキャリアテープの製造方法。
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