JP3698518B2 - キャリアテープの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細で複雑な形状をした電子部品や精密部品などを多数収納して、保管または搬送に供したり、実装機で円滑に出し入れさせたりするのに有用なキャリアテープを、高品質で安定的に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記キャリアテープは、一般に図1に示すように、キャリアテープ1の流れ方向に部品収納用の凹部(以下、単に凹部とする)2とキャリアテープ移送用のスプロケット孔3とが多数連設され、各凹部2の底部に検査孔4を備えた形状をしている。
【0003】
これを製造するには、1)図4に示すような、所定の幅にスリットした熱可塑性樹脂シート41を、移送器45の作用で間欠的に繰り出して加熱器42に導入し、そこで輻射熱により加熱軟化させ、プレス成形用金型43でプレス成形して凹部2を形成し、打ち抜き金型44でスプロケット孔3を穿孔し、製品巻き取りリール46に巻き取る、プレス成形による方法か、2)図5に示すように、同様の熱可塑性樹脂シート51を一定の速度で繰り出して、加熱ロール52で加熱軟化させた後、真空成形用ロール53で真空成形により凹部2を成形し、打ち抜き金型54でスプロケット孔3を穿孔し、製品巻き取りリール56に巻き取る、真空成形による方法で行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プレス成形による方法では、加熱された熱可塑性樹脂シートをプレス成形用金型43の上型と下型に挟み込んで、底部が複雑な形状をした凹部2に成形するため、金型43のコストが高くなるほか、熱可塑性樹脂シートの先頭部分が金型43内で冷却してしまって、凹部2を成形するときに熱可塑性樹脂シートの延伸が悪く、成形不良をおこすことがあった。また真空成形による方法では、凹部2の成形の際に真空圧力の不足や真空孔の詰まりによる成形不良をおこすことがあった。
【0005】
本発明の目的は、上記した従来の問題を解決するもので、底部が複雑な形状をしている凹部を備えたキャリアテープを、圧空成形により安定的に製造する方法を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のキャリアテープの製造方法は、底部に検査孔を備えた部品収納用の凹部と移送用のスプロケット孔とが流れ方向に多数連設されているキャリアテープの製造に際し、一定幅にスリットされた熱可塑性樹脂シートを、複数の開口部を有する加熱器に所定の長さごとに間欠的に供給して、熱可塑性樹脂シートの凹部形成領域のみを輻射熱により加熱軟化させた後、加熱軟化されたシートを、空気注入口を備えた上型と複数の凹部形成用金型を備えた下型とからなる圧空成形用金型内に導き、圧空成形用金型の加熱器側の側壁における挟み代が、各凹部形成用金型の境界壁の厚さの1/2以下の幅で前記上型と前記下型との間に挟み込んで、加圧空気を前記上型に注入して複数の凹部を同時に圧空成形し、得られたシートを凹部の成形と同期する打抜き金型によって複数のスプロケット孔と検査孔とを打ち抜くことを特徴とする。
【0007】
前記圧空成形が、エアー抜き孔を備え、10〜40℃の冷却水が循環する下型を用いて行われること、また、前記加熱器には、熱遮蔽板が設けられていて、凹部形成領域のみが加熱されること、が好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図2及び図3に基づいて説明する。図2は製造工程の概略を示す説明図、図3(a)、(b)はそれぞれ加熱器で使用される熱遮蔽板の平面図及び圧空成形用金型の正面説明図である。
【0009】
11は、一定の幅にスリットされた厚さ 0.1〜 0.2mmの、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂シートで、移送器15の作用で所定の長さごとに間欠的に繰り出されて、複数の開口部を有する加熱器12に導入される。この加熱器12には、熱可塑性樹脂シート11の通過領域上に、図3(a)に示すような、複数の開口部21を有する熱遮蔽板22が設けられているので、熱可塑性樹脂シート11は上方のヒーター(図示せず)により輻射加熱されて、凹部形成領域のみが加熱軟化される。
【0010】
加熱軟化された熱可塑性樹脂シートは、次に図3(b)に示すような、空気注入口31を備えた上型32と複数の凹部形成用金型33を備えた下型34とからなる圧空成形用金型13に導入され、そこで圧空成形により同時に複数の凹部2が形成される。この際、上記熱可塑性樹脂シートは、圧空成形用金型13の加熱器側の側壁35における挟み代bが、各凹部形成用金型33の境界壁36の厚さaの1/2以下の幅で、上型32と下型34の間に挟み込まれ、上型32の空気注入口31から注入される1〜3kg/cm2の加圧空気によって凹部形成用金型33に押し付けられて凹部2が形成される。
【0011】
このとき、挟み代bが上記厚さaの1/2以下の幅(a/2≧b)であれば、成形ショットごとに、次の成形の先頭部分の熱可塑性樹脂シートが金型で冷却されることがないので、先頭部分の熱可塑性樹脂シートを十分に延伸することができるが、bがa/2よりも大きいと、次の成形の先頭部分が冷却されて成形不良となる。
【0012】
他方、下型には、直径 0.3〜 0.5mmのエアー抜き孔37と、10〜40℃の冷却水の循環通路38を備えたものを用いることによって、圧空成形時の熱可塑性樹脂シートと下型の間のエアー溜りを防止し、複雑なエンボス形状への密着性を向上させると共に、圧空により凹部2を形成した熱可塑性樹脂シートを、瞬間的に冷却させ、余熱による凹部2の変形を防止することができる。
【0013】
得られたシートは凹部2の成形と同期する打抜き金型14において複数のスプロケット孔3と検査孔4とが同時に打ち抜かれ、製品巻き取りリール16に巻き取られる。
【0014】
このように、本発明のキャリアテープの製造方法では、真空成形の真空圧よりも強いエアー圧力で圧空成形されるので、下型の形状に対応した複雑な形状の底部を有する凹部の成形を容易に行うことができる。加熱軟化状態にある熱可塑性樹脂シートによって、同時に成形される複数個の凹部の先頭部分が金型内で冷却されることがなく、下型は一定の温度に保たれているので、安定して成形することができる。
【0015】
【実施例】
図2及び図3で示した装置にポリスチレンシート:サーモシートEC(電気化学工業製、商品名)を導き、加熱器で軟化温度以上に加熱した後、圧空成形用金型にて2kg/cm2のエアーを流して、幅が32mmで凹部のピッチが24mmの、底部に半導体のリードを保護するための突状のリブを有するキャリアテープを圧空成形した。なお、この際、凹部の底面寸法を□20mm、圧空成形用金型の加熱器側の側壁における挟み代を 1.2mm、各凹部形成用金型の境界壁の厚さを3mm、エアー抜き孔を 0.4mm、冷却水の温度を20℃として行った。
【0016】
【発明の効果】
本発明のキャリアテープの製造方法によれば、底部が複雑な形状をしている凹部の成形を、容易かつ安定して行うことができる。また圧空成形用の金型が、プレス成形の場合と異なり、上型と下型の両方に凹部の底面の複雑な形状を彫り込む必要がなく、下型だけで済むので安価になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によって得られるキャリアテープの斜視図である。
【図2】本発明の圧空成形による製造方法の概略説明図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ上記製造方法の加熱器で使用される熱遮蔽板の平面図及び圧空成形用金型の正面説明図である。
【図4】従来のプレス成形による製造方法の概略説明図である。
【図5】従来の真空成形による製造方法の概略説明図である。
【符号の説明】
1…キャリアテープ、 2…部品収納用の凹部(凹部)、
3…スプロケット孔、 4…検査孔、
11、41、51…熱可塑性樹脂シート、 12、42…加熱器、
13…圧空成形用金型、 14、44、54…打ち抜き金型、
15、45…移送器、 16、46、56…製品巻き取りリール、
21…開口部、 22…熱遮蔽板、
31…空気注入口、 32…上型、
33…凹部形成用金型、 34…下型、
35…側壁、 36…境界壁、
37…エアー抜き孔、 38…冷却水の循環通路、
43…プレス成形用金型、 52…加熱ロール、
53…真空成形用ロール。

Claims (3)

  1. 底部に検査孔を備えた部品収納用の凹部と移送用のスプロケット孔とが流れ方向に多数連設されているキャリアテープの製造に際し、一定幅にスリットされた熱可塑性樹脂シートを、複数の開口部を有する加熱器に所定の長さごとに間欠的に供給して、熱可塑性樹脂シートの凹部形成領域のみを輻射熱により加熱軟化させた後、加熱軟化されたシートを、空気注入口を備えた上型と複数の凹部形成用金型を備えた下型とからなる圧空成形用金型内に導き、圧空成形用金型の加熱器側の側壁における挟み代が、各凹部形成用金型の境界壁の厚さの1/2以下の幅で前記上型と前記下型との間に挟み込んで、加圧空気を前記上型に注入して複数の凹部を同時に圧空成形し、得られたシートを凹部の成形と同期する打抜き金型によって複数のスプロケット孔と検査孔とを打ち抜くことを特徴とするキャリアテープの製造方法。
  2. 前記圧空成形が、エアー抜き孔を備え、10〜40℃の冷却水が循環する下型を用いて行われる、請求項1に記載のキャリアテープの製造方法。
  3. 前記加熱器には、熱遮蔽板が設けられていて、凹部形成領域のみが加熱される請求項1または請求項2に記載のキャリアテープの製造方法。
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