JP4466930B2 - キャリアテープの製造方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子部品を多数収納して保管・搬送し、表面実装機において、より円滑な稼動を行うのに有用なキャリアテープの製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来の成形ドラム金型を用いたキャリアテープの製造方法を、図４〜図６により説明する。図４は上記キャリアテープの製造方法を示す模式図、図５は得られたキャリアテープを示す部分平面図、図６は従来の方法で用いられている加熱ロールの側面図である。
図４に示すように、一定幅にスリットされた熱可塑性プラスチックシート（以下、単にシートという）11は、円筒状の予備加熱ロール12および加熱ロール13で順次加熱された後、成形ドラム金型14に送られて、例えば真空吸引力により密着され、電子部品収納用の凹部15を一列または多列に成形された後、プレスパンチ金型（図示せず）によりスプロケット孔16と凹部底部孔17を打ち抜かれて、キャリアテープ18とされていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この製造方法では、長期間成形を続けていると、シート11をその両端で所定の幅にスリットしたときに生じたバリが、加熱ロール13の表面に付着して粘着性物質となり、このためにシート11の加熱ロール13の表面からの剥離性が徐々に低下し、成形ドラム金型14へのシート11の移送が円滑に進まなくなるという現象が生じていた。加熱ロール13からのシート11の剥離性が安定している内は、加熱ロール13における成形ドラム金型14へのシート11の剥離位置Ａは常に同じで、剥離強度も一定に保たれるが、上記粘着性物質の付着によりシート11からの剥離が不安定になると、剥離位置が時々Ｂにずれてばらつくほか、剥離強度にもばらつきを生じた。その際、剥離強度の高い部分は低い部分に比べてシート厚が薄くなるため、部分的にシート厚にも狂いが生じる。このようなシート厚のばらつきは、シート11を室温にまで冷却したときの違いから、凹部成形ピッチＰのばらつきにも繋がっていた。さらに、このシートの剥離位置のばらつきは、成形ドラム金型14でのシートの吸引圧力を不安定にし、図４に示す正常な凹部15に比べて成形不良の凹部19を形成していた。
【０００４】
したがって、本発明の課題は、成形ドラム金型を用いるキャリアテープの製造方法において、加熱ロールにおける成形ドラム金型へのシートの剥離位置のばらつきを防止して、成形ドラム金型でのシート吸引圧力を安定化させ、長期間の連続成形に際しても、凹部の成形不良や凹部成形ピッチの不良を防止できるキャリアテープの製造方法を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明のキャリアテープの製造方法では、加熱ロールの表面両端部にテーパー加工を施し、シートの両端と加熱ロール表面とが接触しないようにしている。
【０００６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図１〜図３に基づいて説明する。
図１は本発明による成形ドラム金型を用いたキャリアテープの製造方法を示す模式図、図２は得られたキャリアテープの一例を示す斜視図、図３は本発明の方法で用いられる加熱ロールの側面図である。
図１〜図３に示すように、一定の幅にスリットされたシート１は、円筒状の予備加熱ロール２および加熱ロール３で順次加熱された後、成形ドラム金型４に送られて、例えば真空吸引力により密着され、電子部品収納用の凹部５を一列または多列に成形された後、プレスパンチ金型（図示せず）によりスプロケット孔６と凹部底部孔７を打ち抜かれて、キャリアテープ８となる。この加熱ロール３には、加熱部分をシート幅よりわずかに狭く設計し、その外側の表面の両端部に、好ましくは45度のテーパー処理したものが用いられる。
【０００７】
これにより、シート１の両端のスリットバリが加熱ロール３に付着しなくなるため、粘着性物質が加熱ロール３上で形成されにくくなり、長期間にわたってシート１の加熱ロール３の表面からの剥離位置Ａを一定に維持できる。その結果、シート１を加熱ロール３から成形ドラム金型４へ長期間にわたって円滑に移送することができ、シート収縮率の差およびシート吸引圧のばらつきによる、凹部成形ピッチや凹部形状不良を防止することができる。
【０００８】
【実施例】
実施例
60mm幅、0.25mm厚のポリスチレン製シートを用いて、図１に示す方法で、８mm幅、４mmピッチのキャリアテープを６列採りで試作した。ポリスチレン製シートを加熱ロールにより加熱軟化させ、成形ドラム金型により真空成形法にて、1.45mm× 2.2mmの大きさで深さ 1.4mmの部品収納用凹部を、５m/分で連続成形した。この際、加熱ロールとして、シートの両端３mmずつが非接触部分となるように、表面の両端部に45度のテーパー加工を施したものを用いた。この結果、シートの両端に非接触部分を設けない加熱ロールと比較して剥離性の低下を大幅に防止することができた。
【０００９】
すなわち、当初、成形ドラム金型でのシート吸引圧力は、非接触部分を設けない加熱ロール13も、非接触部分を設けた加熱ロール３も-740±５mmHgでほぼ同じであったが、約 360時間（１日18時間×20日）使用後には、非接触部分を設けない加熱ロール13を用いたものは、シート剥離位置が徐々にＢへと移動し、成形ドラム金型でのシート吸引圧力は-650〜-700mmHgで、成形上問題のあるレベルにまで不安定になってしまったのに対し、非接触部分を設けた加熱ロール３を用いたものは、約 760時間（１日18時間×40日）使用後でもシート剥離位置はＡのまま保持しており、成形ドラム金型でのシート吸引力も-730±10mmHgと高い値を示した。
【００１０】
【発明の効果】
本発明のキャリアテープの製造方法によれば、加熱ロールの表面両端部におけるスリット時のバリの付着を防止し、加熱ロールの剥離性低下に起因する、凹部の形状および成形ピッチ不良の発生を長期間防止して製品の品質を向上させるとともに、製造装置のメンテナンス回数の削減にも大きく貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による成形ドラム金型を用いたキャリアテープの製造方法を示す模式図である。
【図２】本発明の方法で製造したキャリアテープの一例を示す部分斜視図である。
【図３】本発明の方法で用いる加熱ロールの側面図である。
【図４】従来の成形ドラム金型を用いたキャリアテープの製造方法を示す模式図である。
【図５】従来の方法で製造したキャリアテープの部分平面図である。
【図６】従来の方法で用いた加熱ロールの側面図である。
【符号の説明】
１、11…シート、
２、12…予備加熱ロール、
３………非接触部分を設けた加熱ロール、
13………非接触部分を設けない加熱ロール、
４、14…成形ドラム金型、
５、15…凹部、
６、16…スプロケット孔、
７、17…凹部底部孔、
８、18…キャリアテープ、
19………成形不良の凹部、
Ｐ………凹部成形ピッチ、
Ａ、Ｂ…シートの剥離位置。

Claims (1)

1. 一定幅にスリットされた熱可塑性プラスチックシートを加熱ロールで軟化させた後、成形ドラム金型で電子部品収納用の凹部を成形するキャリアテープの製造方法において、加熱ロールの表面両端部にテーパー加工を施し、熱可塑性プラスチックシートの両端と加熱ロール表面とを非接触にすることを特徴とするキャリアテープの製造方法。

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