JP5736759B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関から排出される排気中に含まれる粒子状物質をフィルタによって捕集するとともに、堆積した粒子状物質を燃焼除去してフィルタを再生するようにした内燃機関の排気浄化装置に関するものである。
車両に搭載された内燃機関の排気を浄化する装置として、同排気中に含まれる粒子状物質(Particulate Matter: PM)を排気通路途中のフィルタによって捕集するものが知られている。この排気浄化装置では、捕集されたPMの堆積量が増大するにつれてフィルタでの圧力損失が増大し、これに伴う内燃機関の排気背圧増大によって機関出力低下や燃費の低下を招く。
そこで、フィルタに捕集されたPMの捕集量(堆積量)が所定値に達すると、フィルタの温度に関わるパラメータが閾値よりも高いことを少なくとも条件の1つとして、フィルタの温度を高温化することによってPMを酸化(燃焼)してフィルタを再生する制御が行なわれる。このフィルタ再生制御では、例えば、主噴射燃料噴射(メイン噴射)後に少量の燃料を副次的に噴射(ポスト噴射)することで、フィルタの排気上流側の酸化触媒の温度(排気温)を上昇させる。その後に、フィルタ再生用のポスト噴射を実行し、フィルタに堆積したPMを燃焼除去することでフィルタの再生を図っている。なお、上記ポスト噴射は、フィルタに堆積したPMが燃焼除去された旨判断されることをもって停止される。
ここで、フィルタ再生制御の実行条件に関わる上記閾値が高く設定されると、PMが燃焼されてフィルタの再生が良好に行なわれる反面、フィルタの再生の頻度が低くなる。これとは逆に、上記閾値が低く設定されると、フィルタの再生の頻度が高くなる反面、フィルタの温度が充分に高くならず、ポスト噴射を行なっている割にPMが燃焼除去されない現象、いわゆるフィルタの再生不良が起こるおそれがある。このように、閾値の設定の仕方によっては、フィルタの再生不良を招くことがある。
また、ポスト噴射が行なわれると、その噴射された燃料の一部がピストン及びシリンダ間を通ってオイルパンに流下して機関オイルを稀釈するところ、上記フィルタの再生不良が生ずると、PMが燃焼除去されにくいことからポスト噴射が長い時間にわたり継続され、機関オイルの稀釈が進行する。また、フィルタの再生不良時には、内燃機関自体や機関オイルの温度が低く、ポスト噴射された燃料が揮発しにくいこと、シリンダ壁面に付着しピストンに掻き落とされてオイルパンに流下する燃料が多くなること等から、機関オイルの稀釈がさらに進行する。オイル稀釈が進行すると、内燃機関の各摺動部での油膜切れや、機関オイルの油面上昇が起こり得る。
そこで、こうした再生不良が生じていることを運転者に報知し、さらには、この再生不良を解消するための操作を運転者に促すために、DPFランプを点灯したり点滅したりすることが行なわれる。上記操作としては、例えば、フィルタの再生に適した車両走行をするための運転操作が挙げられる。運転者がこの操作を行なうことで、フィルタの温度が上昇し、PMが燃焼除去されてフィルタが適正に再生されるようになる。なお、運転者の操作により行なわれるフィルタの再生制御と、そうでない再生制御とを区別するために、前者は「手動再生制御」と呼ばれ、後者は「自動再生制御」と呼ばれる。
上記のような自動再生制御及び手動再生制御を行なう技術としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。同特許文献1では、自動再生制御を行なうか手動再生制御を行なうかを、車両の走行距離に対するフィルタの再生回数に基づいて判定するようにしている。すなわち、再生回数が閾値よりも小さいときには自動再生制御を行なうべきと判定し、同再生回数が閾値以上のときには手動再生制御を行なうべきと判定する。手動再生制御を行なうべきと判定した場合には、DPFランプを点滅させることで、車両の走行を停止し、手動再生スイッチをオン操作することを運転者に促すようにしている。こうした判定を行なうことにより、特許文献1では、手動再生スイッチの操作による手動再生の頻度を低減して、運転者の操作性向上を図っている。
特開2005−299438号公報
ところが、上記特許文献1に記載された技術は、DPFランプの点滅による手動再生の煩わしさを解消することを目的に行なわれるものである。この観点から、特許文献1では、再生不良が生じたときに直ちに再生不良と判定してDPFランプを点滅するというよりも、再生不良がある程度進行したときに再生不良と判定してDPFランプを点滅させるものと考えられる。そのため、再生不良が生じていないときには再生不良と判定せず、再生不良が生じているときに直ちに再生不良と判定するといった適切な判定を行なうことが難しい。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、フィルタが再生不良であるかどうかを適切に判定することのできる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の排気通路に配置され、同内燃機関から排出される排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、前記内燃機関の主噴射燃料噴射後に再生燃料噴射を行なって、前記フィルタに堆積した粒子状物質を燃焼除去するフィルタ再生制御を行なうフィルタ再生制御手段と、前記フィルタ再生制御手段による前記フィルタの再生継続時間を計時するとともに、前記再生継続時間が経過するまでに前記フィルタ再生制御により燃焼除去される前記粒子状物質の燃焼量を機関運転状態に基づき推定し、前記再生継続時間と前記燃焼量とに基づき前記フィルタが再生不良であるかどうかを判定する判定手段とを備えることを要旨とする。
ここで、再生継続時間は、フィルタに堆積した粒子状物質が燃焼除去されて所定の量に減少するまでにフィルタ再生制御が行なわれる時間の積算値であり、フィルタ再生制御が一時的に停止された場合、その停止時間は再生継続時間に含まれない。
上記の構成によれば、内燃機関から排出される排気中の粒子状物質は、排気通路に配置されたフィルタによって捕集される。一方で、捕集された粒子状物質が堆積したフィルタは、フィルタ再生制御手段のフィルタ再生制御によって再生を図られる。このフィルタ再生制御では、内燃機関の主噴射燃料噴射後に再生燃料噴射が行なわれる。この再生燃料噴射された燃料によりフィルタの温度が上昇し、同フィルタに堆積した粒子状物質が燃焼除去される。
ここで、内燃機関が粒子状物質の燃焼除去に適した運転状態にあって、フィルタの再生不良が起こっていなければ、フィルタに堆積した粒子状物質のうち燃焼除去されるものは、再生継続時間が長くなるに従い多くなるはずである。燃焼除去される粒子状物質の量が再生継続時間の割に多くならなければ、内燃機関が粒子状物質の燃焼除去に適した運転状態になく、粒子状物質が充分に燃焼していない状況、いわゆるフィルタの再生不良が生じているものと考えられる。
このように、フィルタの再生継続時間と、その再生継続時間経過までに、フィルタ再生制御により燃焼除去される粒子状物質の燃焼量と、フィルタの再生不良の有無との間には相関関係が見られる。
従って、請求項1に記載の発明によるように、計時された再生継続時間と、その再生継続時間が経過するまでに燃焼除去される粒子状物質の燃焼量とに基づくことにより、判定手段において、再生不良が生じていないときには再生不良と判定せず、再生不良が生じているときに直ちに再生不良と判定するといった適切な判定を行なうことが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記判定手段は、前記再生継続時間が経過するまでに燃焼除去される前記粒子状物質の量についての許容範囲の最小値を再生不良判定閾値とし、同再生不良判定閾値と、推定した前記粒子状物質の前記燃焼量とに基づき、前記フィルタが再生不良であるかどうかを判定するものであることを要旨とする。
ここで、内燃機関が粒子状物質の燃焼除去に適した運転状態にあって、フィルタの再生不良が起こっていなければ、再生継続時間が経過するまでに燃焼除去される粒子状物質の量についての許容範囲の最小値は、その再生継続時間が長くなるに従い多くなるはずである。
再生継続時間が経過するまでに燃焼除去される粒子状物質の燃焼量が上記許容範囲の最小値に満たなければ、内燃機関が粒子状物質の燃焼除去に適した運転状態になく、フィルタの温度が充分上昇せず、粒子状物質が充分に燃焼していない状況(フィルタの再生不良)が生じているものと考えられる。
このように、再生継続時間が経過するまでに燃焼除去される粒子状物質の量についての許容範囲の最小値と、その再生継続時間が経過するまでに、フィルタ再生制御により燃焼除去される粒子状物質の燃焼量と、フィルタの再生不良の有無との間には相関関係が見られる。
この点、請求項2に記載の発明では、フィルタの再生不良の有無についての判定を行なう際に、再生継続時間が経過するまでに燃焼除去される粒子状物質の量についての許容範囲の最小値が再生不良判定閾値とされる。そして、この再生不良判定閾値と、上記再生継続時間が経過するまでに、フィルタ再生制御により燃焼除去される粒子状物質の燃焼量とに基づき、フィルタの再生不良の有無が判定される。従って、フィルタの再生不良の有無についての判定をより正確に行なうことが可能となり、上記請求項1に記載の発明の効果がより確実に得られるようになる。
なお、上記請求項2に記載の発明における判定手段の判定は、例えば、請求項3に記載の発明によるように、前記再生継続時間と前記粒子状物質の燃焼量とから得られる値が前記再生不良判定閾値よりも小さいと再生不良と判定するものであってもよい。
この判定の内容は、上述した、再生継続時間が経過するまでに燃焼除去される粒子状物質の量についての許容範囲の最小値と、その再生継続時間が経過するまでにフィルタ再生制御により燃焼除去される粒子状物質の燃焼量と、フィルタの再生不良の有無との間に見られる上記相関関係に沿ったものである。従って、上記内容の判定が判定手段によって行なわれることで、請求項2に記載の発明の効果が好適に得られる。
また、上記請求項に記載の発明は、前記判定手段により前記フィルタが再生不良であると判定されたときに、前記フィルタの温度に関わるパラメータを上昇させるための操作を運転者に促す報知手段をさらに備える。
上記の構成によれば、判定手段によりフィルタが再生不良であると判定された場合には、報知手段により、フィルタの温度に関わるパラメータを上昇させるための操作が運転者に促される。そのため、運転者は、フィルタの再生不良が起こっていること、及び、フィルタの温度に関わるパラメータを上昇させるための操作をなすべきことに気付かされる。その後、運転者により上記の操作が行なわれて、内燃機関が粒子状物質の燃焼除去に適した運転状態になると、フィルタ再生制御が継続して行なわれることにより再生不良の解消が可能となる。
さらに、上記請求項に記載の発明は、前記フィルタ再生制御手段は、前記フィルタの温度に関わるパラメータが閾値よりも高いことを少なくとも条件の1つとして前記フィルタ再生制御を行なうものであり、前記報知手段の作動時には、前記閾値を高い値に変更すること要旨とする。
上記の構成によれば、報知手段の作動時には、フィルタ再生制御手段において、フィルタ再生制御の実行の可否を判断する際に用いられる閾値が高い値に変更される。
従って、報知手段の作動に応じ、運転者により、フィルタの温度に関わるパラメータを上昇させるための操作が行なわれて、その内燃機関が、粒子状物質の燃焼除去に適した運転状態になって、フィルタの温度に関わるパラメータが、変更後の閾値よりも高くなった場合に限り、フィルタ再生制御が継続して行なわれる。このフィルタ再生制御により、フィルタの温度が上昇し、粒子状物質が燃焼除去され、フィルタの再生不良が解消されるようになる。
これに対し、報知手段が作動しても、運転者による上記操作が行なわれず、同内燃機関が、粒子状物質の燃焼除去に適した運転状態にならず、フィルタの温度に関わるパラメータが、変更後の閾値よりも高くならない場合には、フィルタ再生制御が行なわれない。
ここで、内燃機関の主噴射燃料噴射後に再生燃料噴射が行なわれると、その噴射された燃料の一部が機関オイルに混入して同機関オイルを稀釈するところ、上記フィルタの再生不良が生ずると、粒子状物質が燃焼除去されにくいことから再生燃料噴射が長い期間にわたり継続され、機関オイルの稀釈が進行する。また、フィルタの再生不良時には、内燃機関自体や機関オイルの温度が低く、再生燃料噴射された燃料が揮発しにくいこと、シリンダ壁面に付着しピストンに掻き落とされてオイルパンに流下する燃料が多くなること等から、機関オイルの稀釈がさらに進行する。
しかし、請求項に記載の発明では、上記のように、報知手段が作動しても、内燃機関が粒子状物質の燃焼除去に適した運転状態にならない場合には、フィルタ再生制御(再生燃料噴射)が行なわれないことから、燃料の機関オイルへの混入によるオイル稀釈が抑制される。このように、フィルタの再生と機関オイルの稀釈抑制との両立が図られる。
本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置の一実施形態について、その適用対象となるディーゼル機関を模式的に示す概略構成図。 PM発生量pmeの決定に用いられるマップのマップ構造を示す略図。 PM燃焼量pmcの決定に用いられるマップのマップ構造を示す略図。 DPFランプの点灯を制御する手順を示すフローチャート。 再生継続時間と、PM燃焼量及び再生不良判定閾値との関係を示す特性図。 DPF再生制御への移行可否を判定する手順を示すフローチャート。
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両には、その駆動源として内燃機関が搭載されている。ここでは、内燃機関としてディーゼル機関10が採用されている。
ディーゼル機関10には、気筒毎の燃焼室11内に燃料を噴射する燃料噴射弁12が設けられている。各燃料噴射弁12は、燃料タンク13からサプライポンプ14に至り、かつそのサプライポンプ14を通じて加圧されてコモンレール15に蓄圧された燃料を、燃焼室11に噴射する。また、燃焼室11内では、吸気通路16を通じて導入される吸入空気と上記燃料噴射弁12から噴射される燃料とからなる混合気が燃焼されるとともに、同混合気の燃焼後の排気が排気通路17へ排出される。そして、この混合気の燃焼に伴うピストン18の直線往復運動がコンロッド(図示略)を介してクランクシャフト19の回転運動に変換されることによって、当該機関10としての動力が得られる。
一方、ディーゼル機関10には、上記排気通路17を流れる排気を浄化するための排気浄化装置が設けられている。排気浄化装置は、排気通路17の途中に配置された酸化触媒コンバータ(以下「CCO」という)21と、同排気通路17においてCCO21の下流側に配置されたディーゼル・パティキュレート・フィルタ(以下「DPF」という)22とを備えている。CCO21は、排気中の未燃燃料の酸化反応を促進させる触媒であり、排気温の昇温に用いられる。DPF22は、多孔質材によって形成されており、煤を主成分とする粒子状物質(以下「PM」という)を捕集する。
車両の室内には、上記DPF22の再生不良(これについては後述する)が生じたときに、その旨を報知する報知手段として、DPFランプ23が設けられている。このDPFランプ23は、DPF22の再生が適正に行なわれているときには消灯し、再生不良の発生に応じて点灯する。
車両には、ディーゼル機関10の運転状態や、車両走行状態を検出するための各種センサが設けられている。各種センサには以下のものが含まれている。
・吸気通路16内の空気の流量を吸入空気量Gaとして検出するエアフロメータ31。
・クランクシャフト19の回転速度を機関回転速度NEとして検出する回転速度センサ32。
・排気通路17において、CCO21の上流側に配置されて、排気の空燃比(A/F)を検出するA/Fセンサ33。
・排気通路17において、CCO21の上流側に配置されて、同CCO21に流入する排気の温度をCCO前排気温として検出する第1排気温センサ34。
・排気通路17において、CCO21とDPF22との間に配置されて、DPF22に流入する排気の温度をDPF前排気温Thegとして検出する第2排気温センサ35。
・排気通路17において、DPF22の上流側圧力と下流側圧力との差(DPF22前後の差圧ΔP)を検出する差圧センサ36。
・車両の走行速度を検出する車速センサ37。
上記各種センサ31〜37の出力信号は電子制御装置41に入力される。電子制御装置41は、演算処理装置(CPU)、プログラムメモリ(ROM)、データメモリ(RAM)、バックアップRAM等を備えている。ROMには、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各センサ31〜37から入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリである。バックアップRAMは、ディーゼル機関10の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
この電子制御装置41は、上記各種センサ31〜37の出力信号に基づいて、ディーゼル機関10の運転に関する各種状態量を求める。そして、それら求めた状態量に基づいて燃料噴射弁12、サプライポンプ14、DPFランプ23等を駆動して、上記燃焼室11内への燃料噴射量を制御するための燃料噴射量制御、上記DPF22の浄化機能を維持するためのフィルタ再生制御としてのDPF再生制御、DPFランプ23の点灯制御等を実行する。
DPF再生制御は、DPF22で捕集されて堆積するPMがディーゼル機関10の運転時間とともに増加していくと、排気の流通抵抗が増大し、背圧が上昇し機関出力が低下するため、PMを酸化により除去してDPF22を再生させるために行なわれる制御である。この電子制御装置41によるDPF再生制御は、特許請求の範囲における「フィルタ再生制御手段」に相当する。
このDPF再生制御に際しては、ディーゼル機関10の運転中に、DPF22に堆積するPMの量(PM堆積量)が推定される。
PM堆積量の推定処理としては、(I)機関運転状態に基づくものと、(II)差圧ΔPに基づくものとがある。
(I)機関運転状態に基づくPM堆積量の推定処理
この推定処理では、PM発生量pme及びPM燃焼量pmcが用いられて推定PM堆積量PMsが算出される。
ここで、PM発生量pmeは、単位時間当たり(例えば推定処理の1制御周期の間)にディーゼル機関10の全燃焼室11から排出されるPMの量である。PM発生量pmeは、回転速度センサ32によって検出される機関回転速度NE及び燃料噴射量Qv(指令値)に基づいて算出される。この算出に際しては、例えば、図2のマップが参照される。このマップは、機関回転速度NE及び燃料噴射量Qvをパラメータとし、PM発生量pmeを実験、計算等によって求めた値をマップ化したものであって、電子制御装置41のROMに記憶されている。なお、図2のマップにおいて、機関回転速度NE及び燃料噴射量Qvがマップ上の各ポイント間の値になるときには、補間処理によってPM発生量pmeが算出される。
一方、PM燃焼量pmcは、単位時間当たり(例えば推定処理の1制御周期の間)にDPF22に堆積されているPMが酸化燃焼される量である。PM燃焼量pmcは、第2排気温センサ35によって検出されるDPF前排気温Theg(DPF22の温度に相当)、及びエアフロメータ31によって検出される吸入空気量Gaに基づいて算出される。この算出に際しては、例えば、図3のマップが参照される。このマップは、DPF前排気温Theg及び吸入空気量Gaをパラメータとし、PM燃焼量pmcを実験、計算等によって求めた値をマップ化したものであって、電子制御装置41のROMに記憶されている。なお、図3のマップにおいて、DPF前排気温Theg及び吸入空気量Gaがマップ上の各ポイント間の値になるときには、補間処理によってPM燃焼量pmcが算出される。
そして、これらPM発生量pme及びPM燃焼量pmcが用いられ、次式(1)に従って、推定PM堆積量PMsが逐次算出(積算)される。
PMs←PMs(前回値)+pme−pmc・・・(1)
なお、フィルタ再生開始時のPMs(前回値)は、再生開始判定値に相当する値である。
(II)差圧ΔPに基づくPM堆積量の推定処理
排気浄化装置においては、DPF22へのPMの堆積が進行するに従って、その堆積されたPMが排気の流れの妨げとなり、排気の流動抵抗が増加する。これに伴って排気通路17に配置されたDPF22の上流側の排気圧力と下流側の排気圧力との差圧ΔPが大きくなる。このDPF22前後の差圧ΔPは、DPF22に堆積したPMの燃焼除去が進行して、DPF22に堆積しているPM堆積量が減少するに従って小さくなる。このように、DPF22前後の差圧ΔPと、DPF22に堆積しているPM堆積量との間に相関関係が見られるので、差圧ΔPからDPF22のPM堆積量を推定することが可能である。
この点に着目し、差圧センサ36によって検出される差圧ΔPに基づいてマップ(図示略)を参照して、DPF22に捕集されたPMの堆積量(推定PM堆積量PMd)を推定する。このマップは、上記したDPF22前後の差圧ΔPとPM堆積量との相関関係を考慮して、実験・計算等によって適合した値をマップ化したものであって、電子制御装置41のROMに記憶されている。
そして、上記(I),(II)の2つの推定処理にて推定される推定PM堆積量PMs,PMdのうち、いずれか一方が再生開始判定値(限界堆積量に相当する値)に達すること、及びDPF22の温度に関わるパラメータが閾値よりも高いことを含む所定の再生実行条件が満たされると、DPF再生制御が開始される。DPF22の温度に関わるパラメータには、CCO前排気温(CCO21に流入する排気の温度)、DPF前排気温Theg(DPF22に流入する排気の温度)、車速等が含まれている。なお、車速は、DPF22の温度に直接関わるパラメータとは言い難い。しかし、車両の低負荷走行時、低速走行時等には、ディーゼル機関10から排出される排気の温度が低く、DPF22の温度が高くなりにくい。つまり、車速とDPF22の温度との間には相関関係が見られる。そのため、車速についても、DPF22の温度に関わるパラメータとされている。
なお、上記のように、PM堆積量を推定するために、2種類の推定処理を行なっているのは、DPF22の再生開始判定の信頼性を高めるためである。
上記DPF再生制御が開始されると、機関運転のための燃料噴射(燃料噴射弁12から燃焼室11への燃料噴射)である主噴射燃料噴射(メイン噴射)を行なった後に、CCO昇温燃料噴射(ポスト噴射)を実行する。このCCO昇温燃料噴射によって燃料噴射弁12から噴射された燃料は、排気通路17に送出されてCCO21に達する。CCO21に燃料成分が到達すると、HCやCO等の成分が排気中や触媒上で酸化される。この酸化に伴う発熱により、CCO21の温度(排気温)が上昇し、この温度上昇によってDPF22の温度が上昇する。そして、このようなCCO昇温燃料噴射を行なった後に、所定のタイミングで再生燃料噴射としてのDPF再生燃料噴射(ポスト噴射)を実行することにより、DPF22に堆積したPMが燃焼除去され、DPF22のPM堆積量が減少していき、DPF22が再生される。
上記DPF再生制御は、機関運転状態に基づく推定PM堆積量PMsが再生完了判定値にまで減少することをもって停止される。
ここで、DPF再生制御の実行条件に関わる上記閾値が高く設定されると、DPF22の温度が高くなったときにポスト噴射が行なわれるため、PMが燃焼されやすく、DPF22の再生が良好に行なわれる。反面、車両の低負荷走行時、低速走行時等、DPF22の温度が高くなりにくい状況では、ポスト噴射が行なわれなくなり、その分、DPF22の再生の頻度が低くなり、PMの堆積量が増える。
これとは逆に、上記閾値が低く設定されると、車両の低負荷走行時、低速走行時等、DPF22の温度が高くなりにくい状況でもポスト噴射が行なわれ、DPF22の再生の頻度が高くなる。反面、DPF22の温度が充分に高くならず、ポスト噴射を行なっている割にPMが燃焼除去されない現象、いわゆるDPF22の再生不良が起こるおそれがある。このように、閾値の設定の仕方によっては、DPF22の再生不良を招くことがある。
本実施形態では、DPF22の再生頻度を確保することを優先させて、上記閾値として低い値が設定されている。
また、上記ポスト噴射が行なわれると、その噴射された燃料の一部がピストン18及びシリンダ20間を通ってオイルパンに流下して機関オイルを稀釈する。上記DPF22の再生不良が生ずると、PMが燃焼除去されにくいことからポスト噴射が長い時間にわたり継続され、機関オイルの稀釈が進行する。また、DPF22の再生不良時には、ディーゼル機関10自体や機関オイルの温度が低く、ポスト噴射された燃料が揮発しにくい。また、シリンダ20の壁面に付着しピストン18に掻き落とされてオイルパンに流下する燃料が多くなる。これらのことから、機関オイルの稀釈がさらに進行する。オイル稀釈が進行すると、ディーゼル機関10の各摺動部での油膜切れや、機関オイルの油面上昇が起こり得る。
そこで、こうした再生不良が生じていることを運転者に報知し、さらには、この再生不良を解消するための操作を運転者に促すために、上記DPFランプ23を点灯することが行なわれる。上記操作としては、例えば、DPF22の再生に適した車両走行をするための運転操作が挙げられる。例を挙げると、変速位置として、変速機に例えば5つの変速段が設定されている場合には、3速(3rd)を選択し、車速が60km/h以上となるようにアクセル操作を行なうことである。運転者がこの操作を行なうことで、機関負荷が増大して排気温ひいてはDPF22の温度が上昇し、PMが燃焼除去されてDPF22が適正に再生されるようになる。
なお、電子制御装置41は、DPF再生制御の実施に伴い、その再生制御の継続時間(再生継続時間)をタイマカウンタによって計時する。ここで、再生継続時間は、DPF22に堆積したPMが燃焼除去されるまでにDPF再生制御が行なわれる時間の積算値であり、フィルタ再生制御が一時的に停止された場合、その停止時間は再生継続時間に含まれない。
また、電子制御装置41は、上記再生継続時間を計時しているときには、上記のようにして機関運転状態(機関回転速度NE及び燃料噴射量Qv)に基づいて算出したPM燃焼量pmcを、一定時間おきに積算する処理を行なう。この処理を行なうことで、電子制御装置41は、上記再生継続時間が経過するまでに、DPF再生制御により燃焼除去されるPMの燃焼量を推定するようにしている。
次に、前記のように構成された本実施形態の作用について説明する。
図4のフローチャートは、電子制御装置41が実行する各処理のうち、DPFランプ23を点灯させる制御を行なうための「DPFランプ点灯制御ルーチン」を示している。このルーチンは、ディーゼル機関10の運転中、所定の演算周期をもって(例えば、所定時間経過毎に)繰り返し実行される。
このルーチンが開始されると、電子制御装置41はまずステップ100において、その時点でのPM堆積量を読込み、これがDPF点灯閾値αよりも多いか否かを判定する。PM堆積量としては、前述した推定処理に従って推定されたものが用いられる。DPF点灯閾値αは、上述した再生実行条件のうち再生開始判定値(限界堆積量)よりも大きな値に設定されている。DPF再生制御によりPMが適正に燃焼されてDPF22が再生されていれば、PM堆積量が再生開始判定値(限界堆積量)を多少超えることはあっても、DPF点灯閾値αを超えることは起こりにくい。逆に、DPF再生制御を行なっているにも拘わらずPM堆積量がDPF点灯閾値αを超えるようなことがあれば、DPF22の再生が適正に行なわれていないと考えられる。
このような観点から、ステップ100の判定条件が満たされていると、DPF22の再生不良が生じている可能性が高いことから、ステップ110においてDPFランプ23を点灯させ、その後にこのDPFランプ点灯制御ルーチンを終了する。ステップ110でのDPFランプ23の点灯により、DPF22の温度に関わるパラメータを上昇させるための操作が運転者に促される。そのため、運転者は、DPF22の再生不良が起こっていること、及び、DPF22の温度に関わるパラメータを上昇させるための操作をなすべきことに気付かされる。その後、運転者により上記の操作が行なわれて、ディーゼル機関10が、PMの燃焼除去に適した運転状態になると、DPF再生制御が継続されることにより、再生不良の解消が可能となる。
これに対し、ステップ100の判定条件が満たされていないと、ステップ120へ移行する。ステップ120では、DPF再生制御中に行なわれるイグニションキー(図4ではIGと表記)のオン−オフの操作回数(ディーゼル機関10の運転・停止の回数)が閾値βよりも大きいか否かを判定する。
DPF再生制御中におけるイグニションキーのオン−オフ操作の回数が少なければ、そのことがPMの燃焼除去に及ぼす影響が小さく、DPF再生制御が適正に行なわれるものと考えられる。逆に、DPF再生制御中にイグニションキーのオン−オフ操作が何回も行なわれると、排気温、ひいてはDPF22の温度があまり上がらず、ポスト噴射が行なわれてもPMが充分燃焼されず、DPF22の再生が適正に行なわれにくいと考えられる。
このような観点から、たとえPM堆積量がDPF点灯閾値α以下であっても(ステップ100:NO)、ステップ120の判定条件が満たされていると、DPF22の温度が低くPMの再生不良が生じている可能性が高いことから、上述したステップ110へ移行する。これに対し、ステップ120の判定条件が満たされていないと、次のステップ130へ移行する。
ここで、ディーゼル機関10がPMの燃焼除去に適した運転状態にあって、DPF22の再生不良が起こっていなければ、DPF22に堆積したPMのうち燃焼除去されるものの量(PM燃焼量)は、図5において実線で示すように、再生継続時間が長くなるに従い多くなる。これに伴い、再生継続時間が経過するまでに燃焼除去されるPMの量についての許容範囲の最小値は、その再生継続時間が長くなるに従い多くなるはずである。
燃焼除去されるPMの量が再生継続時間の割に多くならなければ、すなわち、再生継続時間が経過するまでに燃焼除去されるPMの燃焼量が上記許容範囲の最小値に満たなければ、ディーゼル機関10がPMの燃焼除去に適した運転状態にない。そのため、DPF22の温度が充分上昇せず、PMが充分に燃焼していない状況、いわゆるDPF22の再生不良が生じているものと考えられる。
このように、DPF22の再生継続時間と、その再生継続時間経過までに、DPF再生制御により燃焼除去されるPM燃焼量と、DPF22の再生不良の有無との間には相関関係が見られる。これに伴い、再生継続時間が経過するまでに燃焼除去されるPMの量についての許容範囲の最小値と、その再生継続時間が経過するまでに、フィルタ再生制御により燃焼除去されるPM燃焼量と、DPF22の再生不良の有無との間には相関関係が見られる。
このような観点から、ステップ130では、上述したPM燃焼量の積算値、すなわち、再生継続時間が経過するまでにDPF再生制御により燃焼除去されるPM燃焼量を、再生継続時間とPMの燃焼量とから得られる値とし、これが再生不良判定閾値γよりも少ないか否かを判定する。ここで、再生不良判定閾値γとしては、上述した再生継続時間が経過するまでに燃焼除去されるPMの量についての許容範囲の最小値が用いられる。本実施形態では、再生継続時間毎の再生不良判定閾値γが実験、計算等によって求められて設定されている。この設定に際しては、ポスト噴射された燃料による機関オイルの稀釈が許容範囲内に収まる値であることも考慮されている。この再生不良判定閾値γは、再生継続時間が短いときには小さな値を採り、再生継続時間が長くなるに従い徐々に大きな値になる。そして、ステップ130では、タイマカウンタによって計時された、そのときの再生継続時間に対応する再生不良判定閾値γが、PM燃焼量との比較のための再生不良判定閾値γとして用いられる。
前記ステップ130の判定条件が満たされていると、PM堆積量がDPF点灯閾値α以下(ステップ100:NO)であり、イグニションキーのオン−オフ操作の回数が閾値β以下(ステップ120:NO)であるが、DPF22の再生不良が生じていてポスト噴射された燃料による機関オイルの稀釈が進行しているとしてステップ110へ移行する。
これに対し、ステップ130の判定条件が満たされていないと、ディーゼル機関10がPMの燃焼除去に適した運転状態にあり、DPF22に再生不良が生じている可能性が低いとして、上記ステップ110の処理を行なうことなく、図4のDPFランプ点灯制御ルーチンを終了する。この場合には、DPFランプ23は消灯した状態に維持される。
上記図4の「DPFランプ点灯制御ルーチン」においては、電子制御装置41によるステップ130の処理が、特許請求の範囲における判定手段に相当する。
次に、図6のフローチャートは、電子制御装置41が実行する各処理のうち、DPFランプ23が点灯された場合に、DPF再生制御への移行可否を判定等するためのルーチンを示している。このルーチンは、ディーゼル機関10の運転中、所定の演算周期をもって(例えば、所定時間経過毎に)繰り返し実行される。
このルーチンが開始されると、電子制御装置41はまずステップ200において、DPFランプ23が点灯されているかどうかを判定する。この判定条件が満たされていない(DPFランプ23消灯)と、DPF22の再生不良の可能性が低いことから、ステップ240において、DPF再生制御へ移行することを許可する。この許可により、DPF22の温度に関わるパラメータが閾値よりも高いことを含む所定の再生実行条件が満たされていれば、DPF再生制御が継続される。そして、このステップ240の処理を経た後に、図6のDPF再生制御への移行可否判定ルーチンを終了する。
これに対し、上記ステップ200の判定条件が満たされている(DPFランプ23点灯)と、続くステップ210〜230において、DPF22の温度に関わるパラメータが再生禁止閾値A〜Cよりも高いかどうかを判定する。
具体的には、ステップ210では、第1排気温センサ34によるCCO前排気温が再生禁止閾値Aよりも高いかどうかを判定する。ステップ220では、第2排気温センサ35によるDPF前排気温Thegが再生禁止閾値Bよりも高いかどうかを判定する。ステップ230では、車速センサ37による車速が再生禁止閾値Cよりも高いかどうかを判定する。
各再生禁止閾値A〜Cは、通常時、すなわちDPF22の消灯時において、DPF再生制御を開始するかどうかを決定する際に用いられる閾値よりも高い値に設定されている。すなわち、DPF再生制御は、DPF22の温度に関わるパラメータが閾値よりも高いことを少なくとも条件の1つとして行なわれるものであるが、DPF22が再生不良であると判定されてDPFランプ23が点灯された場合には、閾値が高い値(再生禁止閾値A〜C)に変更される。DPF22の温度に関わるパラメータが、この変更後の閾値(再生禁止閾値A〜C)よりも高いことを少なくとも条件の1つとしてDPF再生制御が行なわれることとなる。
そして、上記ステップ210〜230の判定条件が全て満たされた場合に限り、上述したステップ240へ移行する。すなわち、DPF22が再生不良であると判定されてDPFランプ23が点灯されたとき(ステップ200:YES)には、その後に、運転者により、DPF22の温度に関わるパラメータを上昇させるための操作が行なわれる場合と、行なわれない場合とがある。同操作が行なわれて、ディーゼル機関10が、PMの燃焼除去に適した運転状態になって、DPF22の温度に関わるパラメータが、変更後の閾値よりも高くなった場合に限り、DPF再生制御が継続して行なわれる。このフィルタ再生制御により、DPF22の温度が上昇してPMが燃焼除去され、DPF22の再生不良が解消されるようになる。
これに対し、上記ステップ210〜230の判定条件が1つでも満たされていないと、ステップ250において、DPF再生制御へ移行するのを禁止する。この移行禁止により、DPF再生制御が行なわれなくなる。すなわち、DPF22が再生不良であると判定されてDPFランプ23が点灯された後に、運転者による上記操作が行なわれず、同ディーゼル機関10がPMの燃焼除去に適した運転状態にならない場合には、DPF再生制御が行なわれなくなる。
そして、このステップ250の処理を経た後に、図6のDPF再生制御への移行可否判定ルーチンを終了する。
ここで、上述したようにDPF22の再生不良が生ずると、PMが燃焼除去されにくいことからDPF再生燃料噴射(ポスト噴射)が長い期間にわたり継続され、機関オイルの稀釈が進行する。また、DPF22の再生不良時には、DPF再生燃料噴射(ポスト噴射)された燃料が揮発しにくいこと、シリンダ20の壁面に付着しピストン18に掻き落とされてオイルパンに流下する燃料が多くなること等から、機関オイルの稀釈がさらに進行する。
しかし、本実施形態では、上記のように、DPF22が再生不良であると判定されてDPFランプ23が点灯された後に、ディーゼル機関10がPMの燃焼除去に適した運転状態にならない場合には、DPF再生制御が行なわれないことから、ポスト噴射された燃料による機関オイルの稀釈が抑制される。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)ディーゼル機関10がPMの燃焼除去に適した運転状態にあって、DPF22の再生不良が起こっていなければ、DPF22に堆積したPMのうち燃焼除去されるものは、再生継続時間が長くなるに従い多くなるはずである。燃焼除去されるPMの量が再生継続時間の割に多くならなければ、ディーゼル機関10がPMの燃焼除去に適した運転状態になく、PMが充分に燃焼していない状況、いわゆるDPF22の再生不良が生じているものと考えられる。
このように、DPF22の再生継続時間と、その再生継続時間経過までに、DPF再生制御により燃焼除去されるPMの燃焼量と、DPF22の再生不良の有無との間には相関関係が見られる。
従って、上記実施形態によるように、計時された再生継続時間と、その再生継続時間が経過するまでに燃焼除去されるPMの燃焼量とに基づくことにより、再生不良が生じていないときには再生不良と判定せず、再生不良が生じているときに直ちに再生不良と判定するといった適切な判定を行なうことができるようになる。
(2)ディーゼル機関10がPMの燃焼除去に適した運転状態にあって、DPF22の再生不良が起こっていなければ、再生継続時間が経過するまでに燃焼除去されるPMの量についての許容範囲の最小値は、その再生継続時間が長くなるに従い大きくなるはずである。
再生継続時間が経過するまでに燃焼除去されるPMの燃焼量が上記許容範囲の最小値に満たなければ、ディーゼル機関10がPMの燃焼除去に適した運転状態になく、DPF22の温度が充分上昇せず、PMが充分に燃焼していない状況(DPF22の再生不良)が生じているものと考えられる。
このように、再生継続時間が経過するまでに燃焼除去されるPMの量についての許容範囲の最小値と、その再生継続時間が経過するまでに、DPF再生制御により燃焼除去されるPMの燃焼量と、DPF22の再生不良の有無との間には相関関係が見られる。
この点、本実施形態では、DPF22の再生不良の有無についての判定を行なう際に、再生継続時間が経過するまでに燃焼除去されるPMの量についての許容範囲の最小値を再生不良判定閾値γとする。この再生不良判定閾値γと、推定したPM燃焼量とに基づき、DPF22が再生不良であるかどうかの判定を行なうようにしている(図4のステップ130)。
そのため、判定をより正確に行なうことが可能となり、上記(1)に記載の効果がより確実に得られるようになる。
(3)上記(2)の判定内容として、再生継続時間とPMの燃焼量とから得られる値(再生継続時間が経過するまでにDPF再生制御により燃焼除去されるPM燃焼量)が再生不良判定閾値γよりも小さい(少ない)と再生不良と判定するようにしている。
この判定内容は、上述した、再生継続時間が経過するまでに燃焼除去されるPMの量についての許容範囲の最小値と、その再生継続時間が経過するまでにDPF再生制御により燃焼除去されるPMの燃焼量と、DPF22の再生不良の有無との間に見られる上記相関関係に沿ったものである。従って、上記内容の判定が行なわれることで、上記(2)の効果が好適に得られる。
(4)DPF22が再生不良であると判定されたときに、DPF22の温度に関わるパラメータを上昇させるための操作を運転者に促す報知手段としてDPFランプ23を設けている(図1)。
このため、DPF22が再生不良であると判定されたときにDPFランプ23を点灯させることで運転者に対し、DPF22の再生不良が起こっていること、及び、DPF22の温度に関わるパラメータを上昇させるための操作をなすべきことを気付かせることができる。
その後、運転者により上記の操作が行なわれて、ディーゼル機関10が、PMの燃焼除去に適した運転状態になると、DPF再生制御が行なわれることにより、再生不良を解消することが可能となる。
(5)DPF再生制御は、DPF22の温度に関わるパラメータが閾値よりも高いことを少なくとも条件の1つとして行なわれるものであるところ、DPF22が再生不良であると判定されてDPFランプ23が点灯されるときには、上記閾値をDPFランプ消灯時よりも高い値(再生禁止閾値A〜C)に変更するようにしている。
このため、DPFランプ23の点灯に応じ、運転者により、DPF22の温度に関わるパラメータを上昇させるための操作が行なわれて、そのディーゼル機関10が、PMの燃焼除去に適した運転状態になって、DPF22の温度に関わるパラメータが、変更後の閾値よりも高くなった場合に限り、DPF再生制御が継続して行なわれる。このDPF再生制御により、DPF22の温度が上昇し、PMが燃焼除去され、DPF22の再生不良を解消することができるようになる。
これに対し、DPFランプ23が点灯しても、運転者による上記操作が行なわれず、同ディーゼル機関10が、PMの燃焼除去に適した運転状態にならない場合には、DPF再生制御が行なわれなくなる。このため、DPF再生制御による不要なポスト噴射を行なわないようにして、ポスト噴射された燃料による機関オイルの希釈を抑制することができる。このように、本実施形態によれば、DPF22の再生と機関オイルの稀釈抑制との両立を図ることができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・報知手段として、DPFランプ23とは異なるもの、例えば音声で報知するものを採用してもよい。
・図4のDPFランプ点灯制御ルーチンにおけるステップ100,120の判定処理の少なくとも一方を省略してもよい。
・図6のDPF再生制御への移行可否判定ルーチンにおけるステップ210〜230の判定処理の1つ又は2つを省略してもよい。
・前記実施形態では、パティキュレートフィルタとしてDPFを用いているが、本発明はこれに限られることなく、DPNR触媒を用いた排気浄化装置にも適用することができる。
・本発明の排気浄化装置は、高い空燃比(リーン雰囲気)の混合気を燃焼に供して機関運転を行なう運転領域が、全運転領域の大部分を占める希薄燃焼式ガソリン機関にも適用可能である。
・本発明の排気浄化装置は、車両用に限らず、その他の用途に使用される内燃機関にも適用可能である。
10…ディーゼル機関(内燃機関)、17…排気通路、22…DPF(フィルタ)、23…DPFランプ(報知手段)、41…電子制御装置(フィルタ再生制御手段及び判定手段)、γ…再生不良判定閾値。

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気通路に配置され、同内燃機関から排出される排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、
    前記内燃機関の主噴射燃料噴射後に再生燃料噴射を行なって、前記フィルタに堆積した粒子状物質を燃焼除去するフィルタ再生制御を行なうフィルタ再生制御手段と、
    前記フィルタ再生制御手段による前記フィルタの再生継続時間を計時するとともに、前記再生継続時間が経過するまでに前記フィルタ再生制御により燃焼除去される前記粒子状物質の燃焼量を機関運転状態に基づき推定し、前記再生継続時間と前記燃焼量とに基づき前記フィルタが再生不良であるかどうかを判定する判定手段と
    前記判定手段により前記フィルタが再生不良であると判定されたときに、前記フィルタの温度に関わるパラメータを上昇させるための操作を運転者に促す報知手段を備え
    前記フィルタ再生制御手段は、前記フィルタの温度に関わるパラメータが閾値よりも高いことを少なくとも条件の1つとして前記フィルタ再生制御を行なうものであり、前記報知手段の作動時には、前記閾値を高い値に変更することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記判定手段は、前記再生継続時間が経過するまでに燃焼除去される前記粒子状物質の量についての許容範囲の最小値を再生不良判定閾値とし、同再生不良判定閾値と、推定した前記粒子状物質の前記燃焼量とに基づき、前記フィルタが再生不良であるかどうかを判定するものである請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記判定手段は、前記再生継続時間と前記粒子状物質の燃焼量とから得られる値が前記再生不良判定閾値よりも小さいと再生不良と判定する請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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