JP5734352B2 - 放電加工用電極線 - Google Patents

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Description

本発明は、一般的には放電加工用電極線に関し、特定的にはタングステンを含む材料からなるワイヤ放電加工用電極線に関するものである。
ワイヤ放電加工機は、成型金型等の精密仕上げ製品の加工に広く使用されている。使用されるワイヤ放電加工用電極線(カットワイヤともいう)としては、真鍮線が最も多く用いられており、高強度ピアノ線も多く用いられている。より高精度な製品の加工には、抗張力を高く保持した状態で、真鍮線やピアノ線よりも細線化が可能なタングステンを含む材料からなる線材がカットワイヤとして用いられている。
従来から、タングステンを含む材料からなるカットワイヤが開発されている。
たとえば、特開平2−109640号公報(以下、特許文献1という)には、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luおよびそれら各々の酸化物を含む群から選ばれた1種以上を少なくとも0.0010〜1.0重量%含み、その残部がタングステンとなっているタングステン合金からなる放電加工用電極線が開示されている。
特開平2−145214号公報(以下、特許文献2という)には、Reを少なくとも0.001〜1.0重量%含み、その残部がタングステンおよび不可避的不純物となっている、タングステン合金からなる放電加工用電極線が開示されている。
特開平6−346171号公報(以下、特許文献3という)には、ワイヤ放電加工用電極線に用いられる酸化物分散型合金が開示されている。この酸化物分散型合金は、高融点金属を母合金とし、この母合金内部に希土類酸化物が均一に分散している。上記の母合金は、タングステンおよびモリブデンのうちの少なくとも1種を含む。上記の希土類酸化物は、酸化セリウムおよび酸化サマリウムのうちの少なくとも1種である。
特開2011−125961号公報(以下、特許文献4という)には、レニウムを0.1質量%以上2質量%以下、酸化ランタン、酸化セリウムおよび酸化イットリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属酸化物を0.1質量%以上1質量%以下、含み、残部がタングステンと不可避的不純物とを含む放電加工用電極線が開示されている。
特開平2−109640号公報 特開平2−145214号公報 特開平6−346171号公報 特開2011−125961号公報
ところで、一般的にカットワイヤに要求される特性としては以下の点を挙げることができる。
(a)加工速度を高めることができること;加工速度を高めるためには放電特性が良好であり、かつカットワイヤに加えられる張力を大きくする必要があるので、カットワイヤが高い抗張力を有すること。
(b)加工精度を高めることができること;カットワイヤの線径が小さく、かつカットワイヤが高い抗張力を備えていること。
(c)抗張力が高いこと;カットワイヤの抗張力が高いと、カットワイヤにたわみを生じさせないように高い張力をカットワイヤに加えることが可能になる。
(d)真直性に優れること;カットワイヤの真直性が優れていると、加工中に断線がカットワイヤに生じる割合を減少させることが可能になるとともに、自動結線の成功率を高めることが可能になる。
(e)放電性能が高いこと;加工が迅速に進み、加工時間の短縮が可能になる。
特に、ワイヤ放電加工が多用される用途として、成型用金型加工がある。たとえば、加工箇所が数か所にわたる多数個抜き金型を加工する場合、1箇所の加工が終わるとカットワイヤを自動的に切断し、別の加工位置へ移動するとともにカットワイヤを自動的に結線させて、加工を再開するプログラムが組まれる。このような長時間の無人運転を可能にするためには、自動結線を安定化させることが重要になる。自動結線を安定化させるためには、カットワイヤに要求される特性としては上記の(d)(真直性に優れること)が特に重要になる。
特許文献1〜4に開示されているように、タングステンを含む材料からなるカットワイヤについて、カットワイヤに要求される特性を改善する試みが多くなされている。
しかし、特許文献1〜4では、上記の(a)、(b)、(c)および(e)を改善するために必要な材料の組成について検討されているが、上記の(d)の改善については検討されていない。
そこで、本発明の目的は、放電加工中に断線が生じ難く、かつ、従来の放電加工用電極線を用いた放電加工よりも自動結線を安定化させることが可能な放電加工用電極線を提供することである。
本発明に従った放電加工用電極線は、セリウム酸化物を0.5質量%以上0.7質量%以下、含み、残部がタングステンと不可避的不純物とからなり、温度20℃における抗張力が3400N/mm2以上であり、長さ500mmの当該放電加工用電極線を鉛直方向に自然に垂らした場合の垂下長が470mmを超える。
本発明の放電加工用電極線において、線径は30μm以上50μm以下であることが好ましい。
また、本発明の放電加工用電極線において、長さ500mmの当該放電加工用電極線を鉛直方向に自然に垂らした場合の垂下幅は15mm以下であることが好ましい。
さらに、本発明の放電加工用電極線において、温度400℃における抗張力は2700N/mm2以上であることが好ましい。
本発明の放電加工用電極線を用いることにより、放電加工中に断線を生じ難くすることができるとともに、従来の放電加工用電極線を用いた放電加工よりも自動結線を安定化させることが可能になる。
本願発明者らは、上記の課題を解決するために種々検討を重ねた結果、放電加工中に断線を生じ難くすることができるとともに、従来の放電加工用電極線を用いた放電加工よりも自動結線を安定化させるためには、放電加工用電極線の抗張力を高めるとともに真直性を良好にする必要があることを見出した。高い抗張力を有し、かつ真直性が良好な放電加工用電極線を得るためには、以下のように製造条件を変更して最適化する必要があることを見出した。
(i)高い抗張力を得るために線引き加工を強加工に変更する。
(ii)強加工に伴って蓄積される線材のひずみを除去するために線引き加工の複数のダイスライン間で行われるアニール処理の温度と時間の条件等を変更する。
(iii)線材の材料としてタングステン以外に含まれる金属酸化物をセリウム酸化物のみとし、その含有量を最適化する。
(iv)最終的に得られる線材の真直性を良好にするために、最終アニール処理の温度を最適化する。
なお、その他の要因として、線引き加工における歩留まり、線材の加工硬化と再結晶温度の相関関係、加工繊維組織等、放電加工電極線の特性に影響を及ぼすいくつかの重要な因子がある。これらの因子を鋭意最適化して、高い抗張力と良好な真直性を有する放電加工用電極線を実現した。
その結果、得られた本発明の放電加工用電極線は、セリウム酸化物を0.5質量%以上0.7質量%以下、含み、残部がタングステンと不可避的不純物とからなり、温度20℃(室温)における抗張力が3400N/mm2以上であり、真直性が500mmの長さに対して470mm以上である。線径は30μm以上50μm以下であることが好ましい。自然垂下時の垂下幅は15mm以下であることが好ましい。温度400℃における抗張力は2700N/mm2以上であることが好ましい。
(抗張力)
純タングステンからなる線径が50μmの放電加工用電極線の温度20℃における抗張力は3000N/mm2程度である。電極線の抗張力が高い値であるほど、放電加工時に高い張力を電極線に加えることが可能であるが、ねじれが発生し、真直性が低下する。そこで、本発明の放電加工用電極線では、タングステンにセリウム酸化物を添加することにより、酸化物分散強化合金の効果によって温度20℃における抗張力を高めることができ、線径が30μmと50μmの電極線で、3400N/mm2以上の抗張力を実現することができた。
400℃近傍の温度域は、放電加工時の電極線の実際の温度に最も近いと考えられる。この温度域における抗張力は、温度20℃における抗張力の値の約80%であることが知られており、本発明の放電加工用電極線の温度400℃における抗張力は2700N/mm2以上である。
なお、抗張力の測定方法は、タングステン・モリブデン工業会規格 TMIAS0201:2010(タングステン・モリブデン線及び棒の試験方法)に準拠する。
(真直性)
(自然垂下長)
真直性を有する線は「長さ500mmの線の自然垂下長が450mm以上でなければならない」とタングステン・モリブデン工業会規格TMIAS1201:2010「タングステン線及び棒」で規定されている。本発明の放電加工用電極線において、長さ500mmの電極線の自然垂下長が470mmを超えるということは、長さ500mmの電極線を鉛直方向に自然に垂らした場合に鉛直方向に平行に延びる線材の長さ(自然垂下長)が470mmを超えることである。
なお、真直性の測定方法は、タングステン・モリブデン工業会規格 TMIAS0201:2010(タングステン・モリブデン線及び棒の試験方法)に準拠する。
(垂下幅)
垂下幅の測定は、真直性(自然垂下長)の測定時に同時に測定することができる。長さ500mmの電極線を鉛直方向に自然に垂らした場合の垂下幅とは、長さ500mmの電極線を鉛直方向に自然に垂らした場合に最下方に位置する先端縁が鉛直線から外れている距離の最大値(最大振れ幅)をいう。電極線の背後に配置された方眼紙によって垂下幅を1mm単位で読み取る。
(線径)
ワイヤ放電加工機で多用されている真鍮製の放電加工用電極線の最小線径は70μmである(株式会社ソディック製ワイヤ放電加工機の場合)。タングステン含有材料からなる放電加工用電極線は、より一層の精細な加工が必要な場合に使用される例が多く、線径が30μm、50μmのものが用いられている。本発明の放電加工用電極線では、高い抗張力と良好な真直性とを兼ね備えるには、線径は30μm以上50μm以下であることが好ましい。
(セリウム酸化物の含有量)
セリウム酸化物は、放電加工用電極線の室温(20℃)と高温(400℃)での抗張力を向上させるとともに、放電加工時の放電特性を向上させるために、タングステンに添加される。セリウム酸化物の含有量が0.5質量%未満であると、温度20℃において3400N/mm2以上の抗張力を実現することができない。セリウム酸化物の含有量が0.7質量%を超えると、抗張力を高めることができるが、良好な真直性を保持するためのアニール処理の条件を調整することが困難になるだけでなく、線引き加工における歩留まりを低下する。
なお、セリウム酸化物の含有量を測定するためのセリウム分析方法はタングステン・モリブデン工業会規格 TMIAS0001:2010(タングステン及びモリブデン分析方法)に準拠する。
なお、本発明の放電加工用電極線は、線引き加工を用いて次のようにして製造される。線引き加工を用いた製造方法は、粉末の準備、混合工程、成形工程、焼結工程、転打工程、および、線引き工程からなる。各工程の詳細は以下のとおりである。
(粉末の準備)
タングステン粉末とセリウム酸化物粉末とを準備する。後工程である混合工程にてタングステン粉末中の不純物がセリウム酸化物と反応して脆弱な化合物を生成する恐れがあるため、タングステン粉末とセリウム酸化物粉末の純度は高い方が好ましい。また、後工程である成形工程でのプレス成形性を考慮すると、タングステン粉末の平均粒径は2μm以上3μm以下の範囲であることが好ましい。セリウム酸化物粉末の平均粒径は、セリウム酸化物のタングステン中への均一な分散を促進するために、タングステン粉末の平均粒径よりも小さい方が好ましい。
(混合工程)
タングステン粉末とセリウム酸化物粉末とを混合することにより、混合粉末を得る。混合は、たとえば、V型ミキサー、ロッキングミキサー等の混合機を用いて行われる。なお、タングステン粉末に添加したセリウム酸化物粉末の一部は後工程である焼結工程で揮散するため、その揮散量を見込んで、セリウム酸化物粉末のタングステン粉末への添加量を決定する。
(成形工程)
混合粉末を成形用金型に装入し、混合粉末に圧力を加えることにより、所定の形状の、たとえば、角棒状の粉末成形体を得る。
(焼結工程)
粉末成形体を水素ガス雰囲気中で、相対的に低い温度で所定時間、たとえば、1250℃の温度で30分間保持することにより、仮焼結体を得る。この仮焼結体を水素ガス雰囲気中で段階的に温度を上昇させながら、たとえば、1850℃から2800℃まで温度を上昇させながら、所定時間、たとえば、3〜15分間、保持することにより、焼結体を得る。
(転打工程)
焼結体に熱間で転打加工を繰り返して施すことにより、後工程であるダイスを用いた線引き加工によって伸線可能な形状に伸展させる。具体的には、焼結体を、たとえば、1500℃の温度の水素ガス雰囲気炉内に装入して加熱した状態で転打加工を行い、その後、アニール処理を行う。この転打加工とアニール処理とを繰り返して行うことにより、伸展材を得る。
(線引き工程)
伸展材に線引き加工を繰り返して施すことにより、所定の線径の放電加工用電極線を得る。具体的に、伸展材に対して所定の数の線引きダイスを用いて段階的に線材の断面を減少させて線引き加工を行う。各線引きダイスを用いた線引き加工の後、アニール処理を行う。この線引き加工とアニール処理とを繰り返して行うことにより、線材を得る。最終の線引きダイスを用いた線引き加工の後、アニール処理を行い、電解研磨を行った後、最終的に得られる線材の真直性を良好にするために、最終アニール処理を行う。
本発明では、高い抗張力を得るために、従来よりも線引きダイスの数を減らして線引き加工を強加工に変更する。また、本発明では、強加工に伴って蓄積される線材のひずみを除去するために、線引き加工の複数のダイスライン間で行われるアニール処理の温度を従来よりも高くする。さらに、本発明では、最終的に得られる線材の真直性を良好にするために、最終アニール処理の温度を従来よりも高くする。
以上のようにして、本発明の放電加工用電極線が製造される。
以下で説明されるようにして、実施例と比較例で用いられる放電加工用電極線としてタングステン合金線を作製した。
(粉末の準備)
純度が99.99%以上で平均粒径が2.4μm(Fsss粒度測定法による)のタングステン粉末と、純度が99.99%のセリウム酸化物粉末(BET比表面積測定法で、比表面積が6.5m2/g)とを準備した。
(混合工程)
上記で準備されたタングステン粉末とセリウム酸化物粉末とをV型ミキサーを用いて3時間混合することにより、混合粉末を得た。3kgのタングステン粉末に対して、それぞれ、0.45、0.55、0.67、0.78、0.89および1.1質量%の割合でセリウム酸化物を添加して混合することにより、6種類の組成の混合粉末を作製した。
(成形工程)
上記で得られた6種類の組成の混合粉末のそれぞれを成形用金型に装入し、混合粉末に5000kgf/cm2(約490Mpa)の圧力を加えることにより、6種類の角棒状の粉末成形体を作製した
(焼結工程)
上記で得られた6種類の組成の角棒状の粉末成形体を水素ガス雰囲気中にて1250℃の温度で30分間加熱保持することにより、仮焼結体を作製した。このように仮焼結体を作製することにより、強度を向上させて、取り扱い時に破損が生じないようにした。
次に、この仮焼結体を水素ガス雰囲気の焼結炉内で、3段階の加熱処理を行った。
まず、第1段階の加熱処理では、仮焼結体を1分間で1850℃まで昇温させた後、1850℃の温度にて3分間保持した。この加熱処理温度は、セリウム酸化物の融点よりもかなり低いので、第1段階の加熱処理では、仮焼結体中の不純物を気化させることにより、純度を高めることができる。次に、第2段階の加熱処理では、上記の仮焼結体を1分間で1850℃から2300℃まで昇温させた後、2300℃の温度で10分間保持した。そして、最終段階の加熱処理では、上記の仮焼結体を1分間で2300℃から2800℃まで昇温させた後、2800℃の温度で15分間保持した。この保持時間が終了した後で焼結体を焼結炉内において冷却し、炉外へ取り出した。
得られた6種類の焼結体は寸法13mm×13mm×950mmの角棒状で、アルキメデス法によって測定された密度は6種類ともに理論値の93%であった。6種類の焼結体中のセリウム酸化物含有量を化学定量分析(1分析試料につき測定数:n=2)した。その結果、焼結体中のセリウム酸化物含有量は、混合工程でタングステン粉末に添加したセリウム酸化物の添加量に対して約90%の値であった。なお、後工程である転打工程と線引き工程によって得られた線径が150μmの線材についても化学定量分析した結果、線材中のセリウム酸化物含有量は、焼結体中のセリウム酸化物含有量と同じ値であった。これらの結果を以下の表1に示す
Figure 0005734352
(転打工程)
上記で得られた6種類の組成の焼結体を1500℃の温度の水素ガス雰囲気炉内に装入して加熱した状態で転打加工を行い、その後、アニール処理を行った。この転打加工とアニール処理とを繰り返して3回行うことにより、伸展材を作製した。アニール温度は伸展材の直径の減少に伴って1300℃から1000℃へと順次低くした。
(線引き工程)
まず、上記で得られた6種類の組成の伸展材に線引き加工とアニール処理とを繰り返して2回行うことにより、線径が240μmの線材を作製した。アニール温度は線引きダイスの大きさの減少に伴って1000℃から850℃へと順次低くした。
次に、上記で得られた6種類の組成の線径が240μmの線材にさらに線引き加工を繰り返して施すことにより、線径が50μmと30μmの放電加工用電極線の実施例と比較例の試料を作製した。
実施例の試料では、具体的には、線径が50μmの放電加工用電極線を作製するために、線径が240μmの線材に対して17段の線引きダイスを用いて段階的に線材の断面を減少させて線引き加工を行った。各線引きダイスを用いた線引き加工の後、アニール処理を行った。この線引き加工とアニール処理とを繰り返して行うことにより、線径が50μmの線材を得た。アニール温度は線引きダイスの大きさの減少に伴って850℃から700℃へと順次低くした。最終の線引きダイスを用いた線引き加工の後、アニール処理を行い、線引き加工後の表面の酸化被膜と断線を誘発する表面欠陥とを除去するために電解研磨を行った。その後、最終的に得られる線材の真直性を良好にするために、最終アニール処理を行った。最終アニール温度は630℃〜650℃の範囲内であった。なお、線径が30μmの放電加工用電極線を作製するための工程は、線径が240μmの線材に対して23段の線引きダイスを用いて段階的に線材の断面を減少させて線引き加工を行ったこと以外は上記と同様であった。
比較例の試料では、具体的には、線径が50μmの放電加工用電極線を作製するために、線径が240μmの線材に対して19段の線引きダイスを用いて段階的に線材の断面を減少させて線引き加工を行った。各線引きダイスを用いた線引き加工の後、アニール処理を行った。この線引き加工とアニール処理とを繰り返して行うことにより、線径が50μmの線材を得た。アニール温度は線引きダイスの大きさの減少に伴って820℃から650℃へと順次低くした。最終の線引きダイスを用いた線引き加工の後、アニール処理を行い、線引き加工後の表面の酸化被膜と断線を誘発する表面欠陥とを除去するために電解研磨を行った。その後、最終的に得られる線材の真直性を良好にするために、最終アニール処理を行った。最終アニール温度は約600℃であった。なお、線径が30μmの放電加工用電極線を作製するための工程は、線径が240μmの線材に対して26段の線引きダイスを用いて段階的に線材の断面を減少させて線引き加工を行ったこと以外は上記と同様であった。
本発明の実施例では、高い抗張力を得るために、比較例よりも線引きダイスの数を19から17へ、26から23へ減らして線引き加工を強加工に変更した。また、本発明の実施例では、強加工に伴って蓄積される線材のひずみを除去するために、線引き加工の複数のダイスライン間で行われるアニール処理の温度を、820℃から650℃までの範囲内から850℃から700℃までの範囲内へと比較例よりも高くした。さらに、本発明の実施例では、最終的に得られる線材の真直性を良好にするために、最終アニール処理の温度を約600℃から630℃〜650℃の範囲へと比較例よりも高くした。
以上のようにして得られた6種類の組成(セリウム酸化物含有量が0.4、0.5、0.6、0.7、0.8および1.0質量%)での実施例と比較例の放電加工用電極線(線径が30μmと50μm)について、次に示す測定方法で20℃(室温)と400℃における抗張力と真直性を測定した。その結果を以下の表2に示す。
(抗張力の測定)
タングステン・モリブデン工業会規格 TMIAS0201:2010(タングステン・モリブデン線及び棒の試験方法)に準拠して、評点間距離を200mmとした引張試験片を作製し、各温度で引張速度を0.1mm/分として抗張力を測定した。
(真直性の測定)
タングステン・モリブデン工業会規格 TMIAS0201:2010(タングステン・モリブデン線及び棒の試験方法)に準拠して、長さ500mmの電極線の自然垂下長が470mmを超えるということは、長さ500mmの電極線を鉛直方向に自然に垂らした場合に鉛直方向に平行に延びる線材の長さを測定し、自然垂下長とした。また、長さ500mmの電極線を鉛直方向に自然に垂らした場合に最下方に位置する先端縁が鉛直線から外れている距離の最大値(最大振れ幅)を測定し、垂下幅とした。
Figure 0005734352
表2から、セリウム酸化物含有量が0.5質量%〜1.0質量%の実施例の放電加工用電極線は、20℃の温度において、線径が30μmでは3400N/mm2以上3800N/mm2以下の抗張力を有し、線径が50μmでは3400N/mm2以上3500N/mm2以下の抗張力を有していることがわかる。しかし、セリウム酸化物含有量が0.4質量%の実施例の放電加工用電極線は、20℃の温度において、線径が30μmでは3300N/mm2の抗張力を有し、線径が50μmでは3200N/mm2の抗張力を有し、比較例の放電加工用電極線と同じ値の抗張力を有することがわかる。
また、表2から、400℃の温度における抗張力は、20℃の温度における抗張力の値に対して概ね80%に低下することがわかる。
さらに、表2から、セリウム酸化物含有量が0.4質量%〜0.7質量%の範囲では、実施例の放電加工用電極線は、比較例の放電加工用電極線に比べて良好な真直性を示し、自然垂下長が470mmを超えることがわかる。セリウム酸化物含有量が0.8質量%〜1.0質量%の範囲では、比較例の放電加工用電極線に比べて真直性が劣り、自然垂下長450mm〜460mmであることがわかる。
したがって、温度20℃における抗張力が3400N/mm2以上であり、かつ、自然垂下長が470mmを超えるように高い抗張力と良好な真直性とを兼ね備えるためには、セリウム酸化物含有量が0.5質量%以上0.7質量%以下であることが必要条件であることがわかる。
上記で作製されたセリウム酸化物含有量が0.6質量%の実施例と比較例の放電加工用電極線(線径が30μmと50μm)を用いて、以下の条件で放電加工を行った。
(加工条件)
(1)使用加工機:株式会社ソディック(SODICK)製 AP450
(2)加工液:油
(3)被加工材:冷間工具鋼 SKD11(焼入れ材)
(4)被加工材の厚み:10mm
(5)被加工材の切断加工:直線加工、切断長さ20mm
(6)電極線:線径30μm、50μm、長さ3000m
(7)張力:250gf(2.45N)
(8)放電加工条件
Figure 0005734352
上記の放電加工によって得られた結果として、実施例と比較例の放電加工用電極線について、被加工材の切断面にて測定された表面粗さとして最大高さRyと、放電加工時に発生した電極線の断線回数とを測定した。その結果を以下の表4に示す。
Figure 0005734352
表4から、比較例の放電加工用電極線を用いて加工された被加工材の切断面の最大高さRyが1.7μmであるのに対し、実施例の放電加工用電極線を用いて加工された被加工材の切断面の最大高さRyが1.5μmであり、本発明の放電加工用電極線を用いることにより、良好な切断面が得られることがわかる。
また、表4から、比較例の放電加工用電極線を用いて放電加工時に発生した電極線の断線回数が2〜3回であるのに対し、実施例の放電加工用電極線を用いて放電加工時に発生した電極線の断線回数が0回であり、本発明の放電加工用電極線を用いることにより、良好な結果が得られることがわかる。
次に、上記で作製されたセリウム酸化物含有量が0.6質量%の実施例と比較例の放電加工用電極線(線径が50μm)を用いて、50mm間隔の上下ダイス間の任意の位置で鋭利な超硬刃によって電極線を切断し、自動結線機構を作動させた後に電極線が正常に走行するかどうかを調べた。その結果を表5に示す。表5において、自動結線が成功した場合を○、失敗した場合を×で示す。
Figure 0005734352
表5から、比較例の放電加工用電極線を用いた場合、10回の切断に対して自動結線が2回失敗したのに対し、実施例の放電加工用電極線を用いた場合、10回の切断に対して自動結線が失敗した回数が0回であり、本発明の放電加工用電極線を用いることにより、良好な結果が得られることがわかる。
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
本発明の放電加工用電極線を用いることにより、放電加工中に断線を生じ難くすることができるとともに、従来の放電加工用電極線を用いた放電加工よりも自動結線を安定化させることが可能になるので、本発明は放電加工の操業効率の向上に寄与することができる。

Claims (4)

  1. セリウム酸化物を0.5質量%以上0.7質量%以下、含み、残部がタングステンと不可避的不純物とからなり、温度20℃における抗張力が3400N/mm2以上であり、長さ500mmの当該放電加工用電極線を鉛直方向に自然に垂らした場合の垂下長が470mmを超える、放電加工用電極線。
  2. 線径が30μm以上50μm以下である、請求項1に記載の放電加工用電極線。
  3. 長さ500mmの当該放電加工用電極線を鉛直方向に自然に垂らした場合の垂下幅が15mm以下である、請求項1または請求項2に記載の放電加工用電極線。
  4. 温度400℃における抗張力が2700N/mm2以上である、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の放電加工用電極線。
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