JP7270164B2 - 放電加工用ワイヤ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放電加工用ワイヤ及びその製造方法に関する。
従来、金属などを所望の形状に加工する技術としてワイヤ放電加工機が知られている。ワイヤ放電加工機では、細い金属線が放電加工用電極線(放電加工用ワイヤ又はカットワイヤとも言う)として用いられる。特許文献1には、セリウム酸化物を含有し、タングステンと不可避的不純物とからなる放電加工用電極線が開示されている。
特許第5734352号公報
従来の放電加工用ワイヤでは、放電の開始が遅く、放電加工に要する時間が長くなる。また、放電加工用ワイヤ自体の断線が起こりにくいことが要求されている。
そこで、本発明は、放電加工中に断線が発生しにくく、かつ、放電加工に要する時間を短くすることができる放電加工用ワイヤ及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る放電加工用ワイヤは、セリウム酸化物を0.2wt%以上0.4wt%以下の含有率で含有するタングステン線を備え、前記タングステン線の表面粗さRzは、0.6μm以上2.0μm以下である。
また、本発明の一態様に係る放電加工用ワイヤの製造方法は、セリウム酸化物を含有するタングステン線を備える放電加工用ワイヤの製造方法であって、前記タングステン線を線引きする線引き工程と、線引き後の前記タングステン線を電解する電解工程とを含み、前記電解工程における電解率は、6%以上11%以下である。
本発明によれば、放電加工中に断線が発生しにくく、かつ、放電加工に要する時間を短くすることができる放電加工用ワイヤ及びその製造方法を提供することができる。
実施の形態に係る放電加工用ワイヤの製造方法を示すフローチャートである。
以下では、本発明の実施の形態に係る放電加工用ワイヤ及びその製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態)
[製造方法]
まず、本実施の形態に係る放電加工用ワイヤの製造方法について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る放電加工用ワイヤの製造方法を示すフローチャートである。
図1に示されるように、まず、セリウム酸化物とタングステンとを含むインゴットを準備する(S10)。具体的には、硝酸セリウム水溶液とタングステン粉末とを混合することで、セリウム酸化物がドープされたタングステン粉末(以下、ドープタングステン粉末と記載)の集合物を準備する。硝酸セリウム水溶液とタングステン粉末との質量比率は、製造後のタングステン線におけるセリウム酸化物の含有量が0.2wt%以上0.4wt%以下になるように調整される。ドープタングステン粉末の集合物に対して、プレス及び焼結(シンター)を行うことで、インゴットを作製する。タングステン粉末の平均粒径は、例えば3μm以上4μm以下の範囲である。
なお、セリウム酸化物とタングステンとを含むインゴットを準備する方法は、硝酸セリウム水溶液を利用する方法に限られない。例えば、タングステン粉末とセリウム酸化物粉末とを混合した混合物に対して、プレス及び焼結を行うことで、インゴットを作製してもよい。
次に、作製したインゴットに対してスエージング加工を行う(S12)。具体的には、インゴットを周囲から鍛造圧縮して伸展させることで、ワイヤ状のタングステン線を成形する。なお、スエージング加工の代わりに、圧延加工を行ってもよい。
例えば、スエージング加工を繰り返し行うことで、直径が約15mm以上約25mm以下のインゴットを、線径が約3mmのタングステン線に成形する。スエージング加工の途中の工程においてアニール処理を実施することにより、以降の処理における加工性を確保する。例えば、径が8mm以上10mm以下の範囲で、2400℃のアニール処理を実施する。ただし、結晶粒の微細化による引張強度の向上のため、径が8mm未満のスエージング工程では、アニール処理を実施しない。
次に、タングステン線の線引きを行う(S14)。具体的には、まずタングステン線を加熱し、表面に酸化物層を形成する。例えば、900℃の加熱温度で、バーナーなどを用いて直接的にタングステン線を加熱する。表面に酸化物層が形成されることにより、以降の線引き工程中での断線の発生を抑制することができる。
線引き工程(S14)では、1つの伸線ダイスを用いたタングステン線の加熱線引きを行う。すなわち、タングステン線の伸線(細線化)を加熱しながら行う。加熱線引きは、伸線ダイスを交換しながら繰り返し行われる。1つの伸線ダイスを用いた1回の加熱線引きによるタングステン線の断面減少率は、例えば10%以上40%以下である。加熱線引きでは、黒鉛を水に分散させた潤滑剤を用いてもよい。
加熱線引きの繰り返しにおいては、直前の加熱線引きで用いた伸線ダイスよりも孔径が小さい伸線ダイスが用いられる。また、繰り返し回数が多くなる程、加熱温度を低下させる。すなわち、小さい伸線ダイスを用いた加熱線引きでは、大きい伸線ダイスを用いた加熱線引きよりも加熱温度を低くする。なお、加熱線引きの繰り返しの途中段階で電解が行われてもよい。使用する伸線ダイスとしては、線径0.38mmまでは超硬ダイス、線径0.38mmから0.18mmの範囲は焼結ダイヤモンドダイス、線径0.18mmから0.020mmの範囲では単結晶ダイヤモンドダイスを用いる。
加熱線引き工程が行われることによって、放電加工用ワイヤとして求められる線径に実質的に等しい線径のタングステン線が得られる。
線引き工程の後、タングステン線を電解する(S16)。具体的には、水酸化カリウム水溶液などの電解液に、線引き後のタングステン線と対向電極とを浸した状態で、タングステン線と対向電極との間に電圧を印加する。これにより、タングステン線の表面が研磨されることにより、表面に付着した酸化物及び黒鉛などを除去することができる。このため、電解後のタングステン線の線径は、電解を行う前のタングステン線の線径よりも小さくなる。
本実施の形態では、電解工程における電解率は、6%以上11%以下である。電解率とは、電解を行う前のタングステン線の質量に対する、電解工程でタングステン線が失った質量の割合である。電解率が大きい程、タングステン線の線径の減少量が大きくなる。電解後のタングステン線の線径が例えば50μmである場合、線径が大きいタングステン線に対して電解を行ったとき、当該電解工程における電解率が大きくなる。
本実施の形態では、電解率を従来よりも小さくすることにより、タングステン線の表面に凹凸を残している。具体的には、タングステン線の表面の表面粗さRzを0.6μm以上2.0μm以下にしている。凹凸は、具体的には、伸線ダイスによって形成されたダイスマークである。ダイスマークは、タングステン線の線軸方向に沿って延びる長尺状の溝である。
以上の工程を経て、本実施の形態に係るタングステン線が製造される。上記製造工程を経ることで、製造直後のタングステン線の長さは、例えば50km以上の長さであり、工業的に利用できる。タングステン線は、使用される態様に応じて適切な長さに切断され、針又は棒の形状として使用することもできる。
なお、タングステン線の製造方法に示される各工程は、例えばインラインで行われる。具体的には、ステップS14で使用される複数の伸線ダイスは、生産ライン上で孔径が小さくなる順で配置される。また、各伸線ダイス間にはバーナーなどの加熱装置が配置されている。最終線引き工程に用いられる伸線ダイスの下流側には、電解装置が配置される。なお、各工程は、個別に行われてもよい。
[放電加工用ワイヤ]
続いて、本実施の形態に係る放電加工用ワイヤについて説明する。
放電加工用ワイヤは、タングステンを主成分として含むタングステン線を備える。タングステン線は、セリウム酸化物とタングステンとを含有している。なお、タングステン線は、不可避的不純物が含まれていてもよい。不可避的不純物とは、タングステン線の原材料中、及び、タングステン線の製造工程で不可避的に混入される物質であり、意図して混入されていない物質を意味する。タングステン線は、例えば、図1を用いて説明された製造方法によって製造される。本実施の形態では、タングステン線そのものが放電加工用ワイヤである。
<含有率>
タングステン線におけるセリウム酸化物の含有率は、0.2wt%以上0.4wt%以下である。セリウム酸化物の含有率は、0.26wt%以上0.30wt%以下であってもよい。なお、セリウム酸化物の含有率とは、タングステン線の全体の質量に対するセリウム酸化物の質量の割合である。タングステン及び不可避的不純物などの他の物質の含有率についても同様である。
セリウム酸化物は、具体的には、CeO(酸化セリウム(IV))である。なお、セリウム酸化物には、Ce(酸化セリウム(III))が含まれてもよい。
セリウム酸化物の含有量が0.2wt%以上であることにより、放電加工時にタングステン線(放電加工用ワイヤ)に流れる電流量を少なくすることができる。これにより、放電加工時におけるワイヤ温度の上昇を抑制することができる。ワイヤ温度が上昇した場合には、タングステン線の引張強度が低下するため、断線が発生しやすくなる。本実施の形態に係るタングステン線では、引張強度の低下が抑制されるので、断線の発生も抑制される。セリウム酸化物の含有率が0.2wt%よりも大きくなる程、放電加工時の電流量を更に抑制することができ、温度上昇を更に抑制することができる。
また、セリウム酸化物の含有量が0.4wt%以下であることにより、タングステン線の加工(具体的には、細線化)のし易さを確保することができる。また、セリウム酸化物の含有量が0.4wt%以下であることにより、タングステンの高温強度特性によって、高温状態に強くて放電加工時に断線が発生しにくくすることができる。セリウム酸化物の含有量が0.4wt%よりも少なくなる程、断線の発生をより抑制することができる。
タングステン線におけるタングステンの含有率は、99.6wt%以上99.8wt%以下である。タングステンの含有率は、99.7wt%以上99.74wt%以下であってもよい。なお、タングステン線には不可避的不純物が含まれる場合があるため、タングステンの含有率は、99.6wt%未満であってもよい。例えば、不可避的不純物の含有率は0.1wt%以下であり、タングステンの含有率は99.5wt%以上であってもよい。
<線径>
タングステン線の線径は、例えば、20μm以上100μm以下である。タングステン線の線径は、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下又は30μm以下であってもよい。
本実施の形態では、タングステン線の線径が100μm以下であることにより、放電加工における微細加工が可能になる。タングステン線の線径が100μmよりも細くなる程、より精細な加工が実現される。
また、タングステン線の線径が20μm以上であることにより、放電を安定して行わせることができる。タングステン線の線径が20μmより太くなる程、放電をより安定させることができる。
<断面形状>
タングステン線の線軸方向に直交する断面の形状は、例えば円形である。あるいは、タングステン線の断面の形状は、楕円形状であってもよく、正方形又は長方形であってもよい。
<真直性>
タングステン線の真直性は、長さ1000mmのタングステン線の自然垂下長で表される。本実施の形態に係るタングステン線の真直性は、950mm以上である。タングステン線の真直性は、990mm以上であってもよく、995mm以上であってもよい。真直性は、なお、真直性は、長さ500mmのタングステン線の自然垂下長で表されてもよい。
真直性が950mm以上であることで、放電加工機へのセッティングが容易になり、セッティング時の断線の発生を抑制することができる。真直性が950mmより高い程、放電加工機へのセッティングが更に容易になり、セッティング時の断線の発生を更に抑制することができる。
<引張強度>
タングステン線の20℃における引張強度は、3500MPa以上である。タングステン線の引張強度は、3800MPa以上であってもよく、4000MPa以上であってもよい。タングステン線の引張強度は、4200MPa以上、4500MPa以上、4800MPa以上、又は5000MPa以上であってもよい。なお、本明細書において「引張強度」とは、特別な記載がない場合、20℃における引張強度を意味している。
引張強度が3500MPa以上であることで、放電加工機へのセッティングが容易になり、セッティング時の断線の発生を抑制することができる。また、放電加工時の断線の発生も抑制することができる。引張強度が3500MPaより高くなる程、セッティング時及び放電加工時の断線の発生を更に抑制することができる。
<表面粗さRz>
タングステン線の表面粗さRzは、0.6μm以上2.0μm以下である。表面粗さRzは、0.6μm以上1.5μm以下であってもよい。あるいは、表面粗さRzは、0.7μm以上1.2μm以下であってもよい。なお、表面粗さRzは、JIS B 0601-2001(非特許文献)によって定義される表面の凹凸の最大高さである。表面粗さRzは、タングステン線の線軸回りの外周側面の表面粗さである。タングステン線の線軸方向における両端の端面の表面粗さは、特に限定されない。
表面粗さRzが0.6μm以上であることにより、放電加工用ワイヤの表面で放電が開始されやすくなる。表面粗さRzが0.6μmより大きくなる程、放電が開始されやすくなるので、放電加工が始まるまでに要する時間を短縮することができる。放電加工用ワイヤをワーク(すなわち、放電加工機による加工対象物)に近づけた場合に、放電加工用ワイヤの表面粗さRzが大きい部分とワークとの間に電界が集中しやすくなって、放電が行われやすいためと推定される。
一方で、表面粗さRzが大きすぎる場合、放電加工中に断線が発生しやすくなる。これに対して、本実施の形態に係るタングステン線の表面粗さRzが2.0μm以下であることにより、断線の発生を抑制することができる。表面粗さRzが2.0μmより小さくなる程、断線が発生しにくくすることができる。
このように、本実施の形態に係るタングステン線は、放電加工中に断線が発生しにくく、かつ、放電加工に要する時間を短くすることができる。
なお、タングステン線の表面粗さRzは、線引き工程において用いた伸線ダイスによって付与されたダイスマークの大きさに対応している。ダイスマークの大きさは、線引き後の電解工程における電解率に依存する。すなわち、電解率が大きくなる程、ダイスマークの残存が少なくなり、タングステン線の表面が滑らかになって表面粗さRzが小さくなる。電解率が小さくなる程、ダイスマークの残存が多くなり、タングステン線の表面の凹凸が残ったままになって表面粗さRzが大きくなる。本実施の形態では、電解工程での電解率を6%以上11%以下にすることによって、表面粗さRzを0.6μm以上2.0μm以下の範囲にすることができる。
[実施例]
続いて、放電加工用ワイヤの比較例及び実施例について説明する。
<電解条件>
以下の表1は、比較例及び実施例に係るサンプルの電解条件を示している。
Figure 0007270164000001
表1におけるブラック線とは、線引き直後で、かつ、電解前のタングステン線である。MGは、長さ200mmのタングステン線の質量をミリグラムで表した数値である。純タングステン線の場合、MG=3016×D(Dは線径)の関係を満たしている。
比較例1及び2に係るサンプルと、実施例1~4に係るサンプルとでは、電解率の満たす条件が異なっている。具体的には、実施例1~4に係るサンプルは、電解率が6%以上11%以下の範囲を満たしているのに対して、比較例1及び2に係るサンプルは、当該範囲を満たしていない。電解は、交流電圧を印加することにより、3回行った。
比較例1及び実施例1~4に係るサンプルでは、電解後のタングステン線の線径が50μm±0.5μmの範囲になるように、ブラック線のMG(線径)を調整した。また、比較例2に係るサンプルでは、電解後のタングステン線の線径が100μm±1μmの範囲になるように、ブラック線のMGを調整した。
ブラック線を製造するまでの工程(すなわち、図1に示されるステップS10~S14)は、比較例及び実施例において略同じである。比較例及び実施例において異なる点は、ブラック線のMGの調整のために、最終線引き工程に用いた伸線ダイスの孔径が異なる点である。また、表3に示すが、比較例1及び実施例1~4に係るサンプルでは、製造後のタングステン線に含まれるセリウム酸化物の含有率が約0.3wt%になるようにタングステン粉末と硝酸セリウム水溶液との混合比率を調整したのに対して、比較例2に係るサンプルでは、セリウム酸化物の含有率が0.1wt%未満になるように混合比率を調整した。
<タングステン線の特性値>
表2及び表3はそれぞれ、表1に示される条件に基づいて製造した各サンプルの特性値の測定結果を示している。
Figure 0007270164000002
表2におけるダイスマークの深さは、サンプルの表面のA点~C点の3点で測定した結果と、その平均値とを示している。ここでは、各サンプルにおいて3点のうち、最大の深さを表面粗さRzとみなしている。
表2に示されるように、比較例1に係るサンプルでは、表面粗さRzが0.6未満であった。比較例2及び実施例1~4に係るサンプルでは、表面粗さRzが0.6以上2.0以下の範囲であった。
Figure 0007270164000003
表3に示されるように、比較例1及び実施例1~4に係るサンプルでは、MGの平均値、引張強度、真直性及びセリウム酸化物の含有率は、互いに略等しくなっている。比較例2に係るサンプルでは、真直性については他のサンプルと略同じである。MGの平均値及びセリウム酸化物の含有率は、製造条件の差によって異なる値となっている。
<放電加工機による加工結果>
各比較例及び各実施例に係るサンプルを放電加工用ワイヤとして放電加工機にセッティングし、実際にワークを切断した。
放電加工機は、NC放電ワイヤカット機(株式会社ソディック(SODICK)製 AP200L)である。加工対象物であるワークは、9mm角のSKD11である。ワイヤの送り速度は、9m/minである。
表4は、放電加工機に対するワイヤのセッティングの可否、及び、ワークの切断の可否の結果を示している。
Figure 0007270164000004
なお、表4において「○」は、放電加工機に対するワイヤのセッティング、又は、ワークの切断が良好に行われたことを意味する。「×」は、ワークの切断の途中でワイヤが断線したことを意味する。
表4に示されるように、比較例及び実施例に係るいずれのサンプルも、放電加工機に適切にセッティングすることができた。
一方で、比較例1及び2に係るサンプルを放電加工用ワイヤとして用いた場合、ワークを切断することができなかった。具体的には、比較例1及び2に係るサンプルでは、サンプル(ワイヤ)とワークとが十分に接近するまで放電が開始せず、ワイヤを流れる電流による発熱の影響でワイヤの一部がワークに溶着し、ワイヤが断線した。
実施例1~4に係るサンプルを放電加工用ワイヤとして用いた場合はいずれも、ワイヤが断線することなく、ワークを切断することができた。具体的には、実施例1~4に係るサンプルでは、比較例に係るサンプルの場合よりもワイヤとワークとが離れた状態で放電が開始された。これにより、ワイヤとワークとの溶着が発生せずに、断線が生じることなく、ワークを適切に切断することができた。放電が開始するまでに要する時間も短くなったので、放電加工に要する時間を短くすることができた。
比較例1に係るサンプルでは、表3に示されるように、セリウム酸化物の含有率が0.2wt%以上0.4wt%以下の範囲に含まれる一方で、表2に示されるように、表面粗さRzが0.6μm未満である。また、比較例2に係るサンプルでは、表2に示されるように、表面粗さRzが0.6μm以上2.0μm以下の範囲に含まれる一方で、表3に示されるように、セリウム酸化物の含有率が0.2wt%未満である。
これらに対して、実施例1~4に係るサンプルでは、表2及び表3に示されるように、表面粗さRzが0.6μm以上2.0μm以下の範囲に含まれ、かつ、セリウム酸化物の含有率が0.2wt%以上0.4wt%以下の範囲に含まれている。したがって、表4に示される結果を踏まえると、表面粗さRz及びセリウム酸化物の含有率の両方が上記範囲に含まれることにより、放電加工中に断線が発生しにくく、かつ、放電加工に要する時間を短くすることができることが分かる。
なお、セリウム酸化物の含有率が0.26wt%以上0.30wt%以下の場合を実施例として示したが、セリウム酸化物の含有率が0.20wt%以上0.26wt%未満の場合、及び、0.30wt%より大きく0.40wt%以下の場合においても、上記実施例と同様に、ワイヤのセッティング及びワークの切断が良好に行われることが確認できている。表面粗さRzについても同様に、タングステン線の表面粗さが約0.9μm以上約1.5μm以下の場合を実施例として示したが、タングステン線の表面粗さが0.6μm以上0.9μm以下の場合、及び、1.5μm以上2.0μm以下の場合においても、上記実施例と同様に、ワイヤのセッティング及びワークの切断が良好に行われることが確認できている。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る放電加工用ワイヤは、セリウム酸化物を0.2wt%以上0.4wt%以下の含有率で含有するタングステン線を備える。当該タングステン線の表面粗さRzは、0.6μm以上2.0μm以下である。
これにより、放電加工中に断線が発生しにくく、かつ、放電加工に要する時間を短くすることができる。
また、例えば、タングステン線の線径は、20μm以上100μm以下である。
これにより、精細な加工を実現することができる。
また、例えば、本実施の形態に係る放電加工用ワイヤの製造方法は、セリウム酸化物を含有するタングステン線を備える放電加工用ワイヤの製造方法であって、タングステン線を線引きする線引き工程と、線引き後のタングステン線を電解する電解工程とを含む。電解工程における電解率は、6%以上11%以下である。
これにより、放電加工中に断線が発生しにくく、かつ、放電加工に要する時間を短くすることができる放電加工用ワイヤを実現することができる。
また、例えば、タングステン線は、セリウム酸化物を0.2wt%以上0.4wt%以下の含有率で含有する。
これにより、放電加工中にワイヤに流れる電流の電流値を低くすることができるので、ワイヤの温度上昇を抑制することができ、ワイヤの断線の発生を抑制することができる。
(その他)
以上、本発明に係る放電加工用ワイヤ及びその製造方法について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、タングステン線は、セリウム酸化物以外に意図して混入された物質を含んでいてもよい。例えば、タングステン線は、レニウムを含んでいてもよく、レニウムとタングステンとの合金線(すなわち、レニウムタングステン合金線)にセリウム酸化物が含有されていてもよい。この場合のレニウムの含有率は、例えば0.1wt%以上10wt%以下である。
あるいは、タングステン線は、カリウムを含んでいてもよく、カリウムがドープされたタングステン線(すなわち、カリウムドープタングステン線)にセリウム酸化物が含有されていてもよい。この場合のカリウムの含有率は、例えば、0.003wt%以上0.008wt%以下である。
また、例えば、タングステン線の表面粗さRzを0.6μm以上2.0μm以下にする方法は、電解工程における電解率の調整以外で行われてもよい。例えば、表面粗さRzが0.6μm未満になるタングステン線を製造した後、薬品を用いて表面を粗すことによって、表面粗さRzを0.6μm以上2.0μm以下にしてもよい。すなわち、電解工程における電解率は11%よりも大きい値であってもよく、電解直後のタングステン線の表面粗さRzは0.6μm未満であってもよい。また、電解工程における電解率は6%未満であってもよい。
また、例えば、放電加工用ワイヤは、上記実施の形態に係るタングステン線のみから構成されていてもよく、タングステン線と、タングステン線の表面に形成された薄膜とを備えてもよい。例えば、タングステン線の表面には、酸化膜などの薄膜が形成されていてもよい。当該薄膜は、タングステン線の表面の凹凸形状に追従するように形成されており、薄膜の表面粗さRzは、タングステン線の表面粗さRzと同等になる。
また、例えば、上記実施の形態では、放電加工用ワイヤをワークの切断に利用する例を示したが、これに限らない。放電加工用ワイヤは、ワークの部分的な切削に用いられてもよく、2つ以上のワークの溶接に用いられてもよい。
また、例えば、上記実施の形態に係るタングステン線を、放電加工用以外の用途に用いてもよい。例えば、本発明の一態様は、上記実施の形態に係るタングステン線を備えるタングステン製品であってもよい。タングステン製品は、例えば、ソーワイヤ、医療機器部材(例えば、カテーテル)、撚り線又はロープなどである。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。

Claims (4)

  1. セリウム酸化物を0.2wt%以上0.4wt%以下の含有率で含有するタングステン線を備え、
    前記タングステン線の表面粗さRzは、0.6μm以上2.0μm以下である
    放電加工用ワイヤ。
  2. 前記タングステン線の線径は、20μm以上100μm以下である
    請求項1に記載の放電加工用ワイヤ。
  3. セリウム酸化物を含有するタングステン線を備える放電加工用ワイヤの製造方法であって、
    前記タングステン線を線引きする線引き工程と、
    線引き後の前記タングステン線を電解する電解工程とを含み、
    前記電解工程における電解率は、6%以上11%以下である
    放電加工用ワイヤの製造方法。
  4. 前記タングステン線は、前記セリウム酸化物を0.2wt%以上0.4wt%以下の含有率で含有する
    請求項3に記載の放電加工用ワイヤの製造方法。
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