JP5733192B2 - 回転機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、直流電圧源の正極および負極のそれぞれに回転機の端子を選択的に接続するスイッチング素子を備える直流交流変換回路について、該直流交流変換回路のスイッチング素子をオン・オフ操作することで前記回転機を流れる電流、前記回転機のトルク、および前記回転機の磁束の少なくとも1つを有した制御量を制御する回転機の制御装置に関する。
この種の制御装置としては、例えば下記特許文献1に見られるように、インバータの操作状態を様々に設定した場合についての3相電動機の電流をそれぞれ予測し、予測される電流と指令電流との偏差を最小化することのできる操作状態となるように、インバータを操作するいわゆるモデル予測制御を行うものが提案されている。これによれば、インバータの操作状態に基づき予測される電流の挙動を最適化するようにインバータが操作されるため、過渡時における指令電流への追従性を良好なものとすることができる。このため、モデル予測制御は、車載主機としてのモータジェネレータの制御装置等、過渡追従特性として特に高い性能が要求される用途にとっては有用性が高いと考えられる。
ところで、上記モデル予測制御によって過変調領域等において3相電動機を流れる電流を制御する場合、実際の電流と指令電流との間に定常的な乖離が生じやすいことが知られている。
そこで従来、たとえば下記特許文献2に見られるように、予測される電流とその指令値との差を入力とする積分要素の出力に基づきインバータを操作するものも提案されている。これにより、定常的な乖離を低減することができる。
特開2008−228419号公報 特開2011−19319号公報
ただし、過変調領域において変調率が過度に大きくなる場合、上記積分要素の出力を参照することで、かえって制御性の低下を招くおそれがあることが発明者らによって見出された。
本発明は、上記課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、直流電圧源の正極および負極のそれぞれに回転機の端子を選択的に接続するスイッチング素子を備える直流交流変換回路について、該直流交流変換回路のスイッチング素子をオン・オフ操作することで前記回転機を流れる電流、前記回転機のトルク、および前記回転機の磁束の少なくとも1つを有した制御量を制御する新たな回転機の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、直流電圧源の正極および負極のそれぞれに回転機の端子を選択的に接続するスイッチング素子を備える直流交流変換回路について、該直流交流変換回路のスイッチング素子をオン・オフ操作することで前記回転機を流れる電流、前記回転機のトルク、および前記回転機の磁束の少なくとも1つを有した制御量を制御する回転機の制御装置において、固定座標系における電圧ベクトルにて表現される前記直流交流変換回路の操作状態を仮設定した場合の前記制御量を予測する予測手段と、該予測手段によって予測される制御量に基づき、該予測される制御量に対応する操作状態を評価し、評価の高い操作状態を前記直流交流変換回路の操作状態として決定する決定手段と、該決定された操作状態となるように前記直流交流変換回路を操作する操作手段と、を備え、前記決定手段は、前記制御量とその指令値との差の履歴の定量値に基づき、前記仮設定される操作状態の評価を、前記制御量が前記指令値よりも大きい状態と前記制御量が前記指令値よりも小さい状態との不均衡を低減する場合に該不均衡を増大させる場合よりも高くする履歴評価手段と、前記直流交流変換回路の出力線間電圧の基本波成分の振幅が前記直流電圧源の電圧よりも大きい所定値以上となる場合に所定値未満の場合と比較して、前記履歴評価手段による前記履歴の定量値の更新を制限する制限手段とを備えることを特徴とする。
履歴評価手段を備える場合、上記不均衡を低減する操作状態の評価が高くなるため、局所的なタイムスケールにおいて制御量とその指令値との乖離を最小化しようとする傾向が抑制され、過変調領域においても制御量の制御性を向上させることができる。ただし、履歴評価手段を用いた場合であっても、直流交流変換回路の出力線間電圧の基本波成分の振幅が過度に大きくなる場合、履歴の定量値に基づき不均衡を低減する操作を行なうことができなくなることが発明者らによって見出されている。そしてこの場合に履歴の定量値を更新する場合、定量値が上記不均衡の履歴を累積することとなり、これを用いた評価が適切な値から乖離することが発明者によって見出されている。上記発明では、この点に鑑み、制限手段を備えた。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記制限手段は、前記基本波成分の振幅が前記直流電圧源の電圧よりも大きい所定値以上となる場合、前記履歴評価手段による前記履歴の定量値の更新を禁止する禁止手段であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記所定値は、矩形波制御時の値よりも低いことを特徴とする。
履歴評価手段を用いた場合に制御性を維持できる上記基本波成分の振幅の上限値は、矩形波制御時の値よりも小さくなる傾向があることが発明者によって見出されている。上記発明では、この点に鑑み、所定値を設定することで、履歴の定量値に基づき不均衡を低減する操作を行なうことができなくなる状況下、不均衡の履歴が累積される事態を回避することができる。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記所定値を、前記回転機の運転領域に応じて可変設定する可変手段を備えることを特徴とする。
履歴評価手段を用いた場合に制御性を維持できる上記振幅の上限値は、回転機の運転領域に応じて変動する傾向があることが発明者によって見出されている。上記発明では、この点に鑑み、可変手段を備えることで、履歴の定量値に基づき不均衡を低減する操作を行なうことができなくなる状況下、不均衡の履歴が累積される事態を好適に回避することができる。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記回転機の制御量の指令値が急激に変化する過渡時において、前記履歴評価手段の保持する前記履歴の定量値を初期化する初期化手段を備えることを特徴とする。
履歴評価手段は、基本的には、定常的な運転領域において制御量の制御性を向上させることを狙っている。このため、過渡運転時においては履歴評価手段が制御量の制御性の低下の要因となる懸念がある。上記発明では、この点に鑑み、初期化手段を備えた。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記初期化手段は、前記制御量とその指令値との差が所定値以上となることで前記過渡時であると判断することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記決定手段は、現在の操作状態と同一の操作状態を仮設定した場合の前記予測される制御量とその指令値との差が所定以下である場合、前記履歴の定量値にかかわらず現在の操作状態に決定する現在値重視手段を備え、前記履歴評価手段は、前記現在値重視手段によって現在の操作状態に決定される場合であっても、前記履歴の定量値を更新することを特徴とする。
上記発明では、現在値重視手段を備えることで、スイッチング状態の切替頻度を低減することができる。また、現在値重視手段によって現在の操作状態に決定される場合であっても履歴の定量値を更新することで、履歴の定量値によって不均衡状態を高精度に把握することができる。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記履歴の定量値は、前記決定手段によって決定された操作状態に応じた前記制御量とその指令値との差を入力とする積分要素の出力であることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発明において、前記制限手段の入力パラメータとなる前記直流交流変換回路の出力線間電圧の基本波成分の振幅相当量を、前記決定手段によって決定された操作状態に対応する電圧ベクトルに基づき算出する振幅相当量算出手段を備え、該振幅相当量算出手段は、前記振幅相当量算出手段の時定数を、前記回転機の電気角速度が高いほど小さくする時定数可変手段を備えることを特徴とする。
上記時定数を過度に小さくする場合、出力線間電圧の基本波振幅が直流交流変換回路の入力電圧よりも大きくなる状況下、高調波成分を透過させるために、基本波振幅の算出精度が低下する。ただし、時定数を大きくする場合には、過渡時における制御量の指令値への制御の応答性が低下する。上記発明では、この点に鑑み、時定数可変手段を備えることで、基本波振幅を高精度に算出することができる範囲で時定数を極力小さくすることができ、ひいては応答性の低下を抑制することができる。
請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発明において、前記決定手段は、前記履歴評価手段による処理を前記直流交流変換回路の出力線間電圧の基本波成分の振幅が前記所定値よりも小さい規定値未満となる場合には行なわないことを特徴とする。
上記発明では、基本波成分の振幅が小さい領域では、履歴評価手段による処理を用いないため、用いる場合と比較して応答性を向上させることができる。
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記決定手段は、前記直流交流変換回路の出力線間電圧の基本波成分の振幅に関する閾値について、前記履歴評価手段による処理がなされている状況下、該処理を停止させるための閾値と、前記履歴評価手段による処理がなされていない状況下、該処理を開始するための閾値とを互いに相違する値とすることを特徴とする。
上記発明では、履歴評価手段による処理の開始のための閾値と停止のための閾値とを相違させることで、履歴評価手段の処理の開始および停止が頻繁に繰り返されるチャタリング現象を回避することができる。
請求項12記載の発明は、請求項10または11記載の発明において、前記決定手段は、前記仮設定される操作状態の評価を、前記制御量とその指令値との差が小さい場合の方が大きい場合よりも高くする乖離評価手段を備え、前記履歴評価手段による処理がなされている状況下、前記履歴評価手段による評価と前記乖離評価手段による評価とを併用するものであって且つ、前記履歴評価手段による処理を開始するに際して、前記操作状態の決定に関する前記履歴評価手段による評価の寄与率を漸増させることを特徴とする。
上記発明では、履歴評価手段による処理を開始するに際して、操作状態の決定に関する履歴評価手段による評価の寄与率を漸増させることで、履歴評価手段による処理の開始に伴って操作状態の評価が急変する事態を回避することができ、ひいてはトルクショックが生じる事態を回避することができる。
請求項13記載の発明は、請求項10〜12のいずれか1項に記載の発明において、前記決定手段は、前記仮設定される操作状態の評価を、前記制御量とその指令値との差が小さい場合の方が大きい場合よりも高くする乖離評価手段を備え、前記履歴評価手段による処理がなされている状況下、前記履歴評価手段による評価と前記乖離評価手段による評価とを併用するものであって且つ、前記履歴評価手段を停止させるに際して、前記操作状態の決定に関する前記履歴評価手段による評価の寄与率を漸減させることを特徴とする。
上記発明では、履歴評価手段による処理を停止させるに際して、操作状態の決定に関する履歴評価手段による評価の寄与率を漸減させることで、履歴評価手段による処理の停止に伴って操作状態の評価が急変する事態を回避することができ、ひいてはトルクショックが生じる事態を回避することができる。
請求項14記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発明において、前記回転機は、N相の多相回転機であり、前記決定手段は、「360°/2N」の周期で前記操作状態の変更を禁止する領域および許可する領域を設定する禁止領域設定手段を備え、前記禁止する領域においては、前記履歴の定量値にかかわらず現在の操作状態に決定するものであることを特徴とする。
N相の回転機では、直流交流変換回路の出力電圧のベクトルノルムの最大値が「360°/2N」の周期で変動する。このため、出力線間電圧の基本波振幅が直流交流変換回路の入力電圧を上回る状況下、基本波振幅を大きくするためには、出力電圧のベクトルノルムの最大値の極大付近では、極大値に近い電圧を出力するようにすることが望まれる。そしてこれは、スイッチング状態の切り替えを行わないことで実現することができる。上記発明では、この点に鑑み、禁止領域設定手段を備えた。
第1の実施形態にかかるシステム構成図。 電圧ベクトルを示す図。 過変調領域の問題点を説明する図。 上記実施形態にかかるモデル予測制御の処理手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる操作状態の仮設定候補を示す図。 同実施形態の効果を示すタイムチャート。 第2の実施形態にかかるモデル予測制御の処理手順を示す流れ図。 第3の実施形態にかかるシステム構成図。 第4の実施形態の課題を示すタイムチャート。 第4の実施形態にかかるモデル予測制御の処理手順を示す流れ図。 第5の実施形態にかかる評価関数の切り替え処理手順を示す流れ図。 第6の実施形態にかかる評価関数の切り替え時の処理手順を示す流れ図。 第7の実施形態にかかるスイッチング状態の切替禁止領域を示す図。 上記各実施形態の変形例を示す図。
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる回転機の制御装置をハイブリッド車の制御装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるモータジェネレータの制御システムの全体構成を示す。車載主機としてのモータジェネレータ10は、3相の永久磁石同期モータである。また、モータジェネレータ10は、突極性を有する回転機(突極機)である。詳しくは、モータジェネレータ10は、埋め込み磁石同期モータ(IPMSM)である。
モータジェネレータ10は、インバータIVを介して高電圧バッテリ12に接続されている。インバータIVは、スイッチング素子S*p,S*n(*=u,v,w)の直列接続体を3組備えており、これら各直列接続体の接続点がモータジェネレータ10のU,V,W相にそれぞれ接続されている。これらスイッチング素子S*#(*=u,v,w;#=p,n)として、本実施形態では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が用いられている。そして、これらにはそれぞれ、ダイオードD*#が逆並列に接続されている。
本実施形態では、モータジェネレータ10やインバータIVの状態を検出する検出手段として、以下のものを備えている。まずモータジェネレータ10の回転角度(電気角θ)を検出する回転角度センサ14を備えている。また、モータジェネレータ10の各相を流れる電流iu,iv,iwを検出する電流センサ16を備えている。更に、インバータIVの入力電圧(電源電圧VDC)を検出する電圧センサ18を備えている。
上記各種センサの検出値は、図示しないインターフェースを介して低電圧システムを構成する制御装置20に取り込まれる。制御装置20では、これら各種センサの検出値に基づき、インバータIVを操作する操作信号を生成して出力する。ここで、インバータIVのスイッチング素子S*#を操作する信号が、操作信号g*#である。
上記制御装置20は、モータジェネレータ10のトルクを要求トルクTrに制御すべく、インバータIVを操作する。詳しくは、要求トルクTrを実現するための指令電流とモータジェネレータ10を流れる電流とが一致するように、インバータIVを操作する。すなわち、本実施形態では、モータジェネレータ10のトルクが最終的な制御量となるものであるが、トルクを制御すべく、モータジェネレータ10を流れる電流を直接の制御量として、これを指令電流に制御する。特に、本実施形態では、モータジェネレータ10を流れる電流を指令電流に制御すべく、インバータIVの操作状態を複数通りのそれぞれに仮設定した場合についてのモータジェネレータ10の電流を予測し、予測される電流に基づき仮設定した操作状態を評価する。そして評価の高いものをインバータIVの実際の操作状態として採用するモデル予測制御を行う。
詳しくは、電流センサ16によって検出された相電流iu,iv,iwは、dq変換部22において、回転座標系の実電流id,iqに変換される。また、回転角度センサ14によって検出される電気角θは、速度算出部23の入力となり、これにより、回転速度(電気角速度ω)が算出される。一方、指令電流設定部24は、要求トルクTrを入力とし、dq座標系での指令電流idr,iqrを出力する。本実施形態では、指令電流idr,iqrを、最小電流最大トルク制御を実現するための電流値に設定している。これら指令電流idr,iqr、実電流id,iq、及び電気角θは、モデル予測制御部30の入力となる。モデル予測制御部30では、これら入力パラメータに基づき、インバータIVの操作状態を規定する電圧ベクトルViを決定し、操作部26に入力する。操作部26では、入力された電圧ベクトルViに基づき、上記操作信号g*#を生成してインバータIVに出力する。
ここで、インバータIVの操作状態を表現する電圧ベクトルは、図2に示す8つの電圧ベクトルとなる。例えば、低電位側のスイッチング素子Sun,Svn,Swnがオン状態となる操作状態(図中、「下」と表記)を表現する電圧ベクトルが電圧ベクトルV0であり、高電位側のスイッチング素子Sup,Svp,Swpがオン状態となる操作状態(図中、「上」と表記)を表現する電圧ベクトルが電圧ベクトルV7である。これら電圧ベクトルV0,V7は、モータジェネレータ10の全相を短絡させるものであり、インバータIVからモータジェネレータ10に印加される電圧がゼロとなるものであるため、ゼロ電圧ベクトルと呼ばれている。これに対し、残りの6つの電圧ベクトルV1〜V6は、上側アーム及び下側アームの双方にオン状態となるスイッチング素子が存在する操作パターンによって規定されるものであり、有効電圧ベクトルと呼ばれている。なお、図2(b)に示すように、電圧ベクトルV1、V3,V5のそれぞれがU相、V相、W相の正側にそれぞれ対応している。
次に、モデル予測制御部30の処理の詳細について説明する。先の図1に示す操作状態設定部31では、インバータIVの操作状態を仮設定する。ここでは、先の図2に示した電圧ベクトルV0〜V7をインバータIVの操作状態として仮設定する。dq変換部32では、操作状態設定部31によって仮設定された電圧ベクトルをdq変換することで、dq座標系の電圧ベクトルVdq=(vd,vq)を算出する。こうした変換を行うべく、操作状態設定部31における電圧ベクトルV0〜V7を、例えば、先の図2において、「上」を「VDC/2」として且つ「下」を「−VDC/2」とすることで表現すればよい。この場合、例えば、電圧ベクトルV0は、(−VDC/2、−VDC/2、−VDC/2)となり、電圧ベクトルV1は、(VDC/2、−VDC/2、−VDC/2)となる。
予測部33では、電圧ベクトル(vd、vq)と、実電流id,iqと、電気角速度ωとに基づき、インバータIVの操作状態を操作状態設定部31によって設定される状態とした場合の電流id,iqを予測する。ここでは、下記(c1)、(c2)にて表現される電圧方程式を、電流の微分項について解いた下記の状態方程式(式(c3)、(c4))を離散化し、1ステップ先の電流を予測する。
vd=(R+pLd)id −ωLqiq …(c1)
vq=ωLdid +(R+pLq)iq +ωφ …(c2)
pid
=−(R/Ld)id +ω(Lq/Ld)iq +vd/Ld …(c3)
piq
=−ω(Ld/Lq)id−(Rd/Lq)iq+vq/Lq−ωφ/Lq…(c4)
ちなみに、上記の式(c1)、(c2)において、抵抗R、微分演算子p、d軸インダクタンスLd,q軸インダクタンスLqおよび電機子鎖交磁束定数φを用いた。
上記電流の予測は、操作状態設定部31によって仮設定される複数通りの操作状態のそれぞれについて行われる。
一方、操作状態決定部34では、予測部33によって予測された予測電流ide,iqeと、指令電流idr,iqrとを入力として、インバータIVの操作状態を決定する。こうして決定された操作状態に基づき、操作部26では、操作信号g*#を生成して出力する。
ところで、上記の式(c1)、(c2)に、指令電流idr,iqr(固定値)を入力することで、指令電圧ベクトル(vdr、vqr)のノルムが一義的に定まる。このノルムは、モータジェネレータ10の電気角θが「360°」回転することで、図3(a)に示す2次元固定座標系において「360°」回転する。ここで、インバータIVによって実現可能な出力電圧は、図3(a)に示すように、1辺の長さが「√(2/3)×VDC」の6角形内の領域に制限される。このため、指令電圧ベクトル(vdr、vqr)の終点が描く曲線(円)としての上限は、図3(a)に示した半径「VDC/√2」の円(6角形の内接円)となる。この状態は、インバータIVの出力線間電圧の基本波成分の振幅が入力電圧と一致していることを意味し、このときの変調率を「2/√3」と定義する。
本実施形態では、変調率が「2/√3」よりも大きい領域を過変調領域とする。過変調領域においても基本波成分の実効値を上昇させることで変調率をさらに上昇させることができることが周知である。ただし、過変調領域である場合、すなわち、指令電流idr,iqrに応じた上記指令電圧ベクトルのノルムが上記円の半径よりも大きくなる場合、モータジェネレータ10の電気角によっては指令電流idr,iqrを実現することはできず、これに起因してモータジェネレータ10の制御量に電気角周波数の6倍の高調波成分が重畳される。すなわち、図3(b)に示す円にて表現される指令電圧ベクトルの場合、指令電圧ベクトルの終点が上記6角形の領域内に入る破線部分では指令どおりに電圧が出力され、6角形の領域からはみ出る1点鎖線部分は6角形に制約された電圧が出力され、これが電気角周波数の6倍の周期で繰り返される。このため、モータジェネレータ10の制御量に電気角周波数の6倍の高調波が重畳される。
この6次の高調波の重畳によって電流が変動したとしてもその平均値が指令電流idr,iqrとなるなら、モータジェネレータ10のトルクを要求トルクTrに制御することができる。ただし、上記操作状態決定部34において予測電流ide,iqeと指令電流idr,iqrとの差の絶対値を最小とすることのできるインバータIVの操作状態を選択する場合、モータジェネレータ10の実際のトルクと要求トルクTrとの間に定常的な乖離が生じる。これは、予測電流ide,iqeとなると予測されるタイミングと現在時との間の時間間隔(予測間隔)が上記高調波の周期と比較して小さいことに起因している。すなわち、この場合、局所的なタイムスケースにおいて予測電流ide,iqeと指令電流idr,iqrとの差を最小にするための操作状態が選択される。ただし、インバータIVの出力電圧からの制約により実際の電流を指令電流とすることのできない領域とこれを上回る制御が可能な領域とが存在する。そして、上回る制御が可能な領域においては、指令電流と予測電流との差を最小とする操作状態が選択されるため、指令電流を上回る操作状態の使用が回避され、電流の平均値が指令電流に対して不足する。
ちなみに、上記定常偏差は、高調波の周期以上の長期間にわたって都度の予測電流ide,iqeと指令電流idr,iqrとの差を評価することで次回の操作状態を決定するなら解消しうる。ただし、この場合には演算負荷が過大となる。
そこで本実施形態では、選択された操作状態に対応する予測電流ide,iqeと指令電流idr,iqrとの差を入力とする積分要素の出力値を小さくする操作状態の評価が小さくしないものの評価と比較して高くなるようにする。
図4に、こうした処理を盛り込んだ本実施形態にかかるモデル予測制御の処理手順を示す。この処理は、所定の制御周期Tcでくり返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、インバータIVの操作状態の次回の更新タイミングにおける操作状態を表現する電圧ベクトルV(n+1)を仮設定する。ここでは、今回の更新タイミングにおいて採用された電圧ベクトルV(n)にて表現される操作状態からのスイッチング状態の切り替え端子数が「1」以下となるものを次回の制御周期における電圧ベクトルV(n+1)として仮設定する。
詳しくは、電圧ベクトルV(n)が有効電圧ベクトルVi(i=1〜6)である場合、電圧ベクトルV(n+1)を、電圧ベクトルVi−1、Vi,Vi+1(i:mod 6)とするか、ゼロ電圧ベクトルとする。ただし、ゼロ電圧ベクトルとしては、V(n)=V2k(k=1〜3)であるなら、ゼロ電圧ベクトルV7を選択し、V(n)=V2k−1であるなら、ゼロ電圧ベクトルV0を選択する。図5(a)に、V(n)=V1の場合について、電圧ベクトルV(n+1)として仮設定可能な4つの電圧ベクトルを示した。また、現在の電圧ベクトルV(n)がゼロ電圧ベクトルV0である場合、図5(b)に示すように、電圧ベクトルV(n+1)を、奇数の電圧ベクトルV1,V3,V5またはゼロ電圧ベクトルV0とする。さらに、現在の電圧ベクトルV(n)がゼロ電圧ベクトルV7である場合、図5(c)に示すように、電圧ベクトルV(n+1)を、偶数の電圧ベクトルV2,V4,V6またはゼロ電圧ベクトルV7とする。
続くステップS12では、次回の更新タイミングにおいて電圧ベクトルV(n+1)を採用することによる1制御周期Tc後における予測電流ide(n+2),iqe(n+2)を算出する。なお、予測電流ide(n+2),iqe(n+2)の算出手法としては、たとえば特願2009−096443号の明細書等に記載されているように、電流の初期値として、次回の更新タイミングにおける予測電流ide(n+1),iqe(n+1)を用いる手法を採用すればよい。ここで、予測電流ide(n+1),iqe(n+1)は、今回の更新タイミングにおいて検出された実電流id(n),iq(n)を初期値として予測すればよい。
続くステップS14においては、スイッチング状態の切替端子数が「1」以下となる4つの操作状態の全てについて予測電流ide(n+2),iqe(n+2)の算出が完了したか否かを判断する。そして、終了したと判断される場合、ステップS16において、仮設定された操作状態のうち現在の電圧ベクトルV(n)にて表現されるものについて、予測電流ide(n+2),iqe(n+2)と指令電流idr,iqrとの差ベクトル(偏差edq(n+2))の内積値が閾値eth以下であるか否かを判断する。この処理は、次回の更新タイミングにおいて現在の操作状態を継続して採用するか否かを判断するためのものである。この処理は、スイッチング状態の切替を低減するためのものである。
ここで、閾値ethは、要求トルクTr,電気角速度ωおよび電源電圧VDCに応じて可変設定されるものである。すなわち、要求トルクTrが大きいほど、指令電流idr,iqrが大きくなるため、同一の差であっても指令電流idr,iqrに対する誤差の割合が小さくなる。このため、要求トルクTrが大きいほど、閾値ethを大きい値とすることで、指令電流idr,iqrに対する誤差の割合が過度に大きいか否かを判断する。また、電気角速度ωが大きいほど、電流が変化しにくくなることに鑑み、電気角速度ωが小さいほど閾値ethを大きい値とすることで、閾値ethを上回る事態が生じることを抑制する。さらに、電源電圧VDCが大きいほど、電流が変化しやすくなることに鑑み、電源電圧VDCが大きいほど閾値ethを大きい値とすることで、閾値ethを上回る事態が生じることを抑制する。
上記ステップS16において閾値eth以下と判断される場合、ステップS18において、次回の更新タイミングにおける電圧ベクトルV(n+2)を今回の電圧ベクトルV(n)とする。
一方、ステップS16において、閾値ethを上回ると判断される場合、ステップS20において、仮設定された操作状態のうち評価関数Jによる評価が最も高いものを次回の操作状態に決定する。本実施形態では、評価関数Jを、偏差edq(n+2)の2乗と、仮積分値Intの2乗との和とする。ここで仮積分値Intは、現在までに採用された操作状態のそれぞれに応じた偏差(採用偏差edqopt)を入力とする積分要素の出力値(積分値In)に、仮設定されるそれぞれの操作状態に対応する偏差edq(n+2)に積分ゲインを乗算したものを加算したものである。
本実施形態では、評価関数Jが小さいほど評価を高くすることで、評価関数Jを最小化する操作状態を選択する。ここで、偏差edqの2乗(内積値)が小さいほど、予測電流ide,iqeと指令電流idr,iqrとの差の絶対値が小さくなる。このため、偏差edqの2乗が小さいほど評価を高くすることで、指令電流idr,iqrへの追従性の高い操作状態を微視的なタイムスケールで選択することができる。一方、積分値Inは、モータジェネレータ10を流れる電流が指令電流idr,iqrよりも大きい状態と小さい状態との不均衡を定量化したものであり、ゼロから離れるほど不均衡度合いが大きいことを示している。このため、仮積分値Intの2乗が小さいほど、不均衡度合いが低減される。このため、仮積分値Intの2乗が小さいほど、不均衡度合いを小さくする操作状態を選択することができる。そしてこれにより、平均電流の指令電流idr,iqrへの追従性を向上させることができる。
ステップS18、S20の処理が完了する場合、ステップS22において、ステップS18,S20において決定された次回の更新タイミングにおける操作状態(決定された電圧ベクトルV(n+2)によって表現される操作状態)に対応する偏差edq(n+2)を採用偏差edqoptとする。
続くステップS24においては、採用偏差edqoptの内積値が所定値Ethよりも小さいか否かを判断する。この処理は、モータジェネレータ10の過渡運転時であるか否かを判断するための処理である。すなわち、たとえば要求トルクTrや指令電流idr,iqrが急変する過渡運転時においては、偏差edqが定常時と比較して非常に大きくなりうる。ここで、所定値Ethは、採用偏差edqoptが過変調領域の6次の脈動成分を有するだけでは、上記内積値が超え得ない値に設定される。特に、定常状態において想定される偏差edqの内積値の最大値よりも大きい値に設定される。
上記ステップS24において所定値Eth以上と判断される場合、ステップS26において、積分値Inを初期化する。これは、過渡運転時においては、積分値Inが評価関数Jに反映されると、かえって制御性を低下させるおそれがあることに鑑みたものである。
一方、上記ステップS24において所定値Ethよりも小さいと判断される場合、ステップS28において、変調率Mが閾値Mthよりも小さいか否かを判断する。この処理は、積分値Inを更新するか否かを判断するためのものである。これは、積分値Inを用いた制御によって制御性を維持することのできる変調率Mに上限があることに鑑みたものである。変調率Mが制御性を維持できる上限値を上回ると、積分値Inを用いた制御によって平均電流を指令電流idr,iqrとすることができなくなる。このため、積分値Inは、その絶対値が不適切に大きくなり、ひいてはその狙いとする効果を奏することができず、かえって制御性を低下させるおそれがある。
ここで、変調率Mは、都度の採用される電圧ベクトルの平均値の定量値とされる。本実施形態では、都度採用される電圧ベクトルV(n+1)のd軸成分とq軸成分とのそれぞれをローパスフィルタ処理したベクトルのノルムに基づき変調率Mを算出する。詳しくは、ここでのローパスフィルタ処理は、先の図3(a)に示した内接円の半径を「2/√3」とする規格化のなされた電圧ベクトルV(n+1)の各成分に対して行われる。ここで、ローパスフィルタのカットオフ周波数は、過変調領域におけるインバータIVの出力電圧の6次の脈動成分を減衰させる値に設定する。この設定は、1電気角周期当たりの基本波成分の平均値を定量化することを狙ったものである。
上記閾値Mthは、矩形波制御の変調率「1.27」よりも小さい変調率に設定されている。これは、積分値Inを用いた制御によって矩形波制御まで変調率を上昇させることが困難との知見による。
上記ステップS28において閾値Mthよりも小さいと判断される場合、ステップS30において、積分値Inを、採用偏差edqoptに積分ゲインを乗算した値で補正する。これにより、積分値Inが更新されることとなる。なお、積分ゲインは、d軸用ゲインKidとq軸用ゲインKiqとからなり、これらの値を各別に設定することもできる。
なお、上記ステップS30、S26の処理が完了する場合や、ステップS28において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
図6(a)に、上記処理の効果を示し、図6(b)に、変調率Mに応じた積分値Inの更新処理の禁止処理を行なわない場合を示す。図示されるように、本実施形態では、制御量(トルク、電流)の制御性を向上させることができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)インバータIVの出力線間電圧の基本波成分の振幅が所定値以上となる場合(変調率Mが閾値Mth以上となる場合)、積分値Inの更新を禁止した。これにより、制御性の低下を抑制することができる。
(2)閾値Mthを矩形波制御の変調率よりも小さい値とした。これにより、積分値Inを用いた制御によって制御性が維持できる変調率Mの上限値に応じて積分値Inの更新処理を禁止することができる。
(3)過渡時において積分値Inを初期化した。これにより、積分値Inに起因して過渡時の制御性を低下させることを好適に回避することができる。
(4)偏差edqの2乗が閾値eth以下である場合、現在の操作状態を継続させて且つ、この場合であっても、積分値Inを更新した。これにより、積分値Inによって、予測電流ide,iqeが指令電流idr,iqrよりも大きくなる状態と小さくなる状態との不均衡をより正確に定量化することができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図7に、本実施形態にかかるモデル予測制御の処理手順を示す。なお、図7において、先の図4に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
図示されるように、本実施形態では、ステップS28aにおいて、変調率Mが閾値Mthよりも小さいか否かを判断するに際し、閾値Mthをモータジェネレータ10の運転領域に応じて可変設定する。これは、積分値Inを用いた制御の制御性を維持することのできる変調率Mが運転領域に応じて変化することに鑑みたものである。詳しくは、閾値Mthを、要求トルクTrおよび電気角速度ωに応じて可変設定する。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、トルクと磁束とを直接の制御量とし、これらの指令値と予測値とを入力としてインバータIVの操作状態を決定する。
図8に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図8において、先の図1に示した処理に対応する処理については、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、トルク/磁束予測部37では、予測電流ide,iqeに基づき、モータジェネレータ10の磁束ベクトルΦとトルクTとを予測する。ここで、磁束ベクトルΦ=(Φd、Φq)は、下記の式(c5)、(c6)にて予測され、トルクTは、下記の式(c7)にて予測される。
Φd=Ld・id+φ …(c5)
Φq=Lq・iq …(c6)
T=P(Φd・iq−Φq・id) …(c7)
ちなみに、上記の式(c7)においては、極対数Pを用いている。
一方、磁束マップ38では、要求トルクTrに基づき、指令磁束ベクトルΦrを設定する。ここで、指令磁束ベクトルΦrは、要求トルクTrを満たすもののうち、例えば最小の電流で最大のトルクが得られる最大トルク制御を実現する等の要求によって設定されるものである。
操作状態決定部34aでは、上記第1の実施形態の要領で操作状態を決定する。ここで、評価関数Jは、予測トルクTeと要求トルクTrとの差と、予測磁束ベクトルΦeと指令磁束ベクトルΦrとの各成分の差とに基づき定量化される値に基づき設定される。すなわち、上記偏差edq(n+2)に代えて、上記定量化される値を用い、上記積分値としては、上記定量化される値のうち採用された操作状態に対応するものを入力とする積分要素の出力値とする。なお、ここでの定量化は、上記それぞれの差のそれぞれに重み係数α、β(α≠β、α≠0、β≠0)を乗算した値同士の和に基づき決定される。ここで、重み係数α、βは、トルクと磁束との大きさが相違することに鑑みたものである。すなわち例えば、トルクの数値の方が大きくなる単位設定をする場合、トルク偏差の方が大きくなりやすいため、重み係数α、βを用いない場合には、磁束の制御性が低い電圧ベクトルであっても、評価がさほど低くならない等のデメリットの生じるおそれがある。このため、重み係数α、βを、評価のための複数の入力パラメータの絶対値の大きさの相違を補償する手段として用いる。
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
先の図4のステップS28においては、都度採用される電圧ベクトルV(n+1)のd軸成分およびq軸成分のそれぞれをローパスフィルタ処理したベクトルのノルムに基づき変調率Mを算出した。ここでは、1電気角周期当たりの基本波成分の平均値を定量化すべく、過変調領域におけるインバータIVの出力電圧の6次の脈動成分を減衰させるように、ローパスフィルタのカットオフ周波数を設定した。
しかし、変調率Mの算出に際し、ローパスフィルタを採用する場合、過渡時における制御量の制御性(応答性)が低下するおそれがある。図9は、指令電流のベクトルノルムIrがステップ状に変化した場合における実際のノルムIの推移を示すものである。図9(a)は、ローパスフィルタの時定数が大きい場合を示し、図9(b)は、ローパスフィルタの時定数が小さい場合を示す。図示されるように、ローパスフィルタの時定数を大きくすることで、指令値に対する応答性が低下している。
ただし、上述したように、時定数には6次の脈動成分を除去できる値とするという制約がある。このため、時定数を固定値とする場合には、モータジェネレータ10の電気角速度ωが小さい場合における6次の脈動を除去できる値に設定する必要があり、過渡時の応答性の低下が顕著となるおそれがある。
そこで本実施形態では、時定数を電気角速度ωに応じて可変設定する。
図10に、本実施形態にかかるモデル予測制御の処理手順を示す。この処理は、所定の制御周期Tcでくり返し実行される。なお、図10において、先の図4に示した処理に対応するものについては、便宜上同一のステップ番号を付している。
図示されるように、本実施形態では、ステップS28aにおいて変調率Mを算出する際、ローパスフィルタとして1次遅れフィルタを用いて且つ、その時定数τを、電気角速度ωが高いほど小さい値に設定する。これにより、変調率Mの算出に際し、過変調領域におけるインバータIVの出力電圧の6次の脈動成分を減衰させつつも、時定数τを極力小さい値とすることができ、ひいては過渡時における応答性を向上させることができる。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、変調率の低い領域では、評価関数Jとして、指令電流idr,iqrと予測電流ide(n+2),iqe(n+2)との乖離度合いのみを定量化するものを用いる。
図11に、本実施形態にかかる評価関数Jの切替処理の手順を示す。この処理は、所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS40において、評価関数Jに仮積分値Intを用いている旨を示すフラグFについて、その値が「1」であるか否かを判断する。そして、ステップS40において否定判断される場合、ステップS42において、変調率Mが第1閾値M1よりも高いか否かを判断する。この処理は、評価関数Jとして仮積分値Intを用いる条件が成立するか否かを判断するためのものである。なお、第1閾値M1は、過変調領域の下限値付近に設定され、また、閾値Mthよりも小さい値に設定されている。
そしてステップS42において肯定判断される場合、ステップS46において、フラグFを「1」として且つ、評価関数Jを、仮積分値Intを含めて構成する。
これに対し、ステップS40において肯定判断される場合、ステップS48において、変調率Mが第2閾値M2よりも小さいか否かを判断する。この処理は、評価関数Jを、誤差edq(n+2)の2乗とする条件が成立するか否かを判断するためのものである。ここで、第2閾値M2は、第1閾値M1よりも大きく、閾値Mthよりも小さい値に設定されている。ここで、第1閾値M1と第2閾値とを相違させるのは、評価関数Jとして仮積分値Intを用いたものと用いないものとが頻繁に切り替えられる現象を回避するためもの設定である。
ステップS48において肯定判断される場合や、ステップS42において否定判断される場合には、ステップS50において、フラグFをゼロとし、評価関数Jを誤差edq(n+2)の2乗とし、積分値Inを初期化する。
なお、上記ステップS48において否定判断される場合には、ステップS46に移行し、また、ステップS46,S50の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
<第6の実施形態>
以下、第6の実施形態について、先の第5の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、評価関数Jとして仮積分値Intを用いないものから用いるものに切り替える際や、用いるものから用いないものに切り替える際に、誤差edq(n+2)の2乗と仮積分値Intの2乗とのそれぞれの評価関数Jに対する寄与率を徐変させる。
図12に、上記評価関数Jの切替時の処理手順を示す。この処理は、所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、フラグFがゼロから1に切り替えられたか否かに基づき、仮積分値Intを用いる評価関数Jへの切替タイミングであるか否かを判断する。そして、ステップS60において肯定判断される場合、ステップS62において、評価関数Jに対する誤差edq(n+2)の2乗の寄与率を定める係数Kを「1/2n」だけ減少させるとともに、評価関数Jに対する仮積分値Intの2乗の寄与率を定める係数(1−K)を「1/2n」だけ増加させる。続くステップS64においては、係数Kが「1/2」であるか否かを判断する。この処理は、寄与率を変化させる処理の終了条件が成立するか否かを判断するためのものである。すなわち、本実施形態では、仮積分値Intを用いる評価関数Jを、最終的に偏差edq(n+2)の2乗と仮積分値Intの2乗とのそれぞれの重み係数が等しい場合の加重平均処理値とするため、係数Kを最終的に「1/2」に移行させる。これは、ステップS62による係数Kの減少処理をn回行なうことで実現される。そして、ステップS64において肯定判断される場合や、ステップS60において否定判断される場合には、ステップS66に移行する。
ステップS66においては、フラグFが1からゼロに切り替えられたか否かに基づき、仮積分値Intを用いない評価関数Jへの切替タイミングであるか否かを判断する。そして、ステップS66において肯定判断される場合、ステップS68において、評価関数Jに対する誤差edq(n+2)の2乗の寄与率を定める係数Kを「1/2n」だけ増加させるとともに、評価関数Jに対する仮積分値Intの2乗の寄与率を定める係数(1−K)を「1/2n」だけ減少させる。続くステップS70においては、係数Kが「1」であるか否かを判断する。この処理は、寄与率を変化させる処理の終了条件が成立するか否かを判断するためのものである。この処理において肯定判断されるまで、ステップS68の処理が継続される。
なお、ステップS70において肯定判断される場合や、ステップS66において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
このように、本実施形態では、仮積分値Intを用いるものと用いないものとの切替に際して、仮積分値Intの寄与率を徐変させることで、評価関数Jによる評価が急激に変化する事態を回避することができる。
<第7の実施形態>
以下、第7の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図13に示されるように、本実施形態では、過変調領域において、インバータIVの出力電圧の平均値(平均電圧ベクトルVa)が、有効電圧ベクトルV1〜V6のそれぞれから所定角度の領域に入る場合、スイッチング状態の切替を禁止する。詳しくは、インバータINVの出力電圧を、所定角度の領域に含まれる電圧ベクトルに固定する。これは、変調率を高くするための設定である。すなわち、上述したように、過変調領域においては、有効電圧ベクトルV1〜V6のそれぞれに対するなす角度が小さい場合にその有効電圧ベクトルを利用することでインバータIVの出力線間電圧の基本波成分の実効値を大きくすることができる。このため、この領域において、瞬時的な誤差edqに起因してスイッチング状態の切り替えがなされることで実効値が低下する事態を回避する。
ここで本実施形態では、平均電圧ベクトルVaを、上記の式(c1),(c2)に指令電流idr,iqrを入力することで定まる電圧ベクトルとして算出する。
また、スイッチング状態の切替を禁止する領域においても積分値Inを更新する。そして、スイッチング状態の切り替えが可能な領域においては、仮積分値Intの2乗と誤差edqの2乗との和としての評価関数Jを用いて電圧ベクトルを決定する。これにより、指令電流idr,iqrと実電流id,iqとの定常的な乖離を解消可能な電圧ベクトルが選択されるようになる。
なお、スイッチング状態の切り替えを禁止する領域は、変調率M等に応じて拡大、縮小してもよい。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
「制限手段について」
上記各実施形態において例示したように禁止手段に限らない。たとえば、変調率Mが閾値Mth以上となる場合、ゲインKiq,Kidの絶対値をゼロ以上の値に低減補正する手段であってもよい。
「履歴評価手段について」
上記実施形態では、低変調率であっても仮積分値Intを評価関数Jに加えたがこれに限らず、過変調領域に限って評価関数Jに仮積分値Intを加えてもよい。この場合、低変調率時には、積分値Inを初期化しておくことが望ましい。
またたとえば、偏差edq(n+2)と仮積分値Intとの和の2乗を評価関数Jとするものであってもよい。
「履歴の定量値の更新について」
上記各実施形態では、現在の電圧ベクトルV(n)を次回も採用した場合の偏差edq(n+2)の2乗が閾値eth以下であることに基づき次回の電圧ベクトルV(n+1)を現在の電圧ベクトルV(n)とする場合であっても、積分値Inを更新したがこれに限らない。過変調領域においては、現在の電圧ベクトルV(n)を次回も採用した場合の偏差edq(n+2)の2乗が閾値eth以下となる期間が短いことに鑑みれば、この期間において積分値Inを更新しなくても積分値Inによって狙いとする効果を奏しうる。
「履歴の定量値について」
予測される制御量(予測電流ide,iqe)と指令値(指令電流idr,iqr)との差に限らない。たとえば、予測される制御量に代えて、実際の制御量(実電流id,iq)であってもよい。ただし、仮積分値Intを構成する今回の偏差については予測される制御量を用いる。
積分要素の出力値に限らない。たとえば、制御量とその指令値との差が正であるか負であるかに応じて「1」または「−1」を逐次積算した値であってもよい。
また、たとえば偏差edq(n+2)の絶対値が規定値を上回る場合、積分要素の入力を偏差edq(n+2)の絶対値が規定値となる値によって更新するというように、積分要素の入力にガード処理を施してもよい。
「履歴評価手段の処理の実行領域について」
上記第5の実施形態(図11)や第6の実施形態(図12)において、履歴評価手段による処理を開始する閾値(M1)を、履歴評価手段による処理を停止する閾値(M2)よりも大きくしてもよい。また、履歴評価手段による処理を開始する閾値(M1)と、履歴評価手段による処理を停止する閾値(M2)とを同一としてもよい。
「履歴評価手段による評価の寄与率の漸増処理、漸減処理について」
上記第6の実施形態(図12)に例示したものに限らない。たとえば、仮積分値Intを用いる評価関数Jを、最終的に、偏差edq(n+2)の2乗と仮積分値Intの2乗とのそれぞれに重み係数α、βを乗算した値同士の和として且つ、これら重み係数α、βが互いに相違する値となってもよい。また、先の図12のステップS62の処理によって定まる寄与率の漸増速度と、同図12のステップS68の処理によって定まる寄与率の漸減速度とを互いに相違させてもよい。
「可変手段について」
要求トルクTrおよび電気角速度ωに応じて可変設定するものに限らず、たとえばこれらのうちのいずれか一方のみに応じて可変設定するものであってもよい。またたとえば、トルクと相関を有するパラメータとして、電流に基づき可変設定をしてもよい。
「初期化手段について」
予測電流ide(n+2),iqe(n+2)と指令電流idr,iqrとの差が閾値eth以上となることで過渡時と判断するものに限らず、この差を入力とするローパスフィルタの値が所定値以上となることで過渡時と判断するものであってもよい。
またたとえば、指令電流idr,iqrや要求トルクTrの変化量が所定値以上となることで過渡時と判断するものであってもよい。
もっとも、初期化手段を備えること自体、必須ではない。
「振幅相当量算出手段について」
時定数可変手段としては、上記第4の実施形態において例示したものに限らない。たとえば、電気角30度における瞬時変調率の平均値を算出するものであってもよい。ここで、「30度」は、過変調領域において3相回転機に顕著に生じる高調波が「2×3」次であるために、瞬時変調率の極大および極小間の間隔が「360°/2×2×3」となることに鑑みたものである。図14には、電気角30度の期間における瞬時変調率の極大値M(1)と極小値M(2)との単純平均値を変調率Mとする例を示している。なお、瞬時変調率とは、電気角30度と比較して十分に短いタイムスケールにおけるインバータの出力電圧のベクトルノルムが電気角の1周期継続されたと仮定した場合の変調率のこととする。
なお、変調率Mの算出手法としては、1次遅れ要素としてのローパスフィルタや上記の手法を用いるものにも限らない。たとえば6次の高調波成分を除去するノッチフィルタや、基本波成分を透過させるバンドパスフィルタ等であってもよい。さらに、電気角「30×n:n=2,3,4,…」における瞬時変調率の移動平均値(単純平均)等であってもよい。
直流交流変換回路の出力線間電圧の基本波成分の振幅としては、変調率Mとして表現して用いられるものに限らない。たとえば電圧利用率としてもよい。
「仮設定される操作状態について」
スイッチング状態の切り替え端子数が「1」以下となるものに限らず、「2」以下となるものであってもよい。また、電圧ベクトルV0〜V7の全てであってもよい。
「予測手段について」
次回の電圧ベクトルV(n+1)によって生じる制御量のみを予測するものに限らない。たとえば、数制御周期先の更新タイミングにおけるインバータIVの操作による制御量まで順次予測するものであってもよい。
「決定手段について」
たとえば、上記第1の実施形態において、予測電流ide(n+2)と指令電流idr(n+2)との差の絶対値と、予測電流iqe(n+2)と指令電流iqr(n+2)との差の絶対値との加重平均処理値を、乖離度合いの評価対象とするパラメータとしてもよい。要は、乖離度合いが大きいほど評価が低くなることを定量化すべく、乖離度合いと評価との間に正または負の相関関係があるパラメータによって定量化すればよい。
「制御量について」
指令値と予測値とに基づきインバータIVの操作を決定するために用いる制御量としては、トルクおよび磁束と、電流とのいずれかに限らない。例えば、トルクのみまたは磁束のみであってもよい。また例えば、トルクおよびd軸電流またはトルクおよびq軸電流等、トルクおよび電流であってもよい。ここで、制御量を電流以外とする場合等において、センサによる直接の検出対象を電流以外としてもよい。
上記各実施形態では、回転機の究極の制御量(予測対象であるか否かにかかわらず、最終的に所望の量とされることが要求される制御量)を、トルクとしたが、これに限らず、例えば回転速度等としてもよい。
「回転機について」
回転機としては、3相回転機に限らず、5相回転機等、4相以上の回転機であってもよい。
上記実施形態では、固定子巻線がスター結線されたものを想定したがこれに限らず、デルタ結線されたものであってもよい。この場合、回転機の端子と相とは一致しない。
回転機としては、埋め込み磁石同期機に限らず、表面磁石同期機や、界磁巻線型同期機等、任意の同期機であってよい。更に、同期機にも限らず、誘導モータ等、誘導回転機であってもよい。
回転機としては、ハイブリッド車に搭載されるものに限らず、電気自動車に搭載されるものであってもよい。また、回転機としては車両の主機として用いられるものに限らない。
「そのほか」
指令電流idr,iqrとしては、最小電流最大トルク制御を実現するための値に設定されるものに限らず、たとえば最大効率制御を実現するための値に設定されたものであってもよい。またたとえば特願2009−182425号公報に記載されているように、弱め界磁制御を行うためのものであってもよい。
たとえばモデル予測制御において、変調率が規定値以上となることで従来の矩形波制御を行なってもよい。
直流電圧源としては、高電圧バッテリ12に限らず、例えば高電圧バッテリ12の電圧を昇圧するコンバータの出力端子であってもよい。
10…モータジェネレータ、12…高電圧バッテリ(直流電圧源の一実施形態)、14…制御装置(回転機の制御装置の一実施形態)。

Claims (14)

  1. 直流電圧源の正極および負極のそれぞれに回転機の端子を選択的に接続するスイッチング素子を備える直流交流変換回路について、該直流交流変換回路のスイッチング素子をオン・オフ操作することで前記回転機を流れる電流、前記回転機のトルク、および前記回転機の磁束の少なくとも1つを有した制御量を制御する回転機の制御装置において、
    固定座標系における電圧ベクトルにて表現される前記直流交流変換回路の操作状態を仮設定した場合の前記制御量を予測する予測手段と、
    該予測手段によって予測される制御量に基づき、該予測される制御量に対応する操作状態を評価し、評価の高い操作状態を前記直流交流変換回路の操作状態として決定する決定手段と、
    該決定された操作状態となるように前記直流交流変換回路を操作する操作手段と、
    を備え、
    前記決定手段は、
    前記制御量とその指令値との差の履歴の定量値に基づき、前記仮設定される操作状態の評価を、前記制御量が前記指令値よりも大きい状態と前記制御量が前記指令値よりも小さい状態との不均衡を低減する場合に該不均衡を増大させる場合よりも高くする履歴評価手段と、
    前記直流交流変換回路の出力線間電圧の基本波成分の振幅が前記直流電圧源の電圧よりも大きい所定値以上となる場合に所定値未満の場合と比較して、前記履歴評価手段による前記履歴の定量値の更新を制限する制限手段とを備えることを特徴とする回転機の制御装置。
  2. 前記制限手段は、前記基本波成分の振幅が前記直流電圧源の電圧よりも大きい所定値以上となる場合、前記履歴評価手段による前記履歴の定量値の更新を禁止する禁止手段であることを特徴とする請求項1記載の回転機の制御装置。
  3. 前記所定値は、矩形波制御時の値よりも低いことを特徴とする請求項1または2記載の回転機の制御装置。
  4. 前記所定値を、前記回転機の運転領域に応じて可変設定する可変手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  5. 前記回転機の制御量の指令値が急激に変化する過渡時において、前記履歴評価手段の保持する前記履歴の定量値を初期化する初期化手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  6. 前記初期化手段は、前記制御量とその指令値との差が所定値以上となることで前記過渡時であると判断することを特徴とする請求項5記載の回転機の制御装置。
  7. 前記決定手段は、現在の操作状態と同一の操作状態を仮設定した場合の前記予測される制御量とその指令値との差が所定以下である場合、前記履歴の定量値にかかわらず現在の操作状態に決定する現在値重視手段を備え、
    前記履歴評価手段は、前記現在値重視手段によって現在の操作状態に決定される場合であっても、前記履歴の定量値を更新することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  8. 前記履歴の定量値は、前記決定手段によって決定された操作状態に応じた前記制御量とその指令値との差を入力とする積分要素の出力であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  9. 前記制限手段の入力パラメータとなる前記直流交流変換回路の出力線間電圧の基本波成分の振幅相当量を、前記決定手段によって決定された操作状態に対応する電圧ベクトルに基づき算出する振幅相当量算出手段を備え、
    該振幅相当量算出手段は、前記振幅相当量算出手段の時定数を、前記回転機の電気角速度が高いほど小さくする時定数可変手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  10. 前記決定手段は、前記履歴評価手段による処理を前記直流交流変換回路の出力線間電圧の基本波成分の振幅が前記所定値よりも小さい規定値未満となる場合には行なわないことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  11. 前記決定手段は、前記直流交流変換回路の出力線間電圧の基本波成分の振幅に関する閾値について、前記履歴評価手段による処理がなされている状況下、該処理を停止させるための閾値と、前記履歴評価手段による処理がなされていない状況下、該処理を開始するための閾値とを互いに相違する値とすることを特徴とする請求項10記載の回転機の制御装置。
  12. 前記決定手段は、
    前記仮設定される操作状態の評価を、前記制御量とその指令値との差が小さい場合の方が大きい場合よりも高くする乖離評価手段を備え、
    前記履歴評価手段による処理がなされている状況下、前記履歴評価手段による評価と前記乖離評価手段による評価とを併用するものであって且つ、
    前記履歴評価手段による処理を開始するに際して、前記操作状態の決定に関する前記履歴評価手段による評価の寄与率を漸増させることを特徴とする請求項10または11記載の回転機の制御装置。
  13. 前記決定手段は、
    前記仮設定される操作状態の評価を、前記制御量とその指令値との差が小さい場合の方が大きい場合よりも高くする乖離評価手段を備え、
    前記履歴評価手段による処理がなされている状況下、前記履歴評価手段による評価と前記乖離評価手段による評価とを併用するものであって且つ、
    前記履歴評価手段を停止させるに際して、前記操作状態の決定に関する前記履歴評価手段による評価の寄与率を漸減させることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  14. 前記回転機は、N相の多相回転機であり、
    前記決定手段は、
    「360°/2N」の周期で前記操作状態の変更を禁止する領域および許可する領域を設定する禁止領域設定手段を備え、
    前記禁止する領域においては、前記履歴の定量値にかかわらず現在の操作状態に決定するものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
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