JP5732812B2 - 窒素置換式脱酸素装置、および窒素置換式脱酸素方法 - Google Patents
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タンク部内に貯留された水を前記脱酸素装置内で循環させるための水循環手段と、
前記水に窒素ガスを注入する窒素ガス注入部と、
前記水と前記窒素ガスとを混合する窒素ガス混合部と、
該窒素ガス注入部と前記タンク部との間に配設され、循環する水の流量を調整する流量調整手段と、
を少なくとも備え、
該流量調整手段によって、前記水循環手段の出口の圧力が0.1〜0.6MPaとなるように調整される窒素置換式脱酸素装置を提供する。
本発明に係る窒素置換式脱酸素装置は、前記窒素ガス注入部と前記タンク部との間で通水する水の流量の調整が行われることを特徴とする。
本発明に係る窒素置換式脱酸素装置では、前記窒素ガス混合部にて混合された水と窒素との気液分離を行わずに、処理水を前記タンク部に戻すことが好ましい。即ち、本発明に係る窒素置換式脱酸素装置には、前記窒素ガス混合部にて混合された水と窒素とを気液分離する気液分離手段を備えないことが好ましい。
本発明に係る窒素置換式脱酸素装置における前記窒素ガス混合部では、水と窒素ガスの混合を行うことができればその形態は特に限定されないが、本発明では、前記窒素ガス混合部として蛇腹状の通水配管を用いることが好ましい。
また、本発明に係る窒素置換式脱酸素装置への補給水の注入箇所は特に限定されないが、本発明においては、前記水循環手段の手前で注入することが好ましい。
更に、本発明に係る窒素置換式脱酸素装置には、補給水の合流点と前記タンク部との間に、逆止弁を備えず、補給水量よりも通水量を多くすることが好ましい。
本発明においては、補給水の合流点と前記タンク部との間にクッション槽を設けることが望ましく、また、窒素ガス注入部の配管径を循環水の流速が10〜20m/sとなるように部分的に細くすることで窒素ガスの気泡を微細化することが望ましい。
前記水に窒素ガスを注入する窒素ガス注入工程と、
前記水と前記窒素ガスとを混合する窒素ガス混合工程と、
前記循環手段の出口の圧力が0.1〜0.6MPaとなるように、前記窒素ガス注入工程を経た後、前記水が前記タンク部に戻される前に循環する流量調整を行う流量調整工程と、
を少なくとも行う窒素置換式脱酸素方法を提供する。
本発明に係る窒素置換式脱酸素方法は、前記窒素ガス注入工程を経た後、処理水が前記タンク部に戻される前に循環する水の流量の調整が行われることを特徴とする。
本発明に係る窒素置換式脱酸素方法では、前記窒素ガス混合工程にて混合された水と窒素との気液分離を行わずに、処理水を前記タンク部に戻すことが好ましい。
本発明に係る窒素置換式脱酸素方法における前記窒素ガス混合工程では、水と窒素ガスの混合を行うことができればその方法は特に限定されないが、本発明では、前記窒素ガス混合工程において、前記窒素ガス注入工程にて窒素が注入された水を蛇腹状の通水配管に通水することで前記水と前記窒素ガスとを混合することが好ましい。
更に、補給水の合流点と前記タンク部との間にクッション槽を備えることが好ましく、また、窒素ガスの注入部の配管径を循環水の流速が10〜20m/sとなるように部分的に細くすることで窒素ガスの気泡を微細化することがより好ましい。
図1は、本発明に係る窒素置換式脱酸素装置1の一実施形態を示す模式概念図である。本発明に係る窒素置換式脱酸素装置1は、水中の溶存酸素を窒素と置換することにより、水中の溶存酸素を低減する脱酸素装置であって、窒素ガス注入部11と、窒素ガス混合部12と、水循環手段13と、流量調整手段14と、タンク部15と、を備える。窒素ガス注入部11と窒素ガス混合部12と水循環手段13は直接又は配管等を介して互いに接続され、流体(液体、気体)を通す循環ラインが構成される。その循環ラインはタンク部15に接続され、タンク部15に流体が供給される。以下、各部について詳細に説明する。
窒素ガス注入部11は水に窒素ガスを注入するために機能する。窒素ガスの注入方法は特に限定されず、窒素置換式脱酸素技術分野において通常用いられるあらゆる方法を自由に選択して用いることができる。例えば、水の循環ラインに圧入することにより窒素ガスを注入する方法、エゼクターなどを用いて吸入させることにより窒素ガスを注入する方法などを挙げることができる。
窒素ガス混合部12では、水と窒素ガスとの混合を行う。水と窒素ガスの混合を行いながら、水中の溶存酸素の窒素との置換が行われる。
水循環手段13は、タンク部15内に貯留された水を、本発明に係る脱酸素装置内で循環させるために機能する。循環ラインには、水が補給される補給水合流点を設けてもよく、この場合、水循環手段13は補給された水(補給水)も循環させる。
流量調整手段14は、水循環手段13の出口の圧力が0.1〜0.6MPaとなるように、通水する水の流量を調整するために機能する。水循環手段13の出口の圧力を0.1MPa以上とすることにより溶存酸素を十分に除去することが可能となる。また、0.6MPa以下とすることにより窒素注入を効率的に行うことが可能となる。
タンク部15は、脱酸素水を一時的に貯留する場として機能する。このタンク部15は、本発明に係る窒素置換式脱酸素装置1の一部として新設することは必須でなく、例えば、既設のタンクを利用して、本発明に係る窒素置換式脱酸素装置1を構成することにより、水系の脱酸素を行うことも可能である。窒素置換式脱酸素装置1で処理後の脱酸素水は、循環ラインの途中からボイラ等の外部装置に供給してもよいが、タンク部15からの供給が望ましい。
本発明に係る窒素置換式脱酸素方法は、タンク部内に貯留された水を、循環手段を用いて該タンク部外へ循環させ、水中の溶存酸素を窒素と置換することにより、水中の溶存酸素を低減する脱酸素方法であって、窒素ガス注入工程と、窒素ガス混合工程と、流量調整工程と、を少なくとも行う方法である。以下、各工程について詳細に説明する。
窒素ガス注入工程は、水に窒素ガスを注入する工程である。窒素ガス注入工程で行う窒素ガスの注入方法は特に限定されず、窒素置換式脱酸素技術分野において通常用いられるあらゆる方法を自由に選択して用いることができる。例えば、水の循環ラインに圧入することにより窒素ガスを注入する方法、エゼクターなどを用いて吸入させることにより窒素ガスを注入する方法などを挙げることができる。
窒素ガス混合工程は、水と窒素ガスの混合を行う工程である。水と窒素ガスの混合を行いながら、水中の溶存酸素の窒素との置換が行われる。
流量調整工程は、循環手段の出口の圧力が0.1〜0.6MPaとなるように、水の流量を調整する工程である。
実験1では、本発明に係る窒素置換式脱酸素装置1において、流量調整手段14の好適な設置箇所の検証を行った。
実施例1では、図1に示すように、容量1tのタンク部15に、2つの窒素ガス混合部12同士の間にバルブ(流量調整手段14)を設置した脱酸素装置を設置し、脱酸素水を平均2m3/hでボイラに給水しながら運転した。循環ポンプ出口が0.1〜0.6MPaで、循環水量が補給水の最大流量以上となるようにポンプを選定し、循環ポンプ出口が0.1MPaとなるようにバルブ(流量調整手段14)で調整を行った。補給水としては、タンクレベルによりON/OFF制御して循環ポンプ手前に軟水を補給した。補給水の溶存酸素濃度は9.8mg/Lで一定となるように調整した。軟水の補給時の流量は2.5m3/hに設定した。蒸気ドレン水のタンクへの回収は行わず、窒素ガス混合部12には長さ0.5mのスタティックミキサーを各々設置した。循環水量は3m3/h、窒素ガス注入量は0.6Nm3/h、窒素ガスの純度は99%のものを使用して運転した。
図2に示すように、窒素ガス注入部11の直後に流量調整手段14を設置して、あとは実施例1と同様の条件で運転した。
図3に示すように、循環ラインの最後段のタンク部15に戻る直前に流量調整手段14を設置して、あとは実施例1と同様の条件で運転した。
図4に示すように、窒素ガス注入部11の前に流量調整手段14を設置して、あとは実施例1と同様の条件で運転した。
循環ポンプの出口が0.05MPaで3m3/hの通水が可能なポンプを用いること以外は実施例1と同様に運転した。
実験2では、窒素ガス混合部12として蛇腹状の通水配管を用いた場合の脱酸素効果を検証した。
実験3では、本発明に係る窒素置換式脱酸素装置1において、補給水の好適な注入箇所の検証を行った。
前記実験1の実施例と同様の条件で運転を行った。
補給水をタンクに直接補給すること以外は前記実験1の実施例1と同様に運転した。
実験4では、本発明に係る窒素置換式脱酸素装置において、補給水の合流点とタンク部の間へクッション槽を設置することによる有効性の検証を行った。
補給水量を4m3/hとすること以外は前記実験1の実施例1と同様に運転した。
(2)実施例10
補給水合流点とタンク部15の間であって、補給水合流点よりも上流側に容量200Lのクッション槽25を設置すること以外は実施例9と同様に運転した。実施例9、10の場合のボイラに給水する脱酸素水の溶存酸素濃度の推移をそれぞれ測定した結果を表に示す。
実験5では、本発明に係る窒素置換式脱酸素装置において、窒素ガス混合部12として25Aの配管を用いた場合の脱酸素効果を検証した。なお、25Aと後述する10Aは配管の呼び径であり、太さ(直径)等を表す(JIS G3452参照)。例えば、25Aは外径34.0mm、厚さ3.2mm、10Aは外径17.3mm、厚さ2.3mmである。
図5に示すように、容量2m3のタンク部15に、2つの窒素ガス混合部12間にバルブ(流量調整手段14)を設置した脱酸素装置を設置し、脱酸素水を平均3.5m3/hでボイラに給水しながら運転した。ここで、窒素ガス混合部12はそれぞれ25Aの配管とし、循環ポンプ出口が0.1〜0.6MPaで循環水量が補給軟水の最大流量以上となるようにポンプを選定した。補給水としては野木町水軟化水を、タンクレベルによりON/OFF制御して、循環ポンプ手前に補給した。なお、「野木町水軟化水」は、栃木県下都賀郡野木町の水道水を軟化処理したものである。
窒素ガス混合部12間にバルブを設置せず、循環ポンプ出口の窒素ガス注入部11以降は全て25Aの配管とし、循環ポンプ出口バルブのみで循環水量を3m3/hに調整した他は上記実施例と同様の条件にて運転したところ、ボイラに給水する脱酸素水の溶存酸素濃度は下記表に示す値となった。
(3)比較例5
窒素ガス混合部12間に設置したバルブで、循環ポンプ出口バルブ2次側の圧力(=循環ポンプ出口圧力)を0.04MPaに調整した他は上記実施例と同様の条件にて運転したところ、ボイラに給水する脱酸素水の溶存酸素濃度は下記表に示す値となった。
実験6では、本発明に係る窒素置換式脱酸素装置において、窒素ガス注入部11における循環水の流速が10〜20m/sに上がるように配管径を部分的に細くすることの有効性を検証した。
実験5の実施例15と同様の条件で運転を行った。
(2)実施例19
窒素ガス注入部11の配管を、長さ80mmに渡って配管径を25Aから10Aに変更し、窒素ガス注入部11における循環水の流速を2.3m/sから10.9m/sにした以外は実験5の実施例15と同様に運転した。
実験7では、本発明に係る窒素置換式脱酸素装置において、流量調整手段14を複数設置した場合の有効性の検証を行った。
実験6の実施例と同様の条件で運転を行った。
(2)実施例20
図6に示すように、窒素ガス混合部12に、流量調整手段として、窒素ガス混合部のバルブの後段にスプリング内蔵チェックバルブ24を設置した他は、実験6の実施例19と同様に運転した。
11 窒素ガス注入部
12 窒素ガス混合部
13 水循環手段
14 流量調整手段
15 タンク部
24 スプリング内臓チェックバルブ
25 クッション槽
Claims (12)
- 水中の溶存酸素を窒素と置換することにより、水中の溶存酸素を低減する脱酸素装置であって、
タンク部内に貯留された水を前記脱酸素装置内で循環させるための水循環手段と、
前記水に窒素ガスを注入する窒素ガス注入部と、
前記水と前記窒素ガスとを混合する少なくとも1つの窒素ガス混合部と、
該窒素ガス注入部より下流に配設され、前記少なくとも1つの窒素ガス混合部に通水する水の流量を調整する流量調整手段と、
を少なくとも備え、
該流量調整手段によって、前記水循環手段の出口の圧力が0.1〜0.6MPaとなるように調整される、窒素置換式脱酸素装置。 - 前記少なくとも1つの窒素ガス混合部にて混合された水と窒素とを気液分離する気液分離手段を備えないことを特徴とする、請求項1記載の窒素置換式脱酸素装置。
- 前記少なくとも1つの窒素ガス混合部として蛇腹状の通水配管を用いる、請求項1または2に記載の窒素置換式脱酸素装置。
- 前記水循環手段の手前で補給水が合流する合流点で補給水が注入される、請求項1から3のいずれか一項に記載の窒素置換式脱酸素装置。
- 前記補給水が合流する前記合流点と前記タンク部との間に、逆止弁を備えないことを特徴とする、請求項4に記載の窒素置換式脱酸素装置。
- 前記補給水が合流する前記合流点と前記タンク部との間にクッション槽を備えること特徴とする、請求項4又は5に記載の窒素置換式脱酸素装置。
- 前記窒素ガス注入部の配管径を循環水の流速が10〜20m/sとなるように部分的に細くすることで窒素ガスの気泡を微細化する、請求項1から6のいずれか一項に記載の窒素置換式脱酸素装置。
- タンク部内に貯留された水を循環手段を用いて該タンク部外へ循環させ、水中の溶存酸素を窒素と置換することにより、水中の溶存酸素を低減する脱酸素方法であって、
前記水に窒素ガスを注入する窒素ガス注入工程と、
前記水と前記窒素ガスとを混合する少なくとも1つの窒素ガス混合工程と、
前記循環手段の出口の圧力が0.1〜0.6MPaとなるように、前記窒素ガス注入工程を経た後であって前記少なくとも1つの窒素ガス混合工程に通水する水の流量を調整する流量調整工程と、
を少なくとも行う、窒素置換式脱酸素方法。 - 前記少なくとも1つの窒素ガス混合工程にて混合された水と窒素とを気液分離せずに前記タンク部に戻すことを特徴とする、請求項8記載の窒素置換式脱酸素方法。
- 前記少なくとも1つの窒素ガス混合工程では、前記窒素ガス注入工程にて窒素が注入された水を蛇腹状の通水配管に通水することで前記水と前記窒素ガスとを混合する、請求項8または請求項9記載の窒素置換式脱酸素方法。
- 前記水循環手段の手前で補給水が合流する合流点で前記補給水が注入されて、前記補給水が合流する前記合流点と前記タンク部との間にクッション槽を備えること特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載の窒素置換式脱酸素方法。
- 窒素ガスを注入する部分の配管径を循環水の流速が10〜20m/sとなるように部分的に細くすることで窒素ガスの気泡を微細化する、請求項8から11のいずれか一項に記載の窒素置換式脱酸素方法。
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