JP5732301B2 - 多板式駆動力伝達装置 - Google Patents

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本発明は、多板式駆動力伝達装置に関する。
従来、多板式駆動力伝達装置としては、特許文献1に記載の自動変速機の多板クラッチ・ブレーキのように、複数のドリブンプレート(第1摩擦板)がトランスミッションケースにスプライン嵌合され、複数のドライブプレート(第2摩擦板)が回転体ハブにスプライン嵌合され、ドリブンプレートとドライブプレートとが交互に積層されて互いの摩擦面にて締結するものが知られている。この多板クラッチ・ブレーキにおいては、トランスミッションケースとドリブンプレートとのいずれか一方に、スプラインピッチ差を設け、ドリブンプレートの嵌合誤差を吸収することを図っている。
また、特許文献1のような湿式の多板式駆動力伝達装置においては、当該装置に潤滑油を供給することで、クラッチ・ブレーキの締結時にドライブプレートとドリブンプレートとの接触面に潤滑剤を介在させ、潤滑性の確保及びフリクションの低減を図っている。
特開平7−259884号公報
しかしながら、クラッチ・ブレーキの非締結時にドライブプレート及びドリブンプレートが相対回転した場合、ドライブプレートの回転数が高くなると、ドライブプレートとドリブンプレートとの対向面に潤滑油が必要以上に供給されることになり、潤滑油の抵抗によって回転損失が増加してしまう虞れがあった。なお、特許文献1には、潤滑油の排出性については記載されておらず、この課題を解決することは困難であった。
本発明は、前述した課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、潤滑油の抵抗による回転損失を低減することが可能な多板式駆動力伝達装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、
内周面(例えば、後述の実施形態における内周面44a)に複数の内歯(例えば、後述の実施形態における内歯44b)を有する保持部(例えば、後述の実施形態における第2円筒壁44)の径方向内側に配設され、前記複数の内歯とそれぞれ噛合する複数の外歯(例えば、後述の実施形態における外歯35b)を有する第1摩擦板(例えば、後述の実施形態における固定プレート35)と、前記第1摩擦板と相対回転する第2摩擦板(例えば、後述の実施形態における回転プレート36)とが、軸方向に交互に積層されて、対向する互いの摩擦面にて締結可能で、且つ第1摩擦板及び第2摩擦板の少なくとも一部が潤滑油の貯留部(例えば、後述の実施形態における貯留部T)内に位置する多板式駆動力伝達装置(例えば、後述の実施形態における多板式油圧ブレーキ60)であって、
前記貯留部外に位置する前記外歯と前記内歯との間に形成される空間(例えば、後述の実施形態における空間A)の全てが、前記貯留部内に位置する前記外歯と前記内歯との間に形成される空間(例えば、後述の実施形態における空間B)よりも大きい
ことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、
前記外歯の周方向両側面(例えば、後述の実施形態における周方向両側面35bS)は、径方向外側に向かって周方向幅が小さくなるようにテーパ状に形成され、
前記外歯を挟む2つの前記内歯の周方向側面(例えば、後述の実施形態における周方向側面44bS)は、それぞれ前記外歯の周方向側面と噛合するようにテーパ状に形成される
ことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加えて、
前記空間は、前記外歯の最外周面と、前記外歯を挟む2つの前記内歯間に位置する前記保持部の内周面と、の間に形成される
ことを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1〜の何れか1項に記載の構成に加えて、
前記貯留部は、第2摩擦板が回動状態における貯留部である
ことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、貯留部外に位置する外歯と内歯との間に形成される空間が、貯留部内に位置する外歯と内歯との間に形成される空間よりも大きい。したがって、第2摩擦板が回転することによって貯留部から掻き上げられた潤滑油が、貯留部外に大きく形成された空間から軸方向に排出されやすくなるので、潤滑油の抵抗による回転損失を低減することが可能となる。
また、貯留部外に位置する外歯と内歯との間に形成される空間の全てが、貯留部内に位置する外歯と内歯との間に形成される空間よりも大きいので、貯留部から掻き上げられた潤滑油の排出性を高め、回転損失を低減する効果を高めることが可能となる。
請求項2の発明によれば、外歯の周方向両側面は、径方向外側に向かって周方向幅が小さくなるテーパ状に形成され、外歯を挟む2つの内歯の周方向側面は、それぞれ外歯の周方向側面と噛合するテーパ状に形成されるので、外歯の変位が内歯によって規制され、第1摩擦板の位置ずれを防止することができる。
請求項3の発明によれば、外歯と内歯との間に形成される空間は、外歯の最外周面と、外歯を挟む2つの内歯間に位置する保持部の内周面と、の間、すなわち外歯の径方向外側に形成される。したがって、空間が外歯の周方向側面と内歯の周方向側面との間、すなわち外歯の周方向側方に形成される場合と比べて、駆動力伝達の際に、周方向に複数ある内歯と外歯との噛合部のうち、一部の噛合部へ応力集中することを抑制し、各噛合部における応力を平準化することが可能となる。
請求項の発明によれば、第2摩擦板が回動状態における貯留部を基準として、貯留部内に位置する外歯と内歯との間に形成される空間よりも、貯留部外に位置する外歯と内歯との間に形成される空間が大きくなるようにしたので、貯留部から掻き上げられた潤滑油をより確実に空間から排出することができ、回転損失を低減する効果を高めることが可能となる。さらに、貯留部内に位置する外歯と内歯との間に形成される空間から流入して掻き上げられる潤滑油が過剰となることを抑制することができる。
本発明に係る多板式駆動力伝達装置を搭載可能な車両の一実施形態であるハイブリッド車両の概略構成を示すブロック図である。 後輪駆動装置の縦断面図である。 図2に示す後輪駆動装置の部分拡大図である。 図2に示す後輪駆動装置の部分拡大図である。 図2に示す後輪駆動装置の部分分解斜視図である。 図2に示すVI−VI矢視図である。 貯留部外に位置する外歯と内歯との間に形成される空間周辺の拡大図である。 貯留部内に位置する外歯と内歯との間に形成される空間周辺の拡大図である。 第2実施形態に係る多板式油圧ブレーキにおける、貯留部外に位置する外歯と内歯との間に形成される空間周辺の拡大図である。 変形例の多板式油圧ブレーキにおける、貯留部外に位置する外歯と内歯との間に形成される空間周辺の拡大図である。
本発明に係る多板式駆動力伝達装置は、例えば、図1に示すような駆動システムの車両に用いられる。以下の説明では車両用駆動装置を後輪駆動用として用いる場合を例に説明するが、前輪駆動用に用いてもよい。
図1に示す車両3は、内燃機関4と電動機5が直列に接続された駆動装置6(以下、前輪駆動装置と呼ぶ。)を車両前部に有するハイブリッド車両であり、この前輪駆動装置6の動力がトランスミッション7を介して前輪Wfに伝達される一方で、この前輪駆動装置6と別に車両後部に設けられた駆動装置1(以下、後輪駆動装置と呼ぶ。)の動力が後輪Wr(RWr、LWr)に伝達されるようになっている。前輪駆動装置6の電動機5と後輪Wr側の後輪駆動装置1の電動機2A、2Bは、バッテリ9に接続され、バッテリ9からの電力供給と、バッテリ9へのエネルギー回生が可能となっている。符号8は車両全体を各種制御するための制御装置である。
<第1実施形態>
先ず、本発明に係る第1実施形態の多板式駆動力伝達装置が適用される車両用駆動装置について、図2〜図5に基づいて説明する。
図2は、後輪駆動装置1の全体の縦断面図を示すものであり、図3、4は、図2の部分拡大図である。同図において、符号11は、後輪駆動装置1のケースであり、ケース11は、車幅方向略中央部に配置される中央ケース11Mと、中央ケース11Mを挟むように中央ケース11Mの左右に配置される側方ケース11A、11Bと、から構成され、全体が略円筒状に形成される。ケース11は、その内部に、後輪Wr用の車軸10A、10Bと、車軸駆動用の電動機2A、2Bと、この電動機2A、2Bの駆動回転を減速する遊星歯車式減速機12A、12Bとが、同一軸線上に配置されている。この車軸10A、電動機2A及び遊星歯車式減速機12Aは左後輪LWrを制御し、車軸10B、電動機2B及び遊星歯車式減速機12Bは右後輪RWrを制御し、車軸10A、電動機2A及び遊星歯車式減速機12Aと、車軸10B、電動機2B及び遊星歯車式減速機12Bは、ケース11内で車幅方向に左右対称に配置されている。
側方ケース11A、11Bの中央ケース11M側には、それぞれ径方向内側に延びる隔壁18A、18Bが設けられ、側方ケース11A、11Bと隔壁18A、18Bとの間には、それぞれ電動機2A、2Bが配置される。また、中央ケース11Mと隔壁18A、18Bとに囲まれた空間には、遊星歯車式減速機12A、12Bが配置されている。なお、図2〜4中の矢印は、後輪駆動装置1が車両に搭載された状態における位置関係を示している。
後輪駆動装置1には、ケース11の内部と外部を連通するブリーザ装置40が設けられ、内部の空気が過度に高温・高圧とならないように内部の空気をブリーザ室41を介して外部に逃がすように構成される。ブリーザ室41は、ケース11の鉛直方向上方に配置され、中央ケース11Mの外壁と、中央ケース11M内に側方ケース11A側に略水平に延設された第1円筒壁43と、側方ケース11B側に略水平に延設された第2円筒壁44と、第1及び第2円筒壁43、44の内側端部同士をつなぐ左右分割壁45と、第1円筒壁43の側方ケース11A側先端部に当接するように取り付けられたバッフルプレート47Aと、第2円筒壁44の側方ケース11B側先端部に当接するように取り付けられたバッフルプレート47Bと、により形成された空間により構成される。
ブリーザ室41の下面を形成する第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45は、第1円筒壁43が第2円筒壁44より径方向内側に位置し、左右分割壁45が、第2円筒壁44の内側端部から縮径しつつ屈曲しながら第1円筒壁43の内側端部まで延設され、さらに径方向内側に延設されて略水平に延設された第3円筒壁46に達する。第3円筒壁46は、第1円筒壁43と第2円筒壁44の両外側端部より内側に且つその略中央に位置している。
図5は、図2に示す後輪駆動装置の部分分解斜視図である。図5では、左側のバッフルプレート47Aと遊星歯車式減速機12Aのみを示すが、右側のバッフルプレート47Bと遊星歯車式減速機12Bも同様の構成を有する。
バッフルプレート47A、47Bは、それぞれ薄板状の側壁部47aが下端で開口した略円環形状を有してなり、側壁部47aの外縁を囲うようにリブ47bが設けられている。また、側壁部47aは、上方が外径側に延設されて第1円筒壁43と中央ケース11Mの外壁との間の空間又は第2円筒壁44と中央ケース11Mの外壁との間の空間を遊星歯車式減速機12A又は遊星歯車式減速機12Bから区画するように構成され、その上方外縁からは直交方向から僅かに下方に傾くように天板47cが延設されている。天板47cの中央には、周方向両側に対し天板47cの長さが短くなるように切欠き47dが設けられ、切欠き47dや天板47cの先端部を介してケース11内の空気がブリーザ室41に導入するように構成される。天板47cには、切欠き47dの両側に、凹状に窪んだ溝部47e設けられている。バッフルプレート47A、47Bは、側壁部47aの上方に設けられた2ヶ所のボルト孔47fとリブ47bの下方に設けられた2ヶ所の取り付け片47gのボルト孔47fとにボルト48で中央ケース11Mに固定される。
また、図2及び図3に戻って、中央ケース11Mには、ブリーザ室41と外部とを連通する外部連通路49がブリーザ室41の鉛直方向上面に接続される。外部連通路49のブリーザ室側端部49aは、鉛直方向下方を指向して配置されている。従って、オイルが外部連通路49を通って外部に排出されるのが抑制される。
電動機2A、2Bは、ステータ14A、14Bがそれぞれ側方ケース11A、11Bに固定され、このステータ14A、14Bの内周側に環状のロータ15A、15Bが回転可能に配置されている。ロータ15A、15Bの内周部には車軸10A、10Bの外周を囲繞する円筒軸16A、16Bが結合され、この円筒軸16A、16Bが車軸10A、10Bと同軸上に相対回転可能となるように側方ケース11A、11Bの端部壁17A、17Bと隔壁18A、18Bに軸受19A、19Bを介して支持されている。また、円筒軸16A、16Bの一端側の外周であって端部壁17A、17Bには、ロータ15A、15Bの回転位置情報を電動機2A、2Bの制御コントローラ(図示せず)にフィードバックするためのレゾルバ20A、20Bが設けられている。
また、遊星歯車式減速機12A、12Bは、サンギヤ21A、21Bと、これらのサンギヤ21A、21Bに噛合される複数のプラネタリギヤ22A、22Bと、これらのプラネタリギヤ22A、22Bを支持するプラネタリキャリア23A、23Bと、プラネタリギヤ22A、22Bの外周側に噛合されるリングギヤ24A、24Bと、を備え、サンギヤ21A、21Bから電動機2A、2Bの駆動力が入力され、減速された駆動力がプラネタリキャリア23A、23Bを通して出力されるようになっている。
サンギヤ21A、21Bは円筒軸16A、16Bに一体に形成されている。また、プラネタリギヤ22A、22Bは、サンギヤ21A、21Bに直接噛合される大径の第1ピニオン26A、26Bと、この第1ピニオン26A、26Bよりも小径の第2ピニオン27A、27Bを有する2連ピニオンであり、これらの第1ピニオン26A、26Bと第2ピニオン27A、27Bが同軸にかつ軸方向にオフセットした状態で一体に形成されている。このプラネタリギヤ22A、22Bはプラネタリキャリア23A、23Bに支持され、プラネタリキャリア23A、23Bは、軸方向内側端部が径方向内側に伸びて車軸10A、10Bにスプライン嵌合され一体回転可能に支持されるとともに、軸受33A、33Bを介して隔壁18A、18Bに支持されている。
リングギヤ24A、24Bは、その内周面が小径の第2ピニオン27A、27Bに噛合されるギヤ部28A、28Bと、ギヤ部28A、28Bより小径でケース11の中間位置で互いに対向配置される小径部29A、29Bと、ギヤ部28A、28Bの軸方向内側端部と小径部29A、29Bの軸方向外側端部を径方向に連結する連結部30A、30Bとを備えて構成されている。この実施形態の場合、リングギヤ24A、24Bの径方向外縁は、第1ピニオン26A、26Bの車軸10A、10Bの中心からの最大距離よりも小さくなるように設定されている。また、図4に示すように、リングギヤ24A、24Bの径方向外縁は、電動機2A、2Bの径方向最外縁部P1、P2よりも小さく形成され、これにより、遊星歯車式減速機12Aのリングギヤ24Aと遊星歯車式減速機12Bのリングギヤ24Bの径方向外方に、電動機2Aの径方向最外縁部と電動機2Bの径方向最外縁部とを結ぶ仮想線分PLよりも径方向に凹んだオフセットスペースOSが設けられる。
ギヤ部28A、28Bは、中央ケース11Mの左右分割壁45の内径側端部に形成された第3円筒壁46を挟んで軸方向に対向している。小径部29A、29Bは、その外周面がそれぞれ後述する一方向クラッチ50のインナーレース51とスプライン嵌合し、リングギヤ24A、24Bは一方向クラッチ50のインナーレース51と一体回転するように互いに連結されて構成されている。
一方向クラッチ50は、車両3が電動機2A、2Bの動力で前進する際に係合してリングギヤ24A、24Bの回転をロックするように構成されている。より具体的に説明すると、一方向クラッチ50は、電動機2A、2B側の順方向(車両3を前進させる際の回転方向)の回転動力が車輪Wr側に入力されるときに係合状態となるとともに電動機2A、2B側の逆方向の回転動力が車輪Wr側に入力されるときに非係合状態となり、車輪Wr側の順方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力されるときに非係合状態となるとともに車輪Wr側の逆方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力されるときに係合状態となる。
オフセットスペースOSのうち遊星歯車式減速機12B側であって、ケース11を構成する中央ケース11Mの第2円筒壁44とリングギヤ24Bのギヤ部28Bとの間に空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24Bを制動可能な多板式油圧ブレーキ(多板式駆動力伝達装置)60が第1ピニオン26Bと径方向でオーバーラップし、第2ピニオン27Bと軸方向でオーバーラップするように配置されている。
多板式油圧ブレーキ60は、第2円筒壁44の内周面44a(図6参照。)にスプライン嵌合されて保持された複数の固定プレート35と、リングギヤ24Bのギヤ部28Bの外周面にスプライン嵌合され、固定プレート35と軸方向に交互に積層された複数の回転プレート36と、を備えている。
固定プレート35及び回転プレート36は、環状のピストン37によって、軸方向に圧接されることで締結・解放可能とされている。
ピストン37は、中央ケース11Mの左右分割壁45と第3円筒壁46間に形成された環状のシリンダ室に進退自在に収容されており、さらに第3円筒壁46の外周面に設けられた受け座38に支持される弾性部材39によって、常時、固定プレート35と回転プレート36とを解放する方向に付勢される。
また、さらに詳細には、左右分割壁45とピストン37の間はオイルが直接導入される作動室Sとされ、作動室Sに導入されるオイルの圧力が弾性部材39の付勢力に勝ると、ピストン37が前進(右動)し、固定プレート35と回転プレート36とが相互に圧接されて締結することとなる。また、弾性部材39の付勢力が作動室Sに導入されるオイルの圧力に勝ると、ピストン37が後進(左動)し、固定プレート35と回転プレート36とが離間して解放することとなる。なお、多板式油圧ブレーキ60は電動オイルポンプ70(図1参照)に接続されている。
この多板式油圧ブレーキ60の場合、固定プレート35がケース11を構成する中央ケース11Mの左右分割壁45から伸びる第2円筒壁44に保持される一方で、回転プレート36がリングギヤ24Bのギヤ部28Bに支持されているため、両プレート35、36がピストン37によって押し付けられると、両プレート35、36間の摩擦締結によってリングギヤ24Bに制動力が作用し固定される。その状態からピストン37による締結が解放されると、リングギヤ24Bの自由な回転が許容される。なお、上述したように、リングギヤ24A、24Bは互いに連結されているため、多板式油圧ブレーキ60が締結することによりリングギヤ24Aにも制動力が作用し固定され、多板式油圧ブレーキ60が解放することによりリングギヤ24Aも自由な回転が許容される。
また、軸方向で対向するリングギヤ24A、24Bの連結部30A、30B間にも空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24A、24Bに対し一方向の動力のみを伝達し他方向の動力を遮断する一方向クラッチ50が配置されている。一方向クラッチ50は、インナーレース51とアウターレース52との間に多数のスプラグ53を介在させたものであって、そのインナーレース51がスプライン嵌合によりリングギヤ24A、24Bの小径部29A、29Bと一体回転するように構成されている。またアウターレース52は、第3円筒壁46により位置決めされるとともに、回り止めされている。
また、図2及び図6に示すように、ケース11の下方には、電動オイルポンプ70から吐出され、電動機2A、2B、遊星歯車式減速機12A、12B、及び多板式油圧ブレーキ60などに供給される潤滑油としてのオイルが貯留する貯留部Tが形成されている。貯留部Tには、通常、多板式油圧ブレーキ60の下部が浸漬されており、リングギヤ24A、24Bが回転する際に、リングギヤ24Bのギヤ部28Bに固定された回転プレート36も回転することによって、貯留部Tから掻き上げられたオイルが貯留部T外の固定プレート35や回転プレート36に供給される。
なお、図2及び図6において、貯留部Tは、後輪駆動装置1が水平な状態において、リングギヤ24Bが回転中、すなわち回転プレート36が回動している状態におけるオイルの貯留状態を示しており、貯留部Tの上面は動油面を表している。
図6に示すように、第2円筒壁44には、その内周面44aに周方向に所定の間隔で、径方向内側に向かって周方向幅が小さくなる断面略台形形状の複数の内歯44bが形成され、内周面44aと周方向において隣り合う内歯44bの周方向側面44bSとによって複数の溝部44cが形成される。また、固定プレート35は、その外周面35aから周方向に所定の間隔で径方向外側に向かって突出し、複数の溝部44cにそれぞれ挿入されて、複数の内歯44bとそれぞれ噛合する外歯35bを有しており、外歯35bは径方向外側に向かって周方向幅が小さくなる断面略台形形状に形成されている。即ち、外歯35bの周方向両側面35bSは、径方向外側に向かって周方向幅が小さくなるようにテーパ状に形成され、外歯35bを挟む2つの内歯44bの周方向側面44bSは、それぞれ外歯35bの周方向側面35bSと噛合するようにテーパ状に形成される。
また、外歯35bの周方向両側面35bSと、外歯35bを挟む2つの内歯44bの周方向側面44bSと、は内歯44bの径方向内側端部から外歯35bの径方向外側端部に亘って噛合しており、外歯35bの径方向外側における外歯35bと内歯44bとの間、即ち、外歯35bの最外周面と第2円筒壁44の内周面44aとの間には空間A、Bが形成される。ここで、ケース11内の貯留部T外(動油面より上方)に位置する外歯35bと内歯44bとの間に形成される空間を符号Aで示し、貯留部T内に位置する外歯35bと内歯44bとの間に形成される空間を符号Bで示す。
図6〜8に示すように、貯留部T外に位置する第2円筒壁44の溝部44cは、貯留部T内に位置する溝部44cよりも径方向深さが拡大されている。したがって、貯留部T外に位置する外歯35bと内歯44bとの間に形成される空間Aは、貯留部T内に位置する外歯35bと内歯44bとの間に形成される空間Bよりも径方向に拡大され、断面積が大きくなる。なお、本実施形態においては、貯留部T外に位置する複数の空間Aのうち全てが、貯留部T内に位置する空間Bよりも大きくなるように形成したが、必ずしもこれに限定されず、貯留部T外に位置する空間Aのうち少なくとも1つが、貯留部T内に位置する空間Bよりも大きいように形成すればよい。
以上、説明したように、本実施形態の多板式駆動力伝達装置によれば、貯留部T内に位置する外歯35bと内歯44bとの間に形成される空間Bよりも、貯留部T外に位置する外歯35bと内歯44bとの間に形成される空間Aが大きいので、回転プレート36の回転によって貯留部Tから掻き上げられたオイルが、貯留部T外に設けられた空間Aから軸方向に、すなわち固定プレート35及び回転プレート36の積層方向に排出され易くなる。したがって、固定プレート35と回転プレート36との対向面にオイルが過剰に滞留することを防止でき、オイルの抵抗による回転損失を低減することが可能となる。
また、回転プレート36が回動状態における貯留部Tを基準として、この貯留部T内に位置する空間Bよりも、貯留部T外に位置する空間Aが大きくなるようにしたので、貯留部Tから掻き上げられたオイルをより確実に空間Aから排出することができ、回転損失を低減する効果を高めることが可能となる。さらに、空間Bから貯留部Tに流入し、掻き上げられるオイルが過剰となることを抑制することができる。
また、外歯35bの周方向両側面35bSは、径方向外側に向かって周方向幅が小さくなるテーパ状に形成され、外歯35bを挟む2つの内歯44bの周方向側面44bSは、それぞれ外歯35bの周方向側面35bSと噛合するテーパ状に形成されるので、外歯35bの変位が内歯44bによって規制され、固定プレート35の位置ずれを防止することができる。
また、外歯35bと内歯44bとの間に形成される空間A、Bは、外歯35bの最外周面と、外歯35bを挟む2つの内歯44b間に位置する第2円筒壁44の内周面44aと、の間、すなわち外歯35bの径方向外側に形成される。したがって、空間A、Bが外歯35bの周方向側面35bSと内歯44bの周方向側面44bSとの間、すなわち外歯35bの周方向側方に形成される場合と比べて、駆動力伝達の際に、周方向に複数ある内歯44bと外歯35bとの噛合部のうち、一部の噛合部へ応力集中することを抑制し、各噛合部における応力を平準化することが可能となる。
<第2実施形態>
次に、本発明に係る第2実施形態の多板式駆動力伝達装置について、図9に基づいて説明する。なお、第2実施形態の多板式駆動力伝達装置は、上述の実施形態の多板式油圧ブレーキ60と基本的構成が同一であり、貯留部T外に位置する外歯35bと内歯44bとの間に形成される空間Aの構成が相違しているため、ここでは相違部分について詳述し、同一部分については説明を省略又は簡略化する。
本実施形態の多板式油圧ブレーキ60において、貯留部T内に位置する外歯35bと内歯44bとの間に形成される空間Bは、第1実施形態と同様に構成される(図8参照)。一方、図9に示すように、貯留部T外に位置する溝部44cは、貯留部T内に位置する溝部44cに比べ、周方向幅及び径方向深さが大きくなるように形成され、外歯35bに比べて周方向幅が大きくなる。外歯35bは、その周方向一方側(図9中、右側)の周方向側面35bSが、内歯44bの周方向側面44bSに噛合するように形成される。したがって、貯留部T外に位置する外歯35bと内歯44bとの間に形成された空間Aは、貯留部T内に位置する外歯35bと内歯44bとの間に形成される空間Bよりも径方向及び周方向に拡大される。
なお、外歯35bは、その周方向他方側の周方向側面35bSが、内歯44bの周方向側面44bSに噛合するようにしてもよい。また、貯留部T外における複数の外歯35bのうち、どの外歯35bのどちら側の周方向側面35bSが、内歯44bの周方向側面44bSと噛合するかは、任意に設定することが可能である。
以上説明した通り、第2実施形態の多板式駆動力伝達装置によれば、第1実施形態と同様に、貯留部T外に位置する外歯35bと内歯44bとの間に形成される空間Aが、貯留部T内に位置する外歯35bと内歯44bとの間に形成される空間Bよりも大きいので、同様の効果を奏することができる。
また、貯留部T外における空間Aは、貯留部T内における空間Bに比べ、径方向に加え周方向にも拡大されているので、貯留部T外におけるオイルの排出性を増すことが可能となり、オイルの回転損失をさらに低減することができる。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、第2実施形態において、貯留部T外に位置する外歯35bと内歯44bとの間に形成される空間Aは、貯留部T内に位置する外歯35bと内歯44bとの間に形成される空間Bに比べ、径方向及び周方向に拡大されるように形成される(図9参照。)構成としたが、これに限定されず、図10に示すように、空間Aは空間Bに比べて周方向にのみ拡大するようにしてもよい。
また、内歯44bは、断面略台形形状に限定されず、径方向内側に向かって周方向幅が小さくなる断面略三角形形状であってもよく、周方向両側面がテーパ状に形成されない断面略矩形形状であってもよい。
また、貯留部T外及び貯留部T内で溝部44cの大きさを変化させず、貯留部T外に位置する外歯35bを貯留部T内に位置する外歯35bよりも小さくすることによって、貯留部T外の空間Aを、貯留部T内の空間Bよりも大きく形成するようにしてもよい。
また、回転プレート36が回動状態における貯留部Tを基準として、この貯留部T内(動油面より下方)に位置する空間Bよりも、貯留部T外に位置する空間Aを大きく形成したが、これに限定されず、回転プレート36が静止状態における貯留部Tを基準として、この貯留部T内(静油面より下方)に位置する空間Bよりも、貯留部T外に位置する空間Aを大きく形成してもよい。
また、貯留部T内に位置する外歯35bと内歯44bとの間には、空間が形成されなくてもよく、少なくとも、貯留部T外に位置する外歯35bと内歯44bとの間におけるオイルの積層方向の流路抵抗が、貯留部T外に位置する外歯35bと内歯44bとの間におけるオイルの積層方向の流路抵抗よりも小さい構成であればよい。この構成によれば、貯留部Tから掻き上げられたオイルの排出性を高め、オイルの抵抗による回転損失を低減することが可能となる。
35 固定プレート(第1摩擦板)
35a 外周面
35b 外歯
35bS 周方向側面
36 回転プレート(第2摩擦板)
44 第2円筒壁(保持部)
44a 内周面
44b 内歯
44bS 周方向側面
44c 溝部
60 多板式油圧ブレーキ(多板式駆動力伝達装置)
A、B 空間
T 貯留部

Claims (4)

  1. 内周面に複数の内歯を有する保持部の径方向内側に配設され、前記複数の内歯とそれぞれ噛合する複数の外歯を有する第1摩擦板と、前記第1摩擦板と相対回転する第2摩擦板とが、軸方向に交互に積層されて、対向する互いの摩擦面にて締結可能で、且つ第1摩擦板及び第2摩擦板の少なくとも一部が潤滑油の貯留部内に位置する多板式駆動力伝達装置であって、
    前記貯留部外に位置する前記外歯と前記内歯との間に形成される空間の全てが、前記貯留部内に位置する前記外歯と前記内歯との間に形成される空間よりも大きい
    ことを特徴とする多板式駆動力伝達装置。
  2. 前記外歯の周方向両側面は、径方向外側に向かって周方向幅が小さくなるようにテーパ状に形成され、
    前記外歯を挟む2つの前記内歯の周方向側面は、それぞれ前記外歯の周方向側面と噛合するようにテーパ状に形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の多板式駆動力伝達装置。
  3. 前記空間は、前記外歯の最外周面と、前記外歯を挟む2つの前記内歯間に位置する前記保持部の内周面と、の間に形成される
    ことを特徴とする請求項2に記載の多板式駆動力伝達装置。
  4. 前記貯留部は、第2摩擦板が回動状態における貯留部である
    ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の多板式駆動力伝達装置。
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