JP5425885B2 - 遊星歯車機構の潤滑構造 - Google Patents

遊星歯車機構の潤滑構造 Download PDF

Info

Publication number
JP5425885B2
JP5425885B2 JP2011288792A JP2011288792A JP5425885B2 JP 5425885 B2 JP5425885 B2 JP 5425885B2 JP 2011288792 A JP2011288792 A JP 2011288792A JP 2011288792 A JP2011288792 A JP 2011288792A JP 5425885 B2 JP5425885 B2 JP 5425885B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
planetary gear
support shaft
annular member
lubricating oil
planetary
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011288792A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013137073A (ja
Inventor
桂一 大礒
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2011288792A priority Critical patent/JP5425885B2/ja
Publication of JP2013137073A publication Critical patent/JP2013137073A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5425885B2 publication Critical patent/JP5425885B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Retarders (AREA)
  • General Details Of Gearings (AREA)

Description

本発明は、遊星歯車機構の潤滑構造に関する。
図6に示すように、特許文献1には、遊星歯車用回転支持装置100が開示されている。この遊星歯車用回転支持装置100では、支持板105に支持軸106の基端部が嵌合固定されており、当該支持軸106はその周囲にころ軸受108を介して遊星歯車107を回転自在に支持している
支持軸106の外周面に形成された内輪軌道119と、各遊星歯車107の内周面に形成された外輪軌道120と、の間の空間122には、二列の複数のころ121と、二列のころ121に軸方向両側から挟まれる間座123と、が配置されている。
支持板105及び支持軸106の内部には、互いに連通する給油路124、125が設けられており、これら給油路124、125には、不図示のポンプから潤滑油が供給される。また、支持軸106の軸方向中間部には、径方向にノズル孔127が形成されており、このノズル孔127は、一端が給油路125に連通し、他端が間座123の内周縁と対向する部分に開口している。
間座123は、外輪軌道120の直径と同じか僅かに小さい外径と、内輪軌道119の直径よりも大きな内径と、を有する。また、間座123の軸方向両端面の内周縁寄り部分には、互いに逆方向に傾斜した傾斜面130、130が形成されている。そして、間座123の内周縁の幅寸法100wは、ノズル孔127の開口の直径100dよりも十分に小さく(100w≪100d)なっている。
このように構成された、遊星歯車用回転支持装置100では、間座123の内周縁とノズル孔127の開口との間に、大きな面積の潤滑油流路が形成される。従って、ノズル孔127から吐出される潤滑油は、特に流路を絞られる事なく、ころ121を配置した空間122内に流入する。従って、これら各ころ121の転動面と内輪軌道119及び外輪軌道120との当接部に十分量の潤滑油を送り込める。
特開平7−317885号公報
しかしながら、特許文献1に記載の遊星歯車用回転支持装置100では、各部の潤滑量(潤滑分配比)を、回転数に応じて任意にコントロールすることは困難であり、高速回転時には遠心力によって潤滑油の分配量に偏りが生じてしまう。その結果、各ころ121の転動面と内輪軌道119及び外輪軌道120との当接部に過剰な潤滑油が供給されてしまう一方で、他の部位への潤滑量が減少してしまう虞れがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、遠心力による潤滑分配量の偏りを低減し、潤滑油の過剰な供給を防止することが可能な遊星歯車機構の潤滑構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
車両(例えば、後述の実施形態の車両3)の車輪(例えば、後述の実施形態の後輪Wr)を駆動する駆動源(例えば、後述の実施形態の電動機2A、2B)と、
前記車両の車輪と、前記駆動源と、の動力伝達経路上に配置される遊星歯車機構(例えば、後述の実施形態の遊星歯車式減速機12A、12B)と、
を備え、
前記遊星歯車機構は、
サンギヤ(例えば、後述の実施形態のサンギヤ21A、21B)と、
前記サンギヤに噛合するプラネタリギヤ(例えば、後述の実施形態のプラネタリギヤ22A、22B)と、
前記プラネタリギヤを支持するプラネタリキャリア(例えば、後述の実施形態のプラネタリキャリア23A、23B)と、
前記プラネタリギヤの外周側に噛合するリングギヤ(例えば、後述の実施形態のリングギヤ24A、24B)と、
を有し、
前記プラネタリキャリアは、前記プラネタリギヤの回転軸線方向に延在し前記プラネタリギヤを回転可能に支持する支持軸(例えば、後述の実施形態の支持軸71A、71B)を有し、
前記支持軸は、その内部に形成され、前記遊星歯車機構の潤滑に供する潤滑油が流れる支持軸内潤滑油路(例えば、後述の実施形態の支持軸内潤滑油路73A、73B)と、該支持軸内潤滑油路と前記支持軸の外周面(例えば、後述の実施形態の外周面74A、74B)とを連通する連通孔(例えば、後述の実施形態の連通孔75A、75B)を、有する遊星歯車機構の潤滑構造であって、
前記連通孔の開口(例えば、後述の実施形態の80A、80B)は、前記支持軸の外周面のうち、前記プラネタリギヤの公転中心と前記回転軸線とを通る直線と直交し、前記回転軸線を通る平面よりも前記公転中心側に形成され、
前記支持軸の外周面と前記プラネタリギヤの内周面との間には、軸受部材(例えば、後述の実施形態の軸受部材76A、76B)及び環状部材(例えば、後述の実施形態のピニオンカラー77A、77B)が互いに前記回転軸線方向にオフセットして配置され、
前記環状部材は、前記支持軸の外径よりも大きい内径と、前記プラネタリギヤの内径よりも小さい外径と、を有し、前記支持軸に遊嵌され、
前記環状部材と前記開口とは、少なくとも一部が前記回転軸線方向にオーバラップして配置されることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、
前記プラネタリギヤの内径(例えば、後述の実施形態の内径22r)と前記環状部材の外径(例えば、後述の実施形態の外径77R)との差は、前記環状部材の内径(例えば、後述の実施形態の内径77r)と前記支持軸の外径(例えば、後述の実施形態の71R)との差よりも大きく形成されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、
前記プラネタリギヤの内径と前記環状部材の外径との差は、前記環状部材の内径と前記支持軸の外径との差よりも小さく形成されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の構成に加えて、
前記環状部材と前記軸受部材とは互いに隣接して配置されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加えて、
前記軸受部材は互いに前記回転軸線方向に離間して配置される2つの軸受部材を含み、
該2つの軸受部材の間に前記環状部材が配置され、
前記環状部材と前記2つの軸受部材とは、互いに隣接して配置されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の構成に加えて、
前記2つの軸受部材は、同一の寸法及び形状を有することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6の何れか1項に記載の構成に加えて、
前記環状部材の前記軸受部材側の端部の径方向の厚みは、前記軸受部材の前記環状部材側の端部(例えば、後述の実施形態の保持部79A、79B)と前記プラネタリギヤの内周面との間隙(例えば、後述の実施形態のS1A、S1B)、若しくは前記軸受部材の前記環状部材側の端部と前記支持軸の外周面との間隙(例えば、後述の実施形態のS2A、S2B)の何れか大きいほうよりも大きく形成されることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の構成に加えて、
前記環状部材の前記回転軸線方向の長さは、前記開口の前記回転軸線方向の長さよりも長いことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8の何れか1項に記載の構成に加えて、
前記プラネタリキャリアは、径方向に延在し、前記支持軸を保持する腕部(例えば、後述の実施形態の内側腕部72A、72B)を備え、
前記腕部は、前記腕部内で径方向に延在する腕部内潤滑油路(例えば、後述の実施形態の腕部内潤滑油路81A、81B)を含み、
前記腕部内潤滑油路は、前記支持軸内潤滑油路に接続されることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9の何れか1項に記載の構成に加えて、
前記車輪は、前記プラネタリキャリアに接続され、
前記駆動源は、前記サンギヤ若しくは前記リングギヤに接続されることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の構成に加えて、
前記潤滑油は、潤滑油供給装置によって圧送され、
前記車輪と前記駆動源との動力伝達は、前記プラネタリキャリアの回転数が所定値以上のときに、弱められ、
前記環状部材の質量は、前記プラネタリキャリアの回転数が前記所定値近傍のときに、前記環状部材にかかる遠心力が前記潤滑油供給装置の吐出圧力と前記潤滑油にかかる遠心力との和よりも大きくなるように定められることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11の何れか1項に記載の構成に加えて、
前記潤滑油は、前記連通孔の前記開口を経由して、前記リングギヤの噛合部と前記サンギヤの噛合部とに供給されることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、連通孔の開口は、前記支持軸の外周面のうち、前記プラネタリギヤの公転中心と前記回転軸線とを通る直線と直交し、前記回転軸線を通る平面よりも前記公転中心側に形成され、支持軸の外周面とプラネタリギヤの内周面との間には、軸受部材及び環状部材が互いに前記回転軸線方向にオフセットして配置され、環状部材は、支持軸の外径よりも大きい内径と、プラネタリギヤの内径よりも小さい外径と、を有し、支持軸に遊嵌され、環状部材と開口とは、少なくとも一部が回転軸線方向にオーバーラップして配置される。したがって、プラネタリキャリアの回転数が上昇した場合、環状部材は、遠心力によって径方向外側に移動し、開口を閉塞するので、又は開口から流出する潤滑油の流路抵抗となるので、開口から潤滑油が過剰に吐出することを抑制可能となり、潤滑分配量の偏りを低減可能となる。特に、環状部材が遠心力によって径方向外側に移動したとき、環状部材の内周面は、支持軸の外周面のうち、プラネタリギヤの公転中心と回転軸線とを通る直線と直交し、回転軸線を通る平面よりも公転中心側の領域に近づくので、当該領域に開口が形成されたことで、開口からの潤滑油の流出を効果的に抑制可能である。
請求項2に記載の発明によれば、プラネタリギヤの内径と環状部材の外径との差は、環状部材の内径と支持軸の外径との差よりも大きく形成されるので、環状部材は径方向外側に移動したときに、外周側がプラネタリギヤの内周に当接せず、内周側で連通孔の開口を閉塞することが可能となる
請求項3に記載の発明によれば、プラネタリギヤの内径と環状部材の外径との差は、環状部材の内径と支持軸の外径との差よりも大きく形成されるので、環状部材は径方向外側に移動したときに、連通孔の流路抵抗を形成することが可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、環状部材と軸受部材とが互いに隣接して配置されるので、軸受部材によって環状部材の回転軸線方向の移動を規制可能となり、流量調整を行う環状部材が連通孔から回転軸線方向にずれることを防止可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、環状部材の回転軸線方向両側に2つの軸受部材が隣接して配置されるので、環状部材が連通孔から回転軸線方向にずれることをさらに防止可能となる。
また、軸受部材を回転軸線方向に複数備えるので、1つの軸受部材の回転軸線方向長さを短く形成可能となる。
さらに、2つの軸受部材の間に環状部材が配置されるので、環状部材を支持軸の回転軸線方向中央領域に配置可能であるとともに、連通孔も支持軸の回転軸線方向中央領域に配置可能となるので、潤滑油をより均等に供給可能となる。
請求項6に記載の発明によれば、同一の寸法及び形状を有する軸受部材を環状部材の両端に配置したので、一種類の軸受部材を共用可能となる。
請求項7に記載の発明によれば、環状部材の径方向の厚みは、軸受部材の環状部材側の端部と、プラネタリギヤの内周面若しくは支持軸の外周面と、の間隙よりも大きいので、環状部材と軸受部材とが回転軸線方向に接近しても、環状部材が間隙に入り込むことを防止可能である。
請求項8に記載の発明によれば、環状部材の回転軸線方向の長さは、開口の回転軸線方向の長さよりも長いので、開口の回転軸線方向全体に亘って環状部材による閉塞が可能である。
請求項9に記載の発明によれば、公転する支持軸内の支持軸内潤滑油路に対して、腕部内に形成した腕部内潤滑油路が常時連通されるので、安定した潤滑油の供給が可能となる。
請求項10に記載の発明によれば、プラネタリキャリアは、駆動源の状態に拠らず、車輪の回転に同期して回転するので、より車速に同期した潤滑油の流量制御が可能となる。
請求項11に記載の発明によれば、環状部材の質量は、プラネタリキャリアの回転数が所定値近傍のときに、環状部材が開口を閉塞するように、定められる。したがって、車輪と駆動源との動力伝達が弱められる回転数のときに、環状部材が開口を閉塞するので、潤滑油が必要ないときに合わせて、開口を閉塞可能となる。
請求項12に記載の発明によれば、開口から吐出した潤滑油は、リングギヤの噛合部及びサンギヤの噛合部に供給されるので、これらリングギヤ及びサンギヤに潤滑油が供給される前に、プラネタリギヤの内周面と支持軸の外周面との間や、軸受部材も潤滑可能となる。
本発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造が適用される車両の一実施形態であるハイブリッド車両の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る遊星歯車機構の潤滑構造を備える後輪駆動装置の縦断面図である。 図2に示す後輪駆動装置の上部部分拡大断面図である。 図3におけるIV−IV線矢視断面図であり、(a)はピニオンカラーが径方向内側に移動した状態を示す図であり、(b)はピニオンカラーが径方向外側に移動した状態を示す図であり、(c)はピニオンカラーがプラネタリギヤ及び支持軸と同心円状に配置された状態を示す図である。 変形例に係るピニオンカラー、プラネタリギヤ、及び支持軸を示す断面図であり、(a)はピニオンカラーが径方向外側に移動した状態を示す図であり、(b)はピニオンカラーがプラネタリギヤ及び支持軸と同心円状に配置された状態を示す図である。 従来の遊星歯車用回転支持装置を示す断面図である。
本発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造は、車両の車輪と駆動源との動力伝達経路上に配置される遊星歯車機構に適用されるものであり、例えば、図1に示すような駆動システムの車両に搭載される遊星歯車式減速機に適用される。
図1に示す車両3は、内燃機関4と駆動源としての電動機5が直列に接続された駆動装置6(以下、前輪駆動装置と呼ぶ。)を車両前部に有するハイブリッド車両であり、この前輪駆動装置6の動力がトランスミッション7を介して前輪Wfに伝達される一方で、この前輪駆動装置6と別に車両後部に設けられた駆動装置1(以下、後輪駆動装置と呼ぶ。)の動力が後輪Wr(RWr、LWr)に伝達されるようになっている。前輪駆動装置6の電動機5と後輪Wr側の後輪駆動装置1の第1及び第2電動機2A、2Bは、バッテリ9に接続され、バッテリ9からの電力供給と、バッテリ9へのエネルギー回生が可能となっている。図1中、符号8は車両全体を制御するための制御装置である。
先ず、本発明に係る一実施形態の遊星歯車機構の潤滑構造が適用される後輪駆動装置について、図2〜図3に基づいて説明する。
図2は、後輪駆動装置1の全体の縦断面図を示すものであり、図3は、図2の上部部分拡大断面図である。同図において、符号11は、後輪駆動装置1のケースであり、ケース11は、車幅方向略中央部に配置される中央ケース11Mと、中央ケース11Mを挟むように中央ケース11Mの左右に配置される側方ケース11A、11Bと、から構成され、全体が略円筒状に形成される。ケース11の内部には、後輪Wr用の車軸10A、10Bと、車軸駆動用の第1及び第2電動機2A、2Bと、後輪Wrと電動機2A、2Bとの動力伝達経路上に配置され、電動機2A、2Bの駆動回転を減速する第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bとが、同一軸線上に配置されている。この車軸10A、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aは左後輪LWrを駆動制御し、車軸10B、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bは右後輪RWrを駆動制御する。車軸10A、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aと、車軸10B、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bは、ケース11内で車幅方向に左右対称に配置されている。
側方ケース11A、11Bの中央ケース11M側には、それぞれ径方向内側に延びる隔壁18A、18Bが設けられ、側方ケース11A、11Bと隔壁18A、18Bとの間には、それぞれ第1及び第2電動機2A、2Bが配置される。また、中央ケース11Mと隔壁18A、18Bとに囲まれた空間には、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bが配置されている。また、図2〜3中の矢印は、後輪駆動装置1が車両に搭載された状態における位置関係を示している。
後輪駆動装置1には、ケース11の内部と外部を連通するブリーザ装置40が設けられ、内部の空気が過度に高温・高圧とならないように内部の空気をブリーザ室41を介して外部に逃がすように構成される。ブリーザ室41は、ケース11の鉛直方向上部に配置され、中央ケース11Mの外壁と、中央ケース11M内に左側方ケース11A側に略水平に延設された第1円筒壁43と、右側方ケース11B側に略水平に延設された第2円筒壁44と、第1及び第2円筒壁43、44の内側端部同士をつなぐ左右分割壁45と、第1円筒壁43の左側方ケース11A側先端部に当接するように取り付けられたバッフルプレート47Aと、第2円筒壁44の右側方ケース11B側先端部に当接するように取り付けられたバッフルプレート47Bと、により形成された空間により構成される。
ブリーザ室41の下面を形成する第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45とは、第1円筒壁43が第2円筒壁44より径方向内側に位置し、左右分割壁45が、第2円筒壁44の内側端部から縮径しつつ屈曲しながら第1円筒壁43の内側端部まで延設され、さらに径方向内側に延設されて略水平に延設された第3円筒壁46に達する。第3円筒壁46は、第1円筒壁43と第2円筒壁44の両外側端部より内側に且つその略中央に位置している。
第1及び第2電動機2A、2Bは、ステータ14A、14Bがそれぞれ側方ケース11A、11Bに固定され、このステータ14A、14Bの内周側に環状のロータ15A、15Bが回転可能に配置されている。ロータ15A、15Bの内周部には車軸10A、10Bの外周を囲繞する円筒軸16A、16Bが結合され、この円筒軸16A、16Bが車軸10A、10Bと同軸上に相対回転可能となるように側方ケース11A、11Bの端部壁17A、17Bと隔壁18A、18Bに軸受19A、19Bを介して支持されている。また、円筒軸16A、16Bの一端側の外周であって端部壁17A、17Bには、ロータ15A、15Bの回転位置情報を電動機2A、2Bの制御コントローラ(図示せず)にフィードバックするためのレゾルバ20A、20Bが設けられている。
また、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bは、サンギヤ21A、21Bと、このサンギヤ21に噛合する複数のプラネタリギヤ22A、22Bと、これら複数のプラネタリギヤ22A、22Bを支持するプラネタリキャリア23A、23Bと、プラネタリギヤ22A、22Bの外周側に噛合するリングギヤ24A、24Bと、を備え、サンギヤ21A、21Bから電動機2A、2Bの駆動力が入力され、減速された駆動力がプラネタリキャリア23A、23Bを通して車軸10A、10Bに出力されるようになっている。
サンギヤ21A、21Bは円筒軸16A、16Bに一体に形成されている。また、プラネタリギヤ22A、22Bは、サンギヤ21A、21Bに直接噛合する大径の第1ピニオン26A、26Bと、この第1ピニオン26A、26Bよりも小径の第2ピニオン27A、27Bを有する2連ピニオンであり、これらの第1ピニオン26A、26Bと第2ピニオン27A、27Bが同軸にかつプラネタリギヤ22A、22Bの回転軸線方向にオフセットした状態で一体に形成されている。
プラネタリキャリア23A、23Bは、プラネタリギヤ22A、22Bの回転軸線方向に延在しプラネタリギヤ22A、22Bを回転可能に支持する支持軸71A、71Bと、径方向内側に延在して支持軸71A、71Bの回転軸線方向内側端部を回転可能に保持する内側腕部72A、72Bと、支持軸71A、71Bの回転軸線方向外側端部を保持する外側腕部83A、83Bと、を有している。内側腕部72A、72Bは、径方向内側端部が車軸10A、10Bに一体回転可能にスプライン嵌合されると共に、径方向内側の一部が回転軸線方向外側に延出して、軸受34A、34Bを介して円筒軸16A、16Bに相対回転可能に支持される。外側腕部83A、83Bは、軸受33A、33Bを介して隔壁18A、18Bに支持される。
支持軸71A、71B内には、遊星歯車式減速機12A、12Bの潤滑に供する潤滑油が流れる支持軸内潤滑油路73A、73Bが、回転軸線方向に延びて形成されている。支持軸内潤滑油路73A、73Bの回転軸線方向内側端部は、内側腕部72A、72B内で径方向に延在する腕部内潤滑油路81A、81Bに接続されており、この腕部内潤滑油路81A、81Bを介して、車軸10A、10B内に形成された車軸内潤滑油路82A、82Aの潤滑油が支持軸内潤滑油路73A、73Bに供給される。
また、支持軸71A、71Bは、その回転軸線方向中間部近傍において、支持軸内潤滑油路73A、73Bと外周面74A、74Bとを連通するように径方向に延びる連通孔75A、75Bを有している。外周面74A、74Bに形成される連通孔75A、75Bの開口80A、80Bは、外周面74A、74Bのうち、プラネタリギヤ22A、22Bの公転中心(プラネタリキャリア23A、23Bの回転中心)とプラネタリギヤ22A、22Bの回転軸線(回転中心)とを通る直線と直交し、回転軸線を通る平面よりも公転中心側(径方向内側)に形成されており、プラネタリギヤ22A、22Bの公転中心を指向する。
支持軸71A、71Bの外周面74A、74Bとプラネタリギヤ22A、22Bの内周面との間には、互いに回転軸線方向に離間する2つの軸受部材76A、76Bと、2つの軸受部材76A、76Bの間に挟まれるピニオンカラー77A、77Bと、が配置されており、これらの2つの軸受部材76A、76B及びピニオンカラー77A、77Bは互いに隣接して配置される。
2つの軸受部材76A、76Bは、互いに同一の寸法及び形状を有しており、プラネタリギヤ22A、22Bを支持軸71A、71Bに対して相対回転可能に支持する転動部78A、78Bと、転動部78A、78Bを回転軸線方向両側で転動自在に保持する保持部79A、79Bと、を備えている。転動部78A、78Bは、外径がプラネタリギヤ22A、22Bの内径と略同一に、内径が支持軸71A、71Bの外径と略同一に形成されているのに対して、保持部79A、79Bは、外径がプラネタリギヤ22A、22Bの内径よりも小さく、内径が支持軸71A、71Bの外径よりも大きく形成されている。したがって、保持部79A、79Bの外周面とプラネタリギヤ22A、22Bの内周面との間には間隙S1A、S1Bが形成され、保持部79A、79Bの内周面と支持軸71A、71Bの外周面74A、74Bとの間には間隙S2A、S2Bが形成される。
ピニオンカラー77A、77Bは、支持軸71A、71Bの外径よりも大きい内径と、プラネタリギヤ22A、22Bの内径よりも小さい外径と、を有しており、支持軸71A、71Bに遊嵌されて、プラネタリキャリア23A、23Bの回転による遠心力によって径方向に移動可能とされている。また、ピニオンカラー77A、77Bは、連通孔75A、75Bの開口80A、80Bと回転軸線方向にオーバーラップするように配置されており、ピニオンカラー77A、77Bの回転軸線方向の長さは、連通孔75A、75Bの開口80A、80Bの回転軸線方向の長さよりも長くなるように設定されている。また、ピニオンカラー77A、77Bの径方向の厚みは、軸受部材76A、76Bのピニオンカラー77A、77B側端部(保持部79A、79B)とプラネタリギヤ22A、22Bの内周面との間隙S1A、S1B、若しくは軸受部材76A、76Bのピニオンカラー77A、77B側端部(保持部79A、79B)と支持軸71A、71Bの外周面74A、74Bとの間隙S2A、S2Bの内、何れか大きいほうよりも大きく形成される。したがって、ピニオンカラー77A、77Bと軸受部材76A、76Bが回転軸線方向に近づいた場合であっても、ピニオンカラー77A、77Bがこれらの間隙S1A、S1B、S2A、S2Bに入り込むことが防止される。
リングギヤ24A、24Bは、その内周面が小径の第2ピニオン27A、27Bに噛合されるギヤ部28A、28Bと、ギヤ部28A、28Bより小径でケース11の回転軸線方向中間位置で互いに対向配置される小径部29A、29Bと、ギヤ部28A、28Bの回転軸線方向内側端部と小径部29A、29Bの回転軸線方向外側端部を径方向に連結する連結部30A、30Bとを備えて構成されている。この実施形態の場合、リングギヤ24A、24Bの径方向外縁は、第1ピニオン26A、26Bの径方向外縁よりも小さくなるように設定されている。
ギヤ部28A、28Bは、中央ケース11Mの左右分割壁45の内径側端部に形成された第3円筒壁46を挟んで回転軸線方向に対向している。小径部29A、29Bは、その外周面がそれぞれ後述する一方向クラッチ50のインナーレース51とスプライン嵌合し、リングギヤ24A、24Bは一方向クラッチ50のインナーレース51と一体回転するように互いに連結されて構成されている。
中央ケース11Mの第2円筒壁44とリングギヤ24Bのギヤ部28Bとの間には空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24Bに対する制動手段を構成する油圧ブレーキ60が第1ピニオン26Bと径方向でオーバーラップし、第2ピニオン27Bと回転軸線方向でオーバーラップするように配置されている。油圧ブレーキ60は、第2円筒壁44の内周面にスプライン嵌合された複数の固定プレート35と、リングギヤ24Bのギヤ部28Bの外周面にスプライン嵌合された複数の回転プレート36が回転軸線方向に交互に配置され、これらのプレート35、36が環状のピストン37によって締結及び解放操作されるようになっている。ピストン37は、中央ケース11Mの左右分割壁45と第3円筒壁46間に形成された環状のシリンダ室に進退自在に収容されており、さらに第3円筒壁46の外周面に設けられた受け座38に支持される弾性部材39によって、常時、固定プレート35と回転プレート36とを解放する方向に付勢される。
また、さらに詳細には、左右分割壁45とピストン37の間はオイルが直接導入される作動室Sとされ、作動室Sに導入されるオイルの圧力が弾性部材39の付勢力に勝ると、ピストン37が前進(右動)し、固定プレート35と回転プレート36とが相互に押し付けられて締結することとなる。また、弾性部材39の付勢力が作動室Sに導入されるオイルの圧力に勝ると、ピストン37が後進(左動)し、固定プレート35と回転プレート36とが離間して解放することとなる。なお、油圧ブレーキ60は電動オイルポンプ(不図示)に接続されている。
この油圧ブレーキ60の場合、固定プレート35がケース11を構成する中央ケース11Mの左右分割壁45から伸びる第2円筒壁44に支持される一方で、回転プレート36がリングギヤ24Bのギヤ部28Bに支持されているため、両プレート35、36がピストン37によって押し付けられると、両プレート35、36間の摩擦締結によってリングギヤ24Bに制動力が作用し固定される。その状態からピストン37による締結が解放されると、リングギヤ24Bの自由な回転が許容される。なお、上述したように、リングギヤ24A、24Bは互いに連結されているため、油圧ブレーキ60が締結することによりリングギヤ24Aにも制動力が作用し固定され、油圧ブレーキ60が解放することによりリングギヤ24Aも自由な回転が許容される。
また、回転軸線方向で対向するリングギヤ24A、24Bの連結部30A、30B間にも空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24A、24Bに対し一方向の動力のみを伝達し他方向の動力を遮断する一方向クラッチ50が配置されている。一方向クラッチ50は、インナーレース51とアウターレース52との間に多数のスプラグ53を介在させたものであって、そのインナーレース51がスプライン嵌合によりリングギヤ24A、24Bの小径部29A、29Bと一体回転するように構成されている。またアウターレース52は、第3円筒壁46により位置決めされるとともに、回り止めされている。
一方向クラッチ50は、車両3が電動機2A、2Bの動力で前進する際に係合してリングギヤ24A、24Bの回転をロックするように構成されている。より具体的に説明すると、一方向クラッチ50は、電動機2A、2B側の順方向(車両3を前進させる際の回転方向)の回転動力が車輪Wr側に入力されるときに係合状態となるとともに電動機2A、2B側の逆方向の回転動力が車輪Wr側に入力されるときに非係合状態となり、車輪Wr側の順方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力されるときに非係合状態となるとともに車輪Wr側の逆方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力されるときに係合状態となる。
このように、電動機2A、2Bと車輪Wrとの動力伝達経路上に一方向クラッチ50と油圧ブレーキ60とが並列に設けられている。ここで、油圧ブレーキ60は、車両の走行状態や一方向クラッチ50の係合・非係合状態に応じて、オイルポンプから供給されるオイルの圧力により、解放状態、弱締結状態、締結状態に制御される。車両3が電動機2A、2Bの力行駆動により後輪駆動によって前進する時(低車速時、中車速時)は、一方向クラッチ50が締結するため動力伝達可能な状態となるが油圧ブレーキ60が弱締結状態に制御されることで、電動機2A、2B側からの順方向の回転動力の入力が一時的に低下して一方向クラッチ50が非係合状態となった場合にも、電動機2A、2B側と車輪Wr側とで動力伝達不能になることが抑制される。また、車両3が内燃機関4及び/又は電動機5の力行駆動により前輪駆動によって前進する時(高車速時)は、一方向クラッチ50が非係合となりさらに油圧ブレーキ60が解放状態に制御されることで、車輪Wrと電動機2A、2Bとの動力伝達が中止されて電動機2A、2Bの過回転が防止される。特に、本実施形態ではプラネタリキャリア23A、23Bの回転数が所定値R以上となるとき、車輪Wrと電動機2A、2Bとの動力伝達が弱められるように構成されている。一方、車両3の後進時や回生時には、一方向クラッチ50が非係合となるため油圧ブレーキ60が締結状態に制御されることで、電動機2A、2B側からの逆方向の回転動力が車輪Wr側に出力され、又は車輪Wr側の順方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力される。
このように構成された後輪駆動装置1における、遊星歯車式減速機12A、12Bの潤滑方法について、以下に説明する。
先ず、オイルポンプ等の潤滑油供給装置(不図示)によって車軸内潤滑油路82A、82Bに回転軸線方向外側から圧送された潤滑油は、腕部内潤滑油路81A、81Bを介して、支持軸内潤滑油路73A、73Bに供給され、連通孔75A、75Bに到達し、ピニオンカラー77A、77Bの内周面を押圧する。
ここで、ピニオンカラー77A、77Bの質量は、プラネタリキャリア23A、23Bの回転数が所定値R近傍のときに、ピニオンカラー77A、77Bにかかる遠心力が、オイルポンプの吐出圧力と潤滑油にかかる遠心力(遠心油圧)との和よりも大きくなるように定められている。
したがって、図4(a)に示すように、低車速時等、プラネタリキャリア23A、23Bの回転数が所定値Rに比べて十分に低いときは、ピニオンカラー77A、77Bにかかる径方向外側への遠心力が、オイルポンプの吐出圧力と潤滑油にかかる遠心力との和よりも小さくなるので、ピニオンカラー77A、77Bは径方向内側に移動し、潤滑油は連通孔75A、75Bの開口80A、80Bから流出する。そして潤滑油は、プラネタリギヤ22A、22Bの内周面や支持軸71A、71Bの外周面、軸受部材76A、76Bに供給され、その後、リングギヤ24A、24Bの噛合部やサンギヤ21A、21Bの噛合部に供給される。
一方、図4(b)に示すように、高車速時等、プラネタリキャリア23A、23Bの回転数が所定値R近傍以上であるときは、ピニオンカラー77A、77Bにかかる径方向外側への遠心力が、オイルポンプの吐出圧力と潤滑油にかかる遠心力との和よりも大きくなるので、ピニオンカラー77A、77Bは径方向外側に移動する。ここで、図4(c)に示すように、本実施形態においては、プラネタリギヤ22A、22Bの内径22rとピニオンカラー77A、77Bの外径77Rとの差は、ピニオンカラー77A、77Bの内径77rと支持軸71A、71Bの外径71Rとの差よりも大きく{(22r−77R)>(77r−71R)}となるように形成されているので、径方向外側に移動したピニオンカラー77A、77Bの内周面は、支持軸71A、71Bの外周面74A、74Bに当接し、連通孔75A、75Bの開口80A、80Bを閉塞する。なお、この場合であっても、ピニオンカラー77A、77Bの内周面と支持軸71A、71Bの外周面74A、74Bとの曲率の違いにより、開口80A、80Bはピニオンカラー77A、77Bによって完全には閉塞されず、適切な流量の潤滑油が軸受部材76A、76B等に供給される。このように、開口80A、80Bから潤滑油が過剰に吐出することを抑制可能となり、潤滑分配量の偏りを低減可能となる。
なお、図5(b)に示すように、プラネタリギヤ22A、22Bの内径22rとピニオンカラー77A、77Bの外径77Rとの差は、ピニオンカラー77A、77Bの内径77rと支持軸71A、71Bの外径71Rとの差以下{(22r−77R)≦(77r−71R))}となるように形成しても構わない。そのように構成した場合、図5(a)に示すように、プラネタリキャリア23A、23Bの回転数が所定値R近傍以上であるとき、径方向外側に移動したピニオンカラー77A、77Bの外周面はプラネタリギヤ22A、22Bの内周面と当接する。したがって、ピニオンカラー77A、77Bの内周面は支持軸71A、71Bの外周面74A、74Bと当接せず、開口80A、80Bは閉塞されない。しかしながら、ピニオンカラー77A、77Bが開口80A、80Bに近接するので、ピニオンカラー77A、77Bを開口80A、80Bから流出する潤滑油に対する流路抵抗とすることができ、開口80A、80Bから潤滑油が過剰に吐出することを抑制可能となる。
以上説明したように、本実施形態の遊星歯車機構の潤滑構造によれば、連通孔75A、75Bの開口80A、80Bは、外周面74A、74Bのうち、プラネタリギヤ22A、22Bの公転中心と回転軸線(回転中心)とを通る直線と直交し、回転軸線を通る平面よりも公転中心側(径方向内側)に形成され、支持軸71A、71Bの外周面74A、74Bとプラネタリギヤ22A、22Bの内周面との間には、軸受部材76A、76B及びピニオンカラー77A、77Bが互いに回転軸線方向にオフセットして配置され、ピニオンカラー77A、77Bは、支持軸71A、71Bの外径よりも大きい内径と、プラネタリギヤ22A、22Bの内径よりも小さい外径と、を有し、支持軸71A、71Bに遊嵌され、ピニオンカラー77A、77Bと開口80A、80Bとは、少なくとも回転軸線方向にオーバーラップして配置される。したがって、プラネタリキャリア23A、23Bの回転数が上昇した場合、ピニオンカラー77A、77Bは、遠心力によって径方向外側に移動し、開口80A、80Bを閉塞するので、又は開口80A、80Bから流出する潤滑油の流路抵抗となるので、開口80A、80Bから潤滑油が過剰に吐出することを抑制可能となり、潤滑分配量の偏りを低減可能となる。特に、ピニオンカラー77A、77Bが遠心力によって径方向外側に移動したとき、ピニオンカラー77A、77Bの内周面は、支持軸71A、71Bの外周面74A、74Bのうち、プラネタリギヤ22A、22Bの公転中心と回転軸線とを通る直線と直交し、回転軸線を通る平面よりも公転中心側の領域に近づくので、当該領域に開口80A、80Bが形成されたことで、開口80A、80Bからの潤滑油の流出を効果的に抑制可能である。
また、プラネタリギヤ22A、22Bの内径22rとピニオンカラー77A、77Bの外径77Rとの差は、ピニオンカラー77A、77Bの内径77rと支持軸71A、71Bの外径71Rとの差よりも大きく{(22r−77R)>(77r−71R)}形成されるので、ピニオンカラー77A、77Bは径方向外側に移動したときに、外周側がプラネタリギヤ22A、22Bの内周に当接せず、内周側で連通孔75A、75Bの開口80A、80Bを閉塞することが可能となる。
また、プラネタリギヤ22A、22Bの内径22rとピニオンカラー77A、77Bの外径77Rとの差は、ピニオンカラー77A、77Bの内径77rと支持軸71A、71Bの外径71Rとの差よりも小さく{(22r−77R)<(77r−71R)}形成された場合、ピニオンカラー77A、77Bは径方向外側に移動したときに、連通孔75A、75Bの流路抵抗を形成することが可能となる。
また、ピニオンカラー77A、77Bと軸受部材76A、76Bとが互いに隣接して配置されるので、軸受部材76A、76Bによってピニオンカラー77A、77Bの回転軸線方向の移動を規制可能となり、流量調整を行うピニオンカラー77A、77Bが連通孔75A、75Bから回転軸線方向にずれることを防止可能となる。
また、ピニオンカラー77A、77Bの回転軸線方向両側に2つの軸受部材76A、76Bが隣接して配置されるので、ピニオンカラー77A、77Bが連通孔75A、75Bから回転軸線方向にずれることをさらに防止可能となる。
また、軸受部材76A、76Bを回転軸線方向に複数備えるので、1つの軸受部材76A、76Bの回転軸線方向長さを短く形成可能となる。
さらに、2つの軸受部材76A、76Bの間にピニオンカラー77A、77Bが配置されるので、ピニオンカラー77A、77Bを支持軸71A、71Bの回転軸線方向中央領域に配置可能であるとともに、連通孔75A、75Bも支持軸71A、71Bの回転軸線方向中央領域に配置可能となるので、潤滑油をより均等に供給可能となる。
また、同一の寸法及び形状を有する軸受部材76A、76Bをピニオンカラー77A、77Bの両端に配置したので、一種類の軸受部材76A、76Bを共用可能となる。
また、ピニオンカラー77A、77Bの径方向の厚みは、軸受部材76A、76Bのピニオンカラー77A、77B側の端部(保持部79A、79B)と、プラネタリギヤ22A、22Bの内周面若しくは支持軸71A、71Bの外周面と、の間隙S1A、S1B、S2A、S2Bよりも大きいので、ピニオンカラー77A、77Bと軸受部材76A、76Bとが回転軸線方向に接近しても、ピニオンカラー77A、77Bが間隙S1A、S1B、S2A、S2Bに入り込むことを防止可能である。
また、ピニオンカラー77A、77Bの回転軸線方向の長さは、開口80A、80Bの回転軸線方向の長さよりも長いので、開口80A、80Bの回転軸線方向全体に亘ってピニオンカラー77A、77Bによる閉塞が可能である。
また、公転する支持軸71A、71B内の支持軸内潤滑油路73A、73Bに対して、内側腕部72A、72B内に形成した腕部内潤滑油路81A、81Bが常時連通されるので、安定した潤滑油の供給が可能となる。
また、プラネタリキャリア23A、23Bは、電動機2A、2Bの状態に拠らず、車輪Wrの回転に同期して回転するので、より車速に同期した潤滑油の流量制御が可能となる。
また、ピニオンカラー77A、77Bの質量は、プラネタリキャリア23A、23Bの回転数が所定値R近傍のときに、ピニオンカラー77A、77Bが開口80A、80Bを閉塞するように定められる。したがって、車輪Wrと電動機2A、2Bとの動力伝達が弱められる回転数のときに、ピニオンカラー77A、77Bによって開口80A、80Bを閉塞するので、潤滑油が必要ないときに合わせて、開口80A、80Bを閉塞可能となる。
また、開口80A、80Bから吐出した潤滑油は、リングギヤ24A、24Bの噛合部及びサンギヤ21A、21Bの噛合部に供給されるので、これらリングギヤ24A、24B及びサンギヤ21A、21Bに潤滑油が供給される前に、プラネタリギヤ22A、22Bの内周面と支持軸71A、71Bの外周面74A、74Bとの間や、軸受部材76A、76Bも潤滑可能となる。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、上述の実施形態においては、電動機2A、2Bは円筒軸16A、16Bを介してサンギヤ21A、21Bに接続されていたが、電動機2A、2Bをリングギヤ24A、24Bに接続する構成としてもよい。
また、上述の実施形態においては、ピニオンカラー77A、77Bは、開口80A、80Bの全ての部分にオーバーラップして覆っているが、必ずしもこの構成に限定されず、開口80A、80Bの少なくとも一部にオーバーラップして覆っていればよい。
また、支持軸内潤滑油路73A、73Bは、その内部に潤滑油が潤滑油供給装置によって圧送可能である限り、必ずしも腕部内潤滑油路81A、81Bに接続される必要はなく、例えば、支持軸71A、71Bに回転軸線方向外側面から支持軸内潤滑油路73A、73Bに連通する連通路を設け、当該連通路を介して支持軸内潤滑油路73A、73Bに潤滑油を供給してもよい。
また、電動機及び遊星歯車式減速機等は、それぞれ必ずしも2つずつ設ける必要はなく、少なくとも1つずつ設ければよい。
また、軸受部材76A、76Bは、必ずしもピニオンカラー77A、77Bの回転軸線方向両側に2つ設ける必要はなく、ピニオンカラー77A、77Bに隣接して配置される限り1つであってもよい。
また、電動機2A、2Bの出力軸と車軸10A、10Bとは同軸上に配置される必要はない。
また、前輪駆動装置6を内燃機関4を用いずに電動機5を唯一の駆動源とするものでもよい。
1 後輪駆動装置
2A、2B 電動機(駆動源)
3 車両
4 内燃機関
5 電動機
6 前輪駆動装置
7 トランスミッション
8 制御装置
9 バッテリ
10A、10B 車軸
11 ケース
11M 中央ケース
11A、11B 側方ケース
12A、12B 遊星歯車式減速機(遊星歯車機構)
14A、14B ステータ
15A、15B ロータ
16A、16B 円筒軸
17A、17B 端部壁
18A、18B 隔壁
19A、19B 軸受
20A、20B レゾルバ
21A、21B サンギヤ
22A、22B プラネタリギヤ
22r 内径
23A、23B プラネタリキャリア
24A、24B リングギヤ
26A、26B 第1ピニオン
27A、27B 第2ピニオン
28A、28B ギヤ部
29A、29B 小径部
30A、30B 連結部
33A、33B 軸受
34A、34B 軸受
35 固定プレート
36 回転プレート
37 ピストン
38 受け座
39 弾性部材
40 ブリーザ装置
41 ブリーザ室
43 第1円筒壁
44 第2円筒壁
45 左右分割壁
46 第3円筒壁
47A、47B バッフルプレート
50 一方向クラッチ
51 インナーレース
52 アウターレース
53 スプラグ
60 油圧ブレーキ
71A、71B 支持軸
71R 外径
72A、72B 内側腕部(腕部)
73A、73B 支持軸内潤滑油路
74A、74B 外周面
75A、75B 連通孔
76A、76B 軸受部材
77A、77B ピニオンカラー(環状部材)
77r 内径
77R 外径
78A、78B 転動部
79A、79B 保持部
80A、80B 開口
81A、81B 腕部内潤滑油路
82A、82B 車軸内潤滑油路
83A、83B 外側腕部
S 作動室
Wf 前輪
Wr、LWr、RWr 後輪(車輪)

Claims (12)

  1. 車両の車輪を駆動する駆動源と、
    前記車両の車輪と、前記駆動源と、の動力伝達経路上に配置される遊星歯車機構と、
    を備え、
    前記遊星歯車機構は、
    サンギヤと、
    前記サンギヤに噛合するプラネタリギヤと、
    前記プラネタリギヤを支持するプラネタリキャリアと、
    前記プラネタリギヤに噛合するリングギヤと、
    を有し、
    前記プラネタリキャリアは、前記プラネタリギヤの回転軸線方向に延在し前記プラネタリギヤを回転可能に支持する支持軸を有し、
    前記支持軸は、その内部に形成され、前記遊星歯車機構の潤滑に供する潤滑油が流れる支持軸内潤滑油路と、該支持軸内潤滑油路と前記支持軸の外周面とを連通する連通孔と、を有する遊星歯車機構の潤滑構造であって、
    前記連通孔の開口は、前記支持軸の外周面のうち、前記プラネタリギヤの公転中心と前記回転軸線とを通る直線と直交し、前記回転軸線を通る平面よりも前記公転中心側に形成され、
    前記支持軸の外周面と前記プラネタリギヤの内周面との間には、軸受部材及び環状部材が互いに前記回転軸線方向にオフセットして配置され、
    前記環状部材は、前記支持軸の外径よりも大きい内径と、前記プラネタリギヤの内径よりも小さい外径と、を有し、前記支持軸に遊嵌され、
    前記環状部材と前記開口とは、少なくとも一部が前記回転軸線方向にオーバーラップして配置されることを特徴とする遊星歯車機構の潤滑構造。
  2. 前記プラネタリギヤの内径と前記環状部材の外径との差は、前記環状部材の内径と前記支持軸の外径との差よりも大きく形成されることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  3. 前記プラネタリギヤの内径と前記環状部材の外径との差は、前記環状部材の内径と前記支持軸の外径との差よりも小さく形成されることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  4. 前記環状部材と前記軸受部材とは互いに隣接して配置されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  5. 前記軸受部材は互いに前記回転軸線方向に離間して配置される2つの軸受部材を含み、
    該2つの軸受部材の間に前記環状部材が配置されることを特徴とする請求項4に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  6. 前記2つの軸受部材は、同一の寸法及び形状を有することを特徴とする請求項5に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  7. 前記環状部材の前記軸受部材側の端部の径方向の厚みは、前記軸受部材の前記環状部材側の端部と前記プラネタリギヤの内周面との間隙、若しくは前記軸受部材の前記環状部材側の端部と前記支持軸の外周面との間隙の何れか大きいほうよりも大きく形成されることを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  8. 前記環状部材の前記回転軸線方向の長さは、前記開口の前記回転軸線方向の長さよりも長いことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  9. 前記プラネタリキャリアは、径方向に延在し、前記支持軸を保持する腕部を備え、
    前記腕部は、前記腕部内で径方向に延在する腕部内潤滑油路を含み、
    前記腕部内潤滑油路は、前記支持軸内潤滑油路に接続されることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  10. 前記車輪は、前記プラネタリキャリアに接続され、
    前記駆動源は、前記サンギヤ若しくは前記リングギヤに接続されることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  11. 前記潤滑油は、潤滑油供給装置によって圧送され、
    前記車輪と前記駆動源との動力伝達は、前記プラネタリキャリアの回転数が所定値以上のときに、弱められ、
    前記環状部材の質量は、前記プラネタリキャリアの回転数が前記所定値近傍のときに、前記環状部材にかかる遠心力が前記潤滑油供給装置の吐出圧力と前記潤滑油にかかる遠心力との和よりも大きくなるように定められることを特徴とする請求項10に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  12. 前記潤滑油は、前記連通孔の前記開口を経由して、前記リングギヤの噛合部と前記サンギヤの噛合部とに供給されることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
JP2011288792A 2011-12-28 2011-12-28 遊星歯車機構の潤滑構造 Expired - Fee Related JP5425885B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011288792A JP5425885B2 (ja) 2011-12-28 2011-12-28 遊星歯車機構の潤滑構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011288792A JP5425885B2 (ja) 2011-12-28 2011-12-28 遊星歯車機構の潤滑構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013137073A JP2013137073A (ja) 2013-07-11
JP5425885B2 true JP5425885B2 (ja) 2014-02-26

Family

ID=48912949

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011288792A Expired - Fee Related JP5425885B2 (ja) 2011-12-28 2011-12-28 遊星歯車機構の潤滑構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5425885B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105221713A (zh) * 2015-09-30 2016-01-06 中南大学 一种飞机行星齿轮减速箱润滑油路系统及行星齿轮减速箱
CN109421499A (zh) * 2017-08-29 2019-03-05 本田技研工业株式会社 车辆驱动装置

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021134851A (ja) * 2020-02-27 2021-09-13 ユニプレス株式会社 回転駆動機の潤滑装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4340933B2 (ja) * 1999-02-18 2009-10-07 株式会社ジェイテクト 遊星変速機構
JP2010174917A (ja) * 2009-01-27 2010-08-12 Toyota Motor Corp 自動変速機
JP5128537B2 (ja) * 2009-03-31 2013-01-23 本田技研工業株式会社 車両の駆動装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105221713A (zh) * 2015-09-30 2016-01-06 中南大学 一种飞机行星齿轮减速箱润滑油路系统及行星齿轮减速箱
CN105221713B (zh) * 2015-09-30 2016-05-04 中南大学 一种飞机行星齿轮减速箱润滑油路系统及行星齿轮减速箱
CN109421499A (zh) * 2017-08-29 2019-03-05 本田技研工业株式会社 车辆驱动装置
CN109421499B (zh) * 2017-08-29 2021-08-10 本田技研工业株式会社 车辆驱动装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013137073A (ja) 2013-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5487317B2 (ja) 車両用駆動装置
EP3431813B1 (en) Drive device and vehicle with same
JP5699227B2 (ja) 動力伝達装置
US8961360B2 (en) Supporting structure for planetary gear mechanism
WO2006100963A1 (ja) プラネタリギヤの潤滑装置
US9487084B2 (en) Electric drive and drive configuration for a motor vehicle
CN103358897A (zh) 减速机构以及具备该减速机构的电机旋转力传递装置
JP5647946B2 (ja) 車両用駆動装置
JP5425885B2 (ja) 遊星歯車機構の潤滑構造
JP5501314B2 (ja) 遊星歯車機構の潤滑構造
JP6196946B2 (ja) 軸受の潤滑構造
US20120220416A1 (en) Transfer shaft support
JP2017141910A (ja) 伝動装置
JP5449279B2 (ja) 車両用駆動装置
JP5639946B2 (ja) 車両用駆動装置
JP6637809B2 (ja) 軸受の潤滑構造
JP5820904B2 (ja) 遊星歯車機構の支持構造
JP2018100748A (ja) 動力装置
JP2013106416A (ja) 電動機の冷却機構
JP5257601B2 (ja) 左右駆動力配分装置
JP6683511B2 (ja) 車両用駆動装置
JP2014200145A (ja) 動力装置
JP2014019334A (ja) 駆動力伝達装置
JP6808521B2 (ja) 遊星歯車機構の支持構造
JP2012215270A (ja) 多板式駆動力伝達装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131024

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131029

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131127

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5425885

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees