JP5730257B2 - 消泡体 - Google Patents
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Description
しかしながら、溶液に界面活性剤が混入されていることで膜厚の薄い「軽い泡」が発生する場合、泡を遠心力により外方に吹き飛ばしただけでは、泡が割れないばかりか、泡が複数個に分割されて細泡として残存する傾向があった。
すなわち、圧縮型羽根による消泡処理では、「軽い泡」を十分に破泡することができず、消泡のための添加物を加える、又は散水を行うなどの追加的な処理が必要となるという課題があった。
すなわち、本発明の第一の態様によれば、消泡体は、回転する上ディスクと下ディスクとの間に、周方向に所定ピッチで破泡室を形成する複数の羽根を設けた消泡体であって、前記上ディスクには、前記破泡室の中心側へ連通する孔が形成され、前記下ディスクには、前記破泡室の中心側へ連通する孔が形成され、前記羽根は、前記上ディスクと下ディスクとの間に、平面視した場合に、扇型をなす形状に破泡室を形成し、前記上ディスクと前記下ディスクは、側面視した場合に、少なくとも一部が互いに平行か、径方向外方に向かうに従い回転中心軸に沿う方向の距離が拡大するように形成されていることを特徴とする。
すなわち、本発明では、下ディスクの孔から吸い込まれた泡内に、上ディスクの孔から吸い込まれた空気を取り込んだ状態で、該泡に遠心力をかけることで、界面活性剤が混入されていることで発生する軽い泡をも確実に破泡させることができ、消泡のための添加物を加える、又は散水を行うなどの追加的な処理を不要とする経済的な消泡処理が可能となる。
すなわち、本発明では、下ディスクの孔から吸い込まれた泡内に、上ディスクの孔から吸い込まれた空気を取り込んだ状態で、該泡に遠心力をかけることで、界面活性剤が混入されていることで発生する軽い泡をも確実に破泡させることができ、消泡のための添加物を加える、又は散水を行うなどの追加的な処理を不要とする経済的な消泡処理が可能となる。
本発明の第1実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
図1は、内部に被処理液Wが貯留される筒状の処理槽1に、消泡装置10(後述する)が設置された状態を示す正断面図である。処理槽1は、排水を濃縮して半固形状にし、最後は焼却する設備の一部に設けられるものであって、給排水装置2を通じて被処理液Wとなる排水が供給又は排出される。
なお、被処理液Wとなる排水には、例えば、エチレングリコールや界面活性剤、アクリルアミドやシアノアクリレート等の接着成分などが含まれ、輸送、撹拌、遠心分離処理などで生じた泡(符号Bで示す)が水面に浮遊した状態となっている。
駆動モータMの回転軸12は、処理槽1の中央上部に上下方向に配置されるものであって、その下端部に、水平となるように消泡体20が取り付けられている。また、回転軸12は、その軸線12Aに沿うように取付架台11に上下方向に移動自在に設けられており、二点鎖線で示す上方位置から、実線で示す下方の消泡処理位置との間を移動することができるようになっている。
また、羽根24の間でありかつ上下ディスク21・22間における破泡室23の外周縁部は、破泡処理した泡Bの液体を処理槽1に戻すための開口部23Aとなっている。
図1及び図2に示すように、まず、モータ回転軸12の軸線12Aに沿って上下方向に位置を調整することで、消泡体20の下ディスク22を被処理液Wの液面上の泡Bに接触させ、かつ上ディスク21を空気中に位置するように配置する。なお、上ディスク21のほとんど全部が泡Bに没するように深く配置しても良い。
このとき、下ディスク22の孔22Aから吸い込まれた泡Bの内部に、上ディスク21の孔21Aから吸い込まれた空気が取り込まれ易い状態となり(図2(B)参照)、この状態で、当該泡Bに遠心力が加えられることになる。その結果、空気が取り込まれた泡Bが膨らんで、泡Bの表面積が増大し、これによって泡Bに部分的な亀裂が生じて破泡し易くなる。
また、上ディスク21と下ディスク22との間でかつ羽根24間に、周方向に所定ピッチで複数形成された破泡室23のそれぞれは、半径方向外方に向かうに従い幅広になるように、平面視、扇型をなすように形成されているので、下ディスク22の孔22Aから吸い込まれた泡Bに遠心力が加わる際に、泡Bが外方に移動するに従い周囲の圧力が減少する。その結果、当該泡Bを減圧下に置くことができ効率良く消泡処理を行うことができる。
これによって、例えば、下ディスク22を被処理液Wの液面上の泡Bに接触させ、かつ上ディスク21を空気中に位置させた状態で、これら上下ディスク21・22を回転させた場合に、下ディスク22の孔22Aからは泡Bが吸引され、かつ上ディスク21の孔21Aからは空気が吸引されることになる。このとき、下ディスク22の孔22Aから吸い込まれた泡内に、上ディスク21の孔21Aから吸い込まれた空気を取り込み可能となり、この状態で、当該泡Bに遠心力が加えられることになる。その結果、空気が取り込まれた泡Bが破泡室23にて膨らんで、表面積が増大し、これによって泡Bに部分的な亀裂が生じて破泡が生じ易くなる。
本発明の第2実施形態について図3を参照して説明する。
すなわち、第2実施形態に示される消泡体30では、図3(A)の平面図及び図3(B)の側断面図に示すように、上ディスク31が、駆動モータMにおける回転軸12の軸線12Aの周囲にて、該軸線12Aに対して直交する位置関係に配置された水平面31Bを有している。また、下ディスク32は、上ディスク31の水平面31Bに対して、下方に向けて先端部が連続的に傾斜する位置関係に配置されている。
また、羽根33は、上下ディスク31・32間を連結するように図中上下方向に空間を仕切るように一定のピッチで配置され、該羽根33の間に、破泡室34を形成している。また、該羽根33は、図3(B)に示すように側面視した場合に、内周から外周へ向けて次第に拡大する傾斜状を有しており、これに伴い、羽根33間に形成された破泡室34も、側面視した場合に、内周から外周へ向けて次第に拡大する傾斜状をなしている。
すなわち、第2実施形態の破泡室34では、平面視した場合(図3(A)参照)、及び側面視した場合(図3(B)参照)のいずれにおいても、半径方向外方に向かうに従い幅広になるように形成されており、下ディスク32の孔32Aから吸い込まれた泡Bに遠心力が加わる際に、泡Bが外方に移動するに従い周囲の圧力が急激に減少する。その結果、当該泡Bに高い圧力変動を与えて効率良く消泡処理を行うことができる。
また、上記消泡体30では、平面視した場合(図3(A)参照)、及び側面視した場合(図3(B)参照)のいずれにおいても、上下ディスク31・32の羽根33間に形成された破泡室34を、内周から外周へ向けて次第に拡大する傾斜状をなす形状としたので、下ディスク32の孔32Aから吸い込まれた泡Bに遠心力が加わる際に、該泡Bを高い減圧変動下に置くことができ、これによって効率良く消泡処理を行うことができる。
本発明の第3実施形態について図4を参照して説明する。
すなわち、第3実施形態に示される消泡体40では、図4(A)の平面図及び図4(B)の側断面図に示すように、上ディスク41が、駆動モータMにおける回転軸12の軸線12Aの周囲にて、該軸線12Aに対して直交する位置関係に配置された水平面41Bと、該水平面41Bの先端位置にて該水平面41Bと一体に設けられて該水平面41Bに対して下方に傾斜するように配置された傾斜面41Cとから構成されている。
また、下ディスク42は、回転軸12の軸線12Aに対して直交する位置関係に配置された水平面41Bに対して、下方に向けて先端部が連続的に傾斜する位置関係に配置されている。
また、羽根43は、上下ディスク41・42間を連結するように図中上下方向に空間を仕切るように一定のピッチで配置され、該羽根43の間に、破泡室44を形成している。また、該羽根43は、図4(B)に示すように側面視した場合に、内周から外周へ向けて次第に拡大した後縮小する傾斜状を有している。これに伴い、上下ディスク41・42間でかつ羽根43間に形成された破泡室44も、側面視した場合に、内周から外周へ向けて次第に拡大した後縮小する傾斜状をなしている。
また、上記消泡体40では、上下ディスク41・42の羽根43間に形成された破泡室44を、内周から外周へ向けて次第に拡大した後縮小する傾斜状をなす形状としたので、下ディスク42の孔42Aから吸い込まれた泡Bに遠心力が加わることで、該泡Bの表面積を増大して破泡するが、その際、残った該泡Bを被処理液Wと同時に外部へ送り出す時に加圧することで破泡することができる。これにより該泡Bに圧力変動及び衝撃を与えて、効率良く消泡処理を行うことができる。
なお、上記第1〜第3実施形態では、上ディスク21・31・41の孔21A・31A・41Aを同じ大きさに形成したが、泡Bの種類によってその大きさを可変としても良い。つまり、泡Bが最も破泡する空気量が供給されるように、上ディスク21・31・41に形成された21A・31A・41Aの大きさを調整しても良い。また、泡Bが最も破泡する空気量が供給されるように、上ディスク21・31・41に形成された孔21A・31A・41Aの数も適宜調整しても良い。
また、上記に限定されず、下ディスク22・32・42に形成された孔21B・31B・41Bの大きさ及び数も同時に調整しても良い。
また、上記第1〜第3実施形態では、消泡体20・30・40の上ディスク21・31・41及び下ディスク22・32・42の周方向の全周に亙って一定間隔で羽根24・33・43を設けるようにしたが、これに限定されず、泡Bが最も破泡するように、間欠的又は部分的に羽根24・33・43及びこれらの間の破泡室23・34・44を設けるようにしても良い。また、破泡室23・34・44の容積も適宜調整しても良い。
また、上記第1〜第3実施形態では、モータ回転軸12の軸線12Aに沿って上下方向に位置を調整することで、消泡体20・30・40の下ディスク22・32・42を被処理液Wの液面上の泡Bに接触させ、かつ上ディスク21・31・41を空気中に位置するようにしたが、このとき、被処理液Wの液面の位置を検出する液面センサを設け、該液面センサの出力に応じて、消泡体20・30・40の下ディスク22・32・42が被処理液Wの液面上の泡Bに常時接触するように、昇降機構により上下位置を自動調整しても良い。
また、このとき、被処理液W上の泡Bを検出する泡センサを設け、該泡センサの出力に応じて、消泡体20・30・40の下ディスク22・32・42が被処理液Wの液面上の泡Bに常時接触するように、昇降機構により上下位置を自動調整しても良い。
10 消泡装置
12 回転軸
20 消泡体
21 上ディスク
21A 孔
22 下ディスク
22A 孔
23 破泡室
24 羽根
30 消泡体
31 上ディスク
31A 孔
31B 水平面
32 下ディスク
32A 孔
33 羽根
34 破泡室
40 消泡体
41 上ディスク
41A 孔
41B 水平面
41C 傾斜面
42 下ディスク
42A 孔
43 羽根
44 破泡室
W 被処理液
B 泡
Claims (5)
- 回転する上ディスクと下ディスクとの間に、周方向に所定ピッチで破泡室を形成する複数の羽根を設けた消泡体であって、
前記上ディスクには、前記破泡室の中心側へ連通する孔が形成され、
前記下ディスクには、前記破泡室の中心側へ連通する孔が形成され、
前記羽根は、前記上ディスクと下ディスクとの間に、平面視した場合に、扇型をなす形状に破泡室を形成し、
前記上ディスクと前記下ディスクは、側面視した場合に、少なくとも一部が互いに平行か、径方向外方に向かうに従い回転中心軸に沿う方向の距離が拡大するように形成されていることを特徴とする消泡体。 - 回転する上ディスクと下ディスクとの間に、周方向に所定ピッチで破泡室を形成する複数の羽根を設けた消泡体であって、
前記上ディスクには、前記破泡室の中心側へ連通する孔が形成され、
前記下ディスクには、前記破泡室の中心側へ連通する孔が形成され、
前記羽根は、前記上ディスクと下ディスクとの間に、側面視した場合に、内周から外周へ向けて次第に拡大する傾斜状をなす破泡室を形成することを特徴とする消泡体。 - 回転する上ディスクと下ディスクとの間に、周方向に所定ピッチで破泡室を形成する複数の羽根を設けた消泡体であって、
前記上ディスクには、前記破泡室の中心側へ連通する孔が形成され、
前記下ディスクには、前記破泡室の中心側へ連通する孔が形成され、
前記羽根は、前記上ディスクと下ディスクとの間に、側面視した場合に、内周から外周へ向けて次第に拡大した後縮小する複数の破泡室を形成することを特徴とする消泡体。 - 前記破泡室は、平面視した場合に、扇型をなす形状であることを特徴とする請求項2又は3に記載の消泡体。
- 前記下ディスクの孔は、被処理液上の泡に接触させ、
前記上ディスクの孔は、該被処理液の上方の空気を吸入する位置に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の消泡体。
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