以下、本発明の一実施形態を図1〜図28(B)に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着装置2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、3つの光学センサ(2245、2246、2247)、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置からの要求に応じて各部を制御するとともに、上位装置からの画像情報を光走査装置2010に送る。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。
ところで、各感光体ドラムにおいて、画像情報が書き込まれる領域は、「有効走査領域」、「画像形成領域」、「有効画像領域」などと呼ばれている。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされて多色のカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。ところで、給紙トレイ2060内の記録紙の束は、不図示のばね機構により、給紙コロ2054に接するように上方に付勢されている。
レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
光学センサ2245は、給紙トレイ2060から取り出された記録紙が正常に搬送されているか否かを検知するのに用いられる。ここでは、光学センサ2245は、一例として、レジストローラ対2056の近傍に配置されている。
光学センサ2246は、給紙トレイ2060内に収容されている記録紙の平滑度を検出するのに用いられる。
光学センサ2247は、一例として、転写ベルト2040の近傍に配置され、転写ベルト2040上に転写されたトナー画像におけるトナー量を検出するのに用いられる。
各光学センサの出力信号は、プリンタ制御装置2090に供給される。
従来の共焦点光学系を距離の検出に利用する場合、焦点位置が1つであるため、光軸方向に関して、その焦点位置周辺の情報しか収集できず、深さ方向の情報を収集するためには、光軸方向に光学系もしくは対象物を移動する必要がある。この場合、稼動部が必要となり、コストがかかるとともに、上記移動のために検出時間がかかり応答速度が悪いという不都合があった。
また、光源もしくは検出器を傾斜させる方法が開示されている。面発光レーザアレイから射出される各光束の進行方向は、構造上、基板に直交する方向となるため、単純に、面発光レーザアレイを傾けた方法では、光学系の光軸方向に関して各光束の集光位置を互いに異ならせることはできない。
面発光レーザアレイでは、発光部間の距離をできるだけ小さくしたほうが、アレイチップの大きさを小さくすることができ、製造コストが低下する。しかしながら、発光部間の距離が小さい状態で、各発光部から射出される光束の光路長を規定するには、高精度のマイクロプリズム光学部品などが必要であった。
紙の平滑度は、リサイクルペーパーや光沢紙など、紙の作製方法、及び紙の構成などによって異なっている。一般的には、紙の平滑度は、エアリーク試験などの方法で検出されているが、時間がかかるとともに装置も大型なため、画像形成装置内部に配置することはできない。
また、記録紙の搬送モニタリングの方法として、一般的なPSD(Position Sensitive Detector)などの3角法を利用した方法では、応答速度が十分ではなく、異常の際に記録紙の搬送を中断する処理が間に合わないという不都合があった。また、一般的なPSDを用いた場合には、三角法を利用するため、光学系が大きくなり、小型化が難しいという不都合があった。
特に、記録紙の搬送に対して、高速にフィードバックをかけるには、記録紙の凹凸によるノイズのなかに埋もれている微小な変化を異常の予兆として検出する必要がある。これを満足するには、光スポットを絞るレンズと浅い角度で記録紙に入射させるレンズを有し、それらの光学系の焦点深度を深くする必要があり、これらを三角法で実現するには光学系の大型化は避けられない。ホログラムを利用することで、光学系の小型化を図ることも可能ではあるが、コストが上昇するという不都合があった。
また、従来、画像形成装置に利用されているトナー量を検出するセンサは、単にトナーパターンからの反射光の光量に基づいてトナー量を検出しており、転写ベルトが黒い場合やトナーが黒い場合は、反射光量が不足し、検出感度が低いという不都合があった。
ここで、光学センサ2245について説明する。
この光学センサ2245は、一例として図2に示されるように、光源11、非平行透明部材12、コリメートレンズ13、対物レンズ14、及び処理装置15などを備えている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、記録紙の表面に直交する方向をZ軸方向、記録紙の表面に平行な面をXY面として説明する。そして、光学センサ2245は、記録紙の−Z側に配置されているものとする。
光源11は、複数の発光部を有している。各発光部は、同一の基板上に形成された垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。すなわち、光源11は、面発光レーザアレイ(VCSELアレイ)を含んでいる。各発光部の発振波長は、780nmである。
ここでは、一例として図3に示されるように、6個の発光部(ch1〜ch6)がX軸方向に沿って等間隔で配置されている。隣接する2つの発光部の中心間距離(発光部間隔)は100μmである。
6個の発光部は、同一の基板上に形成されている。
各発光部は、一例として図4に示されるように、下部半導体DBR103、下部スペーサ層104、活性層105、上部スペーサ層106、上部半導体DBR107、コンタクト層109、p側電極113などを有している。なお、n側電極114は、基板101の−Z側の面に形成されており、全ての発光部で共通となっている。
基板101は、n−GaAs単結晶基板である。
下部半導体DBR103は、バッファ層を介して基板101の+Z側の面上に積層され、低屈折率層と高屈折率層のペアを複数ペア有している。
下部スペーサ層104は、下部半導体DBR103の+Z側に積層されている。
活性層105は、下部スペーサ層104の+Z側に積層されている。
上部スペーサ層106は、活性層105の+Z側に積層されている。
下部スペーサ層104と活性層105と上部スペーサ層106とからなる部分は、共振器構造体とも呼ばれている。
上部半導体DBR107は、上部スペーサ層106の+Z側に積層され、低屈折率層と高屈折率層のペアを複数ペア有している。
上部半導体DBR107における共振器構造体から光学的にλ/4離れた位置に、p−AlAsからなる被選択酸化層108が設けられている。この被選択酸化層108は、製造時の熱処理工程において、該被選択酸化層108中のAl(アルミニウム)がメサの外周部から選択的に酸化され、メサの中央部に、Alの酸化物108aによって囲まれた酸化されていない領域108bが残留する。すなわち、発光部の駆動電流の経路をメサの中央部だけに制限する、いわゆる酸化狭窄構造体が形成される。上記酸化されていない領域108bが電流通過領域となる。
コンタクト層109は、上部半導体DBR107の+Z側に積層されている。
p側電極113は、レーザ光の射出部となる開口を有し、コンタクト層109の+Z側に形成されている。p側の電極材料としてはCr/AuZn/Auからなる多層膜、もしくはTi/Pt/Auからなる多層膜が用いられる。
各発光部は、それぞれ個別に配線部材によって対応する電極パッドと電気的に接続されている。そこで、6個の発光部は、それぞれ独立して点灯させることができ、セルフミキシング信号も個別に検出することができる。
各発光部は、最上面(+Z側の面)にp側電極113がいわゆるメタルアパーチャ部材のように存在しているが、発光面積は電流通過領域で規定される。今回用いられた面発光レーザアレイでは、各発光部のニヤ・フィールド・パターンを観察すると、全半値幅が数μm程度であった。
セルフミキシング効果を出現させるには、活性層において、戻り光と発光部からの射出光が干渉する必要がある。ここでは、活性層近傍の位置が戻り光の集光位置となり、強いセルフミキシング信号を検出することができる。
いわゆる共焦点光学系に必要なアパーチャ部材は、活性層近傍にある酸化狭窄構造体が担っている。また、発光点と検出点とがほぼ同一であることから、それぞれを高精度に実装する必要がない。
ところで、面発光レーザにおけるセルフミキシング効果を利用するには、発振したビーム品質として、シングルモードの方が好ましい。ここで、シングルモードとは、波長が単一の光のことを言う。そこで、一例として図5及び図6に示されるように、射出領域内の一部に透明な誘電体膜(115A、115B)を形成し、相対的に反射率が高い部分と低い部分とが混在するようにして、高次横モードを抑制しても良い。なお、図6は、図5のA−A断面図である。
面発光レーザアレイは、セラミック製のパッケージ部材内に実装されている。
光源11は、一例として図7に示されるように、XY面に対してY軸方向の軸まわりに反時計方向にわずかに傾斜している。この傾斜角をβとする。
非平行透明部材12は、光源11の+Z側に配置され、BK7を研磨加工したガラス部材である。非平行透明部材12の+Z側の面はXY面に平行であり、−Z側の面はXY面に対してY軸方向の軸まわりに時計方向に傾斜している。この傾斜角をαとする。
ここでは、非平行透明部材12における−Z側の面の傾斜角αを5°に設計し、非平行透明部材12として利用したBK7の屈折率1.51を用いて、光源11の傾斜角βを2.51°とすることで、非平行透明部材12から射出される光の方向をZ軸に平行とした。これにより、対物レンズ及び対象物との軸ずれが解消され、焦点位置での収差が小さく、小さなスポットが形成でき、測定位置での面内方向の分解能及び測定精度が向上する。
ところで、光源11のこの程度の傾斜では、戻り光の波面が乱れるおそれはない。なお、特許文献3に開示されている三次元形状測定装置のような傾斜配置では、波面乱れは許容しがたく、セルフミキシング効果の検出は不可能だと思われる。
非平行透明部材12の+Z側の面及び−Z側の面は、それぞれ表面粗さがλ/4程度となるように仕上げられている。なお、λは通過する光の波長(ここでは、780nm)である。ところで、セルフミキシング効果には、表面粗さとして、λ/10以下であることが好ましいが、本実施例では、加工コストの面からλ/4とした。
ところで、特許文献3に開示されている三次元形状測定装置のように、ドライエッチングによってマイクロミラーのマイクロ加工を行っている場合は、マイクロミラーの表面精度が不十分であり、セルフミキシング信号の検出感度がきわめて低い。
非平行透明部材12における厚さの薄い部分の長さdは、約500μmである。
図8に示されるように、非平行透明部材12における各発光部からの光束が通過する部分の厚さ(d1〜d6)は、(d2−d1)=(d3−d2)=(d4−d3)=(d5−d4)=(d6−d5)=Δ、の関係がある。そして、ΔにBK7の屈折率を掛けた値が、隣り合う2つの発光部から射出された光束の光路差となる。そこで、発光部毎に集光位置が異なることになる。ここでは、発光部間隔が100μmであるため、Δは約8.7μmである。
非平行透明部材12の+Z側の面及び−Z側の面にはARコートが施されている。
また、図9に示されるように、複数の発光部の配列方向と非平行透明部材12の−Z側の面とのなす角γは、7.51°であり、非平行透明部材12の−Z側の面で反射された光が面発光レーザアレイに入射することを抑制することができる(特願2009−270494号公報参照)。
ところで、発光部毎に集光位置を異ならせる光学部品として、一例として図10に示されるようにマイクロ加工で形成された光学部品を用いることが考えられる。しかしながら、この光学部品は、非常に高い加工精度が要求されるため、高コスト化を招く。
コリメートレンズ13は、非平行透明部材12の+Z側に配置され、非平行透明部材12を介した各光束を略平行光束とする。また、このコリメートレンズ13は、戻り光の集光点が各発光部の活性層付近になるように設定されている。
各発光部から射出された光束は、非平行透明部材12によって、いずれもコリメートレンズ13に入射される。そこで、光利用効率を向上させることができる。
対物レンズ14は、コリメートレンズ13の+Z側に配置され、コリメートレンズ13を介した各光束を集光する。一例として図11に示されるように、Z軸方向に関して、各光束の集光位置は、互いに異なっている。
そして、各光束の集光位置でのビーム強度の全半値幅は約1μmであった。そこで、約1μmの範囲の位置情報を検出することが可能である。ここで言う位置情報とは、対象物表面と検出部との間の距離をいう。本実施形態では、検出部は発光部に対応する。これにより、対象物の表面の凹凸や、対象物の有無を確認することができる。
対物レンズ14は、NAが0.5で、倍率が20倍である。
処理装置15は、一例として図12に示されるように、各発光部に電圧を印加する電圧源、各発光部に対応して設けられた抵抗R、該抵抗Rの両端での電圧を検出する電圧検出装置などを有している。
電圧源は、セルフミキシング信号が大きくなるように、閾値と同程度の電圧を各発光部に印加する。ここでは、電圧源の電圧を一定電圧2.1Vとした。そして、戻り光がないときに各発光部に流れる電流は約0.7mAであった。
抵抗Rは、電流値を電圧値にしてモニタするために、発光部と直列に入れられている。抵抗Rの抵抗値は、あまり大きいと発光部自身に電圧が印加されなくなり、また、あまり小さいと、電圧勾配が小さいため、モニタ電圧が小さくなりすぎる。ここでは、抵抗Rの抵抗値を100Ωとした。
各電圧検出装置は電圧計を含み、該電圧計の値がモニタ電圧としてプリンタ制御装置2090に出力される。なお、以下では、戻り光があるときの電圧計の出力信号を「セルフミキシング信号」という。また、戻り光がないときのモニタ電圧に対する戻り光があるときのモニタ電圧の変化率を「セルフミキシング信号強度」という。ここでは、対象物をミラーなどの反射率の高い部材にすると、約2%のセルフミキシング信号強度を得ることができた。
このように、処理装置15は、発光部毎にセルフミキシング信号をプリンタ制御装置2090に出力する。
そこで、発光部毎に、対象物からの反射光があるか否かを検知することが可能である。
図13には、対象物として10mm角で厚さ500μmのSi基板にAuが蒸着されたミラーを用い、該ミラーを光学センサ2245に密着させた状態から徐々に+Z方向に移動させたときの、各発光部のセルフミキシング信号強度とミラーのZ軸方向の位置との関係が示されている。なお、ここでは、セルフミキシング信号強度は、発光部毎に最大値が1となるように規格化されている。また、光学センサ2245に密着しているときのミラー位置を0としている。
図13によると、ミラー位置が光学センサ2245から遠ざかるにつれて、セルフミキシング信号強度が、ch1〜ch5の順に大きくなることがわかる。セルフミキシング信号強度のピークに対応するZ軸方向の各位置が、各光束の集光位置である。ここでは、図13から判るように、各発光部の集光位置はZ軸方向に関して、約6μmずつ異なっている。
各発光部における規格化した際の数値は、補正用データとしてプリンタ制御装置2090のROMに格納されている。そして、対象物が記録紙のときに、補正用データを参照して計測結果を補正している。セルフミキシング信号強度は、発光部の個体差によって異なるため、上記補正を行うことにより、検出精度を向上させることが可能となる。
ここでは、記録紙が正常に搬送されているときに、ch1からの光束の集光位置を記録紙が通過するように光学センサ2245が取り付けられている(図14参照)。
プリンタ制御装置2090は、給紙コロ2054が動作して所定の時間が経過すると、記録紙が光学センサ2245の近傍に位置していると判断し、6個の発光部すべてを点灯させる。そして、プリンタ制御装置2090は、処理装置15の出力信号から、各発光部のセルフミキシング信号強度を求める。なお、ここでは、ch6は、ダミーchとし、データ補正などに利用する。
プリンタ制御装置2090は、ch1のセルフミキシング信号強度が大きく、ch2〜ch5のセルフミキシング信号強度が小さい場合には、一例として図15(A)に示されるように、記録紙は正常に搬送されていると判断し、印刷ジョブをそのまま継続する。
一方、プリンタ制御装置2090は、ch1のセルフミキシング信号強度が小さく、ch2〜ch5のいずれかのセルフミキシング信号強度が大きい場合には、一例として図15(B)に示されるように、記録紙が正常に搬送されていないと判断し、不図示のディスプレイに「記録紙の搬送異常」を表示するとともに、印刷ジョブを一時的に停止させる。これにより、記録紙の異常搬送を予知し、記録紙が絡まり取れなくなる不具合を未然に防ぐことができる。
光学センサ2245では、検出器としてPDアレイ、及び各発光部からの光束を該PDアレイの方向に分岐させるためのハーフミラーなどの分岐光学素子が不要である。すなわち、部品点数が少なくなるとともに、PDアレイを高精度に配置する工程が不要となる。そこで、小型化を促進できるとともに、実装コスト及び部品費の低下を図ることができる。
一般的なPSDは検出エリアが数mmオーダーとなるため、電気容量が大きく、AD変換も含めて、検出に数10μsec程度の時間がかかる。また、記録紙の凹凸から発生するノイズやレーザ光を利用するため発生するスペックルノイズなどを低減するために、一般的には積算などを行う時間が必要で、最終的に紙搬送モニタとしては応答速度が不足する。光学センサ2245では、検出を発光部で行うため、電気容量が小さく、閾値電流も低いため、応答速度が早い。このため、一般的なPSDに比べ、応答速度が速いセンシングが可能となる。
ところで、さらに高い検出精度が要求される場合には、光学センサ2245に代えて、一例として図16に示される光学センサ2245Aを用いても良い。この光学センサ2245Aは、セルフミキシング効果を電流変化で検出するのではなく、各発光部から射出される光束の光量変化で検出する。ここでは、対象物からの反射光が発光部に戻り、セルミキシング効果が現れた場合には、該発光部から射出される光束の光量が変化することを利用している。
この光学センサ2245Aは、光源11、非平行透明部材12、コリメートレンズ13、対物レンズ14、ハーフミラー16、開口板17、及び受光器18などを備えている。
ハーフミラー16は、反射率が10%であり、コリメートレンズ13と対物レンズ14の間の光路上に配置され、コリメートレンズ13を通過した各光束を分岐させる。
開口板17は、開口部を有し、ハーフミラー16で反射された光束の光路上に配置されている。開口板17の開口部は、一例として図17に示されるように、6個の発光部の配列方向に対応する方向(Z軸方向)を長手方向とする長方形状であり、6個の発光部からの各光束がほぼ均等に入り、長手方向には光束がけられないようにしている。ここでは、開口板17によって光量が約1/5となるように設定されている。
受光器18は、開口板17の開口部を通過した光束の光路上に配置され、10mmφのSi製のPINフォトダイオード(PD)を含み、受光光量に応じた信号をプリンタ制御装置2090に出力する。なお、PDには、6個の発光部からの各光束がほぼ均等に入射する。
発光部に一定電圧を印加すると、通常は一定の光量となるが、戻り光がある場合には、その光量が微量に変化する。これは、セルフミキシング効果によって、利得が上がり、発振状態が変化することによる。すなわち、光学センサ2245Aは、電流変化で検出した光学センサ2245と、原理的には同じである。しかしながら、電流変化で検出するのに比べて、発光部から射出される光束の光量変化で検出する場合は、セルフミキシング効果の検出感度が向上することが判った。
ところで、光学センサ2245Aでは、6個の発光部を同時に点灯させるのではなく、1個ずつ順に点灯・消灯させることを前提としている。
図18には、開口板17がある場合とない場合とを比較するために行った実験の結果が示されている。開口板17がある場合の変化比は0.069であり、開口板17がない場合の変化比0.05に比べ、1.4倍程度大きい。これはセルフミキシング効果によって、ファーフィールドパターンが敏感に変化することに起因すると考えている。
光学センサ2245Aのように受光器を別に設ける場合であっても、受光器は発光部の発光強度をモニタするためのものであるため、従来の共焦点光学系に利用される検出器及びアパーチャ部材のように高い精度の実装は必要ない。ちなみに、この場合も、あくまでもセルフミキシング効果で変化する光量をモニタしているので、共焦点光学系におけるアパーチャ部材は、発光部の酸化狭窄構造が担う。光学センサ2245Aでの共焦点光学系は、対象物の表面と発光部の酸化狭窄構造とで、それぞれ焦点を結ぶ光学系である。そして、発光部の発光光量をモニタすることで、電流や電圧をモニタするよりも、セルフミキシング効果の感度を高くすることができる。
ところで、非平行透明部材12の−Z側の面に反射率10%のコーティングを行い、一例として図19(A)及び図19(B)に示されるように、非平行透明部材12をハーフミラー16の代替に利用しても良い。
この場合、受光器18は、非平行透明部材12で反射された光束の光路上に配置されている。受光器18は、Y軸方向に関して、受光面の大きさが非平行透明部材12で反射された光束のビーム径より小さいPDを含んでいる。すなわち、PDは、非平行透明部材12で反射された光束に対して、上記開口板17の役割も有している。
なお、非平行透明部材12をパッケージ部材のキャップとすることで、面発光レーザアレイとともにPDもパッケージ部材に内蔵することが可能である。これにより、高感度な小型化された光学センサを提供することができる。
次に、光学センサ2246について説明する。
この光学センサ2246は、一例として図20に示されるように、光源21、レンズ23、対物レンズ24、処理装置25及び筐体26などを備えている。
光源21は、上記光源11と同様な光源であり、レンズ23は、上記非平行透明部材12とコリメートレンズ13とが一体化された樹脂製のレンズである。対物レンズ24は、上記対物レンズ14と同様な対物レンズである。さらに、処理装置25も、上記処理装置15と同様な処理装置である。
ここでは、光学部品の占める部分が小さくなり、光学センサとして小型化を図ることができる。これにより、複写機などの狭い個所にも設置することが可能となる。
筐体26にはガイド27がついている。このガイド27は、記録紙に適当な力で押し付けられるように、不図示のばねによって+Z方向に付勢されている。これにより、ガイド27の先端と記録紙の表面位置とが高い精度で常に一定になる。
ここでは、Z軸方向に関して、ガイド27の先端とch1から射出された光束の集光位置とがほぼ同位置になるように設定されている。
これにより、ch2〜ch6から射出された光束の各集光位置は、ch1から射出された光束の集光位置よりも+Z側になる。本実施形態では、隣接する2つの光束の集光位置は、Z軸方向に関して約10μmずれるように設定されている。すなわち、ch1から射出された光束の集光位置とch5から射出された光束の集光位置とでは、Z軸方向に関して約40μmの差がある。この集光位置の差は、レンズ23の−Z側の面の傾斜角と発光部間隔とによってほぼ決定される。
対物レンズ24は、NAが0.4、倍率が20倍である。この場合、集光位置でのスポット径は約1μmであり、この領域内における対象物の有無を検知することができる。
プリンタ制御装置2090は、電源スイッチがオンになったとき、及び給紙トレイ2060に記録紙が格納されたときに、記録紙の平滑度を検出する処理(平滑度検出処理)を行う。
ここで、プリンタ制御装置2090によって行われる平滑度検出処理について説明する。
(1)6個の発光部すべてを点灯させる。
(2)処理装置25の出力信号から、各発光部のセルフミキシング信号強度を求める。ここで得られたデータの一例が図21及び図22に示されている。縦軸はセルフミキシング信号強度で、横軸は記録紙の移動距離である。移動距離が約20μmから190μmまでデータが示されている。なお、図21はch1のデータであり、図22はch5のデータである。
(3)各発光部のセルフミキシング信号強度の平均値を求める。以下では、便宜上、ここで得られた平均値を「セルフミキシング信号平均強度」という。
(4)各発光部のセルフミキシング信号平均強度を、最も高いセルフミキシング信号平均強度で規格化する。ここでは、規格化されたch1のセルフミキシング信号平均強度をAv1、規格化されたch2のセルフミキシング信号平均強度をAv2、規格化されたch3のセルフミキシング信号平均強度をAv3、規格化されたch4のセルフミキシング信号平均強度をAv4、規格化されたch5のセルフミキシング信号平均強度をAv5とする。
(5)次の(1)式から平滑度に対応したパラメータSを算出する。
S=|AV1−AV2|+|AV2−AV3|+|AV3−AV4|+|AV4−AV5| ……(1)
(6)算出されたパラメータSを、RAMに保存し、平滑度検出処理を終了する。
ところで、カラープリンタ2000が対応可能な複数の記録紙に関して、予め調整工程等の出荷前工程でパラメータSを求め、パラメータS毎に各ステーションでの最適な現像条件及び転写条件を決定し、該決定結果を「現像・転写テーブル」としてプリンタ制御装置2090のROMに格納している。
プリンタ制御装置2090は、ユーザからの印刷ジョブ要求を受け取ると、RAMに保存されているパラメータSを読み出し、該パラメータSに最適な現像条件及び転写条件を、現像・転写テーブルから求める。そして、該最適な現像条件及び転写条件に基づいて、例えば、転写電圧やトナー量を調整する。これにより、高品質な画像が形成される。
ところで、対象物の表面の平滑度を検出するには、表面の凹凸情報だけを検出すれば良く、該凹凸情報を統計的に例えば標準偏差などに変換するだけで良い。絶対的な位置情報は不要である。光学センサ2246は、検出エリアが集光位置でのスポット径と同等で、1μm程度と小さいため、記録紙の平滑度を検出するには、十分な精度を有している。また、非平行透明部材によって、集光位置を数10μmずつ異ならせることができる。普通紙では凹凸の差が数10μmであるので、エアリーク式平滑度で、30secから200sec程度の範囲内の記録紙の種類判別に最適である。
次に、光学センサ2247について説明する。
この光学センサ2247は、一例として図23に示されるように、光源31、非平行透明部材32、コリメートレンズ33、偏光ホログラム34、λ/4板35、対物レンズ36、開口板38、受光器39、及び電圧源などを備えている。
光源31は、上記光源11と同様な光源であり、非平行透明部材32は、上記非平行透明部材12と同様な非平行透明部材である。また、コリメートレンズ33及び対物レンズ36も、上記コリメートレンズ13及び対物レンズ14と同様なレンズである。
電圧源は、光源31の各発光部に一定電圧を印加する。
λ/4板35は、対物レンズ36の−Z側に配置され、対物レンズ36への光束及び対物レンズ36からの光束に、λ/4の光学的位相差を付与する。
例えば、光源31から射出される直線偏光の偏光方向がX軸に平行であれば、対物レンズ36に入射する光束は、λ/4板35によって円偏光とされる。そして、記録紙表面で反射され対物レンズ36を通過した光束は、上記円偏光とは反対方向の円偏光となる。そこで、記録紙表面で反射され対物レンズ36を通過した光束は、λ/4板35によって偏光方向がY軸に平行な直線偏光とされる。
ここで、偏光ホログラム34が、偏光方向がY軸に平行な直線偏光の一部を偏向するように設定されていれば、記録紙表面で反射された光束の一部は、光源31とは異なる方向に進行することとなる。偏光ホログラム34は、コリメートレンズ33と対物レンズ36の間の光路上に配置されている。
開口板38は、偏光ホログラム34で偏向され、コリメートレンズ33を通過した複数の光束の光路上に配置されている。開口板38は、複数の光束に個別に対応した複数(6個)の開口部を有している。各開口部は、対応する光束の集光位置近傍に位置している。
受光器39は、開口板38の複数の開口部に個別に対応した複数(6個)のアバランシェフォトダイオード(APD)を有している。すなわち、複数のAPDは、複数の発光部に個別に対応している。ここで、ch1に対応するAPDをAPD1、ch2に対応するAPDをAPD2、ch3に対応するAPDをAPD3、ch4に対応するAPDをAPD4、ch5に対応するAPDをAPD5とする。各APDは、受光光量に応じた信号をプリンタ制御装置2090に出力する。
各発光部から射出された光束の集光位置は、Z軸方向に関して互いに異なっている。ここでは、ch1〜ch5から射出された各光束のZ軸方向に関する集光位置は、一例として図24に示されるように、ch1、ch2、ch3、ch4、ch5の順で光学センサ2247から遠方に位置している。そして、Z軸方向に関して、ch5から射出された光束の集光位置が転写ベルト2040と同じ位置となるように配置されている。
なお、1つのチップに複数のAPDと面発光レーザアレイとが同時に形成されていても良い。この場合は、検出精度を更に向上させることができる。
ここで、プリンタ制御装置2090が、トナー量の検出要求を受けたときの処理(トナー量検出処理)について説明する。
なお、トナー量の検出要求は、電源投入時には、(1)感光体ドラムの停止時間が6時間以上のとき、(2)装置内の温度が10℃以上変化しているとき、(3)装置内の相対湿度が50%以上変化しているとき、印刷時には、(4)プリント枚数が所定の枚数に達したとき、(5)現像ローラの回転回数が所定の回数に達したとき、(6)転写ベルトの走行距離が所定の距離に達したときなどに発行される。
(1)光走査装置2010に、一例として図25に示されるようなトナーパターンDP1〜DP4の形成を指示する。
トナーパターンDP1はブラックトナーで形成され、トナーパターンDP2はマゼンタトナーで形成される。また、トナーパターンDP3はシアントナーで形成され、トナーパターンDP4はイエロートナーで形成される。なお、以下では、トナーパターンDP1〜DP4を区別する必要がない場合には、総称して「トナーパターンDP」ともいう。
トナーパターンDPは、一例として図26に示されるように、4個の四角形状のパターン(p1〜p4、以下では、便宜上「矩形パターン」という)を有している。各矩形パターンは、転写ベルト2040の進行方向に沿って一列に並んでおり、それぞれ全体としてみたときにトナー量が異なっている。ここでは、トナー量の少ない矩形パターンから、p1、p2、p3、p4とする。すなわち、矩形パターンp1のトナー量が最も少なく、矩形パターンp4のトナー量が最も多い。
(2)所定の時間が経過すると、転写ベルト2040の回転に伴って、転写ベルト2040上のトナーパターンDPが光学センサ2247の近くに移動してきたと判断し、6個の発光部すべてを点灯させる。
(3)APD1〜APD5の出力信号を取得する。
(4)各出力信号から色毎に各矩形パターンのトナー量を求める。ここでは、予め調整工程等の出荷前工程で、APD1〜APD5の出力信号とトナー量との関係が求められ、「トナー量テーブル」としてプリンタ制御装置2090のROMに格納されている。例えば、図27(A)に示されるように、付着しているトナー量が多い(T1)と、APD1の出力信号が非常に大きく、他の出力信号が小さくなる。また、図27(B)に示されるように、付着しているトナー量がT1より少ないT3であると、APD3の出力信号が非常に大きく、他の出力信号が小さくなる。
(5)各矩形パターンのトナー量が所望のトナー量と異なっていれば、光走査装置2010の光源から射出される光束のパワー、該光源に供給される駆動パルスにおけるデューティ、帯電バイアス、及び現像バイアスの少なくともいずれかを調整する。これにより、安定した高品質の画像形成が可能となる。
このように、光学センサ2247では、反射光の光量を高さ情報に変換しているため、微弱反射光でも、トナー量の定量化が可能となる。
従来は、単にトナーパターンからの反射光の光量からトナー量の検出を行っていた。この場合は、転写ベルトが黒い場合やトナーが黒い場合は反射光量が不足し、検出精度が十分でなかった。本実施形態では、光学センサ2247が高い感度を有しているため、黒いトナーなどの光吸収の高い物質に対しても十分な検出精度を得ることができる。
以上説明したように、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)と、各感光体ドラムに潜像を形成する光走査装置2010と、潜像にトナーを付着させトナー画像を生成する4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)と、各感光体ドラムからトナー画像が転写される転写ベルト2040と、3つの光学センサ(2245、2246、2247)と、全体を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
各光学センサの光学系は、発光部の活性層付近と対象物のある位置とが共焦点関係になる共焦点光学系である。そして、共焦点位置に対象物が存在する場合には、強い反射光が発光部自身に戻るので、非常に強いセルフミキシング信号を検出することができる。
検出する位置精度は、対物レンズの焦点深度によって、任意に設計することができる。
そして、複数の発光部とコリメートレンズの間に非平行透明部材を配置し、発光部毎に対物レンズまでの光路長が異なることで、発光部毎に集光位置が異なることとなる。このように、各光学センサでは、複数の発光部から射出された各光束の集光位置を、互いに光軸方向(Z軸方向)にずらしている。
これにより、各光学センサでは、光軸方向に関して、複数の位置での情報を同時に検出することができる。例えば、対象物の表面に凹凸があっても、反射光が戻ってきた発光部を特定することにより、その位置までの距離を検出することができる。
ところで、非平行透明部材がないと、一部のビームがレンズに入らなくなり、光利用効率が低下する(図28(A)及び図28(B)参照)。そして、光利用効率が低下すると測定精度が低下する。
また、非平行透明部材がないと、レンズに入る一部のビームのレンズへの入射角がレンズの光軸に対して大きくずれるため、焦点位置での収差が大きく、ビームを絞ることができなくなる(図28(A)及び図28(B)参照)。そして、ビームを絞れないと、測定精度が低下する。
なお、光束の集光位置は、非平行透明部材の形状や発光部間距離などによって調整することができる。また、セルフミキシング信号強度のピーク幅は、対物レンズの焦点深度によって調整することができる。
また、各光学センサでは、従来の共焦点顕微鏡と異なり、集光位置を変化させるための駆動装置が不要であるとともに、駆動させる時間も不要である。そこで、低コスト化を図るとともに、応答速度の高速化を図ることができる。また、非平行透明部材は、表面を研磨加工することが容易で、ビーム品質の低下を最小限に抑えることができる。また、加工や実装に高いコストがかからないことから、低コストで高感度な光学センサを実現できる。
一般的に半導体レーザでは、温度変化によって光量が変化するのを避けるため電流駆動されている。しかしながら、セルフミキシング効果を利用したセンサでは、光量を一定にする必要はない。MOSトランジスタは、原理的に電圧駆動の方が容易であり、ICでは一般的に電圧駆動である。セルフミキシング効果の感度を上げるために、ICでのノイズを低減できる電圧駆動の方が有利である。また、ドライバーICは電圧駆動が主流であり、低コストで入手することが可能となる。各光学センサでは、面発光レーザアレイは電圧駆動であり、低コスト化、高感度化を図ることができる。
光学センサ2245は、面発光レーザアレイを含む光源11、非平行透明部材12、コリメートレンズ13、対物レンズ14、及び処理装置15などを備えている。
面発光レーザアレイの複数の発光部から射出された複数の光束は、非平行透明部材12、コリメートレンズ13、及び対物レンズ14を介して、Z軸方向に関して互いに異なる位置に集光される。また、各発光部では、活性層付近と集光位置とが共焦点関係になるように設定されている。
そして、処理装置15は、面発光レーザアレイの複数の発光部に一定の電圧を印加するとともに、発光部毎にセルフミキシング信号をプリンタ制御装置2090に出力する。
プリンタ制御装置2090は、処理装置15からの各発光部のセルフミキシング信号に基づいて、Z軸方向に関する記録紙との距離を求める。本実施形態では、戻り光の波面の乱れが非常に小さいため、高い精度で記録紙の進行方向に関して互いに異なる5地点での記録紙との距離をほぼ同時に求めることができる。すなわち、記録紙の相対位置を短時間で精度良く検出することができる。
そして、プリンタ制御装置2090は、Z軸方向に関する記録紙との距離に基づいて、該記録紙が正常な搬送路上にあるか否かを判断する。これにより、記録紙の搬送速度が速くても、記録紙の異常搬送を高い精度で予知し、記録紙が絡まり取れなくなる不具合を未然に防ぐことができる。
また、光学センサ2245は、構成部品が少なく、しかも各構成部品が小さいため、小型化を図ることができる。
光学センサ2246は、面発光レーザアレイを含む光源21、レンズ23、対物レンズ24、及び処理装置25などを備えている。
レンズ23は、光学センサ2245における非平行透明部材12とコリメートレンズ13とが一体化された樹脂製のレンズである。
そこで、面発光レーザアレイの複数の発光部から射出された複数の光束は、レンズ23及び対物レンズ24を介して、Z軸方向に関して互いに異なる位置に集光される。
そして、処理装置25は、面発光レーザアレイの複数の発光部に一定の電圧を印加するとともに、発光部毎にセルフミキシング信号をプリンタ制御装置2090に出力する。
プリンタ制御装置2090は、処理装置15からの各発光部のセルフミキシング信号に基づいて、記録紙の平滑度に対応したパラメータSを求める。本実施形態では、戻り光の波面の乱れが非常に小さいため、高い精度で記録紙表面の互いに異なる5地点での相対位置をほぼ同時に求めることができる。すなわち、記録紙の平滑度を短時間で精度良く検出することができる。
そして、プリンタ制御装置2090は、パラメータSに応じて、転写条件及び現像条件の少なくとも一方を調整する。これにより、記録紙の搬送速度が速くても、高品質な画像を形成することができる。
また、光学センサ2246は、構成部品が少なく、しかも各構成部品が小さいため、小型化を図ることができる。
そこで、光学センサ2246は、小型で、記録紙の平滑度を短時間で精度良く検出することができる。
光学センサ2247は、面発光レーザアレイを含む光源31、非平行透明部材32、コリメートレンズ33、対物レンズ36、偏光ホログラム34、λ/4板35、開口板38、及び受光器39などを備えている。
面発光レーザアレイの複数の発光部から射出された複数の光束は、非平行透明部材32、コリメートレンズ33、偏光ホログラム34、λ/4板35、及び対物レンズ36を介して、Z軸方向に関して互いに異なる位置に集光される。
記録紙表面で反射された複数の光束の一部は、偏光ホログラム34で偏向され、開口板38の開口部を通過して受光器39で受光される。
受光器39は、複数の発光部に対応した複数のAPDを有している。すなわち、受光器39は、非常に高い感度を有している。各APDは、受光光量に応じた信号をプリンタ制御装置2090に出力する。
プリンタ制御装置2090は、光走査装置2010にトナーパターンの形成を指示するとともに、受光器39の出力信号に基づいてトナーパターンのトナー量を求め、光走査装置2010の光源から射出される光束のパワー、該光源に供給される駆動パルスにおけるデューティ、帯電バイアス、及び現像バイアスの少なくともいずれかを調整する。本実施形態では、受光器39が非常に高い感度を有しているため、ブラックトナーのように光を吸収しやすい物質に対してもトナー量の検出が容易である。また、トナーパターンのトナー量を短時間で精度良く検出することができる。そこで、印刷ジョブの中断時間を短くすることができ、ユーザの操作性を向上させることができる。
また、光学センサ2247は、構成部品が少なく、しかも各構成部品が小さいため、小型化を図ることができる。
そして、カラープリンタ2000は、高品質の画像を安定して形成することができる。
なお、上記実施形態では、面発光レーザアレイが6個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、面発光レーザアレイにおける発光部間隔が100μmの場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、記録紙における計測領域の大きさ(幅)に応じて設定しても良い。
また、上記実施形態において、一例として図29に示されるように、面発光レーザアレイの複数の発光部が2次元配列されていても良い。
また、上記実施形態において、プリンタ制御装置2090での処理の少なくとも一部を、光学センサの処理装置が行っても良い。
また、上記実施形態において、搬送中の記録紙の平滑度を求めても良い。この場合は、光学センサ2246は搬送路近傍に配置される。
また、上記実施形態では、給紙トレイが1つの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、給紙トレイが複数あっても良い。この場合は、給紙トレイ毎に光学センサ2246を設けても良い。
また、上記実施形態では、トナーパターンDPが4つの矩形パターンを有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、記録紙の平滑度に対応するデータとしてパラメータSを用いる場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、光学センサ2247が、転写ベルト2040上のトナーパターンのトナー量を検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、感光体ドラム表面のトナーパターンのトナー量を検出しても良い。この場合は、感光体ドラム毎に光学センサ2247が設けられる。
また、上記実施形態において、トナーパターンを記録紙に転写し、該記録紙上のトナーパターンのトナー量を光学センサ2247で検出しても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置として、カラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限らず、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機であっても良い。
また、光学センサ2245、光学センサ2245A及び光学センサ2246は、記録紙にインクを吹き付けて画像を形成する画像形成装置にも適用可能である。
また、光学センサ2245、光学センサ2245A及び光学センサ2246は、対象物となるシート状部材が用いられる装置であれば、画像形成装置以外にも適用することができる。