JP5727241B2 - 粘結剤コーテッド耐火物の製造方法、鋳型の製造方法 - Google Patents

粘結剤コーテッド耐火物の製造方法、鋳型の製造方法 Download PDF

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本発明は、ェノール樹脂粘結剤組成物を耐火物の表面に被覆して形成される粘結剤コーテッド耐火物製造方法、この粘結剤コーテッド耐火物を用いて形成される鋳型製造方法に関するものである。
鋳型の製造方法には従来から各種のものがあるが、その一つにシェルモールド法がある。シェルモールド法は、硅砂など鋳型用の耐火骨材を粘結剤で結合させて造型することによって得られるものであり、寸法精度が良好な鋳型が得られる等の優れた特性を有するため、従来から多用されている。
このシェルモールド用の粘結剤としては、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が一般に用いられており、耐火骨材と熱硬化性樹脂とを混合して耐火骨材の表面に熱硬化性樹脂を被覆した粘結剤コーテッド耐火物(一般にレジンコーテッドサンドと呼ばれる)を調製し、この粘結剤コーテッド耐火物を加熱された金型内に充填し、熱硬化性樹脂粘結剤を溶融・硬化させることによって、鋳型を造型するようにしている。
粘結剤コーテッド耐火物はそれ自体がサラサラした粒状物であり、流動性が良好であるため、金型への充填性が良好であり、空気輸送なども可能で取り扱いも良好である。このため、粘結剤コーテッド耐火物を用いたシェルモールド法は自動車鋳物用などに多用されている。
そして粘結剤コーテッド耐火物において、耐火骨材の表面を被覆する熱硬化性樹脂粘結剤としては、上記のようにフェノール樹脂を用いるのが一般的であるが、フェノール樹脂にはレゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂があり、いずれも粘結剤として使用することができる。ここで、上記した自動車鋳物用の鋳型にあって、生産性向上のために、鋳型の造型時間を1秒でも短縮することが急務となっている。このため、自動車鋳物用に用いられる粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤としては、フェノール樹脂のなかでもレゾール型フェノール樹脂よりも硬化速度が速い、ヘキサメチレンテトラミンを硬化剤として使用するノボラック型フェノール樹脂が多用されている(例えば特許文献1等参照)。
特開2002−265750号公報
しかし上記のように、耐火骨材の表面を被覆する粘結剤のフェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂を用いる場合にあっても、鋳型の造型時間を短縮する効果は十分ではなく、硬化速度をより速めて、鋳型の造型時間をより短縮できるようにすることが求められているのが現状である。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、硬化速度をより速めることができるフェノール樹脂粘結剤組成物を用いて鋳型の造型時間をより短縮できるようにした粘結剤コーテッド耐火物製造方法を提供すること目的とするものであり、さらに造型時間をより短縮して作製することができる鋳型製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る粘結剤コーテッド耐火物の製造方法は、フェノール類とアルデヒド類を反応させてフェノール樹脂を調製する際に、二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールを添加することによって、この多価フェノールが粘結剤の主成分であるフェノール樹脂に1〜60質量%含有されているフェノール樹脂粘結剤組成物を調製し、耐火骨材とこの多価フェノールが含有されるフェノール樹脂粘結剤組成物を混合することによって、フェノール樹脂粘結剤組成物を含有する固形の粘結剤層を耐火骨材の表面に被覆することを特徴とするものである。
フェノール樹脂粘結剤組成物のフェノール樹脂に二価フェノールや三価フェノールが含有されることによって、二価フェノールや三価フェノールの高い反応性によってフェノール樹脂のゲル化時間が短くなり、硬化速度をより速めることができるものである。
そして、フェノール樹脂を調製する際に多価フェノールを添加したフェノール樹脂を耐火骨材に被覆することによって、多価フェノールを含有するフェノール樹脂の組成物からなる粘結剤層を形成することができるものであり、短時間で鋳型を造型することが可能な粘結剤コーテッド耐火物を得ることができるものである。
また本発明は、フェノール類とアルデヒド類を反応させてフェノール樹脂を調製し、このフェノール樹脂に二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールを添加して溶融混合することによって、多価フェノールが粘結剤の主成分であるフェノール樹脂に1〜60質量%含有されるフェノール樹脂粘結剤組成物を調製し、耐火骨材とこの多価フェノールが含有されるフェノール樹脂粘結剤組成物を混合することによって、フェノール樹脂粘結剤組成物を含有する固形の粘結剤層を耐火骨材の表面に被覆することを特徴とするものである。
また本発明は、ェノール樹脂の溶融温度以上の温度に加熱した耐火骨材に固形のフェノール樹脂を混合して耐火骨材の表面に被覆し、次いで二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールがフェノール樹脂と反応しない温度以下に冷却した状態で、フェノール樹脂を表面に被覆した耐火骨材にこの多価フェノールを添加して混合することによって、多価フェノールが粘結剤の主成分であるフェノール樹脂に1〜60質量%含有されているフェノール樹脂粘結剤組成物を含有する固形の粘結剤層を耐火骨材の表面に被覆することを特徴とするものである。
フェノール樹脂の溶融温度以上の温度に加熱した耐火骨材に固形のフェノール樹脂を混合して耐火骨材の表面に粘結剤層を被覆するホットコート法で粘結剤コーテッド耐火物を製造するにあたって、多価フェノールが反応しない温度以下に冷却した状態で、フェノール樹脂を表面に被覆した耐火骨材にこの多価フェノールを添加して混合することによって、多価フェノールの反応で過度に高分子化していない状態のフェノール樹脂で粘結剤層を形成することができるものであり、粘結剤層のフェノール樹脂が高分子化することによる架橋密度の低下で、鋳型の強度が低くなるようなことを防ぐことができるものである。
また本発明は、上記のように多価フェノールが反応しない温度以下に冷却した状態で、フェノール樹脂を表面に被覆した耐火骨材に多価フェノールを添加して混合する他、フェノール樹脂用の硬化剤がフェノール樹脂と反応しない温度以下に冷却した状態で、フェノール樹脂を表面に被覆した耐火骨材にこの硬化剤を添加して混合するようにしたものである。
このように、フェノール樹脂用の硬化剤がフェノール樹脂と反応しない温度以下に冷却した状態で、フェノール樹脂を表面に被覆した耐火骨材にこの硬化剤を添加して混合することによって、この場合も同様に、過度に高分子化していない状態のフェノール樹脂で粘結剤層を形成することができるものであり、粘結剤層のフェノール樹脂が高分子化することによる架橋密度の低下で、鋳型の強度が低くなるようなことを防ぐことができるものである。
また本発明は、上記のようにフェノール樹脂を被覆した耐火骨材を冷却する温度が、130℃未満であることを特徴とするものである。
このように130℃未満の温度に冷却した後に多価フェノールを添加することによって、多価フェノールの反応でフェノール樹脂が過度に高分子化することがない状態で、粘結剤層を形成することができるものである。
また本発明は、水を加えることによって、フェノール樹脂を被覆した耐火骨材を冷却することを特徴とするものである。
このように水を加えて冷却することによって、多価フェノールを添加することができる温度まで短時間で下げることができるものであり、生産性を高めることができるものである。
また本発明において、上記の二価フェノールがカテコール、ヒドロキノン、レゾルシン、4−ヘキシルレゾルシンから選ばれるものであり、上記の三価フェノールがピロガロール、フロログルシンから選ばれるものであることを特徴とするものである。
二価フェノールや三価フェノールとしてこれらのものを用いることによって、フェノール樹脂の硬化速度を速める効果をより有効に得ることができるものである。
また本発明において、上記のフェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂であり、あるいはレゾール型フェノール樹脂であり、あるいはノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂の混合物であることを特徴とするものである。
フェノール樹脂としてこれらのいずれのものを用いても、硬化速度をより速めたフェノール樹脂粘結剤組成物を得ることができるものである。
また本発明において、フェノール樹脂粘結剤組成物は、温度130℃で測定したときのゲル化時間が、100秒以下であることを特徴とするものである。
フェノール樹脂粘結剤組成物のゲル化時間がこのように短いことによって、硬化速度が十分に速いフェノール樹脂粘結剤組成物として使用することができるものである。
また本発明において、上記の粘結剤層には、フェノール樹脂用の硬化剤が含有されていることを特徴とするものである。
このように粘結剤層にフェノール樹脂用の硬化剤が含有されていることによって、フェノール樹脂粘結剤組成物の硬化速度をより速めることができ、より短時間で鋳型を造型することが可能になるものである。
本発明に係る鋳型の製造方法は、上記のコーテッド耐火物を加熱した型内に供給し、型の熱よって粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層のフェノール樹脂を硬化させることを特徴とするものである。
上記のように、粘結剤層は多価フェノールが1〜60質量%含有されるフェノール樹脂粘着剤組成物からなるものであり、この粘着剤は上記のように硬化速度が速いものであって、短時間で鋳型を造型することが可能になるものである。
また本発明に係る鋳型の製造方法は、上記の粘結剤コーテッド耐火物を型内に充填し、この型内に水蒸気を吹き込んで粘結剤コーテッド耐火物を加熱し、粘結剤層のフェノール樹脂を硬化させることを特徴とするものである。
耐火骨材に被覆された粘結剤層は固形の粘結剤からなるものであって、粘結剤コーテッド耐火物は粘着性を有することなく流動性が良好なものであり、型への充填性が良く、充填不良の発生を防ぐことができるものである。そして、水蒸気は高い凝縮潜熱を有するので、粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込むことによって、水蒸気が粘結剤コーテッド耐火物に接する際にこの潜熱が伝達され、粘結剤コーテッド耐火物を瞬時に加熱して粘結剤を硬化させることができるものであり、粘結剤層のフェノール樹脂粘結剤組成物の硬化速度が上記のように速いことに加えて、より短時間で鋳型を製造することができるものである。
また本発明は、粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込んで、水蒸気の凝縮潜熱により粘結剤コーテッド耐火物の温度を上昇させ、次に加熱した気体を型内に吹き込んで、型内の凝縮水を蒸発させると共に粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層のフェノール樹脂が硬化する温度以上に加熱することを特徴とするものである。
粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込むことによって、水蒸気の凝縮潜熱により粘結剤コーテッド耐火物の温度を100℃近傍まで急速に上昇させることができると共に、次いで、加熱した気体を型内に吹き込むことによって、水分の少ないこの気体で凝縮水を迅速に蒸発させることができ、短時間で100℃以上の温度に上昇させることができるものであり、粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層のフェノール樹脂が硬化する温度以上にまで型内の温度を上昇させる速度を速めることができるものであって、短時間の加熱で強度の高い鋳型を製造することができるものである。
また本発明において、上記の加熱した気体が、加熱した空気であることを特徴とするものである。
加熱した気体として大気中の空気を利用することによって、コスト安価なシステムにすることができるものである。
また本発明において、上記の加熱した気体が、水蒸気と空気との混合気体であることを特徴とするものである。
このように加熱した気体として水蒸気と空気との混合気体を用いることによって、型に吹き込むために使用する水蒸気と大気中の空気をそのまま利用することができ、コスト安価なシステムにすることができるものである。
また本発明において、上記の水蒸気が、過熱水蒸気であることを特徴とするものである。
過熱水蒸気は高温の乾き蒸気であって、水蒸気としてこのように過熱水蒸気を用いることによって、型内で水蒸気から凝縮水が過剰に生成されることが少なくなり、型内の粘結剤コーテッド耐火物の温度上昇の速度を速めることができるものである。
また本発明は、予備加熱した粘結剤コーテッド耐火物を型内に充填することを特徴とするものである。
このように粘結剤コーテッド耐火物を予備加熱しておくことによって、夏季や冬季など季節の気温差に伴う粘結剤コーテッド耐火物の温度差を解消することができると共に、型内に吹き込む水蒸気の温度低下を抑制することができ、粘結剤層のフェノール樹脂が硬化する温度以上にまで型内の温度を上昇させる速度を速めることができるものであって、鋳型の製造効率を高めることができるものである。
本発明に用いるフェノール樹脂粘結剤組成物は、フェノール樹脂を粘結剤の主成分とすると共に、二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールが、粘結剤の主成分であるこのフェノール樹脂に1〜60質量%含有されているものであるから、フェノール樹脂に二価フェノールや三価フェノールが含有されることによって、フェノール樹脂のゲル化時間が短くなり、硬化速度をより速めることができるものである。
また本発明において得られる粘結剤コーテッド耐火物は、耐火骨材の表面に、上記のフェノール樹脂粘結剤組成物を含有する固形の粘結剤層が被覆されていることを特徴とするものであり、フェノール樹脂粘結剤組成物は上記のように硬化速度が速いので、短時間で鋳型を造型することが可能になるものである。
そして本発明の粘結剤コーテッド耐火物の製造方法は、フェノール類とアルデヒド類を反応させてフェノール樹脂を調製する際に、二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールを添加することによって、この多価フェノールが含有されるフェノール樹脂を調製し、耐火骨材とこの多価フェノールが含有されるフェノール樹脂を混合するようにしたものであり、多価フェノールを含有するフェノール樹脂の組成物からなる粘結剤層を形成することができるものであって、短時間で鋳型を造型することが可能な粘結剤コーテッド耐火物を得ることができるものである。
また本発明の鋳型の製造方法は、上記の粘結剤コーテッド耐火物を型内に充填し、この型内に水蒸気を吹き込んで粘結剤コーテッド耐火物を加熱し、粘結剤層のフェノール樹脂を硬化させるようにしたものであり、水蒸気は高い凝縮潜熱を有するので、粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込むことによって、水蒸気が粘結剤コーテッド耐火物に接する際にこの潜熱が伝達され、粘結剤コーテッド耐火物を瞬時に加熱して粘結剤を硬化させることができ、粘結剤層のフェノール樹脂粘結剤組成物の硬化速度が上記のように速いことに加えて、より短時間で鋳型を製造することができるものである。
本発明に係る鋳型の製造方法の一例を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ各工程での断面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において耐火骨材としては、特に限定されるものではないが、硅砂、山砂、アルミナ砂、オリビン砂、クロマイト砂、ジルコン砂、ムライト砂、その他、人工砂などを例示することができるものであり、これらを1種単独で用いる他、複数種を混合して用いることもできる。
本発明に係る粘結剤コーテッド耐火物は、この耐火骨材の粒子の表面を、フェノール樹脂粘結剤を含有する粘結剤層で被覆することによって形成されるものである。そして本発明は、粘結剤として、フェノール樹脂を主成分とし、二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールがこのフェノール樹脂に含有されているフェノール樹脂粘結剤組成物を用いるようにしたものである。尚、本発明において、一価フェノールは一つのベンゼン環に一つのフェノール性水酸基が付加しているもの、二価フェノールは一つのベンゼン環に二つのフェノール性水酸基が付加しているもの、三価フェノールは一つのベンゼン環に三つのフェノール性水酸基が付加しているものをいう。
フェノール樹脂はフェノール類とアルデヒド類を触媒の存在下で反応させることによって、調製することができる。
ここで、フェノール類はフェノール及びフェノールの誘導体を意味するものであり、一価のフェノール類が用いられる。例えばフェノールの他にm−クレゾール、3,5−キシレノールなどの3官能性のもの、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタンなどの4官能性のもの、o−クレゾール、p−クレゾール、p−ter−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4又は2,6−キシレノールなどの2官能性のo−又はp−置換のフェノール類を挙げることができ、さらに塩素又は臭素で置換されたハロゲン化フェノールなども用いることができる。勿論、これらから一種を選択して用いる他、複数種のものを混合して用いることもできる。
またアルデヒド類としては、水溶液の形態であるホルマリンが最適であるが、パラホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンのような形態のものを用いることもでき、その他、ホルムアルデヒドの一部を2−フルアルデヒドやフルフリルアルコールに置き換えて使用することも可能である。
上記のフェノール類とアルデヒド類の配合比率は、モル比で1:0.5〜1:3.5の範囲になるように設定するのが好ましい。
また反応触媒としては、ノボラック型フェノール樹脂を調製する場合は、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、あるいはシュウ酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸などの有機酸、さらに酢酸亜鉛などを用いることができる。レゾール型フェノール樹脂を調製する場合は、アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物を用いることができ、さらにジメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジエチレントリアミン、ジシアンジアミドなどの脂肪族の第一級、第二級、第三級アミン、N,N−ジメチルベンジルアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン、アニリン、1,5−ナフタレンジアミンなどの芳香族アミン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミンなどや、その他二価金属のナフテン酸や二価金属の水酸化物を用いることもできる。
ノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂は、それぞれ単独で使用しても、両者を任意の割合で混合して使用してもいずれでもよい。また希釈して使用する場合は、アルコール類、ケトン類、エステル類、多価アルコール類などの溶剤を用いることができる。
そして本発明に係るフェノール樹脂粘結剤組成物は、上記のフェノール樹脂に、二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールが含有されているものである。
ここで二価フェノールとしては、特に限定されるものではないが、カテコール(融点105℃)、アルキルカテコール、ヒドロキノン(融点170.3℃)、レゾルシン(融点110℃)、アルキルレゾルシン、4−ヘキシルレゾルシン(化学式(1))などを挙げることができる。また、三価フェノールとしては、特に限定されるものではないが、ピロガロール(融点133℃)、フロログルシン(融点219℃:化学式(2))などを挙げることができる。これら二価あるいは三価の多価フェノールは、一種を単独で用いる他、複数種を併用することもできる。
Figure 0005727241
フェノール樹脂粘結剤組成物は、フェノール樹脂中に、二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールが反応して結合した状態であってもよく、またフェノール樹脂に、二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールが反応していない状態で混合されたものであってもよい。さらに二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールの一部がフェノール樹脂中に反応して結合していると共に、二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールの他の一部がフェノール樹脂と反応せずに混合しているものであってもよい。
フェノール樹脂中に、二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールを反応させて結合したものとしてフェノール樹脂粘結剤組成物を調製するにあたっては、上記のように一価のフェノール類とアルデヒド類を触媒の存在下で反応させてフェノール樹脂を合成する際に、二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールを添加して反応させることによって行なうことができる。
このとき、一価のフェノール類とアルデヒド類を反応させる合成の初期から多価フェノールを添加することによって、一価のフェノール類と多価フェノールをそれぞれアルデヒド類と反応させて、フェノール樹脂中に多価フェノールが結合して取り込まれたフェノール樹脂粘結剤組成物を調製することができる。
あるいは、一価のフェノール類とアルデヒド類を反応させてフェノール樹脂を合成する途中の段階で多価フェノールを添加することによって、多価フェノールの一部をアルデヒド類と反応させて、フェノール樹脂中に多価フェノールの一部が結合して取り込まれると共に、多価フェノールの他の一部がフェノール樹脂と反応せずに混合した状態で、フェノール樹脂粘結剤組成物を調製することができる。
さらに、一価のフェノール類とアルデヒド類を反応させてフェノール樹脂の合成を終了した後、反応系からフェノール樹脂を取り出す前に多価フェノールを添加し、フェノール樹脂と多価フェノールを溶融混合することによって、フェノール樹脂に多価フェノールを混合した状態のフェノール樹脂粘結剤組成物を得ることができる。
本発明に係る、フェノール樹脂中に多価フェノールが含有されたフェノール樹脂粘結剤組成物にあって、フェノール樹脂中の多価フェノールの含有量は、1〜60質量%の範囲に設定されるものである。多価フェノールの含有量は3〜60質量%の範囲がより好ましく、特に好ましくは5〜30質量%である。多価フェノールの含有量が少ないと、フェノール樹脂中に多価フェノールを含有させることで、多価フェノールの高い反応性によってゲル化時間を短縮し、フェノール樹脂粘結剤の硬化時間を短くする効果を十分に得ることができない。逆に多価フェノールの含有量が多すぎると、ゲル化反応を制御することが難しくなり、硬化時間が速くなりすぎて作業性に問題が生じるおそれがある。
フェノール樹脂中に多価フェノールが含有されたこのフェノール樹脂粘結剤組成物のゲル化時間は、130℃の測定温度で100秒以下であることが好ましく、80秒以下であることがより好ましい。ゲル化時間がこれより長いと、フェノール樹脂粘結剤の硬化時間を短くする効果を十分に得ることができない。ゲル化時間の下限は特に設定されるものではないが、作業性の点からすると、ゲル化時間は10秒以上であることが望ましい。このゲル化時間は、JACT試験法 RS−5に準拠して測定した数値である。ここで、JACT試験法 RS−5では測定温度が150℃に設定されているが、本発明のフェノール樹脂粘結剤組成物はゲル化時間が短く、150℃の温度で測定すると、ゲル化時間が短すぎて測定が困難であり、測定結果にばらつきが生じ易いと共に、ゲル化時間の差を確認することが難しくなる。このため、本発明では測定温度を130℃と低い温度に設定して行なうようにしている。
そして、フェノール樹脂粘結剤組成物を耐火骨材に配合して混合することによって、フェノール樹脂粘結剤組成物を主成分とする粘結剤層を耐火骨材の表面に被覆した粘結剤コーテッド耐火物を得ることができるものである。粘結剤層は常温(30℃)で固形のものとして形成されるものであり、耐火骨材に被覆する粘結剤層の量は、用途などに応じて異なるが、耐火骨材100質量部に対して、粘結剤層が0.5〜5.0質量部の範囲になるように設定するのが好ましい。
また粘結剤層には、上記のフェノール樹脂粘結剤組成物の他に、必要に応じて、フェノール樹脂用の硬化剤や滑剤などを含有させることができる。
フェノール樹脂用の硬化剤としては、フェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂の場合、ヘキサメチレンテトラミンを用いるのが一般的である。ヘキサメチレンテトラミンの含有量は、特に限定されるものではないが、ノボラック型フェノール樹脂100質量部に対して5〜25質量部の範囲が好ましい。
滑剤は粘結剤コーテッド耐火物の流動性を良くするために、粘結剤層に含有させるものである。滑剤としては、パラフィンワックスやカルナバワックス等の脂肪族炭化水素系滑剤、高級脂肪族系アルコール、エチレンビスステアリン酸アマイドやステアリン酸アマイド等の脂肪族アマイド系滑剤、金属石けん系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、複合滑剤などを用いることができるが、なかでも金属石けん系滑剤が好ましい。金属石けん系滑剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどや、これらを複数種組み合わせたものを用いることができる。滑剤の含有量は特に限定されるものではないが、耐火骨材100質量部に対して固形分で0.02〜0.15質量部の範囲が好ましい。
耐火骨材の表面に粘結剤層を被覆する方法としては、ホットコート法、コールドコート法、セミホットコート法、粉末溶剤法などがある。
ホットコート法は、フェノール樹脂粘結剤組成物のフェノール樹脂が溶融する温度、例えば130〜180℃に加熱した耐火骨材に、固形のフェノール樹脂粘結剤組成物等を添加して混合し、耐火骨材による加熱で固形のフェノール樹脂粘結剤組成物等を溶融させることによって、溶融したフェノール樹脂粘結剤組成物等で耐火骨材の表面を濡らして被覆させ、この後、この混合を保持したまま冷却することによって、粒状でさらさらした粘結剤コーテッド耐火物を得る方法である。あるいは、同様に130〜180℃に加熱した耐火骨材に、水などの溶剤に溶解又は分散させたフェノール樹脂粘結剤組成物等を混合して被覆し、溶剤を揮散させることによって、粘結剤コーテッド耐火物を得る方法である。
コールドコート法は、フェノール樹脂粘結剤組成物等を水やメタノールなどの溶剤に分散乃至溶解して液状になし、これを耐火骨材の粒子に添加して混合し、溶剤を揮発させることによって、粘結剤コーテッド耐火物を得る方法である。
セミホットコート法は、上記の溶剤に分散乃至溶解したフェノール樹脂粘結剤組成物等を、50〜90℃に加熱した耐火骨材の粒子に添加して混合し、溶剤を揮発させることによって、粘結剤コーテッド耐火物を得る方法である。
粉末溶剤法は、固形のフェノール樹脂粘結剤組成物等を粉砕し、この粉砕物を耐火骨材の粒子に添加してさらに水やメタノールなどの溶剤を添加し、これを混合して溶剤を揮発させることによって、粘結剤コーテッド耐火物を得る方法である。
以上のいずれの方法においても、耐火骨材の表面を常温(30℃)で固形の粘結剤層で被覆して、粒状でさらさらした粘結剤コーテッド耐火物を得ることができるが、作業性などの点においてホットコート法が好ましい。また上記のように耐火骨材に粘結剤を混合する際に、必要に応じて、耐火骨材とフェノール樹脂粘結剤とを親和させるためのシランカップリング剤など各種のカップリング剤や、また黒鉛等の炭素質材料などを配合することもできる。
ここで、上記のように調製した、多価フェノールが1〜60質量%含有されたフェノール樹脂からなるフェノール樹脂粘結剤組成物を、耐火骨材に配合して混合・混練することによって、粘結剤コーテッド耐火物を調製する他に、多価フェノールが含有されないフェノール樹脂と、多価フェノールとをそれぞれ耐火骨材に配合して、上記の各方法で混合・混練するようにしてもよい。この方法であっても、耐火骨材の表面に、多価フェノールが1〜60質量%含有されたフェノール樹脂からなるフェノール樹脂粘結剤組成物を含有する粘結剤層を形成して、粘結剤コーテッド耐火物を得ることができるものである。
多価フェノールが含有されないフェノール樹脂と、多価フェノールとは、耐火骨材に、まず多価フェノールが含有されないフェノール樹脂を配合して混合・混練し、この多価フェノールが含有されないフェノール樹脂の層を耐火骨材の表面に被覆した後、これに多価フェノールを配合して混合・混練することによって、耐火骨材の表面に、多価フェノールが1〜60質量%含有されたフェノール樹脂からなるフェノール樹脂粘結剤組成物を含有する粘結剤層を形成して、粘結剤コーテッド耐火物を得ることができる。
また、多価フェノールが含有されたフェノール樹脂を耐火骨材に配合して混合・混練し、この多価フェノールが含有されたフェノール樹脂の層を耐火骨材の表面に被覆した後、これに多価フェノールをさらに配合して混合・混練することによって、多価フェノールが合計量で1〜60質量%含有されたフェノール樹脂からなるフェノール樹脂粘結剤組成物を含有する粘結剤層を形成することができ、このようにして粘結剤コーテッド耐火物を得るようにしてもよい。
このように本発明に係るフェノール樹脂粘結剤組成物は、耐火骨材の表面に粘結剤層を形成した状態で、粘結剤層に含有されるフェノール樹脂粘結剤組成物が、多価フェノールが1〜60質量%含有されたフェノール樹脂からなるものであればよいものである。
ここで、上記したように、粘結剤コーテッド耐火物を調製する方法としてはホットコート法が最も好ましいものであり、特に自動車鋳物の鋳型に用いる粘結剤コーテッド耐火物においては、生産効率が高く品質の安定しているホットコート法が主流となっている。ホットコート法では上記のように、フェノール樹脂が溶融する130〜180℃に加熱した耐火骨材にフェノール樹脂粘結剤組成物を添加して混合することが行なわれる。そして二価フェノールや三価フェノールの多価フェノールはアルデヒド類との反応性が、一価フェノールよりも格段に高く、130℃以上の温度条件下では反応速度が著しく速くなる。
このため、フェノール樹脂粘結剤組成物のフェノール樹脂中に二価フェノールや三価フェノールの多価フェノールが含まれていると、130〜180℃に加熱した耐火骨材にフェノール樹脂粘結剤組成物を添加して混合する際に、これらの多価フェノールとアルデヒド類、例えばヘキサメチレンテトラミンやレゾール型フェノール樹脂との反応が進行して、耐火骨材の表面に形成される粘着剤層のフェノール樹脂が高分子化するおそれがある。このような高分子化したフェノール樹脂からなる粘着剤層を被覆した粘結剤コーテッド耐火物を用いると、粘結剤コーテッド耐火物を加熱して粘結剤層のフェノール樹脂を硬化させることによって、耐火骨材を粘結剤層の硬化したフェノール樹脂で結合させて鋳型を造型するにあたって、高分子化しているフェノール樹脂は硬化しても架橋密度が小さくなる。そして架橋密度が小さいフェノール樹脂で耐火骨材を結合して形成される鋳型は強度が低下するという問題が発生するおそれがある。
そこでこのような場合には、まず、130〜180℃に加熱した耐火骨材に多価フェノールが含有されないフェノール樹脂を配合して、混合・混練し、次にこの耐火骨材を冷却して温度を下げた後、これに二価フェノールや三価フェノールの多価フェノールを添加して混合・混練することによって、耐火骨材の表面に、多価フェノールが1〜60質量%含有されたフェノール樹脂からなるフェノール樹脂粘結剤組成物を含有する粘結剤層を形成するようにするのが望ましい。耐火骨材を冷却する温度は、多価フェノールがアルデヒド類と反応しない温度以下であればよく、具体的には130℃未満であり、好ましくは120℃以下である。温度の下限は特に限定されるものではなく、強いて言えば雰囲気温度である。
多価フェノールは上記のように耐火骨材の温度を下げてから配合されるので、固形の多価フェノールを耐火骨材に溶融混合させることはできない。このため、固形の多価フェノールを水に分散乃至溶解した液状にして、耐火骨材に添加して混合するのが望ましい。
このように、耐火骨材の温度を多価フェノールとアルデヒド類とが反応しない温度以下に低下させた状態で、多価フェノールを配合して混合することによって、多価フェノールの反応によってフェノール樹脂が高分子化するようなことがない状態で、多価フェノールが1〜60質量%含有されたフェノール樹脂からなるフェノール樹脂粘結剤組成物を含有する粘結剤層を形成して、粘結剤コーテッド耐火物を調製することができるものである。
耐火骨材を冷却して温度を下げる方法は、特に限定されるものではなく、例えば、混合混練しながら自然冷却されるようにして、冷却を行なうようにしてもよい。また、水を投入して、耐火骨材を強制的に冷却するようにしてもよい。このように水で強制冷却することによって、短時間で耐火骨材の温度を多価フェノールが反応しない温度以下に低下させることができるものである。水の温度は特に限定されるものではなく、多価フェノールが反応しない温度以下であればよいが、多価フェノールが反応しにくい温度よりも10℃以上低い温度であることが好ましく、具体的には20℃以下の水温であることが望ましい。
上記の実施の形態では、130〜180℃に加熱した耐火骨材に多価フェノールが含有されないフェノール樹脂を配合して混合・混練し、耐火骨材の温度を下げた後、多価フェノールを添加して混合・混練するようにしたが、130〜180℃に加熱した耐火骨材に多価フェノールが含有されたフェノール樹脂を配合して、混合・混練し、耐火骨材の温度を下げた後、さらに多価フェノールを添加して混合することによって、多価フェノールが合計量で1〜60質量%含有されたフェノール樹脂からなるフェノール樹脂粘結剤組成物を含有する粘結剤層を形成するようにしてもよい。
この場合、130〜180℃に加熱した耐火骨材に多価フェノールが含有されたフェノール樹脂を配合するようにしているが、フェノール樹脂中に含有される多価フェノールの量を、耐火骨材の温度を下げた後に配合される多価フェノールの量だけ少なくすることができるので、多価フェノールの反応でフェノール樹脂が高分子化することを低く抑えることができるものである。フェノール樹脂中に含有される多価フェノールと、耐火骨材の温度を下げた後に配合される多価フェノールの比率は、特に限定されるものではないが、質量比率で、95:5〜5:95の範囲が好ましい。
また、フェノール樹脂粘結剤組成物がノボラック型フェノール樹脂である場合、フェノール樹脂粘結剤組成物にヘキサメチレンテトラミンなどの硬化剤を含有させる必要がある。そしてこの場合も、ヘキサメチレンテトラミンを含有するフェノール樹脂粘結剤組成物を130〜180℃に加熱した耐火骨材に配合して混合・混練すると、フェノール樹脂の重合反応がヘキサメチレンテトラミンによって促進され、上記と同様に高分子化したフェノール樹脂からなる粘着剤層が形成されることになる。
そこでこの場合も、上記と同様に、130〜180℃に加熱した耐火骨材にヘキサメチレンテトラミンが含有されないフェノール樹脂を配合して混合・混練し、次にこの耐火骨材を冷却して温度を下げた後、これにヘキサメチレンテトラミンを添加して混合・混練することによって、耐火骨材の表面に、ヘキサメチレンテトラミンが含有されたフェノール樹脂からなるフェノール樹脂粘結剤組成物を含有する粘結剤層を形成するようにするのが望ましい。耐火骨材を冷却する温度は、ヘキサメチレンテトラミンがフェノール樹脂と反応しない温度以下であればよく、具体的には130℃未満であり、好ましくは120℃以下である。温度の下限は特に限定されるものではなく、強いて言えば雰囲気温度である。
上記のように耐火骨材の温度を下げた後に多価フェノールを添加する場合には、この多価フェノールの添加と同時にヘキサメチレンテトラミンの添加を行なうことができるものであり、ことき、水に多価フェノールとヘキサメチレンテトラミンを分散乃至溶解した状態で、温度を下げた耐火骨材に添加するようにするのが好ましい。
上記のようにして得られる本発明の粘結剤コーテッド耐火物は、鋳型や、耐火レンガ、さらに壁材、セラミックスなどの材料に用いることができるが、特に鋳型の用途に最適である。
粘結剤コーテッド耐火物を用いて鋳型を製造するにあたっては、例えば、加熱した型のキャビティ内に粘結剤コーテッド耐火物を供給し、型の熱によって粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層のフェノール樹脂を溶融・硬化させることによって、硬化した粘結剤層で耐火骨材を結合して、鋳型を製造することができる。
本発明の粘結剤コーテッド耐火物にあって、粘結剤層は、フェノール樹脂中に多価フェノールが1〜60質量%含有されたフェノール樹脂粘結剤組成物からなるものである。そして二価フェノールや三価フェノールの多価フェノールは反応性が高く、フェノール樹脂のゲル化時間が短くなって硬化速度が著しく速いので、粘結剤層のフェノール樹脂の硬化時間を短縮して、極めて短時間で鋳型を製造することができるものである。
ここで、上記のように加熱した型に粘結剤コーテッド耐火物を供給して、型の熱によって粘結剤層のフェノール樹脂を加熱して硬化させる場合、生産性を向上させるために型の温度をより高くする必要があるという問題があり、またこのように高温で粘結剤コーテッド耐火物を加熱すると、粘結剤層のフェノール樹脂が硬化する際にその急激な反応に伴ってアンモニアやホルムアルデヒデ、フェノールなどのガスが発生し、作業環境の悪化を招くおそれがある。
一方、このような問題を解決しつつ、鋳型をより短時間で造型することができる方法が、本出願人によって提案されている。すなわち、型内に粘結剤コーテッド耐火物を充填し、次にこの型内に水蒸気を吹き込んで、水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物を加熱することによって、粘結剤層のフェノール樹脂粘結剤組成物のフェノール樹脂を溶融・硬化させることによって、鋳型を製造する方法である。
このような、水蒸気を用いた鋳型の製造の一例を、図1を参照して説明する。図1(a)に示すように、内部にキャビティ3を設けて形成した型1の上面に注入口4が設けてあり、型1の下面には金網等の網5で塞いだ排出口6が設けてある。この型は縦割りあるいは横割に割ることができるようになっている。また粘結剤コーテッド耐火物2はホッパー7内に貯蔵してあり、ホッパー7にはコック8付きの空気供給管9が接続してある。そしてホッパー7の下端のノズル口7aを型1の注入口4に合致させた後、コック8を閉から開に切り代えることによって、ホッパー7内に空気を吹き込んで加圧し、ホッパー7内の粘結剤コーテッド耐火物2を型1内に吹き込んで、型1のキャビティ3内に粘結剤コーテッド耐火物2を充填する。排出口6は網5で塞いであるので、粘結剤コーテッド耐火物2が排出口6から洩れ出すことはない。注入口4や排出口6を図1の実施の形態のように型1に複数設ける場合、複数の注入口4のうち一箇所あるいは複数箇所から粘結剤コーテッド耐火物2を入れるようにすればよい。
ここで、耐火骨材に被覆された粘結剤コーテッド耐火物2の被覆層は固形のフェノール樹脂粘結剤からなるものであるので、粘結剤コーテッド耐火物2は表面に粘着性を有することがなく、流動性が良好である。従って上記のように型1に粘結剤コーテッド耐火物2を充填するにあたって、型1のキャビティ3内へスムーズに粘結剤コーテッド耐火物2を流し込むことができ、充填性良く型1内に粘結剤コーテッド耐火物2を充填することができるものであり、充填不良が発生することを防ぐことができるものである。
上記のように型1内に粘結剤コーテッド耐火物2を充填した後、型1の注入口4からホッパー7を外すと共に、図1(b)のように各注入口4に給気パイプ10を接続する。給気パイプ10には水蒸気と、加熱気体とを選択的に供給することができるようにしてあり、給気パイプ10のコック11を開いて、まず水蒸気を型1のキャビティ3内に吹き込む。
ここで、水蒸気としては飽和水蒸気をそのまま用いることができるが、本発明では過熱水蒸気を用いるのが好ましい。過熱水蒸気は、飽和水蒸気をさらに加熱して、沸点以上の温度とした完全気体状態の水蒸気であり、100℃以上の乾き蒸気である。飽和水蒸気を加熱して得られる過熱水蒸気は、圧力を上げないで定圧膨張させたものであってもよく、あるいは膨張させないで圧力を上げた加圧水蒸気であってもよい。型1内に吹き込む過熱水蒸気の温度は特に限定されるものではなく、過熱水蒸気は900℃程度にまで温度を高めることができるので、100〜900℃の間で必要に応じた温度に設定すればよい。
そしてこのように型1内に水蒸気を吹き込むと、粘結剤コーテッド耐火物2の表面に水蒸気が接触することによって、水蒸気は潜熱が粘結剤コーテッド耐火物2に奪われて凝縮するが、水蒸気は高い潜熱を有するので、水蒸気が凝縮する際に伝熱されるこの潜熱で粘結剤コーテッド耐火物2の温度は100℃付近にまで急速に上昇する。このように水蒸気の潜熱の伝熱によって粘結剤コーテッド耐火物2が100℃付近にまで加熱される時間は、水蒸気の温度や型1内への吹き込み流量、型1内の粘結剤コーテッド耐火物2の充填量などで変動するが、通常、3〜30秒程度の短時間である。型1内に注入口4から吹き込まれた水蒸気は、型1内の粘結剤コーテッド耐火物2を加熱した後、排出口6から排気される。
次に、粘結剤コーテッド耐火物2の温度が100℃付近にまで上昇した後、給気パイプ10への供給を加熱気体に切り換え、加熱気体を型1内に吹き込むようにしてもよい。加熱気体は水分含有率が上記の水蒸気より低いものであればよく、加熱した空気を用いることができる。例えば、大気中の空気を加熱して給気パイプ10に加熱気体として供給すればよい。また上記の水蒸気に加熱空気を混合して含有水分量を低くすることによって、この混合気体を加熱気体として用いることもできる。この加熱気体の温度は特に限定されるものではなく、100℃以上であり、且つ粘結剤コーテッド耐火物2のフェノール樹脂粘結剤が硬化する温度以上のものであればよい。温度の上限は、フェノール樹脂粘結剤を分解させる温度以下であればよく、特定の温度に限定されない。
上記のように型1内に水蒸気を吹き込むと、水蒸気が凝縮する際に伝熱される潜熱で粘結剤コーテッド耐火物2の温度を100℃付近にまで急速に上昇させることができるが、さらに100℃以上の温度に上昇させるには、凝縮水を蒸発させる必要がある。そしてこの凝縮水はその後に吹き込まれる水蒸気による加熱で蒸発されるが、既述のように、水蒸気は水分を多く含むので、凝縮水を蒸発させる効率が低い。そこで上記のように加熱気体を型1内に吹き込むようにしたものであり、加熱気体は水蒸気よりも含有される水分量が少なく、湿度の低い乾燥気体であるので、型1内で生成された凝縮水を短時間で蒸発させて乾燥することができるものである。ここで、過熱水蒸気及び加熱空気の気流で水の蒸発実験を行なった場合、温度が170℃付近以下では、過熱水蒸気中への水の蒸発速度より、加熱空気中への水の蒸発が大きくなることが報告されている(T.Yosida,Hyodo,T.,Ind.Eng.Chem.Process Des.Dev.,9(2),207-214(1970))。この報告にもみられるように、加熱気体を型1内に吹き込むことによって、水蒸気を吹き込み続ける場合よりも、短時間で凝縮水を蒸発させて乾燥することができるものである。
従って、加熱気体を型1内に吹き込み始めてから短時間で、100℃以上に粘結剤コーテッド耐火物2の温度を上昇させることができるものであり、粘結剤コーテッド耐火物2の粘結剤層のフェノール樹脂粘結剤が硬化する温度以上にまで型1内の温度を上昇させる速度を速めることができるものである。そして粘結剤コーテッド耐火物にあって、粘結剤層を形成するフェノール樹脂粘結剤組成物の多価フェノールを含有するフェノール樹脂は上記のように硬化速度が速いので、型1内の粘結剤コーテッド耐火物2の温度を上昇させる速度が速いことと相俟って、極めて短時間で鋳型を製造することが可能になるものである。
また、既述のように水蒸気で凝縮水を加熱して蒸発させる場合、この水蒸気は凝縮によって体積が小さくなり、圧力が低下して型1内に凝縮水が滞留したり、乾燥や温度上昇が遅くなったりするが、加熱気体は凝縮による体積収縮がなく、圧力低下が殆どないので、注入口4から排出口6に至るまで加熱気体が型1内に行き渡り、型1内の全体で均一に加熱気体の温度を作用させて、乾燥や温度上昇が速やかに行なわれるものである。
加熱気体を型1内に吹き込む時間は、加熱気体の温度や型1内への吹き込み流量、型1内の粘結剤コーテッド耐火物2の充填量、型1内の凝縮水の量などで変動するが、通常、5〜30秒程度の短時間である。従って、水蒸気を型1内に吹き込み始めてから、10秒〜1分程度の短時間で、鋳型を製造することが可能である。
上記のように、型1に水蒸気を供給して粘結剤コーテッド耐火物2の加熱を行なうことによって、水蒸気の高い凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物2を瞬時に加熱して、粘結剤層のフェノール樹脂を硬化させることができ、型1を予め高温に加熱しておくような必要なく、安定して短時間で鋳型を製造することができるものであり、鋳型の生産性を向上することができるものである。また加熱の際に仮に有毒ガスが発生しても水蒸気の凝縮水に吸収させることができ、環境が汚染されることを低減することができるものである。
また、図1(a)から(b)へのように、型1のキャビティ3に粘結剤コーテッド耐火物2を充填するにあたって、粘結剤コーテッド耐火物2を予め加熱しておき、この予備加熱した粘結剤コーテッド耐火物2を型1に供給してキャビティ3に充填するようにしてもよい。このように粘結剤コーテッド耐火物2を予備加熱しておくことによって、型1内に吹き込む水蒸気の温度低下を抑制することができ、粘結剤層のフェノール樹脂粘結剤が硬化する温度以上にまで型1内の温度を上昇させる速度を速めることができるものであって、鋳型の造型時間を短縮する効果を高く得ることができるものである。
粘結剤コーテッド耐火物2の予備加熱は、例えば、粘結剤コーテッド耐火物2を貯蔵するホッパー7内で行なうことができる。粘結剤コーテッド耐火物2を予備加熱する温度は、特に限定されるものではないが、30〜100℃程度の範囲が好ましい。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(フェノール樹脂Aの調製)
反応容器に一価のフェノールを799質量部、二価のレゾルシンを141質量部、37質量%濃度のホルマリンを665質量部、シュウ酸を1.88質量部仕込み、約90分を要して還流させ、そのまま180分間反応させた。この後、180℃まで昇温させて水と未反応のフェノールを留去することによって、軟化点が98℃の固形のレゾルシン含有ノボラック型フェノール樹脂Aを得た。このフェノール樹脂A中のレゾルシンの含有量は15.2質量%であった。
(フェノール樹脂Bの調製)
反応容器に一価のフェノールを799質量部、37質量%濃度のホルマリンを665質量部、シュウ酸を1.88質量部仕込み、約90分を要して還流させ、そのまま90分間反応させた。次に、水200質量部に二価のレゾルシン141質量部を分散乃至溶解したレゾルシン含有水を、発熱に注意しながら約30分を要して加え、還流させながら60分間反応させた。この後、180℃まで昇温させて水と未反応のフェノールを留去することによって、軟化点が95℃の固形のレゾルシン含有ノボラック型フェノール樹脂Bを得た。このフェノール樹脂B中のレゾルシンの含有量は15.4質量%であった。
(フェノール樹脂Cの調製)
反応容器に一価のフェノールを799質量部、37質量%濃度のホルマリンを565質量部、シュウ酸を2.82質量部仕込み、約60分を要して還流させ、そのまま180分間反応させた。この後、180℃まで昇温させて水と未反応のフェノールを留去した。次に、二価のレゾルシン141質量部を加えて良く混合し、レゾルシンをフェノール樹脂に溶融混合することによって、軟化点が78℃の固形のレゾルシン含有ノボラック型フェノール樹脂Cを得た。このフェノール樹脂C中のレゾルシンの含有量は15.8質量%であった。
(フェノール樹脂Dの調製)
反応容器に一価のフェノールを940質量部、37質量%濃度のホルマリンを665質量部、シュウ酸を5.6質量部仕込み、約60分を要して還流させ、そのまま180分間反応させた。この後、180℃まで昇温させて水と未反応のフェノールを留去し、軟化点が92℃の固形のノボラック型フェノール樹脂Dを得た。このフェノール樹脂Dには二価フェノールのレゾルシンは含有されていない。
上記のように調製したフェノール樹脂A〜Dについて、ゲル化時間を、JACT試験法 RS−5「ゲル化時間試験法」に準拠して測定した。このJACT試験法 RS−5はJIS K 6910(1995)「シェルモールド用粉状フェノール樹脂試験方法」に準拠するものであり、鋼板上にへらを置き、鋼板とへらを150±1℃まで加熱した後、試料約0.5gをその鋼板上に載せると同時にストップウォッチを押し、へらをもって試料を径約3cmの円状にかき広げ、約1秒1回の割り合いで、広がることのないように均一に押し付けながら練り合わせて、試料とへらの間に糸を引かなくなるまでの時間を量り、この操作を3回以上行ない、その平均時間を秒単位で表し、試料のゲル化時間とするものである。そして測定温度を、JACT試験法 RS−5に規定される150℃に設定して行なう他に、130℃でも行なった。このとき、フェノール樹脂A〜Dの粉末100質量部に対して、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを15質量部を加え、良く混合したものを試料として用いて試験を行なった。結果を表1に示す
Figure 0005727241
表1にみられるように、二価フェノールのレゾルシンを含有するフェノール樹脂A〜Cは、いずれも130℃でのゲル化時間が100秒以下であり、レゾルシンを含有しないフェノール樹脂Dの1/2〜1/4程度にゲル化時間を短縮することができるものであった。
(実施例1〜3)
フラッタリー硅砂30kgを140℃に加熱してワールミキサーに仕込み、これにレゾルシン含有ノボラック型フェノール樹脂A〜Cを600g加え、30秒間混合した後、さらに、ヘキサメチレンテトラミン90gを600gの水に溶解した水溶液を添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混合した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
参考例1
フラッタリー硅砂30kgを140℃に加熱してワールミキサーに仕込み、これにノボラック型フェノール樹脂Dを510g加え、30秒間混合した後、さらに、レゾルシン90gとヘキサメチレンテトラミン90gを600gの水に溶解した水溶液を添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混合した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
(比較例1)
フラッタリー硅砂30kgを140℃に加熱してワールミキサーに仕込み、これにノボラック型フェノール樹脂Dを600g加え、30秒間混合した後、さらに、ヘキサメチレンテトラミン90gを600gの水に溶解した水溶液を添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混合した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
上記のように調製した実施例1〜3、参考例1及び比較例1の粘結剤コーテッド耐火物について、粘結剤層の融着点を、JACT試験法 C−1「融着点試験法」に準拠して測定した。また、JIS K 6910の曲げ強さ試験法に準拠して、実施例1〜3、参考例1及び比較例1の粘結剤コーテッド耐火物を用いて試験片を成形し、曲げ強さを測定した。
さらに、実施例1〜3、参考例1及び比較例1の粘結剤コーテッド耐火物を用いて試験片を成形し、熱間曲げ強度を測定した。すなわち、成形寸法が25×25×200mmの金型を予め250℃に加熱し、この金型内に粘結剤コーテッド耐火物をゲージ圧力0.1MPaで長手方向の一端から吹き込み、45秒後に脱型した。そしてこのようにして作製した試験片について、脱型5秒後に、曲げ強さ(熱間曲げ強さ)を測定した。そして上記の曲げ強さと熱間曲げ強さから、次の式によって剛直率を求めた。
剛直率(%)=(熱間曲げ強さ/曲げ強さ)×100
上記の各結果を、表2に示す。
Figure 0005727241
表2にみられるように、実施例1から実施例へとこの順に融着点が高くなると共に曲げ強さが小さくなっている。このことは経験則として知られていることであるが、フェノール樹脂粘結剤の高分子化がこの順に進んで分子量が大きくなっていることを意味する。これは、実施例1〜ではいずれも、140℃の高温のフラッタリー硅砂にフェノール樹脂A〜Dを加えた直後に、フラッタリー硅砂がまだ高温のときにキサメチレンテトラミンやレゾルシンを添加しているため、実施例1から実施例への順にフェノール樹脂粘結剤の高分子化が進んだことによると、考えられる。
一方、曲げ強さと熱間曲げ強さの関係から得られる剛直性は、各実施例のものはそれぞれ、比較例のものよりも高いものであった。各実施例のものがこのように剛直性が高いということは、硬化速度が速いことを示すと共に、熱の伝わりが遅く、温度の低い中側まで硬化が進んでいることを示すものである。
(実施例5〜7)
フラッタリー硅砂30kgを140℃に加熱してワールミキサーに仕込み、これにレゾルシン含有ノボラック型フェノール樹脂A〜Cを600g加え、フラッタリー硅砂が自然放冷により110℃の温度に低下するまで混練を続けた。次にヘキサメチレンテトラミン90gを600gの水に溶解した水溶液を添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混合した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
(実施例8)
フラッタリー硅砂30kgを140℃に加熱してワールミキサーに仕込み、これにノボラック型フェノール樹脂Dを510g加え、フラッタリー硅砂が自然放冷により110℃の温度に低下するまで混練を続けた。次にレゾルシン90gとヘキサメチレンテトラミン90gを600gの水に溶解した水溶液を添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混合した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
(比較例2)
フラッタリー硅砂30kgを140℃に加熱してワールミキサーに仕込み、これにノボラック型フェノール樹脂Dを600g加え、フラッタリー硅砂が自然放冷により110℃の温度に低下するまで混練を続けた。次にヘキサメチレンテトラミン90gを600gの水に溶解した水溶液を添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混合した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
実施例5〜8及び比較例2の粘結剤コーテッド耐火物について、融着点、曲げ強さ、
熱間曲げ強さを上記と同様にして測定し、また剛直率を求めた。これらの各結果を、表3に示す。
Figure 0005727241
表3にみられるように、実施例5から実施例8へとこの順に融着点が低くなると共に曲げ強さが大きくなっており、この順にフェノール樹脂粘結剤の高分子化が抑制されて分子量が小さくなっていることが確認される。一方、曲げ強さと熱間曲げ強さの関係から得られる剛直性は、各実施例のものは比較例のものよりも高いものであった。
(実施例9〜11)
フラッタリー硅砂30kgを140℃に加熱してワールミキサーに仕込み、これにレゾルシン含有ノボラック型フェノール樹脂A〜Cを600g加え、30秒間混合した後、23℃の水を150g加えて混合することによって、フラッタリー硅砂を冷却した。そして冷却により110℃に温度が低下したフラッタリー硅砂に、ヘキサメチレンテトラミン90gを450gの水に溶解した水溶液を添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混合した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
(実施例12)
フラッタリー硅砂30kgを140℃に加熱してワールミキサーに仕込み、これにノボラック型フェノール樹脂Dを510g加え、30秒間混合した後、23℃の水を150g加えて混合することによって、フラッタリー硅砂を冷却した。そして冷却により110℃に温度が低下したフラッタリー硅砂に、レゾルシン90gとヘキサメチレンテトラミン90gを450gの水に溶解した水溶液を添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混合した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
(比較例3)
フラッタリー硅砂30kgを140℃に加熱してワールミキサーに仕込み、これにノボラック型フェノール樹脂Dを600g加え、30秒間混合した後、23℃の水を150g加えて混合することによって、フラッタリー硅砂を冷却した。そして冷却により110℃に温度が低下したフラッタリー硅砂に、ヘキサメチレンテトラミン90gを450gの水に溶解した水溶液を添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混合した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
実施例9〜12及び比較例3の粘結剤コーテッド耐火物について、融着点、曲げ強さ、熱間曲げ強さを上記と同様にして測定し、また剛直率を求めた。これらの各結果を、表4に示す。
Figure 0005727241
表4にみられるように、実施例9から実施例12へとこの順に融着点が低くなると共に曲げ強さが大きくなっており、この順にフェノール樹脂粘結剤の高分子化が抑制されて分子量が小さくなっていることが確認される。一方、曲げ強さと熱間曲げ強さの関係から得られる剛直性は、各実施例のものは比較例のものよりも高いものであった。
また、表2の実施例1〜3及び参考例1、表3の実施例5〜8、表4の実施例9〜12を比較することによって、140℃のフラッタリー硅砂にノボラック型フェノール樹脂A〜Dを加え、フラッタリー硅砂が高温状態のまま、さらにヘキサメチレンテトラミンやレゾルシンを加えるようにした実施例1〜3及び参考例1のものよりも、140℃のフラッタリー硅砂にノボラック型フェノール樹脂A〜Dを加え、フラッタリー硅砂の温度を低下させた後にヘキサメチレンテトラミンやレゾルシンを加えるようにした実施例5〜8や実施例9〜12のほうが、曲げ強さや剛直率が高いことが確認される。
(実施例13〜16、比較例4)
成形寸法が縦150mm、横100mm、厚さ20mmの金型を予め250℃に加熱し、この金型内に実施例9〜12と比較例3の粘結剤コーテッド耐火物をゲージ圧力0.1MPaの空気圧で吹き込んで試験用の鋳型を製造した。そして粘結剤コーテッド耐火物を吹き込んでから、10秒後、20秒後、30秒後、40秒後、50秒後、60秒後に型を開いて脱型を行ない、鋳型が取り出せるかどうかの試験を行なった。結果を表5に示す。尚、表5において「○」は鋳型が変形するようなことなく容易に取り出すことができる、「△」は取り出すことはできるが鋳型が変形した、「×」は鋳型がばらばらになって取り出せない、を示す。
Figure 0005727241
表5にみられるように、比較例のものは型から鋳型を取り出すまでに50秒以上を要するのに対して、各実施例では20〜30秒で型から鋳型を取り出すことができるものであり、造型時間を短縮することできるものであった。
(実施例17〜19)
レゾルシン含有ノボラック型フェノール樹脂Bと、レゾール型フェノール樹脂(リグナイト(株)製「LT−9」:軟化点91℃)を表6に示す配合量で混合して、ノボラック・レゾール混合タイプのフェノール樹脂粘結剤組成物を調製した。
(比較例5〜7)
ノボラック型フェノール樹脂Dと、レゾール型フェノール樹脂(リグナイト(株)製「LT−9」)を表6に示す配合量で混合して、ノボラック・レゾール混合タイプのフェノール樹脂粘結剤組成物を調製した。
これらのノボラック・レゾール混合タイプのフェノール樹脂粘結剤組成物について、上記と同様にして、150℃と130℃でのゲル化時間を測定した。また比較のために、レゾール型フェノール樹脂(リグナイト(株)製「LT−9」)単独についても同様にゲル化時間を測定した(比較例8とする)。結果を表6に示す。
Figure 0005727241
ノボラック型フェノール樹脂はゲル化速度が速く、レゾール型フェノール樹脂はゲル化速度が遅いという特性を有するが、この両者を混合しても、レゾルシンを含有する各実施例のものはゲル化時間が短いものであり、硬化速度を速めることができるものであった。
(実施例20)
130℃に加熱したフラッタリー硅砂30kgをワールミキサーに入れ、これにレゾルシン含有ノボラック型フェノール樹脂Bを360g加え、温度が105℃になるまで混練した。この後、レゾール型フェノール樹脂(リグナイト(株)製「LT−9」)240gを加えて30秒間混練した。次に水250gを加えて砂粒の塊が崩壊するまで混合し、崩壊した後に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
(比較例9)
130℃に加熱したフラッタリー硅砂30kgをワールミキサーに入れ、これにノボラック型フェノール樹脂Dを360g加え、温度が105℃になるまで混練した。この後、レゾール型フェノール樹脂(リグナイト(株)製「LT−9」)240gを加えて30秒間混練した。次に水250gを加えて砂粒の塊が崩壊するまで混合し、崩壊した後に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
実施例20及び比較例9の粘結剤コーテッド耐火物について、融着点、曲げ強さ、熱間曲げ強さを上記と同様にして測定し、また剛直率を求めた。結果を表7に示すように、実施例20のものは剛直性が比較例9より高いものであった。
Figure 0005727241
(実施例21、比較例10)
実施例20と比較例9の粘結剤コーテッド耐火物を用いて、上記の実施例13〜16、比較例4の場合と同様にして鋳型の取り出し試験を行なった。結果を表8に示すように、比較例10のものは型から鋳型を取り出すのに60秒を要するのに対して、実施例21では40秒で鋳型を取り出すことができ、造型時間を短縮することできるものであった。
Figure 0005727241
(実施例22〜25、比較例11)
上記の実施例9〜12及び比較例3の粘結剤コーテッド耐火物を用い、水蒸気の吹き込みで加熱する方法で鋳型を作製した。すなわち図1の装置において、キャビティの大きさが縦150mm、横100mm、厚さ20mmに形成された型を120℃に予熱して用い、そしてまず、粘結剤コーテッド耐火物を、ゲージ圧力0.1MPaの空気圧で型内に吹き込んで充填した。
この後、型に給気パイプを接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して調製される、350℃、ゲージ圧力0.45MPaの過熱水蒸気を、60kg/hの流量で供給し、型内にこの水蒸気を吹き込んだ。
そして型への水蒸気の吹き込み時間をそれぞれ5秒間、10秒間、15秒間、20秒間、25秒間に設定し、型を開いて脱型を行なうことによって、水蒸気を何秒間吹き込むことによって鋳型が取り出せるようになるかの試験を行なった。結果を表9に示す。尚、表9の「○」「△」「×」の判定基準は上記と同じである。
Figure 0005727241
表9に示すように、比較例11のものは水蒸気の吹き込み時間20秒で鋳型を脱型できるので、造型時間が20秒である。これに対して各実施例では、水蒸気の吹き込み時間が10〜15秒で鋳型を取り出すことができ、造型時間を短縮することできるものであった。また表5との比較により明らかなように、水蒸気を用いて鋳型を製造することによって、造型時間をより短縮できるものであった。
(フェノール樹脂Eの調製)
反応容器に一価のフェノールを799質量部、37質量%濃度のホルマリンを665質量部、シュウ酸を1.88質量部仕込み、約90分を要して還流させ、そのまま90分間反応させた。次に、水200質量部に三価のピロガロール141質量部を分散乃至溶解したピロガロール含有水を、発熱に注意しながら約30分を要して加え、還流させながら60分間反応させた。この後、180℃まで昇温させて水と未反応のフェノールを留去することによって、軟化点が95℃の固形のピロガロール含有ノボラック型フェノール樹脂Eを得た。このフェノール樹脂E中のピロガロールの含有量は15.4質量%であった。
(フェノール樹脂Fの調製)
反応容器に一価のフェノールを865質量部、二価のカテコールを75質量部、37質量%濃度のホルマリンを665質量部、シュウ酸を1.88質量部仕込み、約90分を要して還流させ、そのまま180分間反応させた。この後、180℃まで昇温させて水と未反応のフェノールを留去することによって、軟化点が98℃の固形のカテコール含有ノボラック型フェノール樹脂Fを得た。このフェノール樹脂F中のカテコールの含有量は8.1質量%であった。
(フェノール樹脂Gの調製)
反応容器に一価のフェノールを865質量部、二価のヒドロキノンを75質量部、37質量%濃度のホルマリンを665質量部、シュウ酸を1.88質量部仕込み、約90分を要して還流させ、そのまま180分間反応させた。この後、180℃まで昇温させて水と未反応のフェノールを留去することによって、軟化点が93℃の固形のヒドロキノン含有ノボラック型フェノール樹脂Gを得た。このフェノール樹脂G中のヒドロキノンの含有量は7.9質量%であった。
(フェノール樹脂Hの調製)
反応容器に一価のフェノールを865質量部、二価の4−ヘキシルレゾルシンを132質量部、37質量%濃度のホルマリンを665質量部、シュウ酸を1.88質量部仕込み、約90分を要して還流させ、そのまま180分間反応させた。この後、180℃まで昇温させて水と未反応のフェノールを留去することによって、軟化点が88℃の固形の4−ヘキシルレゾルシン含有ノボラック型フェノール樹脂Hを得た。このフェノール樹脂H中の4−ヘキシルレゾルシンの含有量は13.2質量%であった。
(フェノール樹脂Iの調製)
反応容器に一価のフェノールを799質量部、37質量%濃度のホルマリンを665質量部、シュウ酸を1.88質量部仕込み、約90分を要して還流させ、そのまま90分間反応させた。次に、水200質量部に三価のフロログルシン141質量部を分散乃至溶解したピロガロール含有水を、発熱に注意しながら約30分を要して加え、還流させながら60分間反応させた。この後、180℃まで昇温させて水と未反応のフェノールを留去することによって、軟化点が84℃の固形のフロログルシン含有ノボラック型フェノール樹脂Iを得た。このフェノール樹脂I中のフロログルシンの含有量は15.2質量%であった。
上記のノボラック型フェノール樹脂E〜Iについて、ゲル化時間を上記と同様にJACT試験法 RS−5に準拠して測定した。結果を表10に示す。
Figure 0005727241
表10にみられるように、ノボラック型フェノール樹脂E〜Iは、二価や三価のフェノールを含有しない既述のノボラック型フェノール樹脂D(表1参照)よりも、ゲル化時間を大幅に短縮できるものであった。
(実施例26〜30)
フラッタリー硅砂30kgを140℃に加熱してワールミキサーに仕込み、これにノボラック型フェノール樹脂E〜Iを600g加え、30秒間混合した後、23℃の水を150g加えて混合することによって、フラッタリー硅砂を冷却した。そして冷却により110℃に温度が低下したフラッタリー硅砂に、ヘキサメチレンテトラミン90gを450gの水に溶解した水溶液を添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混合した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
実施例26〜30の粘結剤コーテッド耐火物について、融着点、曲げ強さ、熱間曲げ強さを上記と同様にして測定し、また剛直率を求めた。これらの結果を表11に示す。
Figure 0005727241
表11にみられるように、各実施例の剛直率は、二価や三価のフェノール樹脂を含有しないノボラック型フェノール樹脂Dを用いた既述の比較例3(表4参照)よりも高いものであった。
また、ピロガロール含有ノボラック型フェノール樹脂Eを用いて調製した実施例26の粘結剤コーテッド耐火物について、上記と同様にして鋳型の取り出し試験を行なった。結果は、10秒後は「△」、20秒後は「○」、30秒後は「○」、40秒後は「○」、50秒後は「○」、60秒後は「○」であり、造型時間は20秒であった。ピロガロールを含有しないノボラック型フェノール樹脂Dを用いた既述の比較例4(表5参照)よりも造型時間を短縮できることが確認された。
さらに、ピロガロール含有ノボラック型フェノール樹脂Eを用いて調製した実施例26の粘結剤コーテッド耐火物について、水蒸気の吹き込みによる加熱で鋳型を製造し、何秒間の水蒸気の吹き込みで鋳型を脱型できるようになるかの試験を行なった。結果は、水蒸気の吹き込み時間が5秒間のときは「△」、10秒間のときは「○」、15秒間のときは「○」、20秒間のときは「○」、25秒間のときは「○」であり、造型時間は10秒であった。ピロガロールを含有しないノボラック型フェノール樹脂Dを用いた既述の比較例11(表9参照)よりも造型時間を短縮できることが確認された。
(フェノール樹脂Jの調製)
反応容器に一価のフェノールを680質量部、二価のレゾルシンを50質量部、水を400質量部仕込み、良く撹拌して溶解させた。ここに37質量%濃度のホルマリン220質量部を徐々に加え、その後、30℃で30分間反応させた。次に、水100質量部にヘキサメチレンテトラミン100質量部を分散乃至溶解させた水溶液を加えた。さらに37質量%濃度のホルマリンを460質量部加え、約60分を要して60℃まで昇温させ、そのまま4時間反応させた。次に反応容器の内容物をバットに払い出し、分離した水を傾斜法で除去した後、−20℃の冷凍庫に素早く入れて冷凍させた。24時間後に冷凍物を1mm以下の粒径に粗砕した後、流動床乾燥器にかけて凍結乾燥することによって、水分を1.2質量%含有する固形のレゾルシン含有レゾール型フェノール樹脂Jを得た。このレゾール型フェノール樹脂Jの軟化点は78℃であり、レゾルシンの含有量は6.3質量%であった。
(フェノール樹脂Kの調製)
上記の(フェノール樹脂Jの調製)において、二価のレゾルシンの代わりに三価のカテコールを用いるようにした他は同様にして、固形のカテコール含有レゾール型フェノール樹脂Kを得た。このレゾール型フェノール樹脂Kの軟化点は80℃であり、カテコールの含有量は6.5質量%であった。
(フェノール樹脂Lの調製)
反応容器に一価のフェノールを680質量部、37質量%濃度のホルマリンを679質量部、ヘキサメチレンテトラミンを101質量部仕込み、約60分を要して70℃まで昇温させ、そのまま5時間反応させた。次に反応容器の内容物をバットに払い出し、分離した水を傾斜法で除去した後、−20℃の冷凍庫に素早く入れて冷凍させた。24時間後に冷凍物を1mm以下の粒径に粗砕した後、流動床乾燥器にかけて凍結乾燥することによって、水分を1.1質量%含有する固形のレゾール型フェノール樹脂Lを得た。このレゾール型フェノール樹脂Lの軟化点は76℃であり、二価フェノールのレゾルシンは含有されていない。
上記のレゾール型フェノール樹脂J〜Lについて、ゲル化時間を上記と同様にJACT試験法 RS−5に準拠して測定した。結果を表12に示す。
Figure 0005727241
表12にみられるように、二価のレゾルシンを含有するレゾール型フェノール樹脂Jや三価のカテコールを含有するレゾール型フェノール樹脂Kは、二価や三価のフェノールを含有しないレゾール型フェノール樹脂Lよりも、ゲル化時間を大幅に短縮できるものであった。
(実施例31〜32、比較例12)
フラッタリー硅砂30kgを110℃に加熱してワールミキサーに仕込み、これにレゾール型フェノール樹脂J〜Lを600g加え、30秒間混合した後、水350gを添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混合した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
参考例2
フラッタリー硅砂30kgを110℃に加熱してワールミキサーに仕込み、これにレゾール型フェノール樹脂Lを540g加え、30秒間混合した。次にレゾルシン60gを水350gに溶解させた溶液を添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混合した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
実施例31〜32、参考例2、比較例12の粘結剤コーテッド耐火物について、融着点、曲げ強さ、熱間曲げ強さを上記と同様にして測定し、また剛直率を求めた。これらの結果を表13に示す。
Figure 0005727241
表13にみられるように、実施例31〜32の剛直率は、比較例12よりも高いものであった。
(実施例34〜36、比較例13)
フラッタリー硅砂30kgを110℃に加熱してワールミキサーに仕込み、これにノボラック型フェノール樹脂B,D及びレゾール型フェノール樹脂J,Lを表14の配合量で加え、30秒間混合した後、水350gを添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混合した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを加えて15秒間混練し、さらにエアレーションを行なうことによって、粘結剤コーテッド耐火物を得た。
実施例34〜36、比較例13の粘結剤コーテッド耐火物について、融着点、曲げ強さ、熱間曲げ強さを上記と同様にして測定し、また剛直率を求めた。これらの結果を表14に示す。
Figure 0005727241
表14にみられるように、実施例34〜36の剛直率は比較例13よりも高いものであった。
1 型
2 粘結剤コーテッド耐火物

Claims (17)

  1. フェノール類とアルデヒド類を反応させてフェノール樹脂を調製する際に、二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールを添加することによって、この多価フェノールが粘結剤の主成分であるフェノール樹脂に1〜60質量%含有されるフェノール樹脂粘結剤組成物を調製し、耐火骨材とこの多価フェノールが含有されるフェノール樹脂粘結剤組成物を混合することによって、フェノール樹脂粘結剤組成物を含有する固形の粘結剤層を耐火骨材の表面に被覆することを特徴とする粘結剤コーテッド耐火物の製造方法。
  2. フェノール類とアルデヒド類を反応させてフェノール樹脂を調製し、このフェノール樹脂に二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールを添加して溶融混合することによって、多価フェノールが粘結剤の主成分であるフェノール樹脂に1〜60質量%含有されるフェノール樹脂粘結剤組成物を調製し、耐火骨材とこの多価フェノールが含有されるフェノール樹脂粘結剤組成物を混合することによって、フェノール樹脂粘結剤組成物を含有する固形の粘結剤層を耐火骨材の表面に被覆することを特徴とする粘結剤コーテッド耐火物の製造方法。
  3. フェノール樹脂の溶融温度以上の温度に加熱した耐火骨材に固形のフェノール樹脂を混合して耐火骨材の表面に被覆し、次いで二価フェノール、三価フェノールから選ばれる多価フェノールが反応しない温度以下に冷却した状態で、フェノール樹脂を表面に被覆した上記耐火骨材にこの多価フェノールを添加して混合することによって、多価フェノールが粘結剤の主成分であるフェノール樹脂に1〜60質量%含有されるフェノール樹脂粘結剤組成物を含有する固形の粘結剤層を耐火骨材の表面に被覆することを特徴とする粘結剤コーテッド耐火物の製造方法。
  4. 多価フェノールが反応しない温度以下に冷却した状態で、フェノール樹脂を表面に被覆した耐火骨材に多価フェノールを添加して混合する他、フェノール樹脂用の硬化剤がフェノール樹脂と反応しない温度以下に冷却した状態で、フェノール樹脂を表面に被覆した耐火骨材にこの硬化剤を添加して混合することを特徴とする請求項に記載の粘結剤コーテッド耐火物の製造方法。
  5. フェノール樹脂を被覆した耐火骨材を冷却する温度が、130℃未満であることを特徴とする請求項3又は4に記載の粘結剤コーテッド耐火物の製造方法。
  6. 水を加えることによって、フェノール樹脂を被覆した耐火骨材を冷却することを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の粘結剤コーテッド耐火物の製造方法。
  7. 二価フェノールがカテコール、ヒドロキノン、レゾルシン、4−ヘキシルレゾルシンから選ばれるものであり、三価フェノールがピロガロール、フロログルシンから選ばれるものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の粘結剤コーテッド耐火物の製造方法。
  8. フェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の粘結剤コーテッド耐火物の製造方法。
  9. フェノール樹脂粘結剤組成物は、温度130℃で測定したときのゲル化時間が、100秒以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の粘結剤コーテッド耐火物の製造方法。
  10. 粘結剤層には、フェノール樹脂用の硬化剤が含有されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の粘結剤コーテッド耐火物の製造方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の方法で粘結剤コーテッド耐火物を製造し、このコーテッド耐火物を加熱した型内に供給し、型の熱よって粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層のフェノール樹脂を硬化させることを特徴とする鋳型の製造方法。
  12. 請求項1乃至10のいずれかに記載の方法で粘結剤コーテッド耐火物を製造し、この粘結剤コーテッド耐火物を型内に充填し、この型内に水蒸気を吹き込んで粘結剤コーテッド耐火物を加熱し、粘結剤層のフェノール樹脂を硬化させることを特徴とする鋳型の製造方法。
  13. 粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込んで、水蒸気の凝縮潜熱により粘結剤コーテッド耐火物の温度を上昇させ、次に加熱した気体を型内に吹き込んで、型内の凝縮水を蒸発させると共に粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層のフェノール樹脂が硬化する温度以上に加熱することを特徴とする請求項12に記載の鋳型の製造方法。
  14. 上記の加熱した気体が、加熱した空気であることを特徴とする請求項13に記載の鋳型の製造方法。
  15. 上記の加熱した気体が、水蒸気と空気との混合気体であることを特徴とする請求項14に記載の鋳型の製造方法。
  16. 上記の水蒸気が、過熱水蒸気であることを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載の鋳型の製造方法。
  17. 予備加熱した粘結剤コーテッド耐火物を型内に充填することを特徴とする請求項12乃至16のいずれかに記載の鋳型の製造方法。
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