JP4656474B2 - シェルモールド用レジンコーテッドサンド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シェルモールド用のレジンコーテッドサンドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シェルモールドは、硅砂など鋳型用の耐火骨材を粘結剤によって結合させて造型することによって得られるものであり、寸法精度が良好である等の優れた特性を有するために従来から多用されている。
【0003】
そしてこのシェルモールド用の粘結剤としてはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が一般に用いられており、耐火骨材と熱硬化性樹脂を混合し、耐火骨材の表面に熱硬化性樹脂を被覆したレジンコーテッドサンドを調製し、このレジンコーテッドサンドを加熱された金型などにふりかけたり充填したりして、熱硬化性樹脂粘結剤を溶融・硬化させることによって、シェルモールドを造型するようにしている。
【0004】
しかしながら、このようにして得られたシェルモールドを用いて鋳物の鋳造を行なうにあたって、シェルモールドの表面に高温度の溶融金属である溶湯が接触する際に、溶湯とシェルモールドとの界面において溶湯のいわゆる「差し込み」や「焼き付き」が生じ、鋳物の肌を荒らしたり、あるいは鋳物の表面に砂落ち不良が生じたりするおそれがあるという問題があり、また鋳物の表面の鋳肌はシェルモールドの表面がそのまま転写して形成されるので、シェルモールドの表面状態の影響を大きく受けるという問題もある。さらにシェルモールドと溶湯との界面においてシェルモールドが急激に熱膨張されてクラックが生じ易く、このクラックに溶湯が差し込まれるおそれがあるという問題もある。
【0005】
そこで、シェルモールドを溶湯の高温から保護し、同時にシェルモールドの表面を滑らかにして鋳肌を向上させるために、シェルモールドの表面に黒鉛、ジルコン、酸化アルミニウムなどを含んだ塗型剤を塗布することが、特公昭58−28015号公報、特公昭58−19376号公報、特公昭58−47251号公報、特公昭58−47252号公報などで提供されている。
【0006】
しかし、塗型剤は水に分散させたりアルコールなどの溶剤に分散させたりして使用されるものであり、分散の作業や塗布、乾燥などの煩雑な作業が必要であるという問題があり、さらにシェルモールドの型面が複雑な凹凸形状に形成されていると、均一な厚みで塗型剤を塗布することができず、このときには塗型剤の効果が半減されたり塗型剤がシェルモールドから剥がれたりして、シェルモールドを溶湯の高温から保護したり、シェルモールドの表面を滑らかにして鋳肌を向上させるという効果を安定して得ることが難しいという問題があった。
【0007】
また、シェルモールドにクラックが生じる問題を解決するために、レジンコーテッドサンドにビスフェノールA、石油系樹脂、ロジンなどクッション効果のある物質を添加する試みがなされている。しかし、これらの物質を添加したものではシェルモールドの急激な熱膨張を抑制してクラックを防止する効果はある程度あるものの、溶湯の注湯時に熱分解や揮発を起こして悪臭を発生したり、シェルモールドの崩壊性が悪くなるという問題が生じるものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、塗型剤を用いる必要なくシェルモールドを溶湯の高温から保護することができると共に鋳物の鋳肌を向上させることができ、またクッション効果のある物質の添加量を少なくしてもシェルモールドのクラックを防止することができるシェルモールド用レジンコーテッドサンドを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るシェルモールド用レジンコーテッドサンドは、耐火骨材の表面に熱硬化性樹脂と炭素質材料とを被覆して調製され、溶湯を流し込んで鋳造を行なう鋳型を造型するためのシェルモールド用レジンコーテッドサンドであって、上記の炭素質材料は固定炭素量が50〜98質量%であると共に、このレジンコーテッドサンドを用いて造型された鋳型を1000℃で240秒加熱したときのガス発生量が、鋳型1cm3当り20mL以上であることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項2の発明は、請求項1において、熱硬化性樹脂がフェノール樹脂であることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項3の発明は、請求項2において、フェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項4の発明は、請求項2において、フェノール樹脂がレゾール型フェノール樹脂であることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項5の発明は、請求項2において、フェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂との混合物であることを特徴とするものである。
【0015】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、耐火骨材に熱硬化性樹脂を配合する際に同時に炭素質材料を配合して、耐火骨材の表面に熱硬化性樹脂と炭素質材料とを被覆して成ることを特徴とするものである。
【0016】
また請求項7の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、熱硬化性樹脂と炭素質材料とを混合した状態で耐火骨材に配合して、耐火骨材の表面に熱硬化性樹脂と炭素質材料とを被覆して成ることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
本発明において耐火骨材としては、山砂、硅砂、特殊砂、回収して再生した再生砂など、シェルモールドに使用可能なものであれば、制限されることなく使用することができる。
【0019】
また本発明において粘結剤としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂、アミンポリオール樹脂、ポリエーテルポリオールなどの熱硬化性樹脂を用いるものであり、これらに必要に応じて、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン、イソシアネート、有機エステル類などを、硬化促進剤として第三級アミン、SO2、ピリジン誘導体、有機スルホン酸などを配合して、加熱硬化型の自硬化性にして使用することができる。
【0020】
これらの熱硬化性樹脂のなかでも、フェノール樹脂が固定炭素量が多いなどの理由で特に望ましい。フェノール樹脂はフェノール類とホルムアルデヒド類を反応触媒の存在下で反応させることによって調製することができる。
【0021】
ここで、フェノール類はフェノール及びフェノールの誘導体を意味するものであり、例えばフェノールの他にm−クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノールなどの3官能性のもの、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタンなどの4官能性のもの、o−クレゾール、p−クレゾール、p−ter−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4又は2,6−キシレノールなどの2官能性のo−又はp−置換のフェノール類を挙げることができ、さらに塩素又は臭素で置換されたハロゲン化フェノールなども用いることができる。勿論、これらから一種を選択して用いる他、複数種のものを混合して用いることもできる。
【0022】
またアルデヒド類としては、水溶液の形態であるホルマリンが最適であるが、パラホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンのような形態のものを用いることもでき、その他、ホルムアルデヒドの一部を2−フルアルデヒドやフルフリルアルコールに置き換えて使用することも可能である。
【0023】
上記のフェノール類とアルデヒド類の配合比率は、モル比で1:0.5〜1:3.5の範囲になるように設定するのが好ましい。また反応触媒としては、ノボラック型フェノール樹脂を調製する場合は、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、あるいはシュウ酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸などの有機酸、さらに酢酸亜鉛などを用いることができる。レゾール型フェノール樹脂を調製する場合は、アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物を用いることができ、さらにジメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジエチレントリアミン、ジシアンジアミドなどの脂肪族の第一級、第二級、第三級アミン、N,N−ジメチルベンジルアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン、アニリン、1,5−ナフタレンジアミンなどの芳香族アミン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミンなどや、その他二価金属のナフテン酸や二価金属の水酸化物を用いることもできる。
【0024】
ノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂は、それぞれ単独で使用しても、両者を任意の割合で混合して使用してもいずれでもよい。また希釈して使用する場合は、アルコール類、ケトン類、エステル類、多価アルコール類などの溶剤を用いることができる。
【0025】
さらに本発明において炭素質材料としては、メソフェースカーボン、石油ピッチコークス、石炭ピッチコークス、樹脂炭、無煙炭、プリカーサー、木炭、有機物を炭化させたものなどを挙げることができる。また炭素質材料として炭素の化合物である炭化ケイ素などを用いることもできる。これらのうち一種を単独で用いる他、二種以上を併用することもできるが、非極性の炭素質材料が好ましい。炭素質材料は均一な混合性などの面から、粒径が200μm以下の粉末として用いるのが望ましい。また炭素質材料は、JIS K 6910に準拠して測定した固定炭素量が50〜98質量%の範囲のものが用いられる。固定炭素量が98質量%を超えるものであると、後述のようにシェルモールドに溶湯を注湯する際に、炭素質材料からのガスの発生量が少ないために好ましくない。逆に固定炭素量が50質量%未満のものであると、添加量が多いときにはシェルモールドに溶湯を注湯する際にガスの発生量が多くなり過ぎて、鋳物の内部にまでガスが入り込みガス欠陥が発生するおそれがあり、好ましくない。
【0026】
そして、熱硬化性樹脂と炭素質材料を耐火骨材に配合して混合することによって、熱硬化性樹脂と炭素質材料からなる被覆層を耐火骨材の表面に被覆したレジンコーテッドサンドを得ることができるものである。耐火骨材に熱硬化性樹脂を配合する際に同時に炭素質材料を配合し、これを混合することによってレジンコーテッドサンドを調製するか、あるいは予め熱硬化性樹脂と炭素質材料を混合しておき、これを耐火骨材に配合して混合することによってレジンコーテッドサンドを調製するのが望ましい。このようにすれば、熱硬化性樹脂と炭素質材料が均一に分散された被覆層を耐火骨材の表面に被覆することができるものである。
【0027】
熱硬化性樹脂と炭素質材料を耐火骨材の表面に被覆する方法としては、ドライホットコート法、コールドコート法、セミホットコート法、粉末溶剤法などがある。
【0028】
ドライホットコート法は、固形の熱硬化性樹脂と炭素質材料粉末とを130〜180℃に加熱した耐火骨材に添加して混合し、耐火骨材による加熱によって固形の熱硬化性樹脂を溶融させて、溶融した熱硬化性樹脂に炭素質材料粉末を混合させた状態で、溶融熱硬化性樹脂で耐火骨材の表面を濡らして炭素質材料含有熱硬化性樹脂被覆層としてコートさせ、この後、この混合を保持したまま冷却することによって、粒状でさらさらしたレジンコーテッドサンドを得る方法である。
【0029】
コールドコート法は、熱硬化性樹脂をメタノールなどの溶剤に溶解して液状になし、これと炭素質材料粉末とを耐火骨材に添加して混合し、溶剤を揮発させることによって、レジンコーテッドサンドを得る方法である。
【0030】
セミホットコート法は、上記の溶剤に溶解した熱硬化性樹脂と分散混合した炭素質材料粉末とを、50〜90℃に加熱した耐火骨材に添加して混合し、溶剤を揮発させることによって、レジンコーテッドサンドを得る方法である。
【0031】
粉末溶剤法は、固形の熱硬化性樹脂を粉砕し、この粉砕樹脂と炭素質材料粉末とを耐火骨材に添加してさらにメタノールなどの溶剤を添加し、これを混合して溶剤を揮発させることによって、レジンコーテッドサンドを得る方法である。
【0032】
以上のいずれの方法においても粒状でさらさらしたレジンコーテッドサンドを得ることができるが、作業性などの点においてドライホットコート法が好ましい。また上記のように耐火骨材に熱硬化性樹脂や炭素質材料を混合する際に、必要に応じて硬化剤や、耐火骨材と熱硬化性樹脂と炭素質材料を親和させるためのシランカップリング剤など各種のカップリング剤、またワックスなどを配合することもできる。
【0033】
上記のようにして得られたレジンコーテッドサンドを、既知の方法に従って、例えば加熱された金型に振り掛けたり充填したりして、熱硬化性樹脂粘結剤を溶融・硬化させることによって、熱硬化性樹脂による砂の結合作用でシェルモールドを造型することができる。そしてこのシェルモールドに高温の溶湯を注湯することによって、鋳物を鋳造することができるものである。
【0034】
ここで、溶湯は一般に900〜1900℃程度の高温を有するので、シェルモールドに溶湯を注湯すると、シェルモールドにはこの高温が作用し、レジンコーテッドサンドの耐火骨材に被覆された熱硬化性樹脂や炭素質材料から熱分解ガスや吸着水のガスなどが発生する。そして本発明では、シェルモールドに1000℃の温度が240秒間作用した際に発生するガスのトータル量がシェルモールド1cm3当り20mL(ミリリットル)以上になるように、レジンコーテッドサンドの耐火骨材に被覆する熱硬化性樹脂や炭素質材料の量や比率などを設定するようにしてある。このような多量のガスを発生させるためには、耐火骨材に被覆する熱硬化性樹脂や炭素質材料の量や比率は、その種類に応じて一概には規定できないが、耐火骨材100質量部に対して、熱硬化性樹脂を1.5〜5.0質量部、炭素質材料を0.1〜3.0質量部の範囲に設定するのが好ましい。
【0035】
シェルモールドに溶湯を注湯する際にこのような多量のガスを発生させることによって、このガスがシェルモールドの表面と溶湯との間にエアーカーテンのようなガスバリアを形成し、シェルモールドに高温の溶湯が直接接触することを抑制することができる。従って、シェルモールドを溶湯の高温から保護することができ、溶湯とシェルモールドとの界面において溶湯のいわゆる「差し込み」や「焼き付き」が生じることを防ぐことができ、鋳物の肌が荒れたり鋳物の表面に砂落ち不良が生じたりすることを防止することができるものであり、また鋳物の表面にシェルモールドの表面がそのまま転写されることを防いで、鋳物の鋳肌を向上させることができるものである。シェルモールドに1000℃の温度が240秒間作用した際に発生するガスのトータル量がシェルモールド1cm3当り20mL未満であると、このような効果を十分に得ることができない。しかし、ガスの発生が多すぎると、鋳物の内部にまでガスが入り込むガス欠陥が発生するおそれがあるので、シェルモールドに1000℃の温度が240秒間作用した際に発生するガスのトータル量がシェルモールド1cm3当り50mLを超えないように、レジンコーテッドサンドを調製するのが好ましい。
【0036】
ここで、シェルモールドのような鋳型において、溶湯を注湯して鋳物ができるのは、溶湯が耐火骨材の表面で凝固するからではなく、耐火骨材と溶湯が濡れないからである。仮に耐火骨材に溶湯が良く濡れると、シェルモールド中に溶湯が浸入し、いわゆる「焼き付き」や「差し込み」となってしまう。本発明では上記ように溶湯を注湯する際にガスを多量に発生させてシェルモールドの表面にガスバリアを形成させることによって、耐火骨材に対する溶湯の濡れを抑制するようにしたものであるが、また一般に、砂などの耐火骨材と溶湯(溶融鉄)との濡れは酸化鉄の存在で促進されることが知られている。そこで本発明では耐火骨材の表面に炭素質材料を被覆することによって、シェルモールド中のガス雰囲気を還元性に保ち、酸化鉄の生成を防止して、溶湯との濡れの悪さを維持し、鋳物の鋳肌を向上させるようにしているのである。このようにして、塗型剤を用いるような必要なく、また用いても少ない使用量でシェルモールドを溶湯の高温から保護することができると共に鋳物の鋳肌を向上させることができるものである。
【0037】
また、レジンコーテッドサンドの耐火骨材に被覆する炭素質材料によって、シェルモールドの熱伝導性を高く得ることができ、シェルモールドに溶湯を注湯する際の熱を拡散して裏側に逃がすことができる。従って、クッション効果のある物質を用いるような必要なく、また用いても少ない使用量でシェルモールドの急激な熱膨張を抑制してクラックの発生を防止することができるものである。
【0038】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0039】
(実施例1)
反応容器にフェノール940質量部、37質量%ホルマリン665質量部、シュウ酸5.6質量部を仕込み、約60分を要して還流させ、そのまま180分間反応させた後、水と未反応のフェノールを留去することによって、軟化点が92℃の固形のノボラック型フェノール樹脂を得た。
【0040】
次に、鋳型として一度使用してから回収・再生したフラッタリー硅砂からなる再生砂30kgを140℃に加熱してワールミキサーに仕込み、これに上記のノボラック型フェノール樹脂900gと、炭素質材料として固定炭素量が75質量%の石炭系コークスの粒径100μm以下の粉末90gを加え、30秒間混練した後に、さらにヘキサメチレンテトラミン135gを300gの水に溶解して添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混練した。次いでさらにこれに、ステアリン酸カルシウム15gを添加し、30秒間混練した後にこれを払い出し、エアーレーションを行なうことによって、レジンコーテッドサンドを得た。
【0041】
(実施例2)
炭素質材料として、石炭系コークス粉の代りに、杉を800℃で炭化した固定炭素量が85質量%の粒径100μm以下の粉末を用いるようにした他は、実施例1と同様にしてレジンコーテッドサンドを得た。
【0042】
(実施例3)
実施例1で調製したノボラック型フェノール樹脂を反応容器に1000g入れ、これに炭素質材料として実施例1で用いた石炭系コークス粉100gを加え、160℃に加熱してよく混合した。得られた混合物の軟化点は97℃であった。
【0043】
そして実施例1のノボラック型フェノール樹脂と炭素質材料の代りにこの混合物990gを再生砂に加えて混練するようにした他は、実施例1と同様にしてレジンコーテッドサンドを得た。
【0044】
(実施例4)
反応容器にフェノール940質量部、37質量%ホルマリン1065質量部、ヘキサメチレンテトラミン94質量部を仕込み、約60分を要して80℃まで昇温した後、80℃で240分間反応させ、次いで直ちに13300Paの減圧下で65℃まで脱液した後、速やかに反応物を反応容器からステンレスバットに払い出した。次にこのバットを−10℃の冷蔵庫に入れて冷却し、冷凍した樹脂を粗砕機で粉砕した後、流動層型乾燥機で乾燥させることによって、軟化点が83℃の固形のレゾール型フェノール樹脂を得た。
【0045】
そして、実施例1のノボラック型フェノール樹脂の代りにこのレゾール型フェノール樹脂900gを再生砂に加えると共にヘキサメチレンテトラミンは加えないで混練するようにした他は、実施例1と同様にしてレジンコーテッドサンドを得た。
【0046】
(比較例1)
炭素質材料として、石炭系コークス粉の代りに、固定炭素量が99.5質量%の人造黒鉛の粒径100μm以下の粉末を用いるようにした他は、実施例1と同様にしてレジンコーテッドサンドを得た。
【0047】
(比較例2)
炭素質材料として、石炭系コークス粉の代りに、比較例1と同じ人造黒鉛の粉末を用いるようにした他は、実施例3と同様にしてレジンコーテッドサンドを得た。
【0048】
(比較例3)
再生砂に対するノボラック型フェノール樹脂と炭素質材料の混合物の配合量を660gに設定するようにした他は、実施例3と同様にしてレジンコーテッドサンドを得た。
【0049】
上記の実施例1乃至4及び比較例1乃至3で得たレジンコーテッドサンドについて、各種の試験を行なった。結果を表1表に示す。
【0050】
ここで、融着点はJACT試験法C−1に、常温曲げ強さはJIS K 6910の曲げ強さにそれぞれ準拠してして試験を行ない、熱膨張量はJACT試験法SM−7に準拠して不活性雰囲気中において1000℃の測定温度で試験を行なった。また通気度の測定は、JACT試験法SM−6の通気度試験法に準拠して、直径50mm、厚さ10mmの試験片を作製し、この試験片を株式会社ハツネン製の機種「TY−2」、機番「0074」のハツネン電気式通気度試験機により行なった。
【0051】
また、ガス発生量の測定は、JIS K 6910の曲げ強さの測定に用いるためのA法(落下法)によって、幅10mm、高さ10mm、長さ60mmの試験片を作製し、この試験片をJACT試験法SC−1に準拠して1000℃で加熱し、加熱開始後10秒ごとに240秒後までガスの発生量を測定し、そのトータル量の最大値を次式のように試験片の体積で割って、ガス発生量とした。
【0052】
ガス発生量(mL/cm3)=発生したガス量(mL)/試験片の体積(cm3)
また、鋳肌の測定は次のようにして行なった。まず、実施例1乃至4及び比較例1乃至3で得たレジンコーテッドサンドを300℃に加熱した金型に吹き込み、60秒間焼成することによって、内径100mm、高さ100mm、肉厚20mmのルツボ状のシェルモールドを造型した。そしてのシェルモールドに1400℃のダクタイル鋳鉄の溶湯を流し込んで冷却することによって鋳物を鋳造し、得られた鋳物をシェルモールドから取り出し、鋳物の表面を目視で観察することによって、鋳肌の状態が非常に良好ものを「◎」、良好なものを「○」、普通のものを「△」、悪いものを「×」と判定した。尚、比較のために、比較例3のレジンコーテッドサンドから造型したシェルモールドの内面に鋳鉄用の黒鉛−ジルコン系塗型剤を塗布し、これを比較例4として同様に鋳肌の測定を行った。
【0053】
【表1】
【0054】
表1にみられるように、各実施例のものは鋳肌が非常に良好であった。一方、比較例1,2のものでは鋳肌は普通のレベルであったが、比較例3のものでは鋳肌が悪いものであった。また比較例3のシェルモールドに塗型剤を塗布した比較例4では、鋳肌は普通のレベルに向上したに過ぎないものであった。
【0055】
【発明の効果】
上記のように本発明に係るシェルモールド用レジンコーテッドサンドは、耐火骨材の表面に熱硬化性樹脂と炭素質材料とを被覆して調製されるものであり、レジンコーテッドサンドを用いて造型された鋳型を1000℃で加熱したときのガス発生量が、鋳型1cm3当り20mL以上になるよう、レジンコーテッドサンドを調製するようにしたので、このように多量に発生するガスがシェルモールドの表面と溶湯との間にバリアを形成し、シェルモールドに高温の溶湯が直接接触することを抑制することができると共に鋳物の表面にシェルモールドの表面がそのまま転写されることを防ぐことができ、また炭素質材料によってシェルモールドと溶湯との濡れの悪さを高めることができ、塗型剤を用いるような必要なく、シェルモールドを溶湯の高温から保護することができると共に鋳物の鋳肌を向上させることができるものである。また、炭素質材料によってシェルモールドの熱伝導性を高め、シェルモールドに溶湯を注湯する際の熱を拡散して裏側に逃がすことができるものであり、クッション効果のある物質の使用量を少なくしても、シェルモールドの急激な熱膨張を抑制してクラックの発生を防止することができるものである。
Claims (7)
- 耐火骨材の表面に熱硬化性樹脂と炭素質材料とを被覆して調製され、溶湯を流し込んで鋳造を行なう鋳型を造型するためのシェルモールド用レジンコーテッドサンドであって、上記の炭素質材料は固定炭素量が50〜98質量%であると共に、このレジンコーテッドサンドを用いて造型された鋳型を1000℃で240秒加熱したときのガス発生量が、鋳型1cm3当り20mL以上であることを特徴とするシェルモールド用レジンコーテッドサンド。
- 熱硬化性樹脂がフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のシェルモールド用レジンコーテッドサンド。
- フェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のシェルモールド用レジンコーテッドサンド。
- フェノール樹脂がレゾール型フェノール樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のシェルモールド用レジンコーテッドサンド。
- フェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂との混合物であることを特徴とする請求項2に記載のシェルモールド用レジンコーテッドサンド。
- 耐火骨材に熱硬化性樹脂を配合する際に同時に炭素質材料を配合して、耐火骨材の表面に熱硬化性樹脂と炭素質材料とを被覆して成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のシェルモールド用レジンコーテッドサンド。
- 熱硬化性樹脂と炭素質材料とを混合した状態で耐火骨材に配合して、耐火骨材の表面に熱硬化性樹脂と炭素質材料とを被覆して成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のシェルモールド用レジンコーテッドサンド。
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