JP5724995B2 - ステアリングホイールの位置調節装置 - Google Patents

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Description

この発明は、自動車を操舵する為のステアリングホイールの高さ位置、前後位置等を調節可能とする、ステアリングホイールの位置調節装置の改良に関する。具体的には、ステアリングホイールの位置の保持及びその解除を行う為のカム装置の構造を工夫する事により、操作感の良好なステアリングホイールの位置調節装置の実現を図るものである。尚、本発明の対象となるステアリングホイールの位置調節装置には、ステアリングホイールの高さ位置のみを調節可能とした構造(チルト式ステアリング装置)、前後位置のみを調節可能とした構造(テレスコピック式ステアリング装置)、及び高さ位置に加えて前後位置の調節も可能とした構造(チルト・テレスコピック式ステアリング装置)も含む。
運転者の体格や運転姿勢等に応じてステアリングホイールの高さ位置を調節する装置として、チルト式ステアリング装置と呼ばれるステアリングホイールの高さ位置調節装置が、例えば特許文献1〜3に記載される等して従来から知られている。又、図12〜15は、未公開であるが、特願2011−257340に開示された先発明のチルト式ステアリング装置の構造を示している。後端部(図12の右端部。尚、本明細書及び特許請求の範囲で、後とは、自動車の進行方向に関し「後」を言い、逆に、前とは、自動車の進行方向に関し「前」を言う。)に固定されたステアリングホイール(図示省略)の操作により回転するステアリングシャフト1を、ステアリングコラム2の内側に回転自在に挿通すると共に、このステアリングコラム2の前端部(図12の左端部)を、車体(図示省略)に固定された前側の車体側ブラケット3に支持されたチルト軸4に揺動自在に支持している。一方、前記ステアリングコラム2の中間部は、車体に固定した後側の車体側ブラケット5に対し、高さ位置の調節を可能に支持している。
前記後側の車体側ブラケット5は、十分な剛性を有する金属板を折り曲げ形成して成り、上部に設けられた取付板部6と、この取付板部6から下方に垂れ下った、互いに平行な1対の支持板部7、7とを備える。そして、これら両支持板部7、7の互いに整合する位置に、前記チルト軸4を中心とする円弧状で上下方向に長いチルト用長孔8、8(特許請求の範囲の車体側通孔に相当)を形成している。又、前記ステアリングコラム2の中間部で、前記両支持板部7、7同士の間に挟まれた部分に、十分な剛性を有する金属板を折り曲げ形成して成る、断面略U字型の変位ブラケット9(特許請求の範囲のコラム側ブラケットに相当)を、溶接等により固定している。この変位ブラケット9は、前記両支持板部7、7と重なり合う、互いに平行な1対の被挟持部10、10を備え、これら両被挟持部10、10の一部で前記各チルト用長孔8、8と整合する部分に、それぞれ互いに同心の通孔11、11(特許請求の範囲のコラム側通孔に相当)を形成している。そして、これら各通孔11、11と前記各チルト用長孔8、8とに、杆状部材12を挿通している。
又、前記杆状部材12の軸方向一端部(図13の右端部)に押圧部材13を、同じく軸方向他端部(図13の左端部)に、調節レバー14を、同じく軸方向中間部他端寄り部分にカム装置15を、それぞれ設け、この調節レバー14の揺動に基づいて前記両支持板部7、7の内側面同士の間隔を拡縮するチルトロック機構を構成している。尚、図示の例では、前記押圧部材13を、前記杆状部材12の一端部に係合した、ナットにより構成している。
又、前記カム装置15は、駆動カム16と被駆動カム17とを組み合わせて成る。このうちの駆動カム16は、前記杆状部材12を挿通する為の中心孔を有し、全体を円輪状としている。又、組み付け状態に於ける幅方向内側面(図13の右側面)に、複数個の駆動側凹面18、18と、これら各駆動側凹面18、18よりも幅方向内方(図13の右側、図13の表側)に突出した状態で設けられた複数個の駆動側凸面19、19とを円周方向に関して交互に配置した駆動側カム面20を設けている。この様な駆動カム16は、前記調節レバー14の基端部に結合固定して、この調節レバー14の往復揺動に伴って、前記杆状部材12の周囲で往復回転する様にしている。尚、前記駆動カム16は、前記杆状部材12に対する相対回転を可能な状態、或いはこの杆状部材12と同期した回転を可能な状態の何れかの状態で設ける事ができる。
又、前記被駆動カム17は、前記駆動カム16と同様に、前記杆状部材12を挿通する為の中心孔を有し、全体を円輪状としている。又、組み付け状態に於ける幅方向外側面(図13の左側面)に、複数個の被駆動側凹面21、21と、これら各被駆動側凹面21、21よりも幅方向外方(図13の左側)に突出した状態で設けられた複数個の被駆動側凸面22、22とを円周方向に関して交互に配置した、被駆動側カム面23を設けている。又、前記各被駆動側凹面21、21の円周方向一端(ステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持する為の前記調節レバー14の操作に基づいて、前記駆動カム16が回転する方向であって、図14の反時計方向端部)と前記各被駆動側凸面22、22の円周方向他端(図14の時計方向端部)とを、被駆動側連続面24、24により円周方向に連続させている。又、前記被駆動カム17の幅方向内側面に、係合凸部25を形成している。
この様な被駆動カム17は、前記杆状部材12に対する相対回転及びこの杆状部材12の軸方向に関する相対変位を可能に、この杆状部材12に外嵌されると共に、前記係合凸部25を、他方(図13の左方)の支持板部7のチルト用長孔8に、このチルト用長孔8に沿った変位のみを可能に係合させている。従って、前記被駆動カム17は、このチルト用長孔8に沿って昇降はできるが、自身の軸を中心として回転する事はない。
ステアリングホイールの高さ位置を調節可能な状態にする際には、前記調節レバー14を所定方向(一般的には下方)に揺動させる。そして、図13に示す様に、前記駆動側カム面20と前記被駆動側カム面23とを、それぞれの駆動側、被駆動側各凸面19、22と駆動側、被駆動側各凹面18、21とが互いに対向する状態とする事により、前記カム装置15の軸方向寸法を縮め、前記被駆動側カム17と前記押圧部材13との間隔を拡げる。この結果、前記両支持板部7、7の内側面と前記両被挟持板部10、10の外側面との当接部の面圧が低下乃至は喪失する。この状態で、前記杆状部材12が前記両チルト用長孔8、8内で動ける範囲内で、ステアリングホイールの上下位置を調節できる。
ステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持する際には、ステアリングホイールを所望の高さ位置に移動させた後、前記調節レバー14を逆方向(一般的には上方)に揺動させる。そして、前記駆動側カム面20と前記被駆動側カム面23とを、前記駆動側、被駆動側各凸面19、22同士が互いに当接した(突き当たった)状態とする事により、前記カム装置15の軸方向寸法を拡げ、前記両支持板部7、7の内側面同士の間隔を縮める。この状態で、これら両支持板部7、7の内側面と前記両被挟持板部10、10の外側面との当接部の面圧が上昇して、ステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持できる。
ところで、ステアリングホイールの高さ位置を調節可能な状態にする為の操作、或いはステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持する為の操作は、前述した様に、前記調節レバー14を手動により操作して行う。この様な操作のうちステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持する為に前記調節レバー14に加える操作トルクは、同じく高さ位置を調節可能な状態にする為にこの調節レバー14に加える操作トルクよりも大きくなる傾向にある。又、ステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持する為に前記調節レバーに加える操作トルクは、前記駆動側カム面20の各駆動側凸面19、19と、前記被駆動側カム面23の各被駆動側各凸面22、22とが互いに当接した(突き当たった)状態に近づく程(調節レバー14の操作の後半程)、大きくなる傾向にある。そこで、この様な操作トルクを小さくして、操作性を向上する事が要求されている。
この様な要求に応えるべく、前述した先発明の構造の場合、前記カム装置15を構成する被駆動カム17の被駆動側カム面23、及び駆動軸カム16の駆動側カム面20の構造を工夫している。具体的には、前記被駆動側カム面23の被駆動側連続面24、24を、前記被駆動側凸面22、22寄り部分(円周方向一方側)に設けた傾斜面26a、26aと、これら各傾斜面26a、26aの円周方向他方に設けた傾斜面26b、26bとにより構成している。尚、前記各傾斜面26a、26aの、前記被駆動カム17の中心軸に直行する方向に存在する仮想平面に対する傾斜角度は、前記各傾斜面26b、26bのこの仮想平面に対する傾斜角度よりも小さい。この様にして、前記調節レバー14の操作の後半に於ける、この調節レバー14に加える操作トルクの増大を抑えている。
又、前記被駆動側カム面23の一部で、前記各傾斜面26b、26bよりも径方向外側部分を、前記各被駆動側凹面21、21と同一平面上に存在する平坦面27、27としている。この為、前記各傾斜面26b、26bの径方向に関する寸法は、前記各傾斜面26a、26aの径方向に関する寸法よりも小さい。又、前記各平坦面27、27の円周方向一端は、前記各傾斜面26a、26aの円周方向他端と、段部28、28を介して連続している。この様にして、前記駆動側カム面20の各駆動側凸面19、19と、後述する駆動側連続面29、29との連続部の径方向外側寄り部分が、前記各平坦面27、27部分と対向した状態で当接しない様にすると共に、被駆動カム17の軽量化を図っている。
更に、前記駆動側カム面20の各駆動側凸面19、19の円周方向一端(ステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持する為の前記調節レバー14の操作に基づいて、前記駆動カム16が回転する方向の前側端部であって、図15の時計方向端部)と、各駆動側凹面18、18の円周方向他端(ステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持する為の前記調節レバー14の操作に基づいて、前記駆動カム16が回転する方向の後側端部であって、図15の反時計方向端部)とを連続する駆動側連続面29、29の径方向外側寄り部分(前記被駆動側カム面23の各平坦面27、27と径方向に整合する部分)の、組み付け状態に於ける幅方向内方(図13の右側、図15の表方向)への突出量を、径方向内側寄り部分(前記被駆動側カム面23の各傾斜面26b、26bと径方向に整合する部分)の幅方向内方への突出量よりも小さくしている。この為、前記各駆動側連続面29、29の径方向外側寄り部分は、前記被駆動側カム面23の各傾斜面26a、26aと対向した状態で、これら各傾斜面26a、26aと当接しない。
この様な先発明のステアリングホイールの位置調節装置によれば、ステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持する為に前記調節レバー14に加える操作トルクを小さくできる。即ち、ステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持する為の前記調節レバー14の操作に基づいて、前記駆動カム16を回転させると、前記駆動側カム面20の各駆動側凸面19、19が、前記被駆動側カム面23の各被駆動側凹面21、21と対向した状態(ステアリングホイールの高さ位置を調節可能な状態)から、前記被駆動側カム面23の各被駆動側連続面24、24を上る様にして、前記各被駆動側凸面22と当接した(突き当たった)状態(ステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持できる状態)にまで変位する。前述の先発明の構造の場合、この変位の際、前記駆動側カム面20と、前記各傾斜面26b、26b部分、及び前記各傾斜面26a、26aの径方向内側部分とのみが摺接する。この為、前記駆動側カム面20と前記被駆動側カム面23との接触部分(摩擦部分)の、前記駆動カム16の回転中心からの距離(回転半径)を小さくして、摩擦抵抗と摩擦部分の回転半径との積で表されるモーメントを小さく抑えられる。この結果、前記操作の際、前記調節レバー14に加える操作トルクを小さくできる。
但し、前述の先発明の場合、前記駆動側カム面20の各駆動側凸面19、19が、前記被駆動側カム面23の各傾斜面26b、26bに乗り上げる際(前記操作の前半)、前記各駆動側カム面20は、これら各傾斜面26b、26bの径方向全長に亙り摺接する。この為、前記モーメントが急に大きくなる事に起因して、前記調節レバー14に加える操作トルクも急に大きくなる。この結果、操作をする者に違和感を与えてしまう可能性がある。
特開2009−227181号公報 特開2010−254159号公報 特開2011−121443号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、ステアリングホイールを調節後の位置に保持する為の操作の際、この操作の前半に於ける調節レバーに加える操作トルクを小さくすると共に、操作性を良好にできるステアリングホイールの位置調節装置を実現すべく発明したものである。
本発明のステアリングホイールの位置調節装置は、ステアリングシャフトと、ステアリングコラムと、コラム側ブラケットと、車体側ブラケットと、1対の車体側通孔と、1対のコラム側通孔と、杆状部材と、押圧部材と、被駆動カムと、駆動カムと、調節レバーとを備える。
このうちのステアリングシャフトは、後端部にステアリングホイールを固定する。
又、前記ステアリングコラムは、前記ステアリングシャフトの周囲に設けられてこのステアリングシャフトを回転自在に支持している。
又、前記コラム側ブラケットは、前記ステアリングコラムの軸方向中間部に固設されている。
又、前記車体側ブラケットは、上部に設けられた取付板部及びこの取付板部から下方に垂れ下がった1対の支持板部を有し、これら両支持板部により前記コラム側ブラケットを幅方向両側から挟む状態で、前記取付板部により車体に対し支持される。
又、前記両車体側通孔は、前記両支持板部の互いに整合する部分に設けられている。尚、ステアリングホイールの位置調節装置が、ステアリングホイールの高さ位置を調節する為のチルト機能を有する場合には、前記両車体側通孔を、上下方向に長い長孔とする。
又、前記両コラム側通孔は、前記コラム側ブラケットの一部で前記両車体側通孔と整合する部分に、幅方向に貫通する状態で形成されている。尚、ステアリングホイールの位置調節装置が、ステアリングホイールの前後位置を調節する為のテレスコピック機能を有する場合には、前記両コラム側通孔を、前後方向に長い長孔とする。
又、前記杆状部材は、前記両車体側通孔及び前記両コラム側通孔を幅方向に挿通している。
又、前記押圧部材は、この杆状部材の一端部で前記両支持板部のうちの一方の支持板部の外側面から突出した部分に設けられている。
又、前記被駆動カムは、前記杆状部材の中間部他端寄り部分で前記両支持板部のうちの他方の支持板部の幅方向外側面から突出した部分に、前記杆状部材に対する軸方向の相対変位を可能に外嵌されており、幅方向外側面に被駆動側カム面を有する。
又、前記駆動カムは、前記杆状部材の他端部に、前記他方の支持板から離れる方向への変位を阻止した状態で外嵌されており、幅方向内側面に形成した駆動側カム面と、前記被駆動側カム面とを係合させている。尚、前記駆動カムは、前記杆状部材に対して、相対回転可能、或いはこの杆状部材と同期した回転を可能な状態で外嵌する事ができる。
又、前記調節レバーは、前記駆動カムにその基端部を結合している。
又、前記被駆動側カム面と前記駆動側カム面とのうちの何れか一方を第一のカム面とし、他方を第二のカム面とした場合に、この第一のカム面は、複数個の第一の凹面と、これら各第一の凹面の円周方向に関する間部分に設けられ、これら各第一の凹面よりも前記第二のカム面側に突出した状態で設けられた第一の凸面と、これら各第一の凹面とこれら各第一の凸面とを円周方向に連続させる第一の連続面とを有する。
一方、前記第二のカム面は、複数個の第二の凹面と、これら各第二の凹面の円周方向に関する間部分に設けられ、これら各第二の凹面よりも前記第一のカム面側に突出した状態で設けられた第二の凸面とを有する。
特に、本発明のステアリングホイールの位置調節装置に於いては、前記第二のカム面のうち、前記ステアリングホイールの位置を調整可能な状態から、この位置を保持できる状態に移行する際に、前記各第一の連続面と摺接可能な部分を表す摺接部仮想線は、この摺接部仮想線が前記各第一の連続面の円周方向他端に重畳した状態で、これら各第一の連続面の円周方向他端に対して、円周方向他方に傾斜している。
そして、前記ステアリングホイールの位置を調整可能な状態から、この位置を保持できる状態に移行する際、前記第二のカム面と、前記第一の連続面との摺接部分が、径方向内端から径方向外方に掛けて徐々に増える。尚、前記被駆動側カム面を、前記第一のカム面とする場合には、円周方向に関して、ステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持する為の前記調節レバーの操作に基づいて、前記駆動カムが回転する方向を円周方向一方とし、反対方向を円周方向他方とする。一方、前記駆動カム面を、前記第一のカム面とする場合には、円周方向に関して、ステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持する為の前記調節レバーの操作に基づいて、前記駆動カムが回転する方向を円周方向他方とし、反対方向を円周方向一方とする。
上述の様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記各第一の連続面を、複数の傾斜面により構成する。又、これら各傾斜面の、これら各傾斜面を形成したカムの中心軸に直交する方向に存在する仮想平面に対する傾斜角度を、前記各第一の凸面に近い傾斜面程、小さくする。
又、上述の様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、前記各第一の連続面を、径方向内側に設けられた内側連続面と、径方向外側に設けられた外側連続面とにより構成する。
このうちの各内側連続面は、前記各第一の凹面の円周方向一端縁と、前記各第一の凸面の円周方向他端縁とを連続させる傾斜面であり、前記ステアリングホイールの位置を調整可能な状態から、この位置を保持できる状態に移行する際、前記第二のカム面と摺接可能である。
又、前記各外側連続面は、前記各第一の凸面寄り部分が、これら各第一の凸面の円周方向他端縁と滑らかに連続しており、前記各内側連続面と円周方向に整合する位置の前記各第一の凹面からの前記第二のカム面側への突出量が、当該位置の、前記各内側連続面のこの第二のカム面側への突出量よりも小さく、前記ステアリングホイールの位置を調整可能な状態から、この位置を保持できる状態に移行する際、前記第二のカム面と摺接しない。
又、請求項3に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項4に記載した発明の様に、前記各外側連続面の傾斜面が前記各第一の凸面と連続する位置の円周方向に関する位相を、前記各内側連続面がこれら各第一の凸面と連続する位置の円周方向に関する位相と同じか、若しくは円周方向一方にずらせる。
又、上述の様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項5に記載した発明の様に、前記各第一の凸面に、前記第二のカム面の一部と係合する事により、前記駆動カムが、前記被駆動カムに対して、それ以上円周方向一方に回転する事を阻止する為の、回り止め凸部を設ける。
上述の様に構成する本発明のステアリングホイールの位置調節装置の場合、ステアリングホイールを調節後の位置に保持する為の調節レバーの操作に基づいて、第二のカム面の各第二の凸面が、第一のカム面の各第一の凹面と対向した状態(ステアリングホイールの位置を調節可能な状態)から、前記第一のカム面の各第一の連続面に、前記各第二のカム面のこれら各第一の連続面と摺接可能な部分の径方向内端から径方向外端に掛けて徐々に乗り上げる(摺接する)様にして、前記第一のカム面の各第一の凸面と当接した(突き当たった)状態(ステアリングホイールを調節後の位置に保持できる状態)にまで変位する。
即ち、前記各第二の凸面が、前記各第一の連続面を上る際、前記各第二のカム面の前記摺接可能な部分の径方向内端側部分程、これら各第一の連続面に早く乗り上げ始める。従って、前記操作の前半に於ける、前記駆動側カム面と前記被駆動側カム面とが接触(摺接)する部分(摩擦部分)を、前記各第一の連続面の内端寄り部分に限定して、この摩擦部分の前記駆動カムの回転中心からの距離(回転半径)を小さくできる。この結果、摩擦抵抗と摩擦部分の回転半径との積で表されるモーメントを小さく抑えて、前記操作の際、前記調節レバーに加えなければならない操作トルクを小さくできる。又、前記操作の前半に於いて、前記摩擦部分が徐々に外径側拡がっていく事に伴い、前記モーメントが徐々に(滑らかに連続した状態で)大きくなっていく。この為、このモーメントが急に大きくなる事がなく、前記操作レバーを操作する者に違和感を与える事を防止できる。
又、請求項2に記載した発明の場合、前記各第一の連続面のうちの前記各第一の凹面に近い側の傾斜面(前記各摺接可能な部分が前記操作の前半で乗り上げる傾斜面)の傾斜を、前記各第一の凸面に近い側の傾斜面の傾斜に対して急な状態に形成している。この為、前記各摺接可能な部分が、前記各第一の連続面を上る際の円周方向に関する距離を短く(調節レバーの揺動範囲を小さく)して、良好な操作性を実現できる。この様に前記各第一の連続面に比較的急な傾斜角度を有する傾斜面を設ける構造を採用した場合でも、この傾斜面を、前記各摺接可能な部分が上る際の、前記モーメントを小さく抑える事ができる。この結果、前記操作の際の、前記調節レバーに加える操作トルクを小さくして、良好な操作性を実現できる。
又、請求項3に記載した発明によれば、前記操作の中盤から後半に掛けての前記モーメントを小さく抑えて、この操作の全般に亙り前記調節レバーに加える操作トルクを小さくできる。
即ち、前記操作の中盤から後半に掛けて、前記第二のカム面の前記摺接可能な部分は、前記各第一の連続面のうちの各内側連続面のみと摺接した状態でこれら各内側連続面を上る様にして、前記第一のカム面の各第一の凸面と当接した(突き当たった)状態(ステアリングホイールを調節後の位置に保持できる状態)にまで変位する。この為、前記操作の際、前記第二のカム面と、前記第一のカム面とが接触する部分(摩擦部分)を前記各内側連続面のみに限定して、前記モーメントを小さく抑えられる。この結果、前記操作の全般に亙り、前記調節レバーに加える操作トルクを小さくできる。
又、請求項4に記載した発明によれば、ステアリングホイールを調節後の位置に保持する為の調節レバーの操作の際、この調節レバーを操作する者に不快感を与える事の防止を図れる。即ち、前記各外側連続面と、前記各第一の凸面とを滑らかに連続させると共に、この連続する位置の円周方向に関する位相を、前記各内側連続面が前記各第一の凸面と連続する位置の円周方向に関する位相と同じ、若しくは円周方向一方にずらせている。この為、前記調節レバーの操作に基づいて、前記各第一の凸面に、前記各第二の凸面が乗り上げる際、これら各第二の凸面のうちの、前記各内側連続面と対向する部分が、同じく各外側連続面と対向する部分よりも先に(又は、同時に)、前記各第一の凸面に乗り上げる(前記各第一の凸面と、前記各第二の凸面とが同一平面上になる)。この結果、前記各第二の凸面が、前記各外側連続面と前記各第一の凸面との連続部に引っ掛からず、滑らかに乗り上げられて、前記調節レバーを操作する者に不快感を与える事もない。
又、請求項5に記載した発明によれば、ステアリングホイールを調節後の位置に保持できる状態から、駆動カムが、被駆動カムに対して円周方向一方にそれ以上の回転する事を防止できる。この為、前記操作レバーを必要以上に回転させて、ステアリングホイールを調節後の位置に保持できる状態が解除されてしまう事もない。
本発明の実施の形態の第1例を示す、被駆動カムを組み付け状態に於ける幅方向外側から見た斜視図。 同じく、被駆動カムを組み付け状態に於ける幅方向外側から見た正投影図。 同じく、径方向から見た正投影図。 同じく、駆動カムを組み付け状態に於ける幅方向内側から見た斜視図。 同じく、駆動カムを組み付け状態に於ける幅方向内側から見た正投影図。 同じく、径方向から見た正投影図。 同じく、駆動側カム面の被駆動側連続面と摺接可能な部分が、この被駆動側連続面上を移動する状態を説明する為の模式図。 同じく、調節レバーの操作に基くカム装置の動作を説明する為の組み付け状態に於ける図1のA−A断面に相当する模式図であって、ステアリングホイールの位置を調整可能な状態を示す図(a)と、被駆動側カム面の各被駆動側連続面を、駆動側カム面の各駆動側凸面が上っている状態を示す図(b)と、調節後の位置に保持できる状態を示す図(c)。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図1と同様の図。 同じく、図2と同様の図 同じく、図9のB−B断面に相当する模式図(a)と、C−C断面に相当する模式図(b)。 先発明のステアリングホイールの位置調節装置の1例を示す側面図。 図12のD−D断面図。 先発明のステアリングホイールの位置調節装置に組み込まれる被駆動カムを組み付け状態に於ける幅方向外側から見た図。 同じく、駆動カムを組み付け状態に於ける幅方向内側から見た図。
[実施の形態の第1例]
図1〜8は、請求項1〜2、5に対応する本発明の実施の形態の第1例を示している。本発明の特徴は、ステアリングホイールの位置の保持及びその解除を行う為のカム装置を構成する駆動、被駆動両カム16a、17aの駆動側、被駆動側両カム面20a、23a同士の関係を規制した点にある。尚、本例は、前記被駆動側カム面23a(特許請求の範囲の第一のカム面に相当)の構造を工夫した例を示している。一方、前記駆動側カム面20a(特許請求の範囲の第二のカム面に相当)に関しては、一般的な構造を採用している。その他の部分の構造及び作用は、前述の図12〜15に示した先発明のステアリングホイールの位置調節装置と同様であるから、同等部分に関する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例のステアリングホイールの位置調節装置は、例えば前述した先発明と同様に、ステアリングホイールの高さ位置のみを調節可能なチルト式ステアリング装置として実施する。このチルト式ステアリング装置を構成する被駆動カム17aは、前述した先発明の構造と同様に、組み付け状態に於ける幅方向外側面(図1、2の表側面、図3、13の左側面)に、周方向に関する凹凸である被駆動側カム面23aを、同じく幅方向内側面に、係合凸部25を、それぞれ形成している。
又、前記被駆動側カム面23aは、円周方向複数箇所(本例の場合4箇所)に設けられた被駆動側凹面21a、21a(特許請求の範囲の第一の凹面に相当)と、円周方向複数箇所(本例の場合4箇所)に設けられた被駆動側凸面22a、22a(特許請求の範囲の第一の凸面に相当)と、円周方向複数箇所(本例の場合4箇所)に設けられた被駆動側連続面24a、24a(特許請求の範囲の第一の連続面に相当)とを有する。尚、前記被駆動側凹、凸両面21a、22aの数は、互いに同じ複数であれば良く、本例の構造に限定されるものではない。
このうちの各被駆動側凹面21a、21aは、前記被駆動カム17aの幅方向外側面の円周方向に離隔した4箇所に形成されており、それぞれが径方向外方に向かう程円周方向に関する幅が大きくなる、略扇形の平坦面である。
又、前記各被駆動側凸面22a、22aは、円周方向に隣り合う前記各被駆動側凹面21a、21a同士の間部分に形成されており、それぞれがこれら各被駆動側凹面21a、21aよりも、幅方向外方(組み付け状態に於ける前記駆動カム16aの駆動側カム面20a側で、図1、2の表側、図3の左側)に突出した状態で、径方向外方に向かう程円周方向に関する幅が大きくなる略扇形の平坦面である。又、前記各被駆動側凸面22a、22aの径方向外端寄りの円周方向一端部{ステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持する為の調節レバー14(図12、13参照)の操作に基づいて、駆動カム16aが回転する方向の前端部であって、図1、2、9、10の反時計方向端部、図4、5の時計方向端部、図8、11の左端部}に、前記各被駆動側凸面22a、22aよりも幅方向外方に突出した状態で、回り止め凸部30、30を形成している。この様な回り止め凸部30、30は、後述する駆動カム16aの各駆動側凹面18a、18aの円周方向他端と、各駆動側凸面19a、19aの円周方向一端とを連続する駆動側連続面29a、29aと当接(係合)する事により、前記駆動カム16aの、前記被駆動カム17aに対する円周方向一方への、それ以上の相対回転を阻止する{図8(c)参照}。
又、前記各被駆動側連続面24a、24aは、前記各被駆動側凹面21a、21aの円周方向一端と、前記各被駆動側凸面22a、22aの円周方向他端とを連続する傾斜面31、31から成る。これら各傾斜面31、31は、複数(本例の場合3個)の傾斜部から成り、円周方向に隣り合う各傾斜部の周方向端縁同士は滑らかに連続している。又、これら各傾斜部の前記被駆動カム17aの中心軸に直行する方向に存在する仮想平面に対する傾斜角度は、前記各被駆動側凸面22a、22aに近い側(円周方向一方側)の傾斜部程、小さい。又、前記各傾斜面31、31の、円周方向に関して同位相位置{放射方向(半径方向)に引いた同一線上}の、前記各被駆動側凹面21a、21aに対する軸方向外方への突出量(高さ)を等しくしている。又、前記各被駆動側連続面24a、24aの円周方向他端(図1、2、7にNで示す部分)は、放射方向{半径方向であり、例えば、被駆動カム17aの中心軸O17a(図2参照)を通る仮想線α、β}に対して、円周方向一方に角度θだけ傾斜した状態に形成している。尚、前記各被駆動側凹面21a、21aの円周方向他端と前記各被駆動側凸面22a、22aの円周方向一端とは、段部を介して連続しているが、この部分の構造は本発明の要旨とは関係ない。その他の被駆動カム17aの構造は、前述した先発明のステアリングホイールの位置調節装置を構成する被駆動カム17の構造と同様である。
又、本例のステアリングホイールの位置調節装置を構成する駆動カム16aは、前述した先発明のステアリングホイールの位置調節装置を構成する駆動カム16と同様に、組み付け状態に於ける幅方向内側面(図4、5の表側面、図6の左側面、図13の右側面)に、周方向に関する凹凸である駆動側カム面20aを、同じく幅方向外側面に、係合凸部32を、それぞれ形成している。
この駆動側カム面20aは、円周方向複数箇所(本例の場合4箇所)に設けられた駆動側凹面18a、18a(特許請求の範囲の第二の凹面に相当)と、それぞれがこれら各駆動側凹面18a、18aよりも組み付け状態に於ける幅方向内方(組み付け状態に於ける前記被駆動カム17aの被駆動側カム面23a側で、図4、5の表側、図6の左側、図13の右側)に突出した駆動側凸面19a、19a(特許請求の範囲の第二の凸面に相当)とを、円周方向に交互に形成して成る。尚、前記駆動側凹、凸各面18a、19aの数は、前記被駆動側凹、凸各面21a、22aの数と同じであれば良く、本例の場合に限定されるものではない。
又、前記各駆動側凹面18a、18aの円周方向他端と前記各駆動側凸面19a、19aの円周方向一端とは、駆動側連続面29a、29aを介して滑らかに連続している。一方、前記各駆動側凹面18a、18aの円周方向一端と前記各駆動側凸面19a、19aの円周方向他端とは、駆動側連続面29b、29bを介して連続している。尚、前記駆動側凹、凸各面18a、19aは、径方向外方に向かう程円周方向に関する幅が大きくなる略扇形の平坦面である。即ち、前記各駆動側凹面18a、18aは、前記各被駆動側凸面22a、22aと、前記各駆動側凸面19a、19aは、前記各被駆動側凹面21a、21aと、それぞれ係合可能な形状を有している。
又、前記各駆動側カム面20aの、ステアリングホイールの位置を調整可能な状態から、この位置を保持できる状態に移行する際、前記各被駆動側連続面24a、24aと摺接可能な部分を表す摺接部仮想線M(図5、7参照)は、放射方向(半径方向であり、例えば、駆動カム16aの中心軸O16aを通る仮想線α、β)に対し傾斜していない。即ち、図7に示す様に、組み付け状態に於いて、前記摺接部仮想線Mは、この摺接部仮想線Mの径方向内端が前記各被駆動側連続面24a、24aの円周方向他端Nに重畳した状態(摺接部仮想線Mが、図7の二点鎖線Mの位置に存在する状態)で、これら各被駆動側連続面24a、24aの円周方向他端Nに対して、角度θだけ円周方向他方に傾斜している。
又、前記各駆動側凹面18a、18aの径方向外端寄りの円周方向一端部に、これら各駆動側凹面18a、18aよりも組み付け状態に於ける幅方向外方(図4、5の裏側)に凹んだ状態で、前記被駆動カム17aの各回り止め凸部30、30と係合可能な形状を有する凹部37、37を形成している。これら各凹部37、37と、前記各回り止め凸部30、30とは、ステアリングホイールの高さ位置を調整可能な状態(各駆動側凹面18a、18aと各被駆動側凸面22a、22aとが互いに対向した状態)に於いて係合(前記各凸部30、30と前記各駆動側凹面18a、18aとの干渉を防止)する。その他の前記駆動カム16aの構造は、前述した先発明のステアリングホイールの位置調節装置を構成する駆動カム16の構造と同様である。
前述の様な駆動カム16aと被駆動カム17aとは、前述した先発明の構造と同様に、杆状部材12(図13参照)の、軸方向中間部他端寄り部分に組み付けられて、カム装置15(図13参照)を構成する。前記駆動側カム面20a、及び前記被駆動側カム面23aの構造以外の前記カム装置15の構成は、前述した先発明の構造と同様である。
次に、ステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持する為の前記調節レバー14の操作の際、前記駆動側カム面20aの、前記各被駆動側連続面24a、24aと摺接可能な部分を表す摺接部仮想線Mが、これら各被駆動側連続面24a、24aに対してどの様に変位するかを、図7を参照しつつ説明する。
先ず、前述した様に、前記各被駆動側連続面24a、24aの円周方向他端(図7の実線N参照)は、放射方向に対して、円周方向一方に角度θだけ傾斜している。一方、摺接部仮想線M(図7のM〜M)は、放射方向に対し傾斜していない。
この様な摺接部仮想線Mは、前記各被駆動側連続面24a、24aに乗り上げる瞬間には、図7のMに示す位置に存在する。この状態では、接触部仮想線M(M)の径方向内端(図7のS点参照)のみが前記各被駆動側連続面24a、24aと接触する。
又、前述の状態から前記駆動カム16aが円周方向一方(図7の反時計方向)に回転すると、この回転に伴い、前記摺接部仮想線Mは図7のMに示す位置に移動する。前記各被駆動側連続面24a、24aの、円周方向に関して同位相位置{放射方向(半径方向)に引いた同一線上で、例えば図7のM〜M上の各位置}の、前記各被駆動側凹面21a、21aに対する軸方向への突出量(高さ)は等しいので、前述の状態では、摺接部仮想線M(M)のうちの径方向内端から径方向中間部内端寄り部分(図7のS点参照)に掛けての部分が、前記各被駆動側連続面24a、24aと接触する。
更に、前述の状態から前記駆動カム16aが円周方向一方に回転すると、この回転に伴い、摺接部仮想線がM→M→Mへと移動する。これら各状態では、摺接部仮想線M(M、M、M)の径方向全長に亙り、前記各被駆動側連続面24a、24aと接触する。そして、摺接部仮想線Mは、各被駆動側連続面24a、24aの円周方向一端(図7の実線N参照)を通過して、前記各被駆動側凸面22a、22aに乗り上げる。
上述の様な本例のステアリングホイールの位置調節装置の場合、ステアリングホイールを調節後の位置に保持する為の前記調節レバー14の操作に基づいて、図8(a)に示す様に、前記駆動側カム面20aの各駆動側凸面19a、19aが、前記各被駆動側カム面23aの各被駆動側凹面21a、21aと対向した状態(ステアリングホイールの高さ位置を調節可能な状態)から、図8(b)に示す様に、前記被駆動側カム面23aの各被駆動側連続面24a、24aに、前記各駆動側カム面20aのこれら各被駆動側連続面24a、24aと摺接可能な部分(摺接部仮想線M)の径方向内端から径方向外端に掛けて徐々に乗り上げる(摺接する)様にして、前記各被駆動側連続面24a、24aを上り(図7参照)、図8(c)に示す様な、前記被駆動側カム面23aの各被駆動側凸面22a、22aと当接した(突き当たった)状態(ステアリングホイールを調節後の位置に保持できる状態)にまで変位する。
即ち、前記各駆動側凸面19a、19aが、前記各被駆動側連続面24a、24aを上る際、前記駆動側カム面20aのこれら各被駆動側連続面24a、24aと摺接可能な部分(摺接部仮想線M)の径方向内端側部分程、これら各被駆動側連続面24a、24aに早く乗り上げ始める。従って、前記操作の前半に於ける、前記駆動側カム面20aと前記被駆動側カム面23aとが接触(摺接)する部分(摩擦部分)を、前記各被駆動側連続面24a、24aの内端寄り部分に限定して、この摩擦部分の前記駆動カム16aの回転中心からの距離(回転半径)を小さくできる。この結果、摩擦抵抗と摩擦部分の回転半径との積で表されるモーメントを小さく抑えて、前記操作の際、前記調節レバー14に加える操作トルクを小さくできる。又、前記操作の前半に於いて、前記摩擦部分が徐々に外径側拡がっていく事に伴い、前記モーメントは徐々に(滑らかに連続した状態で)大きくなっていく。この為、このモーメントが急に大きくなる事がなく、前記操作レバー14を操作する者に違和感を与える事の防止を図れる。
又、本例の場合、前記各被駆動側連続面24a、24aのうちの前記各被駆動側凹面21a、21aに近い側の傾斜面{前記摺接可能な部分(摺接部仮想線M)が前記操作の前半で乗り上げる傾斜面}の傾斜を、前記各被駆動側凸面22a、22aに近い側の傾斜面の傾斜に対して急な状態に形成している。この為、前記各摺接可能な部分(摺接部仮想線M)が前記各被駆動側連続面24a、24aを上る際の円周方向に関する距離を短く(調節レバー14の揺動範囲を小さく)して、良好な操作性を実現できる。この様に前記各被駆動側連続面24a、24aに比較的急な傾斜面を設ける構造を採用した場合でも、この急な傾斜面を、前記各摺接可能な部分(摺接部仮想線M)が上る際の、前記モーメントを小さく抑える事ができる。この結果、前記操作の際の、前記調節レバー14に加える操作トルクを小さくして、良好な操作性を実現できる。尚、前記角度θを大きくすれば、前記摺接部仮想線Mがその径方向全長に亙り前記各被駆動側連続面と接触するタイミングを(例えばM乃至はM位置まで)遅らせる事ができる。
更に、本例の場合、ステアリングホイールを調節後の位置に保持できる状態で、前記被駆動側カム面23aの各回り止め凸部30、30と、前記駆動側カム面20aの駆動側連続面29a、29aとを当接(係合)させている。この為、前記駆動カム16aの、前記被駆動カム17aに対する円周方向一方への、それ以上の相対回転を阻止できる。この結果、前記操作レバー14を必要以上に回転させて、ステアリングホイールを調節後の位置に保持できる状態が解除されてしまう事もない。
更に、本例の場合、前記駆動カム16aと被駆動カム17aとのうちの被駆動カム17aの被駆動側カム面23aの構造のみを、前述の様に規制している。この為、前記駆動カム16aの駆動側カム面20aに関しては一般的なカムの構造を採用して、製造コストの低減を図れる。
[実施の形態の第2例]
図9〜11は、総ての請求項に対応する本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、被駆動カム17bの被駆動側カム面23bを構成する被駆動側連続面24b、24bを、径方向内側に設けられた内側連続面33、33と、径方向外側に設けられた外側連続面34、34とにより構成している。このうちの各内側連続面33、33は、各被駆動側凹面21b、21bの円周方向一端(図9、10の反時計方向端、図11の左端)のうちの径方向内端から径方向中間部の外端寄り部分(各被駆動側凹面21b、21bの径方向内端から径方向に関する長さ寸法の約2/3の部分)に掛けての部分と、各被駆動側凸面22b、22bの円周方向他端のうちの径方向内端から径方向中間部の外端寄り部分に掛けての部分とを連続する傾斜面31a、31aから成る。これら各傾斜面31a、31aは、複数(本例の場合4個)の傾斜部から成り、円周方向に隣り合う各傾斜部同士は滑らかに連続している。又、これら各傾斜部の前記被駆動カム17bの中心軸に直交する方向に存在する仮想平面に対する傾斜角度は、前記各被駆動側凸面22b、22bに近い側(円周方向一方側)の傾斜部程、小さい。
又、前記各外側連続面34、34は、前記各被駆動側凹面21b、21bの円周方向一端のうちの径方向中間部の外端寄り部分から径方向外端に掛けての部分と、前記各被駆動側凸面22b、22bの円周方向他端のうちの径方向中間部の外端寄り部分から径方向外端に掛けての部分とを滑らかに連続している。又、前記各外側連続面34、34は、円周方向他端寄り部分を、第一の傾斜面35、35としており、その円周方向一端寄り部分を、前記仮想平面に対する傾斜角度が、これら各第一の傾斜面35、35のこの仮想平面に対する傾斜角度よりも小さい第二の傾斜面36、36としている。
この様な各第二の傾斜面36、36は、その円周方向一端を、前記各被駆動側凸部22b、22bの円周方向他端に滑らかに連続している。又、図9、11に示す様に、前記各第二の傾斜面36、36と前記各被駆動側凸部22b、22bとが連続する位置Xの円周方向に関する位相は、前記各内側連続面33、33と前記各被駆動側凸部22b、22bとが連続する位置Yの円周方向に関する位相よりも円周方向一方にずれている。尚、前記位置Xと、前記位置Yとの円周方向に関する位相を同じにする事もできる。
更に、前記各外側連続面34、34の、前記各内側連続面33、33と円周方向に整合する位置に於ける、前記各被駆動側凹面21b、21bからの幅方向外側への突出量(高さ)は、当該位置に於ける、前記各内側連続面33、33の、前記各被駆動側凹面21b、21bからの幅方向外側への突出量(高さ)よりも小さい。尚、前記各外側連続面34、34の構造は、その円周方向一端と前記各被駆動側凸部22b、22bの円周方向他端とを滑らかに連続した構造を有していれば、その他の部分の構造は、上述した様な前記各内側連続面33、33との関係を満たす範囲で、適宜決定すれば良い。例えば、前記各第一の傾斜面35、35を省略した構造とする事もできる。この様な構造を採用すれば、前記被駆動カム17bの軽量化を図り易い。その他の被駆動カム17bの構造は、前述した実施の形態の第1例のステアリングホイールの位置調節装置を構成する被駆動カム17aの構造と同様である。又、駆動カム16a(図4〜6参照)の構造は、前述した実施の形態の第1例の構造と同様である。
この様な本例のステアリングホイールの位置調節装置によれば、ステアリングホイールを調節後の位置に保持する為の調節レバー14の操作の全般に亙り、この調節レバー14に加える操作トルクを小さくできる。
即ち、前記操作の中盤から後半に掛けて、駆動側カム面20aの前記各被駆動側連続面24b、24bと摺接可能な部分{摺接仮想線M(図7参照)}は、これら各被駆動側連続面24b、24bのうちの各内側連続面33、33のみと摺接した状態でこれら各内側連続面33、33を上る様にして、前記被駆動側カム面23bの各被駆動側凸面22b、22bと当接した(突き当たった)状態(ステアリングホイールを調節後の位置に保持できる状態)にまで変位する。この為、前記操作の際、前記駆動側カム面20aと、前記被駆動側カム面23bとが接触する部分(摩擦部分)を前記各内側連続面33、33のみに限定して、この摩擦部分の駆動カム33、33の回転中心からの距離(回転半径)を小さくできる。この結果、摩擦抵抗と摩擦部分の回転半径との積で表されるモーメントを小さく抑えて、前記操作の際、前記調節レバー14に加える操作トルクを小さくできる。
又、ステアリングホイールを調節後の位置に保持する為の前記調節レバー14の操作の際、この調節レバー14を操作する者に不快感を与える事の防止を図れる。即ち、前記被駆動側カム面23bの各被駆動側連続面24b、24bの各外側連続面34、34と、前記各被駆動側凸面22b、22bとを滑らかに連続させると共に、この連続する位置Xの円周方向に関する位相を、前記各内側連続面33、33が前記各被駆動側凸面22b、22bと連続する位置Yの円周方向に関する位相に対して円周方向一方にずらせている。この為、前記調節レバー14の操作に基づいて、前記各被駆動側凸面22b、22bに、各駆動側凸面19a、19a(図4〜6参照)が乗り上げる際、これら各駆動側凸面19a、19aのうちの、前記各内側連続面33、33と対向する部分が、同じく各外側連続面34、34と対向する部分よりも先に、前記各被駆動側凸面22b、22bに乗り上る(前記各被駆動側凸面22b、22bと、前記各駆動側凸面19a、19aとが同一平面上になる)。この結果、前記各駆動側凸面19a、19aが、前記各外側連続面34、34と前記各被駆動側凸面22b、22bとの連続部に引っ掛からず、滑らかに乗り上げられて、前記調節レバー14を操作する者に不快感を与える事もない。その他の部分の構成及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例と同様である。
本発明は、ステアリングホイールの高さ位置のみを調節可能とした構造(チルト式ステアリング装置)、前後位置のみを調節可能とした構造(テレスコピック式ステアリング装置)、及び高さ位置に加えて前後位置の調節も可能とした構造(チルト・テレスコピック式ステアリング装置)に適用する事ができる。
テレスコピック機能を備えた構造を実施する場合には、ステアリングコラムを、インナコラムとアウタコラムとを伸縮可能に組み合わせて構成し、変位ブラケットを、インナコラムとアウタコラムとのうちの後側に配置されて、ステアリングホイールの前後位置調節に伴って前後方向に変位するコラムに固定する。そして、変位ブラケットに形成した通孔を、軸方向に長い長孔とする。
又、本発明は、駆動カムの駆動側カム面に適用する事もできる。本発明を駆動側カム面に適用する場合には、円周方向の位置関係を、ステアリングホイールを調節後の高さ位置に保持する為の前記調節レバーの操作に基づいて、駆動カムが回転する方向を円周方向他方とし、反対方向を円周方向一方とする。
又、被駆動側カム面(特許請求の範囲の第一のカム面に相当)の被駆動側連続面(特許請求の範囲の第一の連続面に相当)と、駆動側カム面(特許請求の範囲の第二のカム面に相当)の前記被駆動側連続面と摺接可能な部分を表す摺接部仮想線Mとの関係は、前述した実施の形態の各例の構造に限定されるものではない。即ち、前記各摺接部仮想線Mが前記各被駆動側連続面の円周方向他端に重畳した状態で、これら各摺接部仮想線Mが、これら各被駆動側連続面の円周方向他端に対して、円周方向他方に傾斜しており、且つ、ステアリングホイールの位置を調整可能な状態から、この位置を保持できる状態に移行する際、前記駆動側カム面と、前記被駆動側連続面との摺接部分が、径方向内端から径方向外方に掛けて徐々に増える様な関係を満たす各種構造が、本発明の技術的範囲に属する。
又、本発明のステアリングホイールの位置調節装置を構成するカム装置15及び調節レバー14を設ける位置は、図13に示す従来構造と同様の位置に限定されず、車体側ブラケット5の一方(図13の右方)の支持板部7の幅方向外側に設ける事もできる。この様な構成を採用する場合には、押圧部材を、前記杆状部材12の他端部に設けた頭部38(図13参照)により構成する。
1 ステアリングシャフト
2 ステアリングコラム
3 前側車体側ブラケット
4 チルト軸
5 後側車体側ブラケット
6 取付板部
7 支持板部
8 チルト用長孔
9 変位ブラケット
10 被挟持部
11 通孔
12 杆状部材
13 押圧部材
14 調節レバー
15 カム装置
16、16a 駆動カム
17、17a、17b 被駆動カム
18、18a 駆動側凹面
19、19a 駆動側凸面
20、20a、20b 駆動側カム面
21、21a、21b 被駆動側凹面
22、22a、22b 被駆動側凸面
23、23a、23b 被駆動側カム面
24、24a、24b 被駆動側連続面
25 係合凸部
26a、26b 傾斜面
27 平坦面
28 段部
29、29a、29b 駆動側連続面
30 回り止め凸部
31、31a 傾斜面
32 係合凸部
33 内側連続面
34 外側連続面
35 第一の傾斜面
36 第二の傾斜面
37 凹部
38 頭部

























Claims (5)

  1. 端部にステアリングホイールを固定するステアリングシャフトと、
    このステアリングシャフトの周囲に設けられてこのステアリングシャフトを回転自在に支持したステアリングコラムと、
    このステアリングコラムの軸方向中間部に固設されたコラム側ブラケットと、
    上部に設けられた取付板部及びこの取付板部から下方に垂れ下がった1対の支持板部を有し、これら両支持板部により前記コラム側ブラケットを幅方向両側から挟む状態で、前記取付板部により車体に対し支持される車体側ブラケットと、
    前記両支持板部の互いに整合する部分に設けられた、1対の車体側通孔と、
    前記コラム側ブラケットの一部でこれら両車体側通孔と整合する部分に、幅方向に貫通する状態で形成された1対のコラム側通孔と、
    前記両車体側通孔及びこれら両コラム側通孔を幅方向に挿通した杆状部材と、
    この杆状部材の一端部で前記両支持板部のうちの一方の支持板部の外側面から突出した部分に設けられた押圧部材と、
    前記杆状部材の中間部他端寄り部分で前記両支持板部のうちの他方の支持板部の幅方向外側面から突出した部分に、前記杆状部材に対する軸方向の相対変位を可能に外嵌されており、幅方向外側面に被駆動側カム面を設けた被駆動側カムと、
    前記杆状部材の他端部に、前記他方の支持板から離れる方向への変位を阻止した状態で外嵌され、幅方向内側面に形成した駆動側カム面と、前記被駆動側カム面とを係合させた駆動カムと、
    この駆動カムにその基端部を結合した調節レバーとを備え、
    前記被駆動側カム面と前記駆動側カム面とのうちの何れか一方を第一のカム面とし、他方を第二のカム面とした場合に、この第一のカム面は、複数個の第一の凹面と、これら各第一の凹面の円周方向に関する間部分に設けられ、これら各第一の凹面よりも前記第二のカム面側に突出した状態で設けられた第一の凸面と、これら各第一の凹面とこれら各第一の凸面とを円周方向に連続させる第一の連続面とを有し、
    前記第二のカム面は、複数個の第二の凹面と、これら各第二の凹面の円周方向に関する間部分に設けられ、これら各第二の凹面よりも前記第一のカム面側に突出した状態で設けられた第二の凸面とを有するステアリングホイールの位置調節装置に於いて、
    前記第二のカム面のうち、ステアリングホイールの位置を調整可能な状態から、この位置を保持できる状態に移行する際に、前記各第一の連続面と摺接可能な部分を表す摺接部仮想線は、この摺接部仮想線が前記各第一の連続面の円周方向他端に重畳した状態で、これら各第一の連続面の円周方向他端に対して、円周方向他方に傾斜しており、
    ステアリングホイールの位置を調整可能な状態から、この位置を保持できる状態に移行する際、前記第二のカム面と前記第一の連続面との摺接部分が、径方向内端から径方向外方に掛けて徐々に増える事を特徴とするステアリングホイールの位置調節装置。
  2. 前記各第一の連続面が、複数の傾斜面で構成されており、これら各傾斜面の、これら各傾斜面を形成したカムの中心軸に直交する方向に存在する仮想平面に対する傾斜角度が、前記各第一の凸面に近い傾斜面程小さくなる、請求項1に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
  3. 前記各第一の連続面が、径方向内側に設けられた内側連続面と、径方向外側に設けられた外側連続面とから成り、
    このうちの各内側連続面は、前記各第一の凹面の円周方向一端縁と、前記各第一の凸面の円周方向他端縁とを連続する傾斜面であり、前記ステアリングホイールの位置を調整可能な状態から、この位置を保持できる状態に移行する際、前記第二のカム面と摺接可能であり、
    前記各外側連続面は、前記各第一の凸面寄り部分が、これら各第一の凸面の円周方向他端縁と滑らかに連続しており、前記各内側連続面と円周方向に整合する位置の前記各第一の凹面からの前記第二のカム面側への突出量が、当該位置の、前記各内側連続面のこの第二のカム面側への突出量よりも小さく、前記ステアリングホイールの位置を調整可能な状態から、この位置を保持できる状態に移行する際、前記第二のカム面と摺接しない、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
  4. 前記各外側連続面の傾斜面が、前記各第一の凸面と連続する位置の円周方向に関する位相を、前記各内側連続面が、これら各第一の凸面と連続する位置の円周方向に関する位相と同じか、若しくは円周方向一方にずらせている、請求項3に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
  5. 前記各第一の凸面に、前記第二のカム面の一部と係合する事により、前記駆動カムが、前記被駆動カムに対して、それ以上円周方向一方に回転する事を阻止する為の、回り止め凸部を設けている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
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