JP5720963B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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Description
この発明の目的は、三相ブラシレスモータの駆動回路内の1つのスイッチング素子が短絡故障した場合に、三相ブラシレスモータを駆動することが可能となるモータ制御装置を提供することである。
前記制御可能領域特定手段は、短絡故障したスイッチング素子以外の全てのスイッチング素子がオフとなっている状態において前記三相ブラシレスモータのロータが回転されたときに、2つの正常相のいずれにも負荷電流が流れないロータ回転角領域を可能領域とし、2つの正常相のうちのいずれか一方にのみ負荷電流が流れるロータ回転角領域を不定領域とし、2つの正常相の両方に負荷電流が流れるロータ回転角領域を不可領域とすると、前記可能領域および前記不定領域からなる領域または前記可能領域を前記制御可能領域として特定するように構成されている。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
この発明の一実施形態では、前記第1のモータ制御装置における前記制御可能領域特定手段は、短絡故障したスイッチング素子の位置を表す情報と、予め作成されかつ短絡故障したスイッチング素子の位置から制御可能領域を特定するための情報とに基づいて、制御可能領域を特定するように構成されている。この構成では、短絡故障したスイッチング素子の位置を表す情報と、予め作成されかつ短絡故障したスイッチング素子の位置から制御可能領域を特定するための情報とに基づいて、制御可能領域が特定される。
前記マップは、たとえば、前記三相ブラシレスモータが正転および逆転のいずれか一方の回転方向に回転されているときに、前記複数のスイッチング素子のうちのいずれか1つのスイッチング素子が短絡故障した場合に対応する制御可能領域を表すものであってもよい。この場合、前記制御可能領域特定手段は、たとえば、請求項9に記載されているように、短絡故障したスイッチング素子の位置を表す情報、前記三相ブラシレスモータの回転方向および前記マップに基づいて、前記マップによって表されている制御可能領域を、前記短絡故障したスイッチング素子の位置および前記三相ブラシレスモータの回転方向に対応した制御可能領域に変換する手段を含んでいてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置が適用された、電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
電動パワーステアリング装置1は、操舵部材としてのステアリングホイール2と、このステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、運転者の操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
操舵補助機構5は、操舵補助用の電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを転舵機構4に伝達するための減速機構19とを含む。電動モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータからなる。減速機構19は、ウォーム軸20と、このウォーム軸20と噛み合うウォームホイール21とを含むウォームギヤ機構からなる。減速機構19は、伝達機構ハウジングとしてのギヤハウジング22内に収容されている。
電動モータ18によってウォーム軸20が回転駆動されると、ウォームホイール21が回転駆動され、ステアリングシャフト6が回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォーム軸2を回転駆動することによって、転舵輪3が転舵されるようになっている。
ECU12は、電動モータ18の駆動電力を生成する駆動回路30と、駆動回路30を制御するための制御部40とを備えている。制御部40は、CPUとこのCPUの動作プログラム等を記憶したメモリ(ROM,RAM,不揮発性メモリ等)とを含むマイクロコンピュータで構成されている。
正弦波駆動部42は、故障が発生していない通常時において、各FET31を制御することにより、電動モータ18を180°通電正弦波駆動するものである。正弦波駆動部42には、回転角センサ52によって検出されるロータ回転角(電気角)と、トルクセンサ11によって検出される操舵トルクと、車速センサ23によって検出される車速と、電流センサ51U,51V,51Wによって検出される各相の相電流IU,IV,IWが入力される。
図5は、故障が発生したときの制御部40の動作を示すフローチャートである。
制御可能領域特定部41は、電動モータ18が正弦波駆動部42によって180°通電正弦波駆動されている場合に、電動モータ18に動作不良(故障)が発生したことを検出すると、正弦波駆動部42にモータ停止指令に与える(ステップS1)。正弦波駆動部42は、故障判定部41からのモータ停止指令を受信すると、180°通電正弦波駆動を中止して、全てのFET31をオフにさせる。これにより、電動モータ18が停止する。
図6は、短絡故障時のモータ制御処理の手順を示すフローチャートである。
短絡故障時のモータ制御処理においては、制御可能領域特定部41は、6つのFET31のうちの1つが短絡故障している場合において、短絡故障したFET(短絡故障したFETの位置)が既に特定されているか否かを判別する(ステップS11)。つまり、短絡故障したFETが、3相(U,V,W)のうちのいずれの相のFETであり、かつハイサイドまたはローサイドのうちのいずれのサイドのFETであるかが、既に特定されているか否かが判別される。短絡故障したFETが特定されていない場合には(ステップS11:NO)、制御可能領域特定部41は、各相の相電圧(誘起電圧)VU,VV,VWに基づいて、短絡故障が発生しているか否か、および短絡故障が発生している場合には短絡故障が発生しているFETを特定するための処理を行なう(ステップS12)。具体的には、制御可能領域特定部41は、まず、一次判定処理を行なう。一次判定処理では、制御可能領域特定部41は、各相の相電圧VU,VV,VWを取得する。そして、いずれかの相電圧が所定のグランドレベルVG(たとえば0.5[V])以下であるという第1条件を満たしているか否か、およびいずれかの相電圧が所定の電源レベルVB(たとえば5.0[V])以上であるという第2条件を満たしているか否かを調べる。第1条件を満たしている場合には、制御可能領域特定部41は、いずれかの相のローサイドFETが短絡故障であると判定する。第2条件を満たしている場合には、制御可能領域特定部41は、いずれかの相のハイサイドFETが短絡故障であると判定する。第1条件および第2条件のいずれをも満たしていない場合には、制御可能領域特定部41は、短絡故障が発生していないと判別する。
(a)相電圧(誘起電圧)に基づいて制御可能領域を特定する方法(以下、「第1方法」という)。
(b)相電流(負荷電流)に基づいて制御可能領域を特定する方法(以下、「第2方法」という)。
(c)短絡故障が発生したFETの位置と予め作成されたマップとに基づいて、制御可能領域を特定する方法。この方法には、2つの方法があり、一方を第3方法といい、他方を第4方法ということにする。
また、制御可能領域特定部41は、正常相(U相、W相)の両方の相電圧VU,VWが、短絡故障相(この例ではV相)の相電圧VVより大きくなる電気角領域(第1および第2の閉回路61,62のいずれにも負荷電流が流れない電気角領域)を「可能領域」として特定する。なお、短絡故障しているFETがローサイドFETである場合には、2つの正常相をA,Bで表すと、制御可能領域特定部41は、「可能領域」のうち、一方の正常相Aの相電圧が他方の正常相Bの相電圧以上となる電気角領域を「可能領域(A)」として特定し、前記他方の正常相Bの相電圧が前記一方の正常相Aの相電圧より大きくなる電気角領域を「可能領域(B)」として特定してもよい。上記の例では、制御可能領域特定部41は、「可能領域」のうち、U相の相電圧VUがW相の相電圧VW以上となる電気角領域を「可能領域(U)」として特定し、W相の相電圧VWがU相の相電圧VUより大きくなる電気角領域を「可能領域(W)」として特定してもよい。
また、制御可能領域特定部41は、正常相(U相、W相)の両方の相電圧VU,VWが、短絡故障相(この例ではV相)の相電圧VVより小さくなる電気角領域(第3および第4の閉回路63,64のいずれにも負荷電流が流れない電気角領域)を「可能領域」として特定する。なお、短絡故障しているFETがハイサイドFETである場合には、2つの正常相をA,Bで表すと、制御可能領域特定部41は、「可能領域」のうち、一方の正常相Aの相電圧が他方の正常相Bの相電圧以下となる電気角領域を「可能領域(A)」として特定し、前記他方の正常相Bの相電圧が前記一方の正常相Aの相電圧より小さくなる電気角領域を「可能領域(B)」として特定してもよい。上記の例では、制御可能領域特定部41は、「可能領域」のうち、U相の相電圧VUがW相の相電圧VW以下となる電気角領域を「可能領域(U)」として特定し、W相の相電圧VWがU相の相電圧VUより小さくなる電気角領域を「可能領域(W)」として特定してもよい。
0≦α<180°の場合 α=α−180°+360° …(1)
一方、運転者の操舵操作によって、電動モータ18が逆転方向に回転されているときの各領域(「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」)が特定されたとする。この場合には、これらの領域を規定している電気角(領域規定用電気角α)を、次式(2)に基づいて変換することにより、電動モータ18が正転方向に回転されているときの各領域(「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」)を特定することができる。
0≦α<180°の場合 α=α+180° …(2)
制御可能領域特定部41は、電動モータ18を回転すべき回転方向と、第1方法で特定した正転方向に対応した各領域(「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」)ならびに逆転方向に対応した各領域(「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」)とに基づいて、短絡故障が発生しているFETおよび電動モータ18を回転すべき方向に対応した、「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」を特定する。
図9は、このようなマップの内容例を示している。図9において、CWおよびCCWは、図6のステップS15において電動モータ18が駆動される際の電動モータ18の回転方向を表しており、CWは正転方向を、CCWは逆転方向を表している。U,V,W、上段および下段は、短絡故障したFETの位置を表している。つまり、U,V,Wは、短絡故障したFETに対応する相を表している。上段は、短絡故障したFETが上段FET(ハイサイドFET)であることを表し、下段は、短絡故障したFETが下段FET(ローサイドFET)であることを表している。このようなマップは、理論値または計測データに基づいて作成される。
VU=E・sin(θ−π)
VV=E・sin(θ−π−(2/3)π)
VW=E・sin(θ−π+(2/3)π) …(3)
図11Aは、V相のローサイドFET31VLが短絡故障したと仮定した場合の、電気角θに対する各相の誘起電圧波形VU’,VV’,VW’の理論値(シミュレーション値)を示している。この例では、電動モータ18の回転方向は、正転方向(CW)であると仮定している。V相のローサイドFET31VLが短絡故障したと仮定した場合の、各相の誘起電圧VU’,VV’,VW’の理論値は、通常駆動時の各相の誘起電圧の理論値VU,VV,VWを用いて次式(4)で表される。
VV’=0
VW’=VW−VV …(4)
図11Aに示されるような理論値に基づいて、V相のローサイドFET31VLが短絡故障した場合の制御可能領域が予め求められる。具体的には、正常相(U相,V相)の両方の誘起電圧VU’,VW’が、短絡故障相(V相)の誘起電圧VV’(図11Aの例では0)より大きくなる電気角領域(この例では、150°〜270°)が「可能領域」として求められる。特に、「可能領域」のうち、U相の誘起電圧VU’がW相の誘起電圧VW’以上となる領域(この例では、210°〜270°)が「可能領域(U)」として求められ、W相の誘起電圧VW’がU相の誘起電圧VU’より大きくなる領域(この例では、150°〜210°)が「可能領域(W)」として求められる。また、正常相(U相,V相)の両方の誘起電圧VU’,VW’が、短絡故障相(V相)の誘起電圧VV’以下となる電気角領域(この例では、330°〜90°)が「不可領域」として求められる。
この実施形態では、図9に示されているマップデータのうち、短絡故障対象のFET31がV相のローサイドFET31VLであり、かつ電動モータの回転方向が正転方向(CW)である場合に対応する「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」を表すデータ(以下、「基準データ」という)のみがマップとして不揮発性メモリに格納されているものとする。
一方、電動モータ18を回転させるべき回転方向が逆転方向(CCW)である場合には(ステップS21:NO)、制御可能領域特定部41は、基準データにおいて、各領域(「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」)を規定している電気角(領域規定用電気角α)を次式(5)に基づいて変換する(ステップS22)。
0≦α<180°の場合 α=α−180°+360° …(5)
これにより、各領域(「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」)が変換される。変換後の各領域を規定している電気角が領域規定用電気角αとされる。この後、ステップS23に移行する。
既に特定されている短絡故障相がV相ではないと判別された場合には(ステップS23:NO)、制御可能領域特定部41は、既に特定されている短絡故障相がU相であるか否かを判別する(ステップS24)。既に特定されている短絡故障相がU相である場合には(ステップS24:YES)、制御可能領域特定部41は、領域規定用電気角αを次式(6)に基づいて変換する(ステップS25)。
0≦α<120°の場合 α=α−120°+360° …(6)
これにより、各領域(「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」)が変換される。変換後の各領域を規定している電気角が領域規定用電気角αとされる。この後、ステップS27に移行する。
0°≦α<240°の場合 α=α+120°
240°≦α<360°の場合 α=α+120°−360° …(7)
これにより、各領域(「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」)が変換される。変換後の各領域を規定している電気角が領域規定用電気角αとされる。この後、ステップS27に移行する。
ステップS27では、制御可能領域特定部41は、既に特定されている短絡故障FET31が下段(ローサイド)FETであるか否かを判別する。既に特定されている短絡故障FET31が下段FETである場合には(ステップS27:YES)、制御可能領域特定部41は、今回の制御可能領域特定処理を終了する。
180°≦α<360°の場合 α=α−180°
0≦α<180°の場合 α=α−180°+360° …(8)
これにより、各領域(「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」)が変換される。この後、制御可能領域特定部41は、今回の制御可能領域特定処理を終了する。
たとえば、短絡故障しているFET31がU相の上段であり、電動モータ18を回転させるべき回転方向が逆転方向(CCW)である場合を例にとって説明する。
現在の電気角が「不可領域」に属している場合には、短絡故障時用駆動部43は電動モータ18を駆動しない。現在の電気角が「可能領域」に属している場合または「不定領域」に属している場合には、短絡故障時用駆動部43は、電動モータ18を駆動する。たとえば、現在の電気角が「可能領域」に属している場合には、短絡故障時用駆動部43は、120°矩形駆動方式、120°片側PWM駆動方式等によって、電動モータ18を駆動する。また、現在の電気角が「不定領域」に属している場合には、短絡故障時用駆動部43は、矩形波駆動方式、120°矩形駆動方式等によって、電動モータ18を駆動する。
図13は、電動モータ18が120°矩形駆動方式によって正転方向に回転駆動される場合において、各FET31がオン状態にされるタイミングを説明するための説明図である。図13には、通常時において電動モータ18を駆動した場合の電気角θに対する各相の誘起電圧波形VU,VV,VWが示されているとともに、通常時において電動モータ18を120°矩形駆動する場合の電気角θに対する各FET31のオン・オフのタイミングが示されている。
330°〜 30°:V相のハイサイドFET31VH,W相のローサイドFET31WL
30°〜 90°:V相のハイサイドFET31VH,U相のローサイドFET31UL
90°〜150°:W相のハイサイドFET31WH,U相のローサイドFET31UL
150°〜210°:W相のハイサイドFET31WH,V相のローサイドFET31VL
210°〜270°:U相のハイサイドFET31UH,V相のローサイドFET31VL
270°〜330°:U相のハイサイドFET31UH,W相のローサイドFET31WL
6個のFET31のうちの1つに短絡故障が発生した場合には、短絡故障時用駆動部43は、現在の電気角が「可能領域」または「不定領域」にあるときには、前記タイミング図において現在の電気角に対してオン状態となるべき2つのFETをオンさせる。たとえば、V相のローサイドFET31VLが短絡故障した場合には、電動モータ18の回転方向が正転方向であるとすると、「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」は、次のようになる。
「可能領域(W)」:150°〜210°
「不定領域(U)」:270°〜330°
「不定領域(W)」:90°〜150°
「不可領域」:330°〜90°
したがって、現在の電気角が「不可領域」である330°〜90°の電気角領域に属しているときには、短絡故障時用駆動部43は短絡故障したFET以外のFETの全てをオフ状態とする。この場合には、電動モータ18は駆動されない。
「可能領域(W)」:330°〜30°
「可能領域(U)」:30°〜90°
「不定領域(U)」:90°〜150°
「不定領域(W)」:270°〜330°
「不可領域」:150°〜270°
したがって、現在の電気角が「可能領域(W)」である330°〜30°の電気角領域に属しているときには、短絡故障時用駆動部43は、図13のタイミング図に従って、V相のハイサイドFET(故障FET)31VHとW相のローサイドFET31WLとをオンさせる。この場合には、図2または図4を参照して、電源33からV相のハイサイドFET(故障FET)31VHを通過した電流は、電動モータ18(界磁コイル18V,18W)を経由した後、W相のローサイドFET31WLを介して接地34へと流れる。
現在の電気角が「不定領域(W)」である270°〜330°の電気角領域に属しているときには、短絡故障時用駆動部43は、図13のタイミング図に従って、U相のハイサイドFET31UHとW相のローサイドFET31WLとをオンさせる。この場合には、電源33からU相のハイサイドFET31UHを通過した電流は、電動モータ18(界磁コイル18U,18W)を経由した後、W相のローサイドFET31WLを介して接地34へと流れるとともに、電源33からV相のハイサイドFET(故障FET)31VHを通過した電流は、電動モータ18(界磁コイル18V,18W)を経由した後、W相のローサイドFET31WLを介して接地34へと流れる。
上記実施の形態によれば、駆動回路30内の6つのFET31のうち、1つのFETに短絡故障が発生した場合において、電動モータ18を駆動させることが可能な電気角領域(ロータ回転角領域)を、制御可能領域として特定できるようになる。これにより、現在の電気角が制御可能領域に属しているか否かを判定でき、現在の電気角が制御可能領域に属しているときに、電動モータ18を駆動させることができるようになる。この結果、1つのFETが゛短絡故障した場合にも、電動モータ18による操舵のアシストが可能となる。
図14Bは、V相のハイサイドFET31VHが短絡故障したと仮定した場合のモータ電気角に対するトルクセンサ11の出力信号の理論値を示している。モータ電気角が210°のときに、トルクセンサ11によって検出される操舵トルクの絶対値が最大となる。
図15A〜図15Cは、1つのローサイドFET31が短絡故障しておりかつ他のFETの全てがオフとなっている状態で、運転者の操舵操作によって電動モータ18が正転方向(CW)に回転された場合のモータ電気角に対するトルクセンサ11の出力信号の理論値を示すグラフである。
図15Bは、V相のローサイドFET31VLが短絡故障したと仮定した場合のモータ電気角に対するトルクセンサ11の出力信号の理論値を示している。モータ電気角が30°のときに、トルクセンサ11によって検出される操舵トルクの絶対値が最大となる。
図16A〜図16Cは、1つのハイサイドFET31が短絡故障しておりかつ他のFETの全てがオフとなっている状態で、運転者の操舵操作によって電動モータ18が逆転方向(CCW)に回転された場合のモータ電気角に対するトルクセンサ11の出力信号の理論値を示すグラフである。
図16Bは、V相のハイサイドFET31VHが短絡故障したと仮定した場合のモータ電気角に対するトルクセンサ11の出力信号の理論値を示している。モータ電気角が30°のときに、トルクセンサ11によって検出される操舵トルクの絶対値が最大となる。
図17A〜図17Cは、1つのローサイドFET31が短絡故障しておりかつ他のFETの全てがオフとなっている状態で、運転者の操舵操作によって電動モータ18が逆転方向(CCW)に回転された場合のモータ電気角に対するトルクセンサ11の出力信号の理論値を示すグラフである。
図17Bは、V相のローサイドFET31VLが短絡故障したと仮定した場合のモータ電気角に対するトルクセンサ11の出力信号の理論値を示している。モータ電気角が210°のときに、トルクセンサ11によって検出される操舵トルクの絶対値が最大となる。
図14A〜図17Cにより、電動モータの回転方向と操舵トルクの絶対値が最大となるときのモータ電気角(以下、「トルク最大時のモータ電気角」という)との組合せと、短絡故障しているFETとの関係は、表1に示されるような関係となる。
まず、運転者によってステアリングホイール2が操舵されるのを待つ(ステップS31)。ステアリングホイール2が操作されると(ステップS31:YES)、制御可能領域特定部41は、トルクセンサ11によって検出される操舵トルクと、回転角センサ52によって検出されるロータの回転角(モータ電気角)とを取り込み、両者を関連付けて記憶する(ステップS32)。そして、制御可能領域特定部41は、ロータの1回転分以上に相当する操舵トルクが取り込まれたか否かを判別する(ステップS33)。ロータの1回転分以上に相当する操舵トルクが取り込まれていないときには(ステップS33:NO)、ステップS32に戻り、再度、操舵トルクおよびモータ電気角を取り込んで記憶する。
この発明は、電動パワーステアリング装置以外の用途に使用されている三相ブラシレスモータに対しても、適用することができる。
この出願は、2010年3月29日に日本国特許庁に提出された特願2010−75739号および2010年9月27日に日本国特許庁に提出された特願2010−215853号に対応しており、これらの出願の全開示はここに引用により組み込まれるものとする。
Claims (10)
- ロータおよび界磁コイルを有する三相ブラシレスモータを制御するためのモータ制御装置であって、
2個のスイッチング素子が直列に接続された直列回路を三相の各相に対応して3組備え、電源と接地との間においてそれらの直列回路が並列接続されており、各スイッチング素子に回生ダイオードが並列に接続されている駆動回路と、
前記複数のスイッチング素子のうちの1つのスイッチング素子が短絡故障したときに、前記三相ブラシレスモータの駆動が可能となるロータ回転角領域を、制御可能領域として特定する制御可能領域特定手段とを含み、
前記制御可能領域特定手段は、短絡故障したスイッチング素子以外の全てのスイッチング素子がオフとなっている状態において前記三相ブラシレスモータのロータが回転されたときに、2つの正常相のいずれにも負荷電流が流れないロータ回転角領域を可能領域とし、2つの正常相のうちのいずれか一方にのみ負荷電流が流れるロータ回転角領域を不定領域とし、2つの正常相の両方に負荷電流が流れるロータ回転角領域を不可領域とすると、前記可能領域および前記不定領域からなる領域または前記可能領域を前記制御可能領域として特定するように構成されている、モータ制御装置。 - ロータおよび界磁コイルを有する三相ブラシレスモータを制御するためのモータ制御装置であって、
2個のスイッチング素子が直列に接続された直列回路を三相の各相に対応して3組備え、電源と接地との間においてそれらの直列回路が並列接続されており、各スイッチング素子に回生ダイオードが並列に接続されている駆動回路と、
前記複数のスイッチング素子のうちの1つのスイッチング素子が短絡故障したときに、前記三相ブラシレスモータの駆動が可能となるロータ回転角領域を、制御可能領域として特定する制御可能領域特定手段とを含み、
前記制御可能領域特定手段は、短絡故障したスイッチング素子以外の全てのスイッチング素子がオフとなっている状態での各相の相電圧に基づいて、前記制御可能領域を特定するように構成されている、モータ制御装置。 - ロータおよび界磁コイルを有する三相ブラシレスモータを制御するためのモータ制御装置であって、
2個のスイッチング素子が直列に接続された直列回路を三相の各相に対応して3組備え、電源と接地との間においてそれらの直列回路が並列接続されており、各スイッチング素子に回生ダイオードが並列に接続されている駆動回路と、
前記複数のスイッチング素子のうちの1つのスイッチング素子が短絡故障したときに、前記三相ブラシレスモータの駆動が可能となるロータ回転角領域を、制御可能領域として特定する制御可能領域特定手段とを含み、
前記制御可能領域特定手段は、短絡故障したスイッチング素子以外の全てのスイッチング素子がオフとなっている状態での各相の相電流に基づいて、前記制御可能領域を特定するように構成されている、モータ制御装置。 - 前記制御可能領域特定手段は、短絡故障したスイッチング素子以外の全てのスイッチング素子がオフとなっている状態において前記三相ブラシレスモータのロータが回転されたときに、2つの正常相のいずれにも負荷電流が流れないロータ回転角領域を可能領域とし、2つの正常相のうちのいずれか一方にのみ負荷電流が流れるロータ回転角領域を不定領域とし、2つの正常相の両方に負荷電流が流れるロータ回転角領域を不可領域とすると、前記可能領域および前記不定領域からなる領域または前記可能領域を前記制御可能領域として特定するように構成されている、請求項2または3に記載のモータ制御装置。
- 前記制御可能領域特定手段は、短絡故障したスイッチング素子の位置を表す情報と、予め作成されかつ短絡故障したスイッチング素子の位置から制御可能領域を特定するための情報とに基づいて、制御可能領域を特定するように構成されている、請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記制御可能領域特定手段は、短絡故障したスイッチング素子の位置を表す情報と、前記三相ブラシレスモータの回転方向と、予め作成されかつ短絡故障したスイッチング素子の位置および前記三相ブラシレスモータの回転方向から制御可能領域を特定するためのマップとに基づいて、制御可能領域を特定するように構成されている、請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記マップは、前記三相ブラシレスモータの回転方向および前記スイッチング素子別に、各スイッチング素子が短絡故障した場合に対応する制御可能領域を表すものである、請求項6に記載のモータ制御装置。
- 前記マップは、前記三相ブラシレスモータが正転および逆転のいずれか一方の回転方向に回転されているときに、前記複数のスイッチング素子のうちのいずれか1つのスイッチング素子が短絡故障した場合に対応する制御可能領域を表すものである、請求項6に記載のモータ制御装置。
- 前記制御可能領域特定手段は、短絡故障したスイッチング素子の位置を表す情報、前記三相ブラシレスモータの回転方向および前記マップに基づいて、前記マップによって表されている制御可能領域を、前記短絡故障したスイッチング素子の位置および前記三相ブラシレスモータの回転方向に対応した制御可能領域に変換する手段を含む、請求項8に記載のモータ制御装置。
- 前記複数のスイッチング素子のうちの1つのスイッチング素子が短絡故障したときに、短絡故障したスイッチング素子の位置を特定するための故障箇所特定手段と、
ロータ回転角が前記制御可能領域にあるときに、前記正常相によって前記三相ブラシレスモータを駆動するモータ制御手段とをさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
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