JP2009154758A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スイッチング素子の短絡故障を迅速に検出することができる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】バッテリ7と補助電源9との直列電源からモータ4への電力供給時に、補助電源9の電圧による電流が上流側へ逆流することを防止するMOS−FET13は、正常であればオフ状態であるから、その両端の電圧は補助電源9の電圧分の差が生じるはずである。そこで、補助電源9からモータ4への電力供給時に、MOS−FET13の両端の電圧を2つの電圧検出器23,25で検出し、その電位差が所定値以下であれば、制御回路24は、MOS−FET13に短絡故障を生じていると判断して、故障信号を出力する。MOS−FET15についても同様である。
【選択図】図2

Description

本発明は、モータにより操舵補助力を生じさせる電動パワーステアリング装置に関し、特にその電気回路の構成に関する。
電動パワーステアリング装置は、運転者の操舵トルクに応じてモータにより操舵補助力を生じさせる装置である。近年、大型車への電動パワーステアリング装置の需要が急増しており、かかる大型車の場合、必要とされる操舵補助力も増大する。従って、より大きな電力をモータに供給しなければならない。しかし、バッテリだけでは、このような大電力を十分にまかなえない場合がある。そこで、バッテリとは別に補助電源を設け、通常はバッテリのみで対応し、より大きな電力を必要とするときはバッテリと補助電源とを互いに直列に接続した高電圧により電力を供給する、という構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−287222号公報(図1)
上記のように必要に応じて補助電源を使用する電動パワーステアリング装置の電気回路として一般的に考えられるのは、バッテリ及び補助電源の直列電源により電力供給を行う電路を、バッテリのみから電力供給を行う電路とは別系統で設け、2つの電路を途中で互いに合流させ、モータの駆動回路に導く、という形態である。そして、各電路にはそれぞれMOS−FET等のスイッチング素子が介挿され、2つのスイッチング素子は、交互にオン状態になるよう制御される。
ところが、例えば、バッテリのみから電力供給を行う電路に介挿されたスイッチング素子に短絡故障(例えば、MOS−FETのソースとドレインとが短絡した状態)が発生すると、直列電源により高電圧で電力供給を行うとき、補助電源の電圧による電流が合流点から上流側に逆流し、補助電源を電源として、共にオン状態(但し、一方は短絡)の2つのスイッチング素子を含む閉回路を還流する。従って、高電圧による電力供給はできなくなり、還流による無駄な放電が行われる状態となる。そして、バッテリのみによる通常の電力供給の状態に戻ると、故障したスイッチング素子の状態が、正常なオン状態と実質的に同じであるため、故障した事実が発覚しにくい。
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、スイッチング素子の短絡故障を迅速に検出することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明は、モータにより操舵補助力を生じさせる電動パワーステアリング装置であって、前記モータに電力を供給するバッテリと、前記バッテリと直列に接続され、前記モータに電力を供給することが可能な補助電源と、前記バッテリを電源として前記補助電源を充電する充電回路と、前記モータを駆動するモータ駆動回路と、前記バッテリの電圧を前記モータ駆動回路に導く第1電路に介挿された第1のスイッチング素子と、前記バッテリに前記補助電源を直列に接続した電圧を前記モータ駆動回路に導き、かつ、前記第1のスイッチング素子の下流側で前記第1電路と合流する第2電路の、当該合流点より上流側に介挿された第2のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の少なくとも一方について、その両端の電位差を検出する電圧検出手段と、必要とされる操舵補助力に応じて前記第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子のいずれか一方をオフ状態として他方をオン状態とするよう制御する他、前記補助電源が一定値以上の電圧を有し、かつ、他方のスイッチング素子がオン状態のときの一方のスイッチング素子についてその両端の電位差が所定値以下である場合、当該一方のスイッチング素子が故障していると判断して故障信号を出力する制御回路とを備えたものである。
上記のように構成された電動パワーステアリング装置において、制御回路は、補助電源が一定値以上の電圧を有し、かつ、他方のスイッチング素子がオン状態の場合の一方のスイッチング素子の両端の電位差を所定値と比較する。他方のスイッチング素子がオン状態のときは、一方のスイッチング素子は本来オフ状態であるので、当該電位差として補助電源の有する電圧(端子間電圧)が検出されるはずであるが、短絡故障を生じている場合には、当該電位差は所定値以下(0に近い値)となる。そこで、制御回路は、当該電位差が所定値以下である場合、一方のスイッチング素子が故障していると判断して故障信号を出力する。
また、上記電動パワーステアリング装置において、制御回路は、一方のスイッチング素子が故障していると判断したとき、充電回路の機能を停止させることが好ましい。
一方のスイッチング素子が短絡故障すると、他方のスイッチング素子がオン状態となることにより補助電源を電源として2つのスイッチング素子を含む閉回路を還流する放電電流が流れるが、充電回路の機能を停止させることにより、故障検出以後の無駄な充電を防止することができる。
また、上記電動パワーステアリング装置において、制御回路は、一方のスイッチング素子が故障していると判断したときも、操舵補助のための制御を継続するようにしてもよい。
この場合、一方の又は他方のスイッチング素子を介してバッテリからモータ駆動回路に電圧を供給し、モータを駆動することができる。従って、故障の検出によって直ちに操舵補助力が失われるという不便を、防止することができる。
本発明の電動パワーステアリング装置によれば、所定の条件下でスイッチング素子の両端の電位差が所定値以下であるという事象を捉えることにより、従来発覚しにくかったスイッチング素子の短絡故障を迅速に検出することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置1の、電気回路を主体とした概略構成を示す回路図であり、特に、主回路(制御回路以外)を示す回路図である。図において、ステアリング装置2は、ステアリングホイール(ハンドル)3に付与される運転者の操舵トルクと、モータ4が発生する操舵補助力とによって駆動される。モータ4のロータ4rからステアリング装置2への動力伝達には減速機(図示せず。)が使用されている。モータ4は、3相ブラシレスモータであり、モータ駆動回路5により駆動される。モータ駆動回路5は、3相ブリッジ回路を構成するMOS−FET51〜56と、抵抗57とが図示のように接続されたものである。モータ駆動回路5には、平滑用の電解コンデンサ6が並列に接続されている。バッテリ7からモータ駆動回路5への電力供給は、充放電回路8及びリアクトル14を介して行われる。
補助電源9は、上記バッテリ7とは別に設けられ、充放電回路8に接続されている。補助電源9は、電気二重層コンデンサやリチウムイオン電池で構成されている。
図2は、図1に加えて、充放電回路8の具体的な構成の他、制御用の回路要素や回路接続を記載した回路図である。図において、モータ駆動回路5内のMOS−FET51〜56(図1)は、ゲート駆動回路(例えばFETドライバである。以下同様。)11によってスイッチングされる。なお、このゲート駆動回路11や、後述の他のゲート駆動回路17には、制御電源電圧Vccを昇圧回路(図示せず。)で昇圧した電圧が付与されるようになっている。
バッテリ7の電圧は、リレー接点12、MOS−FET13及びリアクトル14が介挿された電路L1,L3を経て、モータ駆動回路5及びモータ4に導かれる。このMOS−FET13はNチャネルであり、ソースがバッテリ7側、ドレインがモータ駆動回路5側になるように、接続されている。また、寄生ダイオード13dは、バッテリ7からモータ4に電力を供給するときに電流が流れる方向が順方向となるように構成されている。バッテリ7の+側端子は、開閉制御可能なスイッチとしてのリレー接点12を介して、電路L1と接続されている。
補助電源9は、電路L1と、他の電路L2との間に設けられている。補助電源9の高電位側の電路L2は、MOS−FET15を介して、MOS−FET13の下流側で電路L1と合流し、電路L3に至る。合流点Pから見て、MOS−FET15は上流側にある。従って、もしMOS−FET13,15が共にオン状態であれば、これらは補助電源9を含む閉回路を構成する可能性がある配置となっている。MOS−FET15はNチャネルであり、ソースがモータ駆動回路5側、ドレインが補助電源9側になるように、接続されている。また、寄生ダイオード15dは、補助電源9からモータ4に電力を供給するときに電流が流れる方向とは逆向きになっている。
また、MOS−FET13及び15は、ゲート駆動回路17により、交互にオン状態となるように駆動される。
一方、電路L1には、リアクトル18を介してダイオード19のアノードが接続されている。また、ダイオード19のカソードは補助電源9の高電位側の電路L2に接続されている。ダイオード19のアノードと接地側電路LGとの間には、PチャネルのMOS−FET20が設けられている。MOS―FET20は、ゲート駆動回路21により駆動される。
また、バッテリ7は、ダイオード22を介して、制御電源電圧Vccの供給源となる。ダイオード22のカソード側には電圧検出器23が接続されている。この電圧検出器23は、バッテリ7の出力する電圧V1をMOS−FET13の上流側で検出して、その検出信号を制御回路24に送る。一方、電路L3にも電圧検出器25が接続されており、この電圧検出器25は、モータ駆動回路5に印加される電圧VoをMOS−FET13の下流側で検出して、その検出信号を制御回路24に送る。ここで、電圧V1はMOS−FET13のソースに印加される電圧に等しく、電圧VoはMOS−FET13のドレインに印加される電圧に等しい。2つの電圧検出器23,25は、制御回路24との協働により、MOS−FET13の両端(ソース、ドレイン)の電位差を検出する電圧検出手段を構成している。
一方、電路L2には、電圧検出器26が接続されている。この電圧検出器26は、電路L2の電圧すなわち、バッテリ7に補助電源9を直列に接続した電圧V2をMOS−FET15の上流側で検出して、その検出信号を制御回路24に送る。また、上記の電圧検出器25は、モータ駆動回路5に印加される電圧VoをMOS−FET15の下流側で検出して、その検出信号を制御回路24に送っている。ここで、電圧V2はMOS−FET15のドレインに印加される電圧に等しく、電圧VoはMOS−FET15のソースに印加される電圧に等しい。2つの電圧検出器26,25は、制御回路24との協働により、MOS−FET15の両端(ソース、ドレイン)の電位差を検出する電圧検出手段を構成している。
上記のMOS−FET13、MOS−FET15、ゲート駆動回路17、リアクタンス18、ダイオード19、MOS−FET20、及び、ゲート駆動回路21は、図1における充放電回路8を構成している。また、そのうちの、リアクタンス18、ダイオード19、MOS−FET20、及び、ゲート駆動回路21は、バッテリ7を電源として補助電源9を充電する充電回路10を構成している。
上記ゲート駆動回路11,17,21及び、リレー接点12は、マイクロコンピュータを含む制御回路24の指令信号を受けて動作する。この制御回路24には、ステアリングホイール3に付与された操舵トルクを検出するトルクセンサ27から、その出力信号が入力される。また、車速を検出する車速センサ28の出力信号が、制御回路24に入力される。モータ4には、ロータ4rの回転角度位置を検出する角度センサ29が設けられており、その出力信号が制御回路24に入力される。
上記のように構成された電動パワーステアリング装置1が正常に動作しているとき、リレー接点12は、制御回路24からの指令信号により、オン(閉)の状態となっている。従って、バッテリ7からの電圧が電路L1に印加されている。制御回路24は、操舵トルク及び車速に基づいて、必要とされる操舵補助力を得るための所要電力を推定し、これを基準値と比較する。所要電力が基準値以下であるときは、制御回路24の指令信号により、MOS−FET13がオン状態、MOS−FET15がオフ状態となり、バッテリ7の電圧が、リレー接点12、MOS−FET13及びリアクトル14を介して、モータ駆動回路5に導かれる。
制御回路24は、トルクセンサ27から送られてくる操舵トルク信号、車速センサ28から送られてくる車速信号、及び、角度センサ29から送られてくるロータ角度位置信号に基づいて、適切な操舵補助力を発生させるべく、ゲート駆動回路11を介してモータ駆動回路5を動作させ、モータ4を駆動させる。
なお、この場合、NチャネルMOS−FET13のオン抵抗は、寄生ダイオード13dの順方向抵抗に比べて格段に小さい(例えば1mΩ程度)ため、バッテリ7からモータ駆動回路5に流れる電流の大部分は、ソースからドレインを通り、寄生ダイオード13dに流れる電流は僅かである。
一方、MOS−FET20がオン状態のときは、バッテリ7からリレー接点12、リアクトル18及びMOS−FET20を通って電流が流れる。その状態からMOS−FET20がオフ状態に転じると、電流遮断による磁束変化を妨げるように逆向きの高電圧がリアクトル18に発生し、これにより、ダイオード19を介して、補助電源9が充電される。従って、MOS−FET20のオン・オフを繰り返すことにより、補助電源9を充電することができる。制御回路24は、補助電源9の電圧(V2−V1)を監視し、一定の電圧に達していない場合には、ゲート駆動回路21を介してMOS−FET20をオン・オフさせ、補助電源9を充電する。この充電は、例えば、トルクセンサ27が操舵トルクを検出していないときに行われる。
次に、所要電力が基準値を超えるとき、すなわち、バッテリ7のみでは所要電力をまかないきれないときは、制御回路24はMOS−FET13をオフ状態とし、MOS−FET15をオン状態とする。この結果、バッテリ7と補助電源9とが互いに直列に接続された状態で、その出力電圧がモータ駆動回路5に供給される。これにより、バッテリ7のみの出力可能電力を超える大電力を、モータ駆動回路5に供給することができる。なお、このとき、MOS−FET13の寄生ダイオード13dのカソードはアノードより高電位、すなわち、逆電圧であることにより、補助電源9からの電流が電路L1に流入することは、阻止される。
次に、制御回路24において行われるMOS−FET13に関する故障判定について、図3のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートの処理は、短い周期で繰り返し実行される。まず、ステップS0において制御回路24は、補助電源9が一定値以上の電圧を有しているか否かを判断する。この一定値とは、補助電源9からモータ4に電力供給を行うことが可能な状態か否かの基準となる電圧値であり、一定値未満であれば、補助電源9が既にほとんどの電荷を放電させた状態か、又は、正常に充電できない状態となっていることを意味する。そこで、電圧が一定値未満であれば、次のステップに進むことなく処理は終了となる。一方、一定値以上であれば、補助電源9の放電による電力供給が可能であり、次のステップS1が実行される。
続いて、ステップS1において制御回路24は、MOS−FET15がオン状態であるか否か、すなわち、補助電源9が放電中の状態であるか否かを判断する。ここで、MOS−FET15がオフ状態であれば、次のステップに進むことなく処理は終了となる。MOS−FET15がオン状態であれば、ステップS2に進み、電圧検出器25の検出する電圧Voと、電圧検出器23の検出する電圧V1との電位差ΔV(=Vo−V1)が所定値以下であるか否かの判断が行われる。
ここで、MOS−FET15がオン状態のとき、MOS−FET13は、正常であればオフ状態である。また、寄生ダイオード13dについてはカソード側がアノード側より高電位となるので電路L3の電位は、電路L1に影響を与えない。従って、電位差ΔVは、接地電路LGに対する電路L2(L3も同じ)の電圧からバッテリ7の電圧を減じた値、すなわち、補助電源9の端子間電圧となり、所定値(例えば、少なくとも1V)を超える電圧となる。従って、ステップS2における判断は「NO」であり、処理は終了となる。
一方、MOS−FET13が、ソース−ドレイン間で短絡故障を生じている場合には、電圧VoとV1とは互いにほとんど同じ値となり、電位差ΔVは上記所定値以下となる。すなわち、電位差ΔVが所定値以下であれば、MOS−FET13が短絡故障を生じている。そこで、制御回路24は、MOS−FET13が故障したことを示す故障信号を出力する(ステップS3)。この故障信号は、例えば車両の計器パネルに表示灯で表示される。また、必要により警告音を発生させてもよい。このようにして、MOS−FET13の短絡故障を運転者に知らせることができる。
以上のように、ステップS1,S2の所定の条件下で2つの電圧検出器23,25の検出する電位差が所定値以下であるという事象を捉えることにより、従来発覚しにくかったMOS−FET13の短絡故障を迅速に検出することができる。
なお、故障信号を出力後も、制御回路24は、リレー接点12のオン状態を維持し、モータ駆動回路5に対するアシスト制御(操舵補助のための制御)を継続する。これにより、故障したMOS−FET13を介してバッテリ7からモータ駆動回路5に電圧が供給され、モータ4を駆動することができる。従って、短絡故障の検出によって直ちに操舵補助力が失われるという不便を、防止することができる。
また、制御回路24は、故障検出により、それ以後の充電制御を停止する(ステップS4)。これによって、充電回路10(図2)のMOS−FET20はオフ状態のままとなり、補助電源9の新たな充電は行われない状態となる。MOS−FET13の短絡故障時にMOS−FET15がオン状態となると、2つのMOS−FET13,15を通じて補助電源9は急速に放電する状態となるが、新たな充電が行われないことにより、故障検出以後の無駄な充電を防止することができる。
同様に、制御回路24において行われるMOS−FET15に関する故障判定について、図4のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートの処理は、短い周期で繰り返し実行される。まず、ステップS0において制御回路24は、補助電源9が一定値以上の電圧を有しているか否かを判断する。電圧が一定値未満であれば、次のステップに進むことなく処理は終了となる。一方、一定値以上であれば、次のステップS1が実行される。
続いて、ステップS1において制御回路24は、MOS−FET13がオン状態であるか否か、すなわち、バッテリ7のみから電力供給を行っている状態であるか否かを判断する。ここで、MOS−FET13がオフ状態であれば、次のステップに進むことなく処理は終了となる。MOS−FET13がオン状態であれば、ステップS2に進み、電圧検出器25の検出する電圧Voと、電圧検出器26の検出する電圧V2との電位差ΔV(=V2−Vo)が所定値以下であるか否かの判断が行われる。
ここで、MOS−FET13がオン状態のとき、MOS−FET15は、正常であればオフ状態である。また、寄生ダイオード15dについてはカソード側がアノード側より高電位となるので電路L2の電位は、電路L3に影響を与えない。従って、電位差ΔVは、接地電路LGに対する電路L2の電圧からバッテリ7の電圧を減じた値、すなわち、補助電源9の端子間電圧となり、所定値(例えば、少なくとも1V)を超える電圧となる。従って、ステップS2における判断は「NO」であり、処理は終了となる。
一方、MOS−FET15が、ソース−ドレイン間で短絡故障を生じている場合には、電圧VoとV2とは互いにほとんど同じ値となり、電位差ΔVは上記所定値以下となる。すなわち、電位差ΔVが所定値以下であれば、MOS−FET15が短絡故障を生じている。そこで、制御回路24は、MOS−FET15が故障したことを示す故障信号を出力する(ステップS3)。この故障信号は、例えば車両の計器パネルに表示灯で表示される。また、必要により警告音を発生させてもよい。このようにして、MOS−FET15の短絡故障を運転者に知らせることができる。
以上のように、ステップS1,S2の所定の条件下で2つの電圧検出器26,25の検出する電位差が所定値以下であるという事象を捉えることにより、従来発覚しにくかったMOS−FET15の短絡故障を迅速に検出することができる。
なお、故障信号を出力後も、制御回路24は、リレー接点12のオン状態を維持し、モータ駆動回路5に対するアシスト制御(操舵補助のための制御)を継続する。これにより、オン状態のMOS−FET13を介してバッテリ7からモータ駆動回路5に電圧が供給され、モータ4を駆動することができる。従って、短絡故障の検出によって直ちに操舵補助力が失われるという不便を、防止することができる。
また、制御回路24は、故障検出により、それ以後の充電制御を停止する(ステップS4)。これによって、充電回路10(図2)のMOS−FET20はオフ状態のままとなり、補助電源9の新たな充電は行われない状態となる。MOS−FET15の短絡故障時にMOS−FET13がオン状態となると、2つのMOS−FET15,13を通じて補助電源9は急速に放電する状態となるが、新たな充電が行われないことにより、故障検出以後の無駄な充電を防止することができる。
なお、上記実施形態における2つの電圧検出器23,25の接続位置は一例であり、要するに、MOS−FET13,15の各々の両端(ソース、ドレイン)の電圧が検出できればよい。但し、図2における電圧検出器23の接続位置は、バッテリ7から制御電源電圧Vccを得るための配線を利用することができる点において意義がある。
また、上記実施形態における各スイッチング素子(13,15,20)は全てMOS−FETとしたが、その他の半導体スイッチング素子を使用することも可能である。
また、上記実施形態では、モータ4への電力供給に補助電源9を使用するか否かを決めるに当たって、制御回路24は、必要とされる操舵補助力を得るための所要電力を推定し、これを基準値と比較するとしたが、これ以外の決め方も可能である。例えば、モータ駆動回路5に供給される電流は、制御回路24、ゲート駆動回路11及びモータ駆動回路5によるアシスト制御によって、必要とされる操舵補助力に応じて変化する。従って、バッテリ7の電圧と、モータ駆動回路5に供給される電流とを実際に検出して、これらを乗じて電力の現在値を求め、この現在値が、バッテリ7のみから電力供給する場合の最大電力以下であればバッテリ7のみから電力を供給し、当該最大電力を超えていればバッテリ7と補助電源9との直列電源から電力を供給する、としてもよい。
本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の、電気回路を主体とした概略構成を示す回路図であり、特に、主回路(制御回路以外)を示す回路図である。 図1に加えて、充放電回路の具体的な構成の他、制御用の回路要素や回路接続を記載した回路図である。 故障判定のフローチャートである。 故障判定のフローチャートである。
符号の説明
1 電動パワーステアリング装置
4 モータ
5 モータ駆動回路
7 バッテリ
9 補助電源
10 充電回路
13 MOS−FET(第1のスイッチング素子)
15 MOS−FET(第2のスイッチング素子)
23 電圧検出器
24 制御回路
25 電圧検出器
26 電圧検出器

Claims (3)

  1. モータにより操舵補助力を生じさせる電動パワーステアリング装置であって、
    前記モータに電力を供給するバッテリと、
    前記バッテリと直列に接続され、前記モータに電力を供給することが可能な補助電源と、
    前記バッテリを電源として前記補助電源を充電する充電回路と、
    前記モータを駆動するモータ駆動回路と、
    前記バッテリの電圧を前記モータ駆動回路に導く第1電路に介挿された第1のスイッチング素子と、
    前記バッテリに前記補助電源を直列に接続した電圧を前記モータ駆動回路に導き、かつ、前記第1のスイッチング素子の下流側で前記第1電路と合流する第2電路の、当該合流点より上流側に介挿された第2のスイッチング素子と、
    前記第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の少なくとも一方について、その両端の電位差を検出する電圧検出手段と、
    必要とされる操舵補助力に応じて前記第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子のいずれか一方をオフ状態として他方をオン状態とするよう制御する他、前記補助電源が一定値以上の電圧を有し、かつ、他方のスイッチング素子がオン状態のときの一方のスイッチング素子についてその両端の電位差が所定値以下である場合、当該一方のスイッチング素子が故障していると判断して故障信号を出力する制御回路と
    を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記制御回路は、前記一方のスイッチング素子が故障していると判断したとき、前記充電回路の機能を停止させる請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記制御回路は、前記一方のスイッチング素子が故障していると判断したときも、操舵補助のための制御を継続する請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
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