JP2013162621A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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繁一 奥村
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Abstract

【課題】ブラシレスモータの駆動回路内の1つのスイッチング素子が短絡故障した場合に、ブラシレスモータを駆動できるとともに、ブラシレスモータの低速域において運転者がアシスト力不足を感じにくくなる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】駆動回路30内の1つのFET31が短絡故障した場合には、制御部40は短絡故障が発生しているFETを特定する。そして、制御部40は、検出操舵トルクに基づいて電動モータ18に供給すべき電流に対応した電圧指令値を設定する。この後、制御部40は、モータ回転数に基づいて、電圧指令値を補正する。つまり、制御部40は、モータ回転数が所定の閾値以下である場合に、電圧指令値を増加補正する。
【選択図】図2

Description

この発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
電動パワーステアリング装置に使用されているブラシレスモータの駆動回路は、FET(Field Effect Transistor)などのスイッチング素子を含んでいる。スイッチング素子に故障が発生すると、ステアリングホイールを操作するときにブラシレスモータが負荷となり、操舵が重くなるおそれがある。このような問題に対処するために、ブラシレスモータと駆動回路との結線にリレーが挿入されている。たとえば、三相ブラシレスモータの場合には、二相のモータ結線にそれぞれリレーを挿入し、無制御時およびスイッチング素子の故障時には、それらのリレーをオフするようにしている。
特開2010-246210号公報
前述した従来技術では、モータ駆動回路内の1つのスイッチング素子が短絡故障した時には、三相ブラシレスモータを駆動することができなくなり、操舵補助力(アシストトルク)を発生させることができなくなる。
そこで、本願発明者は、三相ブラシレスモータの駆動回路内の1つのスイッチング素子が短絡故障した場合に、三相ブラシレスモータの駆動が可能となるロータ回転角領域を制御可能領域として特定する制御可能領域特定手段と、三相ブラシレスモータのロータ回転角が制御可能領域にあるときに、三相ブラシレスモータを駆動するモータ制御手段とを含む電動パワーステアリング装置を開発した。この場合、三相ブラシレスモータは、例えば、120°矩形波駆動方式で駆動される。
制御可能領域特定手段は、たとえば、短絡故障したスイッチング素子以外の全てのスイッチング素子がオフとなっている状態において三相ブラシレスモータのロータが回転されたときに、2つの正常相のいずれにも負荷電流が流れないロータ回転角領域を可能領域とし、2つの正常相のうちのいずれか一方にのみ負荷電流が流れるロータ回転角領域を不定領域とし、2つの正常相の両方に負荷電流が流れるロータ回転角領域を不可領域とすると、可能領域および不定領域からなる領域を制御可能領域として特定し、不可領域を制御不能領域として特定する。
三相ブラシレスモータの駆動回路内の1つのスイッチング素子が短絡故障した場合に、前述したようなモータ制御を行なうと、制御可能領域では三相ブラシレスモータが駆動されるが、制御不能領域では三相ブラシレスモータは駆動されないため、アシストトルクが発生されない制御不能領域において運転者は操舵方向と反対方向の抵抗を感じるおそれがある。特に、操舵開始時等のように三相ブラシレスモータが低速で回転されている場合には、三相ブラシレスモータが高速で回転されている場合に比べて、ロータ回転角が制御不能領域内に入る回転角度となってから制御不能領域を脱出する回転角度になるまでの時間が長くなるため、運転者は制御不能領域において抵抗を感じやすくなる。このため、三相ブラシレスモータが低速で回転されている場合には、運転者はアシスト力不足を感じる。
この発明の目的は、ブラシレスモータの駆動回路内の1つのスイッチング素子が短絡故障した場合に、ブラシレスモータを駆動できるとともに、ブラシレスモータの低速域において運転者がアシスト力不足を感じにくくなる電動パワーステアリング装置を提供することである。
請求項1に記載の発明は、ブラシレスモータ(18)によって転舵機構(4)に駆動力を付与する電動パワーステアリング装置(1)であって、前記ブラシレスモータの回転数を検出する回転数検出手段(23,40)と、複数のスイッチング素子(31UH,31UL;31VH,31VL;31WH,31WL)を含み、前記ブラシレスモータを駆動するための駆動回路(30)と、前記駆動回路内の1つのスイッチング素子に短絡故障が発生した場合に、短絡故障したスイッチング素子を特定するとともに、前記ブラシレスモータを駆動することが可能なロータ回転角領域である制御可能領域を特定する手段(40,S22,S29,S30)と、前記制御可能領域において、前記駆動回路を介して、前記ブラシレスモータを駆動制御する故障時モータ制御手段(40,S26,S27,S28,S31)とを含み、前記故障時モータ制御手段は、前記ブラシレスモータに供給すべき電流に対応した制御指令値を設定する制御指令値設定算手段(40,S26)と、前記回転数検出手段によって検出されるモータ回転数に基づいて、前記制御指令値設定算手段によって設定された制御指令値を補正する指令値補正手段(40,S27,S28)と、前記制御可能領域において、前記指令値補正手段による補正後の制御指令値に基づいて、前記駆動回路を制御する制御手段(40,S31)とを含み、前記指令値補正手段は、前記回転数検出手段によって検出されるモータ回転数が所定の閾値以下であるときに、前記制御指令値設定算手段によって設定された制御指令値を増加補正するように構成されている、電動パワーステアリング装置である。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
この発明によれば、ブラシレスモータの駆動回路内の1つのスイッチング素子が短絡故障した場合に、ブラシレスモータを駆動できる。また、この発明では、モータ回転数が所定の閾値以下であるときに、制御指令値が増加補正されるから、モータ回転数の低速域において、平均的なアシストトルクを増加させることができる。これにより、モータ回転数の低速域において、運転者がアシスト力不足を感じにくくなる。
なお、前記制御指令値設定手段は、たとえば、トルクセンサによって検出される検出操舵トルクを少なくとも含む検出値に基づいて、制御指令値を設定するものであってもよい。
請求項2記載の発明は、前記指令値補正手段は、前記回転数検出手段によって検出されるモータ回転数に基づいて、補正ゲインを設定する補正ゲイン設定手段(40,S27)と、前記制御指令値設定算手段によって設定された制御指令値に、前記補正ゲイン設定手段によって設定された補正ゲインを乗算することにより、最終的な制御指令値を演算する乗算手段(40,S28)とを含み、前記補正ゲイン設定手段は、前記回転数検出手段によって検出されるモータ回転数が前記閾値より大きいときには補正ゲインを1に設定し、前記回転数検出手段によって検出されるモータ回転数が前記閾値以下であるときには補正ゲインを1より大きな所定値に設定するように構成されている、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置である。
請求項3記載の発明は、ブラシレスモータ(18)によって転舵機構(4)に駆動力を付与する電動パワーステアリング装置(1)であって、前記ブラシレスモータの回転数を検出する回転数検出手段(23,40)と、複数のスイッチング素子(31UH,31UL;31VH,31VL;31WH,31WL)を含み、前記ブラシレスモータを駆動するための駆動回路(30)と、前記駆動回路内の1つのスイッチング素子に短絡故障が発生した場合に、短絡故障したスイッチング素子を特定するとともに、前記ブラシレスモータを駆動することが可能なロータ回転角領域である制御可能領域を特定する手段(40,S22,S29,S30)と、前記制御可能領域において、前記駆動回路を介して、前記ブラシレスモータを駆動制御する故障時モータ制御手段(40,S26,S27,S28,S31)とを含み、前記故障時モータ制御手段は、前記ブラシレスモータに供給すべき電流に対応した制御指令値を設定する制御指令値設定算手段(40,S26)と、前記回転数検出手段によって検出されるモータ回転数に基づいて、前記制御指令値設定算手段によって設定された制御指令値を補正する指令値補正手段(40,S27,S28)と、前記制御可能領域において、前記指令値補正手段による補正後の制御指令値に基づいて、前記駆動回路を制御する制御手段(40,S31)とを含んでおり、前記指令値補正手段は、前記回転数検出手段によって検出されるモータ回転数が所定値以下であり、かつ切り込み方向に操舵が行なわれているときに、前記制御指令値設定算手段によって設定された制御指令値を増加補正するように構成されている、電動パワーステアリング装置である。
この発明によれば、モータ回転数が所定値以下であり、かつ切り込み方向に操舵が行なわれているときには、平均的なアシストトルクを増加させることができるから、運転者がアシスト力不足を感じにくくなる。
請求項4記載の発明は、前記閾値が250[rpm]である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置である。
図1は、この発明の一実施形態に係る車両用操舵装置としての電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。 図2は、モータ制御装置としてのECU12の電気的構成を示すブロック図である。 図3は、制御部40の全体的な動作を示すフローチャートである。 図4は、ローサイドFETが短絡故障した場合に負荷電流が流れる閉回路を示す電気回路図である。 図5は、ハイサイドFETが短絡故障した場合に負荷電流が流れる閉回路を示す電気回路図である。 図6は、電動モータを回転させるべき方向と短絡故障が発生したFETとの組み合わせ毎に、その組合せに対応する「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」を表すマップを示す模式図である。 図7は、全てのFET31が正常である場合に、全てのFET31がオフの状態で、ロータが正転方向に回転されたときの、ロータ回転角θに対する各相の誘起電圧波形V,V,Vの理論値を示すグラフである。 図8Aは、V相のローサイドFET31VLが短絡故障した場合に、他の全てのFETがオフの状態で、ロータが正転方向に回転されたときの、ロータ回転角θに対する各相の誘起電圧波形V’,V’,V’の理論値を示すグラフである。 図8Bは、V相のハイサイドFET31VHが短絡故障した場合に、他の全てのFETがオフの状態で、ロータが正転方向に回転されているときの、ロータ回転角θに対する各相の誘起電圧波形V’,V’,V’の理論値を示すグラフである。 図9は、図3のステップS5の異常時制御処理において実行されるモータ回転数演算処理を示すフローチャートである。 図10は、図3のステップS5の異常時制御処理において実行されるメイン処理を示すフローチャートである。 図11は、検出操舵トルクに対する電圧指令値の設定例を示すグラフである。 図12は、モータ回転数nに対する補正ゲインG(n)の設定例を示すグラフである。 図13は、全てのFET31が正常である場合に120°矩形波駆動方式によって電動モータ18を正転方向に回転駆動するときの通電パターンを示す模式図である。
以下では、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
電動パワーステアリング装置1は、車両を操向するための操舵部材としてのステアリングホイール2と、このステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、運転者の操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
ステアリングシャフト6は、ステアリングホイール2に連結された入力軸8と、中間軸7に連結された出力軸9とを含む。入力軸8と出力軸9とは、トーションバー10を介して相対回転可能に連結されている。
ステアリングシャフト6の周囲には、トルクセンサ11が配置されている。トルクセンサ11は、入力軸8および出力軸9の相対回転変位量に基づいて、ステアリングホイール2に与えられた操舵トルクTを検出する。この実施形態では、トルクセンサ11の出力信号は、ステアリングホイール2が左方向(正転方向)に操舵された場合には、零以上の値となり、ステアリングホイール2に加えられた操舵トルクが大きいほど大きくなるように変化する。また、トルクセンサ11の出力信号は、ステアリングホイール2が右方向(逆転方向)に操舵された場合には、零未満の値となり、ステアリングホイール2に加えられた操舵トルクが大きいほど小さくなるように変化する。
転舵機構4は、ピニオン軸13と、転舵軸としてのラック軸14とを含むラックアンドピニオン機構からなる。ラック軸14の各端部には、タイロッド15およびナックルアーム(図示略)を介して転舵輪3が連結されている。ピニオン軸13は、中間軸7に連結されている。ピニオン軸13は、ステアリングホイール2の操舵に連動して回転するようになっている。ピニオン軸13の先端には、ピニオン16が連結されている。
ラック軸14は、自動車の左右方向(直進方向に直交する方向)に沿って直線状に延びている。ラック軸14の軸方向の中間部には、ピニオン16に噛み合うラック17が形成されている。このピニオン16およびラック17によって、ピニオン軸13の回転がラック軸14の軸方向移動に変換される。ラック軸14を軸方向に移動させることによって、転舵輪3を転舵することができる。
ステアリングホイール2が操舵(回転)されると、この回転が、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して、ピニオン軸13に伝達される。そして、ピニオン軸13の回転は、ピニオン16およびラック17によって、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。
操舵補助機構5は、操舵補助用の電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを転舵機構4に伝達するための減速機構19とを含む。電動モータ18は、この実施形態では、三相ブラシレスモータからなる。電動モータ18の近傍には、電動モータ18のロータの回転角θ(電気角)を検出するための、例えばレゾルバからなる回転角センサ23が配置されている。減速機構19は、ウォーム軸20と、このウォーム軸20と噛み合うウォームホイール21とを含むウォームギヤ機構からなる。減速機構19は、伝達機構ハウジングとしてのギヤハウジング22内に収容されている。
ウォーム軸20は、電動モータ18によって回転駆動される。また、ウォームホイール21は、ステアリングシャフト6とは同方向に回転可能に連結されている。ウォームホイール21は、ウォーム軸20によって回転駆動される。
電動モータ18によってウォーム軸20が回転駆動されると、ウォームホイール21が回転駆動され、ステアリングシャフト6が回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォーム軸20を回転駆動することによって、転舵輪3が転舵されるようになっている。
電動モータ18は、モータ制御装置としてのECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)12によって制御される。ECU12には、トルクセンサ11の出力信号、回転角センサ23の出力信号等が入力されている。ECU12は、トルクセンサ11によって検出される操舵トルクTに基づいて電圧指令値(制御指令値)を設定し、設定された電圧指令値に応じて、電動モータ18をPWM(Pulse Width Modulation)制御する。
図2は、モータ制御装置としてのECU12の電気的構成を示す概略図である。電動モータ18は、U相界磁コイル18U、V相界磁コイル18V、W相界磁コイル18Wを有するステータと、永久磁石が固定されたロータとを備えている。
ECU12は、電動モータ18の駆動電力を生成する駆動回路30と、駆動回路30を制御するための制御部40とを備えている。制御部40は、CPUとこのCPUの動作プログラム等を記憶したメモリ(ROM,RAM,不揮発性メモリ等)とを含むマイクロコンピュータで構成されている。
駆動回路30は、三相ブリッジインバータ回路である。この駆動回路30では、電動モータ18のU相に対応した一対のFET(電界効果トランジスタ)31UH,31ULの直列回路と、V相に対応した一対のFET31VH,31VLの直列回路と、W相に対応した一対のFET31WH,31WLの直列回路とが、直流電源33と接地34との間に並列に接続されている。また、各FET31UH〜31WLには、それぞれ回生ダイオード32UH〜32WLが、接地34側から直流電源33側に順方向電流が流れるような向きで、並列に接続されている。
以下において、各相の一対のFETのうち、電源側のものを「ハイサイドFET」または「上段FET」といい、接地34側のものを「ローサイドFET」または「下段FET」という場合がある。また、6つのFET31UH〜31WLを総称するときには、「FET31」ということにする。同様に、6つの回生ダイオード32UH〜32WLを総称するときには、「回生ダイオード32」ということにする。
電動モータ18のU相界磁コイル18Uは、U相に対応した一対のFET31UH,31ULの間の接続点に接続されている。電動モータ18のV相界磁コイル18Vは、V相に対応した一対のFET31VH,31VLの間の接続点に接続されている。電動モータ18のW相界磁コイル18Wは、W相に対応した一対のFET31WH,31WLの間の接続点に接続されている。
制御部40には、回転角センサ23の出力信号と、トルクセンサ11の出力信号と、図示しない相電圧検出回路によって検出される各相の相電圧V,V,Vが入力される。
図3は、制御部40の全体的な動作を示すフローチャートである。
制御部40は、FET31に故障が発生しているか否かを監視する(ステップS1)。FET31に故障が発生していないときには(ステップS1:NO)、制御部40は、通常時制御処理を行なう(ステップS2)。つまり、制御部40は、各FET31を制御することにより、電動モータ18を180°通電正弦波駆動する。
具体的には、制御部40は、たとえば、トルクセンサ11によって検出された操舵トルクに基づいて正弦波駆動のための電圧指令値を生成し、生成した電圧指令値に応じて各FET31をPWM(Pulse Width Modulation)制御する。
通常時制御処理が行われているときに、電源オフ指令等の制御停止指令が入力されると(ステップS3:YES)、制御部40は通常時制御処理を終了する。
前記ステップS2の通常時制御処理が行なわれているときに、FET31に故障が発生すると(ステップS1:YES)、制御部40は、全てのFET31をオフにして電動モータ18の駆動を一旦停止させる(ステップS4)。そして、制御部40は、異常時制御処理を行なう(ステップS5)。異常時制御処理が行われているときにおいて、制御停止指令が入力されると(ステップS6:YES)、制御部40は異常時制御処理を終了する。
異常時制御処理は、短絡故障時に制御可能領域を特定するための処理を含んでいる。制御可能領域とは、短絡故障時に、電動モータ18を回転させるべき方向において、電動モータ18を駆動することが可能なロータ回転角領域(電気角領域)をいう。なお、電動モータ18を回転させるべき方向は、たとえば、トルクセンサ11によって検出される操舵トルクの方向に基づいて決定される。具体的には、検出操舵トルクの方向が左方向であれば、左方向の操舵を補助するモータトルクを発生させるための回転方向(正転方向)が電動モータ18を回転させるべき回転方向として決定され、検出操舵トルクの方向が右方向であれば、右方向の操舵を補助するモータトルクを発生させるための回転方向(逆転方向)が電動モータ18を回転させるべき回転方向として決定される。
異常時制御処理の全体的な動作を説明する前に、制御可能領域を特定するための処理について説明する。以下において、短絡故障した1つのFETを含む相を短絡故障相といい、短絡故障した1つのFETを含まない相を正常相という場合がある。6つのFET31UH〜31WLのうちの1つのFETが短絡故障した場合に、他のFETの全てがオフとなっている状態でロータが回転されたときには、ロータ回転角(電気角)によっては、短絡故障したFETと、正常なFETに並列接続された回生ダイオードとによって形成される閉回路に負荷電流が流れる。この実施形態では、制御部40は、2つの正常相のいずれにも負荷電流が流れない電気角領域を「可能領域」として特定し、2つの正常相のうちのいずれか一方にのみ負荷電流が流れる電気角領域を「不定領域」として特定し、2つの正常相の両方に負荷電流が流れる電気角領域を「不可領域」として特定する。
この実施形態では、「可能領域」と「不定領域」とを合わせた領域が、短絡故障時に電動モータ18を駆動することが可能な「制御可能領域」として特定され、「不可領域」が短絡故障時に電動モータ18を駆動することが不可能な「制御不能領域」として特定される。なお、「可能領域」のみを「制御可能領域」として特定し、「不定領域」と「不可領域」とを合わせた領域を「制御不能領域」として特定するようにしてもよい。
図4に示すように、たとえば、V相のローサイドFET31VLが短絡故障した場合に、他のFETの全てがオフとなっている状態で、運転者による操舵操作によってロータが回転されたとする。そうすると、電動モータ18に誘起電圧が発生する。この誘起電圧により、ロータ回転角(電気角)によっては、符号61で示す第1の閉回路および符号62で示す第2の閉回路の一方または両方に矢印で示す方向に負荷電流が流れるようになる。
第1の閉回路61は、短絡故障したV相のローサイドFET31VLと、正常相であるU相のローサイドFET31ULに並列接続された回生ダイオード32ULと、U相界磁コイル18Uと、V相界磁コイル18Vとを含んでいる。一方、第2の閉回路62は、短絡故障したV相のローサイドFET31VLと、正常相であるW相のローサイドFET31WLに並列接続された回生ダイオード32WLと、W相界磁コイル18Wと、V相界磁コイル18Vとを含んでいる。
したがって、V相のローサイドFET31VLが短絡故障した場合には、「不可領域」、「可能領域」および「不定領域」は、次のようになる。すなわち、前記第1の閉回路61および前記第2の閉回路62の両方に負荷電流が流れる電気角領域が「不可領域」となる。一方、前記第1の閉回路61および前記第2の閉回路62のいずれにも負荷電流が流れない電気角領域が「可能領域」となる。そして、前記第1の閉回路61および前記第2の閉回路62のいずれか一方にのみ負荷電流が流れる電気角領域が「不定領域」となる。
一方、図5に示すように、V相のハイサイドFET31VHが短絡故障した場合において、他のFETの全てがオフとなっている状態で、運転者による操舵操作によってロータが回転されたとする。そうすると、電動モータ18に誘起電圧が発生する。この誘起電圧により、ロータ回転角(電気角)によっては、符号63で示す第3の閉回路および符号64で示す第4の閉回路の一方または両方に矢印で示す方向に負荷電流が流れるようになる。
第3の閉回路63は、短絡故障したV相のハイサイドFET31VHと、V相界磁コイル18Vと、U相界磁コイル18Uと、正常相であるU相のハイサイドFET31UHに並列接続された回生ダイオード32UHとを含んでいる。一方、第4の閉回路64は、短絡故障したV相のハイサイドFET31VHと、V相界磁コイル18Vと、W相界磁コイル18Wと、正常相であるW相のハイサイドFET31WHに並列接続された回生ダイオード32WHとを含んでいる。
したがって、V相のハイサイドFET31VHが短絡故障した場合には、「不可領域」、「可能領域」および「不定領域」は、次のようになる。すなわち、前記第3の閉回路63および前記第4の閉回路64の両方に負荷電流が流れる電気角領域が「不可領域」となる。一方、前記第3の閉回路63および前記第4の閉回路64のいずれにも負荷電流が流れない電気角領域が「可能領域」となる。そして、前記第3の閉回路63および前記第4の閉回路64のいずれか一方にのみ負荷電流が流れる電気角領域が「不定領域」となる。
図4に示すように、V相のローサイドFET31VLが短絡故障している場合において、U相界磁コイル18Uを含む第1の閉回路61に矢印で示す方向に負荷電流が流れるためには、短絡故障相であるV相の相電圧Vが正常相であるU相の相電圧Vより高い(大きい)ことが必要となる。また、この場合、駆動回路30から電動モータ18に向かって流れる電流の極性を正とすると、正常相であるU相の相電流Iの極性は正となる。同様に、W相界磁コイル18Wを含む第2の閉回路62に矢印で示す方向に負荷電流が流れるためには、短絡故障相であるV相の相電圧Vが正常相であるW相の相電圧Vより高いことが必要となる。また、この場合、正常相であるW相の相電流Iの極性は正となる。
図5に示すように、V相のハイサイドFET31VHが短絡故障している場合において、U相界磁コイル18Uを含む第3の閉回路63に矢印で示す方向に負荷電流が流れるためには、短絡故障相であるV相の相電圧Vが正常相であるU相の相電圧Vより低い(小さい)ことが必要となる。また、この場合、正常相であるU相の相電流Iの極性は負となる。同様に、W相界磁コイル18Wを含む第4の閉回路64に矢印で示す方向に負荷電流が流れるためには、短絡故障相であるV相の相電圧Vが正常相であるW相の相電圧Vより低いことが必要となる。また、この場合、正常相であるW相の相電流Iの極性は負となる。
以上のように、「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」は、短絡故障したFETの位置によって異なる。また、電動モータ18が正転方向に回転される場合と逆転方向に回転される場合とでは、短絡故障したFETが同じであっても、各相の誘起電圧波形が異なるため、電動モータ18の回転方向によって、「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」は異なる。
この実施形態では、電動モータ18を回転させるべき方向(CW(clockwise),CCW(counter clockwise))と短絡故障が発生したFETとの組み合わせ毎に、その組合せに対応する「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」を表すマップが予め作成されて、制御部40の不揮発性メモリに格納されている。
図6は、このようなマップの内容例を示している。図6において、CWおよびCCWは、電動モータ18を回転させるべき回転方向を表しており、CWは正転方向を、CCWは逆転方向を表している。U,V,W、上段および下段は、短絡故障したFETの位置を表している。つまり、U,V,Wは、短絡故障相を表している。上段は、短絡故障したFETが上段FET(ハイサイドFET)であることを表し、下段は、短絡故障したFETが下段FET(ローサイドFET)であることを表している。このようなマップは、理論値または計測データに基づいて作成される。
マップを、理論値に基づいて作成する場合について説明する。図7は、全てのFET31が正常である場合に、全てのFET31がオフの状態で、ロータが正転方向に回転されたときの、ロータ回転角θに対する各相の誘起電圧波形V,V,Vの理論値(シミュレーション値)を示している。この例では、U相の誘起電圧波形が正から負へと変化する点がロータ回転角(電気角)θの0°として設定されている。
各相の誘起電圧の理論値V,V,Vは、振幅をEとすると、次式(1)で表される。
=E・sin(θ−π)
=E・sin(θ−π−(2/3)π)
=E・sin(θ−π+(2/3)π) …(1)
図8Aは、V相のローサイドFET31VLが短絡故障した場合に、他の全てのFETがオフの状態で、ロータが正転方向に回転されたときの、ロータ回転角θに対する各相の誘起電圧波形V’,V’,V’の理論値(シミュレーション値)を示している。V相のローサイドFET31VLが短絡故障した場合の各相の誘起電圧V’,V’,V’の理論値は、全てのFET31が正常である場合における各相の誘起電圧の理論値V,V,Vを用いて次式(2)で表される。
’=V−V
’=0
’=V−V …(2)
図8Aに示されるような理論値に基づいて、短絡故障したFETがV相のローサイドFET31VLであり、電動モータ18を回転させるべき方向が正転方向である場合の制御可能領域が特定される。
具体的には、正常相(U相,V相)の両方の誘起電圧V’,V’が、短絡故障相(V相)の誘起電圧V’(図8Aの例では0)より大きくなる電気角領域(図4の第1および第2の閉回路61,62のいずれにも負荷電流が流れない電気角領域)が「可能領域」として特定される。この例では、「可能領域」は150°〜270°となる。
なお、この実施形態では、短絡故障しているFETがローサイドFETである場合には、2つの正常相をA,Bで表すと、「可能領域」のうち、一方の正常相Aの相電圧が他方の正常相Bの相電圧以上となる電気角領域が「可能領域(A)」として特定され、前記他方の正常相Bの相電圧が前記一方の正常相Aの相電圧より大きくなる電気角領域が「可能領域(B)」として特定される。上記の例では、「可能領域」のうち、U相の誘起電圧V’がW相の誘起電圧V’以上となる領域(この例では、210°〜270°)が「可能領域(U)」として特定され、W相の誘起電圧V’がU相の誘起電圧V’より大きくなる領域(この例では、150°〜210°)が「可能領域(W)」として特定される。
また、正常相(U相,V相)の両方の誘起電圧V’,V’が、短絡故障相(V相)の誘起電圧V’以下となる電気角領域(図4の第1および第2の閉回路61,62のいずれにも負荷電流が流れる電気角領域)が「不可領域」として特定される。この例では、「不可領域」は、330°〜90°となる。
そして、「可能領域」と「不可領域」の中間の電気角領域(図4の第1および第2の閉回路61,62のいずれか一方にのみ負荷電流が流れる電気角領域)が「不定領域」として特定される。この例では、「不定領域」は、90°〜150°および270°〜330°となる。
なお、この実施形態では、短絡故障しているFETがローサイドFETである場合には、2つの正常相をA,B、故障相をCで表すと、「不定領域」のうち、一方の正常相Aの相電圧が故障相Cの相電圧より大きくなる電気角領域が「不定領域(A)」として特定され、他方の正常相Bの相電圧が故障相Cの相電圧より大きくなる電気角領域が「不定領域(B)」として特定される。上記の例では、「不定領域」のうち、U相の誘起電圧V’が短絡故障相(V相)の誘起電圧V’より大きくなる電気角領域(270°〜330°)が「不定領域(U)」として特定され、W相の誘起電圧V’が短絡故障相(V相)の誘起電圧V’より大きくなる電気角領域(90°〜150°)が「不定領域(W)」として特定される。
図8Bは、V相のハイサイドFET31VHが短絡故障した場合に、他の全てのFETがオフの状態で、ロータが正転方向に回転されたときの、ロータ回転角θに対する各相の誘起電圧波形V’,V’,V’の理論値(シミュレーション値)を示している。図8Bに示されるような理論値に基づいて、短絡故障したFETがV相のハイサイドFET31VHであり、電動モータ18を回転させるべき方向が正転方向である場合の制御可能領域が特定される。
具体的には、正常相(U相,V相)の両方の誘起電圧V’,V’が、短絡故障相(V相)の誘起電圧V’より小さくなる電気角領域(図5の第3および第4の閉回路63,64のいずれにも負荷電流が流れない電気角領域)が「可能領域」として特定される。この例では、「可能領域」は、330°〜90°となる。
なお、この実施形態では、短絡故障しているFETがハイサイドFETである場合には、2つの正常相をA,Bで表すと、「可能領域」のうち、一方の正常相Aの相電圧が他方の正常相Bの相電圧以下となる電気角領域が「可能領域(A)」として特定され、前記他方の正常相Bの相電圧が前記一方の正常相Aの相電圧より小さくなる電気角領域が「可能領域(B)」として特定される。上記の例では、「可能領域」のうち、U相の誘起電圧V’がW相の誘起電圧V’以下となる領域(この例では、30°〜90°)が「可能領域(U)」として特定され、W相の誘起電圧V’がU相の誘起電圧V’より小さくなる領域(この例では、330°〜30°)が「可能領域(W)」として特定される。
また、正常相(U相,V相)の両方の誘起電圧V’,V’が、短絡故障相(V相)の誘起電圧V’以上となる電気角領域(図5の第3および第4の閉回路63,64のいずれにも負荷電流が流れる電気角領域)が「不可領域」として特定される。この例では、「不可領域」は、150°〜270°となる。
そして、「可能領域」と「不可領域」の中間の電気角領域(図5の第3および第4の閉回路63,64のいずれか一方にのみ負荷電流が流れる電気角領域)が「不定領域」として特定される。この例では、「不定領域」は、90°〜150°および270°〜330°となる。
なお、この実施形態では、短絡故障しているFETがハイサイドFETである場合には、2つの正常相をA,B、故障相をCで表すと、「不定領域」のうち、一方の正常相Aの相電圧が故障相Cの相電圧より小さくなる電気角領域が「不定領域(A)」として特定され、他方の正常相Bの相電圧が故障相Cの相電圧より小さくなる電気角領域が「不定領域(B)」として特定される。上記の例では、「不定領域」のうち、U相の誘起電圧V’が短絡故障相(V相)の誘起電圧V’より小さくなる電気角領域(90°〜150°)が「不定領域(U)」として求められ、W相の誘起電圧V’が短絡故障相(V相)の誘起電圧V’より小さくなる電気角領域(270°〜330°)が「不定領域(W)」として求められる。
同様にして、電動モータ18を回転させるべき方向が正転方向であり、短絡故障したFETがU相のローサイドFET31ULである場合の各領域、電動モータ18を回転させるべき方向が正転方向であり、短絡故障したFETがU相のハイサイドFETUHである場合の各領域、電動モータ18を回転させるべき方向が正転方向であり、短絡故障したFETがW相のローサイドFETWLである場合の各領域および電動モータ18を回転させるべき方向が正転方向であり、短絡故障したFETがW相のローサイドFETWLである場合の各領域が求められる。このようにして求められた各領域に基づいて、電動モータ18を回転させるべき方向が正転方向(CW)である場合のマップが予め作成される。また、同様な方法により、電動モータ18を回転させるべき方向が逆転方向(CCW)である場合のマップが予め作成される。これにより、図6に示すようなマップが得られる。
以下、図3のステップS5の異常時制御処理について説明する。この異常時制御処理においては、メイン処理とモータ回転数演算処理とが実行される。
図9は、図3のステップS5の異常時制御処理において実行されるモータ回転数演算処理を示すフローチャートである。図9の処理は、図3のステップS6で制御停止指令が与えられるまで、所定の第1の演算周期毎に繰り返し実行される。
制御部40は、回転角センサ23の出力信号に基づいて、ロータ回転角θを演算する(ステップS11)。次に、制御部40は、今回演算されたロータ回転角θから前回演算されたロータ回転角θn−1を減算することにより、ロータ角速度ωを演算する(ステップS12)。そして、制御部40は、ロータ角速度ωをモータ回転数n[rpm]に換算する(ステップS13)。
図10は、図3のステップS5の異常時制御処理において実行されるメイン処理を示すフローチャートである。図10の処理は、図3のステップS6で制御停止指令が与えられるまで、所定の第2の演算周期毎に繰り返し実行される。
制御部40は、短絡故障した1つのFET(短絡故障したFETの位置)が既に特定されているか否かを判別する(ステップS21)。短絡故障したFETが特定されていない場合には(ステップS21:NO)、制御部40は、短絡故障が発生しているか否か、および短絡故障が発生している場合には短絡故障が発生しているFETを特定するための処理を行なう(ステップS22)。
具体的には、制御部40は、まず、一次判定処理を行なう。一次判定処理では、制御部40は、各相の相電圧V,V,Vを取得する。そして、いずれかの相電圧が所定のグランドレベルVG(たとえば0.5[V])以下であるという第1条件を満たしているか否か、およびいずれかの相電圧が所定の電源レベルVB(たとえば5.0[V])以上であるという第2条件を満たしているか否かを調べる。第1条件を満たしている場合には、制御部40は、いずれかの相のローサイドFETが短絡故障であると判定する。第2条件を満たしている場合には、制御部40は、いずれかの相のハイサイドFETが短絡故障であると判定する。第1条件および第2条件のいずれをも満たしていない場合には、制御部40は、短絡故障が発生していないと判別する。
一次判定処理によって短絡故障が発生しているFETがハイサイドFETであるかローサイドFETであるかを特定できた場合には、制御部40は、二次判定処理を行なう。二次判定処理においては、制御部40は、電気角に応じて各FET31を制御することにより、電動モータ18に電流を流す(強制転流制御)。そして、制御部40は、各相の相電圧VU,V,を監視し、それらの電圧波形に基づいて、短絡故障が発生しているFETの相(短絡故障相)を特定する。これにより、短絡故障が発生している一つのFETを特定することができる。なお、前述した方法以外の方法によって、短絡故障が発生しているFETを特定してもよい。
前記ステップS22の処理によって短絡故障が発生しているFETを特定できなかった場合(短絡故障が発生していないと判定した場合も含まれる)には(ステップS23:NO)、今回の演算周期での処理を終了する。なお、前記ステップS22の処理の開始時点において短絡故障が発生しているFETがハイサイドFETであるかローサイドFETであるかが既に特定されている場合には、制御部40は、一次判定処理を行なうことなく、二次判定処理を開始する。
前記ステップS22の処理によって短絡故障が発生しているFETを特定できた場合には(ステップS23:YES)、制御部40は、ステップS24に移行する。また、前記ステップS21において、短絡故障したFETの位置が既に特定されている場合には(ステップS21:YES)、制御部40は、ステップS24に移行する。
ステップS24では、制御部40は、トルクセンサ11によって検出される操舵トルク(検出操舵トルク)T、前述のモータ回転数演算処理(図9参照)によって演算された最新のロータ回転角θおよびモータ回転数nを取得する。そして、制御部40は、前述したように、取得した検出操舵トルクの方向に基づいて、電動モータ18を回転させるべき方向を決定する(ステップS25)。
次に、制御部40は、取得した検出操舵トルクTに基づいて電動モータ18に供給すべき電流に対応した電圧指令値(制御指令値)Pを設定する(ステップS26)。この実施形態では、制御部40は、図11に示すように、検出操舵トルクTに比例した電圧指令値Pを設定する。
この後、制御部40は、前記ステップS24で取得したモータ回転数nに基づいて、電圧指令値Pを補正するための補正ゲインG(n)を設定する(ステップS27)。そして、制御部40は、設定された補正ゲインG(n)を用いて、前記ステップS26で設定された電圧指令値(電圧指令値の基本値)を補正する(ステップS28)。
この補正は、後述する故障時用モータ制御処理が行なわれるときに、モータ回転数が低速域にある場合に運転者がアシスト力不足を感じないようにするために行われる。つまり、制御部40は、モータ回転数nが所定の閾値α以下である場合に、電圧指令値Pを増加補正する。この閾値αは、たとえば、250[rpm]に設定される。
より具体的には、制御部40は、次式(2)に基づいて、電圧指令値Pを補正する。
P←P×G(n) …(2)
図12は、閾値αが250[rpm]である場合のモータ回転数nに対する補正ゲインG(n)の設定例を示している。図12の例では、補正ゲインG(n)は、モータ回転数nが閾値αに相当する250[rpm]より大きい領域では1.0に固定され、モータ回転数nが250[rpm]以下の領域では1.2に固定される。したがって、モータ回転数が250[rpm]より大きい場合には、電圧指令値は実質的には補正されず、補正後の電圧指令値は電圧指令値の基本値と同じ値となる。一方、モータ回転数が250[rpm]以下の低速域では、補正後の電圧指令値は電圧指令値の基本値の1.2倍となる。つまり、モータ回転数が250[rpm]以下の低速域においては、電圧指令値Pが増加補正される。
次に、制御部40は、制御可能領域特定処理を行なう(ステップS29)。具体的には、制御部40は、前記ステップS25で決定した電動モータ18を回転させるべき方向(CWまたはCCW)と、短絡故障した1つのFETの位置と、図6に示すマップとから、電動モータ18を回転させるべき方向および短絡故障した1つのFETの位置に対応した各領域(「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」)を特定する。そして、制御部40は、前記ステップS24で取得したロータ回転角(現在のロータ回転角)θが、「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」のいずれの領域に属するかを判別する(ステップS30)。
次に、制御部40は、故障時用モータ制御処理を行なう(ステップS31)。そして、今回の演算周期での処理を終了する。故障時用モータ制御処理においては、制御部40は、現在のロータ回転角が属している領域(「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」)に応じて、駆動回路30を制御する。
現在のロータ回転角が「不可領域」に属している場合、つまり、現在のロータ回転角が「制御不能領域」に属している場合には、制御部40は、全てのFET32をオフ状態にする。つまり、この場合には、電動モータ18は駆動されない。一方、現在のロータ回転角が「可能領域」に属している場合または「不定領域」に属している場合、つまり、現在のロータ回転角が「制御可能領域」に属している場合には、制御部40は、駆動回路30を制御することにより、電動モータ18を駆動する。具体的には、制御部40は、補正後の電圧指令値Pを用いて、例えば120°矩形波駆動方式によって、電動モータ18を駆動する。
以下、故障時用モータ制御処理について、より具体的に説明する。まず、全てのFET31が正常である場合に120°矩形波駆動方式によって電動モータ18を回転駆動するときの制御方法について説明する。
図13は、全てのFET31が正常である場合に120°矩形波駆動方式によって電動モータ18を正転方向に回転駆動するときの通電パターンを示す模式図である。図13には、全てのFET31が正常である場合に電動モータ18を180°通電正弦波駆動させたときのロータ回転角θに対する各相の誘起電圧波形V,V,Vが示されているとともに、全てのFET31が正常である場合において電動モータ18を120°矩形波駆動方式によって正転方向に回転駆動するときの通電パターンが示されている。
図13に示される通電パターン図の上段は、各相のハイサイドFET31UH,31VH,31WHがPWM制御される期間(電気角)をそれぞれ示している。通電パターン図の上段のU,VおよびWは、それぞれU相のハイサイドFET31UH、V相のハイサイドFET31VHおよびW相のハイサイドFET31WHを表している。通電パターン図の下段は、各相のローサイドFET31UL,31VL,31WLがオン状態にされる期間(電気角)をそれぞれ示している。通電パターン図の下段のU,VおよびWは、それぞれU相のローサイドFET31UL、V相のローサイドFET31VLおよびW相のローサイドFET31WLを表している。
全てのFET31が正常である場合において、120°矩形波駆動方式によって電動モータ18を正転方向に回転駆動する場合を想定する。この場合には、各相のハイサイドFET31UH,31VH,31WHに対して、それぞれ120度の電気角の期間に渡って、PWMパルスからなる矩形波駆動信号が出力されることになる。この矩形波駆動信号は、電圧指令値に応じたデューティでパルス変調された矩形波駆動信号である。各相のハイサイドFET31UH,31VH,31WHにPWMパルスが与えられる120度の期間は、120度ずつ位相がずれている。つまり、ハイサイドFET31UH,31VH,31WHは、120度ずつ位相がずらされた各120度の期間に、循環的にPWM制御される。このPWM制御される各120度の期間に、PWMデューティに応じた電圧が電動モータ18の各相に印加される。
一方、各相のローサイドFET31UL,31VL,31WLは、各相のハイサイドFET31UH,31VH,31WHがPWM制御される期間から電気角で60度シフトされた120度の期間に渡ってオン状態とされ、残余の期間はオフ状態とされる。つまり、ローサイドFET31UL,31VL,31WLがオン状態となる120度の期間は、120度ずつ位相がすれている。つまり、ローサイドFET31UL,31VL,31WLは、120度ずつ位相がすらされた各120度の期間に、循環的にオン状態となる。
したがって、ロータが電気角で60度回転する毎に、PWM制御されるハイサイドFETとオン状態とされるローサイドFETの組合せが切り替えられる。電気角の360度の期間を、図13の通電パターンにしたがって、60度ずつの6つの制御区間に区切ることにする。すなわち、330度〜30度の制御区間を第1制御区間、30度〜90度の制御区間を第2制御区間、90度〜150度の制御区間を第3制御区間、150度〜210度の制御区間を第4制御区間、210度〜270度の制御区間を第5制御区間、270度〜330度の制御区間を第6制御区間とする。
第1制御区間および第2制御区間ではV相のハイサイドFET31VHがPWM制御され、第3制御区間および第4制御区間ではW相のハイサイドFET31WHがPWM制御され、第5制御区間および第6制御区間ではU相のハイサイドFET31UHがPWM制御される。また、第6制御区間および第1制御区間では、W相のローサイドFET31WLがオン状態にされ、第2制御区間および第3制御区間では、U相のローサイドFET31ULがオン状態にされ、第4制御区間および第5制御区間では、V相のローサイドFET31VLがオン状態にされる。
次に、6個のFET31のうちの1つに短絡故障が発生している場合に、120°矩形波駆動方式によって電動モータ18を駆動する場合の制御部40の動作(故障時用モータ制御処理)について説明する。
制御部40は、図10のステップS28で演算された補正後の電圧指令値Pに応じたデューティでパルス変調された矩形波駆動信号を生成する。そして、現在の電気角が「可能領域」または「不定領域」にあるときには、第1〜第6の制御区間のうち現在の電気角が属する制御区間においてPWM制御されるべきハイサイドFETに前記矩形波駆動信号を与えるとともに、当該制御区間においてオン状態にされるべきローサイドFETをオン状態にさせる。
たとえば、短絡故障したFETがV相のローサイドFET31VLであり、電動モータ18を回転させるべき回転方向が正転方向であるとすると、「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」は、次のようになる。
「可能領域(U)」:210°〜270°
「可能領域(W)」:150°〜210°
「不定領域(U)」:270°〜330°
「不定領域(W)」:90°〜150°
「不可領域」:330°〜90°
したがって、現在の電気角が「不可領域」である330°〜90°の電気角領域に属しているときには、制御部40は短絡故障したFET以外のFETの全てをオフ状態とする。この場合には、電動モータ18は駆動されない。
現在の電気角が「不定領域(W)」である90°〜150°の電気角領域に属しているときには、制御部40は、図13の通電パターンに従って、W相のハイサイドFET31WHをPWM制御するとともにU相のローサイドFET31ULをオン状態にさせる。W相のハイサイドFET31WHがオンされている期間においては、図2または図3を参照して、電源33からW相のハイサイドFET31WHを通過した電流は、電動モータ18(界磁コイル18W,18U,18V)を経由した後、U相のローサイドFET31ULおよびV相のローサイドFET(故障FET)31VLを介して接地34へと流れる。これにより、電動モータ18が駆動され、アシストトルクが発生する。
現在の電気角が「可能領域(W)」である150°〜210°の電気角領域に属しているときには、制御部40は、図13の通電パターンに従って、W相のハイサイドFET31WHをPWM制御するとともにV相のローサイドFET(故障FET)31VLをオン状態にさせる。W相のハイサイドFET31WHがオンされている期間においては、電源33からW相のハイサイドFET31WHを通過した電流は、電動モータ18(界磁コイル18W,18V)を経由した後、V相のローサイドFET(故障FET)31VLを介して接地34へと流れる。これにより、電動モータ18が駆動され、アシストトルクが発生する。
現在の電気角が「可能領域(U)」である210°〜270°の電気角領域に属しているときには、制御部40は、図13の通電パターンに従って、U相のハイサイドFET31UHをPWM制御するとともにV相のローサイドFET(故障FET)31VLをオン状態にさせる。U相のハイサイドFET31UHがオンされている期間においては、電源33からU相のハイサイドFET31UHを通過した電流は、電動モータ18(界磁コイル18U,18V)を経由した後、V相のローサイドFET(故障FET)31VLを介して接地34へと流れる。これにより、電動モータ18が駆動され、アシストトルクが発生する。
現在の電気角が「不定領域(U)」である270°〜330°の電気角領域に属しているときには、制御部40は、図13の通電パターンに従って、U相のハイサイドFET31UHをPWM制御するとともにW相のローサイドFET31WLをオン状態にさせる。この場合、U相のハイサイドFET31UHがオンされている期間においては、電源33からU相のハイサイドFET31UHを通過した電流は、電動モータ18(界磁コイル18U,18W,18V)を経由した後、W相のローサイドFET31WLおよびV相のローサイドFET(故障FET)31VLを介して接地34へと流れる。これにより、電動モータ18が駆動され、アシストトルクが発生する。
一方、短絡故障したFETがV相のハイサイドFET31VHである場合には、電動モータ18を回転させるべき方向が正転方向であるとすると、「可能領域」、「不定領域」および「不可領域」は、次のようになる。
「可能領域(W)」:330°〜30°
「可能領域(U)」:30°〜90°
「不定領域(U)」:90°〜150°
「不定領域(W)」:270°〜330°
「不可領域」:150°〜270°
したがって、現在の電気角が「可能領域(W)」である330°〜30°の電気角領域に属しているときには、制御部40は、図13の通電パターンに従って、V相のハイサイドFET(故障FET)31VHをPWM制御するとともにW相のローサイドFET31WLをオン状態にさせる。ただし、この場合には、V相のハイサイドFETVHは短絡故障しているため常時オン状態となる。この場合には、図2または図4を参照して、電源33からV相のハイサイドFET(故障FET)31VHを通過した電流は、電動モータ18(界磁コイル18V,18W)を経由した後、W相のローサイドFET31WLを介して接地34へと流れる。
現在の電気角が「可能領域(U)」である30°〜90°の電気角領域に属しているときには、制御部40は、図13の通電パターンに従って、V相のハイサイドFET(故障FET)31VHをPWM制御するとともにU相のローサイドFET31ULをオン状態にさせる。ただし、この場合には、V相のハイサイドFETVHは短絡故障しているため常時オン状態となる。この場合には、電源33からV相のハイサイドFET(故障FET)31VHを通過した電流は、電動モータ18(界磁コイル18V,18U)を経由した後、W相のローサイドFET31ULを介して接地34へと流れる。
現在の電気角が「不定領域(U)」である90°〜150°の電気角領域に属しているときには、制御部40は、図13の通電パターンに従って、W相のハイサイドFET31WHをPWM制御するとともにU相のローサイドFET31ULをオン状態にさせる。W相のハイサイドFET31WHがオンされている期間においては、電源33からW相のハイサイドFET31WHを通過した電流は、電動モータ18(界磁コイル18W,18Uを経由した後、U相のローサイドFET31を介して接地34へと流れるとともに、電源33からV相のハイサイドFET(故障FET)31VHを通過した電流は、電動モータ18(界磁コイル18V,18U)を経由した後、U相のローサイドFET31を介して接地34へと流れる。
現在の電気角が「不可領域」である150°〜270°の電気角領域に属しているときには、制御部40は短絡故障したFET以外のFETの全てをオフ状態とする。
現在の電気角が「不定領域(W)」である270°〜330°の電気角領域に属しているときには、制御部40は、図13の通電パターンに従って、U相のハイサイドFET31UHをPWM制御するとともにW相のローサイドFET31WLをオン状態にさせる。U相のハイサイドFET31UHがオンしている期間においては、電源33からU相のハイサイドFET31UHを通過した電流は、電動モータ18(界磁コイル18U,18W)を経由した後、W相のローサイドFET31WLを介して接地34へと流れるとともに、電源33からV相のハイサイドFET(故障FET)31VHを通過した電流は、電動モータ18(界磁コイル18V,18W)を経由した後、W相のローサイドFET31WLを介して接地34へと流れる。
なお、電動モータ18を回転させるべき方向が逆転方向である場合には、次のようにして電動モータ18を駆動制御すればよい。つまり、現在の電気角が「不可領域」に属しているときには、制御部40は、短絡故障したFET以外の全てのFET31をオフ状態とする。一方、現在の電気角が「可能領域」または「不定領域」に属しているときには、制御部40は、全てのFETが正常である場合に120°矩形波駆動方式によって電動モータ18が逆転方向に回転駆動されるときに現在の電気角に対してPWM制御されるべきハイサイドFETをPWM制御するとともにオン状態にされるべきローサイドFETをオン状態にさせる。
上記実施形態では、1つのFETが短絡故障した場合には、ロータ回転角が制御可能領域にあるときに、120°矩形波駆動方式によって電動モータ18が駆動される。したがって、1つのFETが短絡故障した場合にも、電動モータ18によって操舵補助力を発生させることができる。
また、このようなモータ制御が行なわれる場合、モータ回転数nが閾値α以下であるときには電圧指令値(制御指令値)Pが増加補正され、補正後の電圧指令値Pに基づいて、PWM信号からなる矩形波駆動信号が生成される。したがって、モータ回転数が低速である場合には、平均的なアシストトルクが増加するから、運転者がアシスト力不足を感じにくくなる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、トルクセンサ11によって検出される操舵トルクTに基づいて電圧指令値Pが演算されているが、検出操舵トルクTと車速とに基づいて電圧指令値Pを演算するようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、電動モータ18がトルクセンサ11によって検出される操舵トルクに基づいてフィードフォワード制御される場合について説明したが、電動モータが電流フィードバック制御される場合にもこの発明を適用することができる。具体的には、モータ電流を検出する電流センサを設け、トルクセンサ11によって検出される操舵トルク、車速等に基づいて電流指令値を設定し、設定された電流指令値と電流センサによって検出されるモータ電流との偏差を演算し、その偏差に基づいて電圧指令値を演算し、得られた電圧指令値に基づいてPWM信号を生成するような電動パワーステアリング装置にもこの発明を適用することができる。1つのFETが短絡故障した場合に、このようなフィードバック制御によって電流指令値および電圧指令値が演算される場合には、電流指令値または電圧指令値を制御指令値として、制御指令値をモータ回転数に応じて補正すればよい。より具体的には、モータ回転数が閾値α以下である場合に電流指令値または電圧指令値を増加補正する。
また、前述の実施形態では、モータ回転数が閾値α以下である場合に、電圧指令値(制御指令値)を増加補正しているが、モータ回転数が閾値α以下であり、かつ切り込み方向に操舵が行なわれているときに、電圧指令値を増加補正するようにしてもよい。これは、切り戻し方向に操舵が行なわれている場合には、切り戻し方向にセルフアライニングトルクが作用するため、アシスト力不足が起こりにくいと考えられるからである。切り込み方向に操舵が行なわれている場合には操舵トルクの方向とステアリングシャフト6の回転方向が同じ方向となるため、例えば、トルクセンサ11によって検出される操舵トルクTの方向とロータ角速度ωの方向とに基づいて、切り込み方向に操舵が行なわれているか否かを判定することができる。
また、前述の実施形態では、駆動回路30を構成するスイッチング素子としてFETが用いられているが、スイッチング素子としてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のFET以外のスイッチング素子を用いてもよい。
なお、この発明は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
2…ステアリングホイール、18…電動モータ、23…回転角センサ、30…駆動回路、31…FET、32…回生ダイオード、33…電源、34…接地、40…制御部

Claims (4)

  1. ブラシレスモータによって転舵機構に駆動力を付与する電動パワーステアリング装置であって、
    前記ブラシレスモータの回転数を検出する回転数検出手段と、
    複数のスイッチング素子を含み、前記ブラシレスモータを駆動するための駆動回路と、
    前記駆動回路内の1つのスイッチング素子に短絡故障が発生した場合に、短絡故障したスイッチング素子を特定するとともに、前記ブラシレスモータを駆動することが可能なロータ回転角領域である制御可能領域を特定する手段と、
    前記制御可能領域において、前記駆動回路を介して、前記ブラシレスモータを駆動制御する故障時モータ制御手段とを含み、
    前記故障時モータ制御手段は、
    前記ブラシレスモータに供給すべき電流に対応した制御指令値を設定する制御指令値設定手段と、
    前記回転数検出手段によって検出されるモータ回転数に基づいて、前記制御指令値設定手段によって設定された制御指令値を補正する指令値補正手段と、
    前記制御可能領域において、前記指令値補正手段による補正後の制御指令値に基づいて、前記駆動回路を制御する制御手段とを含んでおり、
    前記指令値補正手段は、前記回転数検出手段によって検出されるモータ回転数が所定の閾値以下であるときに、前記制御指令値設定手段によって設定された制御指令値を増加補正するように構成されている、電動パワーステアリング装置。
  2. 前記指令値補正手段は、
    前記回転数検出手段によって検出されるモータ回転数に基づいて、補正ゲインを設定する補正ゲイン設定手段と、
    前記制御指令値設定手段によって設定された制御指令値に、前記補正ゲイン設定手段によって設定された補正ゲインを乗算することにより、最終的な制御指令値を演算する乗算手段とを含み、
    前記補正ゲイン設定手段は、前記回転数検出手段によって検出されるモータ回転数が前記閾値より大きいときには補正ゲインを1に設定し、前記回転数検出手段によって検出されるモータ回転数が前記閾値以下であるときには補正ゲインを1より大きな所定値に設定するように構成されている、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. ブラシレスモータによって転舵機構に駆動力を付与する電動パワーステアリング装置であって、
    前記ブラシレスモータの回転数を検出する回転数検出手段と、
    複数のスイッチング素子を含み、前記ブラシレスモータを駆動するための駆動回路と、
    前記駆動回路内の1つのスイッチング素子に短絡故障が発生した場合に、短絡故障したスイッチング素子を特定するとともに、前記ブラシレスモータを駆動することが可能なロータ回転角領域である制御可能領域を特定する手段と、
    前記制御可能領域において、前記駆動回路を介して、前記ブラシレスモータを駆動制御する故障時モータ制御手段とを含み、
    前記故障時モータ制御手段は、
    前記ブラシレスモータに供給すべき電流に対応した制御指令値を設定する制御指令値設定手段と、
    前記回転数検出手段によって検出されるモータ回転数に基づいて、前記制御指令値設定手段によって設定された制御指令値を補正する指令値補正手段と、
    前記制御可能領域において、前記指令値補正手段による補正後の制御指令値に基づいて、前記駆動回路を制御する制御手段とを含んでおり、
    前記指令値補正手段は、前記回転数検出手段によって検出されるモータ回転数が所定値以下であり、かつ切り込み方向に操舵が行なわれているときに、前記制御指令値設定手段によって設定された制御指令値を増加補正するように構成されている、電動パワーステアリング装置。
  4. 前記閾値が250[rpm]である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
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