JP5720128B2 - 六ホウ化ランタン微粒子の製造方法及び六ホウ化ランタン微粒子 - Google Patents
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Description
ホウ化物としては、例えば、ホウ化ハフニウム、ホウ化チタン、ホウ化タングステン、ホウ化ランタン等を挙げることができ、その中で特に六ホウ化ランタン(LaB6)は仕事関数が小さいことから、硬質材料や耐久材料としてだけでなく、電子放出材料としての用途開発が進められている。
仕事関数とは物質の表面から電子を取り出すのに必要な最小エネルギーのことで、電子放出素子としては小さい値であるほど好ましい。電子放出素子としてのLaB6は、薄膜として用いられることが多く、該薄膜の形成はLaB6ターゲットを用いたスパッタリング法が好適に用いられている。
また、LaB6焼結体の密度を向上するには焼結助剤の添加法があるが、焼結助剤が不純物となり、緻密化できても高純度の焼結体を得ることができないため、ターゲット材として用いた場合は、該不純物がスパッタ膜に取り込まれ、仕事関数の値が大きくなり、電子放出素子としての性能が低下する問題があった。
すなわち、高純度の数μm程度の粒子及び微粒子を適宜混合して焼結体を製造することで、高純度化と緻密化を両立するLaB6のターゲット材料を得ることができる。
しかし、従来のLaB6微粒子の製造方法は、粒径を小さくするために粉砕工程が必要であったり、粒成長を防止するために過剰の炭素を加えたりしているため、高純度かつ微粒子の特徴を持つLaB6粒子を得ることは難しく、高純度化と緻密化を両立することは困難であった。
この製法では、固体の原料同士を固相で反応させるために完全な化学量論比で反応させることは困難であり、LaB6以外の余剰原料が混入することは避けられない。
さらに解砕処理過程でLaB6以外の物質が混入するという問題点があり、高純度ターゲット材用途としての利用には適用できない。
すなわち、原料であるLa化合物とB化合物との混合において、LaB6の化学量論比よりもLa化合物が過剰になるようにこれらを混合し、還元雰囲気で焼成することで、未反応のB化合物が残存しにくくなることを見出した。これにより、焼結体の高純度化を阻害する要因であったホウ素や炭素の残留が抑制され、未反応物あるいは残留物としては、酸洗浄、特に塩酸洗浄で簡単に除去可能なLa化合物が中心となり、高純度なLaB6微粒子を得ることができる。
さらに、上記合成法でLa源となるLa化合物の粒径がLaB6粒子に影響を与えること、かつ微細なLaの水酸化物あるいは酸化物をLa化合物として用いることで、炭素による粒成長の抑制なしに粒径が小さく高純度なLaB6微粒子が合成できることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
[1](a)ランタン化合物とホウ素化合物とを、B/La原子比で4以下になるように混合する工程、(b)前記(a)工程で得られた混合物を還元雰囲気で焼成する工程、及び(c)前記(b)工程で得られた焼成物を酸洗浄する工程を有することを特徴とする六ホウ化ランタン微粒子の製造方法、
[2](c)工程における酸洗浄が、塩酸洗浄である上記[1]に記載の六ホウ化ランタン微粒子の製造方法、
[3](b)工程と(c)工程間に、さらに(b’)工程として、(b)工程で得られた還元焼成物を大気中で焼成する工程を有する上記[1]又は[2]に記載の六ホウ化ランタン微粒子の製造方法、
[4](a)工程において、ランタン化合物とホウ素化合物を、B/La原子比で2以上4以下になるように混合し、かつ(c)工程において、酸洗浄による除去物の質量が酸洗浄前の焼成物の質量の50%以下である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の六ホウ化ランタン微粒子の製造方法、
[5](a)工程で用いるランタン化合物が、平均粒径が20nm以上250nm以下のLa(OH)3及びLa2O3の少なくともいずれかであり、かつ(b)工程における焼成温度が1200℃以上1600℃以下である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の六ホウ化ランタン微粒子の製造方法、
[6](b’)工程における焼成温度が500℃以上700℃以下である上記[3]〜[5]のいずれかに記載の六ホウ化ランタン微粒子の製造方法、
[7](a)工程で用いるホウ素化合物がB4Cである上記[1]〜[6]のいずれかに記載の六ホウ化ランタン微粒子の製造方法、及び
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の六ホウ化ランタン微粒子の製造方法により得られる六ホウ化ランタン微粒子であって、炭素元素含有量が0.5質量%以下、酸素元素含有量が1質量%以下であり、かつ平均粒径が50nm以上600nm以下であることを特徴とする六ホウ化ランタン微粒子、
を提供するものである。
[LaB6微粒子の製造方法]
本発明のLaB6微粒子の製造方法は、(a)ランタン化合物とホウ素化合物とを、B/La原子比で4以下になるように混合する工程、(b)前記(a)工程で得られた混合物を還元雰囲気で焼成する工程、及び(c)前記(b)工程で得られた焼成物を酸洗浄する工程を含み、必要に応じて(b)工程と(c)工程間に、さらに(b’)工程として、(b)工程で得られた還元焼成物を大気中で焼成する工程を含むことを特徴とする。
本発明のLaB6微粒子の製造方法における(a)工程は、La化合物とホウ素化合物とを、B/La原子比で4以下になるように混合する工程、すなわち、粒径の微細なLa化合物とホウ素化合物の混合比を、LaB6の化学量論比よりもLaが過剰であるように混合する工程である。
当該(a)工程において、出発原料となるLa化合物としては、水酸化物、酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩などが挙げられるが、水酸化物[La(OH)3]、酸化物[La2O3]が好ましい。他の化合物は塩素、硫黄、窒素、炭素などの残留が懸念されるためである。
La化合物の粒径は特に限定されないが、La化合物の粒径が最終的に合成されるLaB6微粒子の反応核となるため、微粒子を製造する場合には、平均粒径が好ましくは250nm以下、より好ましくは100nm以下のLa(OH)3あるいはLa2O3であることが好ましい。またLa化合物の平均粒径が20nm以上の場合は、混合などの取り扱いが容易となる。すなわち、本発明におけるLa化合物の平均粒径は、20nm以上250nm以下が好ましく、より好ましくは20nm以上100nm以下であり、さらに好ましくは50nm以上100nm以下である。
La(OH)3については、塩化物、硫酸塩、硝酸塩などのLa塩の水溶液にアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などを40℃以上の温度で化学量論比以上添加し、反応速度を上げて、粒成長よりも核生成を促進させることで、粒径が小さいものでも簡単に合成することが可能であるので好ましい。
当該(a)工程において、出発原料となるホウ素化合物としては、酸化ホウ素、炭化ホウ素などが挙げられるが、La化合物の水酸基や酸素を還元反応によって除去するために炭化ホウ素[B4C]であることが好ましい。なお、この炭化ホウ素中の炭素は、後述するように過剰に添加されているLa化合物とすべて反応してしまうために最終的なLaB6粒子には残らない。
ホウ素化合物の平均粒径は特に限定されないが、微細なLa化合物と十分に混合するためには、20nm以上10μm以下であることが好ましい。
当該(a)工程におけるLa化合物とホウ素化合物との混合方法は、通常のV型混合機、回転式ボールミル、遊星式ボールミル、サンドミル等を用いる一般的な混合方法でかまわない。混合割合は、B/La原子比で4以下となる、LaB6の化学量論比に対してLaが過剰な配合である。前記原子比が4より大きい場合、Laが少なすぎるため、未反応のホウ素や炭素が残留する恐れがあり、これらは酸洗浄で完全に除去できないために最終的なLaB6粒子中に不純物として残ってしまい、高純度化を達成できない。なお、本発明におけるB/La原子比の下限値は2程度である。
本発明のLaB6微粒子の製造方法における(b)工程は、前記(a)工程で得られた混合物を還元雰囲気で焼成する工程である。
当該(b)工程における焼成温度は、LaB6微粒子を製造する観点から、1600℃以下であることが好ましく、またLaB6の合成反応を促進させる観点から、1200℃以上であることが好ましい。この焼成温度としては、1200℃以上1500℃以下であることがより好ましく、1300℃以上1400℃以下であることがさらに好ましい。一方、焼成時間は、合成反応性及び生産性のバランスの観点から、1〜4時間程度が好ましい。
当該(b)工程においては、前記(a)工程で得られた原料混合物を還元雰囲気で焼成する。この還元雰囲気での焼成としては、還元性成分を共存させた状態での焼成、例えば、一酸化炭素、水素等のような還元性ガス中での焼成や、カーボン等の還元性成分と共存させた状態での焼成等を挙げることができるが、本発明においては、還元反応を促進させるために、該原料混合物をカーボン坩堝に入れた状態で、真空中、または水素を含む雰囲気で焼成する。
真空中で還元反応を行う場合には、炭化ホウ素中の炭素とLa化合物中の酸素により生成する一酸化炭素やLa化合物中の水分などの副生成物を系外に速やかに除去することから、焼成物に不純物が残留しにくい。
水素を含む雰囲気としては、水素過多の雰囲気は安全上好ましくないため、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスと水素との混合ガスが好ましく、還元反応を促進させる観点からは、水素の混合比が50体積%以上であることが好ましい。
本発明のLaB6微粒子の製造方法においては、前述した(b)工程における還元雰囲気での焼成の後に、該(b)工程で得られた焼成物を、さらに大気中で焼成する(b’)工程を設けてもよい。
前記(b)工程における還元雰囲気での焼成のように、一定の圧力が存在する反応系では、反応系中に副生成物等の不純物が残留しやすいため、これら副生成物等の系外への除去や、未反応物を酸化して酸洗浄の効率を高めるため、焼成後にさらに大気中で焼成することが好ましいからである。この場合、Laの未反応物や副生成物を充分に酸化すると共に、LaB6自体の酸化を抑制して収率の低下を防ぐ観点から、焼成条件としては、500℃以上700℃以下の温度で、1〜3時間程度焼成することが好ましい。また焼成温度は600℃以上650℃以下とすることがより好ましい。
本発明のLaB6微粒子の製造方法における(c)工程は、前述した(b)工程又は(b’)工程で得られた焼成物を酸洗浄する工程である。
当該酸洗浄において用いる酸としては、無機酸や有機酸が考えられるが、有機酸は、該焼成物中の副生成物の溶解力に乏しいため不適当である。
(b)工程又は(b’)工程で得られた焼成物中の不純物を溶出させるための無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸から選択することができる。ここで、使用する無機酸の種類、濃度、処理温度及び処理時間は、溶解させる副生成物の成分や量により、選択することが好ましい。これは、無機酸の酸化力が高すぎる場合は、副生成物のみならずLaB6自体を酸化溶解させてしまい、LaB6自体の収率が低下してしまうためであり、一方、無機酸の副生成物溶解力が低い場合には、副生成物の溶解に時間を要したり、場合によっては溶解が不十分となり副生成物が十分に除去できなくなるためである。なお、無機酸としては、リン酸、フッ酸もあるが、リン酸は溶解力に乏しく、フッ酸は溶解力が強く、LaB6自体も溶解する上、毒物であり危険性が高い等の欠点を有しており、好適な無機酸ではない。
攪拌時間は1〜2時間程度が好ましい。攪拌時間がこの程度であれば、塩酸洗浄として十分であり、副生成物、残留物の除去を十分に行うことができる。
また、この処理は常温で行ってもよいが、加熱して行うのが好ましく、加熱処理する場合の処理温度は、40℃以上80℃以下が好ましい。処理温度がこの範囲にあれば、LaB6自体が酸化されることなく、短時間で不純物の溶出を行うことができるため生産性が良好となる。
洗浄後はデカンテーションなどの方法によって純水ですすぐことで塩酸を取り除き、水分を除去するために乾燥処理、特に真空乾燥処理をすることが好ましい。
本発明はまた、炭素元素含有量が0.5質量%以下、酸素元素含有量が1質量%以下であり、かつ平均粒径が50nm以上600nm以下であることを特徴とするLaB6微粒子をも提供する。上記特性を有するLaB6微粒子であれば、高純度で緻密なLaB6焼結体を得ることができる。
前記炭素元素含有量は0.5質量%以下、酸素元素含有量は1質量%以下であることが好ましく、前記平均粒径は50nm以上600nm以下であることが好ましく、50nm以上300nm以下であることがさらに好ましい。
本発明のLaB6微粒子は、スパッタリングターゲットとして用いられるLaB6焼結体作製用の原料粉末として好適に用いられる。LaB6ターゲットを用い、スパッタリング法により成膜された薄膜は電子放出素子材料などとして有用である。
なお、各例における諸特性は、下記の方法に従って測定した。
(1)酸素元素含有量及び炭素元素含有量
酸素元素含有量は、試料粉末40mgを取り、LECO社製TC−436型を使用して、前記不活性ガス溶融法にて測定した。
また、炭素元素含有量は、試料粉末120mgを取り、LECO社製WC−200型を使用して,前記赤外線吸収を用いる方法にて測定した。
(2)粒子の平均粒径
各粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所製、S−4000)にて粒子を観察し、視野内の粒子100個の最大径の平均値として求めた。
(3)X線回折パターン
X線回折パターンは、X線回折装置(XRD、PANalitical社製、X’Pert PROMPD)により測定した。
5質量% のLaCl3水溶液500gに、60℃で撹拌しながらアンモニア水を滴下して沈殿を生成させ、30分間撹拌を行った。次に、純水を用い、デカンテーションにて生成した沈殿の洗浄を行い、上澄み液の電導度が1mS/cm以下になるまで繰り返した。
洗浄後の沈殿を110℃で真空乾燥し、平均粒径50nm のLa(OH)3粉末を得、該粉末及びB4C粉末をB/La原子比が3となる混合比でボールミルにて混合した。
均一な混合物とした後、カーボン坩堝中で真空中1300℃で2時間焼成してLaB6微粒子を含む焼成物を得た。
この焼成物を80℃の6mol/dm3塩酸中で加熱しながら1時間撹拌を行った。次に純水でデカンテーションにて洗浄を行い、水中の塩素濃度が1mg/L以下になるまで繰り返した。洗浄終了後、水分除去のため、110℃で真空乾燥処理を行った。
洗浄除去された焼成物の質量減少割合は30%であり、得られたLaB6微粒子の平均粒径は150nmであった。含まれている炭素元素量は0.15質量%、酸素元素量は0.43質量%であり、また、図1に示すように、X線回折パターンはLaB6のパターンとよく一致した。
実施例1において、La(OH)3粉末とB4C粉末との混合比をB/La原子比で3.8にした以外は、実施例1と同様の工程を行い、LaB6微粒子を得た。
洗浄による質量減少割合は33%であり、得られたLaB6微粒子の平均粒径は150nmであった。また、含まれている炭素元素量は0.16質量%、酸素元素量は0.66質量%であった。
実施例1において、La(OH)3粉末とB4C粉末との混合比をB/La原子比で2にした以外は、実施例1と同様の工程を行い、LaB6微粒子を得た。
洗浄による質量減少割合は48%であり、得られたLaB6微粒子の平均粒径は140nmであった。また、含まれている炭素元素量は0.17質量%、酸素元素量は0.56質量%であった。
実施例1において、アンモニア水を滴下して攪拌する際の温度を40℃に変更して平均粒径100nmのLa(OH)3を得た以外は、実施例1と同様の工程を行い、LaB6微粒子を得た。
洗浄による質量減少割合は30%であり、得られたLaB6微粒子の平均粒径は200nmであった。また、含まれている炭素元素量は0.18質量%、酸素元素量は0.51質量%であった。
実施例1において、焼成温度を1400℃とした以外は、実施例1と同様の工程によって、LaB6微粒子を得た。
洗浄による質量減少割合は33%であり、得られたLaB6微粒子の平均粒径は450nmであった。また、含まれている炭素元素量は0.13質量%、酸素元素量は0.44質量%であった。
実施例1において、焼成時の真空雰囲気を100%水素雰囲気に変更し、焼成物を塩酸洗浄前に大気中650℃でさらに2時間焼成した以外は、実施例1と同様の工程によって、LaB6微粒子を得た。
洗浄による質量減少割合は31%であり、得られたLaB6微粒子の平均粒径は150nmであった。また、含まれている炭素元素量は0.15質量%、酸素元素量は0.40質量%であった。
実施例1において、焼成時の真空雰囲気を50体積%水素/50体積%アルゴンの混合ガス雰囲気に変更し、焼成物を塩酸洗浄前に大気中650℃でさらに2時間焼成した以外は、実施例1と同様の工程によって、LaB6微粒子を得た。
洗浄による質量減少割合は45%であり、得られたLaB6微粒子の平均粒径は200nmであった。また、含まれている炭素元素量は0.16質量%、酸素元素量は0.50質量%であった。なお、図1に示すように、X線回折パターンはLaB6パターンとよく一致した。
実施例1において、La(OH)3の代わりに、平均粒径が50nmのLa2O3を使用し、焼成時の真空雰囲気を100%水素雰囲気に変更し、焼成物を塩酸洗浄前に大気中600℃でさらに2時間焼成した以外は、実施例1と同様の工程によって、LaB6微粒子を得た。なお、前記La2O3は平均粒径50nmのLa(OH)3を800℃で2時間加熱することによって得た。
洗浄による質量減少割合は47%であり、得られたLaB6微粒子の平均粒径は220nmであった。また、含まれている炭素元素量は0.17質量%、酸素元素量は0.50質量%であった。
実施例1において、アンモニア水を滴下して攪拌する際の温度を室温にして平均粒径250nm のLa(OH)3を得た以外は、実施例1と同じ工程を行い、LaB6微粒子を得た。
洗浄による質量減少割合は34%であり、得られたLaB6微粒子の平均粒径は600nmであった。また、含まれている炭素元素量は0.32質量%、酸素元素量は0.55質量%であった。
実施例1において、焼成温度を1500℃に変更した以外は、実施例1と同様の工程によって、LaB6微粒子を得た。
洗浄による質量減少割合は12%であり、得られたLaB6微粒子の平均粒径は600nmであった。また、含まれている炭素元素量は0.14質量%、酸素元素量は0.27質量%であった。
実施例1において、La(OH)3粉末とB4C粉末との混合比を6にした以外は、実施例1と同様の工程によって、LaB6微粒子を得た。
洗浄による質量減少割合は33%であり、得られたLaB6微粒子の平均粒径は150nmであった。また、含まれている炭素元素量は8.5質量%、酸素元素量は0.50質量%であり、炭素元素量が多かった。なお、図1に示すように、X線回折パターンはLaB6のパターンとよく一致した。
実施例1において、La(OH)3粉末とB4C粉末との混合比を15にした以外は、実施例1と同様の工程によって、LaB6微粒子を得た。
洗浄による質量減少割合は90%であり、質量減少が激しかった。得られたLaB6微粒子の平均粒径は150nmであって、含まれている炭素元素量は18質量%、酸素元素量は0.30質量%であり、炭素量が多かった。
実施例1において、焼成時の真空雰囲気を100%アルゴン雰囲気に変更して、焼成物を塩酸洗浄前に大気中600℃で2時間焼成した以外は、実施例1と同様の工程によって、LaB6微粒子を得た。
洗浄による質量減少割合は75%で大きかった。得られたLaB6微粒子の平均粒径は150nmであって、含まれている炭素元素量は9.5質量%、酸素元素量は13質量%であり、炭素元素量、酸素元素量ともに多かった。
また、実施例1、実施例7及び比較例1で得られたLaB6微粒子のX線回折パターンを図1に示す。
Claims (6)
- (a)ランタン化合物とホウ素化合物とを、B/La原子比で4以下になるように混合する工程、(b)前記(a)工程で得られた混合物を還元雰囲気で焼成する工程、及び(c)前記(b)工程で得られた焼成物を酸洗浄する工程を有することを特徴とする六ホウ化ランタン微粒子の製造方法。
- (b)工程と(c)工程間に、さらに(b’)工程として、(b)工程で得られた還元焼成物を大気中で焼成する工程を有する請求項1に記載の六ホウ化ランタン微粒子の製造方法。
- (a)工程において、ランタン化合物とホウ素化合物を、B/La原子比で2以上4以下になるように混合し、かつ(c)工程において、酸洗浄による除去物の質量が酸洗浄前の焼成物の質量の50%以下である請求項1または2に記載の六ホウ化ランタン微粒子の製造方法。
- (a)工程で用いるランタン化合物が、平均粒径が20nm以上250nm以下のLa(OH)3及び/又はLa2O3であり、かつ(b)工程における焼成温度が1200℃以上1600℃以下である請求項1〜3のいずれかに記載の六ホウ化ランタン微粒子の製造方法。
- (a)工程で用いるホウ素化合物がB4Cである請求項1〜4のいずれかに記載の六ホウ化ランタン微粒子の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の六ホウ化ランタン微粒子の製造方法により得られる六ホウ化ランタン微粒子であって、
炭素元素含有量が0.13質量%以上0.5質量%以下、酸素元素含有量が1質量%以下であり、かつ平均粒径が50nm以上600nm以下であることを特徴とする六ホウ化ランタン微粒子。
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