以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態》
実施形態に係る駆動装置は、カメラ本体との着脱が可能な交換レンズ内に組み込まれている。図1は、交換レンズの、光軸を含む平面で切断した縦断面図である。図1中の左側が被写体側で、右側がカメラ本体(撮像面)側である。交換レンズ100は、レンズマウント101を介して、カメラ本体(図示省略)に設けられたボディマウントに装着される。交換レンズ100は、図1に示すように、16枚のレンズL1〜L16を含んでいる。また、交換レンズ100は、レンズL1〜L16を保持する第1〜第5群枠を備えている。
詳しくは、第1群枠110には、1群レンズを構成する第1〜第3レンズL1〜L3が保持されている。第2群枠120には、2群レンズを構成する第4及び第5レンズL4,L5が保持されている。第3群枠130には、3群レンズを構成する第6及び第7レンズL6,L7並びに絞り用羽根131が保持されている。第4群枠140には、4群レンズを構成する第8〜第13レンズL8〜L13が保持されている。第5群枠150には、第14〜第16レンズL14〜L16が保持されている。さらに詳しくは、第5群枠150は、枠本体151と、フォーカスレンズ枠152とを有している。枠本体151には、第15及び第16レンズL15,L16が保持されている。また、フォーカスレンズ枠152には、フォーカスレンズとしての第14レンズL14が保持されている。このフォーカスレンズ枠152がレンズ枠を構成している。
第1〜第4群枠110〜140及び第5群枠150の枠本体151は、それぞれカムピンとカム溝とからなるカム機構を有しており、ズームリング160が回転操作されることによって、それぞれのカム機構に案内されながら光軸L方向へ移動するように構成されている。
このとき、第5群枠150のフォーカスレンズ枠152は、枠本体151と一体となって光軸L方向へ移動する。ただし、フォーカスレンズ枠152には、後述する超音波アクチュエータ2が搭載されている。すなわち、フォーカスレンズ枠152は、枠本体151の移動に伴って枠本体151と共に光軸L方向へ移動するものの、超音波アクチュエータ2による駆動によって枠本体151に対して相対的に光軸L方向へ移動する。
次に、第5群枠150の詳細な構成について、図2〜5を参照しながら説明する。図2は、第5群枠150の斜視図を、図3は、第5群枠150の分解斜視図を、図4は、フォーカスレンズ枠152の斜視図を、図5は、超音波アクチュエータ2が取り付けられた状態のフォーカスレンズ枠152の斜視図を示す。
枠本体151は、概略、有底筒状に形成されており、底の部分には開口が設けられている。この底の部分に、第15及び第16レンズL15,L16が取り付けられる。また、枠本体151は、周壁の一部が光軸L方向に切り欠かれており、その部分に超音波アクチュエータ2を配設するスペースSが形成されている。スペースSには、光軸L方向に延びるフォーカス主軸153が設けられている。フォーカス主軸153の基端部は、枠本体151の係合孔151aに軽圧入されている。また、枠本体151には、光軸Lを挟んでフォーカス主軸153と概ね反対側に、光軸L方向に延びるフォーカス副軸154が設けられている。フォーカス副軸154の基端部は、枠本体151の係合孔151bに軽圧入されている。
また、枠本体151の周壁には、MR(Magnetic Resistance)センサ155がネジを介して外周側から取り付けられている。枠本体151の周壁には、MRセンサ155のセンシング部分(磁気を検知する部分)と対向する位置に開口が形成されている。MRセンサ155は、この開口を介して、後述する、フォーカスレンズ枠152に設けられたマグネット152cを検知するように構成されている。
さらに、枠本体151の周壁には、フォトインタラプタ156がネジを介して外周側から取り付けられている。枠本体151の周壁には、フォトインタラプタ156の発光部と受光部に対応する部分に開口が形成されている。フォトインタラプタ156は、この開口を介して、発光部及び受光部が枠本体151の内方に突出するように構成されている。このフォトインタラプタ156は、後述する、フォーカスレンズ枠152に設けられた遮光板152dの通過を検知する。
フォーカスレンズ枠152は、中央に開口を有する環状の部材であって、その中央において第14レンズL14が取り付けられている。
フォーカスレンズ枠152の外周(即ち、第14レンズL14の径方向外側の位置)には、光軸L方向に延びる四角柱状の移動体11がフォーカスレンズ枠152と一体に設けられている。移動体11の4つの側面のうち対向する一対の側面は、概ね、フォーカスレンズ枠152の半径方向を向き、別の対向する一対の側面は、概ね、フォーカスレンズ枠152の周方向を向いている。移動体11は、リブ11a,11aを介してフォーカスレンズ枠152と一体に形成されている。詳しくは、移動体11の側面のうちフォーカスレンズ枠152の径方向内側を向く側面にリブ11a,11aが設けられている。また、移動体11は、光軸Lと平行な軸Z(図5参照)方向に延びる貫通孔11bが形成されている。移動体11の、フォーカスレンズ枠152の周方向を向く一方の側面には、鋼材で構成されたベース板12が接着固定されている。さらに、ベース板12の表面には、アルミナで構成された摺動部材13が接着固定されている。また、移動体11の、フォーカスレンズ枠152の周方向を向く他方の側面には、鋼材で構成された摺動部材14が接着固定されている。この移動体11には、超音波アクチュエータ2が取り付けられている。超音波アクチュエータ2の構成については後述する。尚、説明の便宜上、移動体11の、フォーカスレンズ枠152の周方向を向く側面の法線方向(即ち、摺動部材13,14の法線方向)をX軸方向とし、X軸とZ軸とに直交する方向をY軸とする。
また、フォーカスレンズ枠152の外周には、光軸Lを挟んで移動体11と概ね反対側に、径方向外方に開口する切欠部152aが形成されている。
移動体11の貫通孔11bには、フォーカス主軸153が挿通され、切欠部152aには、フォーカス副軸154が挿通される。その状態で、超音波アクチュエータ2が枠本体151にネジ締結されることによって、フォーカスレンズ枠152が枠本体151に取り付けられる。つまり、フォーカスレンズ枠152は、フォーカス主軸153及びフォーカス副軸154に沿って光軸L方向に移動可能に枠本体151に取り付けられている。このとき、移動体11及び切欠部152aは、軸受として機能している。このように、移動体11と切欠部152aとを光軸Lを挟んで概ね反対側に設けることによって、枠本体151に対するフォーカスレンズ枠152の位置決めを高精度に行うことができる。
また、フォーカスレンズ枠152の外周には、マグネット受け部152bが設けられており、このマグネット受け部152bにマグネット152cが取り付けられている。このマグネット152cは、フォーカスレンズ枠152が枠本体151に取り付けられた状態において、光軸L周りの周方向位置が、枠本体151のMRセンサ155と同じ位置に位置している。つまり、マグネット152cは、フォーカスレンズ枠152が光軸L方向に移動して所定の位置に達したときに、枠本体151の開口を介してMRセンサ155と対向するようになっている。MRセンサ155でマグネット152cを検知することによって、フォーカスレンズ枠152の光軸L方向の相対位置を検出することができる。
さらに、フォーカスレンズ枠152の外周には、遮光板152dが設けられている。この遮光板152dは、フォーカスレンズ枠152が枠本体151に取り付けられた状態において、光軸L周りの周方向位置が、枠本体151のフォトインタラプタ156と同じ位置に位置している。つまり、遮光板152dは、フォーカスレンズ枠152が光軸L方向に移動して所定の位置に達したときに、フォトインタラプタ156の発光部と受光部との間に介在して、発光部から受光部へ入射する光を遮断するようになっている。フォトインタラプタ156で遮光板152dを検知することによって、フォーカスレンズ枠152の光軸L方向の絶対位置を検出することができる。
枠本体151には、フォーカスレンズ枠152を取り付けた状態で、主軸カバー157及び副軸カバー158が取り付けられている。枠本体151の周壁には、底部とは反対側の開口端にフランジ151gが設けられている。主軸カバー157は、フォーカス主軸153の先端が当接した状態でフランジ151gにネジ締結される。また、副軸カバー158は、フォーカス副軸154の先端が当接した状態でフランジ151gにネジ締結される。これら主軸カバー157及び副軸カバー158によって、フォーカスレンズ枠152がフォーカス主軸153及びフォーカス副軸154から抜け出てしまうことが防止される。
次に、超音波アクチュエータ2について、図6〜11を参照しながら説明する。図6は、シャフト10に直交し且つローラ6の軸線を含む平面で切断した超音波アクチュエータ2の断面図を、図7は、アクチュエータ本体4の主面の法線方向に直交し且つシャフト10の軸線を含む平面で切断した超音波アクチュエータ2の断面図を、図8は、アクチュエータ本体4の斜視図を示している。図9は、アクチュエータ本体4の正投影図法による展開図を、図10は、各圧電体層の一方の主面を積層方向に向いて見たときの図であって、(A)は一方の最外層の圧電体層を、(B)は、第1給電電極層が設けられた圧電体層を、(C)は、第2給電電極層が設けられた圧電体層を、(D)は共通電極層が設けられた圧電体層を示している。図11は、アクチュエータ本体の長手方向への縦振動の1次モードによる変位を示す概念図を、図12は、アクチュエータ本体の屈曲振動の2次モードによる変位を示す概念図を、図13は、アクチュエータ本体の動作を示す概念図を示す。
超音波アクチュエータ2は、振動を発生させるアクチュエータ本体4と、該アクチュエータ本体4を保持するホルダ5と、アクチュエータ本体4と共に移動体11を挟持するローラ6と、アクチュエータ本体4とローラ6とを弾性的に連結する連結部材7とを備えている。超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4とローラ6とで移動体11を挟持した状態で、支持体8を介して枠本体151に取り付けられている。この超音波アクチュエータ2が振動型アクチュエータを構成する。
前記アクチュエータ本体4は、圧電素子で構成されている。アクチュエータ本体4は、略長方形状の相対向する一対の主面40a,40bと、この主面40a,40bと直交して該主面40a,40bの長手方向に延びる、相対向する一対の長辺側面40c,40dと、これら主面40a,40b及び長辺側面40c,40dの両方と直交して該主面40a,40bの短手方向に延びる、相対向する一対の短辺側面40e,40fとを有する略直方体状をしている。アクチュエータ本体4には、該アクチュエータ本体4の駆動力を移動体11に伝達する駆動子3,3が設けられている。
アクチュエータ本体4は、図10に示すように、圧電体層(圧電素子)41,41,…と内部電極層44A,45,44B,45とを交互に積層して構成される。内部電極層44A,45,44B,45は、積層方向に圧電体層41を介して交互に配された、第1給電電極層44Aと共通電極層45と第2給電電極層44Bと共通電極層45とを含んでいる。これら第1給電電極層44Aと共通電極層45と第2給電電極層44Bと共通電極層45とを1セットとして、複数セットの内部電極層44A,45,44B,45が圧電体層41を介在させた状態で繰り返し積層されている。尚、積層方向の両端には、圧電体層41,41が位置するようになっている。これら第1給電電極層44A、第2給電電極層44B及び共通電極層45のそれぞれは、各圧電体層41の主面上に印刷されている。つまり、各圧電体層41を、電極層が印刷された主面を一方向に向けて積層させることによって、圧電体層41,41,…と電極層44A,44B,45とが交互に積層された状態となる。
前記各圧電体層41は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材料からなる絶縁体層である。圧電体層41は、前記アクチュエータ本体4と同様に、一対の主面と、一対の長辺側面と、一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。また、各圧電体層41の側面には、複数の電極が形成されている。詳しくは、一方の長辺側面には、第2接続電極47bが形成されている。他方の長辺側面には、第1接続電極46bが形成されている。一方の短辺側面には、アクチュエータ本体4の短手方向一端部に第1側面電極46aが、他端部に第2側面電極47aが形成されている。他方の短辺側面には、アクチュエータ本体4の短手方向両端部に共通側面電極48a,48aが形成されている。
前記第1及び第2給電電極層44A,44Bは、図10に示すように、圧電体層41の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域のうち該主面の対角線方向に位置する2対の領域のうち一方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第1電極42a,42bと、他方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第2電極43a,43bとを有する。そして、第1給電電極層44Aにおいては、第1電極42a,42bが第1導通電極42cを介して導通している。また、第2給電電極層44Bにおいては、第2電極43a,43bが第2導通電極43cを介して導通している。
これら第1電極42a,42b及び第2電極43a,43bは、圧電体層41を挟んで共通電極層45と対向している。また、一方の第1電極42aからは、それに近接する、圧電体層41の短辺側面に形成された第1外部電極46aまで延びる引出電極42dが形成されている。他方の第1電極42bからは、それに近接する、圧電体層41の長辺側面に形成された第1接続電極46bまで延びる引出電極42dが形成されている。一方の第2電極43aからは、それに近接する、圧電体層41の短辺側面に形成された第2外部電極47aまで延びる引出電極43dが形成されている。他方の第2電極43bからは、それに近接する、圧電体層41の長辺側面に形成された第2接続電極47bまで延びる引出電極43dが形成されている。
前記各共通電極層45は、圧電体層41の主面の略全面に亘って設けられた略長方形状をしている。また、各共通電極層45のそれぞれの短辺部からは、圧電体層41の一方の短辺側面に形成された共通外部電極48a,48aまで延びる引出電極45a,45aが形成されている。
このような電極層が印刷された圧電体層41,41,…を積層させると、圧電体層41の側面に形成された第1外部電極46a、第1接続電極46b、第2外部電極47a、第2接続電極47b及び共通外部電極48a,48aが積層方向に繋がり、アクチュエータ本体4の側面には一体的に繋がった第1外部電極46A、第1接続電極46B、第2外部電極47A、第2接続電極47B及び共通外部電極48,48が形成される。
その結果、圧電体層41,41,…に設けられた第1電極42a,…,42b,…は、第1外部電極46A、第1接続電極46B及び第1給電電極層44Aの第1導通電極42cを介して互いに導通している。同様に、圧電体層41,41,…に設けられた第2電極43a,…,43b,…は、第2外部電極47A、第2接続電極47B及び第2給電電極層44Bの第2導通電極43cを介して互いに導通している。さらに、圧電体層41,41,…に設けられた共通電極層45,45,…は、共通外部電極48,48を介して互いに導通している。
そして、アクチュエータ本体4の両短辺側面40e,40fには、ACF等の加圧導電性樹脂材料を介してフレキシブルプリント基板49A,49Bが接続されている。フレキシブルプリント基板49A,49Bは、制御装置にも接続されており、アクチュエータ本体4には、フレキシブルプリント基板49A,49Bを介して制御装置から給電される。第1及び第2外部電極46A,47Aが設けられた短辺側面40eに接続されたフレキシブルプリント基板49Aは、第1及び第2外部電極46A,47Aのそれぞれに導通する導通部が設けられている。ただし、これらの導通部は、互いに絶縁されている。一方、共通外部電極48,48が設けられた短辺側面40fに接続されたフレキシブルプリント基板49Bは、共通外部電極48,48のそれぞれに導通する導通部が設けられているが、これらの導通部は、互いに絶縁されていても、導通していてもよい。
このように構成されたアクチュエータ本体4の一方の長辺側面(すなわち、後述する屈曲振動の振動方向を向く一対の面のうちの一方の面。以下、設置面ともいう)40cには、2個の駆動子3,3が設けられている。
これら駆動子3,3は、円柱状の部材であって、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、タングステンカーバイド等で形成されている。駆動子3,3は、その軸方向がアクチュエータ本体4の厚み方向を向くように配設されている。駆動子3,3は、設置面40cに対して接着剤を介して線接触状に取り付けられている。
また、駆動子3,3が設けられた位置は、設置面40cにおいて、アクチュエータ本体4の長手方向両端部から該設置面40cの全長の30〜35%距離だけ内側に入った位置であり、即ち、アクチュエータ本体4の後述する屈曲振動の2次モードの腹の位置であって、振動が最も大きくなる位置である。
このように構成されたアクチュエータ本体4は、前記共通外部電極48,48をグランドに接続し、前記第1及び第2外部電極46A,47Aに所定周波数の交流電圧を位相が90°ずれた状態で印加することによって、圧電体層41の主面の対角線方向に位置する一方の対の第1電極42a,42bと、他方の対の第2電極43a,43bとに互いに位相が90°ずれた交流電圧が印加され、その長手方向への伸縮振動(いわゆる、縦振動)とその短手方向への屈曲振動(いわゆる、横振動)とが誘起される。
伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数はそれぞれ、アクチュエータ本体4、即ち、アクチュエータ本体4の材料、形状等により決定される。さらに、両共振周波数は、アクチュエータ本体4を支持する力及び支持する部分によっても影響を受ける。これらを考慮して、両共振周波数を略一致させ、その近傍の周波数の交流電圧を位相を90°ずらした状態で第1及び第2外部電極46A,47Aのそれぞれに印加する。例えば、伸縮振動の1次モード(図11参照)の共振周波数と屈曲振動の2次モード(図12参照)の共振周波数とが一致するようにアクチュエータ本体4の形状等を設計して、該共振周波数近傍の交流電圧を前述の如く、位相を90°ずらして印加することによって、アクチュエータ本体4には、伸縮振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとが調和的に誘起され、図13(A)、(B)、(C)、(D)に示す形状の変化を順番に起こす。
その結果、アクチュエータ本体4に設けられた各駆動子3が該アクチュエータ本体4の主面と平行な平面(図13における紙面と平行な面)、即ち、長手方向と短手方向とを含む平面(さらに換言すれば、伸縮振動の振動方向と屈曲振動の振動方向とを含む平面)内で略楕円運動、即ち、周回運動を行う。
このように構成されたアクチュエータ本体4は、駆動子3,3が移動体11の摺動部材13に当接する状態で配設される。
ホルダ5は、ポリカーボネート(ガラス繊維入り)で構成された、四角柱状の部材である。ホルダ5は、アクチュエータ本体4の駆動子3,3が設けられていない方の長辺側面に設けられている。ホルダ5は、アクチュエータ本体4の長手方向中央において厚み方向(即ち、積層方向)に延びるようにして、該長辺側面40dに取り付けられている。ホルダ5の両端部は、アクチュエータ本体4の両主面40a,40bから厚み方向に突き出ている。
連結部材7は、連結部材本体70と、該連結部材本体70に取り付けられてアクチュエータ本体4を移動体11に押圧するための板バネ75とを有している。図14に連結部材本体70の斜視図を、図15に板バネ75の斜視図を示す。
連結部材本体70は、板状の部材で構成されている。平板状の平板部71と、平板部71の2箇所の隅部において屈曲して設けられた取付部72,72と、平板部71から取付部72,72とは反対側に突出するように設けられた係合部73,73とを有している。平板部71は、ホームベース状の五角形の先端の角部を切り落として形成した略六角形状をしている。取付部72,72は、平板部71における、先端が切り落とされた部分とは反対側の辺部の両端に設けられている。取付部72,72には、ネジ孔72a,72aが形成されている。この取付部72,72に板バネ75が取り付けられる。係合部73,73は、平板部71における、先端が切り落とされた部分と、取付部72,72との間に設けられており、取付部72,72とは平板部71に対して反対側に屈曲して設けられている。係合部73,73は、先端が取付部72,72側へ屈曲しており、全体として、フック形状をしている。2つの係合部73,73が並ぶ方向は、2つの取付部72,72が並ぶ方向と平行となっている。
平板部71の先端が切り落とされた部分の近傍にはローラ6設けられている。詳しくは、ローラ6は、円環状のローラ本体61と、ローラ本体61に挿通されるローラシャフト62と、ローラシャフト62の先端に嵌合されるローラカラー63とを有している。ローラシャフト62は、平板部71にカシメ等により取り付けられている。ローラシャフト62は、平板部71に対して、取付部72,72と同じ側に延びている。このローラシャフト62には、ローラ本体61が外嵌されている。そして、ローラシャフト62にローラ本体61を外嵌した状態で、ローラシャフト62の先端にローラカラー63が外嵌されている。ローラ本体61とローラシャフト62との間には、ローラ本体61が回転可能な程度の隙間が設けられている。一方、ローラシャフト62とローラカラー63との間には、隙間がほとんどなく、ローラカラー63にローラシャフト62の先端が圧入されている。こうして、ローラカラー63は、ローラ本体61の抜け止めとして機能している。
板バネ75は、板金を折り曲げて構成されている。詳しくは、板バネ75は、天板部75aと、天板部75aの両端部から垂設された縦板部75b,75bと、縦板部75b,75bの先端から外側へ天板部75aと平行に延びるフランジ部75c,75cとを有している。板バネ75は、全体として凸形状をしている。詳しくは後述するが、板バネ75は、アクチュエータ本体4を外側から覆った状態で該アクチュエータ本体4を移動体11へ付勢する。天板部75aの長手方向略中央には、緩衝ゴム75dが設けられている。この緩衝ゴム75には、アクチュエータ本体4に設けられたホルダ5が当接する。各フランジ部75cには、挿通孔75eが貫通形成されている。この板バネ75は、連結部材本体70の取付部72,72にネジ締結される。この取付構造については、後述する。
支持体8は、第1支持ユニット81と第2支持ユニット82とで構成され、一方に開口する概略箱形状をしている。図16に第1支持ユニット81の斜視図を、図17に第2支持ユニット82の斜視図を示す。
第1支持ユニット81は、概略長方形状の天板部83と、天板部83の長辺から垂直に垂設された第1支持板84と、天板部83の両方の短辺から垂直に垂設された側板85,85とを有している。天板部83には、2つのネジ孔83a,83aが形成されている。このネジ孔83a,83aを用いて、超音波アクチュエータ2が前記枠本体151にネジにより取り付けられる。第1支持板84には、略中央に開口が設けられており、その開口にガイド部材86が嵌め込まれている。ガイド部材86には、ガイド孔86aが貫通形成されている。ガイド孔86aは、天板部83の法線方向に延びる長孔状に形成されている。このガイド孔86aには、前記ホルダ5が挿入される。また、第1支持板84の、ガイド部材86よりも先端側の部分には、2つの緩衝ゴム87,87が設けられている。第1支持板84の先端部には、2つの切欠部84a,84aが設けられている。これら切欠部84a,84aには、前記連結部材本体70の係合部73,73が係合する。さらに、第1支持板84における、緩衝ゴム87,87よりも外側の部分には、2つの切欠部84b,84bが設けられている。これら切欠部84b,84bは、前記フレキシブルプリント基板49A,49Bとの干渉を避けるために設けられている。各側板85には、該1支持ユニット81の外方に突出する係合突起85aが設けられている。この係合突起85aには、第2支持ユニット82が係合する。
第2支持ユニット82は、概略長方形状の第2支持板88と、第2支持板88の両方の短辺から垂直に立設された側板89,89とを有している。第2支持板88には、略中央に開口が設けられている。この開口に、第1支持ユニット81と同様のガイド部材86が嵌め込まれている。また、第2支持板88における、ガイド部材86の両外側には、第1支持ユニット81と同様の2つの緩衝ゴム87,87が設けられている。各側板89には、係合孔89aが設けられている。この係合孔89aは、第1支持ユニット81の係合突起85aよりも大きくなっている。
このように構成された第2支持ユニット82は、2つの側板89,89で、第1支持ユニット81の側板85,85を外側から挟持するようにして取り付けられる。ここで、2つの側板89,89の内面間の距離は、第1支持ユニット81の2つの側板85,85の外面間の距離よりも少し長いものの、2つの係合突起85a,85aの突出端どうしの距離よりも短くなっている。つまり、第2支持ユニット82を第1支持ユニット81に取り付ける際には、第2支持ユニット82の側板89,89が、第1支持ユニット81の側板85,85を挟み込んだ後、第1支持ユニット81の係合突起85a,85aに徐々に乗り上げていき、該係合突起85a,85aが側板89,89の係合孔89a,89aに嵌ると同時に、側板89,89が元の状態に戻る。こうして、側板89,89の係合孔89a,89aが側板85,85の係合突起85a,85aに係合した状態で、第2支持ユニット82が第1支持ユニット81に取り付けられる。このとき、第1支持ユニット81に設けられたガイド部材86及び緩衝ゴム87,87は、第2支持ユニット82に設けられたガイド部材86及び緩衝ゴム87,87と対向する位置に位置する。
続いて、このように構成された超音波アクチュエータ2の組立方法及びフォーカスレンズ枠152への取付方法について説明する。超音波アクチュエータ2の組立及びフォーカスレンズ枠152への取付は、取付治具200を用いて行われる。図18に、取付治具200の斜視図を示す。
取付治具200は、ブロック状の部材であって、様々な載置面やガイド溝を有する。詳しくは、取付治具200は、平面視長方形のベース部材210と、ベース部材210の長辺部分に立設され且つ段差を有する段差壁部220と、ベース部材210の別の長辺部分に設けられた台座部230とを有している。
段差壁部220は、高さが相対的に高い高壁部221と高さが相対的に低い低壁部222とを重ね合わせた形状をしている。低壁部222の上端面には、ガイド溝222aが形成されている。段差壁部220は、長手方向中央部に切欠部223が形成されており、長手方向に二分割されている。切欠部223の底部223aは、ベース部材210までは達しておらず、ベース部材210よりも高く且つ低壁部222よりも低くなっている。また、切欠部223には、高壁部221と低壁部222との間に間隙223b,223bが設けられている。台座部230には、低壁部222のガイド溝222aと平行なガイド溝230aが形成されている。
この取付治具200を用いた、超音波アクチュエータ2の組立及びフォーカスレンズ枠152への取付を図19〜30を参照しながら説明する。図19は、連結部材本体70を取付治具200に設置した状態の斜視図を、図20は、フォーカスレンズ枠152を取付治具200に設置した状態の斜視図を、図21は、アクチュエータ本体4をフォーカスレンズ枠152上に載置した状態の斜視図を、図22は、板バネ75をアクチュエータ本体4上に載置した状態の斜視図を、図23は、板バネ75を段付ネジ77,77により連結部材本体70に取り付けた状態の斜視図を、図24は、図23のA−A線における断面図を、図25は、第1支持ユニット81を設置した状態の斜視図を、図26は、図25のB−B線における断面図を、図27は、第2支持ユニット82の第1支持ユニット81への取付を開始した直後の状態の斜視図を、図28は、第2支持ユニット82の第1支持ユニット81への取付を完了した状態の斜視図を、図29は、図28のC−C線における断面図を、図30は、フレキシブルプリント基板49A,49Bを支持体8に固定した状態の斜視図を示す。
まず、図19に示すように、取付治具200の切欠部223に連結部材7の連結部材本体70を設置する。詳しくは、ローラ6が下側に、取付部72,72が上側に位置し、且つ、ローラ6及び取付部72,72が低壁部222側を向くようにして、連結部材本体70を切欠部223の底部223aに載置する。このとき、平板部71が、高壁部221と低壁部222との間の間隙223b,223bに嵌っており、これにより、連結部材本体70が位置決めされる。
次に、図20に示すように、フォーカスレンズ枠152の移動体11を、連結部材本体70の取付部72,72とローラ6との間に設置する。詳しくは、移動体11を取付治具200の低壁部222のガイド溝222a上に載置する。このとき、移動体11の摺動部材14がガイド溝222aに嵌るようにする。それと共に、フォーカスレンズ枠152の遮光板152dが、台座部230のガイド溝230aに嵌るようにする。すなわち、フォーカスレンズ枠152の移動体11を一方の低壁部222のガイド溝222a上に載置すると共に遮光板152dを台座部230のガイド溝230aに嵌め込み、その状態からフォーカスレンズ枠152をガイド溝222a,230aに沿って移動させる。こうして、移動体11を、連結部材本体70の取付部72,72とローラ6との間に設置する。このとき、ローラ6と移動体11の摺動部材14とは、接触しておらず、両者の間には隙間が設けられている。また、取付部72,72と移動体11の摺動部材13とも接触していない。
続いて、図21に示すように、アクチュエータ本体4を移動体11の摺動部材13上に載置する。詳しくは、駆動子3,3を摺動部材13に当接させると共に、フレキシブルプリント基板49A,49Bが高壁部221側を向くようにして、アクチュエータ本体4を摺動部材13上に載置する。
さらに、図22に示すように、板バネ75をアクチュエータ本体4上に載置する。詳しくは、板バネ75を、天板部75aを上側に、フランジ部75c,75cを下側にした状態でアクチュエータ本体4のホルダ5上に載置する。このとき、天板部75aの緩衝ゴム75d(図22では図示省略)がホルダ5に当接している。また、フランジ部75c,75cは、連結部材本体70の取付部72,72と対向するものの、両者の間には隙間が設けられている。さらに、フランジ部75c,75cの挿通孔75e,75eは、取付部72,72のネジ孔72a,72a(図22では図示省略)と同軸上に配置されている。
そして、図23に示すように、板バネ75が段付ネジ77,77により連結部材本体70に取り付けられる。詳しくは、各段付ネジ77には、コイルバネ78が外嵌される。段付ネジ77,77は、この状態でフランジ部75c,75cの挿通孔75e,75e(図23では図示省略)に挿通され、取付部72,72のネジ孔72a,72a(図23では図示省略)に締結される。段付ネジ77を締結する前は、連結部材本体70は、取付治具200の切欠部223の底部223a上に載置されて、ローラ6と移動体11との間には隙間が設けられていたが、段付ネジ77を連結部材本体70に締結することによって、図24に示すように、連結部材本体70が切欠部223の底部223aから浮き上がり、ローラ6が移動体11(詳しくは、摺動部材14)に当接するようになる。このとき、コイルバネ78は、段付ネジ77の頭とフランジ部75cとで挟持されて圧縮変形している。この圧縮変形によって生じるコイルバネ78のばね力は、板バネ75と段付ネジ77とに作用する。板バネ75に作用するばね力は、ホルダ5を介してアクチュエータ本体4へ伝わり、アクチュエータ本体4を移動体11へ付勢する(図23中の矢印P1参照)。ここで、アクチュエータ本体4には2つの駆動子3,3が設けられているため、2つの駆動子3,3が移動体11と当接するように、アクチュエータ本体4の姿勢が自然に矯正される。つまり、一方の駆動子3だけが移動体11と当接するようなことがない。一方、段付ネジ77に作用するばね力は、連結部材本体70を介してローラ6へ伝わり、ローラ6を移動体11へ付勢する(図23中の矢印P2参照)。このようにして、アクチュエータ本体4とローラ6とを移動体11に取り付けることによって、移動体11に不要なこじり力が発生することを防止することができる。また、アクチュエータ本体4から移動体11へ作用する押圧力と、ローラ6から移動体11へ作用する押圧力とは、向きが反対で且つ大きさが等しいため、互いに相殺する。これにより、移動体11を過度に補強する必要もないため、移動体11の小型化、ひいては、フォーカスレンズ枠152の小型化を図ることができる。また、移動体11に挿通されるフォーカス主軸153に不要な力が作用することもないため、フォーカス主軸153を過度に補強する必要がない。さらには、移動体11とフォーカス主軸153との間の摩擦力の増加を防ぐことができるため、フォーカスレンズ枠152を駆動するための必要な駆動力を低減することができる。それに加えて、フォーカス主軸153の軸受としてボールベアリング等の高価な軸受を用いる必要がないため、構成を簡略化できると共に、コストを低減することができる。さらに、アクチュエータ本体4及びローラ6の付勢力をコイルバネ78によって発生させることによって、板バネ等で発生させる構成と比べて、ばね定数を低く抑えることができるため、付勢力のばらつきを低減させることができる。これにより、信頼性の高いフォーカス駆動を実現することができる。
続いて、支持体8を取り付ける。まず、図25に示すように、第1支持ユニット81を、天板部83を上側にした状態で、板バネ75(図25では図示省略)を覆い被すようにして、設置する。このとき、図26に示すように、第1支持ユニット81の切欠部84a,84aを、連結部材本体70の係合部73,73に係合させると共に、ガイド孔86aにアクチュエータ本体4のホルダ5を挿入させる。このとき、フレキシブルプリント基板49A,49Bは、第1支持板84の切欠部84b,84bを通って、第1支持ユニット81の外側へ延びている。
次に、図27に示すように、第2支持ユニット82を第1支持ユニット81に取り付ける。詳しくは、第2支持ユニット82の側板89,89が第1支持ユニット81の側板85,85を外側から挟持するようにして、第2支持ユニット82が第1支持ユニット81に取り付ける。このとき、第2支持ユニットと82のガイド孔86a(図27では図示省略)にアクチュエータ本体4のホルダ5(図27では図示省略)を挿入させる。第2支持ユニット82を第1支持ユニット81に取り付けていくと、第2支持ユニット82の側板89,89は、次第に第1支持ユニット81の側板85,85の係合突起85a,85a上に乗り上げていく。そして、図28に示すように、側板89,89の係合孔89a,89aに係合突起85a,85aが嵌ると、第2支持ユニット82の第1支持ユニット81への取付が完了する。
こうして、第2支持ユニット82の第1支持ユニット81への取付が完了すると、アクチュエータ本体4は、第1支持ユニット81の緩衝ゴム87と第2支持ユニット82の緩衝ゴム87とで両側から挟持される。緩衝ゴム87,87は、少し圧縮変形しており、アクチュエータ本体4を両側から付勢している。これら緩衝ゴム87,87によって、アクチュエータ本体4の振動による騒音の発生を防止することができる。
ここで、支持体8は、第1支持ユニット81の切欠部84a,84aと連結部材7の係合部73,73との係合のみによって連結部材7に取り付けられているので、該切欠部84a,84aを中心に揺動して、第1支持ユニット81の緩衝ゴム87からの付勢力と第2支持ユニット82の緩衝ゴム87からの付勢力との大きさが等しくなるように、姿勢が自動的に矯正される。このように、第1支持ユニット81の緩衝ゴム87と第2支持ユニット82の緩衝ゴム87を、アクチュエータ本体4の両側から当接させて、そのまま圧縮変形させることによって、緩衝ゴム87,87に不要な力が生じることを防止することができると共に、緩衝ゴム87,87をアクチュエータ本体4に対して所望の位置に正確に配置することができる。
最後に、図30に示すように、フレキシブルプリント基板49A,49Bを折り曲げて、支持体8の第1支持ユニット81に両面テープや接着剤等で固定する。
このようにして組み立てられた超音波アクチュエータ2及びフォーカスレンズ枠152は、フォーカス主軸153が移動体11の貫通孔11bに挿通されると共にフォーカス副軸154が切欠部152aに挿通された状態で、支持体8のネジ孔83a,83aを用いて枠本体151に取り付けられる。
ここで、ローラ6の構成についてさらに詳しく説明する。
ローラシャフト62は、図31に示すように、移動体11の貫通孔11bの軸方向及びアクチュエータ本体4とローラ6とで移動体11を付勢する付勢方向(図中のX方向)に直交する方向(即ち、アクチュエータ本体4の伸縮振動の振動方向及び屈曲振動の振動方向に直交する方向であって、図中のY方向)に対して傾斜している。詳しくは、ローラシャフト62は、先端に向かって、移動体11から離れるように傾斜している。連結部材本体70の係合部73,73と支持体8の切欠部84a,84aとの形状によって、ローラシャフト62がこのように傾斜するようになっている。
一方、ローラ本体61は、円筒状の円筒部61aと、円筒部61aの軸方向両端部に設けられた2つのフランジ部61b,61bと、円筒部61aの内周側に設けられた軸受部61cとを有している。円筒部61aの外周面は、ローラ本体61の軸心と平行に形成されている。また、2つのフランジ部61b,61bの間隔は、摺動部材14の幅と略同じか、少し大きくなっている。そのため、ローラ本体61は、円筒部61aの外周面が移動体11の摺動部材14にその軸方向の全域に亘って当接している。その結果、ローラ本体61の軸心は、移動体11の貫通孔11bの軸方向及びアクチュエータ本体4とローラ6とで移動体11を付勢する付勢方向Xに直交する方向Yを向くようになる。軸受部61cは、円筒部61aの内周側で環状に形成されており、その内周径は、ローラシャフト62の外径よりも少し大きくなっている。
ここで、ローラシャフト62は、前述の如く、傾斜しているため、ローラシャフト62は、軸受部61cと軸方向の全域に亘って当接するのではなく、軸受部61cの軸方向一端縁とのみ片当たりした状態となる。前述のコイルバネ78のばね力は、段付ネジ77、連結部材本体70及びローラシャフト62を介してローラ本体61に伝えられる。そして、ローラシャフト62は、常に、軸受部61cの軸方向一端縁とのみ当接しているため、コイルバネ78のばね力は、常に、軸受部61cの軸方向一端縁に作用する。したがって、コイルバネ78のばね力を、移動体11の摺動部材14に安定的に作用させることができる。それに加えて、この軸受部61cの軸方向一端縁は、ローラ本体61の軸方向における位置が、円筒部61aの外周面の軸方向中央部と一致している(即ち、図中の寸法m1とm2とが等しくなる)。そのため、コイルバネ78のばね力は、ローラ本体61の軸方向において均等に、移動体11の摺動部材14に作用することになる。
また、軸受部61cは、軸方向において、ローラカラー63との間に隙間を有すると共に、ローラシャフト62の基端部との間にも隙間を有する。ここで、連結部材7の係合部73,73が支持体8の切欠部84a,84aに係合しているものの、両者はぴったりと嵌っているわけではなく、移動体11の貫通孔11bの軸方向や、前記直交方向には多少の隙間を有している。そのため、連結部材7は、その隙間の分だけ、がたつく可能性があり、それに伴って、ローラシャフト62もがたつく可能性がある。しかしながら、軸受部61cとローラカラー63との間、および、軸受部61cとローラシャフト62の基端部との間には、前述の如く、隙間が設けられているため、軸受部61cとローラカラー63、又は、軸受部61cとローラシャフト62の基端部とが緩衝して、ローラ本体61の回転を阻害してしまうことを防止することができる。
このように構成された超音波アクチュエータ2においては、アクチュエータ本体4はコイルバネ78の弾性力によって移動体11へ押し付けられている。これにより、駆動子3,3と移動体11との間の摩擦力が確保され、アクチュエータ本体4から移動体11へ効率良く駆動力を伝達することができる。このとき、移動体11には、アクチュエータ本体4の反対側からコイルバネ78の弾性力によりローラ6が押し付けられている。つまり、移動体11はアクチュエータ本体4とローラ6とで両側から押圧される。さらに、このときの押圧力は共に、コイルバネ78から発生したものであり、移動体11はアクチュエータ本体4とローラ6とにより均等な押圧力で押圧される。したがって、アクチュエータ本体4を移動体11に押し付ける構成ではあるが、移動体11に作用する押圧力は相殺され、移動体11に偏った力が作用することが防止される。この移動体11は、シャフト10に支持されるため、結果として、シャフト10に不要な力が作用することが防止される。それにより、移動体11をシャフト10に沿って円滑に移動させることができる。
そして、このような構成において、アクチュエータ本体4とローラ6とを連結すると共に該アクチュエータ本体4とローラ6とを移動体11を挟み込む方向に付勢する連結部材7が、光軸方向を向いて見たときに、移動体11に対してフォーカスレンズ枠152(ここでいう「フォーカスレンズ枠152」は「移動体11」を含まない。)側には設けられておらず、移動体11に対してフォーカスレンズ枠152とは反対側に設けられている。つまり、前記連結部材7は、図6に示すように、光軸L方向を向いて見たときに、フォーカスレンズ枠152とは重ならないように構成されている。さらに換言すれば、連結部材7は、シャフト10の軸Z回りの周方向位置が、フォーカスレンズ枠152と重ならないようにずれている。
例えば、光軸L方向を向いて見たときに、連結部材7とフォーカスレンズ枠152とが重なっている構成においては、フォーカスレンズ枠152を光軸L方向に移動させると、どこかで連結部材7と当接してしまい、それから先には移動できない。つまり、フォーカスレンズ枠152の総移動量が連結部材7によって制限されてしまう。それに加えて、第5群枠150をレンズ鏡筒内に配設する構成においてフォーカスレンズ枠152の必要な総移動量が決まっている場合には、レンズ鏡筒内には、光軸L方向において、フォーカスレンズ枠152の総移動量に加えて、連結部材7を含む超音波アクチュエータ2を配設するための配設スペースが必要になる。つまり、レンズ鏡筒内の限られたスペースにおいて、超音波アクチュエータ2を配設するためだけに使用し、フォーカスレンズ枠152が移動できないスペースが生じてしまう。
それに対して本実施形態では、フォーカスレンズ枠152が連結部材7に干渉することがないため、フォーカスレンズ枠152を超音波アクチュエータ2の横を通過させながら光軸L方向に移動させることができる。つまり、フォーカスレンズ枠152の総移動量が連結部材7によって制限されない。そのため、第5群枠150をレンズ鏡筒内に配設する構成において、連結部材7を含む超音波アクチュエータ2を配設するためだけに配設スペースを設ける必要がなく、より小さなスペースでフォーカスレンズ枠152の所定の総移動量を確保することができる。つまり、超音波アクチュエータ2及びフォーカスレンズ枠152の全体的な寸法を小型化しつつ、フォーカスレンズ枠152の総移動量を確保することができる。
また、本実施形態では、駆動子3,3から移動体11に摩擦力を介して駆動力を出力している。つまり、移動体11の光軸L方向の寸法は、少なくとも、フォーカスレンズ枠152の総移動量よりは大きくする必要がある。ところで、この移動体11には、フォーカス主軸153が挿通される貫通孔11bが形成されている。すなわち、移動体11は、軸受としても機能している。つまり、フォーカスレンズ枠152の総移動量を確保すべく移動体11を長くすると、フォーカスレンズ枠152の軸受の長さが軸方向に長くなる。その結果、フォーカスレンズ枠152とフォーカス主軸153との間のガタツキを抑制し、フォーカスレンズ枠152を安定して駆動することができる。
さらに、連結部材7が移動体11に対してフォーカスレンズ枠152と反対側に設けられているため、移動体11のフォーカスレンズ枠152側に移動体11とフォーカスレンズ枠152との剛性を向上させるためのリブ11a,11aを設けたとしても、リブ11a,11aがフォーカスレンズ枠152の移動を阻害することはない。すなわち、前記の構成とすることによって、移動体11とフォーカスレンズ枠152との間にリブ11a,11aを設けて、フォーカスレンズ枠152と移動体11との間の剛性を向上させることができる。その結果、フォーカスレンズ枠152を安定して駆動することができる。
《その他の実施形態》
本発明は、実施形態について、以下のような構成としてもよい。
前記実施形態では、移動体11に対してアクチュエータ本体4の反対側にはローラ6が設けられているが、アクチュエータ本体4の反対側の部材(即ち、対向部材)はローラ6に限られるものではない。例えば、対向部材は、ローラシャフトに対してローラ本体が回転不能に取り付けられたローラであってもよい。また、対向部材は、移動体11と単に当接するだけの当接部材であってもよい。この場合、当接部材は、連結部材7と別体に設けられてもよいし、一体に設けられてもよい。尚、当接部材は、移動体11との間の摩擦抵抗が小さいことが好ましい。さらに、対向部材は、別のアクチュエータ本体であってもよい。この場合、2つのアクチュエータ本体で移動体11を挟持することになる。つまり、移動体11は、2つのアクチュエータ本体で駆動される。すなわち、対向部材は、移動体11に当接すると共に該移動体11を挟んでアクチュエータ本体4と対向する位置に位置する部材であれば、任意の部材を採用することができる。
また、超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4に1次モードの伸縮振動と2次モードの屈曲振動とを発生させているが、これに限られるものではない。アクチュエータ本体4に伸縮振動と屈曲振動とを発生させる構成であれば、任意の次数の振動を発生させるアクチュエータ本体を採用することができる。
さらに、アクチュエータ本体4は、長辺側面40cに駆動子3,3が2つ設けられているが、これに限られるものではない。例えば、駆動子をアクチュエータ本体4の短辺側面40eに設ける構成であってもよい。この場合、アクチュエータ本体4の短辺側面40eが移動体11に対向するようにして、アクチュエータ本体4が移動体11に当接する。そして、アクチュエータ本体4からは、その屈曲振動の方向へ駆動力が出力される。
また、前記実施形態では、移動体11とフォーカスレンズ枠152とが一体に形成されているがこれに限られるものではない。例えば、移動体11とフォーカスレンズ枠152とは別体であってもよい。その場合、移動体11とフォーカスレンズ枠152を何らかの連結機構によって連結すればよい。ただし、超音波アクチュエータ2からの駆動力をフォーカスレンズ枠52に効率良く伝達するためには、移動体11とフォーカスレンズ枠152とが一体的に構成されていることが好ましい。
さらに、フォーカスレンズ枠152に移動体11が設けられているが、これに限られるものではない。つまり、超音波アクチュエータ2によって駆動されるのは、フォーカスレンズ枠152に限られず、他のレンズ枠であってもよい。
さらにまた、移動体11は、必ずしも、シャフト10に支持されている必要はない。すなわち、移動体11は、レンズ枠と一体的に移動可能である限りは、その支持構造が限定されるものではない。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。