JP2017034926A - 振動型モータ、レンズ鏡筒及び撮像装置 - Google Patents

振動型モータ、レンズ鏡筒及び撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】駆動体と被駆動体とが連結された振動型モータにおいて、駆動体と被駆動体との相対位置が変動したときの駆動負荷の増加を抑制する。
【解決手段】突起部112aを有する振動子11と、振動子11を保持する保持部材13と、突起部112aと当接する摺動面121aを有する摺動部材12とを有し、振動子11と保持部材13とが一体となって摺動部材12に対して相対的に移動する振動型モータ1は、保持部材13に連結されて保持部材13と共に移動する被駆動体14を有する。保持部材13に連結部13aを設け、被駆動体14に連結部13aと連結される被連結部14aが設けられ、保持部材13は摺動部材12に対して保持部材13の移動方向と平行な軸L1を中心と回転可能であり、軸L1回りの保持部材13と摺動部材12の相対角度が連結部13aと被連結部14aとの連結により規制される構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、振動子と摺動部材とを当接させ、振動子に励起した振動によって振動子と摺動部材とを相対的に移動させる振動型モータ、振動型モータを用いてレンズを駆動するレンズ鏡筒及び撮像装置に関する。
圧電素子等の振動を利用した振動型モータ(振動波モータ或いは振動型アクチュエータとも称呼される)は、小型で大きな駆動力が得られ、広い速度レンジに対応することができ、また、低騒音であり、電磁ノイズを発生させない等の特徴を有する。また、振動型モータは、振動子により摩擦駆動される摺動部材を摩擦力によって保持するため、摺動部材を保持するための別の機構が不要となり、これにより、部品点数を減らしてコストダウンを図ると共に小型化を図ることができるという利点を有する。
振動型モータには、様々な原理を用いた様々な形状のものが知られており、その1つに突起部を有する振動子に複数の共振モードを同時に励起するものがある(特許文献1参照)。突起部を有する振動子を用いた振動型モータでは、振動子に励起された共振モードにより突起部の先端に楕円運動を発生させ、突起部が当接している摺動部材に摩擦駆動力が与えられることで、振動子と摺動部材とを相対的に移動させる。
突起部を有する振動子を用いた振動型モータは、例えば、撮像装置のレンズ鏡筒内でのレンズの駆動に用いられており、このような用途では、振動子と摺動部材との相対的な移動に極めて高い精度が要求される。そこで、振動子を含む駆動体とレンズが連結された被駆動体とを連結し、これらを摺動部材に対して移動させる構成において、駆動体と被駆動体との連結部において寸法誤差等により生じる相対的な位置ずれを吸収する機構が提案されている(特許文献2参照)。この機構では、駆動体と被駆動体との連結部において、駆動体と被駆動体とは駆動軸方向ではバネ付勢によってがたつきが生じることなく連結しており、駆動軸方向以外の方向には相対的な移動が可能となっている。即ち、駆動体と被駆動体との相対的な位置ずれの吸収は、駆動体と被駆動体が駆動軸方向以外の方向に移動することで実現される。
特開2009−268237号公報 特開2005−99549号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載された構成では、駆動体と被駆動体の連結部にバネ付勢による摩擦力が働き、駆動軸方向以外の方向への移動がスムーズに行われない。そのため、駆動体の移動方向と被駆動体の移動方向とにねじれが生じる等して駆動体と被駆動体の相対位置が大きく変動した場合には、その相対位置の変動をスムーズに吸収できずに大きな駆動負荷が生じることがある。
本発明は、駆動体と被駆動体とが連結された振動型モータにおいて、駆動体と被駆動体との相対位置が変動したときの駆動負荷の増加を抑制することができる振動型モータを提供することを目的とする。
本発明に係る振動型モータは、突起部を有する振動子と、前記振動子を保持する保持部材と、前記突起部と当接する摺動面を有する摺動部材と、を有し、前記保持部材と前記摺動部材のうちの一方が固定部とされると共に他方が可動部とされ、前記振動子に励起した振動により前記可動部を前記固定部に対して移動させる振動型モータであって、前記可動部と連結されて前記可動部と共に移動する被駆動体を有し、前記可動部に連結部が設けられると共に、前記被駆動体に前記連結部と連結される被連結部が設けられ、前記可動部は、前記固定部に対して前記可動部の移動方向と平行な軸を回転軸として回転可能であり、前記回転軸の軸回りの前記固定部と可動部の相対角度が前記連結部と前記被連結部の連結により規制されていることを特徴とする。
本発明によれば、駆動体と被駆動体とが連結された振動型モータにおいて、駆動体と被駆動体との相対位置が変動したときの駆動負荷の増加を抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る振動型モータと、振動型モータに連結された被駆動体の概略構成を示す断面図である。 図1の振動型モータを構成する振動子、摺動部材及び保持部材の保持構造を説明する断面図である。 図1の振動型モータにおいて、被駆動体が案内される方向と振動型モータの駆動軸が傾いた状態を示す断面図である。 図1の振動型モータ1において、保持部材の回転に影響を与える摩擦力について説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る振動型モータと、振動型モータに連結された被駆動体の概略構成を示す断面図である。 図5の振動型モータにおいて、被駆動体が案内される方向と振動型モータの駆動軸が傾いた状態を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る振動型モータと、振動型モータに連結された被駆動体の概略構成を示す断面図である。 図7の振動型モータを構成する振動子、摺動部材及び保持部材の保持構造を説明する断面図である。 図7の振動型モータにおいて、被駆動体が案内される方向と振動型モータの駆動軸が傾いた状態を示す断面図である。 レンズ駆動装置を備えるレンズ鏡筒を有する撮像装置の概略構成を示す断面図である。 図1の振動型モータを用いたレンズ駆動装置の概略構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る振動型モータ1と、振動型モータ1に連結された被駆動体14の概略構成を、振動型モータ1を駆動軸方向から見て示す断面図である。図1(b)は、図1(a)に示す矢視A−Aの断面図である。図1(c)は、図1(a)に示す矢視B−Bの断面図である。説明の便宜上、図1(a)〜(c)に示すように、互いに直交するD1方向とD2方向を定めることとし、D1方向を振動型モータ1の駆動軸方向(以下「駆動軸D1方向」という)とする。
振動型モータ1は、大略的に、駆動体10と、摺動部材12とから構成される。一般的に、振動型モータは、振動子を含む駆動体と、振動子による摩擦駆動力を受ける摺動部材のうちの一方を固定部とし、他方を可動部として、振動子に励起した振動により、固定部に対して可動部を相対的に移動させる。振動型モータ1では、以下に説明する通り、駆動体10を可動部とし、摺動部材12を固定部とした構造を有する。
駆動体10は、摺動部材12に対して相対的に且つ一体的に移動する部材から構成されており、振動子11、保持部材13、加圧部材15、加圧板16、転動ボール17及び保持板18を有する。駆動体10には、被駆動体14が連結されている。被駆動体14は、後述するように、摺動部材12に対して駆動体10と一体的に移動するが、駆動体10には含まれず、駆動体10による駆動対象物であると定義する。そして、振動子11による摩擦駆動力を受ける部材を、摺動部材12と定義する。
振動子11は、電気−機械エネルギ変換素子である圧電素子111と、圧電素子111に接着された弾性体112とを有する。圧電素子111に用いられる圧電材料は、例えば、矩形板状のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である、弾性体112には、ステンレス等の鋼板材が用いられる。弾性体112において圧電素子111が接着されている面の反対側の面には、突起部112aが2カ所に、駆動軸D1方向に所定の間隔で設けられている。例えば、振動子11に一次と二次の面外曲げ振動が同時に所定の位相差で励起されるように圧電素子111に所定の交流電圧を印加することにより、突起部112aの先端に楕円運動が生じ、突起部112aから摺動部材12へ摩擦駆動力が加えられる。
摺動部材12は、振動子11の突起部112aと当接(加圧接触)する部材であり、不図示の固定手段に固定される。摺動部材12は、突起部112aの先端に励起された楕円運動により繰り返して摩擦駆動力を受ける。その際に、本実施形態では摺動部材12が固定されているため、駆動体10は、摩擦駆動力の反力によって摺動部材12に対して駆動軸D1方向に直線的に移動する。
駆動体10の滑らかな動きと十分な耐久性を得るために、摺動部材12において突起部112aと当接する摺動面121aは、平滑性が高く、高硬度であることが望ましい。そのため、摺動部材12は、焼き入れ処理等の硬化処理が施されたステンレス鋼板121を有しており、ステンレス鋼板121において研磨処理が施された表面が摺動部材12の摺動面121aとなっている。摺動部材12において、ステンレス鋼板121は、基材122に固定されている。基材122は、例えば、樹脂材料からなり、ステンレス鋼板121が固定された面の反対側の面には、転動ボール17が配置される案内溝122aが設けられている。
保持部材13は、保持板18を介して振動子11を保持する、例えば、樹脂製の枠体である。保持板18は、例えば、薄板状の金属部材(薄肉板金)であり、振動子11(の弾性体112)に溶接により固定されると共に、保持部材13とは接着等により固定される。加圧部材15は、例えば、板ばねであり、付勢力が生じるように変形(湾曲)させた状態で保持部材13と加圧板16の間に組み込まれている。なお、加圧板16と圧電素子111との間には、圧電素子111へ所定の交流電圧を印加するための不図示のフレキシブルプリント基板が配置される。保持部材13には、摺動部材12に設けられた案内溝122aと対向する位置に、転動ボール17が配置される溝部13bが設けられている。
加圧部材15の変形による付勢力は、加圧板16を介して振動子11に伝達される。こうして、突起部112aが所定の加圧力で摺動面121aに押し当てられる。加圧板16は、振動子11に対して加圧力を均等に分散させる部材であり、例えば、樹脂製の板状部材である。なお、本実施形態では、保持板18に薄肉板金を用いているため、加圧部材15による加圧力の方向であるD2方向での剛性は小さいが、駆動軸D1方向での剛性は大きい。そのため、加圧部材15による付勢力を阻害することなく、振動子11と保持部材13とは、駆動軸D1方向において、がたつきが生じることなく連結されている。
振動型モータ1による駆動対象物である被駆動体14は、図1にはその一部のみが示されている。被駆動体14は、不図示の案内機構により、振動型モータ1の駆動軸D1方向と略平行な方向にのみ移動可能な状態に配設されている。保持部材13には、被駆動体14との連結のために連結部13aが設けられており、被駆動体14には、連結部13aと連結される被連結部14aが設けられている。
連結部13aは、本実施形態では、保持部材13に設けられた球状体である。被連結部14aは、連結部13aに当接するように被駆動体14に設けられた案内溝14bと、案内溝14bに対して連結部13aを付勢する付勢部材である板ばね141とによって構成される。板ばね141の付勢により連結部13aが被駆動体14の案内溝14bに付勢されることで、連結部13aと被連結部14aは、駆動軸D1方向にがたつきが生じることなく連結される。
なお、仮に被駆動体14が駆動軸D1方向と略平行な方向以外の方向に自由度を有する場合、連結部13aと被連結部14aの連結位置が一意に定まらないため、安定した連結ができず、振動型モータ1の駆動中に連結が外れてしまう可能性がある。これに対して、本実施形態では、被駆動体14を駆動D1軸と略平行な方向にのみ移動可能にのみ保持し、後述の通りに軸L1を回転軸とした軸回りの摺動部材12と保持部材13の相対角度θを規制する。これにより、連結部13aと被連結部14aとを安定して連結することができる。
振動型モータ1の駆動時には、前述の通り、駆動体10が摺動部材12に対して駆動軸D1方向に直線的に移動する。したがって、保持部材13に対して連結部13aと被連結部14aを介して連結されている被駆動体14もまた、駆動体10と共に駆動軸D1方向に直線的に移動する。
次に、図2を参照して、振動子11、摺動部材12及び保持部材13の構造的な関係(保持構造)について説明する。図2(a)は、摺動部材12に対して駆動体10が駆動軸D1方向に移動した状態を、図1(b)と同様に示した断面図である。
摺動部材12に設けられた案内溝122aと保持部材13に設けられた溝部13bの間には、転動部材である2つの転動ボール17が配置されている。振動子11の突起部112aに矢印M0で示す楕円運動を生じさせると、転動ボール17が矢印M1で示す方向に転動し、保持部材13は、駆動軸D1方向において、摺動部材12に対して矢印M2の向きに移動する。振動子11は、保持部材13に固定されているため、摺動部材12に対して保持部材13と同期して駆動軸D1方向に移動する。つまり、駆動体10が、摺動部材12に対して駆動軸D1方向に移動する。
図2(b)は、駆動体10が駆動軸D1方向と平行な軸L1を回転軸として、摺動部材12に対して所定角度だけ回転した状態を、図1(a)と同様に示した断面図である。軸L1は、2つの転動ボール17を通る。つまり、転動ボール17は、駆動軸D1方向と平行な軸L1上に配置されている。そのため、摺動部材12から見て、駆動体10は、軸L1を回転軸として矢印M3で示す方向に回転可能である。本実施形態では摺動部材12が固定されているため、図2(b)(及び図1(a))に示すように、軸L1を通る水平面と、軸L1と連結部13aとを通る平面とがなす角を相対角度θとして定義している。
摺動部材12に対して保持部材13が軸L1回りに回転する際に、振動子11の突起部112aと摺動部材12の摺動面121aとが機械的に干渉することを避ける必要がある。これは、振動子11の突起部112aと摺動部材12とが機械的に干渉すると、摺動部材12に対する保持部材13の軸L1回りの回転が阻害されてしまうからである。
ここで、振動型モータ1が通常状態(正常状態)にあるときには、図1(a)に示すように、摺動面121aと突起部112aとの当接部Pにおいて摺動面121aと接する突起部112aの平面S1は、軸L1と当接部Pを通る平面S2と略直交する。よって、図2(b)に示すように、軸L1回りの回転角度が小さければ、突起部112aは、矢印M4の方向に摺動面121aに沿って移動し、突起部112aと摺動面121aが機械的に干渉することは避けられる。また、このときに生じる振動子11の保持部材13に対する微小な移動は、加圧部材15と保持板18の変形によって吸収される。即ち、平面S1と平面S2とを略直交させることにより、駆動体10と被駆動体14の相対位置の変動をスムーズに吸収する効果を高めることができる。
ところで、上述した通り、保持部材13には被駆動体14が連結されており、被駆動体14は、不図示の案内機構により駆動軸D1方向と略平行な方向にのみ移動可能である。したがって、摺動部材12に対する保持部材13の軸L1回りの回転角度は被駆動体14によって規制され、保持部材13は自由に回転することはない。しかし、連結部13aは球状に構成されており、被連結部14aにおいて案内溝14bと板ばね141によって挟持されている。そのため、連結部13aは、案内溝14bと板ばね141に挟持された状態で、案内溝14b及び板ばね141との間に作用する摩擦力に抗して一定の角度範囲で回転することができる。つまり、振動型モータ1は、摺動部材12に対して一定の角度で保持部材13が傾いても、連結部13aと被連結部14aによる保持部材13と被駆動体14の連結状態を維持することができる構造となっている。
このことは、被駆動体14に外力が作用する等して被連結部14aの位置が変化した場合には、連結部13aが被連結部14aにおいて適切に回転して相対角度θが適切に変化することで、保持部材13と被駆動体14との連結状態が維持されることを示している。また、駆動体10、摺動部材12及び被駆動体14の寸法誤差や組み付け精度等によってこれらが理想的な配置からずれた場合でも、相対角度θが適切に変化することで、保持部材13と被駆動体14は適切に連結された状態で摺動部材12に対して配置される。
そこで次に、図3を参照して、保持部材13と被駆動体14の連結状態と相対角度θとの関係について説明する。図3(a)は、被駆動体14が案内されるD3方向に対して振動型モータ1の駆動軸D1方向が傾いた状態を、図1(b)と同様に示した断面図である。図3(a)に示すように、駆動体10の移動方向(摺動部材12の長さ方向)である駆動軸D1方向と、被駆動体14が不図示の案内機構により案内されるD3方向とがねじれた状態は、例えば、部品の寸法誤差や組み付け精度等が原因で生じ得る。なお、図3(a)では、被駆動体14が案内されるD3方向に対する駆動軸D1方向のずれを誇張して表しているが、このずれは、実際には僅か(微小)である。
図3(b)は、図3(a)中の矢印M5方向に駆動体10が移動した状態を、図1(a)と同様に示した断面図である。駆動体10が矢印M5方向に移動すると、被駆動体14は相対的に矢印M7方向に動く。ここで、保持部材13は摺動部材12に対して軸L1回りに回転可能であるが、軸L1回りの摺動部材12と保持部材13の相対角度θは、連結部13aと被連結部14aの連結により規制されている。そのため、被駆動体14が矢印M7方向に動くときには、矢印M9で示すように、保持部材13が回転し、連結部13aが回転しながら被連結部14aの案内溝14bに沿って移動する。
図3(c)は、図3(a)中の矢印M6方向に駆動体10が移動した状態を、図1(a)と同様に示した断面図である。駆動体10が矢印M6方向に移動すると、被駆動体14は相対的に矢印M8方向に動く。図3(b)について説明した理由と同様の理由で、被駆動体14が矢印M8方向に動くときには、矢印M10で示すように保持部材13が回転し、連結部13aが回転しながら被連結部14aの案内溝14bに沿って移動する。
こうして、駆動体10が駆動軸D1方向の矢印M5,M6のどちらの方向に移動しても、連結部13aと被連結部14aとの連結状態は維持される。即ち、振動型モータ1は、保持部材13が軸L1回りに回転することで、連結部13aが回転しながら被連結部14aの案内溝14bに沿って移動するように構成されている。これにより、部品の加工精度や組み付け精度等に起因する駆動体10と被駆動体14の相対位置の変動を吸収することができる。
ところで、振動型モータ1において、保持部材13の軸L1回りの回転を阻害する力のうち最も大きなものは、振動子11の突起部112aと摺動面121aの間に働く、図3(b)に示す摩擦力F1と、図3(c)に示す摩擦力F2である。ここで、接触と離間を高速で繰り返す物体の間では、スクイーズ膜効果と呼ばれる、摩擦力が著しく低下する効果が生じることが確認されている。振動型モータ1においても、突起部112aと摺動面121aとの間に働く摩擦力F1,F2は、スクイーズ膜効果によって十分小さく、総じて保持部材13の回転を阻害する力は小さくなる。そのため、連結部13aと被連結部14aの相対位置の変動に対して、保持部材13は小さい摩擦抵抗で回転して移動することができ、結果として、連結部13aと被連結部14aの相対位置の変動をスムーズに吸収することができる。
ここで、保持部材13の軸L1回りの回転を阻害する摩擦力F1について、図4を参照して詳細に説明する。図4は、振動型モータ1において保持部材13が矢印M9(図3(b)参照)で示すように軸L1回りに回転する際に、摩擦力F1が保持部材13の回転に与える影響を説明する図である。摩擦力F1は、スクイーズ膜効果により十分小さいが、摩擦力F1が保持部材13の回転に与える影響は可能な限り小さく、連結部13aが低摩擦で移動可能なことが望ましい。
そこで、図4に示すように振動型モータ1は、軸L1から摺動面121aまでの距離R1よりも軸L1から連結部13aまでの距離R2の方が長くなるように構成されている。この場合、摩擦力F1が生じる軸L1回りの回転力により、連結部13aに生じる摩擦力は低減され、連結部13aが軸L1回りに滑らかに回転することができ、駆動体と被駆動体の相対位置の変動をスムーズに吸収する効果をより大きく得ることができる。
以上の説明の通り、振動型モータ1では、駆動体10と被駆動体14の相対位置の変動をスムーズに吸収することができる。これにより、駆動体10と被駆動体14との相対位置の変動による駆動負荷の増加を抑制しつつ、駆動体10と被駆動体14とが連結された状態を維持することができる。
<第2実施形態>
図5(a)は、本発明の第2実施形態に係る振動型モータ2と、振動型モータ2に連結された被駆動体14とを駆動軸D1方向から見た断面図である。図5(b)は、図5(a)に示す矢視A−Aの断面図である。図5(c)は、図5(a)に示す矢視B−Bの断面図である。なお、振動型モータ2の構成要素のうち、第1実施形態で説明した振動型モータ1の構成要素と同じものについては、同じ符号を付して、説明を省略する。
振動型モータ2は、大略的に、駆動体20と、摺動部材22とから構成される。駆動体20は、振動子11、保持部材23、加圧部材15、加圧板16、転動ボール17及び保持板18を有する。振動子11は、圧電素子111と、圧電素子111に接着された弾性体112と、弾性体112において圧電素子111が接着されている面の反対側の面に設けられた2つの突起部112aとを有する。
駆動体20が振動型モータ1の駆動体10と異なる点は、振動型モータ1を構成する保持部材13に代えて、保持部材23を有する点である。保持部材23は、摺動部材22に設けられた連結部222bを外部へ取り出すための開口部が設けられている点で振動型モータ1を構成する保持部材13と異なっているが、その他の構成は同じである。
摺動部材22は、第1実施形態で説明した摺動部材12と比較すると、摺動部材22に対して連結部222bが設けられている点で異なっているが、その他の構成は同じである。摺動部材22は、ステンレス鋼板221と基材222により構成されている。ステンレス鋼板221の上面は、突起部212aと当接する摺動面となっている。基材222においてステンレス鋼板121が固定された面の反対側の面には、転動ボール17が配置される案内溝222aが設けられている。なお、保持部材23には、摺動部材22に設けられた案内溝222aと対向する位置に、転動ボール17が配置される案内溝23aが設けられている。
基材222には、保持部材23に設けられた開口部から突出する球状の連結部222bが設けられている。連結部222bと連結される被駆動体14は、不図示の案内機構により振動型モータ2の駆動軸D1方向と略平行な方向にのみ移動可能な状態に配設されている点も含めて、第1実施形態で説明したものと同じである。そのため、被駆動体14についても、図5において同じ符号を付して、ここでの説明を省略する。
振動型モータ2では、保持部材23は、不図示の固定手段によって固定されている。よって、振動子11に所定の振動を励起して突起部112aに楕円運動を生じさせると、突起部112aから受ける摩擦駆動力によって、摺動部材22が駆動軸D1方向に移動する。そして、被駆動体14が、摺動部材22と一体的に駆動軸D1方向に移動する。
摺動部材22と被駆動体14の連結状態と相対角度θとの関係について説明する。相対角度θは、第1実施形態と同様に、軸L1を通る水平面と軸L1と連結部222bを通る平面とがなす角として定義される。駆動体20に対して、摺動部材22は、駆動軸D1方向に移動可能であり、且つ、駆動軸D1方向と平行な軸L1を中心として回転可能である。第1実施形態と同様に、摺動部材22の摺動面と振動子11の突起部112aとの当接部Pにおいて、摺動部材22の摺動面と接する突起部112aの平面S1は、軸L1と当接部Pを通る平面S2と略直交する。また、摺動部材22に設けられた連結部222bと被駆動体14に設けられた被連結部14aが連結されることにより、軸L1回りの摺動部材22と保持部材23との相対角度θは規制されている。
図6(a)は、被駆動体14が案内されるD3方向に対して振動型モータ2の駆動軸D1方向が傾いた状態を、図5(b)と同様に示した断面図である。図6(a)に示すように、摺動部材22の移動方向である駆動軸D1方向と、被駆動体14が不図示の案内機構により案内されるD3方向とにねじれが生じた状態は、例えば、部品の寸法誤差や組み付け精度等が原因で生じ得る。図6(a)は、被駆動体14が案内されるD3方向に対する駆動軸D1方向のずれを誇張して表しているが、このずれは、実際には微小である。
図6(b)は、図6(a)中の矢印M5方向に摺動部材22が移動した状態を、図5(a)と同様に示した断面図である。摺動部材22が矢印M5方向に移動すると、被駆動体14が振動型モータ2に対して相対的に矢印M7方向に動き、軸L1回りの矢印M9方向に摺動部材22が回転し、連結部222bが被連結部14aの案内溝14bに沿って回転しながら移動する。
図6(c)は、図6(a)中の矢印M6方向に摺動部材22が移動した状態を、図5(a)と同様に示した断面図である。摺動部材22が矢印M6方向に移動すると、被駆動体14が振動型モータ2に対して相対的に矢印M8方向に動き、軸L1回りの矢印M10方向に摺動部材22が回転し、連結部222bが被連結部14aの案内溝14bに沿って回転しながら移動する。
こうして、振動型モータ2でも、摺動部材22が駆動軸D1方向の矢印M5,M6のどちらの方向に移動しても、連結部222bと被連結部14aとの連結状態が維持される。即ち、振動型モータ2では、摺動部材22が回転し、連結部222bが回転しながら被連結部14aの案内溝14bに沿って移動可能な構成とすることで、摺動部材22と被駆動体14の相対位置の変動を吸収することができる。
このとき、第1実施形態と同様に、振動子11の突起部112aと摺動部材22の摺動面の間に働く摩擦力F1,F2(図6(b),(c))は、スクイーズ膜効果により十分小さく、総じて、摺動部材22の回転を阻害する力は小さい。そのため、連結部222bと被連結部14aとの相対位置の変動に対して摺動部材22は小さい摩擦抵抗で回転、移動することができ、結果として、連結部222bと被連結部14aの相対位置の変動をスムーズに吸収することができる。
なお、被駆動体14は駆動軸D1方向と略平行な方向に移動可能にのみ保持され、軸L1回りの摺動部材22と保持部材23との相対角度θを規制した構成とすることにより安定した連結が可能となることは、第1実施形態と同様である。また、軸L1から摺動部材22の摺動面までの距離よりも連結部222bまでの距離を長くすることで、摺動部材22と被駆動体14との相対位置の変動をスムーズに吸収する効果がより大きく得られることも、第1実施形態と同様である。更に、振動型モータ2でも、振動型モータ1と同様に、摺動部材22の摺動面と突起部112aとの当接部Pにおいて摺動部材22の摺動面と接する突起部112aの平面が軸L1と当接部Pを通る平面S2と略直交する構成とすることが望ましい。これにより、摺動部材22と被駆動体14との相対位置の変動をスムーズに吸収する効果をより大きく得ることができる。
以上の説明の通り、振動型モータ2でも、摺動部材22と被駆動体14の相対位置の変動をスムーズに吸収することができる。これにより、摺動部材22と被駆動体14との相対位置の変動による駆動負荷の増加を抑制しつつ、摺動部材22と被駆動体14とが連結された状態を維持することができる。
<第3実施形態>
図7は、本発明の第3実施形態に係る振動型モータ3と、振動型モータ3に連結された被駆動体14の概略構成を示す断面図である。具体的には、図7(a)は、振動型モータ3を駆動軸D1方向から見た断面図である。図7(b)は、図7(a)に示す矢視A−Aの断面図である。図7(c)は、図7(a)に示す矢視B−Bの断面図である。なお、振動型モータ3の構成要素のうち、第1実施形態で説明した振動型モータ1の構成要素と同じものについては、同じ符号を付して、説明を省略することとする。
振動型モータ3は、駆動体30、摺動部材32及び転動ボール37を有する。駆動体30は、振動子11、保持部材33、加圧部材15、加圧板16及び保持板18を有する。振動子21は、圧電素子111と、圧電素子111に接着された弾性体112と、弾性体112において圧電素子111が接着されている面の反対側の面に設けられた2つの突起部112aとを有する。
駆動体30が振動型モータ1の駆動体10と異なる点は、振動型モータ1を構成する保持部材13に代えて、保持部材33を有する点である。保持部材33は、摺動部材32を支持する4つの転動ボール37を配置するために、その底部に凹形状部33bが設けられている点で、振動型モータ1を構成する保持部材13と異なっている。また、振動型モータ1を構成する保持部材13に形成されている溝部13bは、保持部材33には必要がないために形成されていない。
保持部材33に設けられた連結部33aは、保持部材13に設けられた連結部13aと同じである。連結部33aと連結される被駆動体14は、不図示の案内機構により振動型モータ3の駆動軸D1方向と略平行な方向にのみ移動可能な状態に配設されている点も含めて、第1実施形態で説明したものと同じである。そのため、被駆動体14については、図7において同じ符号を付して、ここでの説明を省略する。
摺動部材32は、円柱状のステンレス棒材(丸棒材)であり、その表面が突起部112aから摩擦駆動力を受ける摺動面となっている。凹形状部33bに配置された転動ボール37は、振動子11から加圧力を受けている摺動部材32を支持すると共に、保持部材33を摺動部材32に対して駆動軸D1方向に移動可能としている。なお、摺動部材32にステンレスからなる丸棒材を用いることにより、滑らかで高硬度な摺動面を低コストで実現することができる。
振動型モータ3では、摺動部材32が不図示の固定手段によって固定されているものとする。よって、振動子11に所定の振動を励起して突起部112aに楕円運動を生じさせると、突起部112aが摺動部材32に与える摩擦駆動力の反力によって、駆動軸D1方向に移動し、駆動体30と一体的に被駆動体14が駆動軸D1方向に移動する。
次に、図8を参照して、振動子11、摺動部材32及び保持部材33の構造的な関係(保持構造)について説明する。図8(a)は、摺動部材32に対して駆動体30が駆動軸D1方向に移動した状態を、図7(b)と同様に示した断面図である。
振動子11の突起部112aに矢印M0で示す楕円運動を生じさせると、摺動部材32と保持部材33に設けられた凹形状部33bの間に配置された転動部材である転動ボール37は、矢印M1で示す方向に転動する。これにより、保持部材33は、駆動軸D1方向において、摺動部材32に対して矢印M2の向きに移動する。振動子11は、保持部材33に固定されているため、摺動部材32に対して保持部材33と同期して駆動軸D1方向に移動する。つまり、駆動体30が、摺動部材12に対して駆動軸D1方向に移動する。このとき、保持部材33に対して連結部33aと被連結部14aを介して連結されている被駆動体14もまた、駆動体30と共に駆動軸D1方向に直線的に移動する。この原理は、第1実施形態での駆動体10と被駆動体14の移動の原理と同じである。
図8(b)は、駆動体30が駆動軸D1方向と平行な軸L1を回転軸として、摺動部材32に対して所定角度だけ回転した状態を、図7(a)と同様に示した断面図である。軸L1は、摺動部材32の中心を通り、摺動部材32の長さ方向(駆動軸D1方向)と平行な軸である。4つの転動ボール37は、摺動部材32の外周面である曲面に沿って配置されているため、摺動部材32から見て、駆動体30は、軸L1を回転軸として矢印M3で示す方向に回転可能である。
このとき、摺動部材32の摺動面が摺動部材32の外周面であり、且つ、振動子11と保持部材33が摺動部材32の中心軸である軸L1回りに回転するため、突起部112aと摺動面121aの機械的干渉は生じない。そのため、図8(b)に示す通り、振動子11の突起部112aは、矢印M4で示すように摺動部材32の摺動面に沿って移動し、その際に軸L1回りの駆動体30の回転を阻害することはない。このように、振動型モータ3では、摺動部材32に対して駆動体30が軸L1回りに回転可能となっている。
次に、摺動部材32と被駆動体14の連結状態と相対角度θとの関係について説明する。相対角度θは、第1実施形態と同様に、軸L1を通る水平面と、軸L1と連結部33aを通る平面とがなす角として定義される。そして、保持部材33に設けられた連結部33aと被駆動体14に設けられた被連結部14aとが連結されることで、軸L1回りの摺動部材32と保持部材33との相対角度θは規制される。
図9(a)は、被駆動体14が案内されるD3方向に対して振動型モータ3の駆動軸D1方向が傾いた状態を、図7(b)と同様に示した断面図である。図9(a)に示すように、駆動体30の移動方向(摺動部材32の長さ方向)である駆動軸D1方向と、被駆動体14が不図示の案内機構により案内されるD3方向とがねじれた状態は、例えば、部品の寸法誤差や組み付け精度等が原因で生じ得る。図9(a)は、被駆動体14が案内されるD3方向に対する駆動軸D1方向のずれを誇張して表しているが、このずれは、実際には微小である。
図9(b)は、図9(a)中の矢印M5方向に駆動体30が移動した状態を、図7(a)と同様に示した断面図である。駆動体30が矢印M5方向に移動すると、被駆動体14は相対的に矢印M7方向に動く。摺動部材32に対して保持部材33は軸L1回りに回転可能であり、被駆動体14が矢印M7方向に動くときには、矢印M9で示すように、保持部材33が回転し、連結部33aが回転しながら被連結部14aの案内溝14bに沿って移動する。
図9(c)は、図9(a)中の矢印M6方向に駆動体30が移動した状態を、図7(a)と同様に示した断面図である。駆動体30が矢印M6方向に移動すると、被駆動体14は相対的に矢印M8方向に動く。図9(b)について説明した理由と同様の理由で、被駆動体14が矢印M8方向に動くときには、矢印M10で示すように、保持部材33が回転し、連結部33aが回転しながら被連結部14aの案内溝14bに沿って移動する。
こうして、駆動体30が駆動軸D1方向の矢印M5,M6のどちらの方向に移動しても、連結部33aと被連結部14aとの連結状態は維持される。即ち、振動型モータ3では、保持部材33が回転して連結部33aが被連結部14aの案内溝14bに沿って回転、移動可能な構成とすることで、部品の加工精度や組み付け精度等に起因する駆動体30と被駆動体14の相対位置の変動を吸収することができる。
なお、被駆動体34は駆動軸D1方向と略平行な方向に移動可能にのみ保持され、軸L1回りの摺動部材32と保持部材33の相対角度θを規制した構成とすることで安定した連結が可能となることは、第1実施形態と同様である。また、振動子11の突起部112aと摺動部材32の摺動面との間に働く摩擦力F1,F2(図9(b),(c))は、スクイーズ膜効果により十分小さく、総じて保持部材33の回転を阻害する力は小さい。そのため、連結部33aと被連結部14aの相対位置の変動に対して、保持部材33は小さい摩擦抵抗で回転することができ、結果として駆動体30と被駆動体14の相対位置の変動をスムーズに吸収することができる。
ところで、第1実施形態では、振動子11の突起部112aと当接する摺動面121aが平面状であり、この場合、保持部材13が軸L1回りに回転すると、加圧部材15と保持板18が変形して、突起部112aが摺動面121aに沿って移動していた。この場合、保持部材13が摺動部材12に対して軸L1回りに回転できる許容角度は、加圧部材15と保持板18の変形可能な範囲に限定されている。
これに対して、本実施形態では、突起部112aが当接する摺動部材32の摺動面が円柱の外周面に相当する曲面となっており、摺動部材32の中心軸が軸L1と略一致している。そのため、振動子11が摺動部材32の摺動面に沿って移動しても、加圧部材15と保持板18は変形しない。よって、振動子11及び保持部材33が摺動部材32に対して軸L1回りに回転可能な角度(許容される回転角度)が、第1実施形態の場合よりも大きくなる。よって、駆動体30と被駆動体14の相対的な位置ずれが大きくなっても、そのずれ量を吸収することができる。
<第4実施形態>
第4実施形態では、上述した振動型モータ1〜3を用いたレンズ駆動装置について説明する。先ず、振動型モータを用いたレンズ駆動装置でのレンズ駆動原理について、図10を参照して説明する。
図10は、振動型モータ550を備えるレンズ鏡筒510を有する撮像装置500の概略構成を示す断面図である。なお、レンズ鏡筒510は略回転対称な構造を有するため、図10では、撮像装置500の上側半分のみを示している。
撮像装置500は、大略的に、レンズ鏡筒510と本体部520から構成されている。本体部520の内部には、撮像素子521が配置されている。レンズ鏡筒510を通過した光束は撮像素子521に結像し、撮像素子521に結像した光学像は、撮像素子521による光電変換によって撮像画像データに変換される。また、本体部520のレンズ鏡筒510側には、本体部520に対してレンズ鏡筒510をバヨネット係合により着脱自在とするためのマウント部が設けられている。
レンズ鏡筒510は、本体部520に設けられたマウント部と係合するマウント512を有する固定筒511を有し、固定筒511とマウント512とは不図示のビスによって固定されている。固定筒511は、レンズG1を保持する前鏡筒513とレンズG3を保持する後鏡筒514を保持している。レンズ鏡筒510は、レンズG2を保持するフォーカスレンズ保持枠516を備えている。フォーカスレンズ保持枠516は、前鏡筒513と後鏡筒514に保持されたガイドバー517によって、光軸方向に直進移動可能に保持されている。
フォーカスレンズ保持枠516には、振動型モータ550を構成する駆動体551が連結されている。また、駆動体551を構成する振動子が摩擦駆動力を与える摺動部材を含む地板515には、不図示のフランジ部が形成されており、地板515は後鏡筒514にビス等で固定されている。
振動型モータ550を構成する振動子が摺動部材に摩擦駆動力を与えると、その反力によって振動子を含む駆動体551が地板515に対して移動する。このとき、フォーカスレンズ保持枠516は駆動体551と連結されているため、フォーカスレンズ保持枠516と駆動体551とが一体的にガイドバー517に案内されて光軸方向に直線移動する。
続いて、第1実施形態に係る振動型モータ1を取り上げ、振動型モータ1を用いた具体的なレンズ駆動装置について、図11を参照して説明する。図11(a)は、振動型モータ1を用いたレンズ駆動装置9を光軸方向から見た断面図である。図11(b)は、図11(a)中の矢視C−Cの断面図である。
レンズ駆動装置9は、レンズ91、レンズホルダ92、ガイドバー93a,93b、筐体94、振動型モータ1を備える。筐体94は、レンズ鏡筒を構成する複数の筒状部材の1つである。レンズ91は、筐体94の内部に配置されたレンズホルダ92に保持されている。レンズホルダ92には、光軸方向から見て重なる2つの丸穴92aが設けられており、また、光軸Oを挟んで丸穴92aと略対称となる位置には1つの長穴92bが設けられている。ガイドバー93a,93bは、ガイドバー93a,93bのそれぞれの中心軸L3a,L3bが光軸Oと平行になるように筐体94に固定されている。ガイドバー93aは、レンズホルダ92の丸穴92aに挿通されており、ガイドバー93bはレンズホルダ92の長穴92bに挿通されている。これにより、レンズ91とレンズホルダ92は、光軸O方向にのみ進退可能にガイドバー93a,93bにより案内される。
振動型モータ1は、摺動部材12の長さ方向が光軸Oと平行となるように、筐体94に取り付けられている。振動型モータ1の保持部材13には、レンズホルダ92が連結されている。保持部材13とレンズホルダ92の連結構造には、第1実施形態で説明した保持部材13に設けられた連結部13aと被駆動体14に設けられた被連結部14aによる連結構造が適用される。つまり、レンズホルダ92が被駆動体14に相当する。
振動型モータ1を駆動すると、第1実施形態で説明したように、駆動体10が摺動部材12に対して移動する。摺動部材12は光軸Oと平行に配置されているため、駆動体10は光軸方向に移動し、駆動体10の光軸方向への進退に伴ってレンズホルダ92も光軸方向に進退する。例えば、レンズ91が撮像装置のフォーカスレンズである場合には、レンズ91の光軸方向での進退により、フォーカス位置を調整することができる。また、レンズ91が撮像装置のズームレンズである場合には、レンズ91の光軸方向での進退により、ズーム倍率を変化させることができる。
レンズ駆動装置9では、振動型モータ1の摺動部材12の摺動面121aとガイドバー93a,93bの中心軸L3a,L3bは光軸方向と平行になるように設計される。しかし、実際には、部品間の寸法誤差の積み重ね等により、摺動面121a及び中心軸L3a,L3bの少なくとも1つが光軸方向に対して僅かな角度を持ってしまう。しかし、本発明の実施形態に係る振動型モータ1を用いることにより、振動型モータ1の駆動によって駆動体10と被駆動体であるレンズホルダ92との相対位置が変動しても、この変動は保持部材13の回転によってスムーズに吸収される。また、このとき、駆動体10と被駆動体であるレンズホルダ92との連結状態もがたつきを生じることなく、維持することができる。よって、レンズ駆動装置9では、駆動負荷が小さく抑えられ、滑らかなレンズ駆動が可能となる。
<その他の実施形態>
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。例えば、上述した振動型モータ1〜3の構成は一例であり、振動型モータ1〜3の各部の構成や振動子11の駆動原理は上記のものに限定されるものではない。
また、例えば、第1実施形態では、保持部材13に設けた連結部13aを、被駆動体14に設けられた案内溝14bに対して板ばね141により付勢することで被連結部14aに対して連結させた。しかし、連結部13aと被連結部14aとの連結方法は、板ばね141を用いる方法に限定されず、例えば、連結部13aと被連結部14aとの連結には、係合や磁石による磁力吸着等の手法を用いてもよい。
更に、摺動部材12では、突起部112aと当接する摺動面121aを平面としたが、ステンレス鋼板121の表面を、突起部112a側に凸な曲面(例えば、半円柱の外表面)に形成して、摺動面としてもよい。即ち、突起部112aから摩擦駆動力を受ける摺動部材には、摺動部材32のような丸棒材に限定されず、突起部112aに向かって凸となる曲面を摺動面として有するものを用いることができる。
1,2,3 振動型モータ
10,20,30 駆動体
11 振動子
12,22,32 摺動部材
13,23,33 保持部材
13a,33a,222b 連結部
14 被駆動体
14a 被連結部
14b 案内溝
15 加圧部材
16 加圧板
17,37 転動ボール
111 圧電素子
112a 突起部
500 撮像装置
510 レンズ鏡筒
511 固定筒
521 撮像素子
550 振動型モータ

Claims (9)

  1. 突起部を有する振動子と、
    前記振動子を保持する保持部材と、
    前記突起部と当接する摺動面を有する摺動部材と、を有し、
    前記保持部材と前記摺動部材のうちの一方が固定部とされると共に他方が可動部とされ、前記振動子に励起した振動により前記可動部を前記固定部に対して移動させる振動型モータであって、
    前記可動部と連結されて前記可動部と共に移動する被駆動体を有し、
    前記可動部に連結部が設けられると共に、前記被駆動体に前記連結部と連結される被連結部が設けられ、
    前記可動部は、前記固定部に対して前記可動部の移動方向と平行な軸を回転軸として回転可能であり、
    前記回転軸の軸回りの前記固定部と可動部の相対角度が前記連結部と前記被連結部の連結により規制されていることを特徴とする振動型モータ。
  2. 前記被駆動体は前記可動部の移動方向と略平行な方向に支持され、
    前記連結部と前記被連結部とは前記可動部の移動方向と平行な方向にがたつきが生じることなく連結されていることを特徴とする請求項1に記載の振動型モータ。
  3. 前記連結部は、球状体であり、
    前記被連結部は、前記連結部を挟持する案内溝と板ばねとを有し、
    前記可動部が前記回転軸を中心にして回転したときに、前記連結部が前記被連結部に設けられた前記案内溝に沿って移動することにより、前記連結部と前記被連結部との連結状態が維持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の振動型モータ。
  4. 前記回転軸から前記連結部までの距離は、前記回転軸から前記摺動部材の前記摺動面までの距離よりも長いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の振動型モータ。
  5. 前記突起部は、前記摺動部材の前記摺動面と接する平面を有し、
    前記突起部の前記平面は、前記突起部と前記摺動面との当接部と前記回転軸とを通る平面と略直交することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の振動型モータ。
  6. 前記摺動部材の前記摺動面は、前記突起部に向かって凸となる曲面であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の振動型モータ。
  7. 前記摺動部材は丸棒材であり、
    前記摺動部材の前記摺動面は、前記丸棒材の外周面であり、
    前記丸棒材の中心軸が前記回転軸と略一致することを特徴とする請求項6に記載の振動型モータ。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の振動型モータと、
    フォーカスレンズまたはズームレンズと、を備え、
    前記被駆動体は、前記フォーカスレンズまたは前記ズームレンズを保持するレンズ保持枠であり、前記振動子の駆動により前記フォーカスレンズまたは前記ズームレンズの光軸方向に移動することを特徴とするレンズ鏡筒。
  9. 請求項8に記載のレンズ鏡筒と、
    前記レンズ鏡筒を通過した光束が結像した光学像を光電変換する撮像素子と、を備えることを特徴とする撮像装置。
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