JP2018101045A - レンズ駆動装置、レンズ鏡筒及び撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の振動体を有する小型、低コストのレンズ駆動装置を提供する。【解決手段】レンズ駆動装置101は、振動体123と摩擦部材118とが加圧接触し、振動体123に励起した駆動振動により振動体123と摩擦部材118とが相対的に光軸方向に移動する2つの振動型アクチュエータ115a,115bと、レンズ111を保持し、振動型アクチュエータ115a,115bによって光軸方向に駆動されるレンズ保持部材113と、レンズ保持部材113を光軸方向に案内する第1の案内部材114a及び第2の案内部材114bとを備える。振動型アクチュエータ115a,115bはそれぞれ、光軸方向と直交する方向の加圧力により振動体123を摩擦部材118に加圧接触させる加圧部材122を有する。加圧部材122は、レンズ保持部材113に保持され、振動体123に駆動振動を励起した際にレンズ保持部材113と共に光軸方向に移動する。【選択図】図2
Description
本発明は、レンズ駆動装置、レンズ鏡筒及び撮像装置に関し、特に、振動型アクチュエータを用いてレンズを駆動するレンズ駆動装置に関する。
デジタルカメラ等の撮像装置には、光学系を介して撮像素子の撮像面に結像する像のピントずれを補正するために、ピントずれに応じて光学系の全部又は一部を移動することでピントを合わせるレンズ駆動装置が搭載されている。近年、レンズ駆動装置の駆動源として振動型アクチュエータ(超音波モータ)を用いることで、合焦動作の高速化や高精度化、静粛化が図られている。例えば、振動体と摩擦部材(被駆動体)とを相対的に一方向に直線的に移動させることが可能なリニア型の振動型アクチュエータは、制御性や駆動性能に優れている。そこで、特許文献1は、2つの振動体を備えるリニア型の振動型アクチュエータによってレンズを駆動する機構を提案している。このような構成によれば、良好な制御性や駆動性能に加えて、大きな推力(駆動力)を得ることができる。
しかしながら、上記特許文献1では、摩擦部材を挟み込むように2つの振動体を配置し、バネで振動体を摩擦部材側へ加圧することにより、摩擦部材に対して2つの振動体を加圧接触させている。そのため、光軸と直交する方向に2つの振動体とレンズが重なって配置される構成となってしまうために、筒状のレンズ鏡筒に対してはレイアウトが容易でなく、また、レンズ鏡筒が大型化してしまう。また、上記特許文献1では、振動体と摩擦部材によって発生する推力を取り出すために、振動体側に駆動ピンを設け、レンズを支持する可動部と連結させている。このような構成では、専用の連結部品が必要となるため、部品点数が増加することでコストアップが生じてしまう。
本発明は、複数の振動体を有する小型で低コストのレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
本発明に係るレンズ駆動装置は、振動体と摩擦部材とが加圧接触し、前記振動体に励起した駆動振動により前記振動体と前記摩擦部材とが相対的に移動する振動型アクチュエータと、レンズを保持し、2つの前記振動型アクチュエータによって光軸方向に駆動される保持部材と、前記保持部材を前記光軸方向に案内する案内部材と、を備え、前記振動型アクチュエータは、前記光軸方向と直交する方向に加圧力を発生させて前記2つの振動型アクチュエータのそれぞれの前記振動体をそれぞれの前記摩擦部材に加圧接触させる加圧手段を有し、前記加圧手段は、前記保持部材に保持され、前記振動体に駆動振動を励起した際に前記保持部材と共に前記光軸方向に移動可能であることを特徴とする。
本発明によれば、複数の振動体を有する小型、低コストのレンズ駆動装置を実現することができる。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置の概略構成を説明する図である。撮像装置100は、レンズ鏡筒102と撮像装置本体104を備える。レンズ鏡筒102には、レンズ111、レンズ駆動装置101、位置検出部106及びアクチュエータドライバ108が内蔵されている。また、撮像装置本体104には、撮像素子103、ピント検出部105及び全体制御部107が内蔵されている。なお、アクチュエータドライバ108は、撮像装置本体104に配置されていてもよい。
レンズ111は、図1では便宜的にレンズ駆動装置101によって駆動される1枚のみを示しているが、レンズ鏡筒102には他にも不図示の複数枚のレンズが配置されており、これらのレンズ群により撮影光学系が形成されている。ここでは、レンズ111は、所謂、フォーカスレンズであるとする。レンズ111に入射して撮影光学系を通過した光は、撮像素子103に結像する。その際に入射光の結像位置が撮像素子103の位置に対して光軸Oaの軸方向にずれていた場合には、結像位置と撮像素子103の受光面の位置を合わせるようにレンズ111を光軸方向に進退させることで、ピント補正を行うことができる。なお、以下、光軸Oaの軸方向を光軸方向と称呼する。
ピント検出部105は、撮像素子103に結像した光学像のピント状態(合焦の程度)を周知の技術によって検出し、検出信号を全体制御部107へ送信する。位置検出部106は、レンズ111の現在位置を検出し、その検出信号を全体制御部107へ送信する。全体制御部107は、ピント検出部105及び位置検出部106から取得した検出信号に基づき、アクチュエータドライバ108にレンズ駆動装置101を駆動するための指令信号を出力する。アクチュエータドライバ108が全体制御部107からの指令信号にしたがってレンズ駆動装置101を駆動することによりレンズ111が目標位置へ駆動されることで、所定の被写体に対してピントの合った状態(合焦状態)が得られる。撮像素子103は、が合焦状態で結像した光学像を光電変換することにより画像データを生成する。これにより、ピントずれが補正された良好な画像を得ることができる。なお、本発明の特徴はレンズ駆動装置101にあるため、撮像装置100の全体的な構成についてのより詳細な説明は省略する。
続いて、レンズ駆動装置101の構成について説明する。図2は、レンズ駆動装置101の構成を示す断面図であり、光軸Oaと直交する断面図である。図3(a)は、図2に示す矢視A−Aの断面図であり、図3(b)は、図2に示す矢視B−Bの断面図である。図4(a),(b)はそれぞれ、レンズ駆動装置101が備える振動型アクチュエータ115aの構成を示す断面図である。ここで、図4(a),(b)において、Z軸は、レンズ111の光軸Oaと平行となるように規定されている。また、Y軸方向は、後述の振動体123を後述の摩擦部材118に対して加圧接触させるための加圧力Pが作用する方向であり、Z軸と直交する。X軸方向は、Y軸方向及びZ軸方向の両方向と直交する方向である。したがって、図4(a)は、振動型アクチュエータ115aの中央部を通り、Z軸と直交するXY断面図であり、図4(b)は、振動型アクチュエータ115aの中央部を通り、X軸と直交するYZ断面図である。
レンズ駆動装置101は、筒状部材112、レンズ保持部材113、第1の案内部材114a、第2の案内部材114b及び2つの振動型アクチュエータ115a,115bを備える。筒状部材112は、レンズ鏡筒102(図1参照)に保持されている。筒状部材112は、第1の保持部112aと第2の保持部112bを有し、第1の保持部112aは第1の案内部材114aを保持し、第2の保持部112bは第2の案内部材114bを保持している。なお、筒状部材112には、2つの振動型アクチュエータ115a,115bのそれぞれが備える摩擦部材118を保持するための第3の保持部112c(2つ1組で2組)が設けられている。
レンズ保持部材113は、中央部に設けられたリング状の枠部の内側においてレンズ111を保持している。また、レンズ保持部材113は、リング状の枠部から径方向に突出する2つの突出部を有し、一方の突出部には丸穴113a(第1の係合部)が形成され、他方の突出部には凹部(溝部)113b(第2の係合部)が形成されている。第1の案内部材114aは丸穴113aに挿通され、第2の案内部材114bは凹部113bに係合しており、これにより、レンズ保持部材113は、光軸方向に移動可能に第1の案内部材114aと第2の案内部材114bに支持される。
第1の案内部材114aはメインガイドバーであり、第1の案内部材114aにより、光軸方向と直交する方向へのレンズ保持部材113の移動が規制される。なお、丸穴113aの内径と第1の案内部材114aの外径との差に起因するレンズ保持部材113の光軸方向と直交する方向での移動(がたつき)は、後述するように、レンズ保持部材113が加圧部材122から受ける力によって解消される。第2の案内部材114bはサブガイドバーであり、第2の案内部材114bにより、第1の案内部材114aまわりのレンズ保持部材113の回転移動が規制される。なお、筒状部材112には、リング状の枠部から径方向に突出する別の突起部が更に設けられており、この突起部には光軸Oaと略平行な棒状の保持部113cが設けられている。保持部113cの役割については後述する。
2つの振動型アクチュエータ115a,115bはそれぞれ、リニア型の振動型アクチュエータであり、実質的に同じ構造を有する。そのため、ここでは、振動型アクチュエータ115aの構成について説明する。振動型アクチュエータ115aは、摩擦部材118、緩衝部材119、加圧伝達部材120、固定部材121、加圧部材122及び振動体123を備える。振動体123は、弾性体116と圧電素子117を備える。図5は、振動型アクチュエータ115aの構成部品の構造を示す図であり、(a)は弾性体116、(b)は摩擦部材118、(c)は加圧伝達部材120、(d)は固定部材121のそれぞれの三面図である。また。図5(e)は、図5(d)に示す矢視D−Dの断面図である。
弾性体116は、ステンレス材等の弾性材料からなり、略矩形板状の形状を有する。弾性体116の一方の面には、長手方向に所定の間隔で2カ所に、弾性体116の厚み方向に突出するように突起部116aが形成されている。突起部116aの先端には、摩擦部材118の側面と接触する丸溝116bが形成されている。また、弾性体116の長手方向端には腕部116cが形成されており、腕部116cには穴部116dが形成されている。
電気−機械エネルギ変換素子である圧電素子117は、矩形板状の圧電セラミックスの表裏面に所定形状の電極が形成されたものであり、弾性体116において突起部116aが形成されている面の反対側の面に接着剤により接着されている。圧電素子117に位相の異なる2相の交流電圧を印加することにより、突起部116aの先端が突起部116aの突出方向と2つの突起部116aを結ぶ方向とを含む面内で楕円運動(円運動)を行う駆動振動を振動体123に励起させることができる。なお、振動体123に励起する駆動振動については、図7を参照して後述する。
摩擦部材118は、円柱棒状で、その長手方向端は筒状部材112に設けられた第3の保持部112cに固定されている。そして、摩擦部材118の側面は、弾性体116の突起部116aに形成された丸溝116bと当接している。緩衝部材119は、矩形板状の弾性部材であり、圧電素子117と後述する加圧伝達部材120に挟まれるように配置される。緩衝部材119には、例えば、フェルト等が用いられる。緩衝部材119は、振動体123に励起した振動が加圧伝達部材120へ伝搬するのを抑制すると共に、加圧伝達部材120からの加圧力を振動体123に伝達して、振動体123を摩擦部材118に加圧接触させる役割を担う。なお、不図示であるが、圧電素子117と緩衝部材119との間には、圧電素子117に駆動電圧を供給するためのフレキシブルプリント基板が圧電素子117に接着されることによって配置されている。
加圧伝達部材120は、V溝部120aと平面部120bを有する。平面部120bは緩衝部材119と当接するように配置される。加圧部材122はトーションバネであり、圧縮バネ部122aと、圧縮バネ部122aから延出する2本の直線部122bを有する。加圧部材122は、圧縮バネ部122aの付勢力を利用して、レンズ保持部材113の保持部113cに対してがたつくことなく係止されている。また、加圧部材122の直線部122bは、加圧伝達部材120のV溝部120aにがたつくことなく当接する。このとき図4に示すように、加圧部材122の弾性力(バネ力)により、直線部122bは直線部122bの軸方向と直交する方向に加圧力Pで加圧伝達部材120を押圧する。加圧部材122は十分に高い剛性を有しており、加圧力Pは、加圧伝達部材120、緩衝部材119、圧電素子117の順に伝達されて、弾性体116の突起部116aを摩擦部材118に加圧接触させる。
固定部材121は、振動体123、緩衝部材119及び加圧伝達部材120を保持するための筺体である。固定部材121には、支持ピン121aと穴部121bが形成されている。弾性体116は、穴部116dを固定部材121に設けられた支持ピン121aに嵌合させることにより、固定部材121に固定される。また、加圧伝達部材120は穴部121bに係合することにより、固定部材121に対して位置決めされる。こうして、振動体123、緩衝部材119及び加圧部材122は、固定部材121に保持される。
上述の構成により、筒状部材112に固定された摩擦部材118に対して、固定部材121は、Y軸方向とX軸方向では移動が規制された状態で、振動体123、緩衝部材119及び加圧伝達部材120と一体的にZ軸方向に移動可能となる。つまり、レンズ駆動装置101は、2つの振動型アクチュエータ115a,115bのそれぞれの固定部材121、振動体123、緩衝部材119及び加圧伝達部材120と加圧部材122とが一体となってZ軸方向に移動可能な構成となっている。このとき、加圧部材122はレンズ保持部材113に保持されているため、レンズ保持部材113は、第1の案内部材114aと第2の案内部材114bに案内(ガイド)されて、固定部材121等と一体的にZ軸方向に移動する。すなわち、レンズ駆動装置101では、2つの振動型アクチュエータ115a,115bのそれぞれの振動体123に駆動振動を励起することにより、レンズ保持部材113に保持されたレンズ111を光軸方向で進退させることができる。
次に、レンズ保持部材113を第1の案内部材114a及び第2の案内部材114bに対して付勢する仕組みについて説明する。図6は、レンズ保持部材113を第1の案内部材114a及び第2の案内部材114bに対して付勢する仕組みを説明する図である。図6に示すように、第1の案内部材114aの中心をA点、第2の案内部材114bの中心をB点、加圧部材122の中心をD点、A点とB点を通る直線SへD点から下ろした垂線と直線Sとの交点をE点とする。また、レンズ111の中心で光軸Oaが通る点をO点とし、A点、B点及びO点を通る方向をU方向とし、U方向及び光軸Oaと直交する方向をV方向と定義する。
加圧部材122は、2つの振動型アクチュエータ115a,115bのそれぞれの加圧伝達部材120に当接し、緩衝部材119を介して振動体123を摩擦部材118へ加圧接触させる。このとき、一方の振動型アクチュエータ115aに生じる加圧力P1と他方の振動型アクチュエータ115bに生じる加圧力P2によって、加圧部材122からレンズ保持部材113に対して加圧反力P3が発生する。加圧反力P3により、レンズ保持部材113は加圧反力P3の作用方向へ移動しようとするが、レンズ保持部材113は第1の案内部材114aから抗力P4を受けると共に第2の案内部材114bから抗力P5を受けるため、移動は規制される。これにより、第1の案内部材114aの外周面がレンズ保持部材113の丸穴113aの内周面と当接した状態が維持されると共に、第2の案内部材114bの外周面がレンズ保持部材113の凹部113bの壁面に当接した状態が維持される。よって、レンズ保持部材113は、第1の案内部材114aと第2の案内部材114bに対してUV面内でがたつくことなく、光軸方向に移動することができる。
続いて、第1の案内部材114a、第2の案内部材114b、加圧部材122の位置関係と、各力の関係について説明する。加圧力P1,P2は加圧部材122の弾性力であり、加圧反力P3は加圧力P1,P2を合わせた力の反力であるため、これらの力の大きさは、第1の案内部材114a、第2の案内部材114b及び加圧部材122の位置関係に依ることなく一定である。ここで、角度DOAをθ、加圧反力P3のU方向成分及びV方向成分をそれぞれ分力P3u及び分力P3vとし、抗力P4のU方向成分及びV方向成分をそれぞれ分力P4u及び分力P4vとする。すると、レンズ保持部材113に作用する力の釣り合いと点Aを中心とするモーメントの釣り合いから、0°≦θ≦90°の場合には下記式1、式2及び式3の関係が成り立ち、90°<θ≦180°の場合には下記式1、式2及び式4の関係が成り立つ。
0°≦θ≦90°の場合、上記式3より、DE及びAEが小さくなるにつれて、つまり、加圧部材122が第1の案内部材114aに近付くにしたがって抗力P5が小さくなることがわかる。また、90°<θ≦180°の場合、上記式4より、DEが大きく、且つ、AEが小さくなるにつれて、つまり、加圧部材122が第2の案内部材114bに近付くにしたがって、抗力P5が小さくなることがわかる。抗力P5を小さくする(但し、ゼロにはしない)ことで、凹部113bと第2の案内部材114bとの間の摺動抵抗を減少させることができる。よって、加圧部材122を第1の案内部材114a又は第2の案内部材114bの近傍に配置することで、凹部113bと第2の案内部材114bとの間の摺動抵抗を低減させて、耐久性の向上や消費電力の低減を図ることが望ましい。
次に、レンズ駆動装置101の動作について説明する。図7(a)は、振動体123に励起される駆動振動を説明する図である。図7(b)は、振動体123と摩擦部材118との間に発生する力の関係を説明する図である。不図示であるが、圧電素子117は、圧電セラミックスの一方の面にその長手方向を2等分する2つの駆動電極が設けられ、他方の面には共通電極が設けられた構造を有する。共通電極はグランドに接続され、駆動電極には電圧が印加される。圧電素子117は、電圧が印加されることによって変形し、これに伴って振動体123に変形が生じる。例えば、振動体123に一次の面外曲げ振動と二次の面外曲げ振動とが所定の位相差で同時に励起されるように、2つの駆動電極に位相の異なる所定の周波数の二相の交流電圧を印加する。これにより、突起部116aにY軸方向に変位する振動とZ軸方向に変位する振動を同時に生じさせることができ、その結果、突起部116aは、図7(a)に示すようにYZ面内で楕円運動し、摩擦部材118に対する接触/離間を繰り返す。なお、二相の交流電圧の位相を変えることによって、楕円運動の軌道(軌跡)と方向を逆転させることができる。
弾性体116の突起部116aと摩擦部材118とが接触している間は、図7(b)に示すように、突起部116aから摩擦部材118に対してZ軸方向の摩擦力F/2が加えられる。一方、突起部116aが摩擦部材118から離間している間は、突起部116aと摩擦部材118の間に摩擦力は発生しない。したがって、振動体123と摩擦部材118の間には、断続的にZ軸方向の摩擦力Fが発生し、摩擦力Fが推力となって振動体123と摩擦部材118とが相対的にZ軸方向に移動する。
2つの振動型アクチュエータ115a,115bは同様の動作を行うため、2つの振動型アクチュエータ115a,115bによる総摩擦力2Fが発生する。本実施形態では、摩擦部材118は固定されているため、総摩擦力2Fは、振動体123をZ軸方向に移動させる推力となる。総摩擦力2Fは、振動体123から緩衝部材119を介して加圧伝達部材120へ伝達される。加圧部材122は、加圧伝達部材120のV溝部120aにがたつくことなく係合しているため、加圧伝達部材120に伝達された推進力は加圧部材122へ伝達される。そして、加圧部材122は、レンズ保持部材113の保持部113cにがたつくことなく保持されているため、加圧部材122に伝達された推進力はレンズ保持部材113へ伝達される。こうして、レンズ保持部材113は、2つの振動型アクチュエータ115a,115bを駆動することによって発生する総摩擦力2Fによって、光軸方向に駆動される。レンズ保持部材113が光軸方向に移動することにより、その中心に保持されたレンズ111も光軸方向に移動するため、レンズ111への入射光の結像位置が光軸方向に移動する。よって、レンズ111への入射光の結像位置が、撮像素子103の位置に対して光軸方向にずれているときに、結像位置と撮像素子103の位置を合わせるようにレンズ111を移動させることで、ピント補正を行うことができる。
続いて、レンズ駆動装置101の制御方法について説明する。図8は、レンズ駆動装置101の制御方法を示すフローチャートであり、合焦動作開始から合焦動作停止までを示している。図8のフローチャートの各処理は、全体制御部107が所定のプログラムを実行して、撮像装置100を構成する各部の動作を制御することによって実現される。
ステップS1では、全体制御部107の制御下でピント検出部105が撮像素子103に結像している光学像のピント状態を検出する。全体制御部107は、ピント検出部105からの検出信号に基づいて、レンズ保持部材113の光軸Oa上での目標位置を算出し、更新する。ステップS2では、全体制御部107の制御下で位置検出部106がレンズ保持部材113(レンズ111)の位置を検出する。全体制御部107は、位置検出部106からの検出信号に基づいて、レンズ保持部材113の現在位置を更新する。
ステップS3において全体制御部107は、ステップS1で更新した目標位置とステップS2で更新した検出位置の差分に基づき、振動型アクチュエータ115a,115bを駆動するための指令(信号)をアクチュエータドライバ108へ送信する。ステップS4では、アクチュエータドライバ108が、全体制御部107から受信した指令に基づいて振動型アクチュエータ115a,115bを駆動し、レンズ保持部材113を光軸方向に駆動する。ステップS5において全体制御部107は、レンズ保持部材113(レンズ111)が目標位置へ移動したか否かを判定することにより、振動型アクチュエータ115a,115bの駆動を停止するか否かを判定する。全体制御部107は、駆動を停止すると判定した場合(S5でYES)、アクチュエータドライバ108へ停止指令を送り、これにより本処理は終了となる。一方、全体制御部107は、駆動を継続すると判定した場合(S5でNO)、処理をステップS1へ戻す。
以上の説明の通りに構成されたレンズ駆動装置101を備えるレンズ鏡筒102において、2つの振動型アクチュエータ115a,115bは、レンズ111の径方向に重なることなく、レンズ111の外周に沿うように配置される。したがって、レンズ鏡筒102の径方向が長くなることによってレンズ鏡筒102が大型化することを抑制することができる。また、2つの振動型アクチュエータ115a,115bの配置を、加圧部材122の特性によって自在に変えることができるため、レンズ鏡筒102の設計の自由度を高めることができる。また、振動型アクチュエータ115a,115bに共用される加圧部材122によってレンズ保持部材113へ推力が伝達されるため、従来のように、振動型アクチュエータ115a,115bとレンズ保持部材113とを連結する部品は不要となる。更に、例えば、レンズ111を挟むように2つの振動型アクチュエータを配置する構成に比べて、2つの振動型アクチュエータを1カ所に集約して配置することができるため、別の機能ユニットをレンズ鏡筒102内に配置する自由度も高められる。
このように、第1実施形態によれば、複数の振動型アクチュエータを用いてレンズを駆動するレンズ駆動装置において、複数の振動型アクチュエータをレイアウトするための自由度を高めながら、小型化と低コスト化を実現することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態に係るレンズ駆動装置201の概略構成を示す断面図である。なお、レンズ駆動装置201の構成要素のうち、第1実施形態に係るレンズ駆動装置101の構成要素と同じものについては、同じ符号を付して、説明を省略する。
レンズ駆動装置201は、レンズ111、筒状部材112、レンズ保持部材213、第1の案内部材114a、第2の案内部材114b、2つの振動型アクチュエータ115a,115b及び加圧部材122を備える。レンズ保持部材213は、中央に設けられたリング状の枠部の内側においてレンズ111を保持している。また、レンズ保持部材113は、リング状の枠部から径方向に突出する2つの突出部を有し、一方の突出部には保持部213cが形成され、他方の突出部には凹部(溝部)213bが形成されている。保持部213cの内部は空洞となっており、第1の案内部材114aは保持部213cに設けられた空洞に挿通され、第2の案内部材114bは凹部213bに係止されている。第1実施形態において加圧部材122を保持部113cに保持した構成と同様の構成で、加圧部材122は保持部213cに保持される。したがって、2つの振動型アクチュエータ115a,115bは、筒状部材112の周方向に沿って、第1の案内部材114aを挟むように配置される。
図10は、レンズ保持部材213を第1の案内部材114aへ付勢する態様を説明する図である。加圧部材122は、2つの振動型アクチュエータ115a,115bのそれぞれの加圧伝達部材120に当接し、緩衝部材119を介して振動体123を摩擦部材118に加圧接触させる。このとき、一方の振動型アクチュエータ115aに生じる加圧力をP11、他方の振動型アクチュエータ115bに生じる加圧力をP12とすると、加圧部材122からレンズ保持部材213に対して作用する加圧反力P13が発生する。
レンズ保持部材213は、加圧反力P13により加圧反力P13の作用方向へ移動しようとするが、レンズ保持部材213は第1の案内部材114aから抗力P14を受けると共に第2の案内部材114bから抗力P15を受ける。つまり、第1の案内部材114aの外周面とレンズ保持部材213の保持部213cに形成された空洞の内周面とが接触し、第2の案内部材114bの外周面とレンズ保持部材213の凹部213bの壁面と接触する。よって、レンズ保持部材213は、光軸Oaと直交する面内での移動が規制された状態で、第1の案内部材114a及び第2の案内部材114bに対してがたつくことなく、光軸方向に移動することができる。
但し、仮に、第1の案内部材114aの中心、光軸Oa及び第2の案内部材114bの中心が一直線上に並ぶ場合には、抗力P15の方向が加圧反力P13の方向と直交する。この場合、凹部213bの壁面が第2の案内部材114bから離れて、凹部213bが第2の案内部材114bに対してがたつく状態が生じ得る。よって、第1の案内部材114aと第2の案内部材114bは、これらの中心と光軸Oaとが一直線上に並ばないように設計される。
以上の説明の通りに構成されたレンズ駆動装置201は、第1実施形態に係るレンズ駆動装置101と同様の効果を奏することに加えて、以下の効果を奏する。すなわち、レンズ駆動装置201では、加圧部材122と第1の案内部材114aを配置するスペースが共通化されるため、レンズ鏡筒102の内部における設置スペースの省スペース化が可能となる。また、加圧部材122とレンズ保持部材213を位置決めする第1の案内部材114aとが近接して配置される。これにより、レンズ保持部材213の保持部213cに形成された空洞の内周面と第1の案内部材114aの外周面とのくいつきに起因する駆動負荷を低減することができることで、耐久性を向上させ、また、消費電力を低減させることができる。なお、レンズ駆動装置201の動作及び制御方法に関しては、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図11は、第3実施形態に係るレンズ駆動装置301の概略構成を示す断面図である。なお、レンズ駆動装置301の構成要素のうち、第1実施形態に係るレンズ駆動装置101の構成要素と同じものについては、同じ符号を付して、説明を省略する。
レンズ駆動装置301は、レンズ111、筒状部材112、レンズ保持部材113、第1の案内部材114a、第2の案内部材114b、2つの振動型アクチュエータ115a,115b及び加圧部材322を備える。図12は、加圧部材322の構成を説明する図である。加圧部材322は、2本の棒状の剛体部材322aと、2本の剛体部材322aを付勢する付勢部材322bを有する。2本の剛体部材322aは、レンズ保持部材113の保持部113cに対して、保持部113cを中心として回転可能に、且つ、光軸方向への移動が規制されるように連結されている。付勢部材322bは、例えば、コイルバネ等であり、2本の剛体部材322aがなす角ηが小さくなるように力Fを2本の剛体部材322aに作用させている。付勢部材322bにより発生する力Fによって、2本の剛体部材322aは2つの振動型アクチュエータ115a,115bの振動体123を摩擦部材118に加圧接触させている。
このような構成にすることで、加圧部材322の剛性を高めることができ、2つの振動型アクチュエータ115a,115bの駆動時に加圧部材322が損傷或いは変形することによるエネルギ損失を抑制することができる。なお、レンズ駆動装置301の動作及び制御方法に関しては、第1の実施例と同様であるため、説明を省略する。また、レンズ駆動装置301は、第1実施形態に係るレンズ駆動装置101と同様の効果をも奏する。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
100 撮像装置
101,201,301 レンズ駆動装置
102 レンズ鏡筒
103 撮像素子
111 レンズ
112 筒状部材
112c 第3の保持部
113,213 レンズ保持部材
114a 第1の案内部材
114b 第2の案内部材
115a,115b 振動型アクチュエータ
118 摩擦部材
120 加圧伝達部材
122,322 加圧部材
123 振動体
322a 剛体部材
322b 付勢部材
101,201,301 レンズ駆動装置
102 レンズ鏡筒
103 撮像素子
111 レンズ
112 筒状部材
112c 第3の保持部
113,213 レンズ保持部材
114a 第1の案内部材
114b 第2の案内部材
115a,115b 振動型アクチュエータ
118 摩擦部材
120 加圧伝達部材
122,322 加圧部材
123 振動体
322a 剛体部材
322b 付勢部材
Claims (10)
- 振動体と摩擦部材とが加圧接触し、前記振動体に励起した駆動振動により前記振動体と前記摩擦部材とが相対的に移動する振動型アクチュエータと、
レンズを保持し、2つの前記振動型アクチュエータによって光軸方向に駆動される保持部材と、
前記保持部材を前記光軸方向に案内する案内部材と、を備え、
前記振動型アクチュエータは、
前記光軸方向と直交する方向に加圧力を発生させて前記2つの振動型アクチュエータのそれぞれの前記振動体をそれぞれの前記摩擦部材に加圧接触させる加圧手段を有し、
前記加圧手段は、前記保持部材に保持され、前記振動体に駆動振動を励起した際に前記保持部材と共に前記光軸方向に移動可能であることを特徴とするレンズ駆動装置。 - 前記2つの振動型アクチュエータは、前記レンズの径方向に重なることなく、前記レンズの外周に沿うように周方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
- 前記案内部材は、第1の案内部材と、第2の案内部材と、を有し、
前記保持部材は、前記第1の案内部材と係合する第1の係合部と、前記第2の案内部材と係合する第2の係合部と、を有し、
前記加圧手段が前記振動体と前記摩擦部材とを加圧接触させる加圧力の加圧反力により前記第1の係合部を前記第1の案内部材に付勢すると共に前記第2の係合部を前記第2の案内部材に付勢することにより、前記第1の案内部材と前記第1の係合部との係合により前記光軸方向と直交する方向での前記保持部材の移動が規制され、前記第2の案内部材と前記第2の係合部との係合により前記第1の案内部材まわりの前記保持部材の回転が規制されることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ駆動装置。 - 前記保持部材において前記加圧手段を保持する保持部に前記第1の係合部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のレンズ駆動装置。
- 前記加圧手段は、前記保持部材に保持される圧縮バネ部と、前記圧縮バネ部から延出する2本の直線部とを有するトーションバネであり、
前記2つの振動型アクチュエータはそれぞれ、前記直線部と当接して前記加圧手段の加圧力を前記振動体に伝達する加圧伝達部材を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレンズ駆動装置。 - 前記加圧手段は、前記保持部材に回転可能に保持された2本の棒状の剛体部材と、2本の前記剛体部材のなす角が小さくなるように2本の前記剛体部材を付勢する付勢部材と、を備え、
2つの前記振動型アクチュエータはそれぞれ、前記剛体部材と当接して前記加圧手段の加圧力を前記振動体に伝達する加圧伝達部材を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレンズ駆動装置。 - 前記振動体は、
矩形板状の弾性体と、
前記弾性体の一方の面に、長手方向に所定の間隔で厚み方向に突出するように形成された2つの突起部と、
前記弾性体において前記突起部が設けられた面の反対側の面に接着された電気−機械エネルギ変換素子と、を有し、
前記振動体は、前記2つの突起部を結ぶ方向が前記光軸方向と略平行となるように配置され、前記振動体には、前記2つの突起部を結ぶ方向と前記突起部の突出方向とを含む面内で前記突起部の先端が楕円運動を行うように前記駆動振動が励起されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のレンズ駆動装置。 - 前記加圧手段は、前記振動体に駆動振動を励起した際に駆動振動による推力を前記保持部材に伝達することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のレンズ駆動装置。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のレンズ駆動装置と、
前記レンズ駆動装置が備える案内部材を保持すると共に振動型アクチュエータの摩擦部材を保持する筒状部材と、を備え、
前記振動型アクチュエータの振動体に駆動振動を励起することにより、前記加圧手段、前記振動体および前記保持部材が一体的に光軸方向に移動することを特徴とするレンズ鏡筒。 - 請求項9に記載のレンズ鏡筒と、
前記レンズ鏡筒を通過した光が結像することで形成された光学像を光電変換することにより画像データを生成する撮像素子と、を備えることを特徴とする撮像装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016246749A JP2018101045A (ja) | 2016-12-20 | 2016-12-20 | レンズ駆動装置、レンズ鏡筒及び撮像装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016246749A JP2018101045A (ja) | 2016-12-20 | 2016-12-20 | レンズ駆動装置、レンズ鏡筒及び撮像装置 |
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JP2018101045A true JP2018101045A (ja) | 2018-06-28 |
Family
ID=62715365
Family Applications (1)
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JP2016246749A Pending JP2018101045A (ja) | 2016-12-20 | 2016-12-20 | レンズ駆動装置、レンズ鏡筒及び撮像装置 |
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JP (1) | JP2018101045A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021173966A (ja) * | 2020-04-30 | 2021-11-01 | キヤノン株式会社 | 駆動装置及び駆動装置を備えた撮像装置 |
JP7539978B2 (ja) | 2022-03-09 | 2024-08-26 | 北京小米移動軟件有限公司 | レンズ移動機構 |
-
2016
- 2016-12-20 JP JP2016246749A patent/JP2018101045A/ja active Pending
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