JP2019126161A - 振動波モータおよび振動波モータを用いたレンズ駆動装置 - Google Patents

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俊輔 二宮
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Abstract

【課題】駆動効率を向上した振動波モータを提供する。【解決手段】振動波モータ10は、振動子100と、振動子100と当接し、振動子100に対して第1の方向に相対移動する摩擦部材103と、振動子100を摩擦部材103に加圧する加圧部材106と、振動子100を保持する第1の保持部材104と、第1の保持部材104を保持する第2の保持部材105と、第1の保持部材104に備えられた第1の転動面と第2の保持部材105に備えられた第2の転動面との間で転動する転動部材107と、転動部材107を付勢する付勢部104cと、を有し、第1の保持部材104と第2の保持部材105とは、転動部材107を介して第2の方向に相対移動が可能であり、第1の転動面と第2の転動面のうちの少なくとも一方は、第1の保持部材104と第2の保持部材105の相対移動量に応じて、付勢部104cによる付勢力Fが変化する面形状である。【選択図】図3

Description

本発明は、振動波モータと当該振動波モータを用いたレンズ駆動装置に関する。
小型軽量、高速駆動、かつ、静音駆動を特徴とする超音波モータは、撮像装置のレンズ鏡筒等のアクチュエーターに採用されている。特許文献1には、リニア駆動式振動波アクチュエーターが開示されている。また、特許文献2には、振動子が固定された基台と振動子支持部材との間を、加圧方向には可撓性を有し且つ移動方向にはガタなく保持する連結部材を設けた超音波モータが開示されている。
特開平7−104166号公報 特開2015−126692号公報
特許文献2に開示された超音波モータでは、落下や衝撃などにより連結部材を構成するころ軸が傾いてしまうことによって、駆動効率が低下するという問題があった。
そこで本発明では、駆動効率を向上した振動波モータを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、振動波モータは、振動子と、該振動子と当接し、該振動子に対して第1の方向に相対移動する摩擦部材と、振動子を摩擦部材に加圧する加圧部材と、振動子を保持する第1の保持部材と、該第1の保持部材を保持する第2の保持部材と、第1の保持部材に備えられた第1の転動面と第2の保持部材に備えられた第2の転動面との間で転動する転動部材と、転動部材を付勢する付勢部と、を有し、第1の保持部材と第2の保持部材とは、転動部材を介して第2の方向に相対移動が可能であり、第1の転動面と第2の転動面のうちの少なくとも一方は、第1の保持部材と第2の保持部材の相対移動量に応じて、付勢部による付勢力が変化する面形状であることを特徴とする。
本発明によれば、駆動効率を向上した振動波モータを提供することができる。
第1の実施形態の振動波モータ10の構成を示す分解斜視図である。 (A)、(B)第1の実施形態の振動波モータ10の断面図である。 (A)、(B)第1の実施形態の振動波モータ10の転動部材107の作用、機能を示す部分断面図である。 第1の実施形態の振動波モータ10の転動部材107、108と駆動力伝達部105cの位置関係を示す正面図である。 (A)〜(C)第2の実施形態の振動波モータ20の転動部材207、208の作用、機能を示す部分断面図である。 (A)、(B)第3の実施形態の振動波モータ30の転動部材307の作用、機能を示す部分断面図である。 (A)〜(C)変形例を示す図である。 (A)本発明を適用したレンズ駆動装置1の構成を示す斜視図である。(B)同断面図である。
(第1の実施形態)
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための各実施形態について説明する。図面において、同一符号は同一部材を示している。本明細書中において、後述する振動子100と摩擦部材103が相対移動する方向をX方向、振動子100を摩擦部材103に対して加圧する加圧方向をZ方向とする。Z方向において、振動子100から摩擦部材103への向きを+Z方向、摩擦部材103から振動子100への向きを−Z方向と定義する。また、X方向およびZ方向と直交する直交方向をY方向とする。
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態の振動波モータ10の構成を示す分解斜視図である。図2(A)は、相対移動の方向と加圧方向に平行で、加圧部材106の中心を通る断面図、図2(B)は相対移動の方向に直交し、加圧部材106の中心を通る断面図である。
振動波モータ10(超音波モータ)は、振動板101および圧電素子102によって構成された振動子100を備えており、圧電素子102が振動板101に固定されている。振動板101は、矩形状の平板部と当該平板部に設けられた2つの突起部101aを有し、相対移動の方向の両端部には振動板101が保持されるための保持部101bを有する。高周波電圧を圧電素子102に印加することによって、振動子100が高周波振動(超音波領域の周波数の振動)し、長手方向であるX方向と短手方向であるY方向それぞれの固有振動モードで共振するように設定されている。この共振によって突起部101aの先端に楕円運動を生じる。振動子100は、後述の摩擦部材103に対して加圧されており、振動子100と摩擦部材103が当接した状態で楕円運動を生じさせることにより、摩擦力を介して駆動力を得る。この駆動力により、振動子100は摩擦部材103に対して相対移動の方向(X方向)に相対移動することができる。
振動子100は、保持部材104に保持されている。保持部材104は、振動子100の振動板101を保持するための保持突起104aを備えている。また、振動板101の保持部101bには、保持穴101cが設けられており、保持部材104の保持突起104aが保持穴101cに係合するとともに、接着等の手段で固定されている。このため、振動子100と保持部材104は、相対移動の方向にガタなく一体となっている。なお、相対移動の方向(X方向)、保持部材104は、それぞれ本発明の第1の方向、第1の保持部材に相当する。
摩擦部材103は、振動子100が当接する部材であり、ベース部材112にねじ114で固定されている。加圧部材106は、振動子100を摩擦部材103に対して加圧する圧縮ばね等のばね部材であって、その一端は可動部材105の作用面105a、他端は加圧板110の作用面110aに作用する。加圧部材106は、加圧部材106の加圧力を均一化するための板状の加圧板110と、振動子100の振動減衰を抑制するフェルト等の緩衝部材109を介して振動子100を摩擦部材103に対して加圧している。
保持部材104は、2つの転動部材107、108により可動部材105に連結されて保持されている。一方の転動部材107は、保持部材104と可動部材105との間に挟持され、保持部材104に備えられた転動面104bと、可動部材105に備えられた転動面105bとの間で転動する円柱状の部材である。他方の転動部材108は、保持部材104と可動部材105との間に挟持され、保持部材104に設けられた付勢部104cと、可動部材105に備えられた転動面105bとの間で転動する円柱状の部材である。付勢部104cは、ばね等の弾性部材であり、接着等の手段で保持部材104に固定されており、相対移動の方向(X方向)に転動部材108を直接付勢するとともに、転動部材108を介して可動部材105を付勢している。なお、付勢部104cが可動部材105に固定され、転動部材108を保持部材104に対して付勢してもよい。
転動部材107が転動面104bと、転動面105bとの間で転動し、転動部材108が付勢部104cの転動面104dと、転動面105bとの間で転動することで、可動部材105と保持部材104は、加圧方向(Z方向)に相対移動することができる。すなわち、保持部材104と可動部材105が転動部材107、108を介して加圧方向(Z方向)に相対移動することができる。このように、可動部材105と保持部材104はZ方向の相対移動が規制されていないため、部品公差や組立公差等で誤差が生じた際にも振動子100の突起部101aを安定して摩擦部材103に当接させることができる。
また、付勢部104cは転動部材108を相対移動の方向に直接付勢し、転動部材107は可動部材105を介して付勢されている。このため、可動部材105と保持部材104の相対移動の方向はガタがない状態となっており、可動部材105は保持部材104と相対移動の方向に一体的に移動する。そして、第1の実施形態の振動波モータ10では、振動子100の高周波振動によって得られた駆動力により、振動子100および保持部材104、可動部材105が摩擦部材103に対して相対移動することができる。なお、可動部材105、転動面104b、転動面105b、加圧方向は、それぞれ本発明における第2の保持部材、第1の転動面、第2の転動面、第2の方向に相当する。
次に、相対移動の際の可動部材105とカバー部材113との摺動負荷を低減するための転動機構について説明する。可動部材105は、加圧部材106によってカバー部材113に対して加圧されている。加圧部材106とカバー部材113との間には3つのボール部材111が設けられており、これらボール部材111が加圧部材106の転動溝部105dとカバー部材113の転動溝部113aに係合している。ボール部材111が転動溝部105dと転動溝部113aとの間で転動することにより、可動部材105がカバー部材113に対して相対移動の方向に滑らかに移動できるように保持されている。このため、高周波振動によって可動部材105が振動子100と一体となって摩擦部材103に対して相対移動する際に、可動部材105とカバー部材113との間に生じる摺動負荷を低減することができる。
図3(A)は、第1の実施形態の振動波モータ10の一方の転動部材107の作用、機能を示す部分断面図であり、図2(A)の破線Aで示す範囲を拡大して示している。転動部材107は、中心位置Z10に位置している。図3(B)は、転動部材107が中心位置Z10からずれた位置Z11に位置する状態を実線で示し、転動部材107が中心位置Z10に位置するときの転動部材107と転動面105bを破線で示した部分断面図である。
まず初めに、保持部材104の転動面104bと可動部材105の転動面105bの形状について説明する。転動面104bは、加圧方向(Z方向)に平行な平面形状である。一方、転動面105bは、点Cを中心とする半径Rを有する曲面形状をしており、Y方向に延在する円弧状の面である。すなわち、転動面105bの曲面形状は加圧方向(Z方向)と平行でない曲面である。この転動面104bおよび転動面105bの間を転動部材107が転動することで、可動部材105と保持部材104は加圧方向(Z方向)に相対移動することができる。
図3(A)では、中心位置Z10に転動部材107が位置している。この中心位置Z10は、保持部材104と可動部材105が加圧方向(Z方向)に相対移動する移動範囲Zrの中央であり、また転動面105bの円弧状の面の中心である点Cと加圧方向において同じ高さである。そして、中心位置Z10は、転動部材107を介して転動面105bと転動面104bとの間の距離d1が最小となる位置である。転動部材107が移動範囲Zrの中心位置Z10に位置するときの付勢部104cによる付勢する力は付勢力Fである。
図3(B)では、転動部材107が移動範囲Zrの端部にあり、中心位置Z10からズレ量ΔZ変位した位置Z11に位置している。転動部材107が移動範囲Zrの端部に位置するときの転動部材107を付勢する力を付勢力F1とする。転動面105bは、加圧方向に平行でない円弧状の曲面形状となっているため、転動部材107が移動範囲Zrの中心位置Z10から位置Z11に移動すると、可動部材105は保持部材104に対して+X方向にΔXだけ移動する。この移動により、位置Z11での付勢部104cによる付勢力F1は、中心位置Z10での付勢力Fよりも大きくなる。ここでは、転動部材107が中心位置Z10に位置する場合と端部の位置Z11に位置する場合について述べたが、上記の構成から、付勢力Fは中心位置Z10から端部の位置Z11に向かうに従って変化する。すなわち、転動面105bは保持部材104と可動部材105の相対移動量に応じて、付勢部104cによる付勢力Fが変化する面形状となっている。第1の実施形態において、曲面は保持部材104の転動面104bおよび可動部材105の転動面105bのうち、外側を向いている転動面105bに設けられている。このように曲面形状を部材の外側に設けているため、加工が容易である。
転動部材107が位置Z11に位置しているとき、転動部材107が当接している転動面105bの当接面は、加圧方向(Z方向)に対して角度θ1傾いている。そして、可動部材105は、付勢部104cによって保持部材104に対して−X方向に付勢されている。当接面の傾きによって、転動部材107には矢印で示す付勢力F1が発生し、この付勢力F1のZ方向成分により、−Z方向の矢印で示す補正力F1zが発生し、転動部材107は−Z方向に移動する。
なお、図3(B)では、転動部材107が+Z方向にずれた場合について説明したが、転動部材107が−Z方向にずれた場合には逆方向の+Z方向に力が発生し、転動部材107は+Z方向に移動する。すなわち、転動部材107が中心位置Z10からずれた場合には、当接面の傾きの角度θ1によって、転動部材107は中心位置Z10へ向かう方向へ移動させられる。転動部材107を移動させる補正力F1zは、転動部材107が当接する二つの面の角度θ1の大きさによって決まる。曲面形状は、可動部材105の転動面105bのみに設けられており、転動面104bは加圧方向と略平行であるため、当接面と加圧方向との角度θ1の大きさは、転動部材107が当接する二つの面の角度の大きさとなる。中心位置Z10からのズレ量ΔZが大きければ大きいほど当接面と加圧方向との角度θ1は大きくなるため、ズレ量ΔZが大きくなるほど転動部材107を移動させる補正力F1zは大きくなる。
図3(A)、(B)で図示されていない他方の転動部材108は、図2(A)を参照すると、可動部材105の転動面105bと付勢部104cとの間で転動する。付勢部104cの転動面104dは、平面かつ、加圧方向(Z方向)と平行な面であり、転動面105bの面形状は加圧方向(Z方向)と平行でない曲面である。よって、転動面104dと転動面105bの間で転動する他方の転動部材108の構成は、上述の転動面104bと転動面105bの間で転動部材107が転動する構成と同様であるため説明は省略する。
図4は、第1の実施形態の振動波モータ10の転動部材107、108と駆動力伝達部105cの位置関係を示す正面図であって、要部を拡大して示している。駆動力伝達部105cは、可動部材105に形成されており、振動波モータ10の駆動力を被駆動部材に対して出力する。連結部材14は被駆動部材(例えばレンズ保持部材12)と振動波モータ10を連結する部材である。図4では、連結部材14の凹部14aと駆動力伝達部105cは、係合している状態であり、可動部材105の一部、転動部材107、108および付勢部104cは破線で、連結部材14の一部は実線で示されている。前述のとおり、保持部材104と可動部材105の加圧方向(Z方向)の相対移動量に応じて付勢部104cによる付勢力Fは変化する。そして、転動部材107、108が中心位置Z10に位置しているときに付勢力Fは最小となる。また、中心位置Z10と、連結部材14の凹部14aおよび駆動力伝達部105cが係合している位置とは、略同一直線(一点鎖線Z)となっている。すなわち、駆動力伝達部105cの位置は、付勢力Fが最小となる転動部材107、108の位置(中心位置Z10)と、加圧方向(Z方向)において同じ高さである。
次に、特許文献2に開示された従来例について説明する。従来例では、コロ軸が転動する二つの転動面はいずれとも平面である。このため、部品公差や組立公差等によって生じる誤差により対向する二つの転動面が傾いた場合や、落下や衝撃などによりコロ軸が二つの転動面上で滑り、位置がずれる、相対移動の方向(X方向)回りに回転するといった問題が発生していた。このようにコロ軸のずれや回転が生じると、コロ軸の転動が抑制されてしまい、駆動効率が低下するという問題がある。
しかしながら、本発明の第1の実施形態では、転動面105bが曲面となっており、転動部材107、108の位置がずれた場合でも、それらを中心位置Z10に戻す補正力F1zが発生するため、転動部材107、108がずれたままになりにくい。また、転動部材107は転動面105bと転動面104bとの間に挟持されており、転動面104bおよび転動面105bが転動部材107の両端と当接しているため、相対移動の方向(X方向)を軸とする回転は抑制される。そして、円柱状の転動部材107、108は直交方向と略平行に保たれる。このように、第1の実施形態では二つの転動面同士が傾いた場合や、落下や衝撃等が生じた際の転動部材107、108のずれや傾き(回転)を抑制することで、振動子100を摩擦部材103に安定して接触させることができるので駆動効率が向上する。
また、第1の実施形態では、可動部材105の転動面105bが曲面となっているが、可動部材105が平面で構成された転動面105bを備え、保持部材104が曲面で構成された転動面104bを備えていてもよい。また、保持部材104の転動面104bと可動部材105の転動面105bのいずれか一方のみに曲面を設けることにより、加圧方向の位置がばらついたときにも転動部材107、108が所定の位置に戻ることを可能にしている。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態は、可動部材105の転動面105bのみが曲面となっている。一方、第2の実施形態は、保持部材204の転動面204bと可動部材205の転動面205bの両方が曲面となっており、この構成が第1の実施形態と異なっている。なお、第1の実施形態と同じところは説明を省略し、第1の実施形態と異なるところだけを説明する。
図5(A)は、第2の実施形態の振動波モータ20の一方の転動部材207の作用、機能を示す部分断面図である。転動部材207は、中心位置Z20に位置している。図5(B)は、転動部材207が中心位置Z20からずれた位置Z21に位置する状態における部分断面図である。図5(C)は、他方の転動部材208の作用、機能を示す部分断面図であり、図5(A)と同様な断面が示されている。
まず初めに、保持部材204の転動面204bと可動部材205の転動面205bの形状について説明する。転動面204bおよび転動面205bは共に曲面形状であり、直交方向(Y方向)に延在する円弧状の面である。このため、転動面204bおよび転動面205bは加圧方向と平行でない面を有する。この転動面204bおよび転動面205bの間を転動部材207が転動することで、可動部材205と保持部材204は加圧方向(Z方向)に相対移動することができる。
図5(A)では、中心位置Z20に転動部材207が位置している。この中心位置Z20は、保持部材204と可動部材205が加圧方向(Z方向)に相対移動する移動範囲Zrの中央であり、また転動面205bの円弧状の面の中心と加圧方向において同じ高さである。そして、中心位置Z20は、転動部材207を介して転動面205bと転動面204bとの間の距離d2が最小となる位置である。転動部材207が移動範囲Zrの中心位置Z20に位置するときの付勢部204cによる付勢する力は付勢力Fである。なお、付勢部204cが可動部材205に固定され、転動部材208を保持部材204に対して付勢してもよい。
図5(B)では、転動部材207が移動範囲Zrの端部にあり、中心位置Z20からズレ量ΔZ変位した位置Z21に位置している。このとき、転動面205bのうち、転動部材207が当接している当接面は加圧方向(Z方向)に対して角度θ2傾いている。また、転動面204bのうち転動部材207が当接している当接面も同様に加圧方向(Z方向)に対して角度θ2傾いている。可動部材205は付勢部204cによって保持部材204に対して−X方向に付勢されている。これらの当接面の傾きによって、転動部材207には、図5(B)における矢印で示す付勢力F2およびF2’が発生する。転動部材207が中心位置Z20に位置している場合よりも端部の位置Z21に位置している場合の方が付勢部204cの圧縮量が増えるため、付勢力F2およびF2’は大きくなる。ここでは、転動部材207が中心位置Z20に位置する場合と端部の位置Z21に位置する場合について述べたが、上記の構成から、付勢力Fは中心位置Z20から端部の位置Z21に向かうに従って変化する。すなわち、保持部材204と可動部材205のそれぞれに設けられた転動面204bおよび転動面205bの両方が、保持部材204と可動部材205の相対移動量に応じて、付勢部204cによる付勢力Fが変化する面形状となっている。なお、保持部材204、可動部材205、転動面204b、転動面205bは、それぞれ本発明における第1の保持部材、第2の保持部材、第1の転動面、第2の転動面に相当する。
転動部材207が位置Z21に位置しているとき、転動部材207が当接している転動面205bの当接面は、加圧方向(Z方向)に対して角度θ2傾いている。また、転動面204bのうち転動部材207が当接している当接面も同様に加圧方向(Z方向)に対して角度θ2傾いている。そして、可動部材205は、付勢部204cによって保持部材204に対して−X方向に付勢されている。当接面の傾きによって、転動部材207には矢印で示す付勢力F2、F2’が発生し、これらの付勢力F2およびF2’のZ方向成分を足し合わせた、−Z方向の矢印で示す補正力F2zが発生し、転動部材207は−Z方向に移動する。
なお、図5(B)では、転動部材207が+Z方向にずれた場合について説明したが、転動部材207が−Z方向にずれた場合には逆方向の+Z方向に力が発生し、転動部材207は+Z方向に移動する。すなわち、転動部材207が中心位置Z20からずれた場合には、当接面の傾きの角度θ2によって、転動部材207は中心位置Z20へ向かう方向へ移動させられる。転動部材207を移動させる補正力F2zは、転動部材207が当接する二つの面の角度θ2の大きさによって決まる。曲面形状は可動部材205および保持部材204に設けられているため、転動面205b、204bと転動部材207との当接面は、それぞれ加圧方向に対して角度θ2傾いている。このため、転動面204bおよび転動面205bと転動部材207との当接面同士の角度はθ2の2倍となる。中心位置Z20からのズレ量ΔZが大きければ大きいほど当接面と加圧方向との角度θ2は大きくなるため、ズレ量ΔZが大きくなるほど転動部材207を移動させる補正力F2zは大きくなる。
他方の転動部材208が転動する可動部材205の転動面205bと付勢部204cの転動面204dは、図5(C)に示すようにいずれも曲面であり、Y方向に長い円弧状の面である。このため、図5(A)、(B)で説明した場合と同様に転動部材208が中心位置Z20からずれた場合には、転動部材208を中心位置Z20に戻す方向に補正力F2zを生じる。
以上説明したとおり、第2の実施形態の振動波モータ20では、曲面の転動面204bおよび転動面205bの間で転動部材207、208が転動するように構成されている。
このように、第2の実施形態では二つの転動面同士が傾いた場合や、落下や衝撃等が生じた際の転動部材207、208のずれや傾き(回転)を抑制することで、振動子200を摩擦部材203に安定して接触させることができるので駆動効率が向上する。
第2の実施形態では、転動部材207、208が転動する転動面204bおよび転動面205bのいずれともが曲面となっており、当接面同士の角度が大きいため転動部材207、208を中心位置Z20に戻す補正力F2zが大きくなる。このため、転動部材207、208がずれた場合でも中心位置Z20に戻りやすいというメリットがある。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態は、可動部材105の転動面105bが曲面となっている構成である。一方、第3の実施形態では、可動部材305の転動面305bが傾きを持った平面、すなわち斜面である構成が第1の実施形態と異なっている。なお、第1の実施形態と同じところは説明を省略し、第1の実施形態と異なるところだけを説明する。
図6(A)は、第3の実施形態の振動波モータ30の一方の転動部材307の作用、機能を示す部分断面図である。転動部材307は、中心位置Z30に位置している。図6(B)は、転動部材307が中心位置Z30からずれた位置Z31に位置する状態における部分断面図である。
まず初めに、保持部材304の転動面304bと可動部材305の転動面305bの形状について説明する。転動面304bは加圧方向(Z方向)に平行な平面形状である。一方、転動面305bは、平面であるが、加圧方向(Z方向)に対して角度θ3の傾きを持った斜面形状である。すなわち、転動面305bの斜面形状は加圧方向(Z方向)と平行でない面である。この転動面304bおよび転動面305bの間を転動部材307が転動することで、可動部材305と保持部材304は加圧方向(Z方向)に相対移動することができる。
図6(A)では、中心位置Z30に転動部材307が位置している。この中心位置Z30は、保持部材304と可動部材305が加圧方向(Z方向)に相対移動する移動範囲Zrの中央であり、また転動面305bの斜面の中心と加圧方向において同じ高さである。そして、中心位置Z30は、転動部材307を介して転動面305bと転動面304bとの間の距離d3が最小となる位置である。転動部材307が移動範囲Zrの中心位置Z30に位置するときの不図示の付勢部304cによる付勢する力は付勢力Fである。なお、付勢部304cが可動部材305に固定され、転動部材308を保持部材304に対して付勢してもよい。
図6(B)では、転動部材307が移動範囲Zrの端部にあり、中心位置Z30からズレ量ΔZ変位した位置Z31に位置している。このとき、転動面305bのうち、転動部材307が当接している当接面は加圧方向(Z方向)に対して角度θ3傾いている。可動部材305は付勢部304cによって保持部材304に対して−X方向に付勢されている。転動面305bの傾きによって、転動部材307には、図6(B)における矢印で示す付勢力F3が発生する。転動部材307が中心位置Z30に位置している場合よりも端部の位置Z31に位置している場合の方が付勢部304cの圧縮量が増えるため、付勢力F3は大きくなる。ここでは、転動部材307が中心位置Z30に位置する場合と端部の位置Z31に位置する場合について述べたが、上記の構成から、付勢力Fは中心位置Z30と端部の位置Z31では異なっている。すなわち、保持部材304と可動部材305のそれぞれに設けられた転動面304bおよび転動面305bの両方が、保持部材304と可動部材305の相対移動量に応じて、付勢部304cによる付勢力Fが変化する面形状となっている。なお、保持部材304、可動部材305、転動面304b、転動面305bは、それぞれ本発明における第1の保持部材、第2の保持部材、第1の転動面、第2の転動面に相当する。
転動部材307が位置Z31に位置しているとき、転動部材307が当接している転動面305bの当接面は、加圧方向(Z方向)に対して角度θ3傾いている。そして、可動部材305は、付勢部304cによって保持部材304に対して−X方向に付勢されている。当接面の傾きによって、転動部材307には矢印で示す付勢力F3が発生し、この付勢力F3のZ方向成分により、−Z方向の矢印で示す補正力F3zが発生し、転動部材307は−Z方向に移動する。
なお、図6(B)では、転動部材307が+Z方向にずれた場合について説明したが、転動部材307が−Z方向にずれた場合には逆方向の+Z方向に力が発生し、転動部材307は+Z方向に移動する。すなわち、転動部材307が中心位置Z30からずれた場合には、当接面の傾きの角度θ3によって、転動部材307は中心位置Z30へ向かう方向へ移動させられる。転動部材307を移動させる補正力F3zは、転動部材307が当接する二つの面の角度θ3の大きさによって決まる。斜面形状は、可動部材305の転動面305bのみに設けられており、転動面304bは加圧方向と略平行であるため、当接面と加圧方向との角度θ3の大きさは、転動部材307が当接する二つの面の角度の大きさとなる。転動面305bの角度θ3は常に一定のため、ズレ量ΔZによらず転動部材307を移動させる補正力F3zは一定である。
以上説明したとおり、第3の実施形態の振動波モータ30では、平面の転動面304bおよび斜面の転動面305bの間で転動部材307、308(不図示)が転動するように構成されている。このように、第3の実施形態では二つの転動面同士が傾いた場合や、落下や衝撃等が生じた際の転動部材307、308のずれや傾き(回転)を抑制することで、振動子300を摩擦部材303に安定して接触させることができるので駆動効率が向上する。
第3の実施形態では、転動面305bの角度θ3が常に一定のため、ズレ量ΔZによらず転動部材307を移動させる補正力F3zは一定である。このため、ズレ量ΔZが小さい領域において転動部材307を移動させる補正力F3zが第1の実施形態よりも大きくなるというメリットがある。なお、第3の実施形態では、可動部材305の転動面305bのみが斜面となっている形態について説明したが、保持部材304の転動面304bや付勢部304cの転動面304d(不図示)が斜面となっていてもよい。また、保持部材304の転動面304bと可動部材305の転動面305bのいずれか一方のみに平面を設けることにより、加圧方向の位置がばらついたときにも転動部材307、308が所定の位置に戻ることを可能にしている。
また、第3の実施形態では、可動部材305の転動面305bが斜面となっているが、可動部材305が平面で構成された転動面305bを備え、保持部材304が曲面で構成された転動面304bを備えていてもよい。以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
(変形例)
図7(A)〜(C)は、上記の各実施形態1〜3と異なる構成の振動波モータ40の可動部材405の転動面405bの構成の変形例を示す。図7(A)は、転動部材408と転動面405bを拡大した斜視図であり、保持部材404と付勢部404cは不図示である。図7(B)は図7(C)の断面線VIIB−VIIBにおける断面図である。図7(C)は、側面図であって、可動部材405の一部と転動部材408を破線で示している。図7(A)は、転動部材408がY方向と略平行な状態、すなわち転動部材408が傾いていない状態、図7(B)および(C)は転動部材408がY方向に対して傾いている状態を示している。
第1の実施形態では、転動部材107、108が転動面105bに対して全面で当接するが、変形例では、転動部材407、408の中央部分が転動面505bに当接しておらず、転動部材407、408の両端のみが転動面405bに当接する。すなわち、変形例では、保持部材404の転動面404bおよび可動部材405の転動面405bは、範囲Dから外側に設けられているため、転動面404bおよび転動面405bが円柱状の転動部材408の両端側の一部と当接するようになっている。
転動部材408は、付勢部404cにより−X方向に付勢力Fで付勢されている。転動部材408が当接する転動面405bは曲面になっており、転動部材408の両端には加圧方向(Z方向)の補正力F4zが生じる。図7(C)に示すように、補正力F4zは転動部材408がY方向と略平行になるように転動部材408の傾きを戻す力である。すなわち、転動部材408は転動面405bの曲面と転動面404bの平面との間に挟持されており、転動面404bおよび転動面405bが転動部材408の両端側の一部と当接しており、相対移動の方向(X方向)回りの回転が抑制される。これにより、円柱状の転動部材408は、Y方向と略平行に保たれ、転動部材408の傾きが生じにくい構成となっており、保持部材404と可動部材405が加圧方向(Z方向)に滑らかに相対移動できる構成となっている。
(適用例)
図8(A)は、例えば第1の実施形態の振動波モータ10を用いたレンズ駆動装置1を示す斜視図である。図8(B)は、レンズ駆動装置1の断面図である。レンズ駆動装置1は、レンズ11とレンズ保持部材12、振動波モータ10を有し、レンズ11はレンズ保持部材12によって保持されている。図示されていない固定部材に固定されたガイドバー13に、レンズ保持部材12は丸穴部12aとU溝部12bで係合している。この構成により、レンズ11およびレンズ保持部材12は、光軸方向(X方向)に直進に案内されている。連結部材14は、固定軸16によりX方向の軸回りに回動可能な様にレンズ保持部材12に固定されている。ラックばね15は、連結部材14のばね受け部14bとレンズ保持部材12のばね受け部12cに作用して、連結部材14にX方向の軸回りの付勢する力を発生する。この付勢する力によって連結部材14に形成された凹部14aは、可動部材105に設けられた可動部材105の駆動力を伝達するための駆動力伝達部105cに対して加圧方向(−Z方向)に付勢される。このように、連結部材14を介してレンズ保持部材12を可動部材105に設けられた駆動力伝達部105cに連結することで部品公差、組立公差等による位置ずれを吸収するとともに、レンズ保持部材12と可動部材105を連結することができる。V字状の斜面を有する凹部14aに球面形状の駆動力伝達部105cが係合しているため、連結部材14は可動部材105と相対移動の方向にはガタなく一体となって移動する。また、連結部材14はラックばね15によりレンズ保持部材12に対して相対移動の方向(X方向)に付勢されている。このため、連結部材14はレンズ保持部材12と相対移動の方向にガタなく一体となって移動する。
このように、レンズ保持部材12は連結部材14を介して可動部材105と相対移動の方向にガタなく一体となって移動できるように構成されている。前述のとおり、振動波モータ10は圧電素子102に高周波電圧を印加して振動子100に高周波振動を発生させることにより振動子100と摩擦部材103の相対移動によって可動部材105を相対移動の方向に移動することができる。このため、振動子100と摩擦部材103の相対移動によりレンズ保持部材12を相対移動の方向(X方向)に移動させることで、レンズ11を光軸方向に移動することができる。
レンズ11を光軸方向に移動させる際に、レンズ11の慣性による負荷がレンズ保持部材12および連結部材14を介して駆動力伝達部105cに伝達される。可動部材105の駆動力伝達部105cに与えられた負荷は、転動部材107、108を介して保持部材104や振動子100に伝達される。転動部材107、108は中心位置Z10に位置しており、駆動力伝達部105cと加圧方向において同じ高さに設けられているため、レンズ11の重量に応じた負荷によってY方向の軸回りの不要なモーメント力が発生しない。適用例では、駆動力伝達部105cが設けられた可動部材105に曲面形状の転動面105bが設けられている。このため、可動部材105と保持部材104との加圧方向の相対的な位置がずれた場合にも、中心位置Z10とレンズ保持部材12と駆動力伝達部105cが連結されている位置との加圧方向のズレが発生しない。これによりY方向の軸回りの不要なモーメント力も発生しない。このように、保持部材104や可動部材105に対してY方向の軸回りの不要なモーメント力が発生しない構成となっているため、振動子100は安定して摩擦部材103に当接することができる。
また、第1の実施形態は、固定された摩擦部材103に対して振動子100が相対移動することによってレンズ11を駆動する構成であるが、固定された振動子100に対して摩擦部材103が相対移動することによってレンズ11を駆動する構成であってもよい。さらに、第2の実施形態の振動波モータ20や第3の実施形態の振動波モータ30を用いてレンズ駆動装置1を構成してもよい。
1 レンズ駆動装置
11 レンズ
100、200、300 振動子
103、203、303 摩擦部材
104、204、404 保持部材(第1の保持部材)
104b、204b、204b 転動面(第1の転動面)
104c 付勢部
105、205、305 可動部材(第2の保持部材)
105b、205b、205b 転動面(第2の転動面)
105c 駆動力伝達部
106 加圧部材
107、207、307、407 転動部材
108、208、308 転動部材
150、250、350 振動波モータ
F 付勢力

Claims (12)

  1. 振動子と、
    該振動子と当接し、該振動子に対して第1の方向に相対移動する摩擦部材と、
    前記振動子を前記摩擦部材に加圧する加圧部材と、
    前記振動子を保持する第1の保持部材と、
    該第1の保持部材を保持する第2の保持部材と、
    前記第1の保持部材に備えられた第1の転動面と前記第2の保持部材に備えられた第2の転動面との間で転動する転動部材と、
    前記転動部材を付勢する付勢部と、
    を有し、
    前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とは、前記転動部材を介して第2の方向に相対移動が可能であり、
    前記第1の転動面と前記第2の転動面のうちの少なくとも一方は、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材の相対移動量に応じて、前記付勢部による付勢力が変化する面形状であることを特徴とする、振動波モータ。
  2. 前記面形状は、前記第2の方向と平行でない曲面もしくは斜面であることを特徴とする、請求項1に記載の振動波モータ。
  3. 前記面形状は、前記第1の転動面と前記第2の転動面のいずれか一方のみに設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の振動波モータ。
  4. 前記面形状は、前記第1の方向において、外側を向いた前記第2の転動面に設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の振動波モータ。
  5. 前記面形状は、前記第2の保持部材に設けられていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の振動波モータ。
  6. 前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とが前記第2の方向に相対移動する移動範囲の中で、前記移動範囲の中心に位置した際の前記付勢力は、前記移動範囲の端部に位置した際よりも小さいことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の振動波モータ。
  7. 前記第2の保持部材に該第2の保持部材の駆動力を伝達する駆動力伝達部が設けられ、該駆動力伝達部の位置は、前記付勢力が最小となる前記転動部材の位置と、前記第2の方向において同じ高さであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の振動波モータ。
  8. 前記転動部材は、円柱状であり、前記第1の転動面および前記第2の転動面は前記転動部材の両端のみに当接していることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の振動波モータ。
  9. 前記転動部材は、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とにより挟持されており、前記付勢部は、前記転動部材を介して前記第1の保持部材を付勢することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の振動波モータ。
  10. 前記付勢部は、前記第1の保持部材に備えられていることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の振動波モータ。
  11. 前記振動子は、超音波領域の周波数の高周波振動を発生し、前記振動波モータは超音波モータであることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の振動波モータ。
  12. レンズを有し、前記振動子と前記摩擦部材の相対移動によって前記レンズが光軸方向に移動することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の振動波モータを有したレンズ駆動装置。
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