JP5719245B2 - ソーラーシステムの取付構造及び取付プレート - Google Patents

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Description

本発明は、太陽光パネルを備えるソーラーシステムを屋根に取り付けるためのソーラーシステムの取付構造及び取付プレートに関する。
一般に、ソーラー発電パネルやソーラー温水パネルなどの太陽光パネルを備えるソーラーシステムは、建物の屋根に設置されることが多い。ソーラーシステムは風圧などによる浮き上がり力に負けないように屋根下地にしっかりと取り付ける必要がある。
例えば、特許文献1には、屋根下地に立設した支柱の先端にレールを取り付け、このレール上に太陽光パネルを取り付けるソーラーシステムの取付構造が開示されている。このソーラーシステムの取付構造では、支柱を突出させるための開口部を瓦に設けるとともに、開口部をカバーするカバー部材を支柱に嵌装させている。
特開2005−133382号公報(図1)
しかし、特許文献1に記載のソーラーシステムの取付構造では、瓦に開口部を予め形成する特殊加工が必要になる。また、支柱を設置した場所とそれ以外の場所で瓦を使い分ける必要があり、施工が煩雑になる。さらに、スレート瓦のように被覆材が複数重なる構造の屋根に適用するのは困難であった。また、カバー部材を支柱に嵌装するだけでは、止水が不十分になりやすいため、不定形シーリング材などを用いて防水工事を別途行なう必要がある。そのため、特許文献1に記載の構造では、製造や施工に手間がかかってしまうという問題があった。
本発明は、前記の問題を解決するためになされたものであり、施工が容易でソーラーシステムを安定して支持することが可能なソーラーシステムの取付構造及び取付プレートを提供することを課題とする。
本発明は、傾斜した屋根にソーラーシステムを取り付けるためのソーラーシステムの取付構造であって、水下側の端部が露出するようにずらしながら屋根下地上に互いに重ねて配置された少なくとも3枚の被覆材と、上側の前記被覆材と中央の前記被覆材の間に挿入された挿入部と上側の前記被覆材の水下側の端部から突出して前記ソーラーシステムに取り付けられた取付部とを有する取付プレートと、中央の前記被覆材と前記屋根下地との間であって下側の前記被覆材の水上側に配置されたスペーサと、を備え、前記挿入部は、当該挿入部と中央の前記被覆材と前記スペーサとを貫通する固定具によって前記屋根下地に固定されていることを特徴とする。
また、本発明は、水下側の端部が露出するようにずらしながら傾斜した屋根下地上に互いに重ねて配置された少なくとも3枚の被覆材を備える屋根にソーラーシステムを取り付けるための取付プレートであって、上側の前記被覆材と中央の前記被覆材の間に挿入される挿入部と、上側の前記被覆材の水下側の端部から突出して前記ソーラーシステムに取り付けられる取付部と、を有し、前記挿入部は、当該挿入部と、中央の前記被覆材と、中央の前記被覆材と前記屋根下地との間であって下側の前記被覆材の水上側に配置されたスペーサと、を貫通する固定具によって前記屋根下地に固定されることを特徴とする。
このような構成によれば、3枚の被覆材のうちの上側の被覆材と中央の被覆材の間に、取付プレートの挿入部が挿入されるとともに、下側の被覆材と屋根下地との間にスペーサが設置され、この挿入部と中央の被覆材とスペーサとを貫通する固定具によって取付プレートが屋根下地に固定されている(固定される)ので、取付プレートを屋根下地に容易に固定することができる。
なお、「被覆材を貫通」とは、隣接する被覆材同士の目地部を貫通する場合も含むものとする。
また、このような構成によれば、取付プレートの取付部に取り付けられたソーラーシステムが風圧によって浮き上がり力を受けて、挿入部のうち固定具が貫入されている部分に曲げモーメントが生じ、中央の被覆材に下向きの反力が作用した場合に、中央の被覆材と屋根下地との間にスペーサが設置されているので、中央の被覆材が沈み込んだり破損したりすることがない。そのため、ソーラーシステムを安定して支持することができる。
前記取付部は、前記挿入部の水下側の端部から立ち上がる立ち上り部と、前記立ち上り部の上端から水下側に延出する延出部と、を備えてなり、前記延出部は、前記ソーラーシステムの固定具を挿通するための貫通孔を有する構成とするのがよい。
このような構成によれば、立ち上り部によって延出部を上方に配置することができるので、中央の被覆材と延出部との間に、ソーラーシステムの固定具の一部(例えばボルトの頭部)を収容する空間を形成することができる。また、ソーラーシステムを延出部に固定したときに、ソーラーシステムと被覆材とが接触することを防止することができる。
前記取付プレートは、前記挿入部から前記取付部に亘って突設されたリブを有する構成とするのがよい。
このような構成によれば、ソーラーシステムが風圧によって浮き上がり力を受けて、取付プレートに曲げモーメントが作用した場合に、リブによって挿入部と取付部の剛性を高めることで、両者の変形を抑制することができる。これにより、ソーラーシステムを安定して支持することができる。
なお、挿入部のうち固定具が貫入されている部分に大きな曲げモーメントが作用するので、この部分よりも水上側までリブを延設するのが好ましい。
前記取付プレートは、前記挿入部の水上側から下向きに突出して中央の前記被覆材の水上側の端部に係合する係合部を有する構成とするのがよい。
このような構成によれば、取付プレートを設置する際に、中央の前記被覆材の水上側の端部に係合部が係合する(引っ掛かる)ので、取付プレートが滑り落ちることがない。そのため、傾斜した屋根上での施工作業が容易になる。
前記挿入部を跨いで中央の前記被覆材の上に配置され、上側の前記被覆材と中央の前記被覆材との隙間を塞ぐ発泡シートをさらに備える構成とするのがよい。
このような構成によれば、挿入部を跨いで中央の被覆材の上に発泡シートが配置されているので、上側の被覆材と中央の被覆材との隙間が発泡シートによって塞がれることとなる。そのため、風によって吹き上げられた雨水等が上側の被覆材と中央の被覆材との隙間に入り込むことを抑制することができる。
前記取付プレートは、前記取付部からさらに水下側に延出して中央の前記被覆材の上面に当接する当接部を有し、下側の前記被覆材と前記屋根下地の間には、他のスペーサが設置され、前記当接部は、当該当接部と、中央の前記被覆材と、下側の前記被覆材と、前記他のスペーサと、を貫通する他の固定具によって前記屋根下地に固定されている構成とするのがよい。
このような構成によれば、取付部からさらに水下側に延出して中央の被覆材の上面に当接する当接部が、当該当接部と中央の被覆材と下側の被覆材と他のスペーサと、を貫通する他の固定具によって屋根下地に固定されているので、ソーラーシステムに取り付けられる取付部が両側から支持されることになる。そのため、取付部を片持ち支持する場合に比較して、取付プレートの支持剛性を高めることができ、例えば、取付プレートを薄型化することが可能になる。また、取付プレートの設置箇所を削減することができるので、防水欠損部を少なくして防水上のリスクを低減することができるとともに、施工の省力化を図ることができる。
本発明によれば、施工が容易でソーラーシステムを安定して支持することが可能なソーラーシステムの取付構造及び取付プレートを提供することができる。
ソーラーシステムの取付構造を備える屋根の平面図である。 図1のI−I線断面図である。 図1のII−II線断面図である。 取付プレートの構造図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図、である。 図2のA部を拡大して示した断面図である。 中央のスレートの上に取付プレートと発泡シートを設置した状態を示した平面図である。 ソーラーシステムの取付構造の施工手順を3段階に分けて説明するための説明図であり、(a)は第1段階の断面図、(b)は第2段階の断面図、(c)は第3段階の断面図である。 ソーラーシステムの取付構造の施工手順を3段階に分けて説明するための説明図であり、(a)は第1段階の平面図、(b)は第2段階の平面図、(c)は第3段階の平面図である。 変形例に係るソーラーシステムの取付構造の断面図である。 変形例に係るスペーサ及び防水シートの斜視図である。
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、勾配屋根上にソーラーシステムを取り付ける場合を例に挙げて説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、方向を説明する場合、勾配の上側を「水上側」と称し、勾配の下側を「水下側」と称する。
図1は、ソーラーシステムの取付構造を備える屋根の平面図である。図2は、図1のI−I線断面図である。図3は、図1のII−II線断面図である。
図1に示すように、ソーラーシステム1は、太陽光を利用して発電や温水生成等を行なう装置であり、支持体である屋根Rの上に設置されている。本実施形態では、ソーラーシステム1は、屋根Rの表面から上方に離間した位置に整列配置された複数のソーラー発電パネル2と、ソーラー発電パネル2を支持する下地フレーム3と、を有している。そして、ソーラーシステム1(より詳しくは下地フレーム3)は、取付プレート10によって屋根Rの屋根下地R1に固定されている。
屋根Rは、屋根下地R1と、屋根下地R1を被覆する複数のスレートS,S・・・と、を備えている。
被覆材であるスレートSは、例えば、粘板系、セメント系、金属系等の板状部材の中から適宜選択して用いることができる。スレートSは、水下側の端部Sdが露出するようにずらしながら屋根下地R1上に互いに重ねて配置されている。なお、以下の説明においては、取付プレート10に関わる3枚のスレートSを、下側から順にスレートS1、スレートS2、スレートS3と称する場合がある。
屋根下地R1は、図2に示すように、面材R2と、面材R2を支持する垂木R3とを備えている。
図1に示すように、ソーラー発電パネル2は、太陽光によって発電を行なう部材であり、屋根Rの勾配方向と、屋根面に沿って勾配方向と直交する左右方向とに沿って、それぞれ複数枚配置されている。ソーラー発電パネル2は、屋根R上に敷設された下地フレーム3上に固定されている。
なお、ソーラー発電パネル2に替えて、太陽光で温水を生成するソーラー温水パネル(図示省略)を設置してもよい。
下地フレーム3は、図1に示すように、左右方向に互いに間隔を空けて、勾配方向に沿って延在して配置されている。下地フレーム3は、2本で一つのソーラー発電パネル2を支持している。下地フレーム3は、アルミニウム製またはステンレス製のプレート、あるいは防錆処理が施された鋼製プレートを屈曲させて形成されており、幅方向中間部を中心として対称形状になっている。
下地フレーム3は、図2、図3に示すように、上向きに開口する断面視略コ字状の部材であり、その開口部には内向きに延出する断面視略J字状のフランジ31,31が形成されている。下地フレーム3は、適所においてボルトB及びナットNを介して取付プレート10に固定されている。下地フレーム3には、ソーラー発電パネル2を下地フレーム3に固定するための固定金具4が取り付けられている。
固定金具4は、図2、図3に示すように、下地フレーム3の凹溝内に配置されたベース金具41と、隣り合うソーラー発電パネル2同士の間に配置された押さえ金具42と、両者を連結するボルトB及びナットNと、を主に有している。ベース金具41は、下向きに開口する断面視略コ字状の短尺部材である。押さえ金具42は、上向きに開口する断面視略U字状の部材である。押さえ金具42は、側壁42b,42bの上端に、外向きに延出するフランジ42c,42cを有している。ベース金具41の上壁41a及び押さえ金具42の下壁42aには、ボルトBの軸部を挿通するための貫通孔が形成されている。この貫通孔に挿通したボルトBをベース金具41の下側に配置したナットNに締結すると、ベース金具41の上壁41aが下地フレーム3のフランジ31,31に当接するとともに、押さえ金具42のフランジ42c,42cがソーラー発電パネル2の縁部に当接する。これにより、ソーラー発電パネル2が下地フレーム3に固定されることになる。
図4は、取付プレートの構造図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図、である。
取付プレート10は、ソーラーシステム1を屋根Rに固定するための部材である。取付プレート10は、例えばアルミニウム製またはステンレス製のプレート、あるいは防錆処理が施された鋼製プレートを屈曲させて形成されている。取付プレート10は、図1、図2に示すように、水上側が上側のスレートS3と中央のスレートS2との間に配置されているとともに、水下側が上側のスレートS3の水下側の端部から突出している。取付プレート10は、挿入部11と、取付部12と、係合部13と、を主に備えている。
挿入部11は、図2乃至図4(主に図4)に示すように、上側のスレートS3と中央のスレートS2との間に挿入される平板状の部位である。挿入部11の水下側には、固定具であるビス19を挿通するためのビス孔11aが形成されている。挿入部11は、ビス19によって屋根下地R1に固定されている。また、挿入部11は、水下側に4本のリブ11bを有している。リブ11bは、ビス孔11a付近から水下側の端部にかけて上向きに膨出形成されている。これにより、ビス孔11a付近の剛性が向上する。なお、リブ11bは、取付部12の後記する立ち上り部14まで延設されている。
取付部12は、上側のスレートS3の水下側の端部から突出してソーラーシステム1に取り付けられる部位である。取付部12は、立ち上り部14と、延出部15と、補強壁16,16と、を有している。
立ち上り部14は、挿入部11の水下側の端部から略直角に立ち上がる部位である。立ち上り部14には、挿入部11から連続するリブ11bが膨出形成されている。これにより、挿入部11と立ち上り部14との屈曲部位の剛性が向上する。
延出部15は、立ち上り部14の上端部から水下側に延出する部位である。延出部15の中央部位には、ボルトBを挿通するための貫通孔15aが形成されている。延出部15は、中央のスレートS2の水下側の端部よりも上側に配置されている。これにより、下地フレーム3を延出部15に取り付けたときに、スレートSと下地フレーム3との間に隙間を設けることができる。なお、延出部15の下側の空間には、ボルトBの頭部が配置(収容)されている(図2、図3参照)。
補強壁16,16は、立ち上り部14の左右端部と延出部15の左右端部とをそれぞれ連結する壁状の部位である。これにより、立ち上り部14に対する延出部15の剛性が向上する。
係合部13は、挿入部11の水上側の端部を下向きに折り曲げて突出形成した壁状の部位である。係合部13は、中央のスレートS2の水上側の端部に係合して(引っ掛かって)、施工時に取付プレート10が落下するのを防止する機能を有する。これにより、取付プレート10の施工が容易になる。
図5は、図2のA部を拡大して示した断面図である。
中央のスレートS2と屋根下地R1との間であって、下側のスレートS1の水上側には、スペーサ50が配置されている。スペーサ50は、側面視台形状を呈する樹脂製の部材である。スペーサ50は、独立気泡型発泡体(例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン等)で構成されている。スペーサ50は、製材や樹脂成型品などを使用することができる。スペーサ50は、取付プレート10をビス19で屋根下地R1に取り付けた際に、中央のスレートS2が折れ曲がるのを防止する機能を有する。スペーサ50の上面は、中央のスレートS2の下面と略同一の勾配となるように傾斜している。
スペーサ50の下側には、防水シートP1が敷設されている。防水シートP1は、下側のスレートS1の下方にまで延設されている。
また、取付プレート10と中央のスレートS2との間であって、ビス19が打ち込まれる部分の周囲には、防水シートP2が敷設されている。
防水シートP1,P2は、例えば、金属性材料との馴染みがよいブチルシートなどで構成されている。これにより、ビス19の周囲の防水が図られる。
ビス19は、取付プレート10を屋根下地R1に固定する固定具である。ビス19は、上から順番に、取付プレート10(挿入部11)、防水シートP2、中央のスレートS2、スペーサ50、防水シートP1、を貫通して屋根下地R1に螺合している。なお、ビス19は、スレートSを屋根下地R1に釘打ち固定するための釘孔(図示せず)や、隣接するスレートS同士の目地部等を利用して、スレートS2を貫通している。
図6は、中央のスレートの上に取付プレートと発泡シートを設置した状態を示した平面図である。
発泡シート60は、中央のスレートS2と上側のスレートS3(図5参照)の間の隙間を塞ぐ部材であり、例えば発泡ウレタンなどの発泡性樹脂材料で構成されている。発泡シート60は、図6に示すように、取付プレート10の挿入部11を左右に跨ぐようにして、中央のスレートS2の上に配置されている。発泡シート60は、上側のスレートS3に押圧されることで、取付プレート10の挿入部11や防水シートP2の表面形状に馴染むように変形して隙間を塞ぎ、雨水等の浸入を抑制する(図3参照)。
本実施形態に係るソーラーシステム1の取付構造及び取付プレート10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次に、ソーラーシステム1の取付構造の施工方法について説明する。
図7は、ソーラーシステムの取付構造の施工手順を3段階に分けて説明するための説明図であり、(a)は第1段階の断面図、(b)は第2段階の断面図、(c)は第3段階の断面図である。図8は、ソーラーシステムの取付構造の施工手順を3段階に分けて説明するための説明図であり、(a)は第1段階の平面図、(b)は第2段階の平面図、(c)は第3段階の平面図である。
第1段階では、図7(a)、図8(a)に示すように、面材R2の上に防水シートP1を敷設し、さらに防水シートP1の上に下側のスレートS1とスペーサ50とを設置する。
第2段階では、図7(b)、図8(b)に示すように、まず、スペーサ50と下側のスレートS1の上に、中央のスレートS2を敷設する。このとき、下側のスレートS1の水下側の端部が露出するように、中央のスレートS2を水上側にずらして設置する。また、図8(b)に示すように、左右端部の目地がずれるように、下側のスレートS2に対して、中央のスレートS2を左右方向にずらして設置する。
次に、中央のスレートS2の上に防水シートP2を敷設し、防水シートP2の上に取付プレート10を設置する。このとき、取付プレート10の係合部13を、中央のスレートS2の水上側の端部に引っ掛けることにより、取付プレート10の滑落を防止することができる。
次に、取付プレート10をビス19で屋根下地R1に固定する。より詳しくは、取付プレート10の挿入部11に設けたビス孔11a(図4(a)参照)にビス19をあてがい、電動ドライバなどの工具を用いて屋根下地R1に向けてビス19をもみ込むことで、防水シートP2、中央のスレートS2、スペーサ50、防水シートP1、をこの順序で貫通させて、ビス19を屋根下地R1に貫入させる。このとき、中央のスレートS2の下側にスペーサ50が配置されているので、中央のスレートS2が凹んだり割れたりすることを抑制できる。
なお、ビス19は、図8(b)に示すように、隣接する中央のスレートS2同士の目地部を貫通するように設置するのがよい。
第3段階では、図7(c)、図8(c)に示すように、発泡シート60を、取付プレート10の挿入部11を左右に跨ぐようにして、中央のスレートS2の上に配置する。そして、発泡シート60の上に上側のスレートS3を設置する。これにより、上側のスレートS3と中央のスレートS2との間の隙間が発泡シート60によって塞がれることになる。
その後、図2に示すように、取付プレート10の取付部12に下地フレーム3をボルトB及びナットNで締結し、下地フレーム3にソーラー発電パネル2を固定金具4で固定することによって、ソーラーシステム1の取付構造が完成する。
続いて、本実施形態に係るソーラーシステム1の取付構造及び取付プレート10の作用効果について説明する。
本実施形態に係るソーラーシステム1の取付構造によれば、3枚のスレートS1,S2,S3のうちの上側のスレートS3と中央のスレートS2の間に、取付プレート10の挿入部11が挿入されるとともに、下側のスレートS2と屋根下地R1との間にスペーサ50が設置され、この挿入部11と中央のスレートS2とスペーサ50とを貫通するビス19によって取付プレート10が屋根下地R1に固定されるので、スレートSに開口部や切り欠き部を形成する必要がなく、取付プレート10を屋根下地R1に容易に固定することができる。
また、このような構成によれば、取付プレート10の取付部12に取り付けられたソーラーシステム1が風圧によって浮き上がり力を受けて、挿入部11のうちビス19が貫入されている部分に曲げモーメントが生じ、中央のスレートS2に下向きの反力が作用した場合に、中央のスレートS2と屋根下地R1との間にスペーサ50が設置されているので、中央のスレートS2が沈み込んだり破損したりすることがない。そのため、ソーラーシステム1を安定して支持することができる。
また、本実施形態に係るソーラーシステム1の取付構造によれば、中央のスレートS2の下側に微弾性を有する独立発泡体からなるスペーサ50を備えるとともに、スペーサ50のさらに下側にブチルシート等で構成された防水シートP1を備えているので、ビス19などの固定具による貫通部の防水性能をより確実にすることができる。
また、本実施形態に係るソーラーシステム1の取付構造は、立ち上り部14によって延出部15を上方に配置することができるので、中央のスレートS2と延出部15との間にボルトBの頭部を収容する空間を形成することができる。また、延出部15は、上側のスレートS3よりも上方に配置されているので、ソーラーシステム1(より詳しくは下地フレーム3)を延出部15に固定したときに、ソーラーシステム1と上側のスレートS3とが接触することを防止することができる。
また、本実施形態に係るソーラーシステム1の取付構造は、挿入部11から取付部12(より詳しくは立ち上り部14)に亘って突設されたリブ11bを有しているので、ソーラーシステム1が風圧によって浮き上がり力を受けて、取付プレート10に曲げモーメントが作用した場合に、リブ11bによって挿入部11と取付部12の剛性を高めることで、両者の変形を抑制することができる。これにより、ソーラーシステム1を安定して支持することができる。
また、本実施形態に係るソーラーシステム1の取付構造は、リブ11bが、挿入部11のビス孔11aよりも水上側まで延設されているので、固定部であるビス孔11a付近に大きな曲げモーメントが作用した場合でも、挿入部11の変形を抑制することができる。
また、本実施形態に係るソーラーシステム1の取付構造は、取付プレート10を設置する際に、中央のスレートS2の水上側の端部に係合部13を引っ掛けることができるので、取付プレート10を仮止めしなくても滑り落ちることがない。そのため、傾斜した屋根R上での施工作業が容易になる。
また、本実施形態に係るソーラーシステム1の取付構造は、挿入部11を跨いで中央のスレートS2の上に配置され、上側のスレートS3と中央のスレートS2との隙間を塞ぐ発泡シート60をさらに備えているので、風によって吹き上げられた雨水等が上側のスレートS3と中央のスレートS2との隙間に入り込むことを抑制することができる。
つづいて、変形例に係るソーラーシステム1の取付構造について、図9を参照して説明する。説明において、前記した実施形態と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図9は、変形例に係るソーラーシステムの取付構造の断面図である。
変形例に係るソーラーシステム1の取付構造は、取付プレート10Aの構造が前記した実施形態と異なっている。
具体的には、取付プレート10Aは、取付部12からさらに水下側に延出して中央のスレートS2の上面に当接する当接部17を有している。
当接部17は、取付部12(より詳しくは延出部15)の水下側の端部から立ち下がる立ち下り部17aと、第2のビス19Aによって屋根下地R1に固定される固定部17bと、を有している。
中央のスレートS2と固定部17bとの間には、防水シートP2Aが配置されている。また、下側のスレートS1と屋根下地R1との間であって、第2のビス19Aが貫入される部分には、第2のスペーサ50Aが設置されている。第2のスペーサ50Aと屋根下地R1との間には、防水シートP1Aが設置されている。防水シートP1Aは、前記したスペーサ50(以下、「第1のスペーサ50」という場合がある。)の下に敷設した防水シートP1と一体に構成されている。第2のビス19Aは、固定部17bと防水シートP2Aと中央のスレートS2下側のスレートS1と第2のスペーサ50Aと防水シートP1Aと、を貫通して、屋根下地R1に螺合している。
変形例に係るソーラーシステム1の取付構造によれば、取付プレート10Aが、中央のスレートS2に当接して屋根下地R1に固定される当接部17(固定部17b)を有しているので、取付部12を水上と水下の両側から支持することができる。これにより、前記した実施形態の片持ち支持となる取付プレート10(図2参照)に比較して、取付プレート10Aの支持剛性を飛躍的に向上させることができる。
図10は、変形例に係るスペーサ及び防水シートの斜視図である。
図10(a)に示すように、第1のスペーサ50と第2のスペーサ50Aは、互いに間隔を空けた状態で、一枚の防水シートP1Bの水上側と水下側に設置されている。なお、防水シートP1Bの水上側が前記した防水シート50を構成し、防水シートP1Bの水下側が前記した防水シートP1Aを構成している。
このように、第1のスペーサ50と第2のスペーサ50Aを、防水シートP1Bで一体化すると、第1のスペーサ50と第2のスペーサ50Aとの位置関係がずれることがない。そのため、第1のスペーサ50及び第2のスペーサ50Aを、スレートS及び取付プレート10Aに対して的確な位置に設置することができる。
なお、図10(b)に示すように、第2のスペーサ50A’を水上側に延長して第1のスペーサ50に連続するように構成してもよい。このようにすれば、下側のスレートS1と屋根下地R1との間の空間(図9参照)をすべて塞いで、固定部17bの支持剛性を高めることができる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、取付プレート10はリブ11bを有しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、取付プレート10の剛性に応じてリブ11bを適宜省略してもよい。同様に、取付部12の補強壁16も省略可能である。
また、本実施形態では、取付プレート10で下地フレーム3を支持する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、取付プレート10でソーラー発電パネル2を直接支持する構成としてもよい。
また、本実施形態では、挿入部11の水上側の端部に係合部13を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、係合部13を省略してもよい。また、いわゆる防水ワッシャ(図示せず)などによって、ビス19の周囲の防水を図るとなおよい。また、変形例のビス19Aについては、取付部12にボルトBを留め付ける際に、ビス19Aの周囲をカバーするカバー部材(図示せず)などを同時に留め付けることで、ビス19Aの防水性を向上させるとなおよい。
1 ソーラーシステム
2 ソーラー発電パネル
3 下地フレーム
4 固定金具
10 取付プレート
10A 取付プレート
11 挿入部
11a ビス孔
11b リブ
12 取付部
13 係合部
14 立ち上り部
15 延出部
15a 貫通孔
16 補強壁
19 ビス
50 スペーサ
60 発泡シート
P1 防水シート
P2 防水シート
R 屋根
R1 屋根下地
S1 スレート
S2 スレート
S3 スレート

Claims (11)

  1. 傾斜した屋根にソーラーシステムを取り付けるためのソーラーシステムの取付構造であって、
    水下側の端部が露出するようにずらしながら屋根下地上に互いに重ねて配置された少なくとも3枚の被覆材と、
    上側の前記被覆材と中央の前記被覆材の間に挿入された挿入部と上側の前記被覆材の水下側の端部から突出して前記ソーラーシステムに取り付けられた取付部とを有する取付プレートと、
    中央の前記被覆材と前記屋根下地との間であって下側の前記被覆材の水上側に配置されたスペーサと、を備え、
    前記挿入部は、当該挿入部と中央の前記被覆材と前記スペーサとを貫通する固定具によって前記屋根下地に固定されていることを特徴とするソーラーシステムの取付構造。
  2. 前記取付部は、前記挿入部の水下側の端部から立ち上がる立ち上り部と、前記立ち上り部の上端から水下側に延出する延出部と、を備えてなり、
    前記延出部は、前記ソーラーシステムの固定具を挿通するための貫通孔を有することを特徴とする請求項1に記載のソーラーシステムの取付構造。
  3. 前記取付プレートは、前記挿入部から前記取付部に亘って突設されたリブを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のソーラーシステムの取付構造。
  4. 前記取付プレートは、前記挿入部の水上側から下向きに突出して中央の前記被覆材の水上側の端部に係合する係合部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のソーラーシステムの取付構造。
  5. 前記挿入部を跨いで中央の前記被覆材の上に配置され、上側の前記被覆材と中央の前記被覆材との隙間を塞ぐ発泡シートをさらに備えることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のソーラーシステムの取付構造。
  6. 前記取付プレートは、前記取付部からさらに水下側に延出して中央の前記被覆材の上面に当接する当接部を有し、
    下側の前記被覆材と前記屋根下地の間には、他のスペーサが設置され、
    前記当接部は、当該当接部と、中央の前記被覆材と、下側の前記被覆材と、前記他のスペーサと、を貫通する他の固定具によって前記屋根下地に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のソーラーシステムの取付構造。
  7. 水下側の端部が露出するようにずらしながら傾斜した屋根下地上に互いに重ねて配置された少なくとも3枚の被覆材を備える屋根にソーラーシステムを取り付けるための取付プレートであって、
    上側の前記被覆材と中央の前記被覆材の間に挿入される挿入部と、上側の前記被覆材の水下側の端部から突出して前記ソーラーシステムに取り付けられる取付部と、を有し、
    前記挿入部は、当該挿入部と、中央の前記被覆材と、中央の前記被覆材と前記屋根下地との間であって下側の前記被覆材の水上側に配置されたスペーサと、を貫通する固定具によって前記屋根下地に固定されることを特徴とする取付プレート。
  8. 前記取付部は、前記挿入部の水下側の端部から立ち上がる立ち上り部と、前記立ち上り部の上端から水下側に延出する延出部と、を備えてなり、
    前記延出部は、前記ソーラーシステムの固定具を挿通するための貫通孔を有することを特徴とする請求項7に記載の取付プレート。
  9. 前記挿入部から前記取付部に亘って突設されたリブをさらに有することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の取付プレート。
  10. 前記挿入部の水上側から下向きに突出して中央の前記被覆材の水上側の端部に係合する係合部をさらに有することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の取付プレート。
  11. 前記取付部からさらに水下側に延出して中央の前記被覆材の上面に当接する当接部をさらに有し、
    前記当接部は、当該当接部と、中央の前記被覆材と、下側の前記被覆材と、下側の前記被覆材と前記屋根下地の間に設置された他のスペーサと、を貫通する他の固定具によって前記屋根下地に固定されることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の取付プレート。
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