JP5718628B2 - 塗布具用チップ及び塗布具 - Google Patents
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Description
また粘度の低いインキを使用する場合には、筆記用ボールは、回転することによってインキを排出する機能も果たす。
そこで筆記用ボールとは別に複数の支持ボールをボールハウスに収納し、複数の支持ボールで筆記用ボールを支持して筆記用ボールの回転を円滑に行わしめる構成が特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示された構成は、ボールハウスの先端開口部分に筆記用ボールを配置し、筆記用ボールとボールハウスの底面との間に3個の支持ボールを配している。そして前記したボールハウスの底面には、円弧状の凹曲部が設けられている。
特に、ボールハウス内にはインキが存在するので、支持ボールが公転するには、支持ボールが進路の前方にあるインキを押し退ける必要があり、筆記用ボールの回転をさらに重くしている。
従ってボールペンを紙等に押し当てて線を描く際、早い速度でボールペンを移動されると、内部の支持ボールの公転が追従できず、筆記用ボールの回転速度が低下したり、回転が停止してしまう。
そのため筆記時に筆記用ボールの回転速度が低下すると、インキの粘度が低下せず、先端開口からのインキの排出が悪くなる。その結果、筆記時にインキがかすれる。
ただし、本発明で採用する後方ボールは、ボールハウス内で回転可能であるから、書きはじめの衝撃的な筆記用ボールの動作や、筆記用ボールと後方ボールとがボールハウス内で浮遊状態となる様な特殊な状況下においては、後方ボールがボールハウス内で僅かに回転する。そのため後方ボールの筆記用ボールに対する接触位置が適度に入れ代わる。そのため後方ボールが局部的に磨耗することはない。
本発明で採用する後方ボールは、表面粗さが小さく、平滑度が高い。そのため筆記用ボールと後方ボールとの接触が理想的な点接触状態となる。
筆記用ボールと後方ボールは機能が異なる。即ち筆記用ボールは回転させるものであり、後方ボールは回転させない。そのため筆記用ボールの直径や、ボールハウスとの隙間は、機能に応じて異なるものであることが望ましい。
チップ本体11は、快削鋼等の金属材料を切削加工して作られている。チップ本体11の材料は、他に例えば快削ステンレス鋼(Free Cutting Stainless Steel)や真鍮を用いることが可能である。
チップ本体11の外形形状は、先端部分17が円錐形をしており、後側18は円柱状をしている。また後端側の部位には段差19が設けられており、段差19よりも更に後端側はやや小径に作られている。
ボールペンチップの内部の概略形状は、先端部分に2個のボール(筆記用ボール10及び後方ボール50)を収納するボールハウス51がある。ボールハウス51の先端には開口55がある。またボールハウス51から後端側に連通するインキ導通孔(塗布液導入路)12が設けられている。
またインキ導通孔12の後端開口の近傍部分に弁受け56が形成されている。
ボールハウス51の詳細は図2,3の通りである。即ちボールハウス51は、端部が開放された凹形状であり、円筒壁41を持つ。また開口55の開放端は、ややかしめられていて窄んでいる。
またボールハウス51の開放側に対向する部位には、座面45が設けられている。座面45は、円錐面であり、中央の孔46に収斂し、インキ導通孔12と連通している。
また座面45には十字の放射状に延びる溝49が設けられている。前記した溝49は矢溝と称されるものである。
即ちボールハウス51の開放側は、筆記用ボール収納室40として機能するものである。
一方、ボールハウス51の座面45は、後方ボール収納室52として機能するものであり、前記した筆記用ボール収納室40に比べて内径が小さい。即ち本実施形態では、ボールハウス51内に内径が異なる部分があり、先端側(開放側)の内径が大きく、座面45側の内径が小さい。
また筆記用ボール10の素材は特に限定がなく、ステンレススチールやアルミナ焼結体、ジルコニア、SiC、WCその他公知のものが使用できる。
ただし筆記用ボール10の素材は、金属又はセラミックであることが望ましい。最も推奨される筆記用ボール10の素材は、焼結金属である。
なお表面粗さは、測定装置として(株)キーエンス社製超深度形状測定顕微鏡VK−8500を用いて測定した表面粗さRa(算術平均粗さ)である。
即ち筆記用ボール10と後方ボール50は直列に配置されており、ボールハウス51の先端側たる筆記用ボール収納室40に筆記用ボール10があり、その後方たる後方ボール収納室52に後方ボール50が配されている。
そして前記した様に筆記用ボール10は、その一部がボール収納室40の開口から露出している。
後方ボール50はボールハウス51の座面45と接している。また後方ボール50の座面45との接触部に対して反対側の部位では、筆記用ボール10と点接触している。
また水性インキ30としてガラスフレーク顔料を含有する光輝性の水性インキ30を採用することもできる。
本実施形態で用いた水性インキ30の粘度は1000〜10000mPa・sである(株式会社トキメック製ELD型粘度計 3度R14コーン、回転数:0.5rpm、摂氏20度)。水性インキ30の後端部分は、ポリブテン等のゲル状封止剤(図示せず)により封止されている。
また筆記用ボール10とボールハウス51との大きさ関係は、筆記用ボール10が自由に回転できる関係である。
そのため筆記用ボール10を紙等に接触させ、ボールペン1を移動させると、筆記用ボール10は後方との接触面積が小さいために円滑に回転する。また後方ボール50は、筆記時に回転しないから、筆記時の筆圧の変化によって、筆記用ボール10の回転状態が変わることはない。
そのため筆記用ボール10の回転はなめらかであり書き味がよい。
以上説明した実施形態では、後方ボールが、筆記用ボールよりも直径が小さい構成としたが、両者は同一の直径であってもよく、逆に後方ボールの方が大きくてもよい。
以上説明した実施形態の、ボールペン1は、水性ボールペンであるが、油性ボールペンにも本発明を適用することができる。
さらに以上説明した実施形態は、ボールペン1に本発明を適用したものであるが、インキ収納管7にインキに代わって修正液や液状接着剤を収納することにより、修正液を塗布する器具として使用することもできる。
5 ボールペンチップ
7 インキ収納管(インキ収納部)
10 筆記用ボール
11 チップ本体
12 インキ導通孔(塗布液導入路)
45 座面
49 溝
50 後方ボール
51 ボールハウス
55 開口
Claims (6)
- チップ本体と、筆記用ボールと、後方ボールとを有し、チップ本体は、先端に開口を有すると共に座面部を有するボールハウスと、当該ボールハウスに連通する塗布液導入路を有し、筆記用ボールと後方ボールとは前記チップ本体のボールハウスに内蔵され、前記2個のボールは塗布具用チップの軸線方向に直列状に並び、筆記用ボールはその一部が前記開口から露出し、後方ボールは、筆記用ボールに直接接触すると共に座面部に接触し、筆記用ボールはボールハウス内で回転可能であって塗布時に被塗布面と接触して回転し、後方ボールはボールハウス内で回転可能であるが塗布時における筆記用ボールの回転によっては実質的に回転せず、筆記用ボールは、金属製又はセラミック製であり、後方ボールは筆記用ボールに対して固体潤滑性を有する樹脂製であり、後方ボールの表面粗さは、JIS B0601−1994準拠の算術平均粗さにおいて1.0未満であり、後方ボールの表面は鏡面状であり、
前記ハウジング内における後方ボールの自由度が、筆記用ボールの自由度よりも低いことを特徴とする塗布具用チップ。 - 筆記用ボールの直径と後方ボールの直径が相違することを特徴とする請求項1に記載の塗布具用チップ。
- ボールハウスの筆記用ボールが収容される部位の内径と、ボールハウスの後方ボールが収容される部位の内径とが相違することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布具用チップ。
- 筆記用ボールの直径は、1mm未満であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の塗布具用チップ。
- ボールハウスには、後方ボールが当接する座面部があり、当該座面部には溝が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の塗布具用チップ。
- インキが貯留されたインキ貯留部を有し、当該インキ貯留部に請求項1乃至5のいずれか1項に記載の塗布具用チップが接続されてなる塗布具。
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