JPH06336098A - ボールペン型塗布具用チップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目 的】中・高粘度のインキを使用するインキフリー
式ボールペン、インキ加圧式ボールペン、修正液、ペイ
ントマーカー等の事務用品、塗料、消炎剤、減菌剤等医
療外用薬、アイライナー、白髪染め等の化粧品その他の
塗布具に使用するとき、ボール先端部における密閉が完
全で、液体洩れ、液体の吹き出しがない低コストのボー
ルペン型塗布具用チップを提供する。 【構 成】金属パイプの先端を絞り、ついで硬質ボール
をパイプに挿入して絞り部に当接させ、硬質ボールに弾
性体先端を当接させてストッパーで後退を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】本発明はボールペン型塗布具用チ
ップに関する。さらに詳しくは金属パイプ内に硬質ボー
ルを収容し、金属パイプ先端の絞り部に硬質ボールを密
着させて、完全な内面シールができ、インキ加圧式ボー
ルペン、中高粘度インキ（いわゆるゲルインキ）を使用
するインキフリー式ボールペン、修正液塗布具に便宜に
使用でき、併せてペイント、ワニス等の塗料、サリチル
酸メチルエステルを主成分とする消炎剤溶液、ヨードチ
ンキを主成分とする減菌剤溶液等の医療外用薬、或いは
アイライナー、白髪染等の化粧品等の塗布具にも使用で
きるボールペン型塗布具用チップに関する。

【従来の技術】最近中高粘度のインキ（いわゆるゲルイ
ンキ）を収容し、毛管現象によりインキを吸蔵するイン
キ吸蔵体、およびボールペン先へインキ吸蔵体より毛管
現象によりインキを誘導する中継芯を使用しないいわゆ
るインキフリー式ボールペンが構造簡単、部品点数少
数、組み立て工程簡略で、コスト低廉に連なるものとし
てその生産が増大している。またペイントマーカー、修
正液等の事務用品、ペイント、ワニス等の塗料、消炎剤
溶液、減菌剤溶液等の医療外用薬、アイライナー、白髪
染等の化粧品等の塗布具にも上記インキフリー式ボール
ペンと同一構造のものが多く使用されている。前記イン
キフリー式ボールペンに、高粘度油性インキ使用のボー
ルペン、インキ吸蔵体使用のボールペンのボールペン用
チップを使用するとインキの洩れ、吹き出しを生じるの
で、これを防ぐために、チップ先端の硬質ボールに密着
するゴム部材を内部に設けたキャップをボールペンに嵌
挿し、あるいはホットメルト接着剤のような高分子組成
物でチップ先端部を被覆する等の外面シールの構成を使
用していた。前期ゴム部材を内部に設けたキャップは構
造複雑でコスト高となるし、高分子組成物でチップを被
覆する方法は、ボールペンが使用者の手に渡り筆記を開
始するともやインキの洩れ、吹き出しを防ぐことができ
ないという問題点があった。前記の課題を解決するた
め、出願人はボール孔に装着した硬質ボールを弾性体で
弾支し、硬質ボールをボール孔開口部内周縁に密着さ
せ、内面シールができるボールペン用チップを開発し、
平成５年４月８日付で特許出願した。上記出願の発明の
ボール用ペンチップを使用したボールペンでは、強い筆
圧が加わった場合、ボールが後退しすぎてインキが過剰
に流出し筆跡の濃度、線巾が大きくなりすぎることがあ
り、ストッパーを設けて硬質ボールの後退を一定距離に
抑制し、この問題を解決して平成５年４月２６日付けで
特許出願した。

【発明が解決しようとする課題】前記、出願中の２発明
のボールペン用チップはボールペン用チップとしての品
質は満足すべきものであるが、チップ本体の成形、硬質
ボール、弾性体のチップ本体への挿入、固定に手数を要
し、さらに工程が簡単で量産可能で、コスト低廉なボー
ルペン用チップの出現が望まれていた。また上記ボール
ペン用チップはインキフリー型ボールペン以外の前記塗
料、事務用品、医療外用薬、化粧品等の塗布具にも応用
できるに抱らず、前記２件の発明の明細書中にはインキ
フリー型ボールペン以外の用途に使用することに言及し
ていなかった。

【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
め、本発明では円筒状金属パイプの先端を中心方向に向
け漸次小径として絞り部を設け、絞り部内周に硬質ボー
ルを当接させ、硬質ボールを弾性体で弾支し、弾性体が
後退しないよう該金属パイプの適所にストッパーを設け
て、絞り部に硬質ボールを密着させた。請求項２の発明
では、弾性体が硬質ボールより小径の球体であり、金属
パイプ内周の弾性体の中心の高さに垂直方向にリブを突
設した。請求書３の発明では、請求項２の発明に加えて
リブの先端が硬質ボールが一定距離以上後退することを
防ぐストッパーとした。請求項４の発明では、弾性体を
弾性材層を被覆した小径の硬質ボールとした。請求項５
の発明では弾性体が短い大径の硬質部材と長い小径の軟
質部材よりなり、硬質部材が一定距離以上後退すること
を防ぐストッパーを設け、かつ軟質部材を係止するスト
ッパーを設けた。請求項６の発明では、請求項５の発明
に加えて硬質部材および軟質部材の断面がそれぞれ非円
形で、硬質部材および軟質部材と金属パイプ内周間にイ
ンキ通路を形成した。

【実施例】以下に本発明をインキフリー型ボールペンを
例として詳細に説明する。第一実施例を示す図１におい
て、Ａは軸筒、Ｂはボールペン型塗布具用チップ、Ｃは
尾栓で、軸筒Ａは金属製又は合成樹脂製の筒体で、その
先端にボールペン型塗布具用チップＢを、末端に尾栓Ｃ
をそれぞれ密嵌し、軸筒内部にはボールペン用インキを
収容している。ボールペン型塗布具用チップＢは、ステ
ンレス鋼の円筒状パイプを適当長に裁断し、チップ用の
金属パイプ１とし、先端を中心方向に向け漸次小径とし
て絞り部２とし、末端より硬質ボール３を挿入して絞り
部２内周に当接させ、ついで硬質ボール３よりやや小径
の球状の弾性体４を挿入して硬質ボール３に当接させ、
当接した状態を保持するよう金属パイプ１の外周の複数
個所（図１では３ヶ所）を押圧してストッパー５を形成
する。上記それぞれの方法はそれぞれ公知の技術である
ので詳しい説明は省略する。この実施例では絞り部２を
形成してから硬質ボール５を挿入したが、金属パイプ１
先端に治具を当接した後硬質ボール５を挿入し、絞り部
２を形成してもよい。また弾性体４を球状としたが円筒
体等適当な形状であっても同一効果を期待することがで
きる。第２実施例を示す図２において、弾性体４２を硬
質ボール３よりやや小径の球体とし、弾性体４２の中心
部付近の周囲を金属パイプ１の内周より垂直方向に突設
した複数個の平行するリブ８で挟持している。このリブ
８は弾性体４２の揺動を防ぎ、かつ直径が大きくなって
インキ流通を妨げることも防いでる。またリブ８の先端
は硬質ボール３の受部９となる面であって、筆記時筆圧
によって硬質ボール３が後退するとき、距離ｄ後退する
と受部９に当接し、その後はもはや後退しないので、硬
質ボール３と絞り部２内周間の隙間は一定以上大きくな
らない。第３の実施例を示す図３において、弾性体４３
を硬質ボール３よりやや小径で、弾性材層４３Ａで被覆
した硬質ボール４３Ｂよりなる球状としている。この実
施例では、筆記時筆圧によって硬質ボール３が後退する
とき、弾性材層４３Ａは若干厚みを減少して偏平となる
が、中心は硬質ボール４３Ｂであるので、一定厚み以下
とはならず、硬質ボール３と絞り部２内周間の隙間は一
定以上大きくならない。第４実施例を示す図４及至図６
において、弾性体４４が硬質ボール３の外形にほぼ一致
する形状のボール受部を有する短い大径の硬質部材４４
Ａおよび長い小径の軟質部材４４Ｂよりなっていて両部
材は接着されて一体となっている。そして硬質部材４４
Ａの下部に相当する金属パイプの位置に複数個のスット
パー５を設けている。 硬質部材４４Ａ下端及びストッ
パー５間には一定距離ｄを設け、筆記時筆圧によって硬
質ボール３が後退するとき、距離ｄ後退すると、硬質部
材４４Ａはもはや後退を停止するので、硬質ボール３も
距離ｄ以上は後退せず、硬質ボール３と絞り部２内周間
の隙間は一定以上大きくならない。このボール３の後退
するとき、軟質部材４４Ｂは圧縮され距離ｄだけ短くな
る。また金属パイプ１の軟質部材４４Ｂの下部に該当す
る位置に複数個の切込みを刻設し、中心方向に折曲げて
ストッパー１０を形成している。硬質部材４４Ａおよび
軟質部材４４Ｂの断面は図６に示すように梅形、八角形
等の非円形とし、断面円形の金属パイプ１内周間にイン
キ通路１１を形成する。弾性体４４は硬質樹脂および軟
質樹脂を同時に射出して成形する方法で製造できるが、
金属パイプ１内の絞り部２に硬質ボール３を当接した
後、弾性体４４の外形と一致する形状の金型を金属パイ
プ１の末端より挿入してインサート成形により２種の樹
脂を同時に射出して成形すればボールペン型塗布具用チ
ップの製造がきわめて簡単となり便利である。

【発明の効果】この発明のボールペン型塗布具用チップ
では、弾性体が硬質ボールを弾支し、硬質ボールが金属
パイプ先端の絞り部の内周に密着して、両者間を完全に
密閉する。いわゆる内面シールが完全である。従って近
時大量に出回っている中・高粘度インキ（いわゆるゲル
インキ）を使用するインキフリー式ボールペンに使用し
たとき、ペンの保存中インキが洩れ出したり、吹き出し
たり、インキの溶剤成分の気散により生ずるかすれや筆
記不良が起こらない。またペンに落下、振盪等の衝撃が
加わっても、高山のような気圧の低い環境にあってもイ
ンキ洩れ、吹き出しがなく、指を汚す、筆記面を汚す等
の事故はない。この利点は通常の水性インキを使用する
ボールペン、キャップレス式ボールペン、修正液を使用
するボールペンの場合も同様である。さらに加圧インキ
を使用するボールペンに使用しても加圧ガスによるイン
キ洩れ、吹き出しがない。そしてこのボールペンで筆記
中に大きい筆圧が硬質ボールに加わったとき、硬質ボー
ルは後退するのでその筆圧は弾性体に伝達されるが、 （１）第２の実施例の場合、硬質ボールが距離ｄだけ後
退するとリブがストッパーに当接し、もはや後退しない
ので、硬質ボールと金属パイプの絞り部内周間の距離は
一定以上に大きくならない。 （２）第３実施例の場合、弾性体の弾性材層は筆圧を受
けて若干扁平に変形するが、その内部は硬質ボールであ
るから、一定距離だけ変形すればもはや変形しないの
で、硬質ボールと金属パイプの絞り部内周間の距離は一
定以上に大きくならない。即ち弾性体はストッパーの機
能も果たす。 （３）第４の実施例の場合、硬質部材が距離ｄだけ後退
するとストッパーに当接し、もはや後退しないので、硬
質ボールと金属パイプの絞り部内周間の距離は一定以上
に大きくならない。このとき軟質部材は距離ｄだけ短く
なり、硬質ボールを先端方向に付勢する。従って筆記中
硬質ボールに大きい筆圧が加わってもインキの流出量が
過剰となって筆跡の線巾が大きくなり、あるいは濃度が
大となることはない。さらに構造が簡単、部品点数が少
なく、組立工数も短縮され量産可能で低コストとなる利
点もある。この発明のボールペン型塗布具用チップを前
記インキーフリー型ボールペン以外の、事務用品、塗
料、医療外用薬、化粧品等のボールペン型塗布具に使用
しても、保存中塗布液が洩れ出したり、吹き出したり、
塗布液の溶剤成分の気散により生ずるかすれや塗布むら
が起こらないし、衝撃が加わっても気圧の低い環境にあ
っても塗布液の洩れ、吹き出しがなく身体、衣服等を汚
すことはない。また強い力を加えて塗布しても塗布液の
流出が均一で塗布むらを起こすことはない。又、低コス
トとなることも同様である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 第１実施例のボールペン型塗布具用チップを
装着したボールペンの縦断面図。

【図２】 第２実施例のボールペン型塗布具用チップの
縦断面図。

【図３】 第３実施例のボールペン型塗布具用チップの
縦断面図。

【図４】 第４実施例のボールペン型塗布具用チップの
縦断面図。

【図５】 第４実施例のボールペン型塗布具用チップの
正面図。

【図６】

【図４】のＸ−Ｘ横断面図。

【符号の説明】

Ａ 軸筒 Ｂ ボールペン型塗布具用チップ Ｃ 尾栓 １ 金属パイプ ２ 絞り部 ３ 硬質ボール ４、４２、４３、４４ 弾性体 ４３Ａ 弾性体層 ４３Ｂ 硬質ボール ４４Ａ 硬質部材 ４４Ｂ 軟質部材 ５ ストッパー ８ リブ ９ 受部 １０ ストッパー １１ 塗布液（インキ）通路

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒状金属パイプ１の先端を中心方向に
   向け漸次小径として絞り部２を設け、絞り部２内周に硬
   質ボール３を当接させ、硬質ボール３を弾性体４で弾支
   し、弾性体４が後退しないよう該金属パイプの適所にス
   トッパー５を設けて、絞り部２に硬質ボール３を密着さ
   せることを特徴とするボールベン型塗布具用チップ。
2. 【請求項２】 弾性体４２が硬質ボール３より小径の球
   体であり、金属パイプ１内周の弾性体４２の中心の高さ
   に垂直方向にリブ８を突設した請求項１のボールペン型
   塗布具用チップ。
3. 【請求項３】 リブ８の先端が硬質ボール３が一定距離
   以上後退することを防ぐストッパー９である請求項２の
   ボールペン型塗布具用チップ。
4. 【請求項４】 弾性体４３が弾性材層４３Ａを被覆した
   小径の硬質ボール４３Ｂである請求項１のボールペン型
   塗布具用チップ。
5. 【請求項５】 弾性体４４が短い大径の硬質部材４４Ａ
   と長い小径の軟質部材４４Ｂよりなり、硬質部材４４Ａ
   が一定距離以上後退することを防ぐストッパー５を設
   け、かつ軟質部材４４Ｂを係止するストッパー１０を設
   けた請求項１のボールペン型塗布具用チップ。
6. 【請求項６】 硬質部材４４Ａおよび軟質部材４４Ｂの
   断面がそれぞれ非円形で、硬質部材４４Ａおよび軟質部
   材４４Ｂと金属パイプ１内周間にインキ通路１１を形成
   した請求項５のボールペン型塗布具用チップ。