JP5717110B2 - 単粒化した鉄粉被覆稲種子の製造方法 - Google Patents

単粒化した鉄粉被覆稲種子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、稲の湛水直播栽培において使用する鉄粉被覆稲種子を製造する技術に関する。詳しくは、鉄粉の酸化により結着した鉄粉被覆稲種子の塊の発生を回避し、単粒化した鉄粉被覆稲種子を製造する技術に関する。
・鉄コーティングによる湛水直播栽培技術
稲作の省力、低コスト化、規模拡大化、米生産費の削減等の目的のため、移植栽培から直播栽培への変換が求められている。直播には乾田直播と湛水直播があるが、移植から直播への変換においては湛水直播が重要であり、アメリカ、オーストラリア、及びアジア等において様々な栽培形態で実施されている。湛水直播は水田において実施されるため、播いた稲種子が発芽生育中に水中で浮き上がり、苗立ち(播いた種子が発芽して根を伸張し、活着すること)に失敗しやすい問題がある。この問題を解決する栽培手法の一つに、種子の比重を高める鉄コーティング湛水直播栽培技術がある(例えば、非特許文献1 参照)。
直播栽培に係る技術分野において鉄粉を利用する技術には、稲種子を酸化鉄粉で被覆する技術が存在し、本技術では、カルボキシメチルセルロースを結合剤として用いる(非特許文献2 参照)。しかし、カルボキシメチルセルロースは水溶性であるため、湛水した水田に播く場合、播種後に水中で鉄粉被覆層が崩壊する問題がある。そのため、当該技術は落水した水田に撒く場合にしか用いることができない技術であった。
そこで、本願出願人は、先に「鉄粉被覆稲種子の製造法(特許文献1 参照)」を開発した。当該特許文献1の方法では、稲種子に対して水をスプレーしながら還元鉄粉で被覆し、塩類の存在下で酸化して、生成する錆を結合剤として、強固な鉄の被覆層をつくる。
具体的には、無処理の乾燥種子、浸種または催芽した種子、またはそれらを乾燥した種子の表面に、還元鉄粉と塩類(塩化物又は硫酸のカルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩)の混合物を、水をスプレーしながら付着させ、内層を形成する。この時、水が一時的な結合剤となる。次に、還元鉄粉で覆われた種子の表面に焼石膏を付着させる処理を行い、外層を形成する。鉄粉被覆層に含まれた水の存在下で、還元鉄粉は酸化されて錆を発生し、固化する。還元鉄粉の酸化に伴い熱が発生するので、種子を損傷しないために放熱する。還元鉄粉が酸化され鉄粉被覆層が形成されたのち、乾燥させることにより、水をなくして酸化反応を停止するとともに、種子の長期の保存性を高める。このような工程を経て鉄粉被覆された種子は、水田に湛水直播した場合でも水中で鉄粉被覆が崩壊しないものとなる。
当該特許文献1の方法にて鉄粉被覆稲種子を製造する方法としては、稲生産者が様々な方法で実施しているが、酸化放熱及び乾燥の工程を(i)自然条件下で実施する方法と(ii)機械化して実施する方法の2方法に大別される(非特許文献1 参照)。
(i) 自然条件下で実施する方法は、還元鉄粉で被覆された稲種子を薄く広げて酸化熱の放熱を促進する方法である。放熱の程度は還元鉄粉で被覆された稲種子を堆積した層の厚さとその時々の気温、湿度、気流などによって決定される。当該方法は、再現性の低い方法であるが、特別の機械を要しないため低コストであり、多くの生産者が使っている方法である。生産者が一般に所有している移植苗生産用の苗箱に薄く広げて、酸化、放熱、及び自然乾燥させる手法が広く使われている。
(ii) 酸化放熱及び乾燥を機械化して実施する方法は、空気循環型乾燥機を活用する方法である。還元鉄粉で被覆された稲種子を通気性のある網袋に詰めたのち、当該乾燥機に入れる。本機の中で、還元鉄粉で被覆された種子は水をスプレーされて酸化し、錆を発生して固まる。この時発生する熱は空気の循環により外部に放熱される。酸化処理が完了した後、種子は熱風乾燥される。
・鉄粉被覆稲種子の複粒化の問題
しかし、当該従来技術で製造された鉄粉被覆稲種子は、造粒工程では単粒であっても、その後の酸化処理の際に凝集して複粒化し甚だしい場合は塊状になる場合もある。複粒化又は複粒塊状化した種子は播種に供せないため、手作業で単粒化することが必要となる。特に、大量製造における複粒化の問題は深刻である。
鉄粉被覆稲種子が酸化工程において複粒塊状化される詳細な機構は不明であるが、本発明者は経験的に水条件が関与していることを見出している。このような複粒塊状化する現象は、瀬戸内海沿岸地帯に比べて、湿度の高い中山間地や日本海沿岸部で鉄粉被覆種子を製造する時に発生しやすい。また、他の地域においても、湿度の高い時や、種子を鉄粉で被覆処理する時にスプレーする水の量が多い条件の時に、複粒塊状化が発生しやすい。
また、鉄粉被覆稲種子の製造において、焼石膏を酸化促進剤として還元鉄粉と混合する。また焼石膏は鉄粉被覆稲種子の外層にも添加している。本発明者は混水量の大きな規格の焼石膏を使う場合、混水量の小さな規格の焼石膏に比べて複粒塊状化現象は小さいことを見出している。そのため、本発明者は非特許文献1を通じて、稲生産者が混水量の大きな規格の焼石膏「睦化学工業製品陶磁器型材用焼石膏A級」を使用することを推奨している。しかし、混水量の大きい焼石膏を用いても複粒塊状化現象を軽減できる程度にとどまっている。
ここで、生産現場での種子の造粒作業は、農家の庭先や倉庫である場合が多い。そのため、種子を鉄粉で被覆処理する際、多くの場合浸漬した種子が使われるため、種子は様々な程度に水を含んだ状態となり一様な状態ではない。
また、種子を鉄粉で被覆する際にスプレーする水の量は、被覆された種子の外観によって判断されるため、添加する水の量は、作業者によって又は同一の作業者であってもその時々によって変動し一様な状態とはなりえない。
このように、鉄粉被覆種子の複粒化には様々な要因が関係しているため、複粒化現象の再現性が低く、効果的な対策を立てることが困難であった。
このような状況を勘案して、本発明者は、水スプレー量を抑えつつ酸化促進のために混水量の多い焼石膏を酸化促進剤として用いて鉄粉被覆種子を製造しているが、このような条件においても、複粒化や複粒塊状化を回避できない。
また、酸化処理の途中で造粒種子を揉み解してシート上等で静置し水分を飛ばすことで、複粒化がやや緩和されることが知られているが、その効果は十分ではない。また、そのための労力が相当である。
複粒化の程度は、塊の大きさとその硬度の点で様々である。軽度の場合では、鉄粉被覆種子が二粒付着した状態であったり、手で握って簡単に崩壊させることが可能な状態(山中式硬度計で計測した硬度:0mm)となる。一方、重度の場合、直径30cmの塊になることもあり、硬度も非常に硬く(山中式硬度計で計測した硬度:25mm)単粒化が難しく、場合によっては単粒化作業によって種子自体が破壊され籾と玄米に分かれてしまうこともある。
特許第4441645号明細書
山内稔著、「鉄コーティング湛水直播マニュアル 2010」、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター、p28、2010年 北野順一、中山幸則、神田幸英、「水稲湛水散播栽培における酸化鉄粉被覆種子の出芽苗立ち」、日本作物学会紀事70巻(別2号)、p71-72、2001年 山内稔、土門正幸、嘉納百樹、藤原逸平著、「鉄コーティング種子の大量製造技術」、近畿中国四国地域における新技術、第7号、2007年(平成19年度)、p22-24、近畿中国四国農業試験研究推進会議および独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構近畿中国四国農業研究センター、ISSN 1348-1169 2008年9月発行
本発明は、上記課題を解決し、湛水直播栽培に好適に施用可能な鉄粉被覆種子を製造するにあたり、種子の複粒化又は複粒塊状化を回避し、単純な操作のみにより単粒化した鉄粉被覆稲種子を高効率で製造できる技術を提供することを課題とする。
まず本発明者らは、複粒化の現象を解析するために単粒率を定義した。すなわち、還元鉄粉で被覆した稲種子を酸化及び乾燥処理した後、製造された鉄粉被覆種子に対する単粒化されている鉄粉被覆種子の重量比である。
複粒化を回避する技術を開発するためには、複粒化の現象を一定の条件下で発生させる必要性がある。多数の資材について比較試験を実施するためには、少量の稲種子について複粒化現象を発生させる必要がある。そこで、様々な処理を施した還元鉄粉被覆稲種子(250g乾籾相当重)をアクリルパイプに詰め、空気循環型乾燥機内に、当該アクリルパイプを垂直に立てて、加湿空気を送風しながら室温にて12時間の酸化処理を行った。
このようにして開発した複粒化を回避する鉄粉被覆稲種子の製造方法を、稲生産者が実際に使っている方法に適用して、その効果を解明した。
ここで、鉄粉被覆種子の製造において造粒時に水を結合剤として使って鉄被覆層を形成するためには、還元鉄粉粒子間隙を水で満たす必要がある。この時、含水量が過小であると鉄粉が剥離する。また、鉄の酸化反応を進行させるためにも水含量を高める必要がある。一方、逆に水含量が過剰であると還元鉄粉被覆層が崩壊しやすくなる。
本発明者らは、鉄粉被覆種子の複粒化は、(i) 鉄粉被覆種子の造粒時において水が過剰に存在し、還元鉄被覆層が崩壊した状態にて鉄粉が酸化して固化する時に発生することを見出した。また、(ii) 水含量が還元鉄被覆層を崩壊させるほど過剰でない場合においても、隣接する種子間の接触点に水、溶質、微粒子が凝縮して鉄粉が酸化して固化した場合には複粒化することを見出した。
そこで、本発明者らは、鉄粉被覆種子の複粒化の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、シリカゲルを還元鉄粉で被覆された種子の外層に添加して造粒することにより、単粒化した鉄粉被覆稲種子を高効率で製造できることを見出した。
当該効果は、シリカゲルが還元鉄粉被覆稲種子間に存在することにより、鉄粉被覆層の水分が過剰になることが防止され、且つ、酸化反応が進行するのに好適な鉄粉被覆層の水含量が維持されるために奏される効果であると認められる(図1 参照)。
本発明は、当該知見に基づいてなされたものである。
[請求項1]に係る本発明は、稲種子, 鉄粉, 及び前記鉄粉100質量部に対して0.5〜35質量部の以下(A)に記載の化合物, に対して水を噴霧して回転混合することで鉄粉被覆層が形成された稲種子を造粒し、;次いでシリカゲルを添加して回転混合することで鉄粉被覆層の外層にシリカゲル被覆層が形成された稲種子を造粒した後、;加湿空気又は水の噴霧により水が供給された状態で前記鉄粉の酸化反応を進行させ、酸化反応により生成した錆により鉄粉を稲種子に付着させ、;乾燥させることを特徴とする、鉄粉被覆種子の製造方法に関するものである。
(A): 硫酸カルシウム, 硫酸カリウム, 硫酸マグネシウム, 塩化カルシウム, 塩化カリウム, 塩化マグネシウム, 又はその水和物, から選ばれる1以上の化合物。
[請求項2]に係る本発明は、前記シリカゲルの平均粒度が2〜300μmのものである、請求項1に記載の鉄粉被覆種子の製造方法に関するものである。
[請求項3]に係る本発明は、前記シリカゲルの平均細孔径が2〜30nmのものである、請求項1又は2に記載の鉄粉被覆種子の製造方法に関するものである。
[請求項4]に係る本発明は、前記シリカゲルを加える操作において、前記鉄粉100質量部に対して1.25〜20質量部のシリカゲルを添加することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の鉄粉被覆種子の製造方法に関するものである。
[請求項5]に係る本発明は、請求項1〜4のいずれかの方法により製造した鉄粉被覆種子に関するものである。
本発明は、稲作の湛水直播栽培に必要な単粒化した鉄粉被覆稲種子を、簡単な操作のみで高効率に製造することを可能とする。これにより本発明は、播種に適さない複粒化又は複粒塊状化した鉄粉被覆種子の発生を大幅に回避することを可能とする。
また、本発明の方法は、低コストで且つ操作者の経験や微調整を要せずに、生産現場の誰もが施用可能な方法である。
また、本発明の方法は、従来技術のように造粒後の揉み解し等の操作が不要であり、造粒種子を静置した状態で酸化放熱後、乾燥処理することが可能となる。とりわけ、大量製造装置(非特許文献3 参照)を用いて大量生産(例えば一度に500kg)するときには、本発明の省力化効果は大きい。
また、本発明は、生産現場への技術移転が容易な技術であるため、稲作の省力、低コスト化、規模拡大化、米生産費の削減等の目的のため湛水直播栽培の導入に大きく貢献する技術となることが期待される。
稲種子に対して内層及び外層被覆して造粒した後、酸化放熱及び乾燥を経て作製した鉄粉被覆種子の断面図である。(A):シリカゲルで外層被覆した鉄粉被覆種子。(B):焼石膏で外層被覆した鉄粉被覆種子。 空気循環型乾燥機(金子農機(株) HED330)を改造して製作した鉄粉被覆種子大量製造装置の概念図である。図中における薄墨した太い矢印は空気の流れを示す。本機の中で、還元鉄粉で被覆された種子は水をスプレーされて酸化し、錆を発生して固まる。この時発生する熱は空気の循環により外部に放熱される。酸化処理が完了した後、種子は温風乾燥される。
本発明は、稲の湛水直播栽培において使用する鉄粉被覆稲種子を製造する技術に関する。詳しくは、鉄粉の酸化により結着した鉄粉被覆稲種子の塊の発生を回避し、単粒化した鉄粉被覆稲種子を製造する技術に関する。
[稲種子]
本発明の技術は、稲種子に対して施用可能な技術である。ここで、稲(イネ)とは、イネ科イネ属に属するOryza sativaに分類される植物を指す。また、稲種子とは、玄米を穎(籾殻)が包んだ状態である「籾」の状態を指す。
本発明の技術は、原理的には陸稲を含む全ての稲種子に対して施用可能であるが、湛水直播の際の有用性を鑑みると、水稲として用いられる品種又は系統の稲種子に対して施用することが好適である。水稲の品種系統としては、特に制限がなく、ジャポニカ米、インディカ米、粳米、餅米、酒米、香米、低アミロース米、低グリテリン米等の米自体の性質とは関係なく施用可能である。
本発明の技術は、乾燥種子、浸種種子、催芽種子などのいずれに対しても施用可能な技術である。好ましくは播種後に発芽までに時間がかからない催芽種子に対して施用することが望ましい。
また、種子の状態としては、表面を湿っている状態にして施用することが望ましい。水が種子表面に鉄粉及び酸化促進剤をくっつける結合剤の役割を果たすからである。
種子の表面を湿っている状態にする手段としては、具体的には、稲種子を浸種処理した後で水を切ったり、水をスプレーすることで容易に実現することが可能である。
[還元鉄粉被覆層の形成工程]
本発明は、稲種子を還元鉄粉で被覆して内層を形成することを必須とする技術である。当該工程では、稲種子、還元鉄粉、及び酸化促進剤に対して、水を噴霧して回転混合することで、稲種子表面に還元鉄粉被覆層を形成させることができる。
・鉄粉
本発明における鉄粉は、稲種子の表面を被覆するために用いる鉄粉である。具体的には、金属鉄粉(具体的には還元鉄粉、アトマイズ鉄粉など)を任意に用いることができる。ショットブラスト工程などから産業廃棄物として産出される鉄粉であっても、金属鉄粉の含有量が高ければ用いることが可能である。
鉄粉の粒度分布、粒子の形状、及び断面組織については特に制限はないが、粒度が小さいものほど水スプレーによって稲種子に付着しやすく、造粒機を用いた作業は短時間で完了できるため好適である。種子の還元鉄粉による被覆の状態は、鉄粉の粒度が75μm以下の場合、固く圧密になり種子の形状を反映する。一方、106μm以上の粒子が重量比で50%を超えた割合で含有すると、種子の表面に斑に鉄粉が付着する状態となり好ましくない。
この点を踏まえると、本発明では、106μm以上の大きな粒子が重量比で50%以下、好ましくは45%以下、さらに好ましくは40%以下の粒度分布の鉄粉を用いることが好適である。
鉄粉の配合量としては、稲種子の乾燥量(乾籾)1質量部に対して、鉄粉質量部換算で0.05〜4質量部、好ましくは0.1〜2質量部、さらに好ましくは0.5〜1質量部である。
鉄粉の配合量が少ない場合、種子の比重が小さくなり湛水直播に適さなくなる。一方、鉄粉の配合量が多すぎる場合、鉄粉を均一に付着した状態にすることが難しくなり好ましくない。また、種子重が大きくなり播種作業における効率を落とすため好ましくない。
・酸化促進剤
上記鉄粉は、水と酸素の存在下で酸化し錆となり稲種子表面に付着して固着される。本発明においては、当該酸化反応は塩類の存在下で特に促進させることができる。
本発明に用いることができる酸化促進剤としては、硫酸カルシウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどの塩、又はその水和物等の化合物を挙げることができる。また、これらを2以上用いることも可能である。
当該塩またはその水和物は、水存在下で硫酸イオン又は塩化物イオンを生成し、鉄の酸化を促進し錆の発生を促進する。
一般に種子の発芽は塩濃度の高い水溶液中で阻害される。そのため、本発明に用いる酸化促進剤として特に好適に用いることができるものは、水に対する溶解度が低い性質を示す塩である。例えば、硫酸カルシウム又はその水和物(硫酸カルシウム0.5水和物、硫酸カルシウム2水和物)が好適である。特に、焼石膏として知られる硫酸カルシウム0.5水和物は、酸化促進剤としてのみならず、水と反応して凝結硬化する作用もあり、稲種子の表面に還元鉄粉の被覆層を形成させる上で特に好適である。
焼石膏には様々な特性のものが存在し、その特性に基づいて産業上利用されている。鉄粉被覆種子を製造する目的においては、混水量の大きい特性を持った焼石膏が望ましいことが経験的に判明しており、そのような規格の焼石膏の使用が推奨されている(非特許文献1 参照)。混水量としては、例えば50%以上、特には60%以上、さらに特には70%以上であることが望ましい。
酸化促進剤の配合量としては、鉄粉100質量部に対して0.5質量部以上であれば好適に酸化を促進させることができる。好ましくは1質量部以上で用いることが望ましい。配合量が0.5質量部より少ない場合は、24時間以内の短時間の間での十分な酸化促進作用を期待することができず、稲種子にダメージを与えることになり好ましくない。上限値としては、原理的には35質量部以下を挙げることができるが、上記塩(硫酸カルシウムを除く)又はその水和物を配合した場合、2質量部以下で用いることが望ましい。これらの塩又は水和物は、水に対する溶解度が高いため、2質量部を超えて配合した場合、環境への塩障害(イネの発芽と発芽直後の生育阻害)を誘発するおそれがあるからである。
一方、水に対する溶解度が低い硫酸カルシウム又はその水和物を用いた場合であれば、さらに配合量を増やすことが可能である。水に対する溶解度が低く環境への塩障害の懸念がないからである。具体的には、鉄粉100質量部に対して5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、特に好ましくは15質量部以上で用いることも可能となる。上限値としては、鉄粉100質量部に対して35質量部以下、好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下を挙げることができる。なお、配合量が35質量部より多い場合、混合操作の際に他の種子や容器壁面に付着しやすくなるため好ましくない。
当該酸化促進剤は、粉末状態のものを直接種子に添加しても良いが、予め上記鉄粉と混合した状態で用いることが酸化反応を均一に行える点で好適である。当該態様は、水への溶解性の低い硫酸カルシウム又はその水和物の場合に特に好適である。
また、水への溶解性の高い塩又はその水和物を用いる場合であれば、後述するように添加する水に溶解させた状態にして、回転混合中の種子等に添加(スプレー等)することが可能である。
・鉄粉被覆層の造粒
本発明では、稲種子、鉄粉、及び酸化促進剤に対して、水を噴霧して回転混合することで、種子の表面に鉄粉被覆層を形成された稲種子を造粒することができる。なお、ここでの造粒操作では、稲種子、鉄粉、酸化促進剤、水以外の他の原料の添加混合を、別段妨げるものではない。
当該回転混合操作は、均一造粒が可能な造粒機であれば如何なるものを用いて行うことができるが、好ましくは転動式の造粒機であるドラム型造粒機、皿型(パン型)造粒機などを用いることが望ましい。例えば、回転平皿造粒機、種子コーティングマシンなどを用いることができる。
鉄粉の酸化反応には水が必要であるが、当該造粒処理では種子に対して均一に水添加することが望ましい。具体的には、回転混合している状態にして水を噴霧することにより均一な水添加を実現することが望ましい。水が均一に供給された状態で造粒することで、還元鉄粉が種子表面に均一に付着し、鉄の酸化反応が斑なく開始され、均一に固着されることが可能となる。
ここで水の噴霧は、具体的には、スプレー、霧吹き、噴霧器等によって行うことができる。
水の噴霧の仕方としては、回転混合中の種子等全体に対して均一噴霧することが望ましい。ここで噴霧する水の量としては、種子全体の表面が湿り且つ過剰になり過ぎない程度の量であり、還元鉄粉が種子全体に均一に付着する量である。
種子全体の表面が湿るための水の噴霧量は、種子の状態(すなわち、乾燥種子、浸種種子、催芽種子、また浸種または催芽処理後の経過時間、浸種または催芽処理後の排水における脱水機の使用の有無等)によって、また回転混合操作を実施する場所(倉庫、屋外、換気条件等)と気象条件(温度と湿度)によって大きく異なるが、以下の量を目安とすることができる。
具体的には、鉄粉100質量部に対して2質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上の水を噴霧することが望ましい。水量が少ない場合、水が不均一となり酸化反応に斑が生じてしまい好ましくない。また、過剰になり過ぎない量にするためには、鉄粉100質量部に対して30質量部以下、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下であることが望ましい。水量が多い場合、鉄粉被覆層に水が過剰に存在しすぎる状態となり、鉄粉被覆層が崩壊する。そのため種子の複粒化が発生する。
水の噴霧処理は、回転混合開始後に1回で噴霧すれば良いが、種子の被覆状態を確認しながら2回以上の噴霧を行っても良い。また、噴霧量に注意しながら連続的又は断続的に噴霧処理を継続して行っても良い。
噴霧する水としては、通常の淡水を用いることができる。蒸留水、精製水、脱イオン水を用いることが勿論良いが、コストを踏まえると水道水又は清浄な自然水(井戸水、河川水、湧水、湖沼水等)を用いても良い。また、上記酸化促進剤である塩や水和物を溶解した水溶液を噴霧により添加する態様(酸化促進剤と水を同時に添加する態様)を採用することも可能である。
なお、水を噴霧した後は、種子に付着した鉄粉の酸化反応が進行し始めるが、当該造粒中においては回転状態であるため放熱が大きい。そのため種子の蓄熱はほとんど起こらず発熱による種子へのダメージや種子どうしの固着が起こりにくい。
当該回転混合を行う時間としては、種子の被覆状態を見ながら造粒が完了するまで行えば良い。具体的には、1〜40分程度で造粒を完了することができる。より造粒精度を上げるためには、好ましくは4分以上、より好ましくは5分以上、さらに好ましくは10分以上の回転混合を行うことが望ましい。また、上限として種子にダメージを与えない限りは特に制限はないが、40分以下、好ましくは30分以下、さらに好ましくは15分以下を挙げることができる。
なお、回転数としては、通常の造粒で採用する回転数で行うことができる。
[シリカゲル層造粒工程]
本発明では、還元鉄粉被覆層を形成した種子に対して、シリカゲル層で外層を被覆する。上記工程により還元鉄粉被覆層を形成した種子に対してさらにシリカゲルを添加し、回転混合を行うことで、シリガゲル外層を形成させた種子の造粒を達成することができる。
当該シリカゲル層の形成は、鉄粉被覆層を形成した後に速やかに行うことが望ましい。一度鉄粉被覆層を形成してしまった後は、酸化反応が進行して種子どうしの固着が生じる傾向があるからである。
また、当該シリカゲル層の形成は上記還元鉄粉被覆層の形成に用いた造粒機と同じものを用いることが可能である。
これらの点と作業効率の点を踏まえると、鉄粉被覆層の形成後に種子を造粒機から取り出すことなく、そのまま同じ造粒機を用いて連続してシリカゲル層の形成を行うことが望ましい。
なお、還元鉄粉被覆層を形成後、直ちにシリカゲル層の外層形成を行わない場合は、種子にダメージを与えにくい条件であり且つ酸化反応を一時的に停止する条件にて保管することが望ましい。例えば、ヘリウムガスや窒素ガスに置換した雰囲気下の容器に密閉して冷蔵庫に入れ低温で保管する等の方法を採用することができる。なお、容器や袋(ポリ袋など)に密閉するだけの方法でも、内部に閉じ込められた空気中の酸素を消費し尽くしてそれ以上の酸化反応の進行が抑制される。
・シリカゲルの特性
シリカゲルとは、メタ珪酸ナトリウム(NaSiO)の水溶液を放置することによって生じる酸成分の加水分解で得られる珪酸ゲルを脱水し乾燥させたものを指す。組成式はSiO・nHOである。二酸化珪素のコロイド粒子が三次元的に乱雑に結合してできたゲルであり、細孔構造を有し表面積が広い。
表面にある多数の水酸基(-OH)により、ファンデルワールス力と水素結合が発生し、化学的に水分を吸着する。また、細孔の毛細管現象により物理的に水分を吸着する。
シリカゲルには、次の二つの性質を示すものが知られている。(A) 一つは、水分吸着に適し加熱により水分を放出する乾燥用途に適したA型タイプである。(B) もう一つは、低湿度条件では水分を放出し、高湿度条件では水分を多く吸着する調湿用途に適したB型タイプである。
A型とB型の性質は一次粒子径と細孔径との関係で決定されるため、例えば、一次粒子径が小さく(表面積が大きく)細孔径が小さいものは、A型の性質を示す傾向がある。一方、一次粒子径が大きく(表面積が小さく)細孔径が大きいものは、B型の性質を示す傾向がある。
また、一次粒子径と細孔径の値によっては、両方の性質の中間的な性質をもったシリカゲルも存在する。
本発明では、A型の性質を有する傾向のあるシリカゲルを用いることもできるが、還元鉄粉被覆層との水分の吸収・放出の両方を行う機能を考慮すると、B型の性質を有する傾向のあるシリカゲル(具体的には下記の二次粒子の平均粒度と平均細孔径のもの)を採用することが望ましい。
また、本発明では、シリカゲル外層の形成により、化学的に安定なシリカゲルが、種子間の還元鉄粉被覆層の間に存在することによって、種子間の還元鉄粉被覆層の融合を回避するスペーサーとしての役割を果たす。従って、かさ密度の低いシリカゲル(細孔径の大きなもの)は、かさ密度の高いシリカゲル(細孔径の小さなもの)に比べてより有用である。
当該造粒で用いるシリカゲルの大きさ(二次粒子の粒度)としては、平均粒度が2〜300μmのものを用いることが望ましい。シリカゲル粒子は還元鉄粉被覆層の表面に付着することにより、複粒塊状化を防ぐものであり、平均粒度が小さい方がその機能が発揮されやすい。但し、平均粒度が小さ過ぎる場合(例えば、シリカゲルの立体構造が破壊される程度まで粉砕等をした場合)、かさ密度が高くなりスペーサーとしての役割が十分に発揮されない。また、細孔の破壊による水の吸収・放出特性が低下する。即ち、十分な単粒化率向上効果を期待することができない。
一方、当該平均粒度の上限としては、300μm以下、好ましくは287.5μm以下、より好ましくは112.5μm以下、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは30μm以下を挙げることができる。平均粒度が300μmを超える場合、シリカゲル粒子が還元鉄粉被覆層と付着し難くなるため好ましくない。
ここでの平均粒度としては、粒度分布が平均粒度をピークにしたシャープな分布であることを想定して記載したものである。
また、粒度分布においてシャープなピーク分布が2以上あるものであっても、各ピークの粒度が上記粒度範囲にある場合であれば、当該造粒に好適に用いることができる。また、ピークがブロードの場合であっても、ピークの大半(例えば75%以上、好ましくは80%以上)が上記粒度範囲にある場合であれば、当該造粒に好適に用いることができる。
当該造粒で用いることができるシリカゲルとしては、平均細孔径が2〜30nmのものを用いことが望ましい。好ましくは2.5nm以上、さらに好ましくは5nm以上、特に好ましくは6nm以上、一層好ましくは7nm以上であることが望ましい。平均細孔径が小さい場合、かさ密度が高まることに加えて、調湿性能が十分に発揮されにくくなり好ましくない。
平均細孔径の上限としては、毛細管現象による調湿効果が十分に発揮できる細孔径の大きさであれば良いが、例えば30nm以下、好ましくは25nm以下、さらに好ましくは21nm以下を挙げることができる。
これらの点を踏まえると、当該造粒で用いることが好適な平均細孔径としては、2〜30nm、好ましくは2.5〜30nm、より好ましくは7〜30nm、さらに好ましくは7〜21nmである。
なお、ここでの平均細孔径としては、孔径分布が平均細孔径をピークにしたシャープな分布であることを想定して記載したものである。
また、孔径分布においてシャープなピーク分布が2以上あるものであっても、各ピークの孔径が上記孔径範囲にある場合であれば、当該造粒に好適に用いることができる。また、ピークがブロードの場合であっても、ピークの大半(例えば75%以上、好ましくは80%以上)が上記孔径範囲にある場合であれば、当該造粒に好適に用いることができる。
当該造粒で用いることができるシリカゲルの形状としては、如何なる形状のものも用いることができる。具体的には、破砕状や球状の形状のものを用いることができる。
シリカゲルの含水率としては特に制限はなく、如何なる含水率のものを用いることができる。また、含水率が多いものを用いた場合であっても、鉄粉被覆層とシリカゲル層との水分吸収放出機能は十分に発揮され、最終的に得られる鉄粉被覆種子の単粒率には影響がない。例えば、含水率60%以下、好ましくは55%以下、さらに好ましくは50%以下のものを用いた場合、水分吸収放出機能は十分に発揮される。
・シリカゲル層の造粒
シリカゲル添加は、還元鉄粉被覆種子の表面が湿った状態であれば、当該種子に対して直接シリカゲル添加を行うことができる。一方、還元鉄粉被覆種子の表面が乾燥している状態である場合は、微量の水を噴霧して表面が湿った状態にした後で、シリカゲルを添加することが望ましい。
ここで、水の噴霧としては、上記還元鉄粉被覆層の造粒時に用いた態様を採用することができるが、噴霧量に関しては極めて微量で行う必要がある。例えば、鉄粉100質量部に対して0.2〜5質量部、好ましくは0.5〜3質量部、より好ましくは0.8〜2質量部を採用することができる。ここで水が多過ぎた場合、表面に水が過剰に存在しすぎる状態となる。そのため、シリカゲルが還元鉄粉被覆層に埋没し、種子表面に還元鉄粉層が露出する箇所が生じてしまうため、種子の複粒化が発生し好適でない。
当該回転混合を行う時間としては、種子の被覆状態を見ながら造粒が完了まで行えば良い。具体的には、1〜40分程度で造粒を完了することができる。より造粒精度を上げるためには、造粒時間の下限として好ましくは4分以上、より好ましくは5分以上、さらに好ましくは10分以上の回転混合を行うことが望ましい。また、上限として種子に損傷を与えない限りは特に制限はないが、40分以下、好ましくは30分以下、さらに好ましくは15分以下を挙げることができる。
なお、回転数としては、通常の造粒で採用する回転数で行うことができる。
なお、当該シリカゲル造粒においては、シリカゲルを添加した後は水を添加してはいけない。もしシリカゲル添加後に水を添加して回転混合を行った場合、シリカゲルが鉄粉被覆層に埋没し、種子表面に還元鉄粉層が露出する箇所が生じてしまうため、種子の複粒化が発生し好適でない。
シリカゲルの添加量としては、鉄粉100質量部に対して1.25〜20質量部の範囲で添加することが望ましい。添加量が少ない場合、外層被覆が十分でなく好適な造粒が達成できない。そのため、シリカゲル添加量としては、鉄粉100質量部に対して好ましくは1.5質量部以上、より好ましくは1.8質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上、特に好ましくは2.3質量部以上、一層好ましくは2.5質量部以上を挙げることができる。
上限値としては、鉄粉100質量部に対して20質量部以下、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下、特に好ましくは6質量部以下、一層好ましくは5質量部以下を挙げることができる。添加量が多い場合、シリカゲルを均一に付着した状態にすることが難しくなり好ましくない。
当該シリカゲルの添加は、回転混合前に還元鉄粉被覆種子に対して一度に添加することが望ましい。また、全体の添加量が上記範囲内であれば、造粒具合を見ながら造粒工程の間で2回以上に分けて添加しても良い。
[酸化工程]
本発明では、上記工程を経てシリカゲル層を形成した後、水が供給された状態にして前記鉄粉の酸化反応を進行させることが必要である。当該酸化反応により生成した錆(酸化された鉄粉)により、鉄粉被覆層を稲種子に固着させることが可能となる。
当該酸化反応についての詳細な機構は明らかではないが、一般に鉄は硫酸イオンや塩化物イオンの存在下で酸化して錆び、環境条件によって様々な比率でα、β、γ型オキシ水酸化鉄、マグネタイト、及び無定形物質が生成される。
ここで、当該無定形物質は、結合剤の働きをしているとも推定される。その理由としては、本発明の鉄粉被覆種子の鉄粉被覆層を剥離状態にして観察したところ、稲種子表面に錆びた鉄が粘着していたことが確認されたからである。このことから、本発明においても、固着機能を発揮する上での重要な役割を果たしていると推定される。
本発明においては、当該酸化反応を行うにあたり、次の(i)〜(iii)の問題を解決する手段が必要となる。(i) 上記造粒工程にて、酸化反応に消費される水は添加されているが、時間経過とともに造粒種子の水が失われて酸化反応が弱まる傾向がある。(ii) 当該酸化反応においては酸素が消費されるため、酸素が供給される条件であることが望ましい。(iii) 酸化反応には発熱を伴うため、蓄熱を防ぐ手段が必要となる。種子が蓄熱により40℃程度の高温に曝されると、種子は障害を受けて苗立ちの安定性を欠く傾向が見られるからである。
そこで、本発明では次の手段により酸化工程を行うことが望ましい。
(I) 加湿空気送風による酸化
本発明では、加湿空気送風による酸化反応を行う手段を採用することができる。当該手段では、加湿空気の送風により酸素供給と鉄粉被覆層の水分含量維持が達成され、同時に送風による放熱が行われる。
そのため、大量の還元鉄粉被覆種子に対して酸化反応を効率良く持続的させることが可能となる。なお、当該酸化手段では、酸化反応を行うために種子を薄く広げる等の操作が不要となる。
当該酸化手段を実現するためには、加湿空気を循環させた空間を準備する必要がある。そこで、具体的には、調湿機能を有する空気循環型乾燥機を用いることが望ましい。例えば、図2に示した空気循環型乾燥機(金子農機(株))を改造した装置を用いることができる。なお、当該装置を用いた場合、酸化反応だけでなく、及び後述する乾燥処理を一連の工程にて実施することが可能となる。また、種子500kgの規模での大規模処理が可能となる。
当該酸化手段における加湿空気の送風は、通風性に優れた容器に造粒種子を入れたものに対して、造粒種子の間を空気が通風することにして行う。
ここで、通風性に優れた容器としては、網袋、網状の籠、底に網を張った箱などを用いることができる。網目の大きさとしては、造粒種子が通過しない程度であれば良いが、例えば0.7〜2mm、好ましくは1〜2mm程度が望ましい。
また、加湿空気としては、送風する空気に対して水噴霧等により相対湿度を高めた空気を指すものである。相対湿度として好ましくは、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、一層好ましくは99%以上、最も好ましくは100%であることが望ましい。相対湿度が低い場合、水供給が十分でなく酸化反応が弱まり好ましくない。
加湿手段としては、水の噴霧や加熱蒸発による水蒸気供給によって行うことも可能である。しかし、還元鉄粉被覆種子の表面における水滴や凝縮水の発生は、還元鉄粉被覆層の崩壊と融合、それに伴う複粒塊状化を引き起こしやすくするため、好ましくない。
当該酸化手段においては、種子への損傷を避けるために送風空気の温度を、室温である10〜30℃、好ましくは15〜28℃、より好ましくは20〜26℃、さらに好ましくは25℃程度に調節することが望ましい。また、蓄熱により種子の品温が上昇する場合には、送風量を多くしたり、容器に詰める種子量を減らしたり、通風しやすい形状の容器に詰める等の対応を行うことが望ましい。また、気温が10℃以下の低い時は鉄の酸化反応速度が低下するため、10〜15℃に加温した加湿空気を送風する。
当該酸化手段における処理時間(加湿空気を送風する時間)としては、30時間以内、好ましくは24時間以内、好ましくは18時間以内、より好ましくは12時間以内で行うことが望ましい。長時間の加湿条件に種子が曝された場合、造粒された種子が発芽することもあり、また種子に障害を与えることになり好適でない。また、酸化を十分に行うためには、少なくとも3時間以上、好ましくは4時間以上、より好ましくは5時間以上、さらに好ましくは6時間以上をかけて行うことが望ましい。
(II) 便法による酸化
本発明の酸化手段としては、加湿空気の送風を行わずに便法で行うことも可能である。この場合、大気に開放された条件下にて、シリカゲルで外層を被覆された還元鉄粉被覆種子を薄く広げて静置し、水噴霧又は加湿を行って、酸化反応を進行させる手段を採用することができる。当該酸化手段は、特別な機器を用いないため、農家等の生産現場での施用に適した手段である。
当該酸化手段では、シリカゲルで外層被覆された還元鉄粉被覆種子を薄く広げて静置することが必要となる。薄く広げる程度としては、種子に蓄熱が起こらずに大気と熱交換可能程度の面積が確保できる程度であれば良い。この場合、大気との接触面積が増えることで、全種子への酸素供給も確保されることとなる。
具体的には、シリカゲルで外層を被覆された還元鉄粉被覆種子を3〜6kg/m2程度に広げることが望ましい。当該種子を厚く広げた場合、蓄熱しやすくなり好ましくない。
ここで、‘大気に開放された条件’とは、酸化反応に必要な酸素供給が確保できる程度の空気量が確保されている条件を指す。具体的には、密閉された又は気密性に優れた容器内の空間でないことを意味する。例えば、屋外だけでなく、通常の屋内や室内、密閉されていないコンテナ等の空間も当該条件に該当する。
当該酸化手段では、静置直後は造粒種子中の水分により酸化反応が進行するが、時間経過とともに水分が失われる。そこで、当該手段においては、造粒種子の乾燥状態を見ながら水噴霧を行うことが望ましい。好ましくは1〜12時間程度の間隔で行うことが好適である。ここで水の噴霧は、具体的には、スプレー、霧吹き、噴霧器等によって行うことができる。
また、水噴霧を行わない場合は、当該空間内の空気を加湿することによって水分を供給することも可能である。当該加湿は、例えば、加熱蒸発による水蒸気供給により行うことが可能であるが、吸水性に優れた固体支持体(スポンジ、布、ロックウール、ナイロン、紙性繊維質(ペーパータオル等)など)に水を含ませたものを、当該空間内に置くことでも実現可能である。加湿空気の湿度条件としては、上記(I)に記載の条件を採用することができる。
当該酸化手段においては、自然の気温や室温条件で行えば良いが、10〜30℃、好ましくは15〜28℃、より好ましくは20〜26℃、さらに好ましくは25℃程度で行うことが望ましい。なお、蓄熱により種子の品温が上昇する場合には、さらに薄い層になるように広げたり、室温を下げる等の対応を行うことが望ましい。
また、当該酸化手段における処理時間(静置時間)としては、上記(I)に記載の手段と同じ処理時間を採用することができる。
[乾燥工程]
上記酸化反応を行った後は、乾燥処理を行って酸化反応を停止させることが必要である。乾燥手段としては、送風による乾燥を行うことが望ましいが、自然状態での乾燥により行うこともできる。
(A) 送風による乾燥
送風による乾燥は、気温又は室温での送風を行えば良いが、短時間で乾燥処理を完了させるためには、25〜40℃、好ましくは30〜40℃、より好ましくは32〜40℃程度での通風乾燥を行うことが望ましい。特に、32℃以上の温風を送風した場合、短時間での乾燥を完了することが可能である。温度の上限としては、種子に損傷を与えないように40℃以下で行うことが望ましいが、好ましくは38℃以下で行うことが好適である。
また、送風空気の相対湿度としては、60%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下であることが望ましい。
当該乾燥手段における送風は、上記(I)に記載の通風性に優れた容器に造粒種子を入れたものに対して、造粒種子の間を空気が通過するようにして行うことが望ましい。また、上記(II)に記載のように造粒種子を薄く広げた状態にして、造粒種子の上側の空気が流れるようにして通風させることもできる。
当該乾燥手段では、24〜72時間で完了させることが可能であるが、特に好適な態様や条件を組わせた場合は、24時間程度の極めて短時間で乾燥処理を完了させることが可能となる。
(B) 自然状態での乾燥
本発明では、自然状態で静置して自然状態により乾燥させることも可能である。当該乾燥手段では、上記(II)に記載のように造粒種子を薄く広げた状態にして、直射日光を避けた状態で屋外や屋内に静置するだけで行うことが可能である。
なお、当該乾燥手段では、気温や湿度条件によっても異なるが、乾燥を完了させるのに1〜2週間が必要となる。
[鉄粉被覆種子]
上記工程を経て造粒した鉄粉被覆種子は、その大部分が単粒状態として製造された種子となる。即ち、当該鉄粉被覆種子は、播種に適さない複粒化又は複粒塊状化した鉄粉被覆種子をほとんど含まないものとなる(図1 参照)。
また、当該種子は、機械的な衝撃に対して強い強度を有し、播種機械を用いた場合でも、被覆層が崩壊しない程度の十分な強度を有する。また、当該種子は、水を張った水田の底に安定して沈む性質を有する。
稲にとって珪素は必須元素であり、生理活性の向上のみならず病害虫被害の軽減にも効果があることが広く知られている。シリカゲルは移植栽培においては苗箱にも施用され、健苗の育成に使われている。また、シリカゲルの人と環境への安全性は広く認められている。鉄粉被覆稲種子の製造に使われるシリカゲルの量は少なく、稲の栄養素としての珪素全量を賄うものではないが、環境保全型稲作技術の確立に役立つものである。
以上の性質により、当該鉄粉被覆種子は、湛水直播に極めて優れた稲種子として施用することが可能となる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、実施例の表中においては、「質量部」を「wp」と略して記載した。また、シリカゲルの製品名であるワコーゲルを「WG」、サイリシアを「S」、サイロページを「SP」、マイクロビーズを「MB」と略して記載した。
実施例1〜10は、鉄粉被覆稲種子の製造において外層を形成する資材及びその使用方法に関わる検討を行った例である。多数の資材について、または資材の多数の使用方法について検討するため、少量の稲種子(250g乾燥重)について、還元鉄粉で被覆された内層を形成した後に、外層に関わる検討試験を実施している。
また、実施例11〜13は、1〜20kg重量という大量の稲種子を用いて実用的な条件で酸化放熱及び乾燥処理を行い、実用レベルの規模と手段にて鉄粉被覆種子を製造した例である。
[実施例1]『鉄粉被覆種子の外層を被覆する資材の検討』
鉄粉被覆種子の複粒塊状化を防いで単粒率を向上させるため、鉄粉被覆種子の外層を被覆する資材の検討を行った。
(1)「鉄粉被覆種子の作製」
・内層コーティング
還元鉄粉(商品名:DSP317、DOWA IPクリエーション(株)製)に、還元鉄粉100質量部に対して10質量部の焼石膏(商品名:陶磁器型材用焼石膏A級、睦化学(株)製;粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)を配合した混合物を調製した。
稲(ヒノヒカリ)種子5kg(乾籾重)を水に浸漬して水切りした後、種子コーティングマシン(商品名:KC-151、(株)啓文社製作所)に当該種子及び上記混合物を入れ、回転混合しているところに水をスプレーすることにより、還元鉄粉被覆層が形成された種子を調製した(被覆内層の形成)。
この時の鉄粉の使用量は、乾籾1質量部に対して0.5質量部であった。また、使用した還元鉄粉の粒度分布は、45μm以下が85.7%、45〜63μmが14.1%、63〜75μmが0.2%、75μm以上が0%であった。
・外層コーティング
上記内層コーティングにおいては、水のスプレーにより還元鉄粉の酸化反応が開始されてしまい、時間の経過に伴い特性は変化する。そこで、250g乾燥重に相当する種子を密封シール付きポリ袋に小分けし、鉄の酸化を抑制するためポリ袋内の空気をヘリウムガスで置換した後、試験に供するまで冷蔵庫中において2〜4℃で保管した。なお、当該ヘリウムガス雰囲気下において低温条件下で保管した場合、酸化が著しく抑制されているため、1週間保管した場合でも還元鉄粉の酸化は外観上認められない。
上記保管開始から12時間以内に、上記種子(乾籾250g相当量)を、皿形回転造粒機(商品名:パン型造粒機PZ-01、アズワン(株)製)に入れた。小分け作業中に失われた水分を補うために水を1.65mLスプレーした後、表1に記載の各資材を表面に添加して造粒した(被覆外層の形成)。なお、表中における各資材の添加量は、鉄粉100質量部に対する質量部で示した。また、造粒中は、水のスプレーを一切行わなかった。
なお、外層コーティングに用いた資材である‘シリカゲル’としては、和光純薬製のワコーゲルC-100(平均細孔径7nm、粒度150〜425μm:75%以上、平均粒度約287.5μm、破砕状)を用いた。‘焼石膏’としては、睦化学(株)製の陶磁器型材用焼石膏A級(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)を用いた。また、‘活性白土’、‘ベントナイト’、‘タルク’(滑石:水酸化マグネシウムと珪酸塩からなる鉱物粉末)、‘石英砂末’、‘珪素粉末’、‘珪藻土’としては、和光純薬製のものを用いた。
・酸化処理
各資材を添加した還元鉄粉被覆種子を、一方の端を網目1mmのネットでふさいだアクリルパイプ(直径70mm、厚み3mm、長さ20cm)に入れ、空気循環型乾燥機(金子農機(株) HED330)を改造した鉄粉被覆種子大量製造装置(図2 参照)内に、当該アクリルパイプを垂直に立てて、加湿空気を送風しながら室温(25℃)にて12時間の酸化処理を行った(非特許文献3 参照)。
その後、35℃にて24時間乾燥することで、各資材で外層コーティングされた鉄粉被覆稲種子を作製した。
(2)「単粒率の評価」
製造した当該被覆種子を回収し、篩(不二金属工業株式会社製篩(雑穀) 7.3mm±2%)にかけ、通過した当該被覆種子と全量との重量比から単粒率を算出した。結果を表1に示した。
様々な資材を検討した結果、還元鉄粉で被覆した内層の外側に‘シリカゲル’を外層コーティングした種子では、単粒率が著しく向上することが示された(試料1-1)。
一方、外層としてシリカゲルと構成成分が共通する珪素粉末や珪藻土をコーティングした種子(試料1-7, 試料1-8)では、単粒率は極めて低い値であった。このことから、シリカゲルが奏する単粒率向上効果(複粒化防止効果)は、シリカゲルが還元鉄粉被覆層の表面に存在することで、異なる種子の還元鉄粉被覆層同士の接触を妨げることによる、スペーサーとしての役割とともに、シリカゲルの化学的安定性や、シリカゲルの構造によって発揮される水分吸収・放出特性に起因する効果であると推測された(図1 参照)。
[実施例2]『シリカゲルの粒度の検討』
還元鉄粉被覆種子の外層コーティングに用いるシリカゲルについて、シリカゲル粒度と単粒率との関係を検討した。
(1)「鉄粉被覆種子の作製」
表2に記載の資材を用いて外層コーティングを行い、外層コーティングした鉄粉被覆種子を作製した。なお、基本的な作製操作は、実施例1(1)に記載の方法と同様にして行った。
なお、外層コーティングに用いた‘シリカゲル’としては、和光純薬製のワコーゲルG(平均細孔径7nm、粒度300〜600μm:90%以上、平均粒度約450μm、全多孔性破砕状)、ワコーゲルC-100(平均細孔径7nm、粒度150〜425μm:75%以上、平均粒度約287.5μm、破砕状)、ワコーゲルC-200(平均細孔径7nm、粒度75〜150μm:75%以上、平均粒度約112.5μm、破砕状)、ワコーゲルC-300(平均細孔径7nm、粒度45〜75μm:75%以上、平均粒度約60.0μm、破砕状)、ワコーゲルC-400(平均細孔径7nm、粒度20〜40μm、平均粒度約30.0μm、:70%以上、破砕状)、;富士シリシア化学(株)製のサイリシア380(平均細孔径21nm、平均粒度9.0μm、破砕状)、サイロページ720(平均細孔径21nm、平均粒度3.9μm、破砕状)を用いた。
また、シリカゲルの粗い粒子の粉末化は、ワコーゲルC-300を乳鉢で擂り潰したものを用いた。また、微粒子への粉末化は、ワコーゲルGを振動カップミルP-9(Fritsch Pulverisette type 09.005 No.233)で、30秒間破砕したものを用いた。
また、‘焼石膏’としては、睦化学(株)製の陶磁器型材用焼石膏A級(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)を用いた。
(2)「単粒率の評価」
実施例1(2)に記載の方法と同様にして単粒率を算出し、結果を表2に示した。
その結果、シリカゲルを外層コーティングした場合、従来技術である焼石膏を外層コーティングした場合(試料2-9)よりも単粒率が高くなることが示された。但し、粉砕化して立体構造が破壊されたシリカゲルをコーティングした場合(試料2-1〜2-2)では、単粒率が減少することが示された。特に、微粉末にまで粉砕したものをコーティングした場合では、単粒率の減少は著しかった(試料2-1)。
このことから、シリカゲルが奏する単粒率向上効果(複粒率抑制効果)は、シリカゲルの立体構造に関わる効果であると認められた。
シリカゲル粒度の下限としては、平均粒度3.9μmのものでコーティングした場合、作製した99.5%以上の被覆種子が単粒化することが示された(試料2-3)。
一方、シリカゲル粒度の上限としては、平均粒度約287.5μmのものでコーティングした場合、作製した45.4%の被覆種子が単粒化することが示された(試料2-8)。特に平均粒度約112.5μmのものでコーティングした場合、作製した98.9%の被覆種子が単粒化することが示された(試料2-7)。
これらの結果から、平均粒度3.9〜287.5μm程度、特に3.9〜112.5μm程度の粒度のシリカゲルを外層コーティングに用いることが、鉄粉被覆種子の単粒率向上(複粒化防止)に好適であることが示された。
[実施例3]『シリカゲルの含水率の検討』
鉄粉被覆種子の外層コーティングに用いるシリカゲルについて、シリカゲル含水率と単粒率との関係を検討した。
(1)「鉄粉被覆種子の作製」
表3に記載の資材を用いて外層コーティングを行い、外層コーティングした鉄粉被覆種子を作製した。なお、基本的な作製操作は、実施例1(1)に記載の方法と同様にして行った。
なお、外層コーティングに用いた‘シリカゲル’としては、和光純薬製のワコーゲルC-300(平均細孔径7nm、粒度45〜75μm:75%以上、平均粒度約60.0μm、破砕状)を用いた。なお、シリカゲルの含水率は、シリカゲルに水をスプレーすることによってその含水量を調整し、170℃に2時間置いた後の乾燥減量を測定することにより算出した。
また、‘焼石膏’としては、睦化学(株)製の陶磁器型材用焼石膏A級(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)を用いた。
(2)「単粒率の評価」
実施例1(2)に記載の方法と同様にして単粒率を算出し、結果を表3に示した。
その結果、シリカゲルの含水率を約4〜50%に変化させた範囲では、鉄被覆種子の単粒率はほぼ一定値(97.7〜100%)となることが示された。
このことから、外層コーティングに用いるシリカゲル含水率は、鉄粉被覆種子の単粒率に影響を与えないものと認められた。
[実施例4]『シリカゲルの細孔径の検討』
鉄粉被覆種子の外層コーティングに用いるシリカゲルについて、シリカゲルの細孔径と単粒率との関係を検討した。
(1)「鉄粉被覆種子の作製」
表4に記載の資材を用いて外層コーティングを行い、外層コーティングした鉄粉被覆種子を作製した。なお、基本的な作製操作は、実施例1(1)に記載の方法と同様にして行った。
なお、外層コーティングに用いた‘シリカゲル’としては、富士シリシア化学(株)製のマイクロビーズシリカゲルMB-3A 100-200(平均細孔径2.5nm、粒度75〜150μm、平均粒度約112.5μm、球状)、マイクロビーズシリカゲルMB-4B 100-200(平均細孔径7nm、粒度75〜150μm、平均粒度約112.5μm、球状)、サイリシア380(平均細孔径21nm、平均粒度9.0μm、破砕状)を用いた。
また、‘焼石膏’としては、睦化学(株)製の陶磁器型材用焼石膏A級(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)を用いた。
(2)「単粒率の評価」
実施例1(2)に記載の方法と同様にして単粒率を算出し、結果を表4に示した。
その結果、シリカゲルの細孔径が2.5nm以上のものでコーティングした場合、作製した73.1%以上の被覆種子が単粒化することが示された(試料4-1)。特に、7.0〜21.0nmの細孔径のものを用いた場合、作製したほぼ全て(96.3〜98.4%)の被覆種子が単粒化することが示された(試料4-2〜4-3)。
これらの結果から、2.5〜21.0nm程度、特に7.0〜21.0nm程度の粒度のシリカゲルを外層コーティングに用いることが、鉄粉被覆種子の単粒率向上(複粒化防止)に好適であることが示された。
[実施例5]『シリカゲルの形状の検討』
鉄粉被覆種子の外層をシリカゲルでコーティングする場合において、シリカゲルの形状が単粒率に与える影響を検討した。
(1)「鉄粉被覆種子の作製」
表5に記載の資材を用いて外層コーティングを行い、外層コーティングした鉄粉被覆種子を作製した。なお、基本的な作製操作は、実施例1(1)に記載の方法と同様にして行った。
なお、外層コーティングに用いた‘シリカゲル’としては、和光純薬製のワコーゲルC-200(平均細孔径7nm、75〜150μm:75%以上、平均粒度約112.5μm、破砕状)、富士シリシア化学(株)製のマイクロビーズシリカゲルMB-4B 100-200(平均細孔径7nm、粒度75〜150μm、平均粒度約112.5μm、球状)を用いた。また、‘焼石膏’としては、睦化学(株)製の陶磁器型材用焼石膏A級(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)を用いた。
(2)「単粒率の評価」
実施例1(2)に記載の方法と同様にして単粒率を算出し、結果を表5に示した。
その結果、シリカゲルの形状が球状, 破砕状のいずれの場合であっても、作製したほぼ全て(96.3〜98.9%)の被覆種子が単粒化することが示された(試料5-1〜5-2)。
これらの結果から、シリカゲルの形状自体は、鉄粉被覆種子の単粒率に影響を与えないものと認められた。
[実施例6]『シリカゲルの添加量の検討』
鉄粉被覆種子の外層コーティングに用いるシリカゲルについて、添加量と単粒率との関係を検討した。
(1)「鉄粉被覆種子の作製」
表6に記載の資材を用いて外層コーティングを行い、外層コーティングした鉄粉被覆種子を作製した。なお、基本的な作製操作は、実施例1(1)に記載の方法と同様にして行った。
なお、外層コーティングに用いた‘シリカゲル’としては、和光純薬製のワコーゲルC-200(平均細孔径7nm、粒度75〜150μm:75%以上、平均粒度約112.5μm、破砕状)、ワコーゲルC-300(平均細孔径7nm、粒度45〜75μm:75%以上、平均粒度約60.0μm、破砕状)を用いた。また、‘焼石膏’としては、睦化学(株)製の陶磁器型材用焼石膏A級(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)を用いた。
(2)「単粒率の評価」
実施例1(2)に記載の方法と同様にして単粒率を算出し、結果を表6に示した。
その結果、1.25〜10質量部/鉄粉100質量部となるようにシリカゲルを添加して外層コーティングした場合、従来技術である焼石膏を外層コーティングした場合(試料6-6)よりも単粒率が高くなることが示された(試料6-1〜6-5)。
これらのうち、特に添加量が2.5〜10質量部/鉄粉100質量部の場合、約73%以上の被覆種子が単粒化することが示された(試料6-2〜6-5)。さらに、添加量が2.5〜5質量部/鉄粉100質量部の場合、作製したほぼ全て(97%以上)の被覆種子が単粒化することが示された(試料6-2〜6-4)。
これらの結果から、鉄粉100質量部に対して1.25〜10質量部程度、特に2.5〜10質量部程度、さらに特に2.5〜5質量部程度のシリカゲルを添加することが、鉄粉被覆種子の単粒率向上(複粒化防止)に好適であることが示された。
[実施例7]『鉄粉の検討』
鉄粉被覆種子の外層をシリカゲルでコーティングする場合において、鉄粉の粒度が単粒率に与える影響を検討した。
(1)「鉄粉被覆種子の作製」
表7に記載の種類の鉄粉を用いて内層コーティングを行い、外層コーティングした鉄粉被覆種子を作製した。なお、基本的な作製操作は、実施例1(1)に記載の方法と同様にして行った。
なお、使用した還元鉄粉としては、JFEスチール(株)製のJ6、;DOWA IPクリエーション(株)製のDAE1K、DSP317、;テツゲン製の製品、;ダイテツ製の製品を用いた。なお、各還元鉄粉製品の粒度分布は、表7-Aに示した。
また、外層コーティングに用いた‘シリカゲル’としては、和光純薬製のワコーゲルC-300(平均細孔径7nm、粒度45〜75μm:75%以上、平均粒度約60.0μm、破砕状)を用いた。また、‘焼石膏’としては、睦化学(株)製の陶磁器型材用焼石膏A級(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)を用いた。
(2)「単粒率の評価」
実施例1(2)に記載の方法と同様にして単粒率を算出し、結果を表7-Bに示した。
その結果、鉄粉の粒度を変化させた結果を比較すると、J6(45μm以下26%)からダイテツ製の製品(45μm以下87.8%)の粒度の範囲のいずれのものを用いた場合であっても、ほぼ全て(97.2〜100.0%)の被覆種子が単粒化種子となることが示された(試料7-1〜7-5)。このことから、内層コーティングに用いる鉄粉の粒度は、単粒率に影響を与えないものと考えられた。
[実施例8]『シリカゲル添加後の水添加の影響の検討』
鉄粉被覆種子の作製において、シリカゲル添加後の水添加が単粒率に与える影響を検討した。
(1)「鉄粉被覆種子の作製」
表8に記載の資材を用いて外層コーティングを行い、外層コーティングした鉄粉被覆種子を作製した。なお、基本的な作製操作は、実施例1(1)に記載の方法と同様にして行った。
なお、一部の試料については、シリカゲル添加後に、さらに水をスプレーにより添加して皿形回転造粒機で転動を継続し造粒した。この時の水の添加量は、鉄粉100質量部に対して5.4質量部であった。
ここで、外層コーティングに用いた‘シリカゲル’としては、和光純薬製のワコーゲルC-300(平均細孔径7nm、粒度45〜75μm:75%以上、平均粒度約60.0μm、破砕状)を用いた。また、‘焼石膏’としては、睦化学(株)製の陶磁器型材用焼石膏A級(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)を用いた。
(2)「単粒率の評価」
実施例1(2)に記載の方法と同様にして単粒率を算出し、結果を表8に示した。
その結果、シリカゲルを外層コーティングした場合、従来技術である焼石膏を外層コーティングした場合(試料8-3)よりも単粒率が高くなることが示された(試料8-1)。但し、シリカゲル外層形成中にさらに水添加を行って造粒した被覆種子においては、単粒率が大幅に低下することが示された(試料8-2)。これは、回転造粒機内で転動している最中に水が添加されたことで、外層を被覆しているシリカゲルが流動しやすくなり、内層である還元鉄粉被覆層に埋没し、還元鉄粉被覆層が剥き出しになる表面部分が出現したためと推測された。
このことから、外層コーティングした鉄粉被覆種子を作製する場合において、シリカゲル添加後の転動中に水を添加しないことが好適であることが示された。
[実施例9]『焼石膏の混水量の検討』
鉄粉被覆種子の製造において、被覆に用いる焼石膏の混水量が単粒率に与える影響を検討した。
(1)「鉄粉被覆種子の作製」
表9に記載の種類の焼石膏を用いて鉄粉被覆(内層コーティング)を行った後、外層コーティングした鉄粉被覆種子を作製した。なお、基本的な作製操作は、実施例1(1)に記載の方法と同様にして行った。
なお、酸化促進剤として用いた‘焼石膏’としては、睦化学(株)製の陶磁器型材用焼石膏A級(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)、サンケイ石膏(株)製の焼石膏(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量34%)を用いた。
また、外層コーティングに用いた‘シリカゲル’としては、和光純薬製のワコーゲルC-300(平均細孔径7nm、粒度45〜75μm:75%以上、平均粒度約60.0μm、破砕状)を用いた。また、外装の被覆に使われる‘焼石膏’としては、睦化学(株)製の陶磁器型材用焼石膏A級(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)及びサンケイ石膏(株)製の焼石膏(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量34%)を用いた。
(2)「単粒率の評価」
実施例1(2)に記載の方法と同様にして単粒率を算出し、結果を表9に示した。
従来技術では混水量の大きな焼石膏を使うことが単粒率を高めていた(試料9-3, 9-4)が、シリカゲルを外層の被覆に使う単粒化の効果は大きく、ほぼ全て(96.9〜99.9%)の被覆種子が単粒化種子となることが示された(試料9-1, 9-2)。
これらの結果は、シリカゲルを外層に使う効果は、焼石膏の混水量の違いによってもたらされる効果よりもはるかに大きいことを示している。
[実施例10]『酸化促進剤に用いる塩類の検討』
鉄粉被覆種子の外層をシリカゲルでコーティングする場合において、鉄粉の酸化促進剤に用いる塩類の違いが単粒率に与える影響を検討した。
(1)「鉄粉被覆種子の作製」
表10に記載の種類の酸化促進剤を用いて還元鉄粉被覆(内層コーティング)を行った後、外層コーティングした鉄粉被覆種子を作製した。なお、基本的な作製操作は、実施例1(1)に記載の方法と同様にして行った。
なお、酸化促進剤として用いた‘塩化カリウム’としては、和光純薬製のものを乳鉢で粉砕したものを用いた。
また、外層コーティングに用いた‘シリカゲル’としては、和光純薬製のワコーゲルC-300(平均細孔径7nm、粒度45〜75μm:75%以上、平均粒度約60.0μm、破砕状)を用いた。また、‘焼石膏’としては、睦化学(株)製の陶磁器型材用焼石膏A級(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)を用いた。
(2)「単粒率の評価」
実施例1(2)に記載の方法と同様にして単粒率を算出し、結果を表10に示した。
その結果、酸化促進剤として塩化カリウムを用いて鉄粉の酸化を行って被覆種子を作製した場合であっても、ほぼ全て(99.8%)の被覆種子が単粒化種子となることが示された(試料10-1)。
ここで、塩化カリウムは、塩化物のカリウム塩、焼石膏(硫酸カルシウム)は硫酸のカルシウム塩である。硫酸及び塩化物のカルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩は、鉄の酸化促進剤として鉄粉被覆に用いることができる塩であることが報告されている(特許文献1:特許第4441645号 明細書 参照)。
これらのことを踏まえると、シリカゲルによる外層コーティングは、塩化物及び硫酸のカルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩を酸化促進剤として用いた鉄粉被覆種子全般に対して、適用可能な技術であると認められる。
[実施例11]『酸化処理の検討1』
シリカゲルで外層コーティングした鉄粉被覆種子を作製するにあたり、実用的な大量生産に適した酸化放熱方法を検討した。
(1)「鉄粉被覆種子の作製」
実施例1(1)に記載の方法と同様にして、種子コーティングマシン(商品名:KC-151、(株)啓文社製作所)を用いて還元鉄粉と焼石膏からなる混合物を造粒した(被覆内層の形成)。引き続いて、当該種子コーティングマシンの中にある当該種子の表面に表11に記載の被覆外層資材の一つを添加して被覆外層を形成した。
その後、外層が形成された還元鉄粉被覆種子を種子コーティングマシンから取り出し、5または8kgを網袋に詰めた。次に、当該網袋を室温(25℃)の加湿空気を送風している空気循環型乾燥機(金子農機(株) HED330)を改造した鉄粉被覆種子大量製造装置(図2 参照)に入れた。本作業を表11に記載の各々の被覆外層資材について繰り返した。鉄粉被覆種子大量製造装置を用いて酸化処理を12時間行った後、35℃にて24時間乾燥することで、乾燥した鉄粉被覆稲種子を作製した。
なお、外層コーティングに用いた‘シリカゲル’としては、和光純薬製のワコーゲルC-300(平均細孔径7nm、粒度45〜75μm:75%以上、平均粒度約60.0μm、破砕状)、富士シリシア化学(株)製のサイリシア380(平均細孔径21nm、平均粒度9.0μm、破砕状)、サイロページ720(平均細孔径21nm、平均粒度3.9μm、破砕状)を用いた。また、‘焼石膏’としては、睦化学(株)製の陶磁器型材用焼石膏A級(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)を用いた。
(2)「単粒率の評価」
実施例1(2)に記載の方法と同様にして単粒率を算出し、結果を表11に示した。
その結果、上記機器と網袋を用いることで、5〜8kgという実用的な大規模スケールにて酸化処理を行った場合においても、シリカゲルで外層コーティングした全ての種子を単粒化できることが示された。
[実施例12]『酸化処理の検討2』
シリカゲルで外層コーティングした鉄粉被覆種子を作製するにあたり、実用的な大量生産に適した酸化放熱方法を検討した。
(1)「鉄粉被覆種子の作製」
実施例11(1)に記載の方法と同様にして、内層コーティング及び外層コーティングを行った。その後、当該還元鉄粉被覆種子19.4kgを、底に網を張った木製の箱(縦68cm、横33cm、12.5cm、網目2mm)に入れ、空気循環型乾燥機(金子農機(株))を改造した装置(図2 参照)にて加湿空気を送風しながら室温(25℃)にて12時間の酸化処理を行った。その後、35℃にて24時間乾燥することで、外層コーティングされた鉄粉被覆稲種子を作製した。
なお、外層コーティングに用いた‘シリカゲル’としては、和光純薬製のワコーゲルC-200(平均細孔径7nm、粒度75〜150μm:75%以上、平均粒度約112.5μm、破砕状)を用いた。また、‘焼石膏’としては、睦化学(株)製の陶磁器型材用焼石膏A級(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)を用いた。
(2)「単粒率の評価」
実施例1(2)に記載の方法と同様にして単粒率を算出した。また、最終的に生産できた単粒化種子の量を算出した。結果を表11に示した。
その結果、上記機器と網箱を用いることで、約20kgという大規模スケールにて酸化処理を行った場合においても、シリカゲルで外層コーティングしたほぼ全ての種子を単粒化できることが示された。
[実施例13]『酸化処理の検討3』
シリカゲルで外層コーティングした鉄粉被覆種子を作製するにあたり、一般的な農家でも実施可能な生産に適した酸化放熱方法を検討した。
(1)「鉄粉被覆種子の作製」
実施例11(1)に記載の方法と同様にして、内層コーティング及び外層コーティングを行った。その後、当該還元鉄粉被覆種子1.5kgまたは2.0kgを苗箱に広げて、平均温度25℃平均相対湿度45%の室内に静置し、その12時間後に水スプレーを行い、さらに12時間静置した。その後、約1週間風乾により自然乾燥させた。当該方法は鉄粉被覆種子大量製造装置を有しない稲生産者が実際に行う製造方法である。
なお、外層コーティングに用いた‘シリカゲル’としては、和光純薬製のワコーゲルC-300(平均細孔径7nm、粒度45〜75μm:75%以上、平均粒度約60.0μm、破砕状)、富士シリシア化学(株)製のサイリシア380(平均細孔径21nm、平均粒度9.0μm、破砕状)、サイロページ720(平均細孔径21nm、平均粒度3.9μm、破砕状)を用いた。また、‘焼石膏’としては、睦化学(株)製の陶磁器型材用焼石膏A級(粉末状の硫酸カルシウム0.5水和物、混水量73%)を用いた。
(2)「単粒率の評価」
実施例1(2)に記載の方法と同様にして単粒率を算出し、結果を表13に示した。
その結果、自然条件下で酸化処理を行った場合においても、シリカゲル外層コーティングしたほぼ全ての種子を単粒化できることが示された。
本発明は、生産現場への技術移転が容易な技術であるため、稲作の省力、低コスト化、規模拡大化、米生産費の削減等の目的のため湛水直播栽培の導入に大きく貢献する技術となることが期待される。
1: 稲種子
2: 酸化された鉄粉で被覆された内層
3: シリカゲルの外層
4: 焼石膏の外層
5: 融合して酸化固化した鉄粉
11: 鉄被覆種子大量製造装置
12: 布製カバー
13: 水スプレー
14: 鉄粉被覆種子収納部
15: スノコ
16: 外気吸引口
17: 送風口
18: バーナー(熱交換器)

Claims (5)

  1. 稲種子, 鉄粉, 及び前記鉄粉100質量部に対して0.5〜35質量部の以下(A)に記載の化合物, に対して水を噴霧して回転混合することで鉄粉被覆層が形成された稲種子を造粒し、;次いでシリカゲルを添加して回転混合することで鉄粉被覆層の外層にシリカゲル被覆層が形成された稲種子を造粒した後、;加湿空気又は水の噴霧により水が供給された状態で前記鉄粉の酸化反応を進行させ、酸化反応により生成した錆により鉄粉を稲種子に付着させ、;乾燥させることを特徴とする、鉄粉被覆種子の製造方法。
    (A): 硫酸カルシウム, 硫酸カリウム, 硫酸マグネシウム, 塩化カルシウム, 塩化カリウム, 塩化マグネシウム, 又はその水和物, から選ばれる1以上の化合物。
  2. 前記シリカゲルの平均粒度が2〜300μmのものである、請求項1に記載の鉄粉被覆種子の製造方法。
  3. 前記シリカゲルの平均細孔径が2〜30nmのものである、請求項1又は2に記載の鉄粉被覆種子の製造方法。
  4. 前記シリカゲルを加える操作において、前記鉄粉100質量部に対して1.25〜20質量部のシリカゲルを添加することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の鉄粉被覆種子の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかの方法により製造した鉄粉被覆種子。
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