JP6354690B2 - 稲種子被覆剤 - Google Patents

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Description

本発明は、稲種子被覆に好適な稲種子被覆剤に関するものである。
農業従事者の高齢化、農産物流通のグローバル化に伴い、農作業の省力化や農産物生産コストの低減が解決すべき課題となっている。これらの課題を解決するために、例えば、水稲栽培においては、育苗と移植の手間を省くことを目的として、稲種子を圃場に直接播く直播法が普及しつつある。その中でも、稲種子の比重を高めるために、鉄粉を被覆した稲種子を用いる手法は、水田における稲種子の浮遊や流出を防止し、かつ鳥害を防止するというメリットがあることで注目されている。
このように鉄粉を被覆した稲種子を用いて直播栽培法を活用するためには、輸送や播種の工程において被覆した鉄粉被覆層が剥離しにくいことが求められる。鉄粉被覆層が剥離すると、稲種子の比重が低下して前記のメリットが得られなくなるのみならず、剥離した被覆層は輸送や播種の工程において、配管の目詰まりや回転機構部への噛み込みの原因となり、剥離した細かい鉄粉が粉塵を生じる原因にもなるからである。このようなことから、鉄粉被覆層の剥離は極力抑制しなくてはならない。
稲種子表面に鉄粉を付着、固化させる技術としては、特許文献1に鉄粉被覆稲種子の製造法として以下のような技術が提案されている。「稲種子に、鉄粉、並びに鉄粉に対する質量比で0.5〜2%の硫酸塩(但し、硫酸カルシウムは除く)及び/又は塩化物を加え、さらに水を添加して造粒し、水と酸素を供給して金属鉄粉の酸化反応によって生成した錆により、鉄粉を稲種子に付着、固化させた後、乾燥させることを特徴とする鉄粉被覆稲種子の製造法。」(特許文献1の請求項1参照)
特許文献1に記載の発明においては、稲種子が動力散布機や播種機を用いて播種されるため、機械的衝撃によって崩壊しない程度の強度特性が必要である。そのため、製造された被覆稲種子について、被覆層の崩壊程度の測定法(以下、被覆層の崩壊試験という)、すなわち1.3mの高さから厚さ3mmの鋼板に5回落下させ、機械的衝撃を与える方法で測定して、被覆層に実用的な強度が得られていることを確認している。
なお、特許文献1においては、特に鉄粉粒度分布に着目はされていないが、特許文献1に記載の粒度分布を有する鉄粉を被覆層に使用した場合には、上記の鉄粉被覆稲種子の崩壊試験において、いずれも実用的な衝撃強度を維持できるとしている。
特許文献2では、被覆の均一性を目的とし、鉄粉と結合剤を予め混合した被覆剤が提案されている。
金属鉄粉の酸化反応によって生成した錆により、鉄粉を稲種子に付着、固化したものは、それ自体強固であることは、前述のとおりであるが、一方で、同時に隣会う稲種子同士の固着も招く。養生時、薄く広げて、稲種子粒子間の間隔をとれる場合は問題ないが、大量製造時、ある程度まとまった量を嵩高く養生する場合には、これらが一塊となる、いわゆる塊状化が起きてしまう。この場合、これを解砕する必要があるが、この時、先に稲種子表面に固着した被覆層を損傷したり、また粉塵を発生し、環境を悪化させる懸念がある。
このような課題を解決するために、特許文献3においては、被覆の最終段階で、シリカゲルを薄く被覆することを提案している。このようにすることで、隣り合う稲種子間の固着が防げる。
特許第4441645号公報 特許第5403030号公報 特開2014−221009号公報
鉄粉被覆層の付着強度に関し、特許文献1においては、特に播種工程における落下による衝撃に起因した鉄粉被覆層の崩壊について検討されている。そのため、強度試験として、1.3mの高さから厚さ3mmの鋼板に5回落下させて機械的衝撃を与えるという崩壊試験が行われている。
しかしながら、稲種子は播種工程のみならず、輸送工程においても機械的な外力を受ける。すなわち、輸送工程において稲種子が受ける機械的外力は、落下による衝撃の他、稲種子間もしくは稲種子と容器間で生じる滑りや転がりの摩擦力である。
落下による衝撃を受けた場合、鉄粉被覆層は割れによって剥離するが、摩擦力を受けた場合には、磨り減りにより徐々に剥離するという形態をとる。
したがって、鉄粉被覆層を播種工程のみならず輸送工程での鉄粉被覆層の剥離を防止するには、摩擦力に対する強度を有する被覆が必要となる。
しかしながら、稲種子の滑りや転がり摩擦応力に対して十分な強度で稲種子を被覆できる鉄粉や、鉄粉を被覆した稲種子を実現する技術はなかった。
また、特許文献1に記載の鉄粉の粒度分布は、45μm以下の微粒径の割合が85%と多いか、もしくは、35%未満と少ないもののみが開示されている。しかし、微粒状の鉄粉を多量に含有する鉄粉を使用した場合には、鉄粉が空気中の酸素と急激に反応し、発熱によって鉄粉を被覆した稲種子がダメージを受ける可能性を防止するための処理が必要となる。加えて、微細な鉄粉は粉塵を生じやすいため、清浄な作業環境を維持しにくいという問題もある。
一方、微粒状の鉄粉の含有量が過小で、粗粒鉄粉の含有量が過大な場合には、鉄粉表面を被覆するための粒子数が不足し、均一な被覆層形成が不可能になり、結果的に被覆層強度が低下するおそれがある。
また、特許文献1においては、鉄粉の稲種子への付着を強化するために結合剤を添加することが開示されており、結合剤として硫酸塩及び/又は塩化物を加え、さらに水を添加して造粒するとしている。そして、具体的な造粒方法としては、鉄粉と硫酸塩及び/又は塩化物と稲種子を回転容器中に投入して、水スプレーしながら稲種子表面に鉄粉と石膏を被覆するようにしている。
しかしながら、特許文献1に開示された上記のような造粒方法を用いた場合、鉄粉と結合剤の凝集粒子が生成しやすい。
凝集粒子は、鉄粉の稲種子への付着の歩留まりの低下を招き、また被覆層成分の均一性を阻害し、さらに被覆作業性の低下を来たすという種々の問題の原因となり得る。
このような課題を解決するものとして特許文献2が提案されている。ここでは、予め、ある特定の粒度の鉄粉と、特定の粒度の結合剤とを予め、均一に混合しておくことで、上記課題を解決するためになされたものであり、播種工程のみならず輸送工程においても鉄粉の剥離が少ない被覆が実現でき、また、稲種子に対してダメージを与える可能性が少なく、さらには取り扱いも容易になることが示されている。
このように改良されてきた被覆における被覆層強度は、十分に強固なものとなっている。一方で、そのことは、隣り合う、稲種子間の固着強度も上昇していることに他ならない。これにより鉄被覆稲種子の凝集粒子ができ、播種するためには、これを解砕する必要が生じる。この際、せっかく被覆した被覆層がはげたり、場合によっては、稲種子自体を傷つけたりする可能性があり、また、この解砕作業は、多くの粉塵を発生し、環境的にも好ましくない。
このような課題を解決するために、特許文献3では、被覆の最終段階で、被覆稲種子表面にシリカゲルを被覆することを提案している、シリカゲルを被覆することで、隣合う、稲種子間の凝集・塊化が避けられる。しかし、ここまで述べたいずれの方法においても、被覆の最終段階の仕上げ被覆は避けられず、作業的には、煩雑である。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、播種工程のみならず輸送工程においても鉄粉の剥離が少なく、かつ、被覆時の仕上げ工程を省略できる稲種子被覆剤を提供することを目的とする。
本発明は、以下を要旨とするものである。
[1]鉄粉と結合と添加剤を含む稲種子被覆剤であって、前記鉄粉は、粒子径が45μm以下の鉄粉の質量比率が35%超85%未満、かつ粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率が75%超であり、前記添加は、比表面積が10〜300m/g、平均粒子径が500nm以下であることを特徴とする稲種子被覆剤である。
[2]前記結合剤と添加剤の添加量の合計が、前記鉄粉100質量部に対し5〜30質量部であり、かつ、前記結合剤と添加剤の合計に対する50〜90質量%が前記添加剤であることを特徴とする上記[1]に記載の稲種子被覆剤である。
[3]前記添加剤が、SiO、Al、CaCO、MgCOおよび、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムのうちのいずれか1種以上であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の稲種子被覆剤である。
[4]前記結合剤が3価の鉄化合物であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の稲種子被覆剤である。
[5]前記結合剤が焼石膏であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の稲種子被覆剤である。
本発明によれば、播種工程のみならず輸送工程においても鉄粉の剥離が少なく、かつ、被覆時の仕上げ工程を省略できる稲種子被覆剤が得られる。
稲種子表面を表す図である。 稲種子表面を表す図である。 稲種子表面を表す図である。 稲種子拡大図である。 鉄をコーティング(被覆)した米粒子断面(3重被覆層)のイメージ図である。
本発明に係る稲種子被覆剤は、稲種子表面を被覆するのに用いるものであり、鉄粉と結合剤と添加剤を含む稲種子被覆剤である。
<鉄粉についての検討>
鉄粉は、粒子径が45μm以下の鉄粉の質量比率が35%超85%未満、かつ粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率が75%超である。これにより、鉄粉が稲種子表面の微細な凹凸の凹部に入り込んで付着し強固な被覆層を形成できる。
鉄粉の粒度分布
稲種子表面には、図1〜3に示すように小さな凹凸が存在しており、その凹部の間口は40〜50μmと見て取れる。従って、粒子径が45μm以下の鉄粉は、この凹部に入り込みこの窪みを埋めることができる。粒子径が45μm以下の鉄粉の質量比率を35%超とすることで、鉄粉が稲種子表面の微細な凹凸の凹部に入り込んで付着し、強固な被覆層を形成することができる。
一方、粒子径が45μm以下の鉄粉の質量比率を85%以上では、微粒径の鉄粉の含有量が増えると、鉄粉が空気中の酸素と急激に反応し、発熱によって鉄粉を被覆した稲種子がダメージを受ける可能性がある。さらに、微細な鉄粉の含有量が多いと、粉塵を生じやすく清浄な作業環境を維持しにくい。
さらに、稲種子には、図4に示すような毛5が生えている。この毛5と毛5の間隔は、およそ50〜150μmとされる。従って、50μm以上150μm以下の粒子中、粒子径が比較的細かい63μm以下の鉄粉であれば、これらは、毛の間に入り込み、先の凹凸が埋められた稲表面をさらに覆うことが可能になる。粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率を75%超であれば、粒子径が63μm以下の鉄粉は稲種子の表面にある毛に保持され、あるいは毛の間をすり抜けて稲種子の表面に粒子間の付着力によって付着する。その結果、図5に示すような三重被覆層からなる稲種子が得られる。
粒子径が150μmを超える鉄粉の質量比率は10%未満とすることが好ましい。粒子径が150μmを超える鉄粉は毛による保持及び稲種子表面への直接の付着共に期待ができない。よって粒子径が150μmを超える鉄粉は少ない方が好ましく、10%未満が好ましい。
なお、鉄粉の粒子径とは、その粒子が通過する篩いの最小の目開きであり、鉄粉の粒度分布(粒子径およびその質量比率)は、JIS Z2510−2004に定められた方法を用いてふるい分けすることによって、測定、評価できる。
<添加剤についての検討>
添加剤は、比表面積が10〜300m/g、平均粒子径が500nm以下である。比表面積を10〜300m/gとすることで、鉄粉同士の固着を防止できる。また、平均粒子径を500nm以下とすることで、直接の鉄粉粒子同士の接触を避け、酸化、錆び発生による被覆強度を低下させ稲種子の凝集を防ぐことができる。以上により添加剤を稲種子被覆剤に含むことにより、稲種子同士の固着を防止でき、稲種子の凝集を防止できる。
添加剤の比表面積
本発明の稲種子被覆剤中の添加剤の比表面積は、10〜300m/gである。このような添加剤は、一般に粒子が細かく嵩密度が小さい。従って、鉄粉と混合した場合、鉄粉自体の嵩密度が小さくなり、被覆層の厚みは大きくなる。また、鉄粉粒子の表面に付着するため、鉄同士の固結を抑えることができる。そもそも、稲種子同士の固着がおき、塊状になるのは、鉄粉粒子同士の固着によると考えられるので、これを抑制すれば、稲種子の塊化は防止できる。10m/gより小さいと粒子径も大きくなり、鉄同士の固着を防止できない。一方、300m/gより大きくなると、鉄粒子間の距離が大きくなりすぎ、鉄を酸化させ錆を形成することで被覆層の強度を向上させる際の妨げとなる。なお、比表面積は以下の方法により測定することができる。固体物質およびその周囲に存在するガスは、急速に冷却されるとファンデルワールス力によって互いに引き付け合う。 この現象をガス吸着現象(物理吸着現象)という。 吸着したガスの量を測定し、BET式に代入する事によって固体の表面積を計算する事ができる。本発明では、吸着ガスの窒素と、キャリアガスのHeを混合したものを流し、吸着時の混合比を検出する方法を用いる(BET流動法)。
添加剤の平均粒子径
本発明の稲種子被覆剤中の添加剤の平均粒子径は、500nm以下である。上述のように、細かい粒子のものは、嵩高くなり、また、鉄粉表面にも付着することから、直接の鉄粉粒子同士の接触を避け、酸化、錆び発生による被覆層強度を若干低下させることができる。これにより、稲種子同士の固着を防止できる。500nmより大きいと、粒子が大きすぎ、一部、鉄粒子同士の固着が発生し、稲種子が塊状化する。なお、添加剤の平均粒子径とは球相当径であり、レーザー回折法により測定することができる。
<結合と添加剤の割合の検討>
結合剤と添加剤の添加量の合計が、鉄粉100質量部に対し5〜30質量部であり、かつ、結合剤と添加剤の合計に対する50〜90質量%が添加剤とすることで、鉄粉同士の結合が過剰に強固になるのを防ぎ、被覆層の強度を維持することが可能となる。
結合剤と添加剤の添加量の合計が、鉄粉100質量部に対し5質量部を下回ると、鉄粉同士の結合が強固になりすぎ、塊状となる。また、結合剤と添加剤の添加量の合計が、鉄粉100質量部に対し30質量部を超えると被覆層の強度が低くなり、搬送時などの剥離につながる。
結合剤と添加剤の合計に対する添加剤の割合が50質量%未満では隣会う稲種子同士が固着し、大きな塊になり播種用にはその解砕が必要である。一方90質量%超えでは稲種子に対する鉄粉の初期の付着力が不足し、被覆が不十分となる。
添加剤としては、SiO、Al、CaCO、MgCO、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムのうちの1種以上であることが好ましい。これらは、比較的容易に、比表面積が大きく粒子径の細かいものを入手することができ、経済的である。また、これらの水に対する溶解度は小さく、これにより被覆層中で、鉄粒子同士の固着を防ぐことができる。
<結合剤についての検討>
本発明の稲種子被覆剤は、結合剤を含む。結合剤を含むことで乾燥初期に鉄粉を籾表面に固着できる。コーティング時は、水を散布することで、これが結合剤代わりとなって、鉄粉は籾表面に固着するが、散布水は少量なのでコーティング後まもなく乾燥し、その際、水に変わる結合剤が存在しないと、鉄粉は脱離する。
結合剤としては3価の鉄化合物であることが好ましい。各種鉄粉および酸化鉄の水中での溶解性を検討したところ、3価の鉄化合物が比較的よく溶解することを見出した。これによって発生する、水酸化物イオンなどが、錆の形成を促進すると考えられる。
3価の鉄化合物としては、具体的には、ヘマタイト、ゲーサイトなどが挙げられる。被覆層の最終的な強度は、鉄の酸化物すなわち錆によって発現すると考えられており、結合剤がヘマタイト、ゲーサイトなどの3価の鉄化合物であると、水酸化物イオンが発生し、錆の形成を促進でき、被覆層の強度を向上させる。
また、焼石膏は、解離した硫化物イオンが鉄の酸化を促進する(鉄粉の錆を促進)と考えられており、錆の形成による被覆層の強度向上に効果がある。この点から結合剤として焼石膏を好適に用いることができる。上述したように、被覆層の最終的な強度は、錆によって発現すると考えられており、その意味では、初期の石膏による被覆層の強度は、あまり高くない。また、硫酸イオンは、苗立ち性(播いた種子が発芽、成長して幼植物になること)に対し悪影響があるとの報告もあり、可能であれば、硫酸化合物は、使用しない方がよい。
(発明例1)還元鉄粉を粉砕・分級・粒度調整して所定の粒度とし、45μm以下の鉄粉の質量比率が52%、かつ粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率が95%の鉄粉を用意した。これに、結合剤として比表面積が3m/gの酸化鉄(ヘマタイト)を5質量部、さらに添加剤として比表面積が200m/gの酸化ケイ素(SiO)を15質量部添加し、容器回転式の混合機で60分混合し、所定の稲種子被覆剤を得た。稲種子(品種名クサノホシ)100gを予め水に5分間浸漬し、その後、引き上げて水分量が、12gとなったものに対して50質量部の上記被覆剤を添加して混合し、皿型回転造粒機(商品名:パン型造粒機PZ−01、アズワン(株)製)で、脱イオン水をスプレー(散布量4g)しながら造粒した。
次に、造粒した被覆稲種子を造粒機から取り出し、200ccのポリビーカーに入れ、恒温恒湿槽で25℃、湿度95%で12時間養生後、さらに25℃、湿度30%で36時間乾燥させ、鉄粉被覆稲種子を作製した。
(発明例2〜5、比較例1〜4)
表1に示す鉄粉、結合剤、添加剤を用いて、発明例1と同様の方法にて鉄粉被覆稲種子を作製した。
以上により得られた鉄粉被覆稲種子に対して、被覆(コーティング)評価として、外観、塊化率、圧壊荷重、付着量、脱粒率を調査した。
外観
上記ビーカを逆さにし、塊状化の状況を観察した。個々の粒子を観察し、籾表面の露出が目視で観察できないものを「○」とした。
塊化率、圧壊荷重
上記ビーカを逆さにし、全体のどれだけの稲種子が塊化しているかを計測した。さらに、塊に関しては、圧壊試験を行い、その圧壊荷重(好ましくは、塊化率0%、すなわち圧壊試験が不要であることが望ましい)を測定し、これら塊化率と圧壊荷重を稲種子どうしの固着状況の指標とした。
ここで、塊化率とは、乾燥後、上記ポリビーカーを上下反転し、種子を取り出す際、塊となってでてきたものの重量分率であり、圧壊荷重とは、その塊を量りの上で圧縮したときの破壊荷重を読み取ったものである。
付着量
上記塊を完全にほぐした鉄粉被覆稲種子について、100粒の質量を測定し、被覆していない稲種子100粒の質量を測定してその差を付着量とした。
脱粒率
剥離性を評価する目的で、目開き2mmの篩で篩い、篩下の質量分率を求め、これを脱粒率とした。
試験結果、および鉄粉の仕様を表1に示す。
表1に示されるように、本発明範囲のもの(発明例1〜5)では、被覆状態、塊化率、圧壊荷重、付着量、脱粒率ともに全て実用的な範囲にあることが確認された。
比較例1では、鉄粉に、平均粒径8μmの焼石膏を結合剤として10質量部添加し、容器回転式混合機で60分混合したものを稲種子被覆剤としたものである。コーティングの外観は問題ないが、塊化率が90%と高く、圧壊荷重も10kgfと高く、不適である。
比較例2では、ヘマタイトを結合剤として10質量部添加し、混合したものを稲種子被覆剤としたものである。添加剤がないため、塊化率が80%と高く、圧壊荷重も9kgfと高く、不適である。
比較例3では、ゲーサイトを結合剤として5質量部および比表面積1m/g、平均粒径2000nmのSiOを添加剤として20質量部添加し混合したものを稲種子被覆剤としたものである。添加剤の比表面積が小さく、平均粒径が大きいため、塊化を防止することができず、塊化率、圧壊荷重ともに不適である。
比較例4は、鉄粉の粒度分布を、45μm以下を25%、63μm以下を45%と、他の実施例のものより粗いものを使用し、発明例1で使用した塊化防止効果のあるSiOを添加剤として使用したものである。鉄粉の粒子径が大きいため、コーティング外観が不良(種子を完全に覆えていない)であり、また、脱粒率が大きく不適である。
1 種籾
3 籾殻
5 毛

Claims (5)

  1. 鉄粉と結合剤と添加剤を混合してなり、鉄粉と結合剤と添加剤を含む稲種子被覆剤であって、前記鉄粉は、粒子径が45μm以下の鉄粉の質量比率が35%超85%未満、かつ粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率が75%超であり、前記添加剤は、比表面積が10〜300m/g、平均粒子径が500nm以下であることを特徴とする稲種子被覆剤。
  2. 前記結合剤と添加剤の添加量の合計が、前記鉄粉100質量部に対し5〜30質量部であり、かつ、前記結合剤と添加剤の合計に対する50〜90質量%が前記添加剤であることを特徴とする請求項1に記載の稲種子被覆剤。
  3. 前記添加剤が、SiO、Al、CaCO、MgCOおよび、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムのうちのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の稲種子被覆剤。
  4. 前記結合剤が3価の鉄化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の稲種子被覆剤。
  5. 前記結合剤が焼石膏であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の稲種子被覆剤。
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