JP6692426B2 - 種子及び植物の栽培方法 - Google Patents

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Description

本開示は、種子及び植物の栽培方法に関する。
磁力が植物の発芽及び成長を促進することが知られており、種子及び植物体に対して磁力を付与する方法が提案されている。
例えば、特許第3539651号公報には、多孔質の無機質で被覆した種子と、磁性体を含む肥料成分とを一体化した種子が開示されている。
特許第3493099号公報には、種子と土とを混合して成形した粒状体と、磁性体を含む肥料成分とを一体化した種子が開示されている。
特許第3539651号公報及び特許第3493099号公報に記載された成育材料と一体化した種子(以下、「一体化種子」と称する。)によれば、発芽率が向上し得るとされている。
しかし、本発明者が確認したところ、特許第3539651号公報に記載された一体化種子のように、発芽率を向上し得る磁性体を含んでいても、原料種子が無機質の多孔質の微粉末で被覆されている場合には、発芽率は原料種子自体が本来有するものよりもむしろ低下することが判明した。
特許第3493099号公報に記載された一体化種子についても、原料種子が土で被覆されていることから、特許第3539651号公報の場合と同様の傾向を示すことが十分に考えられる。
本発明の一実施形態は、発芽率に優れる種子を提供することを課題とする。
また、本発明の他の一実施形態は、発芽率に優れる種子を用いた植物の栽培方法を提供することを課題とする。
課題を解決するための具体的手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 保磁力が40kA/m以上の着磁された磁性粒子を表面に有する種子。
<2> 上記保磁力が40kA/m以上319kA/m以下である<1>に記載の種子。
<3> 上記保磁力が120kA/m以上239kA/m以下である<1>に記載の種子。
<4> 上記磁性粒子の飽和磁化が35Am/kg以上である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の種子。
<5> 上記磁性粒子の飽和磁化が35Am/kg以上130Am/kg以下である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の種子。
<6> 上記磁性粒子の飽和磁化が40Am/kg以上80Am/kg以下である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の種子。
<7> 上記磁性粒子及び結合剤を含む磁性層を表面に有する<1>〜<6>のいずれか1つに記載の種子。
<8> <1>〜<7>のいずれか1つに記載の種子を、土壌に播種することを含む植物の栽培方法。
<9> <1>〜<7>のいずれか1つに記載の種子を、植物栽培用培地に播種することを含む植物の栽培方法。
<10> 植物栽培用培地は、空隙を有する基体に、着磁された磁性粒子が分散担持されている<9>に記載の植物の栽培方法。
本発明の一実施形態によれば、発芽率に優れる種子が提供される。
また、本発明の他の実施形態によれば、発芽率に優れる種子を用いた植物の栽培方法が提供される。
培地として脱脂綿を用いて水耕栽培した実施例1、実施例2、実施例3、及び比較例1の種子の最終発芽率及び良品率を比較したグラフである。
以下、本発明を適用した種子及び植物の栽培方法の実施形態の一例について説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の実施形態の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、層中、又は植物栽培用培地中の各成分の量は、各成分に該当する物質が層中、又は植物栽培用培地中に複数存在する場合には、特に断らない限り、層中、又は植物栽培用培地中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書では、本開示の種子の原料となり得る「種子一般」を「原料種子」、又は、単に「種子」と称し、本開示の種子とは区別するものとする。
[種子]
本開示の種子は、保磁力が40kA/m以上の着磁された磁性粒子を表面に有する種子である。本開示の種子は、発芽率に優れる。
本開示の種子が、このような効果を奏し得る理由については明らかではないが、本発明者は以下のように推測している。
本開示の種子は、着磁された磁性粒子を表面に有するため、磁性粒子の磁力が原料種子に対して効果的に作用すると考えられる。また、本開示の種子が有する磁性粒子は、保磁力が40kA/m以上と高いため、磁力が減衰し難く、磁性粒子の磁力が原料種子に対して持続的に作用すると考えられる。以上のように、本開示の種子は、磁性粒子の磁力が原料種子に対して、効果的に、かつ、持続的に作用するため、発芽率に優れると考えられる。
一方、特許第3539651号公報に記載の一体化種子は、発芽率を向上し得る磁性体を含んでいるが、原料種子が無機質の多孔質の微粉末で被覆されており、磁性体の磁力が原料種子に作用し難いと考えられる。実際、本発明者が確認したところ、特許第3539651号公報に記載された一体化種子の発芽率は、原料種子自体が本来有する発芽率よりもむしろ低いことが判明した。
また、特許第3493099号公報に記載の一体化種子についても、発芽率を向上し得る磁性体を含んでいるが、原料種子が土で被覆されているため、特許第3539651号公報に記載の一体化種子と同様に、磁性体の磁力が原料種子に作用し難く、良好な発芽率は得られないものと考えられる。
以下、本開示の種子及びこの種子を用いた植物の栽培方法について、詳細に説明する。
磁性粒子の保磁力(Hc)は、40kA/m以上であり、79kA/m以上であることが好ましく、120kA/m以上であることがより好ましい。
磁性粒子の保磁力(Hc)が40kA/m以上であると、磁化が減衰し難く、磁性粒子の磁力が原料種子に対して持続的に作用するため、優れた発芽率が得られる。
発芽率は、磁性粒子の保磁力(Hc)が高ければ高いほど向上するというわけではない。一方、磁性粒子は、保磁力(Hc)が高いほど、着磁させるために大きな磁力を必要とする。
このような観点から、磁性粒子の保磁力(Hc)の上限は、319kA/m以下であることが好ましく、279kA/m以下であることがより好ましく、239kA/m以下であることが更に好ましい。
磁性粒子の保磁力(Hc)は、振動試料型磁力計を用いて、雰囲気温度25℃の環境下、印加磁場79.6kA/mの条件にて測定される値である。
測定装置としては、例えば、東英工業(株)製のVSM−P7を好適に用いることができる。但し、測定装置は、これに限定されない。
磁性粒子の保磁力(Hc)は、磁性粒子の結晶構造、粒子形状、材料の組成(例えば、添加元素の種類)等を制御することにより、調整することができる。
磁性粒子の単位質量あたりの飽和磁化(δs)は、特に限定されない。
磁性粒子は、飽和磁化(δs)が高いほど、より少ない量で発芽率を向上させることができる。
このような観点から、磁性粒子の飽和磁化(δs)は、35Am/kg以上であることが好ましく、40Am/kg以上であることがより好ましい。
磁性粒子の飽和磁化(δs)の上限は、特に限定されず、例えば、耐酸化安定性の観点から、130Am/kg以下であることが好ましく、80Am/kg以下であることがより好ましい。
磁性粒子の飽和磁化(δs)は、振動試料型磁力計を用いて、雰囲気温度25℃の環境下、印加磁場79.6kA/mの条件にて測定される値である。
測定装置としては、例えば、東英工業(株)製のVSM−P7を好適に用いることができる。但し、測定装置は、これに限定されない。
磁性粒子の材料(以下、適宜「磁性粒子材料」と称する。)は、特に限定されない。
磁性粒子材料としては、例えば、Fe、Co、Ni等の強磁性を示す金属を含む合金(所謂、磁性合金)又は酸化物(所謂、磁性酸化物)が挙げられる。
磁性粒子材料は、磁化及び保磁力の向上又は調整、耐久性の改善等の観点から、Fe、Co、Ni等の強磁性を示す金属以外に、Al、Si、S、Sc、Ti、V、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Sm、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Bi、La、Ce、Pr、P、Zn、Sr、B等の元素を含んでいてもよい。
磁性粒子は、既述したように、発芽率の向上の観点から、飽和磁化(δs)が高い方が好ましい。しかし、飽和磁化(δs)が高い金属は、腐食して磁化量が低下する傾向がある。このような理由から、磁性粒子材料としては、腐食による減磁を防止する観点から、磁性酸化物が好ましく、Feを主成分とする磁性酸化物がより好ましい。ここで、「主成分」とは、磁性酸化物の構成比率で50質量%以上含む成分を意味する。
Feを主成分とする磁性酸化物としては、六方晶フェライト(バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等)、マグネタイト、γ−フェライトなどが挙げられる。
なお、磁性粒子材料としては、上市されている市販品を用いてもよい。
磁性粒子の形状は、特に限定されない。
磁性粒子の形状としては、針状、紡錘状、球状、板状、立方体状等の形状が挙げられる。「球状」には、真球状の他、回転楕円体、卵形等の形状も含まれる。
磁性粒子の大きさは、特に限定されない。
磁性粒子の平均粒子径は、例えば、原料種子に磁性粒子をより均一に近い状態で被覆する観点から、5μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。
磁性粒子は、粒子径が小さすぎると熱揺らぎが生じて、磁化を保持することができないため、磁性粒子の平均粒子径の下限は、保磁力を確保する観点から、通常、0.01μm以上とする。
磁性粒子の平均粒子径は、以下の方法により測定される値である。
磁性粒子を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察し、撮影した写真の画像から、任意に抽出した500個の磁性粒子について投影面積を測定し、測定した投影面積から円相当径を求める。求めた円相当径の値を算術平均することにより得られた値を磁性粒子の平均粒子径とする。なお、円相当径は、撮影した磁性粒子の写真を画像処理ソフト(例えば、「ImageJ」アメリカ国立衛生研究所製)に取り込み、画像処理を施し、個々の粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径を算出することにより得る。
本開示の種子は、既述の磁性粒子の少なくとも1種を表面に有する種子である。
「磁性粒子を表面に有する」とは、磁性粒子が、他の成分を介することなく原料種子の表面に接して存在する態様(以下、適宜「第1の態様」と称する。)、及び磁性粒子を含む層(以下、適宜「磁性層」と称する。)が、原料種子の表面に接して存在する態様(以下、適宜「第2の態様」と称する。)をいう。なお、第2の態様には、磁性粒子が結合剤を介して原料種子の表面に存在する態様が包含される。
磁性粒子又は磁性層は、種子の表面の少なくとも一部に存在している状態であればよく、発芽率を効率良く向上させる観点からは、磁性粒子又は磁性層が、原料種子の表面の1/4以上に存在していることが好ましく、原料種子の表面の1/2以上に存在していることがより好ましく、原料種子の表面の全体に存在していることが特に好ましい。
磁性粒子が、他の成分を介することなく原料種子の表面に接して存在する態様(即ち、第1の態様)は、磁性粒子の磁力が原料種子に対してより効果的に作用し得る点において、好ましい態様である。
第1の態様は、例えば、表面を水で濡らした原料種子に磁性粒子を付着させた後、乾燥することで実現することができる。
原料種子に付着させる磁性粒子の含有量は、特に限定されず、植物の種類、原料種子の大きさ、磁性粒子の飽和磁化(δs)等に応じて、適宜設定することができる。
磁性層が、原料種子の表面に接して存在する態様(即ち、第2の態様)は、第1の態様と比較して、磁性粒子が原料種子の表面に安定した状態で存在するため、播種、水遣り等の際に、原料種子から磁性粒子が脱落し難い点において、好ましい態様である。
第2の態様を有する種子としては、例えば、磁性粒子及び結合剤を含む磁性層を表面に有する種子、すなわち、表面が磁性粒子及び結合剤を含む磁性層で被覆された種子が挙られる。
磁性層中における磁性粒子の含有率は、特に限定されない。
磁性層中における磁性粒子の含有率は、例えば、磁性層の磁化を高め、発芽率をより向上させる観点から、磁性層に含まれる全固形分に対して、25質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
磁性層中における磁性粒子の含有率の上限は、特に限定されず、例えば、磁性層の膜強度の観点から、90質量%以下であることが好ましい。
結合剤としては、特に限定されないが、例えば、植物の成長を阻害しない、環境に影響を与えない等、安全性の高い結合剤であることが好ましい。
結合剤としては、澱粉、ゼラチン、多糖類、水溶性セルロース誘導体、水溶性樹脂(水溶性ビニルポリマー誘導体、水溶性アクリル酸コポリマー、多価アルコールポリマー等)、消石灰、石膏(例えば、焼石膏)、粘土等が挙げられる。
ここで、「水溶性樹脂」とは、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の蒸留水に浸漬した場合の、蒸留水100gに対する溶解量が1gを超える樹脂を意味する。
これらの結合剤は、種子と層との接着性の確保だけでなく、磁性層中における磁性粒子の分散性の保持にも寄与し得る。
磁性層中における結合剤の含有率は、特に限定されず、例えば、磁性層に含まれる全固形分に対して、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
磁性層は、既述の磁性粒子及び結合剤以外に、効果を妨げない範囲において、必要に応じて、成長成分(有機石灰、油粕等)などの他の成分を含んでいてもよい。
磁性層の厚みは、特に限定されず、目的に応じて、適宜設定することができる。
第2の態様は、例えば、原料種子の表面に結合剤を含む液を塗布した後、磁性粒子を付着させ、次いで、乾燥させることで実現することができる。このような方法によれば、磁性粒子を原料種子の表面の全体に存在させやすい。
また、第2の態様は、例えば、磁性粒子及び結合剤を含む混合液を原料種子の表面に塗布した後、乾燥させることで実現することができる。
また、第2の態様は、原料種子、磁性粒子、結合剤、及び水を用いた造粒により実現することができる。造粒方法は、特に限定されず、公知の造粒方法を選択することができる。
結合剤として焼石膏を用いた場合の造粒方法については、例えば、「鉄コーティング湛水直播マニュアル2010(2010年3月:独立行政法人 農業・食品技術総合研究機構近畿中国四国農業研究センター)」に記載の方法を参照することができる。
本開示の種子は、作業性改善の観点から、磁性粒子(又は磁性層)を被覆する被覆層を有していてもよい。
被覆層を形成する材料としては、特に限定されないが、例えば、植物の成長を阻害しない、環境に影響を与えない等、安全性の高い材料であることが好ましい。
被覆層を形成する材料としては、例えば、粘土が好適である。
本開示における磁性粒子は、着磁された磁性粒子である。
磁性粒子への着磁方法は、特に限定されず、公知の着磁方法の中から適宜選択することができる。例えば、磁性粒子への着磁方法としては、ネオジム磁石等の永久磁石を用いて着磁する方法、ソレノイドを用いて着磁する方法などが挙げられる。
磁性粒子に付与する磁力は、磁性粒子を飽和磁化させる観点から、通常、磁性粒子の保磁力の3倍以上であることが好ましい。
着磁は、原料種子に被覆する前の磁性粒子に対して行なってもよいし、原料種子に被覆した後の磁性粒子に対して行なってもよい。なお、本開示の種子を、鉄製のベッセルを用いて造粒する場合には、原料種子に被覆する前の磁性粒子に対して着磁を行なうと、磁性粒子が鉄製のベッセルに付着し、造粒することが困難となるため、原料種子に被覆した後の磁性粒子に対して着磁を行なうことが好ましい。
[植物の栽培方法]
本開示の植物の栽培方法は、既述の本開示の種子を用いて植物を栽培する方法である。
本開示の植物の栽培方法は、本開示の種子が奏する効果、すなわち、発芽率が優れるという効果を損なわなければ、種子の播種対象は、特に限定されない。
本開示の種子は、土壌栽培及び水耕栽培のいずれの栽培にも適用することができる。
以下、本開示の植物の栽培方法の好ましい例について説明する。但し、本開示の植物の栽培方法は、下記の方法に限定されるものではない。
本開示の植物の栽培方法の1つは、本開示の種子を、土壌に播種することを含む植物の栽培方法である。
本開示の種子を土壌に播種する方法は、特に限定されず、植物の種類に応じて、公知の播種方法の中から適宜選択することができる。
本開示の植物の栽培方法の1つは、本開示の種子を、植物栽培用培地に播種することを含む植物の栽培方法である。
本開示の種子を植物栽培用培地に播種する方法は、特に限定されず、植物の種類に応じて、公知の播種方法の中から適宜選択することができる。また、植物栽培用培地としては、特に限定されず、植物の種類に応じて、公知の植物栽培用培地の中から適宜選択することができる。
植物栽培用培地としては、土壌栽培に用いられる培地であってもよく、水耕栽培に用いられる培地であってもよい。また、植物栽培用培地は、育苗培地であってもよい。
「育苗培地」とは、水耕栽培ベッド又は土壌に定植するまで苗を育てるために用いられる培地を意味する。育苗培地で育てた苗は、通常、培地とともに定植する。また、「定植」とは、育った苗を最終的に育てる場所に植え替えることを意味する。
本開示の植物の栽培方法では、植物栽培用培地は、空隙を有する基体に、着磁された磁性粒子が分散担持されている植物栽培用培地(以下、適宜「特定植物栽培用培地」と称する。)であることが好ましい。
本開示の種子を特定植物栽培用培地に播くと、種子の発芽率が向上するだけでなく、発芽後の葉、茎、根等の伸長率が向上し、植物の成長が促進されるため、一般的な植物栽培用培地に播種する場合と比較して、植物の生産性が良好となる。
特定植物栽培用培地によれば、植物の成長が促進される理由については明らかではないが、特定植物栽培用培地では、着磁された磁性粒子が、空隙を有する基体に分散担持されているため、磁性粒子の磁力が、種子だけでなく、空隙に入り込んだ根に対しても何らかの作用を及ぼすのではないかと考えられる。
基体としては、空隙を有していれば、特に限定されず、植物栽培用培地に用いられる公知の基体の中から、植物の種類等に応じて、適宜選択することができる。
基体は、天然物であってもよく、合成物であってもよい。
基体としては、スポンジ、綿(例えば、脱脂綿)、ロックウール、不織布等が挙げられる。
これらの中でも、基体としては、十分な吸水力と保水力とを有するという観点から、スポンジ、綿、又はロックウールが好ましく、コストの観点から、スポンジ又は綿がより好ましく、基体中に磁性粒子を分散担持させやすいという観点から、スポンジが更に好ましい。
なお、特定植物栽培用培地を育苗培地として用いる場合には、基体としては、定植の作業性の観点から、ロックウール又はスポンジが好ましい。
特定植物栽培用培地は、通常、水と接触する環境下で使用されるため、基体は、水不溶性の材料で形成されていることが好ましい。基体を形成する材料が水不溶性であると、基体に分散担持されている磁性粒子による土壌又は水の汚染を防止することができる。特定植物栽培用培地を水耕栽培に用いる場合には、基体は、常に水と接触するため、水不溶性の材料で形成されていることが特に望ましい。
「水不溶性の材料」とは、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の蒸留水に浸漬した場合の、蒸留水100gに対する溶解量が1g以下である材料を意味する。
例えば、基体がスポンジである場合、スポンジの材料としては、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ニトロセルロース等の樹脂、海綿などが挙げられる。
これらの中でも、スポンジの材料としては、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、及びニトロセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましく、コストの観点から、ウレタン樹脂がより好ましい。
ウレタン樹脂としては、例えば、ポリエステル/ポリウレタン、ポリエーテル/ポリウレタン、ポリエーテル/ポリエステル/ポリウレタン、ポリカーボネート/ポリウレタン、ポリエステル/ポリカーボネート/ポリウレタン、ポリカプロラクトン/ポリウレタン/ポリオレフィン/ポリウレタン等の構造を有するウレタン樹脂を用いることができる。
スポンジの材料である樹脂としては、磁性粒子の分散性の観点から、必要に応じて、−COOM、−SOM、−OSOM、−P=O(OM)、−O−P=O(OM)(以上、Mは、水素原子又はアルカリ金属原子を示す。)、−OH、−NR、−N(以上、Rは、炭化水素基を示す。)、エポキシ基、−SH、及び−CNからなる群より選ばれる少なくとも1種の極性基を共重合又は付加反応で導入した樹脂が好ましい。このような極性基の量は、10−8モル/g〜10−1モル/gであることが好ましく、10−6モル/g〜10−2モル/gであることがより好ましい。
樹脂の重量平均分子量は、培地の耐久性及び磁性粒子の分散性の観点から、好ましくは10000以上200000以下であり、より好ましくは30000以上150000以下である。
上記の樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算の値である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定は、測定装置として、HLC(登録商標)−8020GPC(東ソー(株))を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super Multipore HZ−H(4.6mmID×15cm、東ソー(株))を3本用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、測定条件としては、試料濃度を0.45質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、及び測定温度を40℃とし、RI検出器を用いて行う。
検量線は、東ソー(株)の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、及び「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
基体が有する空隙の大きさは、特に限定されず、例えば、伸長した根が入り込むことができる程度の大きさであることが好ましい。
磁性粒子の磁力は、磁性粒子からの距離の2乗に反比例する。したがって、磁性粒子の磁力を根に対してより効果的に作用させる観点から、基体が有する空隙の大きさは、基体に分散担持された磁性粒子と空隙に入り込んだ根との距離が近くなるように、根の太さよりも大きく、かつ、根の太さにできるだけ近い大きさであることがより好ましい。
ところで、基体が有する空隙の大きさが本開示の種子の大きさよりも大きい場合には、空隙の中に本開示の種子が入り込み易くなる。空隙の中に入り込んだ本開示の種子は、空気に触れ難く、常に水に浸される状態となり得るため、発芽率が低下したり、腐ったりする場合がある。
このような観点から、特定植物栽培用培地を水耕栽培に用いる場合には、基体が有する空隙の大きさは、本開示の種子の大きさよりも小さいことが好ましい。
基体中の空隙率は、特に限定されず、例えば、培地の強度を確保する観点から、99.5体積%以下であることが好ましく、99.0体積%以下であることがより好ましい。
基体中の空隙率の下限は、特に限定されず、例えば、50.0体積%以上であることが好ましい。
基体中の空隙率(単位:体積%)は、基体の見かけ密度(単位:g/cm)及び真密度(単位:g/cm)より、下記の式により算出される。なお、基体の見かけ密度は、基体の重量を基体の圧縮しない体積で除することにより算出される。
空隙率=100−(見かけ密度/真密度×100)
基体が有する空隙の大きさ及び基体中の空隙率は、例えば、基体が樹脂材料で形成されたスポンジである場合には、スポンジを発泡成形する際に使用する発泡剤の種類及び量、成形条件(温度、圧力等)などを制御することにより、調整することができる。
基体の大きさは、特に限定されず、本開示の種子の大きさ、植物の種類等に応じて、適宜設定することができる。
基体の形状は、特に限定されず、栽培環境、使用目的等に応じて、適宜設定することができる。例えば、基体の形状としては、円柱状、角柱状等の形状が挙げられる。
基体に分散担持されている磁性粒子は、特に限定されず、例えば、既述の本開示の種子における磁性粒子と同様のものを、好ましく用いることができる。
但し、磁性粒子の保磁力(Hc)は、特に限定されず、例えば、40kA/m以上であることが好ましく、79kA/m以上であることがより好ましく、120kA/m以上であることが更に好ましい。
磁性粒子の保磁力(Hc)が40kA/m以上であると、磁化が減衰し難く、磁性粒子の磁力が種子及び根に対して持続的に作用するため、発芽率の向上効果及び植物の成長促進効果をより得やすくなる。
既述のとおり、発芽率は、磁性粒子の保磁力(Hc)が高ければ高いほど向上するというわけではない。植物の成長についても、同様のことがいえる。一方、磁性粒子は、保磁力(Hc)が高いほど、着磁させるために大きな磁力を必要とする。
このような観点から、磁性粒子の保磁力(Hc)の上限は、319kA/m以下であることが好ましく、279kA/m以下であることがより好ましく、239kA/m以下であることが更に好ましい。
特定植物栽培用培地中における磁性粒子の含有率は、特に限定されず、例えば、特定植物栽培用培地の磁化を高めることで、発芽率を向上させ、かつ、植物の成長を促進させる観点から、特定植物栽培用培地の全質量に対して、4質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、9質量%以上であることが更に好ましい。
発芽率は、特定植物栽培用培地中における磁性粒子の含有率が高ければ高いほど向上するというわけではない。植物の成長についても、同様のことがいえる。一方、特定植物栽培用培地中に磁性粒子を多く含有させると、コスト高となる。
このような観点から、特定植物栽培用培地中における磁性粒子の含有率の上限は、特定植物栽培用培地の全質量に対して、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
特定植物栽培用培地における磁性粒子は、着磁された磁性粒子である。
磁性粒子への着磁方法は、既述のとおりである。
着磁は、基体に分散担持させる前の磁性粒子に対して行なってもよいし、基体に分散担持させた後の磁性粒子に対して行なってもよい。
着磁された磁性粒子が分散担持されている特定植物栽培用培地は、例えば、下記の方法により製造することができる。但し、特定植物栽培用培地の製造方法は、下記の方法に限定されるものではない。
特定植物栽培用培地の基体がスポンジである場合には、例えば、樹脂(好ましくは、ウレタン樹脂)、磁性粒子、及び発泡剤を含む樹脂組成物を発泡成形することにより、スポンジに磁性粒子が分散担持されている特定植物栽培用培地を製造することができる。
発泡剤としては、特に限定されず、樹脂の発泡成形に用いられる公知の発泡剤の中から、適宜選択することができる。
発泡剤の使用量は、特に限定されず、基体中の空隙の大きさ、空隙率等を考慮し、適宜設定することができる。
磁性粒子への着磁は、発泡成形前であってもよく、発泡成形後であってもよい。
特定植物栽培用培地の基体が綿である場合には、例えば、綿全体に磁性粒子を塗すことにより、綿に磁性粒子が分散担持されている特定植物栽培用培地を製造することができる。
また、特定植物栽培用培地の基体がロックウールである場合には、上記の綿の場合と同様に、例えば、ロックウール全体に磁性粒子を塗すことにより、ロックウールに磁性粒子が分散担持されている特定植物栽培用培地を製造することができる。
磁性粒子への着磁は、磁性粒子を綿又はロックウールに塗す前であってもよく、塗した後であってもよい。
特定植物栽培用培地は、空隙を有する基体に磁性粒子が均一又は均一に近い状態で分散担持されている植物栽培用培地を製造し易いという観点から、樹脂、磁性粒子、及び発泡剤を含む樹脂組成物を発泡成形することにより製造することが好ましい。
樹脂、磁性粒子、及び発泡剤を含む樹脂組成物を発泡成形することにより特定植物栽培用培地を製造する方法は、量産性の観点からも、好ましい方法である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例において、磁性粒子の保磁力(Hc)、飽和磁化(δs)、及び平均粒子径は、既述の方法により測定した。
なお、磁性粒子の保磁力(Hc)及び飽和磁化(δs)の測定装置には、東英工業(株)製の振動試料型磁力計(型番:VSM−P7)を用いた。
磁性粒子の平均粒子径の測定には、画像処理ソフトとして、アメリカ国立衛生研究所製のImageJを用いた。
<実施例1>
ルッコラ〔品種:オデッセイ、デンマーク産、検定発芽率:65%、(株)サカタのタネ〕の種子100粒を、市販の澱粉糊〔商品名:簡単障子のり(建具用澱粉系接着剤)、(株)アサヒペン〕を水で希釈した澱粉糊溶液(30質量%希釈液)に浸漬した。次いで、浸漬した澱粉糊溶液から種子を取り出して水気を切り、表面が澱粉糊で被覆された種子を得た。次いで、得られた種子と、ネオジム磁石(残留磁束密度:1.2T)を用いて着磁した磁性粒子(1)〔BaFe(バリウムフェライト)、形状:板状、平均粒子径:0.02μm、保磁力(Hc):203.5kA/m、飽和磁化(δs):48A・m/kg、BET比表面積(SSA:Specific Surface Area value):77m/g〕とを、種子の表面を被覆している澱粉糊が完全に乾かないうちに混合して、種子の表面に磁性粒子(1)を付着させた後、種子に付着した余剰な磁性粒子(1)を払い落とした。次いで、種子を25℃にて1時間放置して、種子を被覆している澱粉糊を乾燥させて、表面が磁性粒子(1)で被覆された実施例1の種子を得た。
種子1個当たりの磁性粒子(1)の被覆量を、被覆前後の種子径(被覆前:1mm、被覆後:1.3mm)及び磁性粒子(1)のかさ密度(0.90g/cm)から算出したところ、0.56mgであった。
<実施例2>
実施例1において、磁性粒子として、磁性粒子(1)を用いる代わりに、磁性粒子(2)〔BaFe(バリウムフェライト)、形状:板状、平均粒子径:0.8μm、保磁力(Hc):140.0kA/m、飽和磁化(δs):62A・m/kg、BET比表面積(SSA):5.0m/g〕を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行ない、表面が磁性粒子(2)で被覆された実施例2の種子を得た。
種子1個当たりの磁性粒子(2)の被覆量を、被覆前後の種子径(被覆前:1mm、被覆後:1.3mm)及び磁性粒子(2)のかさ密度(0.50g/cm)から算出したところ、0.31mgであった。
<実施例3>
実施例1において、磁性粒子として、磁性粒子(1)を用いる代わりに、磁性粒子(3)〔BaFe(バリウムフェライト)、形状:板状、平均粒子径:0.8μm、保磁力(Hc):220.0kA/m、飽和磁化(δs):60A・m/kg、BET比表面積(SSA):5.0m/g〕を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行ない、表面が磁性粒子(3)で被覆された実施例3の種子を得た。
種子1個当たりの磁性粒子(3)の被覆量を、被覆前後の種子径(被覆前:1mm、被覆後:1.3mm)及び磁性粒子(3)のかさ密度(0.58g/cm)から算出したところ、0.36mgであった。
<比較例1>
実施例1において用いたルッコラの種子100粒を、比較例1の種子とした。
<比較例2>
パーライト〔商品名:パーライト、形状:顆粒状、あかぎ園芸(株)〕を、乳鉢及び乳棒を用いて粉砕し、粉末状にした。
ルッコラ〔品種:オデッセイ、デンマーク産、検定発芽率:65%、(株)サカタのタネ〕の種子100粒を、上述の市販の澱粉糊〔商品名:簡単障子のり(建具用澱粉系接着剤)、(株)アサヒペン〕を水で希釈した澱粉糊溶液(30質量%希釈液)に浸漬した。次いで、浸漬した澱粉糊溶液から種子を取り出して水気を切り、表面が澱粉糊で被覆された種子を得た。
次いで、得られた種子と、上記にて得られた粉末状のパーライトとを、種子の表面を被覆している澱粉糊が完全に乾かないうちに混合して、種子の表面にパーライトを付着させた後、種子に付着した余剰なパーライトを払い落とした。次いで、種子を25℃にて1時間放置して、種子を被覆している澱粉糊を乾燥させて、表面がパーライトで被覆された種子(以下、「パーライト被覆種子」という。)を得た。
市販の澱粉糊〔商品名:簡単障子のり(建具用澱粉系接着剤)、(株)アサヒペン〕を水で希釈した澱粉糊溶液(30質量%希釈液)100質量部と、成長成分として、有機石灰100質量部及び油粕100質量部とを混合し、混合物を得た。得られた混合物を用いて、直径5mm程度の球状のペレットを作製した。
作製したペレット中に、ペレット1個につき、上記にて得られたパーライト被覆種子を1粒埋め込んだ。次いで、パーライト被覆種子を埋め込んだペレットを25℃にて1時間放置して、ペレットに含まれる澱粉糊を乾燥させて、比較例2の種子〔層構成:種子/パーライト/成長成分(有機石灰+油粕)〕を得た。
<比較例3>
比較例2と同様の操作を行ない、パーライト被覆種子を得た。
市販の澱粉糊〔商品名:簡単障子のり(建具用澱粉系接着剤)、(株)アサヒペン〕を水で希釈した澱粉糊溶液(30質量%希釈液)100質量部と、成長成分として、有機石灰100質量部及び油粕100質量部と、ネオジム磁石を用いて着磁した磁性粒子(1)10質量部とを混合し、混合物を得た。得られた混合物を用いて、直径5mm程度の球状のペレットを作製した。
作製したペレットを用いて、比較例2と同様の操作を行ない、比較例3の種子[層構成:種子/パーライト/〔成長成分(有機石灰+油粕)+磁性粒子(1)〕]を得た。
<比較例4>
比較例2と同様の操作を行ない、パーライト被覆種子を得た。
市販の澱粉糊〔商品名:簡単障子のり(建具用澱粉系接着剤)、(株)アサヒペン〕を水で希釈した澱粉糊溶液(30質量%希釈液)100質量部と、成長成分として、有機石灰100質量部及び油粕100質量部と、ネオジム磁石を用いて着磁した磁性粒子(1)100質量部とを混合し、混合物を得た。得られた混合物を用いて、直径5mm程度の球状のペレットを作製した。
作製したペレットを用いて、比較例2と同様の操作を行ない、比較例4の種子[層構成:種子/パーライト/〔成長成分(有機石灰+油粕)+磁性粒子(1)〕]を得た。
[栽培試験]
〔実験1:脱脂綿での栽培〕
実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例4の種子について、栽培を行ない、最終発芽率(単位:%)及び良品率(単位:%)の評価を行なった。結果を表1及び図1に示す。
<試験例1−1>
直径90mmのシャーレに、脱脂綿を厚みが約3mmとなるように敷き詰めた後、脱脂綿の上に、実施例1の種子を互いに重ならないように播いた。次いで、種子が浸る程度潅水した後、気温17℃〜20℃程度の室内にて栽培を行なった。播種したシャーレは、2日間暗所に置いて発芽させた後、明所に移動させて、徒長させた。水は適宜追加した。
播種後、発芽した種子の数を継続的に測定して、発芽率を算出した。そして、発芽率がほぼ一定となった時点、即ち、播種から12日後の発芽率を最終発芽率とした。
また、播種から14日後に地上部の主軸の長さを計測して、その長さが21mm以上に生育した株を良品と判断し、下記の式(1)に従って、良品率を算出した。
良品率(%)=(良品の数/播種の数)×100・・・(1)
なお、最終発芽率及び良品率は、小数点以下1桁目を四捨五入した値とした。
<試験例1−2>
試験例1−1において、実施例1の種子の代わりに、実施例2の種子を用いたこと以外は、試験例1−1と同様にして栽培を行ない、最終発芽率及び良品率を算出した。
<試験例1−3>
試験例1−1において、実施例1の種子の代わりに、実施例3の種子を用いたこと以外は、試験例1−1と同様にして栽培を行ない、最終発芽率及び良品率を算出した。
<比較試験例1−1>
試験例1−1において、実施例1の種子の代わりに、比較例1の種子を用いたこと以外は、試験例1−1と同様にして栽培を行ない、最終発芽率及び良品率を算出した。
<比較試験例1−2>
試験例1−1において、実施例1の種子の代わりに、比較例2の種子を用いたこと以外は、試験例1−1と同様にして栽培を行ない、最終発芽率及び良品率を算出した。
<比較試験例1−3>
試験例1−1において、実施例1の種子の代わりに、比較例3の種子を用いたこと以外は、試験例1−1と同様にして栽培を行ない、最終発芽率及び良品率を算出した。
<比較試験例1−4>
試験例1−1において、実施例1の種子の代わりに、比較例4の種子を用いたこと以外は、試験例1−1と同様にして栽培を行ない、最終発芽率及び良品率を算出した。
表1における「−」は、計測又は算出を行なわなかったことを意味する。

表1及び図1に示すように、保磁力が40kA/m以上の着磁された磁性粒子を表面に有する実施例1〜実施例3の種子の最終発芽率は、上記の磁性粒子を表面に有しない比較例1の種子の最終発芽率と比較して、いずれも高かった。
また、表1及び図1に示すように、実施例1〜実施例3の種子は、比較例1の種子と比較して、高い良品率を示した。
種子と磁性粒子を含む層との間にパーライトの層を有し、磁性粒子を表面に有する態様ではない比較例2〜比較例4の種子は、実施例1〜実施例3の種子と比較して、最終発芽率が顕著に低かった。
〔実験2:磁性粒子含有培地での栽培〕
実施例1の種子を、磁性粒子を含む培地(即ち、磁性粒子含有培地)に播いて、栽培を行ない、最終発芽率(単位:%)及び良品率(単位:%)の評価を行なった。結果を表2に示す。
(製造例A)
ネオジム磁石を用いて着磁した磁性粒子(1)を脱脂綿(空隙率:98.2体積%)全体に塗して、脱脂綿中に着磁した磁性粒子(1)がほぼ均一に分布した磁性粒子含有培地(A)を得た。なお、磁性粒子含有培地(A)中における着磁した磁性粒子(1)の含有率は、磁性粒子含有培地(A)の全質量に対して4.8質量%であった。
(製造例B)
製造例Aにおいて、磁性粒子(1)の使用量を変更したこと以外は、製造例Aと同様の操作を行ない、脱脂綿中に着磁した磁性粒子(1)がほぼ均一に分布した磁性粒子含有培地(B)を得た。なお、磁性粒子含有培地(B)中における着磁した磁性粒子(1)の含有率は、磁性粒子含有培地(B)の全質量に対して9質量%であった。
<試験例2−1>
試験例1−1において、培地として、着磁した磁性粒子(1)を含まない脱脂綿の代わりに、着磁した磁性粒子(1)を含む磁性粒子含有培地(A)を用いたこと以外は、試験例1−1と同様にして栽培を行ない、最終発芽率及び良品率を算出した。
<試験例2−2>
試験例1−1において、培地として、着磁した磁性粒子(1)を含まない脱脂綿の代わりに、着磁した磁性粒子(1)を含む磁性粒子含有培地(B)を用いたこと以外は、試験例1−1と同様にして栽培を行ない、最終発芽率及び良品率を算出した。

表2に示すように、実施例1の種子を磁性粒子含有培地に播いたところ、磁性粒子を含まない脱脂綿を培地として使用した場合と比較して、良品率の向上が認められた。
2016年7月8日に出願された日本国特許出願2016−135866号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的に、かつ、個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (13)

  1. 保磁力が40kA/m以上の着磁された磁性粒子及び結合剤を含む磁性層を表面に有し、磁性層中における磁性粒子の含有率が、磁性層に含まれる全固形分に対して、25質量%以上90質量%以下である種子。
  2. 前記結合剤は、澱粉、ゼラチン、多糖類、水溶性セルロース誘導体、水溶性樹脂、消石灰、石膏及び粘土からなる群より選択される結合剤である請求項1に記載の種子。
  3. 前記結合剤は、澱粉である請求項1又は請求項2に記載の種子。
  4. 前記磁性層中における結合剤の含有率が、磁性層に含まれる全固形分に対して、1質量%以上50質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の種子。
  5. 前記保磁力が319kA/m以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の種子。
  6. 前記保磁力が120kA/m以上239kA/m以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の種子。
  7. 前記磁性粒子の飽和磁化が35Am/kg以上である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の種子。
  8. 前記磁性粒子の飽和磁化が35Am/kg以上130Am/kg以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の種子。
  9. 前記磁性粒子の飽和磁化が40Am/kg以上80Am/kg以下である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の種子。
  10. 保磁力が40kA/m以上319kA/m以下であり、且つ、飽和磁化が35Am /kg以上130Am /kg以下である着磁された磁性粒子を表面に有する種子。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の種子を、土壌に播種することを含む植物の栽培方法。
  12. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の種子を、植物栽培用培地に播種することを含む植物の栽培方法。
  13. 前記植物栽培用培地は、空隙を有する基体に、着磁された磁性粒子が分散担持されている請求項12に記載の植物の栽培方法。
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