JP3919970B2 - 種子のコート材およびコート種子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、野菜等の種子のコート材、および、コート種子に関するものである。より詳しくは、所定の発芽率を維持しつつ、播種作業を省力化するために特に好適に用いられる種子のコート材、および、コート種子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、たとえば、野菜等の種子においては、たとえば播種を容易にする(播種作業を省力化する)ために、該種子をコート材を用いてコートすることが行われている。ところが、コート材でコートされてなるコート種子は、コートされていない種子と比較して発芽率が低下する場合があり、そのため、発芽率の低下を招来しないコート種子が種々提案されている。
【0003】
たとえば、特許第2520309号公報には、複鎖構造型の粘土鉱物(複鎖状粘土鉱物)および疎水剤(撥水剤)からなる造粒用組成物(コート材)によりコート(被覆造粒)されたコート種子が開示されている。上記複鎖構造型の粘土鉱物は、コート材自体を固化させ、定形性を保持するとともに、コート種子に所定の強度、保水性、透水性等を付与するために用いられる。一方、上記疎水剤は、主に、コート材に対し開裂性、すなわち、吸水によりコート層が崩壊し易くなる性質を付与することにより、種子の発芽を容易にするために添加されている。
【0004】
しかしながら、上記公報に記載のコート材は、疎水剤を含んでいるものの開裂性、通気性、透水性が不十分であることに加え、被覆造粒時に団粒を生じやすく、加工性が不十分である。
【0005】
そこで、特開平10−155313号公報には、複鎖構造型の粘土鉱物および疎水剤に加えて、さらに、シリカ、長石、または、炭酸塩等の鉱物を添加したコート材が開示されている。該コート材は、上記鉱物を含むことによって、開裂性、通気性、透水性、加工性等を良好にし、種子の発芽率が低下することを抑制している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の種子のコート材では、コート種子の強度、通気性、保水性、透水性等の大部分の物性が、用いられる複鎖構造型の粘土鉱物の特性によって決定される。しかしながら、コートされるべき種子の種類によって、要求される強度、通気性、保水性、透水性等の物性の最適値は異なっている。このため、上記従来のコート材では、種子の種類によっては、必ずしも上記諸物性および発芽率が満足されないという問題点を有している。
【0007】
特に、コートされるべき種子が、たとえば、キャベツやチンゲン菜、白菜等の、外的環境に抗して発芽する力(発芽勢)が弱い種子である場合には、微小な粒子からなる複鎖構造型の粘土鉱物の影響によって通気性が確保され難いために、種子が窒息し、発芽率が低下する。
【0008】
このように、上記従来の種子のコート材では、コート種子に適度の保水性等を付与すると同時に、コートされるべき種子の種類や特性に応じた通気性をも確保し、発芽率の低下を抑制することが困難であるという問題点を有している。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、たとえば、発芽勢の弱い種子(弱勢種子)等、コートされるべき種子の種類や特性に応じて、強度、通気性、保水性、透水性等の諸特性を満足し、しかも、発芽率の低下を抑制できる種子のコート材およびコート種子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記の目的を達成すべく、種子のコート材およびコート種子について鋭意検討した。その結果、pF3における含水率が100重量%dw以上300重量%dw以下である珪藻土およびpF3における含水率が0重量%dw以上100重量%dw未満であるロウ石クレイの少なくとも一方からなる粉体40〜90重量%と、撥水剤5〜30重量%と、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物3〜30重量%とを含む種子のコート材を用いて種子をコートすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明の種子のコート材は、上記の課題を解決するために、pF3における含水率が100重量%dw以上300重量%dw以下である珪藻土およびpF3における含水率が0重量%dw以上100重量%dw未満であるロウ石クレイの少なくとも一方からなる粉体40〜90重量%と、撥水剤5〜30重量%と、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物3〜30重量%とを含むことを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、粉体、撥水剤、および複鎖状粘土鉱物を上記の範囲内で含むことにより、強度、通気性、保水性、透水性等の諸特性を満足し、しかも、発芽率の低下を抑制できる種子のコート材を提供することができる。また、珪藻土とロウ石クレイとを上記範囲内となるように適宜設定して含むことにより、コートされるべき種子の種類や特性に応じて通気性および保水性を調節することができる。また、撥水剤によりコート材に開裂性を付与し、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物によりコート材を固化させて所定の強度を付与することができる。
【0013】
本発明の種子のコート材は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、粉体の平均粒径が10〜100μmの範囲内であることを特徴としている。
【0014】
これにより、粉体の平均粒径を10〜100μmの範囲内とすることで、粉体粒子相互間が過度に密着することがないため、コート種子の通気性がより確保され、たとえば窒息による、発芽率の低下をさらに抑制できる。
【0015】
本発明のコート種子は、上記の課題を解決するために、上記の種子のコート材でコートされてなることを特徴としている。
【0016】
上記の構成によれば、粉体、撥水剤、および複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物を上記の範囲内で含むことにより、強度、通気性、保水性、透水性等の諸特性を満足し、しかも、発芽率の低下を抑制できるコート種子を提供することができる。また、珪藻土とロウ石クレイとを上記範囲内となるように適宜設定して含むことにより、コートされるべき種子の種類や特性に応じて通気性および保水性を調節することができる。また、撥水剤によりコート種子に開裂性を付与し、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物によりコート材を固化させて所定の強度を付与することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる種子のコート材(以下、単に「コート材」という)は、pF3における含水率が100重量%dw以上300重量%dw以下である珪藻土およびpF3における含水率が0重量%dw以上100重量%dw未満であるロウ石クレイの少なくとも一方からなる粉体40〜90重量%と、撥水剤5〜30重量%と、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物3〜30重量%とを含んで形成されている。すなわち、本発明にかかるコート材は、上記含水率を基準として表される、珪藻土とロウ石クレイとを合計量で種子のコート材全量に対し、40〜90重量%の範囲内となるように含んでいる。また、これに加えて、コート種子に対し開裂性を付与するための撥水剤と、所定の強度を付与する等のための複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物とを含んだ構成となっている。
【0018】
本発明にかかる珪藻土およびロウ石クレイのpF3における含水率とは、粉体の保水性の程度を表わすための指標である。より詳しくは、本発明のpF3における含水率とは、粉体が水を保持する力を表した数値をいう。
【0019】
ここで、pFとは、粉体の粒子間に存在する水のエネルギー状態を示す化学ポテンシャルをμとしたとき、
pF=log(−Δμ)
で表わされる値をいう。従って、pF3における含水率は、粉体の粒子間に存在する水のエネルギー状態がpF=3で表される場合の粉体の含水率であり、以下の測定方法により求められる。
【0020】
まず、土壌脱水用ロータR11D(日立工機株式会社製)に最大容水量まで吸水した粉体を充填し、これをpF3における含水率測定用に設定した高速冷却遠心機CR20B2(日立工機株式会社製)(印加したG:1000G)を用いて1時間遠心する。遠心後の粉体が保持している水分量(g)をA、当該粉体の乾燥重量(g)をBとしたとき、A/Bの百分率(%)で表される値をpF3における含水率(重量%dw,重量%dry weight)として求める。
【0021】
本発明の粉体は、上記の測定方法により求めたpF3における含水率が100重量%dw以上300重量%dw以下である珪藻土およびpF3における含水率が0重量%dw以上100重量%dw未満であるロウ石クレイの少なくとも一方から構成されている。そして、本発明の種子のコート材は、該粉体を種子のコート材全量に対して40〜90重量%の範囲内となる割合で含んでいる。
【0022】
尚、本発明における上記pF3における含水率とは別に、以下の測定方法により求められるpF0における含水率、すなわち、粉体が吸水できる最大量を表す数値も、粉体の保水性の程度を確認するための指標として参考的に用いることができる。pF0における含水率は、ヒルガード式最大容水量測定皿DIK−1830(大起理化工業株式会社製)に粉体を充填し,24時間、底面から吸水した後、遠心することなく、粉体が保持している水分量(g)を上記Aに代入することにより求めることができる。
【0023】
以上のようにして求めたpF3における含水率およびpF0における含水率の一例を以下の表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
珪藻土を用いることが、得られるコート材、コート種子の充分な保水性、通気性、透水性を満足させつつ、発芽勢の弱い種子の発芽率の低下を抑制するためには好ましい。
【0026】
ロウ石クレイを用いることが、得られるコート材の充分な通気性、透水性を満足させつつ、発芽勢の弱い種子の発芽率の低下を抑制するためには好ましい。
【0027】
粉体の合計量は、コート材全量に対し、40〜90重量%の範囲内であれば特に限定されず、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物、撥水剤、および、その他の成分の組み合わせ、それらの混合比率、あるいは、コートされるべき種子の種類にもよるが、50重量%〜80重量%の範囲内であることがより好ましく、60重量%〜80重量%の範囲内であることがさらに好ましい。
【0028】
粉体の合計量が上記の範囲を外れると、適度な強度、保水性、通気性、透水性等が満足されず、たとえば、発芽勢の弱い種子の発芽率の低下を抑制することができず、また、他の成分として含まれる複鎖状粘土鉱物、スメクタイト、および撥水剤の割合が不十分となるため好ましくない。
【0029】
また、珪藻土にかかるpF3における含水率の範囲は、120重量%dw以上300重量%dw以下であることがより好ましく、120重量%dw以上200重量%dw以下であることが最も好ましい。
【0030】
一方、ロウ石クレイにかかるpF3における含水率の範囲は、10重量%dw以上50重量%dw以下であることがより好ましく、20重量%dw以上50重量%dw以下であることが最も好ましい。
【0031】
粉体の平均粒径は、10μm〜100μmの範囲内であることがより好ましく、10μm〜50μmの範囲内であることが、さらに好ましい。上記平均粒径が、10μm以上であることにより、充分な通気性を確保でき、窒息により発芽率が低下しやすい種子の発芽率を上昇させることができる。また、上記平均粒径が、100μm以下であることにより、粉体を均一に混合させることができ、コート材の優れた加工性を得ることができる。
【0032】
本発明の複鎖状粘土鉱物とは、針状構造を備えた2:1型リボン状鉱物をいい、たとえば、いわゆるアタパルガスクレーやセピオライトクレー等に含有されている成分である。該複鎖状粘土鉱物は、通常、粒径2μm以下という微細な粒度を有するとともに、たとえば、ゼオライト等の他の粘土系鉱物と比較して比表面積が大きく、かつ、吸着能に優れている。このため、複鎖状粘土鉱物は、コート材を構成する各成分を互いに固着させて、コート種子に対し定形性を付与するとともに、所定の強度を付与する役割を担っている。
【0033】
本発明の複鎖状粘土鉱物としては、たとえば、セピオライト、アタパルジャイト、パリゴルスカイト等が挙げられ、特に限定されるものではないが、セピオライトが最も好ましい。本発明のスメクタイトとは、2:1型構造を有する粘土鉱物であり、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト等が挙げられる。特に限定されるものではないが、上記例示のスメクタイトのうち、ベントナイトが最も好ましい。また、ベントナイトは、カルシウムを含むカルシウムベントナイトの形態をとっていてもよい。これら粘土鉱物は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物のコート材に占める割合は、3〜30重量%の範囲内であることが好ましく3〜25重量%の範囲内であることがさらに好ましく、3〜20重量%の範囲内であることが最も好ましい。上記割合が3重量%未満であると、コート材が充分な定形性を保てないため好ましくない。また、上記割合が、30重量%を超えると、コート材を構成する各成分が過度に固着され、硬くなりすぎるため、通気性が不十分となり、発芽率の低下を招来するため好ましくない。尚、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの粒径は、200メッシュ以下であることがより好ましい。
【0035】
本発明の撥水剤とは、水の透過を妨げる作用を有する物質をいい、液状、粉体状、ペースト状の何れであってもよい。撥水剤は、コート種子に対し、開裂性、すなわち、灌水等による吸水時にコート種子の表層が開裂し易くなる性質を付与することができる。また、コート材が撥水剤を含むことにより、該コート材の保水性が適宜調節されるので、コート材の加工適性を向上させることができる。
本発明の撥水剤としては、たとえば、油脂、蝋、高級脂肪酸およびその金属塩、高級脂肪族アルコールおよびそのアルキレンオキサイド付加物、シリコン系撥水剤、フッ素系撥水剤等が挙げられる。上記例示の撥水剤のうち、高級脂肪酸およびその金属塩がより好ましく、高級脂肪酸の2価金属塩がさらに好ましく、ステアリン酸カルシウムが特に好ましい。これら撥水剤は、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0036】
コート材に占める撥水剤の割合は、コート材、コート種子に付与すべき諸特性に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、5〜30重量%の範囲内であることが好ましく10〜30重量%の範囲内であることがさらに好ましく、15〜30重量%の範囲内であることが最も好ましい。上記割合が5重量%未満であると、コート種子に充分な開裂性が付与されず、発芽率が著しく低下するため好ましくない。また、上記割合が30重量%を超えると、加工性が低下するため好ましくない。
【0037】
本発明のコート材は、上記粉体、複鎖状粘土鉱物、スメクタイト、および撥水剤の他に、必要に応じて、たとえば、長石等の鉱物や繊維状物質を含んでいてもよい。さらにまた、コート材は、必要に応じて、たとえば、植物ホルモン、植物栄養剤、植物生長調節剤、農薬、消毒・殺菌剤、酸素発生剤、発熱剤、肥料、鳥等に食べられないようにするための着色剤や顔料、忌避剤等の添加剤(補助剤)を含んでいてもよい。
【0038】
コート材の製造方法、つまり、上記の構成成分を混合する方法や順序は、特に限定されるものではない。
【0039】
ここで、本発明にかかる粉体の平均粒径と通気性および保水性との関係について、以下に説明する。
【0040】
本発明にかかる珪藻土およびロウ石クレイについて、平均粒径、通気性を以下の測定方法により求めた結果を表2に示す。同様に、セピオライト、アタパルジャイト、長石、シリカ、およびゼオライトの各粉体についても平均粒径、通気性を測定した結果を表2に併せて示す。
【0041】
〔通気性〕
粉体の通気性は、土壌通気性測定器DIK−5001(大起理化工業株式会社製)を用いて上記測定器製造業者添付のマニュアルに従って、通気係数(cm/秒)を求めることにより測定した。通気係数測定用のセルへの粉体の充填は、粉体の充填後に、2cmの高さからセルを床面に落下させても体積減少がなくなる程度まで行った。
【0042】
〔平均粒径〕
粉体を0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液に入れて、超音波洗浄機に10分間かけて均一に分散させた。この溶液をガラスセルに入れて、遠心粒度分布計SA−CP3(株式会社島津製作所製)を用いて上記分布計製造業者添付のマニュアルに従って粒度分布を測定し、平均粒径を求めた。
【0043】
【表2】
【0044】
表2に示す珪藻土およびロウ石クレイを例にとると、同種の粉体において比較した場合、平均粒径がより小さくなるに従い通気係数も小さくなり、通気性が低くなることがわかる。すなわち、種子が窒息しやすくなり、発芽率の低下を招来する指標となる通気性と、粉体が有する平均粒径との間には、相関関係が存在していることが明らかである。また、表2より明らかなように、平均粒径が10μm以上である珪藻土およびロウ石クレイについては、通気係数が比較的高く、これをコート材の成分として用いた場合に充分な通気性をコート種子に対し付与することができる。
【0045】
本発明のコート種子は、上記本発明のコート材によりコートされてなる種子をいう。本発明のコート材によりコートされるべき種子は、特に限定されるものではないが、たとえば、カンラン(キャベツ)、白菜、チンゲン菜、青ネギ、玉ネギ、レタス、ブロッコリー、ダイコン、野沢菜、ニンジン、ビート等の野菜種子が挙げられる。本発明のコート材は、上記例示の野菜種子のうち、窒息により発芽率が低下しやすい種子とされる、キャベツ、白菜、チンゲン菜、青ネギ、玉ネギ等の発芽率の低下を抑制できるため、これらの種子に対して特に好適に用いられる。尚、本発明においてコートされるべき種子は、球状である必要はない。
【0046】
本発明のコート材およびコート種子は、珪藻土、すなわち、保水性が高い粉体を所定量用いることにより、たとえば、レタス等のように、充分な水分を供給することで発芽率が上昇する種子に対して、充分な保水性を付与することができる。一方、たとえば、チンゲン菜、キャベツ、白菜、青ネギ、および玉ネギ等のように、窒息により発芽率が低下しやすい種子に対しては、ロウ石クレイ、すなわち、保水性が低い粉体を所定量含ませることにより、充分な通気性を付与することができる。
【0047】
種子に対するコート材の使用量は、種子の種類や大きさ、コート種子が備えるべき各種物性や大きさ、或いは、コート種子の製造方法や播種方法等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、コート材が形成するコート層の厚さが50μm〜3000μmの範囲内となる量であることがより好ましく、200μm〜1500μmの範囲内となる量であることがさらに好ましい。これにより、安定性に優れたコート種子を得ることができる。
【0048】
また、コート材が形成するコート層表面には、たとえば、雲母類を含む組成物からなる表層がさらに積層されていてもよい。該表層が雲母類を含むことにより、コート層を分厚くすることなく、コート種子の強度、つまり、コート種子の安定性を向上させることができる。すなわち、コート種子の強度を確保するために、コート層を過度に分厚くする必要がないので、発芽率の低下を抑えることができる。表層の厚さは特に限定されないが、1μm〜1000μmの範囲内となる量であることがより好ましく、10μm〜500μmの範囲内となる量であることがさらに好ましい。
【0049】
また、コート材が形成するコート層表面には、最外層として、コート種子の表面を整えるための層が積層されていてもよい。さらには、コート層と種子との間にさらに内層として、透水性を調節するための撥水層が設けられていてもよい。コート種子の機械的強度は、播種時や保存時、輸送時等におけるコート種子の安定性から鑑みて、たとえば、圧縮強度が300gf〜2000gfの範囲内であれば充分である。尚、圧縮強度の測定方法は、後段の実施例にて詳述する。
【0050】
コート種子の播種方法は、特に限定されるものではない。本発明にかかるコート種子は、粉体、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物、ならびに撥水剤を含むコート材により種子表面をコートして形成されているので、コート種子自体の強度を充分に確保することができる。すなわち、播種時や保存時、輸送時等にコート種子に応力がかかっても、コート種子表面の開裂・剥落を防止することができる。
【0051】
コート材を用いて種子をコートするのに好適に使用することができる造粒装置としては、たとえば、傾斜回転パン型造粒機や、流動層型造粒機等の公知の造粒装置が挙げられるが、特に限定されるものではない。造粒装置を使用した種子のコート方法の一例、つまり、コート種子の製造方法について、その手順を以下に説明する。
【0052】
先ず、造粒装置に種子を投入して、所定の回転数で攪拌しながら、該種子に霧状の水を必要に応じて噴霧すると共に、予め調製したコート材を造粒装置に徐々に添加する。そして、種子とコート材と水とを所定時間、攪拌することにより、第一の造粒操作(被覆操作)を行う。これにより、種子の表面にコート層が形成される。噴霧する水の量、並びに、コート材の添加速度は、造粒操作を容易に行うことができるように、装置内の様子(コート層の形成され具合)を確認することによって、適宜調節すればよい。
【0053】
コート層表面にさらに表層として、上記雲母類を含む組成物等を積層する場合には、上記コート層が形成された種子を所定の回転数で攪拌しながら、霧状の水を必要に応じて噴霧すると共に、予め調製した上記組成物を造粒装置に徐々に添加する。そして、上記コート層が形成された種子と組成物と水とを所定時間、攪拌することにより、第二の造粒操作(表層形成操作)を行う。これにより、種子の表面(すなわち、コート層表面)に表層が形成(積層)される。噴霧する水の量、並びに、組成物の添加速度は、造粒操作を容易に行うことができるように、装置内の様子(表層の形成され具合)を確認することによって、適宜調節すればよい。
【0054】
得られたコート種子は、種子に熱障害を与えない程度の温度で以て、乾燥操作を行うことが好ましい。尚、種子をコートする具体的な方法は、上記例示の方法にのみ限定されるものではない。
【0055】
以上のように、本発明のコート材およびコート種子は、pF3における含水率が100重量%dw以上300重量%dw以下である珪藻土とpF3における含水率が0重量%dw以上100重量%dw未満であるロウ石クレイとの混合比率を適宜調節することにより、保水性および通気性を種子の種類、特性に応じて調整することができ、これにより、発芽率の低下を抑制することができる。
【0056】
すなわち、本発明のコート材は、上記珪藻土とロウ石クレイとを40〜90重量%の範囲内で適宜設定された量で含んでいる。また、これに加えて、コート種子に対し開裂性を付与するための撥水剤と、所定の強度を付与する等のための複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物とを含んでいる。また、本発明のコート種子は、上記コート材によりコートされて形成されている。それゆえ、たとえば、発芽勢の弱い種子等、コートされるべき種子の種類や特性に応じて、強度、通気性、保水性、透水性等の諸特性を満足し、しかも、発芽率の低下を抑制できる種子のコート材およびコート種子を提供することができる。また、珪藻土とロウ石クレイとを上記範囲内となるように適宜設定して含むことにより、コートされるべき種子の種類や特性に応じて通気性および保水性を調節することができる。また、撥水剤により種子に対し開裂性を付与し、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物により、種子のコート材を固化させて種子に対して所定の強度を付与することができる。
【0057】
【実施例】
通気性、平均粒径は上述の測定方法により、また、収率、圧縮強度、および発芽率は、下記方法により測定した。
【0058】
〔収率〕
コート種子を製造後、「得られたコート種子の数」を「投入した種子の数」で除した値の百分率(%)として求めた。
【0059】
〔圧縮強度〕
コート種子の圧縮強度は、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を用いて、所定の条件下で測定した。すなわち、コート種子を所定の条件下で圧縮し、コート層に亀裂が生じた時点で、該コート種子にかかっている荷重を以て、圧縮強度(gf)とした。
【0060】
〔コート種子の発芽率〕
コート種子の発芽率を、発芽試験(25℃培土試験)を実施することによって測定した。先ず、セルが200個の育苗用セルトレイ(プラグトレイ)に、スミソイル N100(商標名;住化農業資材株式会社製)を所定量、充填した後、鎮圧して培土とした。この培土に、コート種子を1粒/セルとなるように播種した。次いで、所定量のバーミキュライト(昭和バーミキュライト2号;昭和鉱業株式会社製)で覆土した後、上方から所定量、灌水した。その後、昼夜間の温度変化並びに水分の蒸発を抑制するために、上記のセルトレイを被覆材で被覆し、ガラスハウス内に載置した。被覆材は、播種後、2日目に取り外した。その後、適宜、灌水しながら、コート種子を発芽させた。但し、そして、播種後7日目の発芽率(%)を測定した。尚、上記被覆材として、銀色のフィルム状素材からなるシルバーポリトウ(商標名;岩谷産業株式会社製)を用いた。
【0061】
〔元種子の発芽率〕
元種子すなわち、コートされるべき種子のシャーレでの発芽率は以下の方法により求めた。まず、直径9cmシャーレに濾紙を2枚敷き、4.5mlの水を滴下した後に、同一ロットの種子を50粒/シャーレに置床し、15℃の気象器内に置いた。播種後所定日数経過後の発芽率(%)を測定した。以下の実施例で用いたカンランの発芽率を、弱勢種子および強勢種子のロットについて、それぞれ上記方法で測定した結果を、3日目および7日目の発芽率について以下の表3に示す。7日目で発芽率が90%以上となった種子を強勢種子、発芽率が90%未満となった種子を弱勢種子として以下の実施例で用いた。
【0062】
【表3】
【0063】
〔発芽後の生育停止〕
発芽後の種子の生育の有無を、発芽後14日経過後に観察し、生育停止している種子がある場合には、該生育停止を、「生育停止した種子の数」を「発芽した種子の数」で除した値の百分率(%)として求めた。
【0064】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0065】
〔実施例1〕
複鎖状粘土鉱物としてのセピオライトを10重量%、平均粒径17.7μmの珪藻土を35重量%、平均粒径33.0μmのロウ石クレイを35重量%、撥水剤としてのステアリン酸カルシウムを20重量%の割合で含むコート材を本発明のコート材として調製した。上記珪藻土とロウ石クレイとの重量比は、1:1である。
【0066】
次に、コートされるべき種子として、上記元種子の発芽率の測定方法により判定したカンランの強勢種子および弱勢種子を選び、上記コート材を用いてそれぞれコート種子を製造した。すなわち、直径50cmの傾斜回転パン型造粒機に所定量の種子を強勢種子毎および弱勢種子毎にそれぞれまとめて投入して、回転数約30rpmで攪拌しながら、該種子に霧状の水を必要に応じて噴霧すると共に、上記コート材を該造粒機に徐々に添加した。添加時、種子100gに対するコート材の割合は250gとなるようにした。そして、種子とコート材と水とを所定時間、攪拌することにより、造粒操作を行った。噴霧する水の量は、装置内の様子を確認することによって適宜調節した。これにより強勢種子および弱勢種子についてそれぞれコート種子を得た。
【0067】
得られた上記各コート種子の収率、圧縮強度、および発芽率、並びにコート材の通気係数を、上記方法によって測定した。コート材の組成を表4に示すと共に、測定結果を表5に示す。
【0068】
〔実施例2〜3〕
コート材の組成を表4に示す割合とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0069】
得られた上記各コート種子の収率、圧縮強度、および発芽率、並びにコート材の通気係数を、上記方法によって測定した。コート材の組成を表4に示すと共に、測定結果を表5に示す。
【0070】
〔実施例4〕
コート材の組成を表4に示す割合とし、コート材に含まれる他の成分である鉱物としての長石を30重量%の割合とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0071】
得られた上記コート種子の収率、圧縮強度、および発芽率、並びにコート材の通気係数を、上記方法によって測定した。コート材の組成を表4に示すと共に、測定結果を表5に示す。
【0072】
〔実施例5〜10〕
コート材の組成を表4に示す割合とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0073】
得られた上記各コート種子の収率、圧縮強度、および発芽率、並びにコート材の通気係数を、上記方法によって測定した。コート材の組成を表4に示すと共に、測定結果を表5に示す。
【0074】
〔実施例11〕
複鎖状粘土鉱物としてのセピオライトをアタパルジャイトに代えた以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0075】
得られたコート種子の収率、圧縮強度、および発芽率、並びにコート材の通気係数を、上記方法によって測定した。コート材の組成を表4に示すと共に、測定結果を表5に示す。
【0076】
〔実施例12〕
コート材の組成を表4に示す割合とし、コート材に含まれるスメクタイトとしてのカルシウムベントナイトを10重量%の割合とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0077】
得られた上記コート種子の収率、圧縮強度、および発芽率、並びにコート材の通気係数を、上記方法によって測定した。コート材の組成を表4に示すと共に、測定結果を表5に示す。
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【0080】
表5に示す測定結果から明らかなように、実施例1〜12の本発明のコート種子では、収率が90%以上であり加工性に優れ、圧縮強度、通気性ともに充分であり、弱勢種子の発芽率が70%以上であり、弱勢種子用のコート種子として有用であることがわかる。すなわち、本発明によれば、たとえば、弱勢種子等、コートされるべき種子の種類や特性に応じて、強度、通気性、保水性、透水性等の諸特性を満足し、しかも、発芽率の低下を抑制できる種子のコート材およびコート種子を提供できることがわかる。
【0081】
〔比較例1〕
コート材の組成を表6に示す割合とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。従って、比較用のコート種子には、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトは含まれていない。
【0082】
〔比較例2〜3〕
コート材の組成を表6に示す割合とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。従って、これら比較用のコート種子には、複鎖状粘土鉱物が本発明のコート種子と比較して多く含まれている。また、比較例3の比較用のコート種子は、粉体の量が20重量%であり、本発明のコート材と比較して少ない割合となっている。
【0083】
〔比較例4〕
セピオライトを80重量%とし、珪藻土、ロウ石クレイをいずれも含まない以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。従って、比較用コート種子には、珪藻土およびロウ石クレイは含まれていない。
【0084】
〔比較例5〕
珪藻土、ロウ石クレイをそれぞれ本発明のコート材と比較して少ない割合である10重量%とし、長石を50重量%の割合とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。
【0085】
〔比較例6〕
セピオライトを10重量%、珪藻土、ロウ石クレイをそれぞれ45重量%とし、ステアリン酸カルシウムを含まない以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。従って、比較用のコート種子には、撥水剤は含まれていない。
【0086】
〔比較例7〕
セピオライトを10重量%、珪藻土、ロウ石クレイをそれぞれ25重量%とし、ステアリン酸カルシウムを40重量%とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。従って、比較用のコート種子には、撥水剤が30重量%より多い割合で含まれている。
【0087】
〔比較例8〕
珪藻土を80重量%、ステアリン酸カルシウムを20重量%の割合で含む比較用のコート材を調製し、該コート材を用い、ポリビニルピロリドン(PVP)の10(w/v)%水溶液をバインダー水溶液として用いて水の代わりに噴霧することにより、造粒操作を行った以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。従って、比較用の種子には、複鎖状粘土鉱物は含まれていない。尚、比較用コート材に対するバインダー水溶液の使用量は、重量比で1:1であった。
【0088】
〔比較例9〜10〕
ポリビニルピロリドン(PVP)の10(w/v)%水溶液の代わりに、ポリビニルアルコール(PVA)の2(w/v)%水溶液またはカルボキシメチルセルロース(CMC)の2(w/v)%水溶液をそれぞれ用いた以外は、比較例8と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。
【0089】
〔比較例11〜13〕
珪藻土の代わりにロウ石クレイを80重量%用いた以外は、それぞれ比較例8〜10と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。
【0090】
〔比較例14〕
アタパルジャイトを80重量%とし、珪藻土およびロウ石クレイを含まない以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。
【0091】
〔比較例15〕
アタパルジャイトを40重量%とし、長石を20重量%、シリカを20重量%とし、珪藻土およびロウ石クレイを含まないた以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。
【0092】
〔比較例16〕
カルシウムベントナイトを80重量%とし、珪藻土、ロウ石クレイを含まない以外は、実施例12と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。
【0093】
〔比較例17〕
カルシウムベントナイトを50重量%とし、珪藻土、ロウ石クレイをそれぞれ15重量%とした以外は、実施例12と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。
【0094】
得られた比較用のコート種子の収率、圧縮強度、および発芽率、並びに比較用コート材の通気係数を、上記方法によって測定した。コート材の組成を表6に示すと共に、測定結果を表7に示す。
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
複鎖状粘土鉱物を全く含まない比較用コート材によりコートされた比較例1のコート種子は、複鎖状粘土鉱物またはスメクタイトにより強度が付与されていないため、加工性に劣り、収率が0%であった。
【0098】
また、複鎖状粘土鉱物またはスメクタイトの量が40〜80重量%と多い比較用コート材によりコートされた比較例2〜4、比較例16〜17のコート種子では、水を噴霧した際に、コート材の粘着性が高くなるため加工性に劣り、収率が低下した。また、該コート種子では、圧縮強度が上昇する場合があるものの、通気性が低下する結果、発芽率が低下することがわかる。
【0099】
また、比較例5のコート種子では、粉体の割合が少ないため、通気性が低下し、弱勢種子の発芽率が低下する。さらには、撥水剤としてのステアリン酸カルシウム量を全く含まない比較例6のコート種子では、水を噴霧した際にコート材の粘着性が高くなるため、加工性に劣り収率が低下する。また、播種後にコート種子が開裂され難くなるため発芽率が低下することがわかる。一方、ステアリン酸カルシウムが40重量%と多い比較例7のコート種子では、加工性に劣るため、収率が低下し、圧縮強度も低下することがわかる。
【0100】
珪藻土またはロウ石クレイとステアリン酸カルシウムとを含み、複鎖状粘土鉱物またはスメクタイトの代わりにバインダー水溶液を噴霧することにより造粒した比較例8〜13のコート種子では、強勢種子において、生育停止が認められる。
【0101】
また、アタパルジャイトとステアリン酸カルシウムのみからなるコート材を用いた比較用のコート種子では、アタパルジャイト量が多いため水を噴霧した際に、コート材の粘着性が高くなるため加工性に劣ることがわかる。一方、アタパルジャイト、長石、シリカ、ステアリン酸カルシウムからなる比較用のコート種子では、通気性が低くなるため、弱勢種子で発芽率が低下する。
【0102】
【発明の効果】
本発明の種子のコート材は、以上のように、pF3における含水率が100重量%dw以上300重量%dw以下である珪藻土およびpF3における含水率が0重量%dw以上100重量%dw未満であるロウ石クレイの少なくとも一方からなる粉体40〜90重量%と、撥水剤5〜30重量%と、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物3〜30重量%とを含む構成である。
【0103】
それゆえ、粉体、撥水剤、および複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物を上記の範囲内で含むことにより、強度、通気性、保水性、透水性等の諸特性を満足し、しかも、発芽率の低下を抑制できる種子のコート材を提供することができる。また、珪藻土とロウ石クレイとを上記範囲内となるように適宜設定して含むことにより、コートされるべき種子の種類や特性に応じて通気性および保水性を調節することができる。また、撥水剤により種子に対し開裂性を付与し、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物により、種子のコート材を固化させて種子に対して所定の強度を付与できるという効果を奏する。
【0104】
本発明の種子のコート材は、以上のように、上記の構成に加えて、粉体の平均粒径が10〜100μmの範囲内である構成である。
【0105】
それゆえ、上記の構成による効果に加えて、粉体の平均粒径を10〜100μmの範囲内とすることで、粉体粒子相互間が過度に密着することがないため、コート種子の通気性がより確保され、たとえば窒息による、発芽率の低下をさらに抑制できるという効果を奏する。
【0106】
本発明のコート種子は、以上のように、上記の種子のコート材でコートされてなる構成である。
【0107】
それゆえ、粉体、撥水剤、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物を上記の範囲内で含むことにより、強度、通気性、保水性、透水性等の諸特性を満足し、しかも、発芽率の低下を抑制できるコート種子を提供することができる。また、珪藻土とロウ石クレイとを上記範囲内となるように適宜設定して含むことにより、コートされるべき種子の種類や特性に応じて通気性および保水性を調節することができる。また、撥水剤により種子に対し開裂性を付与し、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物により、種子のコート材を固化させて種子に対して所定の強度を付与することができるという効果を奏する。
Claims (3)
- pF3における含水率が100重量%dw以上300重量%dw以下である珪藻土およびpF3における含水率が0重量%dw以上100重量%dw未満であるロウ石クレイの少なくとも一方からなる粉体40〜90重量%と、撥水剤5〜30重量%と、複鎖状粘土鉱物およびスメクタイトの少なくとも一方からなる粘土鉱物3〜30重量%とを含むことを特徴とする種子のコート材。
- 上記粉体の平均粒径が10〜100μmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の種子のコート材。
- 請求項1または2記載の種子のコート材でコートされてなることを特徴とするコート種子。
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