JP3949842B2 - 種子のコート材およびコート種子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、平均粒径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子に対して特に好適に用いることができる種子のコート材、および、コート種子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、花卉や野菜等の種子においては、例えば播種を容易にする(播種作業を省力化する)ために、該種子をコート材を用いてコートすることが行われている。ところが、コート材でコートされてなるコート種子は、コートされていない種子と比較して発芽率が低下する場合があり、そのため、発芽率を低下させずに種子をコートすることができるコート材、および、コート種子が種々提案されている。一般に、コート材によって種子表面に形成されるコート層は、播種・灌水後、種子が水を含んで膨張することによりひび割れて崩壊し、種子から剥落する。これにより、種子が露出するので、該種子の発芽を阻害しないようになっている。
【0003】
また、例えば、米国特許第3,905,152号には、粒径が50μm〜900μmである疎水性の粒子と、親水性バインダーとからなるコート材でコートされてなるコート種子が開示されている。該コート種子は、疎水性粒子間に形成される空隙によって通気性が確保されることによって、種子の発芽率が低下することを抑制している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、コートされるべき種子の平均粒径が1mm以下である場合、即ち、該種子が微小種子である場合には、上記従来のコート材を用いて種子をコートすると、該種子の吸水力が弱いために、種子が水を含んで膨張してもコート層がひび割れず、崩壊しない。
【0005】
例えば、種子の発芽条件として光が要求される(光要求性である)場合には、該種子は、土中に埋没させずに、地表に配して光が当たるように播種する必要がある。しかしながら、上記従来のコート材では、播種・灌水後、コート層が種子から剥落しないので、例えば種子が光要求性である場合には、種子に光が充分に当たらず、発芽率が著しく低下してしまうという問題点を有している。従って、例えば、平均粒径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子に対して特に好適に用いることができる種子のコート材、および、コート種子が嘱望されている。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、例えば、平均粒径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子に対して特に好適に用いることができる種子のコート材、および、コート種子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記の目的を達成すべく、種子のコート材およびコート種子について鋭意検討した。その結果、平均粒径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子をコートするに際し、シラスバルーンと水溶性バインダーとを含むコート材が、特に好適であることを見い出した。そして、該コート材でコートされてなる種子の発芽率が、コートされていない種子の発芽率と遜色無いことを確認して、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明の種子のコート材は、上記の課題を解決するために、シラスバルーンと水溶性バインダーとを含むことを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、シラスバルーンが水溶性バインダーによって結合されてなるコート層を、種子表面に形成することができる。この際、上記のシラスバルーン同士は、水溶性バインダーにより、その接触面積が小さい状態で以て、互いに結合されることになる。それゆえ、該コート層は、播種後、灌水したときに、種子の膨張等に関わり無く、水溶性バインダーが溶解することにより、該シラスバルーンが粒状であるので直ちに崩壊し、種子から剥落する。これにより、コート層が流亡して種子が露出するので、該種子の発芽を阻害することが無い。従って、上記の構成によれば、例えば、平均粒径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子に対して特に好適に用いることができるコート材を提供することができる。
【0010】
本発明の種子のコート材は、上記の課題を解決するために、上記のコート材において、上記シラスバルーンの平均粒径が50μm以下であることを特徴としている。上記の構成によれば、コートされるべき種子の平均粒径が1mm以下である場合において、より一層均一かつ充分なコート層を形成することができる。
【0011】
また、本発明のコート種子は、上記の課題を解決するために、上記のコート材でコートされてなることを特徴としている。
【0012】
本発明のコート種子は、上記の課題を解決するために、上記のコート種子において、コートされるべき種子の平均粒径が1mm以下であることを特徴としている。
【0013】
本発明のコート種子は、上記の課題を解決するために、上記のコート種子において、全体に占めるシラスバルーンの割合が50重量%以上であることを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、例えば、平均粒径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子の発芽を阻害すること無く、該種子がコート材でコートされてなるコート種子を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる種子のコート材は、シラスバルーンと水溶性バインダーとを含んでなっている。また、本発明にかかるコート種子は、該コート材でコートされてなっている。上記のシラスバルーンは、平均粒径が50μm以下であることがより好ましい。
【0016】
シラスバルーンの平均粒径は、50μm以下であることがより好ましく、10μm〜30μmの範囲内であることが特に好ましい。シラスバルーンの平均粒径が50μmを超えると、例えば、コートされるべき種子の平均粒径が1mm以下である場合には、均一かつ充分なコート層を形成することができないおそれがある。
【0017】
シラスバルーンおよび水溶性バインダーの合計量に占めるシラスバルーンの割合は、シラスバルーンと水溶性バインダーとの組み合わせ、或いは、コートされるべき種子の種類や平均粒径にもよるが、70重量%〜99.9重量%の範囲内であることがより好ましく、80重量%〜99.9重量%の範囲内であることがさらに好ましく、90重量%〜99.9重量%の範囲内であることが特に好ましい。シラスバルーンの割合が上記の範囲を外れると、均一かつ充分なコート層を形成することができないおそれや、播種時や保存時におけるコート種子の安定性が損なわれるおそれがある。
【0018】
コート材に含まれる水溶性バインダーとしては、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ショ糖、セルロース・アセテート、セルロース・アセテート・プロピオネート、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、ゼラチン等が挙げられるが、種子に対して悪影響を及ぼさない物質であればよく、特に限定されるものではない。これらバインダーは、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。上記例示のバインダーのうち、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、および、カルボキシメチルセルロースが特に好ましい。
【0019】
シラスバルーンおよび水溶性バインダーの合計量に占める水溶性バインダーの割合は、シラスバルーンと水溶性バインダーとの組み合わせ、或いは、コートされるべき種子の種類や平均粒径にもよるが、0.1重量%〜30重量%の範囲内であることがより好ましく、0.1重量%〜20重量%の範囲内であることがさらに好ましく、0.1重量%〜10重量%の範囲内であることが特に好ましい。水溶性バインダーの割合が上記の範囲を外れると、均一かつ充分なコート層を形成することができないおそれや、播種時や保存時におけるコート種子の安定性が損なわれるおそれがある。
【0020】
水溶性バインダーは、粉体の状態でコート材に含まれていてもよく、水溶液の状態でコート材に含まれていてもよいが、例えばコート種子をより簡便に製造するには、水溶液の状態で含まれている方が望ましい。尚、水溶性バインダーが水溶液の状態で含まれている場合における、該水溶液の濃度は、水溶性バインダーの種類等に応じて適宜設定すればよい。
【0021】
本発明にかかるコート材は、上記シラスバルーンおよび水溶性バインダーの他に、必要に応じて、例えば、植物ホルモン、植物栄養剤、植物生長調節剤、農薬、消毒・殺菌剤、酸素発生剤、発熱剤、肥料、鳥等に食べられないようにするための着色剤や忌避剤等の添加剤(補助剤)を含んでいてもよい。尚、コート材における添加剤の含有量は、コート種子に付与すべき各種性能等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0022】
上記シラスバルーン、水溶性バインダー、および必要に応じて添加剤を混合することにより、本発明にかかるコート材が得られる。コート材の製造方法、つまり、上記の構成成分を混合する方法や順序は、特に限定されるものではない。
【0023】
上記構成のコート材を用いて種子をコートするのに好適に使用することができる造粒装置としては、例えば、傾斜回転パン型造粒機や、流動層型造粒機等の公知の造粒装置が挙げられるが、特に限定されるものではない。造粒装置を使用した種子のコート方法の一例、つまり、水溶性バインダーが水溶液の状態でコート材に含まれている場合におけるコート種子の製造方法について、その手順を以下に説明する。
【0024】
先ず、造粒装置に種子を投入して、所定の回転数で攪拌しながら、予め調製した上記コート材を造粒装置に徐々に添加する。そして、種子とコート材とを所定時間、攪拌することにより、造粒操作(被覆操作)を行う。これにより、コート種子が製造される。コート材の添加速度は、造粒操作を容易に行うことができるように、装置内の様子(コート種子の形成され具合)を確認することによって、適宜調節すればよい。
【0025】
得られたコート種子は、種子に熱障害を与えない程度の温度で以て、乾燥操作を行うことが好ましい。尚、種子をコートする具体的な方法は、上記例示の方法にのみ限定されるものではない。
【0026】
本発明においてコートされるべき種子は、特に限定されるものではないが、例えば、平均粒径が1mm以下、さらには0.1mm〜0.5mm程度である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子が特に好適である。該種子としては、具体的には、例えば、ペチュニア、トルコキキョウ、ベゴニア、コリウス、キンギョソウ、タバコ等が挙げられる。
【0027】
種子に対するコート材の使用量は、種子の種類や大きさ、コート種子が備えるべき各種物性や大きさ、或いは、コート種子の製造方法や播種方法等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、コート種子全体に占める前記シラスバルーンの割合が50重量%以上となる量であることがより好ましい。即ち、コート種子全体に占める前記シラスバルーンの割合は、播種時や保存時におけるコート種子の安定性や、コート層の崩壊に掛かる時間(崩壊時間)等の面から、50重量%以上であることがより好ましい。また、コート種子の平均粒径は、播種時における取り扱い性等の面から、1mm〜3mm程度が好適であるが、特に限定されるものではない。
【0028】
コート種子の機械的強度は、播種時や保存時におけるコート種子の安定性から鑑みて、例えば、圧縮強度が50gf〜1000gfの範囲内であれば充分である。また、コート層の崩壊時間(灌水した時点から崩壊するまでに要する時間)は、15秒以下であれば充分である。尚、圧縮強度および崩壊時間の測定方法は、後段の実施例にて詳述する。
【0029】
コート種子の播種方法は、特に限定されるものではないが、種子の発芽条件として光が要求される(光要求性)場合には、コート種子を土中に埋没させずに、地表に配して光が当たるように播種することが望ましい。
【0030】
本発明にかかる種子のコート材は、シラスバルーンと水溶性バインダーとを含んでいるので、シラスバルーンが水溶性バインダーによって結合されてなるコート層を、種子表面に形成することができる。この際、上記のシラスバルーン同士は、水溶性バインダーにより、その接触面積が小さい状態で以て、互いに結合されることになる。それゆえ、該コート層は、播種後、灌水したときに、種子の膨張等に関わり無く、水溶性バインダーが溶解することにより、該シラスバルーンが粒状であるので直ちに崩壊し、種子から剥落する。これにより、コート層が流亡して種子が露出するので、該種子の発芽を阻害することが無い。従って、上記の構成によれば、例えば、平均粒径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子に対して特に好適に用いることができるコート材を提供することができる。また、上記シラスバルーンの平均粒径が50μm以下である場合には、コートされるべき種子の平均粒径が1mm以下である場合において、より一層均一かつ充分なコート層を形成することができる。
【0031】
また、本発明にかかるコート種子は、上記のコート材でコートされてなっている。そして、該コート種子は、コートされるべき種子の平均粒径が1mm以下である。また、該コート種子は、全体に占めるシラスバルーンの割合が50重量%以上である。これにより、例えば、平均粒径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子の発芽を阻害すること無く、該種子がコート材でコートされてなるコート種子を提供することができる。
【0032】
【実施例】
圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率は、下記方法によって測定した。
〔圧縮強度〕コート種子の圧縮強度は、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を用いて、所定の条件下で測定した。即ち、コート種子を所定の条件下で圧縮し、コート層に亀裂が生じた時点で、該コート種子にかかっている荷重を以て、圧縮強度(gf)とした。
〔崩壊時間〕コート種子をJiffy−mix(商標名;Jiffy社製)上に播種した後、20cm上方から、ハンドスプレー(パナスプレー5L型;松下電器産業株式会社製)を用いて所定量、灌水した。そして、灌水した時点から、コート層が崩壊し、種子が露出するまでの時間を以て、崩壊時間(秒)とした。
〔発芽率〕コート種子の発芽率を、発芽試験(25℃培土試験)を実施することによって測定した。先ず、セルが512個のセルトレイに、Jiffy−mix(商標名;Jiffy社製)を所定量、充填した後、鎮圧して培土とした。この培土に、コート種子を1粒/セルとなるように播種した。次いで、上方から、ハンドスプレー(パナスプレー5L型;松下電器産業株式会社製)を用いて所定量、灌水した。その後、上記のセルトレイを25℃に温度調節されたガラスハウス内に載置して、適宜、灌水しながら、コート種子を発芽させた。そして、播種後7日目並びに10日目の発芽率(%)を測定した。
【0033】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載の「部」は、「重量部」を示す。
【0034】
〔実施例1〕
粒子としてのシラスバルーン80部と、水溶性バインダーとしてのポリビニルピロリドン(PVP)の10%(W/V)水溶液20部(従って、ポリビニルピロリドンの量は2部)とを混合することによって、本発明にかかるコート材を調製した。上記シラスバルーンの平均粒径は、15μmであった。
【0035】
次に、コートされるべき種子としてベゴニアを選び、上記コート材を用いてコート種子を製造した。即ち、直径50cmの傾斜回転パン型造粒機に所定量の種子を投入して、回転数約30rpmで攪拌しながら、コート材を該造粒機に徐々に添加した。そして、種子とコート材とを所定時間、攪拌することにより、造粒操作を行った。その後、所定の条件下で乾燥操作を行うことにより、本発明にかかるコート種子を得た。コート種子全体に占めるシラスバルーンの割合は、97重量%であった。
【0036】
得られたコート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。また、種子の発芽がコート材によって阻害されているか否かを確認するために、コートされていない種子(以下、非コート種子と記す)の発芽率を、同様にして測定した。測定結果等を表1に示す。
【0037】
〔実施例2〕
実施例1におけるポリビニルピロリドン水溶液の代わりに、水溶性バインダーとしてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の1%(W/V)水溶液20部(従って、カルボキシメチルセルロースの量は0.2部)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。コート種子全体に占めるシラスバルーンの割合は、98重量%であった。
【0038】
得られたコート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。
【0039】
〔実施例3〕
実施例1におけるポリビニルピロリドン水溶液の代わりに、水溶性バインダーとしてのポリビニルアルコール(PVA)の1%(W/V)水溶液20部(従って、ポリビニルアルコールの量は0.2部)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。コート種子全体に占めるシラスバルーンの割合は、98重量%であった。
【0040】
得られたコート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。
【0041】
〔比較例1〕
実施例1におけるシラスバルーンの代わりに、ロウ石クレイ80部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較用のコート材を調製すると共に、比較用のコート種子を得た。比較用コート種子全体に占めるロウ石クレイの割合は、97重量%であった。
【0042】
得られた比較用コート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。尚、崩壊時間の測定時において、比較用コート種子のコート層は、亀裂が生じたものの、崩壊しなかった。
【0043】
〔比較例2〕
実施例1におけるシラスバルーンの代わりに、パーライト80部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較用のコート材を調製すると共に、比較用のコート種子を得た。比較用コート種子全体に占めるパーライトの割合は、97重量%であった。
【0044】
得られた比較用コート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。
【0045】
〔比較例3〕
実施例1におけるシラスバルーンの代わりに、珪藻土70部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較用のコート材を調製すると共に、比較用のコート種子を得た。比較用コート種子全体に占める珪藻土の割合は、97重量%であった。
【0046】
得られた比較用コート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。
【0047】
〔比較例4〕
実施例1におけるシラスバルーンの代わりに、ゼオライト70部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較用のコート材を調製すると共に、比較用のコート種子を得た。比較用コート種子全体に占めるゼオライトの割合は、97重量%であった。
【0048】
得られた比較用コート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。尚、崩壊時間の測定時において、比較用コート種子のコート層は、亀裂が生じたものの、崩壊しなかった。
【0049】
〔比較例5〕
実施例1におけるポリビニルピロリドン水溶液の代わりに、固形分50%(W/V)の酢酸ビニルエマルションの2%(W/V)水溶液20部(従って、酢酸ビニルの量は0.2部)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較用のコート材を調製すると共に、比較用のコート種子を得た。上記酢酸ビニルは、水溶性を備えていない。比較用コート種子全体に占めるシラスバルーンの割合は、98重量%であった。
【0050】
得られた比較用コート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。尚、崩壊時間の測定時において、比較用コート種子のコート層は、崩壊しなかった。
【0051】
【表1】
【0052】
〔実施例4〕
コートされるべき種子として、ベゴニアに代えてタバコを選んだ以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。コート種子全体に占めるシラスバルーンの割合は、96重量%であった。
【0053】
得られたコート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。また、種子の発芽がコート材によって阻害されているか否かを確認するために、非コート種子の発芽率を、同様にして測定した。測定結果等を表2に示す。
【0054】
〔実施例5〕
コートされるべき種子として、ベゴニアに代えてタバコを選んだ以外は、実施例2と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。コート種子全体に占めるシラスバルーンの割合は、97重量%であった。
【0055】
得られたコート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表2に示す。
【0056】
〔実施例6〕
コートされるべき種子として、ベゴニアに代えてタバコを選んだ以外は、実施例3と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。コート種子全体に占めるシラスバルーンの割合は、97重量%であった。
【0057】
得られたコート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表2に示す。
【0058】
〔比較例6〕
コートされるべき種子として、ベゴニアに代えてタバコを選んだ以外は、比較例2と同様の操作を行い、比較用のコート材を調製すると共に、比較用のコート種子を得た。比較用コート種子全体に占めるパーライトの割合は、96重量%であった。
【0059】
得られた比較用コート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表2に示す。
【0060】
〔比較例7〕
コートされるべき種子として、ベゴニアに代えてタバコを選んだ以外は、比較例3と同様の操作を行い、比較用のコート材を調製すると共に、比較用のコート種子を得た。比較用コート種子全体に占める珪藻土の割合は、96重量%であった。
【0061】
得られた比較用コート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表2に示す。
【0062】
〔比較例8〕
コートされるべき種子として、ベゴニアに代えてタバコを選んだ以外は、比較例4と同様の操作を行い、比較用のコート材を調製すると共に、比較用のコート種子を得た。比較用コート種子全体に占めるゼオライトの割合は、96重量%であった。
【0063】
得られた比較用コート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表2に示す。尚、崩壊時間の測定時において、比較用コート種子のコート層は、崩壊しなかった。
【0064】
〔比較例9〕
コートされるべき種子として、ベゴニアに代えてタバコを選んだ以外は、比較例5と同様の操作を行い、比較用のコート材を調製すると共に、比較用のコート種子を得た。比較用コート種子全体に占めるシラスバルーンの割合は、97重量%であった。
【0065】
得られた比較用コート種子の圧縮強度、崩壊時間、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表2に示す。尚、崩壊時間の測定時において、比較用コート種子のコート層は、崩壊しなかった。
【0066】
【表2】
【0067】
上記表1,2の測定結果から明らかなように、本発明にかかるコート材は、種子の発芽を阻害すること無く、該種子をコートすることができることが判る。即ち、本発明によれば、例えば、平均粒径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子に対して特に好適に用いることができる種子のコート材、および、コート種子を提供することができることが判る。
【0068】
【発明の効果】
本発明の種子のコート材は、以上のように、シラスバルーンと水溶性バインダーとを含む構成である。これにより、例えば、平均粒径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子に対して特に好適に用いることができるコート材を提供することができるという効果を奏する。
【0069】
本発明の種子のコート材は、以上のように、上記シラスバルーンの平均粒径が50μm以下である構成である。これにより、コートされるべき種子の平均粒径が1mm以下である場合において、より一層均一かつ充分なコート層を形成することができるという効果を奏する。
【0070】
本発明のコート種子は、以上のように、上記のコート材でコートされてなる構成である。本発明のコート種子は、以上のように、コートされるべき種子の平均粒径が1mm以下である構成である。本発明のコート種子は、以上のように、全体に占めるシラスバルーンの割合が50重量%以上である構成である。これにより、例えば、平均粒径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子の発芽を阻害すること無く、該種子がコート材でコートされてなるコート種子を提供することができるという効果を奏する。
Claims (5)
- シラスバルーンと水溶性バインダーとを含むことを特徴とする種子のコート材。
- 上記シラスバルーンの平均粒径が50μm以下であることを特徴とする請求項1記載の種子のコート材。
- 請求項1または2記載のコート材でコートされてなることを特徴とするコート種子。
- コートされるべき種子の平均粒径が1mm以下であることを特徴とする請求項3記載のコート種子。
- 全体に占めるシラスバルーンの割合が50重量%以上であることを特徴とする請求項3または4記載のコート種子。
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