JP5717068B2 - 無線電力伝送装置 - Google Patents

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本発明は、電磁界共振結合を用いた無線電力伝送装置に関するものである。
現在、パーソナルコンピュータ、テレビ、ゲーム、携帯電話、携帯音楽プレーヤー、デジタルカメラ等、電力を必要とする機器の需要がますます増加している。多くの通信は無線化が実現されているにもかかわらず、これら電子機器への給電は未だに有線で供給されるか、電池を利用して提供されることがほとんどである。有線による給電は、大電力をほぼロスなく提供できるが、装置の可動性は大きく制限される。一方、電池の場合、機器の可動性は緩和されるが、供給電力量に制限があり、充電や電池の交換のコストも生じる。
このような背景から、無線による電力伝送技術が注目されている。従来の主要な無線電力伝送技術としては、電磁誘導、マイクロ波、を用いるものがある。電磁誘導は高効率で電力伝送可能であるが送受信装置を密接した状態でないと電力伝送できず、マイクロ波は長距離伝送可能であるが電力伝送の効率が悪いという不具合がある。
近年では、共振周波数の等しいアンテナを結合させることで、共振周波数においてm単位の中距離へ効率のよい伝送が可能になる電磁界共振結合技術への注目が高まっている。電磁界共振結合は電磁共鳴とも呼ばれ、Q値の高い二つのアンテナを共振させることにより、近接場において非放射で電力エネルギーを伝送する技術である(特許文献1〜4、非特許文献1)。
従来の電磁界共振結合による電力伝送は、正対させた電磁界共振器により、1対1で伝送するものであり、例えば、電気自動車への応用が検討されている(特許文献3、4、非特許文献1)。特許文献2は、特定の給電先に選択的に給電することを目的としているが、それぞれ異なる固有の共鳴周波数を備えた給電先に対して同じアンテナ(共鳴周波数可変)から選択的に給電するものであり、2つの送受信アンテナ間の電力伝送について論じる点においては同様である。
ユビキタスコンピューティング環境では室内に大量に情報通信機器を取り付けるため、給電方式が大きな課題となる。多数の機器群が混在するユビキタス社会における新しい電力源のインフラとして、磁界共振結合を用いた無線電力伝送方式を考えた場合には、従来の2つの送受信アンテナ間の電力伝送とは異なるアプローチが必要となる。
米国特許第7741734号(特表2009−501510) 特開2010−63245 特開2010−98807 特開2010−130878
居村岳広,内田利之,堀洋一,"非接触電力伝送における電磁誘導と電磁界結合の統一的解釈," 電気学会自動車研究会資料,VT-09,no.1-9,pp.35-40,Jan. 2009.
本発明は、非放射、高効率でありながら、面的な拡がりを備えた給電を可能とする無線電力伝送装置を提供することを目的とするものである。
本発明のより具体的な課題は、本明細書の記載から明らかになる。
本発明が採用した技術手段は、
電力供給源と、
隣接する共鳴素子間で共鳴可能なように面方向に配置された3個以上の共鳴素子からなる共鳴素子群と、
制御部と、を備え、
前記共鳴素子群は、電力供給源から電力を受け取る第1素子と、電力供給対象に電力を供給する第2素子と、を含んでおり、
前記制御部は、前記第1素子、前記第2素子の位置に基づいて、前記共鳴素子群における共鳴素子を選択的に共鳴させることで、前記第1素子及び前記第2素子を除く共鳴素子の少なくとも一部を中継素子として動作させて、当該中継素子により前記第1素子から前記第2素子への電力伝送経路を形成する、
無線電力伝送装置、である。
1つの態様において、前記共鳴素子群において、少なくとも第1素子を除く各共鳴素子は、前記制御部からの指令により導通・非導通に切り替え可能に構成されており、
前記制御部は、共鳴素子を選択的に導通・非導通させることで所定の共鳴素子を中継素子として動作させて前記電力伝送経路を形成する。
1つの態様では、少なくとも第1素子を除く各共鳴素子は、前記制御部からの指令によりON/OFF可能なスイッチを有しており、スイッチがONとなると共鳴素子が導通し(共振コイルが短絡する)、スイッチがOFFとなる共鳴素子が非導通となる(共振コイルが開放する)。前記制御部は、共鳴素子に選択的にON/OFF指令を無線で送信することで所定の共鳴素子を中継素子として動作させて前記電力伝送経路を形成する。
1つの態様では、前記共鳴素子群において、前記第1素子の位置は予め決まっており、前記第2素子は、電力供給対象の位置に対応して、前記第1素子以外の共鳴素子から任意に選択される。
1つの態様では、前記共鳴素子群において、少なくとも第1素子を除く各共鳴素子は、当該共鳴素子上に電力供給対象が配置されたことを検知する手段と、前記検知手段による検知信号を無線で前記制御部に送信する送信手段と、を備えている。
1つの態様では、前記制御部は、前記第1素子、前記第2素子の位置に基づいて各共鳴素子の導通・非導通を判定する手段を備えている。第1素子の位置が予め決まっている場合には、第2素子の位置に対応して導通・非導通を判定するプログラムを制御部に格納しておけばよい。
1つの態様では、前記制御部は、各共鳴素子のIDと位置情報との対応テーブルを備えている。
1つの態様では、前記制御部は、前記第1素子以外の各共鳴素子に夫々設けられた複数のローカル制御部を含んでおり、
各ローカル制御部には、各共鳴素子のIDと位置情報との対応テーブルと、前記第2素子の位置に基づいて当該ローカル制御部が設けられた共鳴素子の導通・非導通を判定する手段と、判定結果に基づいて当該ローカル制御部が設けられた共鳴素子を導通あるいは非導通とする手段と、を備えている。
1つの態様では、前記第1素子以外の各共鳴素子は、データを無線で送受信可能な無線通信手段を備えている。
1つの態様では、前記第1素子も、データを無線で送受信可能な無線通信手段を備えている。
1つの態様では、各共鳴素子は、面部と側部を備えた板状体であり、側部が互いに隣接するように面方向に配置されている。
各板状体は、面部と直交するように延びる中心軸を規定する螺旋コイルを内蔵しており、各中心軸を互いに平行させて、中心軸に直交する方向に互いに隣接するように配置されている。
1つの態様では、板状体の共鳴素子は、低背の円柱形状(円板状)である。
典型的には、各共鳴素子は同じ外形・寸法を備えている。
1つの態様では、互いに隣接する共鳴素子の側部(周面)同士の間隔は、当該間隔を形成する共鳴素子の直径寸法未満であり、好ましくは、各共鳴素子は側部同士を密接させるようにして配置される。ここでの「間隔」は、後述する実験における距離(図12参照)と異なるものである。
1つの態様では、前記共鳴素子群は、格子状に配置された複数の共鳴素子を含んでいる。
1つの態様では、前記制御部は、前記第1素子と前記第2素子とを対角点とする方形が形成できる場合には、当該方形内にある素子の全部(図9、図19)または一部(図8)を中継素子として動作させる。
一部の素子を中継素子として動作させる場合には、連続的に隣接しながら連なる複数の中継素子が第1素子と第2素子とを結ぶように、中継素子を選択する。例えば、前記第1素子と前記第2素子を結ぶ最短経路(X方向・Y方向に延びる直線の組み合わせからなる)上に位置する素子のみを中継素子として動作させる。より具体的には、方形の2辺を構成するL字状に配置された素子を中継素子として選択する。あるいは、第1素子と第2素子とを階段状に結ぶように中継素子が選択される。また、複数の最短経路が形成できる場合には、1つ又は複数の最短経路上に位置する素子を中継素子として動作させる。例えば、方形の2辺を構成するL字状の最短経路は2つあるが、いずれか一方の経路上の素子を中継素子として動作させても、あるいは両方の経路上の素子を中継素子として動作させてもよい。
前記制御部は、前記第1素子と前記第2素子とを対角点とする方形が形成できない場合には、前記第1素子と前記第2素子を結ぶ最短直線上に位置する素子のみを中継素子として動作させる。
1つの態様では、前記共鳴素子群は、0個以上の分岐を備えた線状に配置された複数の共鳴素子を含んでおり、
前記制御部は、前記第1素子と前記第2素子を結ぶ最短直線上に位置する素子のみを中継素子として動作させる。
1つの態様において、前記共鳴素子群の共鳴素子の少なくとも一部は、室内空間の床面および/あるいは壁面および/あるいは天井面に沿って敷設されている。
3個以上の共鳴素子からなる共鳴素子群を用いた無線電力伝送装置について説明してきたが、複数の共鳴素子(共振器)を多段結合した場合には複数の共振点が生じ、最大効率で伝送できる周波数が一定にならないという課題がある。
かかる課題を解決するべく、上記無線電力伝送装置において、
各共鳴素子は、そのインダクタンスL、キャパシタンスCによる自己共振周波数を持つ共振器であり、前記電力伝送経路を形成する複数の共鳴素子は、隣接する各素子間の結合係数によって共振結合されており、
前記電力伝送経路を形成する複数の共鳴素子を、中心周波数が共振器の自己共振周波数付近である複数の共振器の結合によるBPF(帯域通過フィルタ)とみなし、
前記BPFの周波数特性を満たすように、前記電力伝送経路を形成する複数の共鳴素子の各素子間の結合係数、前記電力伝送経路を形成する複数の共鳴素子の各素子のインダクタンスLおよび/またはキャパシタンスC、のいずれか一方あるいは両方を設定するようにした。
こうすることで、周波数特性がギザギザの櫛形(図29A)であったものを、台形(図29B)にすることができ、伝送効率を向上させることができる。
前記共鳴素子群が同じ共鳴素子から構成される場合には、各素子のインダクタンスLおよびキャパシタンスCが同じであるため、各素子間の結合係数のみを設定することになる(後述する実施形態参照)。
1つの態様では、前記結合係数は、各素子間の距離によって設定される(後述する実施形態参照)。この場合、結合係数と素子間の距離との対応関係を予め実測あるいは計算(ノイマンの公式等の距離の関数で求める)で取得しておく必要がある。
1つの態様では、前記電力伝送経路を形成する複数の共鳴素子は線状に配置されており、前記BPFは通過域内最平坦型のBPFである。
「線状」とは典型的には直線であるが、折れ線状や湾曲線状に配置されたものも含む。
「前記電力伝送経路を形成する複数の共鳴素子」が線状に配置されていることは、制御部により形成される電力伝送経路が線状であることであり、「3個以上の共鳴素子からなる共鳴素子群」は格子状に配置されている場合(その中から選択された一部が線状、すなわち、ONにするコイルを長方形の形ではなく直線状になるようにONにする)、線状に配置されている場合(その中から一部あるいは全部が選択される)の両方を含む。
1つの態様では、前記電力伝送経路を形成する複数の共鳴素子は格子状に配置されており、前記BPFは楕円関数型のBPFである。
本発明の無線電力伝送装置において、共鳴素子群を構成する各共鳴素子は面方向に配置されているため、各共鳴素子は、床面や壁面等の面に沿って平面状に敷設することで広い面積をカバーすることができ、部屋の床面のような平面上の任意の場所にある機器に電力供給することができる。
制御部によって、共鳴素子群における共鳴素子を選択的に共鳴させることで、前記第1素子及び前記第2素子を除く共鳴素子の少なくとも一部を中継素子として動作させて、当該中継素子により前記第1素子から前記第2素子への電力伝送経路を形成することで、目標装置以外への電力供給により目標装置への電力伝送効率が低下すること、磁場に弱い機器が設置されている場所に磁場を発生させてしまうことによる障害を回避することができる。すなわち、必要な機器へ、必要な経路上の共鳴素子のみを用いて、必要な時に電力伝送できる。
本発明の無線電力伝送装置では、従来の共鳴素子を正対させて伝送する場合と異なり、この構成では、隣接する共鳴素子のすべてに磁場が生成される。このため、電力供給先を選ばないが、逆に必要の無い共鳴素子上の機器にも電力が伝送されてしまい、目標装置への電力伝送効率が低下するという欠点がある。
本発明の効果は上記記載に限定されるものではなく、その他の効果は、本明細書の記載から明らかになる。
無線電力伝送装置(直線配置)の全体構成を示す概略図である。 無線電力伝送装置(分岐を有する直線配置)の全体構成を示す概略図である。 無線電力伝送装置(格子状配置)の全体構成を示す概略図である。 給電アンテナを示す概略図である。 中継アンテナを示す概略図である。 第2素子及び受電アンテナを示す概略図である。 制御部が格納しているアンテナの位置を識別するIDテーブルを示す図である。 伝送経路制御を説明する図である。 伝送経路制御を説明する図である。 室内の面に多数配置した共振アンテナを用いた磁界共振結合による二次元無線電力伝送の概念図である。 二次元無線電力伝送システムの概念図である。 図10Aにおける各コイルの概略図である。 スパイラルコイルを示す図である。 測定に使用したアンテナを示す図である。 (A)従来の電磁界共振結合におけるアンテナの配置態様を示す図、(B)アンテナの配置(シングルポップ)を示す図、(C)アンテナの配置(マルチホップ、距離30cm)を示す図、(D)アンテナの配置(マルチホップ、距離35cm)を示す図、(E)アンテナの配置(格子)を示す図である。 シングルホップ及びマルチホップの伝送効率を示す図である。 (A)アンテナをn個配置した場合の等価回路、(B)共振状態における等価回路を示している。 マルチホップとその等価回路の効率を示す図である。 各アンテナの共振周波数と伝送効率を示す図である。 一元配置と二次元配置の伝送効率を示す図である。 格子配置における損失の原因を説明する図である。 伝送経路制御の一実施形態を示す図である。 図19と類似する図である。 図16と類似する図であり、伝送経路制御による伝送効率の向上が示されている。 Sパラメータを示す図である。 等価回路モデル(直結型)を示す図である。 等価回路における伝送効率を示す図である。 (A)は結合係数の測定を説明する図、(B)は結合係数と素子間距離の関係を示す図である。 Kインバータによる通過域内最平坦型BPFを示す図である。 (A)はKインバータによるインピーダンス変換、(B)は対称T型回路をそれぞれ示す図である。 フィルタ理論による多段化設計を示す図である。 周波数特性の測定構成を示す図である。 (A)は多段化設計前のS21、(B)は多段化設後のS21、をそれぞれ示す図である。 カノニカル結合を示す図である。
[A]無線電力伝送装置の構成
本発明に係る無線電力伝送装置の実施形態を、図1〜9に基づいて説明する。無線電力伝送装置は、電力供給源(交流電源)と、隣接する共鳴素子(共振アンテナ)間で共鳴(共振)可能なように配置された3個以上の共鳴素子(共振アンテナ)からなる共鳴素子(共振アンテナ)群と、を備えている。
各共鳴素子の具体的な構成は限定されないが、例えば、ボビンコイルや空芯コイル等から低背の円柱形状(円板状)に形成されている。円板状の共鳴素子は、対向する2つの円形の面部と、周面と、を備えており、面部の中心を通って当該面部に対して垂直状に延びる仮想軸を中心軸とする。図示の態様では、各共鳴素子は同じ外形・寸法を備えている。また、電力供給対象には負荷を備えた共鳴素子(負荷アンテナ)が設けられ、共鳴素子群の共鳴素子(共振アンテナ)と共振周波数が同じである必要があるが、電力供給対象に設けられる共鳴素子(負荷アンテナ)の大きさは小さい方が望ましい。
従来は円板状の共鳴素子を正対させて電力伝送していたが、本実施形態では、円板状の各共鳴素子は、面方向に互いに密接するように配置されている。換言すると、各共鳴素子は、各中心軸を互いに平行させて、中心軸に直交する方向に互いに周面同士が密接するように平面状に配置されている。各共鳴素子の高さ(厚さ)が同じ場合、1つの態様では、複数の共鳴素子は、各共鳴素子の面部が同一平面上に位置するように配置される。
図1に示す態様では、各共鳴素子は直線状に配置されており、図2に示す態様では、各共鳴素子は1つの分岐を備えた直線状(逆T形状)に配置されている。図3に示す態様では、各共鳴素子は経緯方向(XY方向)に密接させることで格子状に配置されている。
共鳴素子群は、電力供給源から電力を受け取る第1素子(給電素子)10と、電力供給対象に電力を供給する第2素子20Aと、を含んでいる。第1素子10と第2素子20Aとの間の共鳴素子20を中継素子20´として動作させることにより、中継素子20´によって連続的に共振状態が作られマルチホップ無線電力伝送が可能となる。本明細書では、各共鳴素子が電力を中継する能力をもつこと、無線通信用語に倣って「マルチホップ」と称する。
無線電力伝送装置は共鳴素子を選択的に共鳴させるための制御部を備えており、前記制御部は、共鳴素子群における第1素子10及び第2素子20Aの位置情報に基づいて、共鳴素子群における共鳴素子を選択的に共鳴させることで、第1素子10及び第2素子20Aを除く共鳴素子の少なくとも一部を中継素子20´として機能させて、中継素子20´により第1素子10から第2素子20Aへの電力伝送経路を形成する。
制御部は、1つあるいは複数のコンピュータ装置から構成することができ、当該コンピュータ装置は、各種計算を行う演算処理部、入力部、出力部、記憶部、を備えている。1つの態様では、前記制御部は、第1素子10以外の各共鳴素子20に夫々設けられた複数のローカル制御部201と、第1素子に設けられた中央制御装置と、からなる。
ローカル制御部201は、各共鳴素子のIDと位置情報との対応テーブル(図7参照)と、第2素子20Aの位置に基づいて当該ローカル制御部201が設けられた共鳴素子20の導通・非導通を判定する手段と、判定結果に基づいて当該ローカル制御部201が設けられた共鳴素子20を導通あるいは非導通とする手段と、を備えている。なお、ローカル制御部201の機能の一部あるいは全部を中央制御装置に持たせて、中央制御装置からの無線通信によって各共鳴素子20の導通・非導通を制御してもよい。
中央制御装置は、第2素子20Aの位置に応じて、第2素子20Aへの電力伝送効率が最大になるように第1素子10に出力される送信電力の周波数を調整する。電磁共鳴では、特定の周波数において電力効率最大の伝送が可能となるが、特定の周波数は第2素子20Aまでの距離(中継素子20´の数)によって変化するため、それにあわせて周波数を調整する必要がある。1つの態様では、各素子20をそれぞれ第2素子20Aとして測定した時の結果の周波数と共鳴素子のIDとの対応表を予め中央制御装置の記憶部に記憶しておくことで、その周波数の近辺に最大効率の周波数があると想定して調整を容易に行うことができる。
上述のように、制御部は、共鳴素子群における各共鳴素子の位置情報、すなわち、各共鳴素子のIDと位置情報との対応テーブルを格納している。図7に対応テーブルを例示する。格子状に配置された共鳴素子は二次元平面上の座標位置として(x、y)座標で特定されている。図12(E)の3×3に配置されたアンテナ番号(ID)との対応で説明すると、アンテナ1(1,1)、アンテナ2(2,1)、アンテナ3(3,1)、アンテナ4(1,2)、アンテナ5(2,2)、アンテナ6(2,3)、アンテナ7(1,3)、アンテナ8(2,3)、アンテナ9(3,1)となる。対応テーブルを格納場所としては、各ローカル制御部201に格納する場合、および/あるいは、中央制御装置に格納する場合が考えられる。
第1素子(給電素子)10の位置は、交流電源の位置に依存するため、典型的には、共鳴素子群における給電素子の位置は予め決まっている。図1、図2の態様では直線状の共鳴素子群の一端、図3の態様では格子状の共鳴素子群の角に位置する共鳴素子が第1素子(給電素子)10となっている。給電素子の位置は必ずしも共鳴素子群の端部に限定されるものではなく、例えば、格子状に配置された複数の素子の中央の素子を給電素子としてもよい。
図4に示すように、給電素子10は、連続状の導電線の螺旋コイルから形成されており、交流電源から電力を受け取るようになっている。図4では簡略のため、交流電源と給電素子が直接接続されているように記載されているが、交流電源と給電素子は他の要素を介して接続してもよいことが当業者に理解される。また、交流電源から給電素子への電力伝送を電磁誘導結合により行ってもよい。
図5、図6に示すように、給電素子以外の素子20は、スイッチ200を備えた導電線のコイルから形成されており、スイッチ200をONにして短絡すると共鳴素子(共振アンテナ)が導通され、スイッチ200をOFFにして開放すると共鳴素子(共振アンテナ)が非導通となる。なお、給電素子を、同様にスイッチを備える構成とする共に、スイッチを常時ONとして給電素子として機能させてもよい。
各素子20は、データを無線で送受信可能な無線通信手段(送信機)を備えている。無線通信手段としては幾つものやり方が当業者に知られているが、共鳴素子の無線通信について、2つの手法を以下に例示する。1つは、部屋内の無線LANアクセスポイントを中継する方法であり、もう一つは、アンテナ間の電磁共鳴を用いて通信する方法である。前者の方法では、各アンテナに無線LAN用の通信モジュールを付加し、それと部屋内のアクセスポイントと通信を行う構成とすることができる。後者の方法では、電力伝送用のアンテナはON/OFFの切り替わりがあるため、例えば電力伝送用のアンテナよりも小さい通信用のアンテナを電力伝送用アンテナの内部に設けて、通信用アンテナを常にONにして、通信を行う構成をとることができる。このような手法は電磁誘導で電力を伝送するときに電力を伝送する機器であるか認証するために実際に使われている。
各素子20に設けられたローカル制御部201は、スイッチ200のON/OFFを制御するスイッチ開閉制御手段を有している。スイッチ開閉制御手段によるスイッチ200のON/OFF制御は、例えば、ローカル制御部201で行うON/OFF判定、あるいは、無線で受信したスイッチON/OFF指令にしたがって行われる。スイッチ開閉制御手段によりスイッチ200をONとすることで、当該素子20を中継アンテナ20´として機能させる。
第2素子20Aは、共鳴素子群において、電力供給対象の位置に応じて、第1素子以外の共鳴素子20から任意に選択される。典型的には電力供給対象は第2素子20Aから電力を受信するための負荷を備えた受電アンテナ30を内蔵しており、第2素子20Aの面部に対向するように設けることで第2素子20Aから電力を無線で受け取る(図6)。例えば携帯電話の場合、バッテリの蓋に受電アンテナを貼りつけて、受電を行うことが考えられる。また、第2素子から受電アンテナへの電力伝送を電磁誘導結合により行ってもよい。
第1素子10を除く各共鳴素子20は、当該共鳴素子上に電力供給対象が配置されたこと(すなわち、第2素子20Aであること)を検知する手段(受電アンテナ検知器)と、前記検知手段による検知信号を無線で制御部(各ローカル制御部201及び中央制御装置)に送信する送信手段と、を備えている。なお、第2素子20Aであることを検知した素子自身のローカル制御部201へは、検知信号を無線以外の方法(例えば、検知手段がローカル制御部201の一部である)で送信してもよい。
共鳴素子上に電力供給対象(受電アンテナ30)が配置されたことの検知方法としては、以下の2つの手法を例示することができる。1つは、共鳴素子20の無線通信手段と、電力供給対象の無線通信手段によって通信を行って確認する。もう一つは、共鳴素子20の上方に物が存在する場合には共振周波数がズレるのでそれによって検知する。
受電アンテナ検知器で検知された信号の処理の流れについては、以下の2つの場合を例示することができる。ここでは、各共鳴素子20のローカル制御部201が、各共鳴素子のIDと位置情報との対応テーブル(図7参照)と、第2素子20Aの位置に基づいて当該ローカル制御部201が設けられた共鳴素子20の導通・非導通を判定する手段と、判定結果に基づいて当該ローカル制御部201が設けられた共鳴素子20を導通あるいは非導通とする手段と、を備えているものとする。
(1)無線LAN(WiFi)を使う場合
上方に電力供給対象が存在することを検知した共鳴素子(第2素子20A)が自己のIDをWiFiのアクセスポイントに通知する。
アクセスポイントが第2素子のIDを全ての共鳴素子20にブロードキャストする。
各共鳴素子20はそのブロードキャストされたIDを元に自己がONになるか以下かを判断し、自己の導通・非導通を制御する。
第2素子のIDは中央制御装置(例えば、給電素子に設けられる)へも送信され、第2素子のIDを取得した中央制御装置は、そのIDへの電力伝送効率が最大になるように給電素子への送信電力の周波数を調整する。
(2)アンテナの通信機のみ用いる場合
上方に電力供給対象が存在することを検知した共鳴素子(第2素子20A)が自己のIDを周囲の共鳴素子に通知する。
IDを受信した各共鳴素子は、そのブロードキャストされたIDに基づいて自己がONになるか否かを判断し、自己の導通・非導通を制御する。さらに周囲のアンテナへIDを転送する。
第2素子のIDは中央制御装置(例えば、給電素子に設けられる)へも送信され、第2素子のIDを取得した中央制御装置は、そのIDへの電力伝送効率が最大になるように給電素子への送信電力の周波数を調整する。
ローカル制御部は、受信した第2素子20Aの位置に基づいて当該ローカル制御部201が設けられた共鳴素子20の導通・非導通を判定する手段を備えている。第2素子20Aの位置に基づいて、共鳴素子20の導通・非導通を判定する手法には幾つかのやり方がある。例えば、1つの態様では、図7において、座標(s,t)の共鳴素子が第2素子20Aであった場合、自己のIDのx,y座標値が共にx<s, y<tであればONにし、そうでなければOFFにするような判定プログラムが格納されている。あるいは、第2素子20Aの位置に対して共鳴素子をONとするかOFFとするかが予め決定されており(IDと対応してON・OFFが格納されている)、受信した第2素子のIDによってON、OFFを決定するようにしてもよい。また、共鳴素子群において複数の第2素子20Aが存在するような場合には、第2素子20Aの位置の組み合わせパターンに対応して、共鳴素子をONとするかOFFとするかを予め決定しておき(IDの組み合わせと対応してON・OFFが格納されている)、受信した第2素子のIDの組み合わせによってON、OFFを決定するようにしてもよい。また、中央制御装置が各共鳴素子をONとするか、OFFとするかを判定する手段を備えていてもよい。
制御部は、第1素子、第2素子の位置情報から第1素子から第2素子への伝送経路を求めるようになっている。図8、図9において、図12(E)のIDを用いると、アンテナ1が第1素子10、アンテナ5が第2素子20A(受電アンテナが対向状に配置される)であり、図8では、アンテナ4、アンテナ5をONとし、他のアンテナ2、3、6、7、8、9をOFFとして、アンテナ4のみを中継素子20´として動作させて、アンテナ1→アンテナ4→アンテナ5の伝送経路を形成する。
図9では、アンテナ2、アンテナ4、アンテナ5をONとし、他のアンテナ3、6、7、8、9をOFFとして、アンテナ2、4のみを中継素子20´として動作させて、アンテナ1→アンテナ4→アンテナ5、アンテナ1→アンテナ2→アンテナ5の伝送経路を形成する。なお、図8、図9の例では、アンテナ1(第1素子)とアンテナ5(第2素子)が斜め方向に隣接しているため、アンテナ1→アンテナ5の伝送経路も形成されるものと考えられる。
本実施形態に係る無線電力伝送装置は、図10のような室内環境における無線電力伝送システムに適用することができる。部屋を構成する面(床や壁等)に共鳴素子(共振アンテナ)を格子状に多数配置し、共振アンテナ間で磁界共振結合によるマルチホップ無線電力伝送を室内全体で可能とする。隣接するアンテナ同士の共振は選択的に制御可能となっている。アンテナの少なくとも一つは電力源となり、例えば、商用電源から周波数変換し10MHzから50MHz程度の周波数で、隣接するアンテナへ電磁界共振結合現象により電力を伝える。隣接するアンテナ同士が共振する場合、その電磁エネルギーは順次隣のアンテナに伝わり、最終的には負荷のつながった受信用アンテナにおいて伝送されたエネルギーが消費される。また、電磁界共振結合ではアンテナの中心軸上であればアンテナの直径程度の距離まで高効率でエネルギーが伝送可能であり、受信用アンテナが、面的に配置されたアンテナの面からある程度離れて位置する場合であっても、エネルギーを伝送することができる。この方式により、多数の共鳴素子を床面や壁面あるいは天井面に敷き詰めることにより、部屋の中に存在する任意の装置に非接触で電力供給することができる。
図10Aは、図10と類似の二次元無線電力伝送システムの概念図である。図10Aに示すように、1つまたは複数の給電コイル(給電素子)に交流電源を励振させ、その電力を隣接する中継コイル(中継素子)に磁界共振結合によって電力を伝送していき、最終的に電子機器に接続された受電コイル(受電素子)まで電力を伝送し、そこで直流に変換し負荷である電子機器に給電を行う。図示の態様の一つの特徴は、コイルを同一平面上に配置する点である。既述のように、電力伝送システムには、3種類の役割の異なるコイル(共鳴素子)が存在する。(a)給電コイル、(b)中継コイル、(c)受電コイルであり、これらのコイルは磁界共振結合という制約から全てのコイルが等しい自己共振周波数を持つものとする。以下各コイルの動作について説明を行う。
無線電力伝送システムは、1つ以上の給電コイルを備えている。給電コイルでは商用電源(50−60Hz)をコイルの自己共振周波数(13.56MHz等)に変換し、近隣の中継コイルに磁界共振結合により電力の伝送を開始する。図10Bの態様では、電力の伝送効率を向上させるために、インピーダンス整合回路が挿入されている。
無線電力伝送システムは、平面上に敷き詰められた複数の中継コイルを備えている。給電コイルと比べて異なることは共振状態を制御できるようにコイルの中間にスイッチが存在するということである。スイッチをONにすることで給電コイルと受電コイルと等しい自己共振周波数を持つようになる。スイッチをOFFにすることで給電コイルと受電コイルの自己共振周波数を持たないようになり、磁界共振結合として機能させないようにすることができる。この機能によって、必要ではない中継コイルを起動させないようにして伝送効率を向上させることができる。給電コイルから発せられた電力を中継コイルが磁界共振結合を用いて隣接する中継コイルへ電力を伝送していく。
無線電力伝送システムは、1つ以上の受電コイルを備えている。受電コイルは図10Aのコイル(c)のようにTVやラップトップなどの電子機器に接続され、中継コイルによって中継された電力を最終的に受け取り、接続された負荷に供給する。受電コイルは、コイルに中継コイルから励振された交流電圧を整流器で直流にし、負荷に給電する。受電コイルは電子機器に接続されているために、中継コイルの上、あるいは、中継コイルより離れた場所にある。しかし、本システムではコイルの直径の数倍まで効率よく伝送が行える磁界共振結合を用いているため、机程度の高さへは効率良く電力伝送を行うことができる。また、磁界共振結合に用いる共振器としてはヘリカル状のコイルを用いる手法が一般的であるが、受電コイルには図10Cのように薄くすることが容易なスパイラル状のコイルを用いることが有利である。
[B]磁界共振結合式マルチホップ無線電力伝送方式の解析と評価
ヘリカルアンテナを試作し、直線状に配置した場合、格子状に配置した場合のそれぞれにおいてマルチホップでの伝送効率の測定実験に基づいてマルチホップ無線電力伝送方式の解析と評価を行った。
[B−1]試作アンテナの構成
測定に使用したアンテナ(図11参照)は、非特許文献1を参考にして製作したものであり、直径1mmのポリエステル銅線を発泡スチロールに半径15cm、ピッチ5mmで5巻きしてなるヘリカルアンテナである。アンテナの端子にはSMAレセプタクルを取り付け、各種測定を容易にしている。中継アンテナにおいては、SMAコネクタの直前でポリエステル銅線をハンダ付けしショートさせたものを用いる。中継アンテナの端子を「ショート」にすると隣接するアンテナ同士で共鳴状態が作られる。一方「オープン」にすると、共鳴しないので、中継アンテナとして機能しない。送信アンテナと受信アンテナの間に中継アンテナを配置することにより電力を中継するアンテナとして機能し共振状態が作られマルチホップ無線電力伝送が可能となる。
[B−2]伝送効率の評価手法
シングルホップ無線電力伝送は2つのアンテナを用いて測定し、マルチホップ無線電力伝送は最大9個のアンテナを用いて伝送効率を測定した。伝送効率を求めるために、ベクトルネットワークアナライザ(VNA)を用い、15MHzから20MHzまでの透過係数のピーク値を記録した。伝送効率η21はベクトルネットワークアナライザから得られるデシベルの透過係数S21dBをもとに、式(2)から算出した。
距離の定義は図12(B)(C)(D)のように、送電するアンテナの円柱の中心から電力を受け取るアンテナの円柱の中心までとした。測定は距離30cm(密接した状態)から最大距離240cmまで測定を行った。
[B−2−1]シングルホップ無線電力伝送
シングルホップ無線電力伝送は通常は図12(A)の配置で行われる。本実施形態では、図12(B)のような配置でシングルホップにおける伝送効率を測定した。測定は効率が1%を切る距離まで行った。
[B−2−2]アンテナを直線状に配置した場合のマルチホップ無線電力伝送
マルチホップ無線電力伝送について2つの異なる条件で伝送効率の測定を行った。1つは、アンテナを密接して配置する条件(図12(C))、もう1つは、アンテナ間の端と端を5cm離して配置する条件(図12(D))である。マルチホップ無線電力伝送における測定は、2ホップの測定のときは3つのアンテナを配置し、3ホップの測定のときは4つのアンテナを配置した。測定は距離が240cmを超えたところで終了した。
[B−2−3]アンテナを二次元平面に密接して配置した場合のマルチホップ無線電力伝送
試作したアンテナを用い、格子状に配置した二次元平面における伝送効率を測定した。二次元平面での伝送効率測定では、試作した9個のアンテナを密接させて3×3の格子状に並べ(図12(E))、給電アンテナと電力を得るアンテナを除く7個のアンテナを中継アンテナとして動作させている。便宜上、各アンテナに下から1〜9までの番号を割り当ててあり、アンテナ1を給電アンテナとし、その他の8個のアンテナへの伝送効率をそれぞれVNAにより測定した。測定点以外のアンテナも全て中継アンテナとして動作させて、給電アンテナであるアンテナ1からその他のアンテナ2〜9の8個のアンテナへの伝送効率を測定した。
[B−3]測定結果及び考察
[B−3−1]直線状における測定結果及び考察
シングルホップ無線電力伝送、アンテナを直線的に配置したマルチホップ無線電力伝送の測定結果を図13に示す。図13の縦軸は給電アンテナから電力を得るアンテナまでの伝送効率であり、横軸は給電アンテナから電力を得るアンテナまでの距離である。
図13から、シングルホップとマルチホップの伝送効率を比較すると、シングルホップの伝送効率はアンテナ間の距離が増加するにつれて急激に低下することがわかる。一方、マルチホップの伝送効率はアンテナ間の距離が増加してもシングルホップに比べて緩やかな低下である。すなわち、アンテナを直線状に配置した場合、2個並べた場合(伝送距離30cm)に88.8%、9個並べた場合(伝送距離240cm)に73.1%の伝送効率で電力伝送が可能であり、伝送距離が長くなるにつれて伝送効率は落ちていくが、高い伝送効率を維持することが可能である。この結果から同じ距離であれば、マルチホップ無線電力伝送のほうがシングルホップ無線電力伝送よりも効率がよいと言える。1.5mの距離であれば、アンテナの密接に配置した場合のマルチホップ無線電力伝送の伝送効率は78.1%であるのに対して、シングルホップ無線電力伝送の伝送効率は4.63%である。その他の距離でもマルチホップ無線電力伝送のほうが効率が良い。
マルチホップ無線電力伝送における2つの異なる条件での測定結果をみると、同じ距離であればアンテナを密に配置した場合の伝送効率のほうが、アンテナの周面同士を5cm離して配置した場合の伝送効率よりも効率がよい。2.1mの距離であれば、アンテナを密接に配置した場合の伝送効率は73.4%であるのに対して、アンテナの端と端を5cmあけておいた場合の伝送効率は45.5%で前者のほうが効率がよい。その他の距離でもアンテナを密に配置した場合のほうが効率がよい。同じ距離であればアンテナを密においた場合に最も効率よく伝送できる。また、マルチホップで伝送する場合の各アンテナの設置間隔の違いによる効率への影響の実験は、各アンテナの距離40cm、45cmの場合の測定も行ったが、各アンテナの間隔が大きくなるにつれて効率が悪くなることを確認した。
直線状にアンテナを配置した場合について考察する。マルチホップ無線電力伝送においてホップ数の増加による伝送効率の変化を理解するために、シングルホップにおける等価回路(非特許文献1)を拡張した、アンテナをn個置いた場合の等価回路(図14)を用いる。二つのアンテナが至近距離で隣接する際、共振周波数付近ではほとんどのエネルギーは透過し、主な損失は、各アンテナの銅損や放射損等に限られる。そこで図14(A)を、1つのアンテナにおける損失を抵抗Rで代表した図14(B)に近似して議論する。図14(B)の伝送効率ηは、
と求められる。
電磁界共振結合においてシングルホップで無線電力伝送を行うと、アンテナの直径程度の距離で急速に伝送効率が下がり始めることが知られている。一方、アンテナを密に配置したマルチホップの場合、(一般に)損失Rに比べ負荷インピーダンスZは大きいので、式(3)から伝送効率は中継アンテナの数nに対して、緩やかな減少関数であることが分かる。したがって、同一距離を伝送する場合は、シングルホップよりマルチホップのほうが効率よく電力伝送できると考えられる。
マルチホップ(30cm)の等価回路におけるR/Zを回帰分析により求めると0.0466であり、マルチホップ(35cm)の等価回路におけるR/Zを回帰分析により求めると0.173であった。この式を式(3)に代入し近似式を求め、図15に表示した。その近似式から得られた値と実際に測定したデータとの決定係数を求めると、マルチホップ(30cm)は0.966で、マルチホップ(35cm)は0.812となった。図15とこの値からもわかるように、式(3)は高い精度を持っている。
[B−3−2]二次元平面における測定結果及び考察
各アンテナの効率と共振周波数を図16に示す。各アンテナ内の上の数字が左下のアンテナ1からの伝送効率であり、下の数字がその時の共振周波数である。アンテナ3、7の伝送効率は63±1%、アンテナ2、4、5、6、8の効率は67±3%、アンテナ9の効率は84.13%である。直線配置での測定ではホップ数が増加するにつれて伝送効率は緩やかに減少しているのに対して、二次元平面における測定ではホップ数が最も多い4ホップのアンテナ9で測定した時に最も効率が良い。
二次元平面に配置した場合、1ホップがアンテナ2、4の2つ、2ホップがアンテナ3、5、7の3つ、3ホップがアンテナ6、8の2つ、4ホップがアンテナ9の1つとなっている。アンテナを直線状に密接に配置した場合のマルチホップ無線電力伝送の伝送効率と二次元平面に配置した場合の伝送効率をホップ数ごとに1ホップから4ホップまでプロットしたものが図17となる。二次元平面に配置した場合の伝送効率は1ホップ、2ホップ、3ホップにおいては、直線状に配置した場合に比べ、伝送効率は10ポイント以上低下し、直線状に配置した場合と大きく異なる結果となった。一方、4ホップにおける伝送効率は直線状に配置した場合とほぼ同じ結果となった。
この事実は図13の伝送距離が近いほど効率が高いという事実と反するが、これは、アンテナ9を除くアンテナには当該アンテナへ到達する最短経路上以外の不必要な中継アンテナが存在し、その中継アンテナが損失を生み出していると考えられる。
この結果は、格子状にアンテナを配置した場合、目的のアンテナへの電力伝送を効率良く行うためには、アンテナを制御して、適切なアンテナのみ中継アンテナとして動作させて、目的のアンテナへの適切な経路を選択する必要があることが必要であることを示唆している。例えば図16のような状況で、給電アンテナ1の隣のアンテナ2へ給電したい場合に、全アンテナが中継アンテナとして機能していた場合、伝送効率は67.14%となるが、アンテナ3から9を動作させなければ2個のアンテナを直線状に並べた場合(距離30cmのシングルホップ)の約90%の伝送が可能であると考えられる(図18)。
[B−4]伝送経路制御
ある受信アンテナへ効率良く電力伝送を行うためには適切な中継アンテナのみ動作させ、電力伝送経路を制御する必要があることがわかった。その問題に対し、給電アンテナと受信アンテナを対角点とする方形内にあるアンテナのみ(長方形内のアンテナの全部あるいは一部)動作させるという伝送経路制御を行う(図19)示す。具体的には、図19に示すように、給電アンテナと受信アンテナを対角点とするような方形を生成し、その領域内にあるアンテナを全て動作させ(ON)、残りのアンテナを動作させない(OFF)ようにアンテナを選択的に共振させる。
図19に示す手法は、格子配置において給電コイルの対角点の位置にある受電コイル以外への伝送効率が低下してしまうという課題を解決するための手法である。本手法は、対角点の位置にある受電コイルへの伝送効率は高いという特徴に注目し、ある受電コイルに電力を伝送する場合にそのコイルが対角点となるように余分なコイルを機能させないように制御し、電力の通る仮想的なパスを制御するという手法であり、ある受電コイルへの伝送効率を最大化するために、どのコイルを起動させればよいのか決定する。
図19Aは図19と類似の図であり、n×nのコイルが格子状に配置されており、(0,0)のコイルを給電コイルとし、今(s,t)のコイルを電力を伝送したい受電コイルとする。本手法では、0≦x≦s、0≦y≦t、の条件を満たす(x,y)の位置にあるコイルを起動させ、その他のコイルを起動させないようにする。すなわち、この制御手法は図19Aのように給電コイルとある受電コイルを対角点とする長方形内の全てのコイルを起動させ、その他のコイルは全て起動させないようにする。上記条件を満たすような(x,y)は、給電コイルの位置情報、受電コイル(あるいは、受電コイルに最も近い中継コイル)の位置情報から求めることができる。1つの態様では、図19Aに示す受電コイルの直下には中継コイルが位置しており、当該中継コイルと受電コイルのxy座標は同一である(図10A参照)。
このような制御手法を用いた室内の無線電力伝送システムの一つの態様について説明する。先ず、電子機器に接続された受電コイルが電力供給の要求を中継コイルに行い、その要求を受けた最も近い中継コイルが自分の位置(s,t)を他の中継コイルにブロードキャストする。このようなステップを実現するためには、中継コイルの座標系と各中継コイルの位置を初期設定として定めておく必要がある。これについては、xy座標系で定めておけばよい。
電力供給の要求や、中継コイルの位置のブロードキャストなど、情報をやり取りするための通信機能が必要となる。これについては、2つの方法が考えられる。一つめは磁界共振結合用のコイルを通信として用いることである。磁界共振結合では10MHzなどの高周波を用いるため、従来の通信技術を適応することができる。しかしながら、仮想パス制御手法ではコイルのON/OFFを行うため、OFFになっているコイルに通信することはできないという問題がある。そのため、通信用の別のコイルを持つ必要がある。二つめはZigBeeやWiFiなどその他の無線機構を用いる方法である。この場合はコイルにその通信規格のためのデバイスを付ける必要が生じる。このようにすることで受電コイルに最も近い中継コイルの位置をその他の受電コイルと給電コイルに知らせることができる。
その他の中継コイルは受信した中継コイルの場所の情報(給電コイルの位置は既知、典型的には(0,0))と上記要件から自分が起動するかどうか決定する。すなわち、各中継コイルはブロードキャストされた座標(s,t)を知っているので自分の座標(x,y)が上記条件式を満たすならばコイルをONにすればよい。この制御手法は目的のコイルの位置と自分のコイルの位置の情報だけで決定できるため、通信量は少なくてよい。
この伝送経路制御を実際に導入した場合の測定結果を図20に示す。ここでの測定方法は、例えばアンテナ5への伝送効率を測定する場合、伝送経路制御に従いアンテナ2と4のみを動作させ、その他のアンテナを動作させないように切り替えて測定する。図16と図20を比べると、伝送経路制御を導入することでアンテナ2から8で伝送効率を約15%向上させることが可能である。
[C]フィルタ理論による多段化設計法
[C−1]概要
磁界共振結合型の無線電力伝送の給電可能範囲を拡張するために、複数の共振器を多段結合する試みがなされている。しかし、一般にn個の共振器を多段結合した場合にはn個の共振点が生じ、最大効率で伝送できる周波数が一定にならないという課題がある。多数の共振器を系に導入すると、伝送効率がピークとなる周波数は、例えば図28(A)のように共振器の数だけ分裂してしまう。このような場合、最大の伝送効率で伝送するためには、そのピークとなる周波数を選択しなければならず、共振器間での動的なインピーダンスマッチングがシステムに求められてしまう。
そのような問題を解決するために、粟井は3 段の伝送において、BPF理論を用い伝送効率の平坦化のための設計方法を示した(粟井 郁雄: “磁気結合共振器型ワイヤレス電力伝送の多段化法,” 信学ソ大、B-1-6、Sept.2010)。この多段化設計手法は、伝送効率のピークをなくし、平坦にすることで共振器の共振周波数において最大効率で伝送ができるが、両端にループコイルを用いることから、ループコイルのインダクタンス成分を消すための工夫などが必要であり、また、3段のみの例しか示されていない。
本明細書では、同一のコイルを用い、かつ電源系と負荷のインピーダンスが等しいという制約条件下では、ループコイルを用いず、給電部に共振器を直結することで、無線電力伝送におけるBPF理論による多段化設計法をn段に拡張できることを説明する。より具体的には、複数のコイルが存在する場合に共振周波数が一定にならないという問題に対してフィルタ理論を用い、あるコイルをn個直線状に配置した場合に、帯域通過フィルタ(BPF)のように伝送効率が最大となる共振周波数が1つのみで平坦な周波数特性を持つための多段化設計手法を導出する。先ず、本手法で用いるKインバータによるn段通過域内最平坦(Butterworth)型のBPFについて説明し、Kインバータのインバータ変換という特性を利用して直結型へ適応ができるように磁界共振結合による無線電力伝送の等価回路へと変換し、各回路パラメータを等価とすることで実際の電力伝送をBPFにするための理論的条件を導出する。また、直線配置だけでなく格子配置についても検討し、楕円関数型のBPFによって設計できることを理論的に示す。
[C−2]多段化設計に用いる背景技術
[C−2−1]伝送効率
磁界共振結合の説明に必要な伝送効率について定義する。以下において、伝送効率は図21のような4端子回路におけるSパラメータのS21[dB]とする。図21の4端子回路において入射波a1、a2と反射波b1、b2が存在する場合にそれらの関係をSパラメータで表現すると
となる。ただし、a1、a2、b1、b2はそれぞれの電力の平方根である。ここでa2=0とすることで、
となり、S11が入力波に対する反射波の割合であり、S21が入力波に対する透過波の割合であることがわかる。
図22に示す等価回路モデルでは、励振用のループコイルを用いずに、コイルに直接給電する直結型の磁界共振結合における等価回路となっており、左に電源を直列に直結し、右に負荷を同様に直列に直結している。その他の各回路(LCR直列共振回路)がコイルを表しており、その回路が相互インダクタンスMで結合している。
1つのコイルの(電源と負荷を除く)合成インピーダンスZの実数成分と虚数成分は
と表すことができる。ただし、このωは角周波数である。この回路における共振はIm(Z)が0となるときに起きるため、その共振角周波数ω0
と表すことができる。
また、このような回路を結合した場合の電源から負荷への伝送効率の周波数特性は図23のようになる。図23は3種類の相互インダクタンスMに対して図22の回路における電源側から負荷側への透過係数S21[dB]を表している。
この図から共通して言えることは、磁界共振結合はある共振周波数においてのみ高い効率で伝送でき、その他の周波数においては効率が著しく下がるということである。そのため、共振周波数を電源側の交流電源の周波数(13.56MHzなど)に整合させる研究例が実用という観点においては重要な意味を持つ。また、Mが十分に大きい時には共振周波数が2つ存在し(図23(a))、Mが小さくなるにつれてその共振周波数が近付き(図23(b))、十分に小さくなると共振周波数が1つになる(図23(c))ことがわかる。この現象は実際の電力伝送においては、コイル間が近すぎると共振周波数が2つ存在し、コイル同士が離れていくにつれて共振周波数が近づいていき、ある距離を超えると共振周波数が1つになり、その後は共振周波数は変わらず伝送効率が落ちていくという現象に置き換わる。
2つの共振角周波数が存在する場合にそれらをω1、ω21<ω2)とする場合、この回路から
と表され、コイルの自己共振周波数のω0からずれる。ただしkはこの回路間の結合係数である。結合係数は2回路間の結合の強さを表す無次元量であり、インダクタンスL1の回路とL2の回路間の相互インダクタンスがMの場合、その回路間の結合係数kは
と定義され、図22の場合は結合係数はM/Lとなる。式(10)、(11)からその結合係数は
というように2つの共振角周波数で表現することができる。
[C−2−2]等価回路モデル
磁界共振結合による無線電力伝送は図22のようなLCR直列共振回路を等価回路としたモデルによって表現することができる。このような等価回路モデルにおけるR,L,Cの値をコイルのインピーダンスを測定することによって導出する。
等価回路パラメータの導出について説明する。図22の等価回路におけるR,L,Cの各パラメータを導出するためには、入力インピーダンスの実数成分と虚数成分をVNAにより測定し、その値と式(7),(8)を比較することによって導出する。等価回路モデルにおけるR成分は式(7)より、インピーダンスの実数成分となる。例えば、共振周波数におけるRe(Z)=1.31Ωであった場合、これを等価回路におけるRの値とする。等価回路モデルにおけるLとC成分は式(8)より、インピーダンスの虚数成分から導出することができる。LとCという2つの未知数を導出するためには、2点の周波数におけるIm(Z)を測定し、連立方程式を解けばよい。例えば、共振周波数(16.98MHz)においてIm(Z)=0Ω、17.19MHzにおいてIm(Z)=22.60Ωという結果において、この結果からL=8.57μH、C=10.46pFが得られる。
結合係数について説明する。等価回路上ではコイル間の磁界の結合は結合係数によって表現される。しかしながら、実際の環境では、コイル間の結合係数は2つのコイル間の距離によって定まる。結合係数と距離の関係は理論的にはノイマンの公式などを用いて距離の関数として求めることも可能であるが、一つの態様では、2つのコイルを図24左図のように同一平面上に配置し、その間の距離dを変えながら結合係数の測定を行い、結合係数とコイル間の距離の関係を導出する。
結合係数の測定の方法は式(13)で表される関係を用いる。すなわち、VNAでS21を測定し、その2つの共振周波数を測定し、式(13)に代入する。なお、この測定方法ではコイル間の距離が十分離れた場合には2つの共振周波数が近づいて1つになってしまうため、ある距離以上における結合係数は測定できない。コイル間の距離dを30cmから1mmごとに離していき、結合係数を測定していく。それによって得られたコイル間の距離と結合係数の関係は図24右図のように表される。距離を大きくしていくにつれて結合係数が小さくなる様子がわかる。31.7cm以降は上記のように2つの共振周波数が確認できなくなったため測定を終了した。
[C−3]Kインバータによるn段通過域内最平坦型BPFの実現
図25はn段の通過域内最平坦型BPFのKインバータによる表現である。RA,RB,Li,Ci(i=1,2,・・・n)が与えられた場合に、各Kインバータの満たすべき条件は以下のように導出することができる。
ただし、1≦i≦n−1、ω1,ω2はBPFの両サイドの遮断角周波数、Ωcは次元を揃えるためのもので1[rad/sec]、giは原型バターワース型LPFの変数であり、
である。
Kインバータとはインピーダンスインバータのことで、任意のインピーダンスを変換することができる。Kインバータはインピーダンスの次元を持つKのみをパラメータとし、図26(A)のように任意のインピーダンスZをKインバータを介して見ることで右図のようにK2/Zのインピーダンスに変換することができる.上記のような性質を持つKインバータの基本行列Fは以下のように表される。
概念的には上記のように利用することができるが、実環境においてKインバータはλ/4線路や図26(B)のような対称T型回路などで実現することが知られている。図26(B)の対象T型回路においてはその基本行列を導出し、式(19)と比較することで、K=ωLであることがわかる。この対象T型回路は相互インダクタンスLの結合と等価であるため、磁界の結合を用いる磁界共振結合への適応が容易である。
[C−4]フィルタ理論による直線状多段化設計法
上記Kインバータによる通過域内最平坦型BPFをKインバータの特性を利用しn段に多段化された直結型磁界共振結合による無線電力伝送の等価回路へ変換し、各回路パラメータを比較することでBPFにするための理論的条件を導出し、多段化設計法について詳細に説明する。
先ず、多段化設計法によって解決すべき問題を、「n個の等しいコイルを直線状に並べ、S21の周波数特性がBPFのようにコイルの自己共振周波数付近で最大効率で平坦な周波数特性となるためには、i番目とi+1番目のコイル間の結合係数kiはどのような値にすればよいか(ただし1≦i≦n−1)」のように定義し、以下、この問題をBPF理論を用いて解いていく。
図27は多段化設計法の概要を示す。図27(a)は図25と基本的には同じでKインバータを用いた通過域内最平坦型BPFである。図25と異なるところは全てのLとCが等しい点であり、これは上記の問題設定である等しいコイルを用いることに対応している。この回路を最終的に磁界共振結合の等価回路である図27(d)の形へ変換し、各回路パラメータを比較することで多段化設計法を確立することができる。図27(d)のkiはi番目のコイルとi+1番目のコイルとの結合係数を表しており、相互インダクタンスではないことに注意されたい。
まず図27(a)から(b)への変換を行う。前節で述べたようにKインバータは相互インダクタンスK/ωの磁界の結合に変換することができるため、i番目のKインバータKi,i+1は相互インダクタンスKi,i+1/ω0に変換することができる。ω0は共振角周波数である。実際には通過域内の角周波数で表すべきであるが、共振周波数に比べて通過帯域が十分小さいことから共振角周波数のみで表すという近似を行っている。
式(12)の結合係数の定義から両隣のインダクタンスがLであることを踏まえると、i番目の結合係数はKi,i+1/ω0Lとなる。以上のようにKインバータ(図27(a))から結合係数(図27(b))に変換することができる。
次に図27(b)から(c)への変換を行う。(b)にはまだ両端のKインバータが残っている。両端にはインダクタンスが存在しないため、このKインバータは相互インダクタンスの形にすることはできない。よって図26(A)のようなKインバータのインピーダンス変換の性質を利用する(両端を無負荷Qで表現するのではなく、1つのインピーダンスとして表現している)。まず、K0,1から電源側RAを見るとK2 0,1/RAのように変換することができる。同様にKn,n+1によって負荷側を変換することによって図27(c)へと変換することができる。ここが既述のループコイルを用いる多段化設計法と大きく異なる点であり、ループコイルを用いる場合、ループコイルに生じるインダクタンス成分などを消去するような操作が必要となる。
最後に、変換された図27(c)とn段のコイルを用いた磁界共振結合の等価回路の図27(d)を比較することで多段化設計法を導出する。初めに左端の左側を比べることでK2 0,1/RA=Zとなり、式(14)を代入し、整理することで以下の関係を得る。
次に各コイル間の結合係数を比べ、式(15),(20)と共振角周波数ω0=1/√LCとなることを代入していくことで以下の式を得る。
最後に、右端の負荷を比べることでKBPF2 n/RB=Zとなり、式(16),(20)を代入することで以下の式を得る。
以上のことをまとめると、多段化設計法は、i番目とi+1番目のコイル間の結合係数ki
とすることで、通過帯域幅が
となるBPF型へとn段の直結型磁界共振結合を用いた直線状の多段無線電力伝送を設計することができる。ただしgは
である。
この多段化設計法は伝送効率の帯域幅(ω2−ω1)がZ/Lに比例することを示し、式(21)は各共振器間の結合係数はバターワースフィルタの変数giにより全て定まることを示している。通過帯域幅を広くしたい場合はコイルのインダクタンス値を小さくすればよいが、その場合式(21)からわかるようにBPFのための結合係数値が大きくなり、コイル間の距離を小さくしなければならず、伝送距離が短くなる、もしくは中継コイル数を増加しなければならない。なお、本設計法の制約条件としては、電源系と負荷のインピーダンスが等しいというものがある。
なお、数16は、インダクタンスL、キャパシタンスC,結合係数kの関係式が数16の式を満たすように、k、C、Lを設定すると使いやすい多段化設計になることを示しており、実施形態では、kが隣接素子(各素子のL、Cが同じ)間の距離の関数であることを利用して素子間距離を変えてkを所定の値に設定しているが、kは変更せずに、素子のLやCが異なるもの(同一でない素子)を用いることで数16の式を満たすことも可能である。
本手法は電力伝送に用いるコイルのL、C成分と電源と負荷のインピーダンスZがわかれば一意的に決定される。本実施形態では、前者のLとCについては導出された値、L=8.57μH、C=10.46pFを用い、後者は電源と負荷ともに50Ω系を利用する。表1は上記のL、C、Zにおいて多段化設計法を用い10段までの結合係数kiを計算してまとめたものである。
[C−5]実環境における評価
導出した多段化設計法を実環境にて評価する。多段化設計法に用いるLとCは上記導出した値を用いる。
[C−5−1]多段化設計
多段化設計が実際の磁界共振結合による無線電力伝送に適用できるがどうか確認するために、コイル(ヘリカルコイルであって、半径15cm、ピッチ5mm、5巻でその中央に給電部があり、共振周波数は17MHzである)を用い、このコイルを図28に示すように4段同一平面上に直線状に並べ、その伝送効率をS21パラメータで測定することで評価実験を行う。このコイルを同一平面上で直線状に配置して、コイル間の距離を調整することでコイル間の結合係数が多段化設計法によって得られる値になるようにする。また、当然ながらこのような配置ではなく他の研究でよく用いられるコイルを縦に対向状に並べる構成においてもこの設計法は用いることができる。配置する個数としては4個の場合において設計を行った。多段化設計に用いる各パラメータは導出したコイルの等価回路値L=8.57μH、C=10.46pFを用いる。よって表1を参照し、4個のコイルを用いる場合の各コイル間の結合係数は、k1=0.0356、k2=0.0229、k3=0.0356と設計することができる。
[C−5−2]コイル間距離の導出
前節にて導出した各コイル間の結合係数を実際のコイルで実現するためには、その結合係数を実現するコイル間距離を求めなければならない。このコイル間距離は、コイル間距離と結合係数の関係の実測もしくはノイマンの公式などを用いた理論値の導出によって得ることができる。ここでは、実測により得られた図24のコイル間の距離と結合係数との関係のグラフを用い、ある結合係数となるコイル間の距離を求めていく。また、図28に示すようにi番目のコイルとi+1番目のコイルの間の距離をdiと定義する。結合係数k1=0.0356、k2=0.0229、k3=0.0356は図24を用いて距離にするとd1=31.4cm、d2=31.6cm、d3=31.4cmとなる。
[C−5−3]比較結果
多段化設計法によるコイル間の距離とした場合、コイルを近接させて配置した場合(d1=d2=d3=30cm)、それぞれについて、VNAにて伝送効率を測定した。まず、各コイルを近接して配置した場合の伝送効率は図28(A)である。4つのコイルを用いているために共振点が4つに分割していることがわかる。多段化設計法による結果が図28(B)である。この図からわかるように、多段化設計により伝送効率をBPFのように平坦にすることが可能であることが実証された。
[C−6]格子配置設計法についての検討
コイルを格子状に配置した場合は、結合係数の数が増えるので、異なるBPFを適用する必要がある。共振器を直線状に配置した場合のBPFは上述のように通過域内最平坦型のフィルタであったが、共振器を格子配置した場合には楕円関数型のBPFにすることができる。図30のように共振器をカノニカル結合した場合に、各相互インダクタンスを調整することで楕円関数型のBPFを生成することができる。
カノニカル結合における回路方程式は
となる。ただしs=j(ω−1/ω)であり、狭帯域であるためω≒ω0であるとして、共振周波数ω0を規格化して1としている。上式の行列をZとすると、
とする。Iはn次の単位行列、Mは対角要素が全て0の行列であり、結合行列と呼ばれ、
である。結合行列を適切な値とすることでこのカノニカル結合の共振器結合が楕円関数型のBPFとなるように設計することができる。まずn次の楕円関数型BPFの電力透過係数|T(s)|2から電圧透過係数を因数分解によって求めアドミタンス行列を導出する。なお、n次の楕円関数型の電力透過係数は
と表すことができる。Ωziは通過域内での零点、Ωpiは阻止域内での極を表し、
の関係にあり、フィルタの特性である通過域リプル、非帯域幅等を与えることで楕円関数から求めることができる。
次に、アドミタンス行列のn個の極が結合行列の固有値と等しくなるという性質から、結合行列の固有値を求め固有値行列をΛとする。次に、結合行列の対角化のための規格化直交行列Tの1行目がそのアドミタンス行列から導出され、グラム・シュミットの直交化法によって残りのn−1行を導出し、Tを求める。最後に、M=TΛTTという関係から結合行列Mを求める。ここで求めた結合行列Mは式(25)のように適切な要素が0になっていない。そのため、ハウスホルダー変換などを用いて直行相似変換することで式(25)の形に変換する必要がある。
このようにカノニカル結合によって楕円関数型BPFの設計が可能である。しかし、カノニカル結合では2×nの格子配置であるため、我々のシステムであるn×mの格子配置には直接適用することはできない。n×mの配置で設計するためにはnm次の楕円関数型からはじめて同様に結合行列を求め、その結合行列の適切な行列要素(n×mの格子配置において相互インダクタンスが存在しない要素)を0にするような直行相似変換を行うことで可能である。つまり、結合行列を求めるまではカノニカル結合と等しく、直行相似変換のかけ方が共振器の配置によって変わってくる。上記の過程にはnm次の多項式の因数分解(ニュートン法、ミューラー法)、第一種完全楕円積分、グラム・シュミットの直交化法、直行相似変換のためのハウスホルダー変換等を要し、数値解析的に設計を行うことができる。
10 第1素子(給電素子)
20 第1素子以外の素子
200 スイッチ
201 スイッチ制御部
20A 第2素子
30 受電アンテナ

Claims (18)

  1. 電力供給源と、
    隣接する共鳴素子間で共鳴可能なように面方向に配置された3個以上の共鳴素子からなる共鳴素子群と、
    制御部と、を備え、
    前記共鳴素子群は、電力供給源から電力を受け取る第1素子と、電力供給対象に電力を供給する第2素子と、を含んでおり、
    前記制御部は、前記第1素子、前記第2素子の位置に基づいて、前記共鳴素子群における共鳴素子を選択的に共鳴させることで、前記第1素子及び前記第2素子を除く共鳴素子の少なくとも一部を中継素子として動作させて、当該中継素子により前記第1素子から前記第2素子への電力伝送経路を形成する、
    無線電力伝送装置。
  2. 前記共鳴素子群において、少なくとも第1素子を除く各共鳴素子は、前記制御部からの指令により導通・非導通に切り替え可能に構成されており、
    前記制御部は、共鳴素子を選択的に導通・非導通させることで所定の共鳴素子を中継素子として動作させて前記電力伝送経路を形成する、
    請求項1に記載の無線電力伝送装置。
  3. 前記共鳴素子群において、前記第1素子の位置は予め決まっており、前記第2素子は、電力供給対象の位置に対応して、前記第1素子以外の共鳴素子から任意に選択される、請求項1、2いずれかに記載の無線電力伝送装置。
  4. 前記共鳴素子群において、少なくとも第1素子を除く各共鳴素子は、当該共鳴素子上に電力供給対象が配置されたことを検知する手段と、前記検知手段による検知信号を無線で前記制御部に送信する送信手段と、を備えている、請求項1〜3いずれかに記載の無線電力伝送装置。
  5. 前記制御部は、前記第1素子、前記第2素子の位置に基づいて各共鳴素子の導通・非導通を判定する手段を備えている、請求項1〜4いずれかに記載の無線電力伝送装置。
  6. 前記制御部は、各共鳴素子のIDと位置情報との対応テーブルを備えている、請求項1〜5いずれかに記載の無線電力伝送装置。
  7. 前記制御部は、前記第1素子以外の各共鳴素子に夫々設けられた複数のローカル制御部を含んでおり、
    各ローカル制御部には、各共鳴素子のIDと位置情報との対応テーブルと、前記第2素子の位置に基づいて当該ローカル制御部が設けられた共鳴素子の導通・非導通を判定する手段と、判定結果に基づいて当該ローカル制御部が設けられた共鳴素子を導通あるいは非導通とする手段と、を備えている、請求項1〜6いずれかに記載の無線電力伝送装置。
  8. 前記第1素子以外の各共鳴素子は、データを無線で送受信可能な無線通信手段を備えている、請求項1〜7いずれかに記載の無線電力伝送装置。
  9. 前記第1素子は、データを無線で送受信可能な無線通信手段を備えている、請求項8に記載の無線電力伝送装置。
  10. 各共鳴素子は、面部と側部を備えた板状体であり、側部が互いに隣接するように面方向に配置されている、請求項1〜9いずれかに記載の無線電力伝送装置。
  11. 前記共鳴素子群は、格子状に配置された複数の共鳴素子を含んでいる、請求項10に記載の無線電力伝送装置。
  12. 前記制御部は、前記第1素子と前記第2素子とを対角点とする方形が形成できる場合には、当該方形内にある素子の全部または一部を中継素子として動作させ、前記第1素子と前記第2素子とを対角点とする方形が形成できない場合には、前記第1素子と前記第2素子を結ぶ最短直線上に位置する素子のみを中継素子として動作させる、請求項11に記載の無線電力伝送装置。
  13. 前記共鳴素子群は、0個以上の分岐を備えた線状に配置された複数の共鳴素子を含んでおり、
    前記制御部は、前記第1素子と前記第2素子を結ぶ最短直線上に位置する素子のみを中継素子として動作させる、請求項12に記載の無線電力伝送装置。
  14. 前記共鳴素子群の共鳴素子の少なくとも一部は、室内空間の床面および/あるいは壁面および/あるいは天井面に沿って敷設されている、請求項1〜13いずれかに記載の無線電力伝送装置。
  15. 各共鳴素子は、そのインダクタンスL、キャパシタンスCによる自己共振周波数を持つ共振器であり、前記電力伝送経路を形成する複数の共鳴素子は、隣接する各素子間の結合係数によって共振結合されており、
    前記電力伝送経路を形成する複数の共鳴素子を、中心周波数が共振器の自己共振周波数付近である複数の共振器の結合によるBPF(帯域通過フィルタ)とみなし、
    前記BPFの周波数特性を満たすように、前記電力伝送経路を形成する複数の共鳴素子の各素子間の結合係数、前記電力伝送経路を形成する複数の共鳴素子の各素子のインダクタンスLおよび/またはキャパシタンスC、のいずれか一方あるいは両方が設定されている、請求項1に記載の無線電力伝送装置。
  16. 前記結合係数は、各素子間の距離によって設定される、請求項15に記載の無線電力伝送装置。
  17. 前記電力伝送経路を形成する複数の共鳴素子は線状に配置されており、前記BPFは通過域内最平坦型のBPFである、請求項15、16いずれかに記載の無線電力伝送装置。
  18. 前記電力伝送経路を形成する複数の共鳴素子は格子状に配置されており、前記BPFは楕円関数型のBPFである、請求項15、16いずれかに記載の無線電力伝送装置。
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