JP5716987B2 - 包装容器の製造方法及び包装パッケージの製造方法 - Google Patents

包装容器の製造方法及び包装パッケージの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、内容物を密封包装するための包装容器に関するものである。
インスタントコーヒー等の粉末や液体飲料等の内容物を密封包装するために、開口部を封止したカップ容器や、紙製缶型飲料容器等のリジットな包装容器が用いられている。
上記の包装容器には、内容物の保存等の観点から、高い気密性が要求される。従って、このような包装容器の形成材料には、アルミニウム箔やガスバリアフィルムの層を設けて、空気や水蒸気に対するバリア機能が付与されていることが多い。
特開平8−310534号公報
包装済みの包装容器は、流通過程において、内容物を包装した場所とは気圧や温度が異なる環境(例えば標高の高い地域)に晒されることがある。外部の気圧が異なる場合、包装容器の内部と外部とで圧力差が発生する。また、温度変化によって、包装容器内部の圧力が変化すると、やはり包装容器の内部と外部とで圧力差が発生する。このとき、上述したバリア機能により、包装容器の内部と外部との間では空気の移動が妨げられる。そのため、包装容器の内部と外部との圧力差により、包装容器が変形して意匠性を損なったり、圧力差が特に大きい場合には、包装容器自体が破裂してしまうといった問題があった。
それ故に、本発明は、外部の気圧や温度に変化が生じても変形することなく、かつ、内容物の密封性に優れた包装容器を提供することを目的とする。
本発明に係る包装容器の製造方法は、変形自在な材料よりなり、包装容器の内面を構成する内層部及び、剛性を有する材料よりなり、内層部の外側に設けられる外層部を、接着層を介して積層し、内層部及び外層部を剥離可能に形成した剥離領域を有するシートを準備する準備工程と、シートを用いて筒状の容器を形成する成型工程と、成型工程の前後いずれかにおいて実行され、シートの剥離領域の内層部を、外層部から剥離する剥離工程とを含む。内層部は、金属層を含み、外層部は、紙層を含み、剥離工程において、シートの剥離領域の金属層を高周波加熱により加熱し、外層部の紙層に含まれる水分を膨張させることによって内層部を外層部から剥離させる。
本発明に係る包装パッケージの製造方法は、変形自在な材料よりなり、包装容器の内面を構成する内層部及び、剛性を有するとともに空気が透過可能な材料よりなり、内層部の外側に、内層部との隙間に外気の導入される孔が形成されることなく設けられる外層部を、接着層を介して積層し、内層部及び外層部を剥離可能に形成した剥離領域を有するシートを準備する準備工程と、シートを用いて筒状の容器を形成する成型工程と、成型された筒状の容器に内容物を充填して封止する充填工程と、充填工程の後に、シートの剥離領域の内層部を、外層部から剥離する剥離工程とを含む。充填工程において、内容物とともに酸素吸収剤が充填及び封止され、剥離工程は、酸素吸収剤による酸素吸収に伴う内圧低下によって剥離を行う
本発明によれば、外部の気圧や温度に変化が生じても、変形、破裂等が起こらず、かつ密封性の良好な包装容器を得ることができる。
本発明の実施形態に係る包装容器の断面図 図1に示す包装容器のA部の一例を示す拡大端面図 図1に示す包装容器のA部の他の一例を示す拡大端面図 図1に示す包装容器のA部の更なる他の一例を示す拡大端面図 第1の実施形態に係る包装容器における体積変動の吸収の状態を示す断面図 第2の実施形態に係る包装容器における体積変動の吸収の状態を示す断面図 実施例1に係る包装容器を構成するシートの断面図 実施例2に係る包装容器の側面を構成するシートの断面図 実施例3に係る包装容器の側面を構成するシートの断面図 本発明の実施形態に係る包装容器の製造方法の一例を示す図 本発明の実施形態に係る包装容器の製造方法の一例を示す断面図
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る包装容器の断面図である。
包装容器1は、筒形状の側壁11と底部12とで形成される容器の内側に漏斗パーツ13を装着し、開口部をシール蓋14で封止したものである。
包装容器1は、その内面が内層部2で構成される。更に内層部2の外側には、外層部3が設けられる。また、内層部2及び外層部3の一部には、後述する剥離領域4が設けられている。内層部2は、例えば樹脂フィルムのような変形自在な材質で構成される。一方、外層部3は、例えば紙のような剛性を有する材質で構成されている。また、内層部2の積層材料の1つとして、金属箔や無機蒸着バリアフィルム等を用いて、ガスバリア機能を持たせると、気密性が高い包装容器1を作製できる。
図2は、図1に示す包装容器のA部の一例を示す拡大端面図である。
内層部2と外層部3とは、接着層6a及び剥離ニス層7を介して、部分的に剥離可能となるように張り合わされている。より詳細には剥離ニス層7は外層部3上に所定のパターン状に塗布され、接着層6aは内層部2上に塗布される。剥離領域4は、剥離ニス層7を形成した領域により構成されている。これにより、外力を加えることで、剥離領域4内の内層部2を外層部3から容易に剥離することが可能となる。
図2に示す剥離領域4を構成するには、剥離ニス層7を外層部3上の少なくとも一部に設けた後、接着層6aを介して内層部2に貼り合わせるだけでよい。従って、包装容器1を構成するシート材の製造が簡易であるという利点を有する。
図3は、図1に示す包装容器のA部の他の一例を示す拡大端面図である。
図3に示す包装容器1は、図2に示すものに比べて、接着層6a及び剥離ニス層7の構成のみが異なる。具体的には、剥離ニス層7は内層部2上に所定のパターン状に塗布され、接着層6aは外層部3上に塗布される。
このような構成で接着層6a及び剥離ニス層7を設けても、図2に示す包装容器と同様に、剥離領域4内の内層部2を外層部3から容易に剥離することができ、更には、包装容器1を構成するシート材の製造が容易である利点を有する。
図4は、図1に示す包装容器のA部の更なる他の一例を示す拡大端面図である。
内層部2と外層部3とは、部分的に形成される接着層6bを介して、部分的に張り合わされている。剥離領域4は、接着層6bが設けられていない領域により構成されている。すなわち、剥離領域4において、内層部2と外層部3とは接着されていないため、最初から内層部2は外層部3から剥離した状態である。
図4に示す構成からなる包装容器1は、剥離領域4の内層部2と外層部3とが接着されないため、内層部2の変形が確実となるという利点を有する。
図5は、第1の実施形態に係る包装容器の体積変動が吸収される状態を示す断面図である。より特定的には、(a)は、内圧が変化する前の状態を示す図であり、(b)は、内圧上昇後の状態を示す図である。
本実施形態は、外圧の低下や温度上昇による内圧の上昇(これらを併せて「相対的な内圧上昇」という)によって包装容器1が膨張したり、破裂したりすることを防止するためのものである。そのため、包装容器1には、剥離領域4を内方側へと突出させることによって、相対的な内圧上昇に伴う体積変動を吸収するためのマージンが付与されている。
具体的には、包装容器1への内容物の充填前に、剥離領域4に何らかの外力を加えて、剥離領域4内の内層部2の一部を内方に突出させ、内層部2と外層部3との間に空間5を形成する。内層部2の一部を突出させる方法としては、剥離領域4の包装容器を熱風等で加熱する方法、包装容器の内部を減圧する方法、あるいは内層部2を物理的に内側に引き出す方法等があるが、これら以外の方法を用いてもよい。これらの方法の詳細については、後述する。最後に、内層部2を内側に突出させた包装容器に内容物を充填し、開口部をシール蓋14で封止する。
図5(a)に示す包装容器1を、密封包装した場所より気圧の低い、あるいは温度が高い環境下に晒した場合、相対的な内圧上昇が発生する。そのため、包装容器1の内容物の体積が増加するが、内側に突出した内層部2が、剥離領域4内の内層部2及び外層部3間の空気を押し出しながら、(b)に示すような、内層部2が外層部3に沿った状態となるまで変形する。この空間5の体積変動(減少)により、外層部3が変形することなく、包装容器1の内部の体積変動(増加)が吸収される。従って、包装容器1の変形(膨張)や、破裂を防止することが可能となる。
また、図5に示すような、剛性を有する漏斗パーツ13を内部に備えた包装容器1では、漏斗パーツ13の嵌め込み部分の剛性が相対的に高くなる。この場合、内圧変化によって包装容器1の全体が少しずつ変形することができないため、漏斗パーツ13が装着されていない部分において、局所変形を発生しやすくなる。従って、剥離領域4(及び空間5)を備えることが、包装容器1の変形等の防止に特に有効となる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る包装容器は、第1の実施形態に係るものと同一の構造を備えているが、使用時の剥離領域4の形態が異なる。本実施形態は、輸送時等に発生する高度差や気温差の影響で、外圧の上昇や内圧の低下(これらを併せて「相対的な内圧低下」という)によって包装容器1が凹んだりすることを防止するためのものである。そのため、包装容器1は、後に空間5を形成できるように、剥離領域4の内層部2を外層部3にほぼ沿わせた状態で構成されており、相対的な内圧低下に伴う体積変動を吸収するためのマージンが付与されている。なお、剥離領域4を図2に示した構造により実現する場合、剥離領域4内の内層部2の変形を確実にするため、後述の方法により予め剥離ニス層7部分を剥離させてから、再度内層部2を外層部3に沿わせるように変形させてもよい。
図6は、第2の実施形態に係る包装容器の体積変動が吸収される状態を示す断面図である。より特定的には、(a)は、内圧が変化する前の状態を示す図であり、(b)は、内圧低下後の状態を示す図である。
図6(a)に示す包装容器1を、密封包装した場所より気圧が高い、あるいは温度が低い環境下に晒した場合、相対的な内圧低下が発生する。そのため、包装容器1の内部の体積が減少するが、剥離領域4内の内層部2が内方に膨らむように変形し、(b)に示すように、内層部2及び外層部3の間に空間5が形成される。この空間5の体積変動(増加)により、外層部3が変形することなく、包装容器1の内部の体積変動(減少)が吸収される。従って、包装容器1の変形(凹み)等を防止することが可能となる。
また、包装容器1が、図4に示すような、剥離領域4内の内層部2と外層部3とが接着していない(つまり、最初から剥離している)構成を有する場合、剥離領域4内の内層部2は容易に変形できる。従って、より確実に包装容器1の変形等が防止される。
なお、上記の各実施形態では、漏斗パーツ、シール蓋は必ずしも設ける必要はない。すなわち、内容物を密封するものであれば、包装容器の形状は任意である。例えば、EPパックや紙製缶型飲料容器、バリアカップのようなものでもよい。
また、上記の各実施形態では、内層部、外層部の層構成は、剥離領域内の内層部のみを変形させて空間を形成できるものであれば任意である。また、外層部の外側に更に別の層を設けてもよい。
更に、上記の各実施形態では、内層部と外層部との接着方法は図2〜4に示すものに限定されず、剥離領域内の内層部を剥離することができれば、その構成は任意である。
更に、上記の各実施形態では、剥離領域を設ける場所は側壁でなくてもよい。例えば底部に形成してもよく、包装容器の形状に応じて、任意に設計することが可能である。また、剥離領域の形状、大きさ、数についても、包装容器の体積変動を吸収できるものであれば任意である。例えば、想定される体積変動に対して余裕を持たせるため、大きめの、あるいは、複数の剥離領域を設けてもよい。
更に、内層部2の変形時には外層部3を通じて空気が出入りすることで空間5が形成されたり、消失したりする。この空間5の形成や消失を促進するために、剥離領域4内の外層部3に切り込みやキズ、ピンホール等を形成し、空気の通り道を設けてもよい。これにより、例えば包装容器1の外部の圧力が急激に変動した場合でも、剥離領域4内の内層部2が変形が容易となるので、上述した包装容器1の変形防止効果が向上する。
次に、包装容器の製造過程において、内層部と外層部とを、予め部分的に剥離する方法について説明する。以下に示す各方法は、図2及び図3のいずれの層構成においても適用可能である。
(第1の方法)
第1の方法は、剥離領域4に対して、ホットエアーを吹き付け加熱する方法である。剥離領域4がホットエアーにより加熱されると、内層部2が軟化するとともに、外層部3の紙層に含まれる水分も急加熱される。これにより発生した水蒸気の大きな膨張圧力によって、内層部2は、剥離ニス層7から剥離する。一般に、包装容器の側壁は、内層部2及び外層部3を貼り合わせて接着した平坦なシートを、所定の大きさに打ち抜き、筒状に形成する成型工程によって成型される。ホットエアーの吹き付けは、この成型工程前のシートの状態で行ってもよく、成型工程後の筒状に成型された後の状態で行ってもよい。ホットエアーの吹き付けは、内層部2及び外層部3のいずれの側から行ってもよいが、内層部2の側から行う方が外層部3を傷めることが少ないため、好ましい。なお、ホットエアーの温度及び吹き付け時間の好適な一例として、200〜300℃のホットエアーを1〜2秒間ほど吹き付ける例が挙げられる。
(第2の方法)
第2の方法は、剥離領域4に対して、電磁誘導により加熱する方法である。この方法は、内層部2がアルミ箔を含む層構成である場合に有効である。この方法では、剥離領域4に、コイルを対向して配置し、高周波電流を流し、内層部2に含まれるアルミ箔に高周波誘導電流を発生させることによって加熱する。この熱は、内層部2から紙層に伝わり、第1の方法と同様に、加熱によって内層部2を外層部3から剥離することができる。発熱量の好適な例として、内層部2の温度を150℃程度とすることが挙げられる。また、この方法は、上述の成型工程の前後いずれの段階で行ってもよい。
(第3の方法)
第3の方法は、剥離領域4に対して、電磁波により加熱する方法である。この方法では、内層部2がアルミ箔を含んでいない場合であっても、電磁波を照射することによって誘電加熱することができる。この場合も、第1及び第2の方法と同様に、加熱によって内層部2を外層部3から剥離することができる。発熱量の好適な例として、内層部2の温度を150℃程度とすることが挙げられる。また、この方法は、上述の成型工程の前後いずれの段階で行ってもよい。
(第4の方法)
第4の方法は、剥離領域4に内層部2の側から赤外線を照射して加熱する方法である。この方法は、内層部2がアルミ箔等の金属を含まない層構成である場合に有効である。また、剥離領域4に予め黒色等の、明度が低く赤外線吸収率の高い色を着色し、加熱効率を高めておくことが好ましい。着色の方法としては、剥離ニスに顔料を添加したり、剥離ニス層の上下いずれかの層に印刷を行うことが挙げられる。赤外線照射量の好適な例として、100Wのハロゲンヒーターを4秒間照射することが挙げられる。このような赤外線照射によって発生した熱は、第1〜第3の方法と同様に、紙層に伝わり、内層部2を外層部3から剥離することができる。また、この方法は、上述の成型工程の前後いずれの段階で行ってもよい。
(第5の方法)
第5の方法は、剥離領域4をしごき加工する方法である。内層部2及び外層部3を貼り合わせて接着したシートをローラー等でしごいて撓ませると、撓みの内側の層には押し縮める向きの力が加わり、外側の層には引き伸ばす向きの力が加わる。内層部2及び外層部3を構成する各層の一般的な材質上、引き伸ばす向きの力に対して伸びる量より、押し縮める向きの力に対して縮む量は小さいため、内層部2と外層部3とを剥離させることができる。しごき加工は、上述の成型工程のシート供給時に行ってもよいし、シート製造時(ラミネート後)の巻き取り工程において行ってもよい。
(第6の方法)
第6の方法は、剥離領域4を内層部2の側から吸盤24で剥離する方法である。図10は、この方法を実行する様子を示す図である。図10では、吸盤24を、平坦なシート25の剥離領域4に吸着させ、吸盤24をシート25から引き離すことで、内層部2を外層部3から剥離する。吸引は、このように、シート25が、成型工程前の平坦な状態で行ってもよく、成型工程後の筒状に成型された後の状態で行ってもよい。いずれの場合も、外層部3の側からも吸盤等により剥離領域4を固定することで、外層部3の変形が防止され、内層部2のみが変形して外層部3から剥離する。吸盤の大きさ、形状、あるいは吸引力は、内層部2を剥離領域4の全体に渡って剥離させることが可能であれば、特に限定されない。また、この方法は、上述の成型工程の前後いずれの段階で行ってもよい。
(第7の方法)
第7の方法は、成型後の容器の内部を減圧する方法である。図11は、この方法を実行する様子を示す断面図である。図11では、底部12と側壁11とが成型された状態の包装容器1の開口部がパッキング21で押さえられている。包装容器1の内部の空気は、パッキング21に設けられた通気穴23から吸引され減圧される。これにより、内層部2が外層部3から剥離される。また、側壁11の外径にほぼ等しい内径を持つ受け具22に包装容器1を嵌合させ外層部3を固定すると、側壁11全体の膨らみが規制される。一般に、筒状の側壁11の一部が凹むと、他の一部が膨らむが、受け具22によって膨らみが規制されることにより、結果的に側壁11の凹みも規制され、外層部3の変形を防止できる。また、変形防止の効果を高めるため、受け具22に通気穴を設け、受け具側22からも、側壁11を吸着して固定してもよい。また、パッキング21で包装容器1の開口部を押さえる代わりに、側壁11の内径にほぼ等しい外径を持つ筒状具を、包装容器1に嵌合させ、剥離領域4に対向する領域に形成された通気穴から空気を吸引して剥離領域4の近傍を減圧することで、包装容器1の変形を防止しつつ、内層部2を外層部3から剥離させることもできる。この場合、受け具22は用いなくてもよいが、用いた方が変形防止の効果が高くなる。
包装容器1の内部を減圧する方法の他の一例としては、包装容器1に内容物を充填する際、内容物を常温より高温にしておくことが挙げられる。この場合、内容物の温度が低下する前に包装容器1を封止すると、温度が常温に戻るにつれて、包装容器1の内部の圧力が低下する。例えば、内容物として60℃のインスタントコーヒーを充填した場合、常温に戻ったときに、内層部2が外層部3から剥離することが確認された。また、内容物とともに包装容器1に充填する充填ガスを常温より高温にしてもよい。例えば、内容物のインスタントコーヒーは従来と同様の温度(20〜40℃)のまま、充填ガスである窒素の温度を60℃にした場合、内層部2が外層部3から剥離することが確認された。
包装容器1の内部を減圧する方法のさらに他の一例としては、包装容器1に内容物を充填する際、酸素吸収剤も同時に投入して封止することが挙げられる。この場合、包装容器1の内部の酸素が酸素吸収剤に吸収され、圧力が低下する。例えば、インスタントコーヒーの充填時に酸素吸収剤を投入した場合、内層部2が外層部3から剥離することが確認された。
なお、本方法の各例では、包装容器1の内部は、内容物または充填ガスの温度、もしくは、酸素吸収剤による酸素吸収量を調整することにより、包装容器1の常温での内圧を、外圧と比べて低い状態で維持することが可能である。このようにした場合、外圧が低下したり温度が上昇したりしても、包装容器1の内圧が外圧より高くなりにくいため、包装容器1の膨張、破裂を防止する効果がさらに高くなる。また、シール蓋14と漏斗パーツ13の上部端縁との接触が維持されやすくなり、内容物がシール蓋14と漏斗パーツ13との隙間を通過して、漏斗パーツ13の外面に回り込むことを抑制できる。ただし、減圧量は、包装容器1が変形しない程度に収まるよう、調整することが好ましい。
以下に、本発明を具体的に実施した実施例について説明する。
(実施例1)
図7は、実施例1に係るパッケージを構成するシートの断面図である。より特定的には、(a)は側壁を構成するシートの断面図であり、(b)は底部を構成するシートの断面図であり、(c)はシール蓋を構成するシートの断面図である。
図7(a)に示すように、側壁の内層部には、包装容器の内側面から順に、厚み60μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、接着剤、厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)、接着剤及び厚み9μmのアルミニウムを積層したシートを用いた。外層部には、秤量320g/m2のカップ原紙、印刷インキ層及び厚み20μmの低密度ポリエチレン(LDPE)を積層したシートを用いた。そして、内層部となるシートと、外層部となるシートとは、外層部上に部分的に設けた剥離ニス層と、内層部上の全面に設けた接着剤とを介して貼り合わせた。
図7(b)に示すように、底部には、包装容器の内側面から順に、厚み60μmのLLDPE、接着剤層、厚み12μmのPET、接着剤層、厚み9μmのアルミニウム、厚み25μmのEMMA、秤量200g/m2のカップ原紙、印刷インキ層及び厚み20μmのLDPEを積層したシートを用いた。
また、側壁及び底部を構成するシートの端縁には、シート端面に露出する紙層を保護するために、厚み100μmのLDPEよりなるエッジプロテクトテープを貼り付けた。
図7(c)に示すように、シール蓋には、包装容器の開口部への貼着面から順に、厚み60μmのLLDPE、接着剤層、厚み12μmのPET、接着剤層及び厚み9μmのアルミニウムを積層したシートを用いた。
得られたシートを用いて、以下に示す方法により、第1及び第2の包装容器を作製した。
第1の包装容器は第1の実施形態に対応し、包装容器内の体積上昇を吸収できる構造を有する。まず、側壁及び底部を構成するシートを用いて、カップ成形法により、カップ状の包装容器を作製した。次に、この包装容器の内面に200℃のホットエアーを約1秒間吹き付け、剥離領域の内層部を包装容器の内側に膨出させた。最後に、内容物としてインスタントコーヒーの粉末を包装容器に充填した後、開口部をシール蓋で封止した。
一方、第2の包装容器は第2の実施形態に対応し、包装容器内の体積減少を吸収できる構造を有する。まず、側壁及び底部を構成するシートを用いて、カップ成形法により、カップ状の包装容器を作製した。そして、気温30℃の環境下にて、内容物としてインスタントコーヒーの粉末を包装容器に充填した後、開口部をシール蓋で封止した。
(実施例2)
図8は、実施例2に係る側壁を構成するシートの断面図である。
実施例2に係る包装容器は、実施例1のものと比べて、側壁の材質のみが異なる。具体的には、側壁として、包装容器の内側面から順に、厚み60μmのLLDPE、接着剤層及び厚み12μmの蒸着バリアフィルムを積層して形成される内層部の上に、接着剤層及び剥離領域においては接着剤層の上に更に剥離ニス層を介して、秤量320g/m2のカップ原紙、印刷インキ層及び厚み20μmのLDPEを積層して形成される外層部を積層したシートを用いた。底部とシール蓋を構成するシート及び包装容器の作製方法は実施例1と同様である。
また、実施例2に係る包装容器は、側壁を構成するシートが実施例1のものに比べて少ない層で構成されているため、製造コストを低くすることが可能となる。
(実施例3)
図9は、実施例3に係る側壁を構成するシートの断面図である。
実施例3に係る包装容器は、実施例1のものと比べて、側壁の材質のみが異なる。具体的には、側壁として、包装容器の内側面から順に、厚み60μmのLLDPE、接着剤層及び厚み12μmの蒸着バリアフィルムを積層して形成される内層部の上に、接着性樹脂層及び剥離領域においては接着性樹脂層の上に更に剥離ニス層を介して、秤量320g/m2のカップ原紙、印刷インキ層及び厚み20μmのLDPEを積層して形成される外層部を積層したシートを用いた。底部、シール蓋及び包装容器の作製方法は実施例1と同様である。
また、実施例3に係る包装容器についても、側壁を構成するシートが実施例1のものに比べて少ない層から形成されているため、製造コストを低くすることが可能となる。
実施例1〜3において作製した第1及び第2の包装容器を用いて、各々以下に示す評価試験を行った。
第1の包装容器を、海抜1500mの場所に移し、その環境下に放置した。いずれの実施例に係る包装容器においても、膨張や破裂等は発生しなかった。一方、第2の包装容器を、気温0℃の環境下に放置した。いずれの実施例に係る包装容器においても、凹みや破裂等は発生しなかった。従って、内層部と外層部とを部分的に剥離させることにより、外部環境(圧力や温度)の変化に起因する包装容器の変形や破裂を効果的に防止できることが確認された。
本発明は、インスタントコーヒー等の粉末や液体飲料等の内容物を密封包装するための包装容器に利用できる。
1 包装容器
2 内層部
3 外層部
4 剥離領域
5 空間
6a、6b 接着層
7 剥離ニス層
11 側壁
12 底部
13 漏斗パーツ
14 シール蓋
21 パッキング
22 受け具
23 通気穴
24 吸盤
25 シート

Claims (3)

  1. 内容物を密封包装するために用いられ、剛性を有する包装容器の製造方法であって、
    変形自在な材料よりなり、前記包装容器の内面を構成する内層部及び、剛性を有する材料よりなり、前記内層部の外側に設けられる外層部を、接着層を介して積層し、前記内層部及び前記外層部を剥離可能に形成した剥離領域を有するシートを準備する準備工程と、
    前記シートを用いて筒状の容器を形成する成型工程と、
    前記成型工程の前後いずれかにおいて実行され、前記シートの前記剥離領域の内層部を、前記外層部から剥離する剥離工程とを含み、
    前記内層部は、金属層を含み、
    前記外層部は、紙層を含み、
    前記剥離工程において、前記シートの前記剥離領域にある前記金属層を高周波加熱により加熱し、前記外層部の前記紙層に含まれる水分を膨張させることによって前記内層部を前記外層部から剥離させる、包装容器の製造方法。
  2. 剛性を有する包装容器に、内容物を密封包装した包装パッケージの製造方法であって、
    変形自在な材料よりなり、前記包装容器の内面を構成する内層部及び、剛性を有するとともに空気が透過可能な材料よりなり、前記内層部の外側に、前記内層部との隙間に外気の導入される孔が形成されることなく設けられる外層部を、接着層を介して積層し、前記内層部及び前記外層部を剥離可能に形成した剥離領域を有するシートを準備する準備工程と、
    前記シートを用いて筒状の容器を形成する成型工程と、
    成型された前記筒状の容器に内容物を充填して封止する充填工程と、
    前記充填工程の後に、前記シートの前記剥離領域の内層部を、前記外層部から剥離する剥離工程とを含み、
    前記充填工程において、前記内容物とともに酸素吸収剤が充填及び封止され、
    前記剥離工程は、前記酸素吸収剤による酸素吸収に伴う内圧低下によって剥離を行う、包装パッケージの製造方法。
  3. 前記剥離工程において、内圧低下量は、前記剥離領域の剥離後、常温時の内圧が、大気圧以下となるよう設定される、請求項に記載の包装パッケージの製造方法。
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