JP5714711B2 - 心筋輪郭判定技術 - Google Patents

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Description

本明細書により開示される事項は、核医学イメージングにより得られる心筋の画像データにおいて、心筋輪郭点を判定する技術に関する。
SPECT(Single Photon Emission Tomography:単一光子放射断層撮影法)やPET(Positron Emission Tomography: 陽電子放出断層撮影法)のような核医学イメージング技術は、放射性核種を含む医薬品を体内に投与し、その核種の崩壊に起因して放出されるガンマ線を検出器で捕らえて画像化する技術である。他の生体イメージング技術であるCTやMRIが、主に生体組織の形態の異常を調べるために利用されるのに対し、核医学イメージング技術は、投与された放射性医薬品の分布や集積量、経時的変化の情報から、臓器や組織の形態だけでなく、機能や代謝状態などを評価するために利用される。
核医学イメージング技術の応用分野の一つには、心筋のイメージングがある。放射性トレーサーとして201TlCl(塩化タリウム)や99mTc-tetrofosmin(テトロホスミン)を投与すると、これらは冠状動脈の血流に比例して心筋細胞内に取り込まれるので、放射されるガンマ線をSPECTで計測することにより、心筋中の虚血部位(欠損部位)を探ることができる。心筋中の虚血部位の探索は、心筋梗塞や狭心症の診断、虚血性病変部位の鑑別などのために大変有用である。動きのある心臓をSPECTで画像化するために、一般的に、心電図によりゲートをかけてガンマ線の収集を行う。このため、SPECTを用いた心筋のイメージング技術を、心電図同期心筋SPECTということが多い。心電図同期心筋SPECTでは、通常、左心室心筋を画像化することが多い。
心電図同期心筋SPECTにおける技術的課題の一つは、SPECTで得られた画像中において、どのようにして心筋部を特定するかということに関する。一つの方法は、各画像スライス中の心筋部と思われる部位を、目視により手動でマーキングすることであるが、手動では時間がかかりすぎてしまうので、できれば自動で行なうことが好ましい。そこで、心筋の輪郭点を抽出するソフトウェアがいくつか存在する。そのようなソフトウェアの中で最も有名なものの一つが、米Cedars-Sinai Medical Centerで開発されたQGS(Quantitative Gated SPECT)である。
QGSでは、3次元画像データの心内腔中央点から放射状に画素値の変化のプロファイルを作成すると共に、各プロファイルを心筋内膜側・外膜側それぞれでガウス近似し、画素値が最大となる点を中心に標準偏差の65%の位置をそれぞれ内膜点・外膜点と決定している。心内腔中央点の決定は、画素値最大点を最もよく近似する楕円体を求めることに基づいて行っている。はじめは仮の中央点と長軸を定め、その中央点から放射状に画素値の変化を調べ、各方向の画素値最大点を近似する楕円体を求める。そして、その楕円体の中心から再び放射状に画素値の変化を調べ、画素値最大点を近似する楕円体を再計算する。これを長軸の角度が収束するまで繰り返し、収束したときの楕円体の中心を心内腔中央点と決定している。
QGSのほかにも、米ミシガン大学の開発による4D-MSPECTや、米エモリー大学の開発によるEmory Cardiac Toolboxという、心電図同期心筋SPECT用の心筋部自動抽出ソフトウェアがよく使われている。これら二つのソフトウェアは、いずれも、心筋を円筒と半球の組み合わせに見立て、心基部側となる円筒部分については軸に垂直な断面すなわち解剖学的方向でいう横断断面において放射状にトレースを行い、半球部分については球の中心から3次元的に放射状にトレースを行って、画素値のプロファイルを作成している。札幌医大で開発されたpFASTも、心電図同期心筋SPECT用の心筋部自動抽出ソフトウェアである。このソフトウェアは、心内腔中央点と心筋抽出範囲については手動設定とすることにより、心筋内外膜点の判定の精度を上げようとしている。しかしながら、これら既存のソフトウェアでは、心筋血流状態による放射性薬剤の取り込み状態やSPECT装置の分解能、スモールハートなどの問題で、心筋内膜点や外膜点の判定を良好に行なうことができない場合がある。
このような背景の下、本発明は、心電図同期心筋SPECTで得られた画像データから、心筋内膜点や外膜点の抽出を自動で良好に行なうための技術を開発しようとしてなされたものである。しかしながら、本明細書に開示される実施形態は、心電図同期心筋SPECTのみならず、内腔を有する臓器又は組織についての核医学イメージングで得られる画像データ一般に対して適用しうるものもあることは理解すべきである。
本発明の具現化形態の一例は、心筋の核医学画像データにおいて、心筋輪郭点を判定する方法であって:心室内の点から球放射状に前記画像データの画素値の変化を調べると共に、調べた各方向における画素値最大点の集合を近似する第1の楕円体を求めることと;前記第1の楕円体に基づいて複数のトレース方向を設定すると共に、前記複数のトレース方向の各々において前記画像データから心筋輪郭点を判定することと;を含む、方法である。
ただし、前記第1の楕円体の心尖部側の少なくとも一部において、前記トレース方向は、前記第1の楕円体の長軸上の点から前記第1の楕円体の面に垂直な方向へ向かって前記長軸の周りに放射状に設定され;前記第1の楕円体の心基部側の少なくとも一部において、前記トレース方向は、前記長軸上の点から前記長軸に垂直な方向へ向かって前記長軸の周りに放射状に設定される。
また、前記心筋輪郭点を判定することは:前記設定されたトレース方向の各々について画素値のプロファイルを作成することを含むと共に;各前記プロファイルについて、画素値最大点から見て前記長軸側において該プロファイルが判定ラインと交差する点のうち、前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、該プロファイルにおける心筋の内膜点と判定することと;各前記プロファイルについて、画素値最大点から見て前記長軸の反対側において該プロファイルが判定ラインと交差する点のうち、前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、該プロファイルにおける心筋の外膜点と判定することと;の少なくともいずれかを含む。
背景技術の項で紹介した従来技術は、少なくとも心尖部側において、いずれも、単一の心室内腔点から放射状に、画素値を調べるトレースを行っていた。これに対して上記の方法では、心尖部側において、予め作成した楕円体(第1の楕円体)の面に垂直な方向にトレースを行うこととしている。このため、トレースの形状を実際の心筋の形状および方向により適合させることができ、心筋の内膜点および外膜点の判定を、従来技術に比べて良好に行うことができる。
実施形態によっては、上記方法は、前記判定ラインを、前記プロファイルにおける画素値の最大値と最小値との差に所定の検索閾値を乗算したものに基づいて定めることと;前記内膜点および前記外膜点の両方を判定する場合において、前記判定した前記内膜点と前記外膜点と間の距離が所定の範囲に収まらない場合、前記検索閾値を変化させて前記判定ラインを更新し、前記更新した判定ラインにより前記内膜点および前記外膜点の判定を再実行することと;を更に含む、
内膜点や外膜点の判定基準となる判定ラインを状況に応じて自動的に変化させることにより、様々な心筋の血流状態や心筋の形状などに柔軟に対応して、従来技術に比べて心筋内外膜の輪郭点を良好に判定することができる。
本発明の具現化形態の別の例は、心筋の核医学画像データにおける短軸横断断面像において、心室中心を決定する方法である。この方法は、前記横断断面像について、画素値に関する閾値を設定すると共に、該設定した前記閾値の下で前記画素値に関する穴構造の探索を行うことと;前記探索を、前記穴構造が発見されるまで、第1の値から所定のステップで前記閾値を徐々に上げながら繰り返すことと;前記第1の値より高い第2の値まで前記閾値を上げても前記穴構造が発見されない場合、前記第1の値より低い第3の値から所定のステップで前記閾値を徐々に下げながら、前記穴構造が発見されるまで前記探索を繰り返すことと;前記穴構造が発見された場合、該発見された穴構造の中心を心室中心として特定することと;を含む。
従来技術とは異なり、閾値を変えつつ穴構造の発見を試行するため、様々な心筋の血流状態や心筋の形状などに対して柔軟に対応することができ、従来技術に比べて穴構造の発見を良好に行うことができる。また、はじめは第1の値から閾値を徐々に上げながら穴構造の発見を試みるが、閾値を或る程度以上上げても穴構造が発見できない場合は、はじめの閾値が高すぎるためであるとみなして、前記第1の値より低い値からはじめて徐々に閾値を下げていきつつ、穴構造の発見を試みるという処理構成を備えることにより、心室中心の同定の成功率を向上することができる。
本発明の具現化形態の別の例は、心筋の核医学画像データにおいて、心筋輪郭点を判定する次のような方法である。この方法は:前記画像データにおける心室内の開始点から心室外へと延伸する直線上において、画素値のプロファイルを作成することと;前記プロファイルにおける画素値最大点を同定することと;前記画素値最大点からみて前記開始点の側において前記プロファイルが判定ラインに交差する点のうち、前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、前記プロファイルにおける心筋の内膜点と判定することと;前記画素値最大点からみて前記開始点の反対側において前記プロファイルが判定ラインに交差する点のうち、前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、前記プロファイルにおける心筋の外膜点と判定することと;を含む。ただし前記判定ラインは、前記プロファイルにおける画素値の最大値と最小値との差に所定の検索閾値を乗算したものに基づいて定められ、前記判定した前記内膜点と前記外膜点との間の距離が所定の範囲に収まらない場合、前記検索閾値を変化させて前記判定ラインを更新し、前記更新した判定ラインにより前記内膜点の判定及び前記外膜点の判定を再び実行する。
内膜点や外膜点の判定基準となる判定ラインを状況に応じて自動的に変化させることにより、様々な心筋の血流状態や心筋の形状などに柔軟に対応して、従来技術に比べて心筋内外膜の輪郭点を良好に判定することができる。
本発明の具現化形態のあるものには、心筋の核医学画像データにおいて、心尖部を判定する方法が含まれる。この方法は、心室内の点から球放射状に前記画像データの画素値の変化を調べると共に、調べた各方向における画素値最大点の集合を近似する第1の楕円体を求めることと;前記第1の楕円体の中心から、少なくとも心尖部方向に改めて球放射状に前記画像データの画素値のプロファイルを作成すると共に、該プロファイルの各々について、該プロファイルの画素値最大点から見て前記中心の反対側において、該プロファイルが判定ラインと交差する点のうち前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、該プロファイルにおける心筋の外膜点と判定することと;前記判定された外膜点の集合を近似する第2の楕円体を求めることと;前記第2の楕円体の心尖部側の先端部を前記心筋の心尖部の先端部と決定することと;を含む。
心尖部の先端部を特定するために、外膜の推定輪郭点を用いて2回にわたって近似楕円体を構築することにより、心尖部の先端部を精度良く特定することができる。
本発明の具現化形態のあるものには、心筋の核医学画像データにおいて、心基部を判定する方法が含まれる。この方法は:心室内の点から球放射状に前記画像データの画素値の変化を調べると共に、調べた各方向における画素値最大点の集合を近似する第1の楕円体を求めることと;前記第1の楕円体の長軸上で該第1の楕円体の中心より心基部側に位置する第1の短軸横断断層像から、前記第1の短軸横断断層像より更に心基部側に位置する第2の短軸横断断層像まで、それぞれ中隔側の心壁に所定角度以上の連続した途切れが存在するか否かを調べることと;前記第2の短軸横断断層像において、前記途切れが存在する短軸横断断層像が連続している場合、前記連続している短軸横断断層像のうち最も心尖部側の短軸横断断層像を、心基部の開始を表す横断断層像であると特定することと;前記第2の短軸横断断層像において、前記途切れが存在する短軸横断断層像が連続していない場合:
・ 前記第2の短軸横断断層像または該第2の短軸横断断層像より心尖部側に位置する短軸横断断層像において、前記途切れが存在する他の短軸横断断層像があれば、前記他の短軸横断断層像のうち最も心基部側の短軸横断断層像を、心基部の開始を表す横断断層像であると特定することと;
・ 前記第2の短軸横断断層像または該第2の短軸横断断層像より心尖部側に、前記途切れが存在する他の短軸横断断層像がない場合、前記第2の短軸横断断層像より心基部側の短軸横断断層像であって、前記途切れが存在する最も心尖部側の短軸横断断層像を、心基部の開始を表す横断断層像であると特定することと;
を含む。
心基部側に位置すると思われる所定の範囲の短軸横断断層像、すなわち第1の短軸横断断層像から心基部側の短軸横断断層像について、第2の短軸横断断層像において心壁の途切れの様子を確認することにより、高速且つ良好に心基部開始位置の横断断層像を特定することができる。
本発明の具現化形態の別の例は、心筋の核医学画像データにおいて心筋輪郭点を判定する方法であって、心室内の点から球放射状に前記画像データの画素値の変化を調べると共に、調べた各方向における画素値最大点の集合を近似する第1の楕円体を求めることと;前記第1の楕円体に基づいて複数のトレース面を抽出すると共に、前記複数のトレース面の各々において前記画像データから心筋輪郭点を判定することと;を含む方法である。
ここで、前記第1の楕円体の心尖部側の少なくとも一部において、前記トレース面は、前記第1の楕円体の長軸上の点を頂点とし、前記第1の楕円体の面に垂直な母線を有する円錐面状に抽出され;前記第1の楕円体の心基部側の少なくとも一部において、前記トレース面は、前記長軸に垂直な面状に抽出される。
また、前記心筋輪郭点を判定することは:前記トレース面の各々について、それぞれトレース中心を設定すること、ただし前記トレース面が円錐面状である場合、該トレース面を、前記長軸方向の座標を無視して2次元の面であるように扱って、前記トレース中心を設定することと;前記トレース面の各々について、前記設定したトレース中心から放射状に画素値のプロファイルを作成すること、ただし前記トレース面が円錐面状である場合、該トレース面を、前記長軸方向の座標を無視して2次元の面であるように扱って、前記画素値のプロファイルを作成することと;を含む。さらに、前記作成したプロファイルの各々について、画素値最大点から見て前記トレース中心側において該プロファイルが判定ラインと交差する点のうち、前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、該プロファイルにおける心筋の内膜点と判定することと;前記作成したプロファイルの各々について、画素値最大点から見て前記トレース中心の反対側において該プロファイルが判定ラインと交差する点のうち、前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、該プロファイルにおける心筋の外膜点と判定することと;の少なくともいずれかを含む。
この具現化例においても、少なくとも心尖部側において、予め作成した楕円体(第1の楕円体)の面に垂直な方向に、心筋内外膜判定を行うトレース面を設定することとしている。このため、トレースの形状を実際の心筋の形状および方向により適合させることができ、心筋の内膜点および外膜点の判定を、従来技術に比べて良好に行うことができる。
上述のいずれの方法も、コンピュータ装置の動作方法として実施されうる。すなわち、記憶装置に格納されたプログラムがプロセッサに実行されることにより、そのプロセッサを備えるコンピュータ装置が動作する方法として実施されうる。また本発明の具現化形態には、コンピュータ装置のプロセッサで実行されることにより、このコンピュータ装置に、上述のいずれかの方法を遂行させるプログラムコードを備えるコンピュータプログラムが含まれる。また本発明の具現化形態には、プロセッサ及び記憶装置を備えるコンピュータ装置であって、前記プロセッサで実行されることにより前記コンピュータに上記いずれかの方法を遂行させるプログラムコードを備えるコンピュータプログラムを前記記憶装置に格納する、コンピュータ装置が含まれる。
本願の特許請求の範囲には、出願人が現在特許を求める技術的構成が、請求項に区分されて、いくつか定義されている。しかし出願人は、現時点では特許請求の範囲に記載されていなくとも、本願明細書や図面から把握されうるあらゆる新規な技術的特徴について、将来的に特許を請求する可能性があることに注意されたい。
本明細書で開示される様々な処理を実行するための装置またはシステム100の主な構成を描いた図である。 紹介される実施例における心筋輪郭抽出処理の流れを説明するためのフローチャートである。 図2に例示される処理例の変形例を説明するためのフローチャートである。 心室中心を自動的に決定するための処理例を説明するためのフローチャートである。 心室中心自動決定処理で用いられる検索閾値に応じて同定される、ピクセルが連続する領域の形状の例。 心筋内外膜点のトレース方向を設定するための基礎となる楕円体を形成する処理を説明するためのフローチャートである。 心筋輪郭点のトレース方向を設定するための基礎となる楕円体を形成する処理の様子を示すための図である。 心筋輪郭点のトレースの処理を説明するためのフローチャートである。 図5aに例示される処理例の変形例を説明するためのフローチャートである。 心筋輪郭点のトレースの処理を説明するためのフローチャートであり、図5aのステップ520における処理をさらに具体的に説明するためのフローチャートである。 検索角度が90度未満の場合の、心筋輪郭点の検索処理の様子を示すための図である。 検索角度が90度以上の場合の、心筋輪郭点の検索処理の様子を示すための図である。 図5bに示される心筋輪郭点の判定の様子を示すための図である。 心筋輪郭点の補間及び整形に関する処理の流れを説明するための図である。 ステップ616の近似円による補間処理の示すための図である。 ステップ636における、判定点の有効・無効処理の様子を示すための図である。 心尖部を特定するための処理を説明するための図である。 心尖部の先端部を特定するための処理の様子を示すための図である。 心尖部の膜厚を推定するための処理の様子を示すための図である。 心基部を特定するための処理を説明するための図である。 心基部を特定するための、横断断面における角度範囲を説明するための図である。 心基部を特定するための、長軸報告における調査範囲を説明するための図である。 判定点についてのスライス単位のスムージングの様子を示すための図である。 スライス毎に心室中心を求める処理の例を説明するための図である。 判定点についての長軸方向のスムージングの様子を示すための図である。 輪郭線を決定するための線形補間の様子を示すための図である。
好適な実施形態の説明
以下に紹介する実施例においては、図面を参照しつつ、本発明の具現化の例である具体的な処理構成が説明される。
図1は、本明細書で開示される様々な処理を実行するための装置またはシステム100の主な構成を描いた図である。図1に描かれるように、装置またはシステム100は、CPU102,主記憶装置104,補助記憶装置106を備える、一般的なコンピュータである。一般的なコンピュータと同様に、主記憶装置104としては高速なRAM(ランダムアクセスメモリ)を使用することができ、補助記憶装置106としては、安価で大容量のハードディスクやフラッシュメモリ、SSDなどを用いることができる。装置100の最も基本的な機能は、補助記憶装置106に格納されるオペレーティングシステム110がCPU102に読み込まれて実行されることにより提供される。また、やはり補助記憶装置106に格納される各種のプログラムがCPU102に読み込まれて実行されることにより、オペレーティングシステム110で提供される機能以外の機能が提供される。
本実施例における装置又はシステム100は、上記各種のプログラムとして、DICOMサポートプログラム111,スライス操作プログラム112,心筋輪郭抽出プログラム113の少なくとも3つを備えていることが好ましい。DICOMサポートプログラム111は、医用画像データのファイル形式や通信規格の事実上の標準となっている、DICOMをサポートするためのプログラムである。本実施例において心筋輪郭抽出処理の対象となる心筋核医学画像データも、DICOMに準拠したファイル形式を有するものであってよく、DICOMサポートプログラム111によって、心筋核医学画像データの入出力や保存がサポートされる。DICOMの仕様は公開されており、このような機能を有するプログラムを作成することは容易であり、また利用可能なプログラムも多く存在する。スライス操作プログラム112は、3次元の心筋核医学画像データを自在の断面で切り出して2次元スライスを作成する、いわゆるリスライス機能を提供するプログラムである。かかる機能を有するプログラムも広く利用可能となっており、医用画像を扱うための多くのワークステーションに搭載されている。従って、本実施例においても、既存の適当なプログラムを適宜利用することにより、DICOMサポートプログラム111やスライス操作プログラム112を容易に実装することができる。
心筋輪郭抽出プログラム113は、本実施例が提供する心筋輪郭自動抽出機能を実現するための中心的な要素である。本明細書で開示される様々な処理は、特に断わりのない限り、心筋輪郭抽出プログラム113の全て又は一部のコードがCPU102に読み込まれて実行されることにより実装されることができる。各処理において、CPU102は、心筋輪郭抽出プログラム113などの命令に従って、記憶装置からデータを読み出して演算を行い、得られた結果のデータを主に主記憶装置104に格納する。格納されたデータは、心筋輪郭抽出プログラム113などの命令に従って、別の処理に用いられたり、補助記憶装置106へ格納されたりする。特に断わりのない限り、以下に説明される全ての処理において、CPU102と記憶装置104,106との間で、データや演算結果が同様にやり取りされるものと理解されたい。
心筋輪郭抽出プログラム113は、単一の実行可能ファイルとして実装される場合もあるが、複数の実行可能ファイルからなるプログラムセットとして実装される場合もある。また心筋輪郭抽出プログラム113は、必要に応じて、DICOMサポートプログラム111を呼び出して利用することができるように構成されてもよい。例えば、DICOMサポートプログラム111を呼び出して利用することにより、心筋核医学画像データを読み込んだり、また処理結果をDICOM形式に保存したりできるように構成されもよい。同様に心筋輪郭抽出プログラム113は、必要に応じて、スライス操作プログラム112を呼び出して利用することができるように構成されてもよい。例えば、スライス操作プログラム112を呼び出すことにより、短軸横断断層像の2次元画像データを入手したり、長軸断層像の2次元画像データを入手したりすることができるように構成されてもよい。実施形態によっては、心筋輪郭抽出プログラム113は、DICOMサポートプログラム111やスライス操作プログラム112の機能を含むプログラムであってもよい。
オペレーティングシステム110やプログラム111−113の少なくとも一部は、補助記憶装置106から直接CPU102に読み込まれるのではなく、一旦主記憶装置104にコピーまたは移動させられてから、CPU102に読み込まれ、実行される。実施形態によっては、これらプログラムによる処理の一部を専用のハードウェア回路やプログラマブルロジックなどによって実装してもよい。
本発明を具現化することにより、装置100には、PETやSPECTといった核医学イメージングの手法により取得した心筋の画像データから、心筋の輪郭を自動抽出する機能が与えられる。補助記憶装置106は、かかる処理の対象となるオリジナルの画像データ114や、処理の途中のデータ116、処理が完了したデータ118などを格納することができる。主記憶装置104は、処理すべきデータを一時的に格納するための記憶領域としても使用されることができる。
装置100は、図1に描かれた要素のほかにも、ユーザからの入力を受け取るためのキーボードやマウスなどのユーザーインターフェイスや、各種の情報を表示するためのディスプレイ、他のコンピュータ装置と通信するためのネットワークインターフェイスなどを備えることができる。しかしながら、装置100のハードウェア構成は、一般的なコンピュータと同様であって既によく知られているので、これ以上の説明は省略する。
実施形態によっては、心筋輪郭抽出プログラム113は、装置100にローカルに存在する補助記憶装置106に格納されるのではなく、ネットワークを介して接続されるリモートの記憶装置に格納されていてもよい。また、心筋輪郭抽出プログラム113は、ハードウェア的に単一の記憶装置(例えばハードディスクやSSD)に格納されているのではなく、ストライピングなどの既知の技術を利用して、複数の記憶装置に分散して記憶されていてもよい。そのような実施形態であっても、多くの場合、プログラムの実行時には、心筋輪郭抽出プログラム113の全てまたはその一部のコードは、主記憶装置104に(一時的に)格納された後にCPU102に読み込まれる。実施形態によっては、心筋輪郭抽出プログラム113を実行する処理手段は、単一のCPU102ではなく、複数のCPUからなる場合もある。実施形態によっては、これら複数のCPUが物理的に離れたコンピュータ装置に分散して実装されている場合もある。すなわち、実施形態によっては、物理的に異なる複数のコンピュータ装置から構成されるシステムが、当該システムに備えられる又は当該システムにネットワークを介して接続される、物理的に単一または複数の記憶装置から構成される記憶手段に格納されたプログラムを実行することにより、本明細書で説明される各種の処理を実行する。したがって、一般的に、本発明は、(1)処理手段に実行されることにより、当該処理手段を備える装置またはシステムに、本明細書で説明される各種の処理を遂行させるように構成されるコードを備えるプログラム、(2)当該処理手段が当該プログラムを実行することにより実現される装置またはシステムの動作方法、(3)当該プログラム及び当該プログラムを実行するように構成される処理手段を備える装置またはシステム、などとして具現化されうる。
次に、図2を用いて本実施例における心筋輪郭抽出処理の流れを説明する。本発明の実施形態は、PETやSPECTといった核医学心筋画像データから、心筋の輪郭点を自動的に抽出することに関する。図2は、この自動抽出処理の基本的な流れを示すフローチャートである。ただし、実施例によっては、図2の各処理ブロックが、図2に描かれる順番とは異なる順番で実行されることもあり、並列的に実行されることもある。また、各処理ブロックの中で実行される処理の一部が、他の処理ブロックまたは当該処理ブロックの中で実行される処理と、並列的に実行されたり図2とは異なる順番で実行されたりすることもある。したがって、図2に描かれる処理ブロックの順序は、本発明の実施形態の単なる一例であって、本発明の様々な実施形態の全てに対して当てはまるべき順序であると理解してはならない。
ステップ200は処理の開始を示す。ステップ204は、処理の対象となるべき画像データを装置100へ入力するステップである。この画像データの詳細については後に改めて説明される。この画像データは、図1の装置またはシステム100の内部で作成されてもよいし、別の装置またはシステムで作成され、CD-ROMやDVD-ROMなどの光記憶装置やネットワークを介したデータ転送などの手段により装置またはシステム100へ入力されてもよい。ステップ204では、上記の画像データが、オリジナル画像データ114として補助記憶装置106に格納されるものとする。
ステップ208においては、オリジナル画像データ114を調査して、心室中心の位置が決定される。心室中心の決定は、オリジナル画像データ114をディスプレイに表示しつつ手動で行ってもよいが、好適な実施例においては、CPU102が心筋輪郭抽出プログラム113の命令に従ってオリジナル画像データ114を解析することにより、自動的に行う。自動で心室中心の決定を行うための処理の例が後に詳細に紹介される。
ステップ212においては、ステップ208の心室中心決定処理の結果を利用して、心室を楕円体で近似する。この近似楕円体は、次のステップ216における心筋輪郭の抽出のための基礎として用いられる。なお、実施形態によっては、別の手法で決定した心室内腔点を基準として近似楕円体を求めてもよい。ステップ216では、ステップ212で求められた近似楕円体に基づいて、オリジナル画像データ114中に複数のトレース方向を設定し、各トレース方向において心筋輪郭点(内膜点及び外膜点)を判定する。これらの処理の例も後に詳しく紹介される。
ステップ220では、正常に判定されていないと思われる心筋輪郭点(内膜点及び外膜点)が除去される。ステップ224では、有効な判定点を得ることができなかった部分を補間したり、既知の構造に応じて判定点を移動したりするような処理が行われる。ステップ228では、判定点にスムージング処理が施され、ステップ232で、心筋の輪郭線が決定される。これらの処理の例も、それぞれ後で詳しく説明される。
以下、図2の各ステップについて、より詳細に説明する。
〔処理対象の画像データ〕
ステップ204で装置またはシステム100に入力し、オリジナル画像データ114として補助記憶装置106に格納される画像データは、PETやSPECTといった核医学イメージングの手法により得られる画像データであることができる。画像データのファイル形式は、医用画像データの事実上の標準となっているDICOMに準拠する形式であることが好ましい。核医学イメージングにおいては、放射性核種(トレーサー)を被験者に投与し、これらの核種の崩壊に起因して生成されるガンマ線を、被験者の周囲に設置した検出器で検出する。検出されたガンマ線のカウント数を画像再構成アルゴリズムにより処理することにより、各ピクセルがガンマ線のカウント数に関連する画素値を有する画像データを得ることができる。このため、本願の技術分野においては、画像データの各ピクセルの画素値を、カウント値やカウント数,カウントと称する場合がある。むろん、各ピクセルの画素値は、実際に測定されたガンマ線のカウント数そのものではない。当業者には自明のことであるが、PETやSPECTの特性上、各ピクセルのカウント値は、実際に測定されたデータから推定された値であり、生のデータに種々な変換処理やノイズリダクション処理、補間処理などを施して得られたものである。各ピクセルの画素値は、計算の途中において、規格化処理などを施されて整数ですらなくなる場合がある。また、特定の部位から観測されるガンマ線のカウント数は、その部位に集積したトレーサーの量に比例するので、各ピクセルの画素値は「トレーサー量」またはそれに類する名称で呼ばれる可能性もある。これらの事情から、本願の明細書や図面、特許請求の範囲を読む者は、本願における「画素値」との用語が、他の文献においては「カウント値」や「カウント数」、「トレーサー量」などと同様の意義を有する場合があることに留意されたい。
本実施例におけるオリジナル画像データ114は、特に、背景技術の項で述べた心電図同期心筋SPECTにより得られた左心室心筋の画像データである。ステップ208以降の処理では、この画像データから、心室中心点(心内腔中心点)を特定したり、心筋の輪郭に対応する点を抽出したりすることなどが目的となる。
装置またはシステム100へ入力する画像データは、PET装置やSPECT装置で収集され画像再構成されたデータそのものである必要はない。むしろ、装置によってデータ収集の解像度やスライス間隔などが当然に異なっていることから、様々なイメージング装置からの画像データに対して同じ処理心筋輪郭抽出プログラム113を使用するためには、画像データは、補間などの処理によって予め定められた解像度及びサイズに整えられていることが好ましい。本実施例における画像データ114は、例えば、ピクセルサイズが全方向2mmであり、短軸横断断層像及び矢状断層像のいずれもが128×128ピクセルからなるように、3重線形補間によって元のデータを整形したものであることができる。(これらの数値が例示であることは理解されたい。)また、所定の閾値以上または以下の画素値を有するピクセルは、所定の値に丸め込んでしまってもよい。例えば補間の結果0以下の値を有することになったピクセルの画素値は、0とするようにしてしまってもよい。その他の予備的な画像処理を行っておいてもよい。これらの補間・整形処理はソフトウェア処理によって行われることになるが、そのためのプログラムコードは、心筋輪郭抽出プログラム113の中に含まれていてもよいし、また、心筋輪郭抽出プログラム113とは別のプログラム含まれていてもよい。これらの補間・整形処理は、装置またはシステム100へ入力する前に別の装置またはシステムによって行われてもよいし、装置またはシステム100に入力した後に装置またはシステム100によって行われてもよい。本発明の具現化例にはこれら全ての実施形態が含まれる。
〔心室中心の決定〕
図3は、図2のステップ208に示される処理の詳細を示すフローチャートであり、心室中心を自動的に決定するための処理の一つの具体例である。この処理によって、図2のステップ204で装置100に入力された3次元心臓心室データにおける心室中心が自動的に決定される。以下に説明されるように、この処理例においては、所定の範囲の短軸横断断層像スライスについてそれぞれ心室中心の特定を行い、特定が成功したスライスの当該特定された心室中心を、左心室全体の中心であるとみなしている。
ステップ300は処理の開始を示す。ステップ304では、検索開始スライスの決定を行う。ここでいうスライスは短軸横断断層像スライス、すなわち図1に関して説明した画像データ114から構築した短軸横断断層像スライスであり、実施形態によっては、心筋輪郭抽出プログラム113の命令に従って、CPU102がスライス操作プログラム112を呼び出し、スライス操作プログラム112の命令に従ってCPU102が画像データ114を操作することにより、作成される短軸横断断層像スライスであってもよい。本明細書で説明される様々な処理において、各種の断層像のデータが用いられる場合は、いつも同様にして断層像データを得てもよい。図3の処理で用いられるデータにおける「短軸」は、画像データ114から直接または間接に把握可能な短軸であってもよい。例えば、「短軸」は、画像データ114において各画素の位置を表現するために用いられている座標系における、Z座標に垂直な軸であるとしてもよい。
本実施例では、次のように検索開始スライスを決定している。
(サブステップ1)画像データ114全体における最大画素値を特定する。
(サブステップ2)上記最大画素値の所定の割合以上の画素値を有する全てのピクセルの平均座標を計算する。計算されるものは、特定の短軸横断断層像スライスに含まれるピクセルの平均座標ではなく、どの短軸横断断層像スライスに含まれるピクセルであるかは問わず、上記所定の割合以上の画素値を有する全てのピクセルの平均座標である。本実施例では、この所定の割合として50%を採用しているが、ユーザによって50%以外の好みの割合を採用してもよいことは当然である。
(サブステップ3)得られた平均座標に最も近い短軸横断断層像スライスを、検索開始スライスと決定する。
なお、サブステップ1と2を、そのスライスにおいて上半分に存在するピクセルのデータだけを用いて行ってもよい。これは、短軸横断断層像スライスにおける体の向きが事実上標準化されていて、スライスの上半分には心筋部だけが存在している可能性が高い一方、スライスの下半分には、心筋部のほか、肝臓や腸管の画像データが含まれている可能性があるからである。したがって、心筋部に関する閾値を求めるには、心筋部のデータだけが含まれている可能性が高い、スライス中における上半分のデータだけを用いて処理を行うことが好ましいと考えられる。
ステップ308では、ステップ304で決定された検索対象スライスについて、心室中心の検索を行うための初期閾値を設定する。本実施例ではこの初期閾値を、当該検索対象スライスの最大画素値の30%としている。本願発明者は、試行錯誤の結果、この値が最も適当であるとの結論に達したのであるが、他の値を初期閾値として用いても中心検索において大きな問題は生じない。しかしながら、他の値を初期閾値として採用した場合、検索に時間がかかるなどの不利益が生じる可能性はある。
ステップ312は心室中心の検索を実行するステップである。本実施例においては、心室中心の検索を次のような処理によって行っている。
(サブステップ1)検索対象スライスにおいて、設定した閾値(今の場合はステップ308で設定された初期閾値)を上回る画素値を有する領域に対してラベリングを行う。また、そのうちサイズが最大となるラベルを特定する。なお、ラベリングとは、画像処理の分野でよく用いられる用語であり、連続するピクセルに対して同じ番号を割り振る処理のことをいう。サイズが最大となるラベルとは、ラベルに用いられる数字の大きさではなく、同じ数字(ラベル)を有するピクセルの数が多いラベルを意味する。例えば、ラベルとして1〜3が割り振られたケースであって、ラベル1が割り振られたピクセルが10個、ラベル2が割り振られたピクセルが30個、ラベル3が割り振られたピクセルが5個である場合、サイズが最大となるラベルはラベル2となる。
(サブステップ2)サブステップ1で同定した、サイズが最大となるラベルの領域の中心を計算する。本明細書又は特許請求の範囲において、この中心を「最大ラベル中心」と称する場合がある。
(サブステップ3)サブステップ1で同定した、サイズが最大となるラベルの領域内において、上記設定した閾値を下回る画素値を有するピクセルに対してラベリングを行う。このとき用いるラベルを、サブステップ1で行うラベリングに用いるラベルと区別するため、穴ラベルと称する。
(サブステップ4)割り振られた穴ラベルのうち、次の条件の少なくとも一つを満たすラベルは後の処理から除外する。すなわち後の処理では使わない。
・ スライスの端部に近い領域に中心を有する穴ラベル。これは、スライスの端部には心室中心は存在しないと思われるからである。例えば、スライスの端部から40mm以内に中心を有する穴ラベルは除外する。
・ 中隔領域に中心を有する穴ラベル。ただし、中隔領域は、適当な手段で推定しなければならない。これには例えば次のような方法がある。検索対象スライスにおいて、最大画素値の50%以上の画素値を有するピクセルについてラベリングを行い、最も大きなサイズを有するラベルの平均座標より上部において、最も左側に位置するラベル座標より左側を中隔領域とする。なお、PETやSPECTの短軸横断断層像における心室(心臓)の向きは、事実上標準化されており、ディスプレイの表示の時に前壁側が上側となり、中隔領域側が左側になるようにピクセルデータが配列されていることが一般的となっている。
・ ラベルのサイズが1cm未満である穴ラベル。
(サブステップ5)サブステップ4までの処理において、残った穴ラベルの数が一つだけである場合、その穴ラベルの中心を心室中心と決定する。サブステップ4までの処理を行なっても複数の穴ラベルが残っている場合、残った穴ラベルのうち、サブステップ2で計算した最大ラベル中心に最も近い中心を有する穴ラベルの中心を、心室中心と決定する。決定された心室中心の座標データは、プログラム113に関わる命令に従うCPU102によって、主記憶装置104または補助記憶装置106に格納され、後続の処理に用いられる。本明細書で説明される様々な処理においても、プログラム111−113とCPU102との協働によって得られた演算結果は、主記憶装置104または補助記憶装置106に格納され、後続の処理に用いられる。
ステップ316は、ステップ312において心室中心が決定できたか否かを判断する。心室中心が決定できていれば、さらに処理を行なうことなく、心室中心検索処理は終了となる(ステップ336)。しかし、心室中心が決定できていなければ、ステップ320に進み、ステップ312で用いる閾値を変更して、改めて心室中心の検索を実行する(ステップ324,312)。
ステップ320で行われる閾値の変更は次のように行われる。
(1)初めは、処理ループがステップ320に戻るたびに、所定のステップで閾値を上げていく。例えば、上記の例では、初期閾値を、検索対象スライスの最大画素値の30%としていたが、これを、処理ループがステップ320に戻るたびに、5%ずつ上昇させる。
(2)閾値が所定の値、例えば50%に到達しても、まだ心室中心が決定できていなければ、閾値を初期閾値より低い値に設定する。例えば、初期閾値30%より低い28%に設定する。その後、処理ループがステップ320に戻るたびに、閾値を所定の割合ずつ減少させる。例えば2%ずつ減少させる。
検索閾値を上記のように変更する理由は次の通りである。すなわち、ある値(例えば50%)までは、心室中心を決定できない理由を、閾値が低すぎて心室中心であっても画素値が閾値を越えてしまっているためであると予想する。しかし、ある値(例えば50%)に設定しても心室中心が決定できない場合は、そもそも閾値が高すぎて心筋部ですらも閾値以下の画素値しか有していないスライスデータであると予想を変更し、閾値を下げて、心筋部の画素値が閾値を超えるようになること試みる。このような柔軟な閾値変更スキームのために、心室中心を自動で特定できる可能性が従来技術に比べて大きく高まっている。
図3aに、検索閾値の変化に応じて同定されるラベル(すなわち連続するピクセル)の様子を載せる。各スライスは、SPECT装置から得られた横断断層像であり、白線に囲まれた領域は、検索閾値に応じて同定された、ピクセルが連続する領域(すなわちラベル領域)である。図中に記載される%の数値が検索閾値である。本例では、閾値40%の場合に、面積が最大となるラベルの中心に穴構造が現れることが見て取れる。従来技術のように閾値が固定(例えば35%)では見落とされていたかもしれない穴構造であっても、本実施例のように閾値を変化させて検索を反復することにより、穴構造ひいては心室中心を特定できる可能性が高まる。
ステップ324では、上記のように変更した検索閾値が検索終了閾値未満になっているかどうかを調べる。この検索終了閾値は、例えば、検索対象スライスの最大画素値の10%とすることができる。閾値が検索終了値未満になっている場合、ステップ328に進み、検索対象スライスを変更する。本実施例では、現在の検索対象スライスから所定枚数(例えば1枚)心基部側に離れたスライスを、次の検索対象スライスとする。いずれかの検索対象スライス及び検索閾値において、心室中心が特定できれば、他のスライスについて心室中心特定処理を行なうことなく、処理を終了する(ステップ336)。ステップ308から332を繰り返し、検索終端スライスに到達して検索閾値を変更しても、なお心室中心が特定できない場合は、エラーを出力する(ステップ340)。検索終端スライスは任意に設定することができるが、例えば、全ての短軸横断断層像スライスにおける最大画素値に対して所定の割合以下の画素値しか有さないスライスを、検索終端スライスとしてもよい。この所定の割合は、例えば30%としてもよい。
上記の説明においては、50%,30%など、いくつかの数値が使用されているが、これらは全て例示に過ぎないことに留意されたい。後の説明においてもいくつかの具体的な数値が示されるが、それらも含めて、実施例に関連して使用される数値は全て例示であり、本発明の実施形態のバリエーションには、これらとは異なる数値を使用したものも含まれる。しかしながら、これらの数値は、現時点において好適であると考えられている数値でもあって、これらの数値を変更した場合、処理が遅くなるなどの不利益が生じる可能性は存在する。
〔トレースの基準となる楕円体の作成〕
図4は、図2のステップ212における処理の詳細を描いたフローチャートである。この図を用いて図2のステップ212の処理の詳細を説明する。このステップでは、次のステップ216において心筋輪郭の抽出のための基礎として用いられる楕円体を求める。
ステップ400は処理の開始を示す。ステップ404では、近似楕円体を求める基礎となる点をサンプリングするための基準となる中心点を決定する。実施例によっては、この中心点を、図2のステップ208によって求められた心室中心とすることができる。また実施例によっては、次のようにしてサンプリング中心点を決定してもよい。
(サブステップ1)図2のステップ208によって求められた心室中心が属する短軸横断断層像において、心室中心から放射状に画素値の変化を調べる。すなわち画素値の(変化の)プロファイル(カウントプロファイル)を作成する。また、調べた各方向において、画素値が最大となる点を特定する。
なお、オリジナル画像データにおける心室中心の座標は、前のステップ208の結果として、主記憶装置104または補助記憶装置106に格納されている。また、軸の方向は、オリジナル画像データで用いられている座標系に従ったものであってもよい。当該心室中心を含む短軸横断断層像は、前述のように、心筋輪郭抽出プログラム113の命令に従って呼び出されたスライス操作プログラム112の命令に従って、CPU102が画像データ114を操作することにより作成される短軸横断断層像スライスであってもよい。 (サブステップ2)サブステップ1で得られた画素値最大点の集合を近似する円を求める。
(サブステップ3)サブステップ2で得られた近似円の中心をサンプリング中心点と決定する。
近似円の導出は様々な方法で行うことができる。例えば、全ての画素値最大点の座標の平均値を中心座標とし、当該中心座標から各画素値最大点までの距離の平均値を半径とした円を近似円としてもよい。また、この近似円の中心座標や半径を少しずつ変化させ、それぞれ残差の二乗和を計算してこれが最小となる円を最終的な近似円としてもよい。
実施形態によっては、次のような画素値最大点を、サブステップ2の近似円を求める処理から除外してもよい。
・ 原点(図2のステップ208によって求められた心室中心)から画素値最大点までの距離が、他の画素値プロファイルにおける同様の距離の平均より2σ以上乖離している点。
・ 画素値が、全ての最大画素値の最大値の所定割合以下である点。
なお、本発明の実施形態のバリエーションには、サンプリング中心点を手動で決定することや、市販のプログラムを用いて決定した心室中心点をサンプリング中心点とすることも含む。心筋輪郭抽出プログラム113のバリエーションには、任意の方法で取得したサンプリング中心点を用いてステップ408以降を実行するようにCPU102に命令するように構成されるものが存在してもよい。
ステップ408では、前のステップで決定したサンプリング中心点から球放射状に、すなわち3次元的に四方八方に、画像データ114(すなわち装置100に入力した処理対象の画像データ)をサンプリングし、画素値の変化を調べる。また、調べた各方向において、画素値が最大となる点を特定する(ステップ410)。ステップ412では、得られた画素値最大点の集合を近似する楕円体を計算する。
本実施例において、ステップ408−412の処理は、より具体的に次のように行われることができる。
(サブステップ1)サンプリング中心点を通り、心基部から心尖部へと延びる軸をZ軸とし、これを含む断面において、心尖部を0°,心基部を180°として、サンプリング中心点を原点として例えば10°間隔で全周に亘ってサンプリング方向を設定し、各方向について画像データ114をサンプリングして画素値の変化を調べる。すなわち画素値のプロファイル(カウントプロファイル)を作成する。ただし、180°方向については、心筋が存在しない可能性があるので、画素値プロファイルの作成は行わない。また、調べた各方向において、画素値が最大となる点を特定する。サンプリング中心点とサンプリング方向、および作成される近似楕円の様子を図4aに示した。
ところでZ軸は、実際には画像データ114における短軸横断断層像に垂直な軸などと決定することができる。この軸は、実際の心尖部方向や心基部方向とは若干ずれている可能性がある。しかし、このステップで使用される中心点や軸は、後の心筋内外膜点の判定トレースを行うための楕円体を求めるための中心点や軸であり、実際の心筋内外膜点の判定トレースに用いられるものではないので、多少の誤差があっても構わない。
(サブステップ2)サブステップ1で得られた画素値最大点の集合を近似する楕円を求める。
(サブステップ3)画素値プロファイルを作成する断面を、Z軸のまわりに例えば10°ずつ回転し、それぞれについて、サブステップ1,2と同様の処理を行なって近似楕円を求める。
(サブステップ4)サブステップ1−3によって得られた18個(サブステップ3における回転間隔が10°であった場合)の近似楕円のパラメータ(中心座標、長辺、短辺等)の平均を、近似楕円体のパラメータ(中心座標、長辺、短辺等)とする。したがって、得られる近似楕円体は回転楕円体、すなわち長軸の周りに円対称となる楕円体である。
なお、これらのサブステップの順番は例示であることに留意されたい。例えば、上記の例のように特定の断面についてサンプリングと楕円近似を行なってから次の断面についてのサンプリングと楕円近似を行うのではなく、全ての断面についてサンプリングを行なってから、各断面について楕円近似を行うという流れで処理を行ってもよい。
近似楕円の導出は様々な方法で行うことができる。例えば、全ての画素値最大点の座標の平均値を中心座標とし、当該中心座標から各画素値最大点までの距離の最大値を長辺の長さ、最小値を短辺の長さとする楕円を近似楕円としてもよい。また、この近似楕円の中心座標や半径を少しずつ変化させ、それぞれ実際の画素値最大点との残差の二乗和を計算して、これが最小となる楕円を最終的な近似楕円としてもよい。
〔心筋輪郭点の抽出〕
続いて、図5aおよび図5bを用いて、図2のステップ216の処理の詳細を説明する。このステップでは、その前のステップ212で求めた楕円体に基づいて、処理対象の画像データ(すなわち図1に描かれる画像データ114)から心筋輪郭点を抽出する。
ステップ500は処理の開始を示す。ステップ502では、図2のステップ212で求めた楕円体について、その長軸を含む断面を一つ決定する。この断面は任意に設定してよい。例えば、長軸をZ軸とし、これに垂直にX軸、Y軸を設定したとき、Y軸に垂直な断面とすることができる。この断面は当然楕円となる。
ステップ504以降では、ステップ502で得られた楕円を利用して、心筋輪郭点の抽出を行うトレース方向を設定していく。まずステップ504において、Z軸において心尖部方向を0°、心基部方向を180°として検索角度を設定し、ステップ506において、楕円中心から設定した検索角度方向へ延ばした直線と、楕円との交点を求める。本実施例では、最初の検索角度を10°とし、処理ループがステップ524を経てステップ504に戻るたびに角度を5°ずつ増していき、検索角度が170°に達したところでそれ以上は検索角度を増やさずに終了することとしている。すなわち図5aのステップ524に記載されている「検索終了角度」を170°としている。しかしながら、これらの数値は例示であり、最初の検索角度や検索終了角度、角度の増分ステップに、他の数値を採用してもよいことはもちろんである。
ステップ508では、ステップ504で設定された検索角度が90°未満であるかどうかが判定される。検索角度が90°未満である場合、ステップ510に進み、ステップ506で計算された交点における法線が求められる。すなわち交点における接線に垂直な直線が求められる。ステップ512においては、この法線とZ軸(すなわち楕円の長軸)との交点が計算され、この交点が現在の処理ループにおける心筋輪郭点抽出のトレース中心と決定される。すなわち、心筋輪郭点抽出のためのサンプリングの起点と決定される。一方、ステップ508で検索角度が90°以上であると判定された場合、ステップ514に進み、Z軸上の、ステップ506で計算された交点のZ座標の位置を、現在の処理ループにおける心筋輪郭点抽出のトレース中心と決定する。すなわち、ステップ506で計算された交点からZ軸上へ下ろした垂線とZ軸との交点をトレース中心と決定するわけである。
ステップ516では、心筋輪郭点抽出を行う最初のトレース方向(すなわちサンプリングの方向)が決定される。これは、ステップ512又は514で決定されたトレース中心からステップ506で計算された交点へ向かう方向であると決定される。続く処理のために、この方向を向くベクトル(トレース方向ベクトル)が計算される。
図5cおよび図5dに、検索角度と、検索角度方向へ延びる直線と楕円との交点、当該交点の法線、法線とZ軸との交点、トレース方向ベクトルなどの関係を示した。検索角度が90°未満である場合が図5cに示され、検索角度が90°以上の場合が図5dに示されている。
ステップ518では、トレース方向ベクトルをZ軸(すなわち楕円の長軸)の周りに回転させるための回転角度が設定される。本実施例では、処理ループがステップ522を経てステップ518に戻るたびに、0°から350°まで、10°ステップで回転角度を増すこととしている。すなわちZ軸の周りに初期方向ベクトルを一周させる。無論、実施形態によっては、角度の増分ステップを、例えば5°など他の値としてもよい。ステップ520では、ステップ518で設定された方向すなわち回転した方向ベクトルの方向で、画像データの心筋輪郭点抽出処理が行われる。この処理については図5bを用いて後に詳細に説明する。
ステップ522では、トレース方向ベクトルのZ軸の周りの回転角度が回転終了角度であるか否かが判定される。前述のように、本実施例ではこれを350°としている。回転終了角度になっていれば、ステップ524に進み、ステップ504で設定した現在の検索角度が検索終了角度であるか否かが判定される。前述ように、本実施例ではこれを170°としている。検索終了角度になっていれば、処理は終了する(ステップ526)。
ステップ508‐522から理解されうるように、検索角度が90°未満の場合、すなわち検索部位が心尖部側の場合、心筋輪郭点抽出のためのトレース方向は、ステップ212で求めた楕円体の長軸上の点から当該楕円体の楕円面に垂直な方向へ向かって放射状に設定される。言葉を変えれば、画像データ114は、楕円体長軸上の点を頂点として円錐状にサンプリングされる。これに対して検索角度が90°以上の場合、すなわち検索部位が心基部側の場合、心筋輪郭点抽出のためのトレース方向は、楕円体長軸上の点から長軸に垂直な方向へ向かって長軸の周りに放射状に設定される。言葉を変えれば、画像データ114は、楕円体長軸上の点に垂直な断面内で放射状にサンプリングされる。これは、心室の形状が心尖部側と心基部側では異なっていることを輪郭点抽出処理に反映させるためである。すなわち、心尖部側においては、心室の形状は卵のように先端に進むにしたがって先細りとなる形状を有するのに対し、心基部側においては、心基部末端に至ってもそれほど直径が変化しない、寸胴形をしている。本実施例において、検索角度90°を境にトレース方向の設定のやり方を変えている理由は、心室のこのような形状を輪郭点抽出処理に反映させて、輪郭点抽出の精度を向上させるためである。なお、実施例によっては、トレース方向の設定のやり方を変える角度を90°以外としてもよく、例えば80°としてもよい。
続いて図5bを用いて、図5aのステップ520の心筋輪郭点抽出処理の一例を説明する。
ステップ530は処理の開始を示す。ステップ532では、ステップ512又は514で設定されたトレース中心から、ステップ522で設定されたトレース方向ベクトルの方向に、処理対象の画像データ(図1でオリジナル画像データ114と示される画像データ)が走査され、画素値のプロファイルが作成される。すなわち位置に応じた画素値の変化が調べられる。このステップにおいて、有効な画素値について閾値を設けてもよい。例えば、このプロファイルにおける最大画素値の30%以下の画素値については、画素値を無効又は0としてもよい。これは、ノイズを含む可能性のあるピクセルを処理から除外するためである。ステップ534では、このプロファイルにおける画素値が最大となる点(ピクセル)が特定される。
ステップ536及び538では、ステップ540で心筋の内膜点及び外膜点を判定する基準となる判定ラインの設定が行われる。ステップ540においては、画素値プロファイルがこの判定ラインと交差する点の付近を心筋の内膜点や外膜点と判定する。実施例によっては、プロファイルにおける画素値最大点から見てトレース中心の側において該プロファイルが判定ラインと交差する点のうち、画素値最大点に最も近い点又はその近傍を、そのプロファイルにおける心筋の内膜点と判定する。例えば、画素値最大点からトレース中心の方へプロファイルカーブを下って行くとき、プロファイルが判定ラインを最初に下回った点(ピクセル)を、そのプロファイルにおける心筋内膜点と判定する。同様に、実施例によっては、プロファイルにおける画素値最大点から見てトレース中心の反対側において該プロファイルが判定ラインと交差する点のうち、画素値最大点に最も近い点又はその近傍を、そのプロファイルにおける心筋の外膜点と判定する。例えば、画素値最大点からトレース中心とは反対側の方へ画素値プロファイルカーブを下って行くとき、プロファイルが判定ラインを最初に下回った点(ピクセル)を、そのプロファイルにおける心筋外膜点と判定する。
この判定ラインは、画素値プロファイルにおける画素値の最大値に基づいて決定されてもよい。実施例によっては次のように決定されてもよい。

判定ライン=(最大値−最小値)× 判定閾値 + 最小値

上の式において、最大値とは画素値プロファイルにおける画素値の最大値を表し、最小値とは画素値プロファイルにおける画素値の最小値を示す。判定閾値はステップ536及び544で設定され、可変である。判定閾値を可変とする理由はステップ542に関連してこのすぐ後に説明される。ステップ536で設定される初期の判定閾値は、本実施例では75%である。
図5eに、Z軸方向から見た、画像データのトレース面や、トレース中心、トレース方向、画素値プロファイル、判定ライン、画素値最大点、内膜判定点、外膜判定点などの関係を示してあるので参照されたい。画像データのトレース面は、ステップ504で設定される検索角度が90°未満の場合、実際にはZ軸方向に角度がついており、コーン状のトレース面を上から平面的に表しているものであることに注意されたい。
ステップ542においては、ステップ540で判定された内膜点と外膜点との距離が計算され、この距離が所定の範囲内に収まっているかどうかが判定される。内膜点と外膜点との距離は、心筋の膜厚を反映していると考えられる。前述の所定の範囲は、例えば8mm以上32mm以下とすることができる。この範囲は例示ではあるが、発明者の研究によれば、心筋に異常がない者でも、何らかの異常を抱えているものでも、例えば心筋が薄くなるような疾患を抱えている者に対しても心筋輪郭点抽出が最も良好に行われる範囲である。ステップ542で、内膜判定点と外膜判定点との距離が上記所定の範囲内にない場合は、ステップ544に進み、判定閾値を変更する。閾値の変更ステップは例えば5%などとすることができる。例えば、内膜判定点と外膜判定点との距離が8mm以下の場合、判定閾値を5%ずつ上昇させることとしてもよい。また例えば、内膜判定点と外膜判定点との距離が32mm以上の場合、判定閾値を5%ずつ減少させることとしてもよい。内膜判定点と外膜判定点との距離が所定の範囲内に収まる場合、内膜及び外膜の判定点を確定し、処理を終了する(ステップ548)。一定以上判定閾値を変化させても内膜判定点と外膜判定点との距離が所定の範囲内に収まらない場合、エラーを出力(ステップ550)し、当該プロファイルにおいては内膜点及び/又は外膜点を特定できなかった旨が示される。なお、処理がエラー出力で終了する場合(ステップ550)であっても、例えば初期判定閾値に基づく判定ラインに基づいて判定された内膜点及び/又は外膜点を出力に含めることが好ましい。
ところで、心尖部においては、輪郭点判定トレース領域(すなわちステップ504−522によって設定される円錐状の領域)が、心筋の膜内に入るか近づきすぎてしまい、心筋内膜点を特定できないことがある。そこで心尖部と思われるトレース領域においては、外膜点のみを判定し、内膜点は判定しないとしてもよい。その場合、判定ラインを変化させることは不要であるので、例えば、ステップ536で設定された初期判定閾値に基づく判定ラインに基づいて、上記のように外膜点を判定し、その判定点を回答プロファイルにおける外膜判定点と決定してもよい。トレース領域が心尖部に位置するか否かは、例えばステップ504において検索角度が所定範囲内、例えば15°以内の場合であるなどとすることもできる。また、後に図7を参照して説明される心尖部特定方法に基づいて心尖部を特定してもよい。
〔逸脱判定点の除去〕
続いて図2のステップ220に示される処理の詳細を説明する。このステップでは、ステップ216で得られた心筋内膜及び外膜の判定点の中で、他の判定点の傾向から逸脱し、正常に判定されていないと思われる点が除去される。
逸脱判定点の判定は、例えば次のように行うことができる。
(a)ステップ532で作成された特定の画素値プロファイルにおいて判定された内膜点が、そのプロファイルに隣接する他の画素値プロファイルにおいて判定された外膜点よりも外側にある場合に、その内膜点を逸脱していると判定する。「外側」とは、ステップ212で作成された楕円体の長軸を基準として外側であり、その長軸から離れる方向を「外側」と称している。「プロファイルに隣接する」とは、Z軸方向に隣接している、すなわち長軸を含む断面において隣接している状態と、Z軸(楕円体長軸)の周りに経方向に隣接している状態の両方を含む。
(b)特定の画素値プロファイルにおける最大画素値が、他の複数の画素値プロファイルにおける最大画素値の所定割合以下である場合に、当該特定のカントプロファイル及びそのプロファイルにおいて判定された内膜点及び/又は外膜点を、逸脱していると判定する。例えば、有効な(すなわち逸脱していないと判定された)全ての画素値プロファイル全体における最大画素値の50%未満の最大画素値を有する画素値プロファイル及び関連する判定点を、逸脱していると判定し無効であるとマークする。
(c)特定の画素値プロファイルにおける楕円体長軸上の点すなわちトレース中心から、当該プロファイルにおける画素値最大点までの距離が、他の複数の画素値プロファイルにおける同様の距離の平均より大きく逸脱している場合、例えば2σ離れている場合に、そのプロファイル及びそのプロファイルにおいて判定された内膜点及び/又は外膜点を逸脱していると判定する。
(d)内膜点が無効の(判定できなかった)プロファイルは、逸脱していると判定する。
逸脱していると判定されたプロファイル及び/又は関連する判定点は、無効であるなどとマークすることが好ましい。
全てのプロファイル及び/又は関連する判定点について、上記(a)〜(d)の全てを適用する必要は必ずしもなく、そのうちのいずれかの一つまたは複数を適用するというのであってもよい。例えば、トレース中心から画素値最大点までの距離のばらつきが少ない場合は、(c)の逸脱判定処理は実行しなくてもよいであろう。例えば、1σが当該距離の平均値の10%以内の場合は(c)の逸脱判定処理を実行しないこととしてもよい。また、(c)や(d)の逸脱判定処理は、心基部に位置するプロファイルには適用しなくともよい。あるプロファイルが心基部に位置しているかどうかの判定は、例えばステップ504において検索角度が所定範囲以上、例えば135°以上の場合であるなどとすることもできる。また、後に図8を参照して説明される心基部特定方法に基づいて心基部を特定してもよい。
〔補間・整形〕
続いて、図6を用いて図2のステップ224で示される処理の詳細を説明する。ここでは、ステップ216で得られた心筋内膜及び外膜判定点のうち、ステップ220で無効とされなかった点(すなわち逸脱と判定されなかった点)に基づいて、判定点が無効または存在しない点を補間したり、または判定点の位置を修正したりする。
ステップ600は処理の開始を示す。補間や整形のための処理は、判定点が心尖部に位置するか心基部に位置するか、またはそれらの間に位置するかによって異なってくる。そこでステップ604では、まず、心尖部がどこにあるかを特定する。前述のように、心尖部は、例えばステップ504において検索角度が所定範囲内、例えば15°以内の場合であるなどと、一律に定めてしまってもよい。しかし、本発明の好適な実施例では、後に図7を用いて説明するように、個々の画像データにおける外膜点の特定に基づいてそれぞれ自動的に心尖部を特定することとしている。
ステップ608では、心基部がどこにあるかを特定する。心尖部と同様に、心基部についても、例えばステップ504において検索角度が所定範囲以上、例えば135°以上の場合であるなどとするなど、一律に定めてしまってもよい。しかし本発明の好適な実施例では、後に図8を用いて説明するように、個々の画像データにおける内膜点及び外膜点の特定に基づいて、自動的に心基部を特定することとしている。処理の詳細については後に説明する。
以下の説明において、同じトレース中心から作成された全てのプロファイルを含む面をスライスと称する場合がある。留意すべきは、このスライスは二次元的に平面であるとは限らない。図5aのステップ504−524の処理から理解できるように、図2のステップ212で求めた楕円体の中心から心尖部寄りにおいては、各スライスは円錐面状を呈する。一方、心基部寄りにおいては二次元平面であり、解剖学的方向でいう横断面に平行である。
心尖部内側から心基部直前に位置するスライスについては、ステップ616に進む。このステップでは、スライスごとに、当該スライスに属する有効な内膜判定点及び外膜判定点を、それぞれ円近似する。なお有効な内膜/外膜判定点とは、図5bのステップ540において特定されることができた内膜点及び外膜点であって、ステップ542においてこれらの間の距離(すなわち膜厚)が所定の範囲に収まっていることが判定され、さらに、図2のステップ220の逸脱判定処理において無効とされなかった判定点である。続いて、近似円の中心と半径から、内膜又は/及び外膜判定点が存在しない又は無効であるプロファイルに対して内膜又は/及び外膜判定点の補間点を挿入する。この処理により、補間処理が行われたスライスに属する全てのプロファイルについて、内膜点及び外膜点が定められる。
前述のように、心尖部寄りのスライスは円錐状を呈しているため、各判定点のZ座標(すなわち長軸方向の位置)はバラバラである。しかし、上述の円近似処理においては、Z座標は無視する。補間点のZ座標については、補間された点が内膜点なのか外膜点なのかに応じて、有効な内膜判定点又は外膜判定点の平均Z座標を使用する。各点のZ座標は、後に、ステップ228のスムージング処理により平滑化される。
ステップ616の処理は、心尖部内側から心基部直前に位置する全てのスライスについて行われる。図6にはループが記載されていないが、これら全てのスライスについて処理が行われるものと理解されたい。ただし、あるスライスの内膜の有効判定点が少ない場合、例えば全周の25%以下である場合、そのスライスの内膜については、ステップ616の円近似補間処理は行わない。同様に、あるスライスの外膜の有効判定点が全周の25%以下である場合、そのスライスの外膜については、ステップ616の円近似補間処理は行わない。このようなスライスの内膜又は外膜については、ステップ620の隣接スライスによる補間処理が適用される。
ステップ616の近似円による補間処理の様子を図6aに図示した。画像はスライスをZ軸方向から見たもので、ステップ504で設定される検索角度が90°未満の場合、実際のスライス面はZ軸方向に角度がついていることに注意されたい。環状に打たれている点のうち、外側が外膜判定点、内側が内膜判定点である。図には、これらを近似した円も描かれている。また、存在しないか無効とされたプロファイルについての補間点も描かれている。
続いてステップ620の処理について説明する。前述のように、ステップ620の処理は、内膜又は外膜の有効判定点が少ないスライスについて適用される。説明の便のために、あるスライスAの内膜において、有効判定点が全周の25%以下である場合を考える。
(サブステップ1)まず、スライスAにおいて有効な内膜判定点と、スライスAのトレース中心又はZ軸との距離の平均を求める。
(サブステップ2)次に、スライスAに隣接するスライスBにおいて、そのトレース中心又はZ軸と各内膜判定点との距離の平均を求める。スライスBは、スライスAより中心側(すなわちステップ212で求めた楕円体の中心側)に隣接するスライスであることが好ましい。
(サブステップ3)続いて、スライスAに関して計算した平均距離と、スライスBに関して計算した距離の平均との差を計算する。
(サブステップ4)最後に、スライスAにおいて判定点が存在しないが無効とされているプロファイルについて、スライスBの対応するプロファイルの内膜点の座標を上に計算した差だけ移動した点を、当該プロファイルにおける内膜点と定める。なお、スライスAのあるプロファイルとスライスBのあるプロファイルが対応するとは、これらがZ軸周りで同じ角度を有するプロファイルであること、すなわち図5aのステップ518において同じ回転角度が設定されたプロファイルであることを意味する。
なお、サブステップ4で用いる差は、スライスAの有効内膜判定点がきわめて少ない場合、例えば10%以下である場合は、スライスBとそれにさらに隣接する別のスライスとから同様に計算された平均距離の差を用いてもよい。
外膜についても、内膜と同様に処理することができる。
続いてステップ624の処理について説明する。ステップ624の処理は、心尖部のすぐ内側のスライスについてのみ行い、これらのスライスについての内膜判定点を近似した円の径が、心尖部に向けて所定の割合で減少するように、各内膜判定点の位置を補正する。
例えば、心尖部領域のすぐ内側のスライスをスライスA,スライスAに心基部側で隣接するスライスをスライスB,スライスBに心基部側で隣接するスライスをスライスC,スライスCに心基部側で隣接するスライスをスライスD,スライスDに心基部側で隣接するスライスをスライスEと表す。このとき、各スライスの内膜近似円の半径の比が、E:D:C:B:A=1:0.82:0.73:0.60:0.43となるように、各スライスの内膜判定点の位置を補正してもよい。(内膜近似円とは内膜判定点を近似した円を指す。ステップ616において求めたものと同じである。)このような補正を行なうことにより、内膜の輪郭をより滑らか且つ自然にすることができる。
続いて、ステップ612で、心尖部領域に位置すると判定されたスライスについての処理について説明する。この場合、処理はステップ628に進む。ステップ628においても、ステップ616における処理と同様に、判定点を円で近似し、得られた近似円の中心及び半径を利用して、判定点が存在しない又は無効であるプロファイルに対して補間により判定点を追加する。ただし、心尖部領域に位置するスライスについては内膜の判定点は存在しないので、円近似及び補間は外膜の判定点についてのみ行われる。しかし、有効な判定点が全周の50%以下であるスライスについては、良好な近似円を作成できないので、ステップ628の補間処理は行わずに、ステップ632の隣接スライスによる補間処理を行う。
ステップ632では、後述のステップ716で求められる第2の楕円体を利用して補間を行う。第2の楕円体については、図7およびステップ704−720の説明を参照されたい。ステップ632では、有効な判定点が全周の50%以下であるスライス(以下、スライスPという)に含まれる全ての有効な外膜判定点と第2の楕円体の中心軸との平均距離を計算する。また、スライスPに隣接するスライス(以下、スライスQという)に含まれる外膜判定点と第2の楕円体の中心軸との平均距離を計算する。そして、これらの平均距離の差分を求め、スライスQの外膜判定点を当該差分の量だけ移動した点を、スライスPの外膜判定点とする。
続いて、ステップ612で、心基部領域に位置すると判定されたスライスについての処理について説明する。このようなスライスは、ステップ636以降により処理される。ステップ636では次のようなサブステップを含む処理が行われる。
(サブステップ1)心基部の開始を表すスライス(以下、スライスAという)において、外膜および内膜それぞれについて、ラベリングなどの手法を用いて、有効な判定点が連続する最大の領域である有効領域を特定する。有効な判定点とは、無効とマークされていない判定点を意味してよい。
(サブステップ2)スライスAに含まれる外膜判定点のうち、外膜判定点に関する有効領域に含まれない判定点を無効とする。同様に、スライスAに含まれる内膜判定点のうち、内膜判定点に関する有効領域に含まれない判定点を無効とする。
サブステップ1で設定される有効領域と、サブステップ2で無効とされる判定点の様子を図6bに図示したので参照されたい。
(サブステップ3)スライスAに対して心基部終端側に隣接するスライス(以下、スライスBという)において、当該スライスに含まれる外膜判定点のうち、スライスAの外膜に関する有効領域に対応する領域に含まれない判定点を無効とする。ここでスライスAの外膜に関する有効領域に対応するスライスBの領域とは、Z軸方向において、スライスBの領域のうち、スライスAの有効領域に重なる領域のことをいう。スライスBに含まれる内膜判定点についても、同様に、スライスAの内膜に関する有効領域に対応する領域(すなわち長軸方向において重なる領域)に含まれない判定点を無効とする。
(サブステップ4)スライスBに対してさらに心基部終端側に隣接するスライス(以下、スライスCという)について、サブステップ3と同様の処理を行う。すなわち、スライスBをスライスA,スライスCをスライスBと見立てて、サブステップ3と同様の処理を行う。
(サブステップ5)各サブステップにおいて、スライスのトレース中心を中心として、有効領域の角度幅を計算する。あるスライスの有効領域の角度幅が所定の角度以下となった場合、当該スライスおよびそれより心基部終端側のスライスにおける全ての判定点を無効にする。この所定の角度は、例えば120°とすることができる。
なお、図6の各ステップにおける処理と同様に、ステップ636も、複数のスライスについて行われる処理である。図6にはループが描かれていないが、上にサブステップ4の説明からも理解できるように、ステップ636の処理には実際にはループが含まれるので、注意されたい。
続いて、処理はステップ640に進む。ステップ640では、有効な内膜および外膜判定点を有する各スライスについて、内膜および外膜それぞれについて個別に円近似を行う。また、各判定点が求められた近似円の円周上に位置するように、各判定点の位置を修正する。これらの処理は、心基部の輪郭をより滑らかにするためである。
ステップ644は処理の終了を示す。
〔心尖部領域の特定〕
続いて、図6のステップ604で示された、心尖部領域を特定する処理について、その詳細を図7を用いて説明する。本実施例では、図2のステップ212で求めた楕円体とは別の第2の楕円体を求め、その先端部を心尖部の先端と決定する。また、求めた楕円体の中心付近における短軸横断断層像スライスを用いて心筋の平均膜厚を計算し、これを心尖部の膜厚としても用いる。
ステップ700は処理の開始を示す。ステップ704から720までは、心尖部の最先端部を決定するための処理となる。ステップ704では、上記第2の楕円体を求めるためのトレースを行う中心点を設定する。ある実施例では、この中心点は、ステップ212で求めた楕円体(以下、この楕円体を第1の楕円体と称する場合がある)の中心である。ステップ708では、設定した中心点から放射状に、処理対象の画像データ(すなわち図1に関してオリジナル画像データ114と説明された画像データ)のトレースを行い、画素値の変化を調べる。すなわち画素値のプロファイルを作成する。実施例によっては、このトレースは、心尖部側についてのみ行ってもよい。実施例によっては、第1の楕円体の長軸方向の心尖部側を90°としたとき、楕円体の中心(トレース中心)から0〜80°及び180〜100°の範囲についてのみトレースを行ってもよい(図7a参照)。長軸の周りの角度については、360°の範囲でトレースを行うことが好ましい。
ステップ712では、ステップ708の各トレースで得た各画素値プロファイルについて、図5bのステップ540と同様の処理により、外膜点を特定する。すなわち、プロファイルの画素値最大点から見てトレース中心と反対側において、プロファイルが判定ラインと交差する点のうち前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、該プロファイルにおける心筋の外膜点と特定する。例えば、画素値最大点から見てトレース中心の反対側において、画素値プロファイルが判定ラインを最初に下回る点を、当該プロファイルの外膜点と判定する。ステップ716では、得られた外膜判定点の集合を近似する楕円体(すなわち上記の第2の楕円体が)求められる。
第2の楕円体を求める計算は、ステップ412における計算と同様に行うことができる。すなわち、例えば、第1の楕円体の長軸を含む断面であって、外膜判定点を有する断面のそれぞれについて、当該断面に含まれる外膜判定点との残差の二乗和を最小とする楕円を求め、これらの楕円の中心の平均値や長辺・短辺の平均値を、求める第2の近似楕円体の中心や長辺・短辺としてもよい。
良好な近似楕円体を求めるために、ステップ716において近似楕円体を求める前に、ステップ712で得られた判定点のうち、次のような判定点は無効として近似楕円体を求める計算から除外してもよい。
・ トレース中心から判定点までの距離が、所定の値よりも遠い場合。
・ 長軸断面(第1の楕円体の長軸を含む断面)において、長軸までの距離が、長軸方向で隣接する判定点の長軸までの距離と比べて著しく異なる判定点(例えば当該距離の比が30%以上のもの)。
・ 長軸断面において、長軸方向で隣接する判定点と長軸方向の位置がほぼ同じ(例えば0.5ピクセル以内)である判定点
・ 長軸断面において、長軸方向の位置が、長軸方向で中心(ステップ704で設定したサンプリング中心)の方向に隣接する判定点の長軸方向の位置より、さらに中心方向にある判定点。
ステップ720では、心尖部の最先端部を決定する。実施例によっては、求めた第2の近似楕円体における心尖部側の最先端部をもって、画像データに含まれる心臓心室の心尖部の最先端部としてもよい。
図7aは、ある長軸断面を用いて、画像データのトレース中心と方向すなわち画素値の変化を調べるための画像データのサンプリングの開始点および方向と、判定された外膜点、それに外膜判定点を近似した楕円の様子を描いた図である。またこの図には、ステップ720で決定された心尖部の最先端部すなわち心尖部の外側に接する横断断層像スライスも描かれている。なお、図7aは2次元の楕円の長辺に接するように心尖部外側スライスが描かれているが、これは説明の便のためにそうなっているだけで、実際には、ステップ716において求められた3次元の近似楕円体の長辺に接するスライスである。
ステップ724以降は、心尖部の膜厚を決定するための処理となる。ステップ724では、ステップ704で設定したサンプリング中心付近の短軸横断断層像を何枚か抽出する。短軸横断方向は、例えば、第1の楕円体の長軸に垂直な方向とすることができる。実施例によっては、サンプリング中心とした第1の楕円体の中心を含む短軸横断断層像と、これに心尖部方向及び心基部方向に隣接する短軸横断断層像をそれぞれ10枚ずつ抽出してもよい。
ステップ728では、ステップ724で抽出した各短軸横断断層像について、それぞれ膜厚の平均を求め、さらに抽出した全ての短軸横断断層像における膜厚の平均を求める。各短軸横断断層像における膜厚を求める手法としては、図5aのステップ512−522で説明した手法と同じ手法を使用することができる。すなわち、トレース中心から、所定の角度範囲において、所定の角度ステップで、各角度方向に画素値の変化のプロファイルを作成し、最大画素値の付近で判定ラインと交差する点の付近をそれぞれ内膜点及び外膜点とし、これらの間の距離をもって膜厚とすることができる。図5bに関連して説明したように、判定ラインは可変とすることができる。
実施形態によっては、ステップ728において、各短軸横断断層像において膜厚を求める角度範囲を、当該短軸横断断層像の心室中心を中心とし、各短軸横断断層像の上方向を0°として、±60°としている。これは、前壁方向の膜厚のみを抽出するためである。なお、短軸横断断層像においてこの角度範囲が前壁方向であるのは、核医学イメージングの分野において一般的なことである。心室中心としては上記、ステップ512で求めたトレース中心、すなわち第1の楕円体の長軸の位置としてもよいし、当該短軸横断断層像において個別に求めた心室中心としてもよい。また、後述の図9bに関して説明される手法にて求める心室中心を利用してもよい。
ステップ732では、ステップ724で抽出した各短軸横断断層像の各平均膜厚の平均をもって、心尖部の膜厚と定める。ステップ736では、ステップ720で決定した心尖部最先端部からステップ732で決定した心尖部膜厚を引いた位置を、心尖部内側端と決定する。ステップ740は処理の完了を表す。
図7bに、ステップ724で設定する平均膜厚を調べるための範囲と、ステップ728で壁厚検索を行う角度範囲、それにステップ732で決定される心尖部内側端を、図7のステップ720で決定される心尖部外側端と共に例示する。
〔心基部領域の特定〕
続いて、図6のステップ608で示された、心基部領域を特定する処理について、その詳細を図8を用いて説明する。この処理においては、心基部側に位置する所定の範囲の短軸横断断層像において、中隔側の心壁に所定角度以上の途切れが存在するか否かを調べ、その結果に基づいて心基部の開始位置を特定する。
ステップ800は処理の開始を示す。ステップ804は、調査対象の画像データ114のうち、心壁の途切れを判定する最初の短軸横断断層像スライス(判定開始スライス)を設定する。このスライスは、例えば、図2のステップ212で求めた楕円体を利用して設定することができ、例えば、図5aのステップ504で設定する所定の角度に対応するスライスと設定することができる。この所定の角度は、例えば、110°とすることができる。
ステップ808では、判定対象のスライスについて、内膜点及び外膜点の判定を行う。この処理は、図5aのステップ518−522と全く同じである。また、内膜点及び外膜点の判定点について、図2のステップ220に関連して説明した逸脱判定点を無効化する処理を適用してもよい。したがって、図5aのステップ518−522(及び実施例によっては図2のステップ220に関連する処理)の処理結果を再利用することにより、ステップ808で必要な処理結果を得ることができる。
ステップ812では、ステップ808の処理結果から、判定対象のスライスにおいて、中隔側の心壁に所定角度以上の途切れが存在するか否かを調べる。心壁の途切れの存在は、特定の画素値プロファイルにおいて有効な内膜点及び/又は外膜点が存在しないことをもって判断することができる。このような場合、当該画素値プロファイルに対応する角度領域は、心壁が途切れていると判断することができる。核医学イメージングで得られる短軸横断断層像においては、一般的に、画面の左方向が中隔側となっている。そこで、例えば、原点を各画素値プロファイルのトレース中心(すなわちステップ512で決定したトレース中心)とし、画面右方向を0°とした場合の、150〜210°の範囲を中隔側と設定することができる。むろん、この範囲は例示に過ぎず、別の範囲を用いることもできる。参考のため、図8aに、本例における検索対象の角度範囲の様子を示した。ステップ812では、この角度範囲において、所定角度(例えば20°)以上の連続した心壁途切れが存在するかどうかを調べる。
ステップ808及び812の処理は、判定開始スライスから、それより心基部側に位置する「調査スライス」と呼ばれるスライスまで、順々に行われる(ステップ816,818)。それによって、各スライスについて、中隔側の心壁に所定角度以上の途切れが存在するか否かが調べられる。
ステップ822では、心基部の開始スライスの決定が試みられる。これは次のように行われる。
(a)調査スライスにおいて、中隔側の心壁に所定角度以上の途切れが存在するスライスが連続しているかどうかが判定される。そのようなスライスが連続している場合、連続しているスライスのうち最も心尖部側のスライスを、心基部の開始スライスであると決定する。例えば、スライス番号と途切れ状態の判定結果が次のようであった場合、スライス54が心基部開始スライスとして決定される。

スライス番号 途切れ状態
50 なし 心基部判定開始スライス
51 あり
52 なし
53 なし
54 あり
55 あり
56 あり 調査スライス
(b)調査スライスにおいて、上のような途切れが存在するスライスが連続していない場合は次のように処理を進める。
・ 調査スライスおよび調査スライスより心尖部側に位置するスライスの中で、上のような途切れが存在するスライスがないかを調べる。そのようなスライスがある場合、その中で最も心基部側のスライスを、心基部の開始スライスであると決定する。
・ 調査スライスおよび調査スライスより心尖部側に位置するスライスには、上のような途切れが存在するスライスがない場合は、ステップ822では心基部開始スライスを決定せず、次のステップに進む。
ステップ824では、ステップ822において心基部の開始スライスが決定できたか否かが判定され、決定できていれば、ステップ848に進んで処理は終了する。決定できていなければ、ステップ828に進む。
ステップ828以降では、調査スライスより心基部側に一つずつスライスを移動し、それぞれステップ808及び812と同様の処理によって、当該スライスに上記のような心壁の途切れがあるかないかを判定する(ステップ832)。ステップ836では、当該スライスに心壁の途切れが見つかったかどうかが判定され、見つかった場合は、当該スライスを心基部開始スライスと決定する(ステップ840)。見つからない場合は、判定終了スライスまでスライスを一つずつ移動し、さらに心壁途切れを有するスライスを検索する(ステップ844,828)。処理範囲終端スライスまで検索しても、上記のよう心壁途切れを有するスライスが見つからない場合は、エラーを出力して処理終了する(ステップ852)。
これまでの処理において、「調査スライス」は、例えば、図5aのステップ504で135°に設定したときのスライスとすることができる。また、例えば、「処理範囲終端スライス」は、図5aのステップ504で検索角度を150°に設定したときのスライスとすることができる。むろん、これらの角度は例示であり、実施形態によっては他の角度を再利用してもよい。
図8bに、心基部判定開始スライスと調査スライス、判定対象スライス範囲、および処理範囲終端スライスの関係を例図によって示す。
〔内膜点および外膜点のスムージング〕
続いて、図2のステップ228に示される処理の詳細を説明する。ここでは、有効な内膜判定点および/または外膜判定点を持つスライスに対して、カーブフィッティングによる位置補正を行い、輪郭点がスムーズになるようにする。ここでは、2つの主な処理が行われる。
(サブステップ1)スライス別のスムージング
図5aのステップ504−524の処理において、同じトレース中心から作成された全てのプロファイルを含む面をスライスと称するとき、各スライスについて個別にスムージング処理を行う。具体的には次のように行う。
・ 各スライスの心室中心から有効判定点の距離に対してフーリエ級数近似によるフィッティングを行い、結果を判定点に反映させる。この心室中心としては、図5aのステップ512で決定されるトレース中心を採用することができる。
・ 心尖部内側から心基部開始スライスまでの範囲においては、内膜判定点・外膜判定点をそれぞれ個別にフィッティングを行う。心尖部については外膜判定点のみフィッティングを行う。心基部については、内外膜点を結合してフィッティングを行う。近似区間は、心基部以外を2、心基部を4とする。(この値が小さいほど形状は鈍る。)
図9aにフィッティングの様子の例を示した。トレース角度(ステップ58で設定されたトレース方向ベクトルの回転角度)を横軸に、心室中心(トレース中心)からの距離を縦軸にとって、内膜または外膜の判定点がプロットされている。また、これらをフーリエ級数近似によるフィッティングを行った後の点も示されている。内膜または外膜の輪郭点の位置がスムーズに変化するように修正されたことが理解できる。
なお、上記のスムージング処理において、スライスの心室中心として、図5aのステップ512で決定されるトレース中心を採用するのではなく、スライスごとに改めて画像解析によって心室中心を求めてもよい。この場合、スライスごとに図3と同じ処理を行うことにより、各スライスの心室中心を求めてもよい。スライスが、Z軸に角度のあるコーン状である場合であっても、Z軸を無視して2次元平面で画像解析を行うことにより、図3の処理を適用することができる。または、図6のステップ616,628で求められる、内膜または外膜の近似円の中心を、当該スライスの心室中心としてもよい。心基部については、図6のステップ640で求められる内膜近似円の中心を当該スライスの心室中心としてもよい。
スライスごとに心室中心を求めると、これらをつないだ線がジグザグになり、実際の心室の中心線からずれてしまう可能性がある。そこで、前述のようにして求めた各スライスの心室中心を線形補間などの手法により補正してもよい。
図9bに、心室中心の補正の一例の様子を図示した。この例では、中心スライス(図3の処理において決定された心室中心を含むスライス)の心室中心を基点に、心尖部方向および心基部方向の両方において、中心位置が一定となった点までをそれぞれ線形補間を行い、各スライスの心室中心とするように補正している。
(サブステップ2)長軸方向のスムージング
図5aのステップ504−524において、ステップ518で設定される回転角度が同じであるプロファイルを含む面ごとに、判定点のフィッティングを行う。この面は、図2のステップ212で作成される楕円体の長軸を含む面であって、図5aのステップ502で決定される面をステップ518で設定される回転角度だけ長軸の周りに回転させた面となる。楕円体の中心から各判定点の距離に対してカーブフィッティングを行い、結果を判定点に反映させる。具体的には次のように行う。
・ 心尖部外側から楕円体中心付近の判定点に対しては、ガウス近似によるフィッティングを行う。
・ 楕円体中心付近から心基部終端までの判定点に対しては、移動平均近似(平均区間:4)によるフィッティングを行う。
図9cに、ガウス近似によるフィッティングを行う範囲や移動平均近似によるフィッティングを行う範囲の設定の様子の例を示した。図示されるように、フィッティングは、心尖部と心基部に分けて行うが、それぞれ中心より心基部側、心尖部側の判定点も少し含むようにフィッティングすることが好ましい。これは、中心付近において輪郭点の位置の変化がスムーズになるようにするためである。


最後に、図2のステップ232に示される処理の詳細を説明する。ここでは、これまでの処理で求められた内膜/外膜判定点を線形補間により結線し、閉曲線を作成して心筋輪郭線を決定する。図10に、心尖部、心尖部内側から心基部直前まで、心基部、それぞれについての結線の様子を例示した。心尖部については外膜の判定点しかないので、これを線形補間により結線し、閉曲線を作成する。心尖部内側から心基部直前までについては、内膜判定点及び外膜判定点を、それぞれ個別に線形補間により結線して閉曲線を作成する。心基部については、内膜点と外膜点とを接続して一つの閉曲線を作成する。すなわち、内膜点と外膜点とを線形補間により結線して1つの閉曲線を作成する。これらの閉曲線が心筋の輪郭線としてCPU102から出力される。
〔実施形態のバリエーション〕
以上、本発明の好適な実施例を説明してきたが、本発明は、これまでに例示してきた形態にとどまらず、他にも様々な形態をとって具現化されうるものであることはもちろんである。ハードウェア的なバリエーションの中には、前述のように、装置100は、複数のCPUを備えるコンピュータ装置であったり、それぞれ個別にCPUを備える物理的に複数のコンピュータ装置からなるシステムであったりすることができる。オリジナル画像データ114や心筋輪郭抽出プログラム113などを格納するための補助記憶装置106は、装置又はシステム100と同じ筐体の中に収納されていてもよいし、USBやSASなどのインタフェースを介して装置又はシステム100に接続されるものであってもよい。また、ネットワークを通じて接続される装置であってもよく、CPU102が収納される筐体とは全く異なる地理的エリアに設置されるものであってもよい。補助記憶装置106についても、単一のハードディスクやフラッシュメモリなどから構成される形態だけでなく、複数のハードディスクやフラッシュメモリなどから構成されるものであってもよいし、物理的に異なる筐体に収められたハードディスクやフラッシュメモリなどを仮想的に1つの記憶装置として構成したものであってもよい。心筋輪郭抽出プログラム113や画像データ114、データ116、118は、それぞれ物理的に同一の記憶装置に格納されるように構成されていてもよいし、異なる記憶装置に格納されるように構成されていてもよい。これらの構成を実現するための技術は既によく知られているので、ここでは詳しく説明しない。しかし、本発明の具現化により提供される前述のさまざまな機能の少なくとも一部を実装する様々なハードウェア構成が、本発明の実施形態のバリエーションに含まれることができる。また、それらは包括的又は個別に特許請求されうることができる。
心筋輪郭抽出プログラム113は、これまでに紹介してきた機能をCPU102に遂行させるための命令の全てを、単一のプログラムとして備えるものであってもよいが、当該機能の一部をCPU102に遂行させる命令をそれぞれ1つ又は複数備える要素プログラムの集合として実装されることもできる。これらの要素プログラムは、個別に移動・コピー・格納しうるものであってもよく、それぞれ物理的に異なる記憶媒体または装置に格納されてもよい。また、これらの要素プログラムのあるものは、独立な発明として特許請求されうるものである。心筋輪郭抽出プログラム113またはこれを構成する要素プログラムは、CD−ROMや着脱可能メモリなどの持ち運びに便利な記憶媒体に格納して市販されることができる。このような記憶媒体も本発明の具現化の例である。このように、本発明の実施形態は、ソフトウェアの構成及び実装の点でも多くのバリエーションが存在する。また、これらのバリエーションは、包括的又は個別に特許請求されうるものである。
上記の実施例の説明では、いくつかのフローチャートを用いて処理の順番を説明してきたが、これらの処理の順番は単なる例であって、必ずしも例示した順番で処理を行わねばならないというものでは全くないことに注意されたい。以下に例示するように、異なる順番で処理が行われてもよいし、特定の処理をサブルーチンやソフトウェア関数、ダイナミックリンクライブラリなどとして実装して他の複数の処理ステップにおいて呼び出されて使用されるように構成されてもよい。
例えば、図2のステップ220で行われる逸脱判定点の除去処理においては、前述のように、心尖部、心尖部内側から心基部直前まで、心基部の三つの部分によって、異なる処理が行われる。そこで、心尖部や心基部を同定する処理である、図6のステップ604や608(それぞれ図7及び図8に詳細に説明されている)は、図2のステップ220の前に実行されてもよい。図2のステップ216で行われる心筋輪郭点抽出処理においては、図5bに関連して説明したように、判定ラインが動的に変更されるが、心尖部においてはそれが行われないので、予め心尖部が同定されていることが好ましい。そこで、心尖部を同定する処理である図6のステップ604の処理は、図2のステップ216の前に行われるように構成されてもよい。
このような順序で処理が行われる場合のフローチャートを図2−1に示す。図6のステップ604や608が、それぞれステップ604'や608'として、内外膜判定トレース216の前後に移動している。図2の補間・整形ステップ224は、処理ステップ604や608を含まないことになったので、図2−1では符号224'として示されている。が、処理ステップ604や608を含まないこと以外の点では図2のステップ224と同様の処理を行うステップである。そのほか、図2と同じ符号が付されているステップは、図2の場合と同様の処理を行う。
そのほかにも、判定点の有効・無効を判定するステップ220の処理の一部や、補間処理を行うステップ616,628などは、スライス単位で処理が行われるので、特定のスライスについての内外膜点判定を行った直後に実行するように構成してもよい。すなわち、無効判定処理や補間処理の一部を図5aのステップ522と524の間に実行するように構成してもよい。このように本発明の具現化には様々なやり方が存在する。
上記の実施例の説明においては、複数の処理ステップにおいて、画像データを特定の方向にトレースして画素値の変化を調べ、画素値の最大値や判定ラインとの交点を求める処理が行われた。例えば、ステップ408−410,ステップ520(および図5bのステップ),ステップ708,ステップ728,ステップ808−812である。そこで、トレースの実行と画素値プロファイルの作成、画素値の最大値とその位置の特定、内膜および/または外膜の判定点の位置の特定などの処理を、ソフトウェア関数などとして実装し、他の処理ステップにおいて呼び出されて使用されるように構成してもよい。
さらに、図5aに関連して説明された心筋輪郭点抽出トレースの手法についても、変形例を紹介する。この変形例は、図5a−1を参照して説明される。
図5aと図5a−1において、処理内容が同一であるブロックについては、同一の符号を付して説明を省略する。
図5aにおいて、処理の開始と終了を表すステップ500と526は、図5a−1においては、変形例であることを明示するため、それぞれステップ500',526'と表されている。
図5a−1においても、ステップ510までは、図5aを用いて例示した処理と特に変わるところはない。しかしステップ512',514'においては、図5aのステップ512,514の場合とは異なり、それぞれ、心筋輪郭点抽出を行うためのトレース面の抽出が行われる。これは次のように行われる。
まず、ステップ512'に進む場合、すなわち(ステップ508において)ステップ504で設定された検索角度が90°未満であると判定された場合、心筋輪郭点抽出を行うためのトレース面は、ステップ510で求められた法線とZ軸(すなわちステップ502で求めた楕円の長軸)との交点を頂点とし、前記法線方向に延びる直線を母線とした、円錐面状に抽出される。
一方、ステップ514'に進む場合、すなわち(ステップ508において)ステップ504で設定された検索角度が90°以上であると判定された場合、心筋輪郭点抽出を行うためのトレース面は、ステップ506で計算された交点を含み、Z軸(すなわちステップ502で求めた楕円の長軸)に垂直な面状に抽出される。
そして、ステップ515'において、ステップ512'または514'で抽出されたトレース面について、心筋輪郭点抽出トレースを行う中心すなわちトレース中心を設定する。図5aの実施例の場合は、このトレース中心は、Z軸上の点であったが、図5a−1の実施例の場合は、これを抽出したトレース面毎に個別に設定するのである。このトレース中心は、様々な方法で求めることができる。例えば、このトレース中心を、図3のステップ308〜340と同様の処理によって求めた心室中心としてもよい。ただし、トレース面が楕円面状である場合、すなわちステップ512'で求められたトレース面である場合は、Z軸方向の座標を無視して2次元の面であるように扱って、ステップ308〜340の処理を適用してもよい。また、このとき、ステップ308で設定する検索開始閾値は、図2のステップ208において心室中心を特定したときの閾値としてもよい。また、決定された心室中心の位置が、トレース面におけるZ軸の位置、すなわちステップ502で求められる楕円の長軸の位置から大きく離れている場合は、その決定された心室中心を無効として、当該長軸の位置を、トレース中心として設定してもよい。
ステップ516'では、ステップ515'で設定したトレース中心から、心筋輪郭点抽出を行う最初のトレース方向(すなわちサンプリングの方向)を決定する。それは図5aのステップ516と同様であるが、ステップ516'では、トレース面が楕円面状である場合、すなわちステップ512'で求められたトレース面である場合は、Z軸方向の座標を無視してトレース方向を決定する。ステップ516'で設定される最初のトレース方向は、Z軸に垂直な平面上で、どの方向に向いていてもよく、任意に設定することができる。
ステップ518'では、図5aのステップ518と同様に、ステップ516'で設定したトレース方向ベクトルを回転させる回転角を設定する。ただし、この回転角は、図5aのステップ518とは異なり ステップ515'で設定されたトレース中心の周りに設定されることとなる。
ステップ520'では、図5aのステップ520と同様に、ステップ518'で設定されたトレース方向ベクトルの方向に、心筋輪郭点抽出トレースが行われる。しかし注意すべきは、ステップ516'〜520'において、トレース面のZ座標は無視されることである。すなわち、トレース面が楕円面状に抽出された場合、すなわちステップ512'で抽出されたトレース面である場合であっても、当該トレース面に属する画素のZ座標は無視して2次元の面であるように扱って、心筋輪郭点抽出トレースを行う。この心筋輪郭点抽出トレースの手法は、図5bを参照して説明した手法と同様であってよい。
本願発明者は、図5a−1に例示される上記のような処理によっても、心筋内外膜点の判定を良好に行うことができることを、実際にプログラムを組んで確かめている。
さらなる変形例として、ステップ515'で求めたトレース中心として、図9bに関して説明される手法にて修正した心室中心を採用してもよい。そのような処理によっても、心筋内外膜点の判定を良好に行うことができることを、実際にプログラムを組んで確かめている。
このように、本発明は様々な形態で具現化されることができ、本発明の実施形態には、ここに例示した以外にも非常に多くのバリエーションが存在する。説明された各種の実施例に含まれている個々の特徴は、その特徴が含まれることが直接記載されている実施例と共にしか使用できないものではなく、ここで説明された他の実施例や説明されていない各種の具現化例においても、組み合わせて使用可能である。それらのバリエーションは全て本発明の範囲に含まれるものであり、現在の特許請求の範囲で特許請求がなされているか否かに関わらず、出願人は、特許を受ける権利を有することを主張するものであることに注意されたい。
100 装置またはシステム
104 主記憶装置
106 補助記憶装置
110 オペレーティングシステム
111 DICOMサポートプログラム
112 スライス操作プログラム
113 心筋輪郭抽出プログラム
114 オリジナル画像データ
116 処理途中のデータ
118 処理済みのデータ

Claims (23)

  1. 記憶装置に格納されたプログラムがプロセッサに実行されることにより、前記プロセッサを備えるコンピュータが動作する方法において、心筋の核医学画像データにおいて心筋輪郭点を判定する方法であって、
    心室内の点から球放射状に前記画像データの画素値の変化を調べると共に、調べた各方向における画素値最大点の集合を近似する第1の楕円体を求めることと;
    前記第1の楕円体に基づいて複数のトレース方向を設定すると共に、前記複数のトレース方向の各々において前記画像データから心筋輪郭点を判定することと;
    を含み、ここで、
    前記第1の楕円体の心尖部側の少なくとも一部において、前記トレース方向は、前記第1の楕円体の長軸上の点から前記第1の楕円体の面に垂直な方向へ向かって前記長軸の周りに放射状に設定され;
    前記第1の楕円体の心基部側の少なくとも一部において、前記トレース方向は、前記長軸上の点から前記長軸に垂直な方向へ向かって前記長軸の周りに放射状に設定され;
    前記心筋輪郭点を判定することは:
    前記設定されたトレース方向の各々について画素値のプロファイルを作成することを含むと共に;
    各前記プロファイルについて、画素値最大点から見て前記長軸側において該プロファイルが判定ラインと交差する点のうち、前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、該プロファイルにおける心筋の内膜点と判定することと;各前記プロファイルについて、画素値最大点から見て前記長軸の反対側において該プロファイルが判定ラインと交差する点のうち、前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、該プロファイルにおける心筋の外膜点と判定することと;の少なくともいずれかを含
    さらに前記方法は、
    前記第1の楕円体の中心から、少なくとも心尖部方向に改めて球放射状に前記画像データの画素値のプロファイルを作成すると共に、該プロファイルの各々について、該プロファイルの画素値最大点から見て前記中心の反対側において、該プロファイルが判定ラインと交差する点のうち前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、該プロファイルにおける心筋の外膜点と判定することと;
    前記判定された外膜点の集合を近似する第2の楕円体を求めることと;
    前記第2の楕円体の心尖部側の先端部を前記心臓心室の心尖部の先端部と決定することと;
    前記画像データから、前記第1または第2の楕円体の中心付近において所定の数の短軸横断断層像スライスを作成することと;
    心室中心から前壁方向の心筋膜厚についての平均値であって、前記作成した短軸横断断層像スライスの全部についての平均値を求めることと;
    前記求めた心筋膜厚の平均値を、心尖部の内側端を求めるために、前記心尖部の膜厚として用いることと;
    を含む、方法。
  2. 前記判定ラインを、前記プロファイルにおける画素値の最大値と最小値との差に所定の検索閾値を乗算したものに基づいて定めることと;
    前記内膜点および前記外膜点の両方を判定する場合において、前記判定した前記内膜点と前記外膜点と間の距離が所定の範囲に収まらない場合、前記検索閾値を変化させて前記判定ラインを更新し、前記更新した判定ラインにより前記内膜点および前記外膜点の判定を再実行することと;
    を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記判定した前記内膜点と前記外膜点との間の距離が、前記所定の範囲より短い場合、前記検索閾値を上げることにより前記判定ラインを更新し、
    前記判定した前記内膜点と前記外膜点との間の距離が、前記所定の範囲より長い場合、前記検索閾値を下げることにより前記判定ラインを更新する、
    ことを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 特定の前記プロファイルにおいて判定された内膜点が、該特定のプロファイルに隣接する前記プロファイルにおいて判定された外膜点よりも、前記第1の楕円体の長軸を基準として外側にある場合;
    特定の前記プロファイルにおける最大画素値が、他の複数の前記プロファイルにおける最大画素値の所定割合以下である場合;
    特定の前記プロファイルにおける前記長軸上の点から該特定のプロファイルにおける画素値最大点までの距離が、他の複数の前記プロファイルにおける前記距離の平均より2σ以上乖離している場合;
    のいずれかの場合、前記特定のプロファイルおよび対応する判定点を無効とする、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記長軸上の特定の点に関連する全ての前記プロファイルに関連して判定された前記内膜点および/または前記外膜点を、それぞれ円近似し、求められた近似円の中心および半径を用いて、有効な判定点を有さない内膜点および/または外膜点を補間することを含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記長軸上の特定の点に関連して有効と判定された前記内膜点および/または前記外膜点から該特定の点までの距離の平均を計算することと;
    前記特定の点に隣接する点に関連して有効と判定された前記内膜点および/または前記外膜点から該隣接する点までの距離の平均を計算することと;
    前記特定の点までの距離の平均と、前記隣接する点までの距離の平均との差を計算することと;
    前記長軸上の特定の点に関連して無効と判定された前記内膜点および/または前記外膜点を補償することであって、前記特定の点に隣接する点に関して得られた、前記無効と判定された内膜点および/または外膜点に近接する前記内膜点および/または前記外膜点を、前記差に基づいて移動することにより、補償することと;
    を含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記第1の楕円体の前記長軸上の特定の点に関連して判定された前記外膜点が心尖部に位置することが決定される場合であって、該特定の点に関連して有効と判定された前記外膜点の数が少ない場合、
    該特定の点に関連して有効と判定された複数の前記外膜点について、前記長軸までの距離の平均を計算することと;
    前記長軸上において前記特定の点に隣接する点に関連して有効と判定された前記外膜点について、前記長軸までの距離の平均を計算することと;
    前記特定の点に関する前記距離の平均と、前記隣接する点に関する前記距離の平均との比を求めることと;
    前記特定の点に関連する前記外膜点を、前記隣接する点に関連し対応する前記外膜点を前記比に基づいて移動した点で置換えることと;
    を含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記第1の楕円体の前記長軸上の特定の点に関連して判定された前記内膜点が心尖部のすぐ内側に位置することが決定される場合、
    該特定の点に関連して判定された前記内膜点の近似円の半径が、前記長軸上において前記特定の点に心基部側で隣接する点に関連して有効と判定された前記内膜点の近似円の半径に比べて所定の割合で減少するように、前記特定の点に関連して判定された前記内膜点の位置を修正することを含む、
    請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  9. 記憶装置に格納されたプログラムがプロセッサに実行されることにより、前記プロセッサを備えるコンピュータが動作する方法において、心筋の核医学画像データにおいて心筋輪郭点を判定する方法であって、
    心室内の点から球放射状に前記画像データの画素値の変化を調べると共に、調べた各方向における画素値最大点の集合を近似する第1の楕円体を求めることと;
    前記第1の楕円体に基づいて複数のトレース方向を設定すると共に、前記複数のトレース方向の各々において前記画像データから心筋輪郭点を判定することと;
    を含み、ここで、
    前記第1の楕円体の心尖部側の少なくとも一部において、前記トレース方向は、前記第1の楕円体の長軸上の点から前記第1の楕円体の面に垂直な方向へ向かって前記長軸の周りに放射状に設定され;
    前記第1の楕円体の心基部側の少なくとも一部において、前記トレース方向は、前記長軸上の点から前記長軸に垂直な方向へ向かって前記長軸の周りに放射状に設定され;
    前記心筋輪郭点を判定することは:
    前記設定されたトレース方向の各々について画素値のプロファイルを作成することを含むと共に;
    各前記プロファイルについて、画素値最大点から見て前記長軸側において該プロファイルが判定ラインと交差する点のうち、前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、該プロファイルにおける心筋の内膜点と判定することと;各前記プロファイルについて、画素値最大点から見て前記長軸の反対側において該プロファイルが判定ラインと交差する点のうち、前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、該プロファイルにおける心筋の外膜点と判定することと;の少なくともいずれかを含み;
    さらに前記方法は、
    前記第1の楕円体の長軸上で該第1の楕円体の中心より心基部側に位置する第1の短軸横断断層像から、前記第1の短軸横断断層像より更に心基部側に位置する第2の短軸横断断層像まで、それぞれ中隔側の心壁に、心室中心から見て所定角度以上の連続した途切れが存在するか否かを調べることと;
    前記第2の短軸横断断層像において、前記途切れが存在する短軸横断断層像が連続している場合、前記連続している短軸横断断層像のうち最も心尖部側の短軸横断断層像を、心基部の開始を表す横断断層像であると特定することと;
    前記第2の横断断層像において、前記途切れが存在する短軸横断断層像が連続していない場合:
    ・ 前記第2の短軸横断断層像または該第2の短軸横断断層像より心尖部側に位置する短軸横断断層像において、前記途切れが存在する他の短軸横断断層像があれば、前記他の短軸横断断層像のうち最も心基部側の短軸横断断層像を、心基部の開始を表す横断断層像であると特定することと;
    ・ 前記第2の短軸横断断層像または該第2の短軸横断断層像より心尖部側に、前記途切れが存在する他の短軸横断断層像がない場合、前記第2の短軸横断断層像より心基部側の短軸横断断層像であって、前記途切れが存在する最も心尖部側の短軸横断断層像を、心基部の開始を表す横断断層像であると特定することと;
    を含む方法。
  10. (a)前記心基部の開始を表す短軸横断断層像において、外膜および内膜それぞれについて、無効と判定されていない判定点が連続する最大の領域である有効領域を特定することと;
    (b)前記心基部開始短軸横断断層像において、外膜および内膜それぞれについて、対応する前記有効領域に含まれない判定点を無効とすることと;
    (c)前記心基部開始短軸横断断層像に対して心基部側に隣接する短軸横断断層像において、外膜および内膜それぞれに関し、前記心基部開始短軸横断断層像の各々の前記有効領域に対応する領域に存在しない判定点を全て無効にし、残った判定点について、判定点が連続する最大の領域である有効領域を特定すると共に、該領域に含まれない判定点を無効とすることと;
    (d)前記隣接する短軸横断断層像に対して更に心基部側に隣接する短軸横断断層像について、前記隣接する短軸横断断層像の前記有効領域を利用して、ステップ(c)を繰り返すことと;
    (e)前記有効領域の角度幅が心室中心から見て120°以下となった時点で、該当する短軸横断断層像およびそれより心基部側の短軸横断断層像における判定点を全て無効にすることと;
    を含む、請求項に記載の方法。
  11. 前記心基部の開始を表す短軸横断断層像およびそれより心基部側の短軸横断断層像であって、有効な内膜および外膜判定点を有する各短軸横断断層像について、内膜および外膜それぞれについて個別に円近似を行い、求められた近似円に基づいて、判定点を更新することを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記画像データの横断断層像において、前記内膜点または前記外膜点の位置を、フーリエ級数近似を用いたスムージング処理により修正することを含む、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
  13. 心室中心線を通る心筋断層像において、心尖部側に位置する前記内膜点または前記外膜点についてはガウシアンフィルタを用いて、心基部側に位置する前記内膜点または前記外膜点については移動平均を用いて、スムージング処理により修正することを含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
  14. 記憶装置に格納されたプログラムがプロセッサに実行されることにより、前記プロセッサを備えるコンピュータが動作する方法において、心筋の核医学画像データにおける短軸横断断面像において心室中心を決定する方法であって、
    前記短軸横断断面像について、画素値に関する閾値を設定すると共に、該設定した前記閾値の下で前記画素値に関する穴構造の探索を行うことと;
    前記探索を、前記穴構造が発見されるまで、第1の値から所定のステップで前記閾値を徐々に上げながら繰り返すことと;
    前記第1の値より高い第2の値まで前記閾値を上げても前記穴構造が発見されない場合、前記第1の値より低い第3の値から所定のステップで前記閾値を徐々に下げながら、前記穴構造が発見されるまで前記探索を繰り返すことと;
    前記穴構造が発見された場合、該発見された穴構造の中心を心室中心として特定することと;
    を含み、前記穴構造を探索することは、
    前記設定した閾値を上回る画素値を有するピクセルに対してラベリングを行い、サイズが最大となるラベルを特定すると共に、前記サイズが最大となるラベルの領域の中心である最大ラベル中心を計算することと;
    前記同定したサイズが最大となるラベルの領域内において、前記設定した閾値を下回る画素値を有するピクセルに対して別のラベルを用いてラベリングを行うと共に、所定の領域に中心を持つラベル及びサイズが所定の大きさ未満であるラベルを後の処理から除外することと;
    を含み、前記除外した後においても前記別のラベルが複数残った場合、該残ったラベルのうち、前記最大ラベル中心に最も近い領域中心を持つラベルの中心を心室中心と決定する、方法。
  15. 心室中心を判定しようとする前記短軸横断断面像は、前記核医学イメージングで得られる横断断面像のセットにおいて、所定の閾値以上の画素値を有する全てのピクセルの平均座標に対応する短軸横断断面像であるように選ばれる、請求項14に記載の方法。
  16. 心室中心を判定しようとする前記短軸横断断面像において、心室中心が同定されなかった場合、該短軸横断断面像よりも心基部側に隣接する短軸横断断面像を用いて心室中心の同定を試みる、請求項14に記載の方法。
  17. 前記心室内の点を請求項14から16のいずれかに記載の方法により求めた心室中心とする、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
  18. 記憶装置に格納されたプログラムがプロセッサに実行されることにより、前記プロセッサを備えるコンピュータが動作する方法において、心筋の核医学画像データにおいて心基部を判定する方法であって、
    心室内の点から球放射状に前記画像データの画素値の変化を調べると共に、調べた各方向における画素値最大点の集合を近似する第1の楕円体を求めることと;
    前記第1の楕円体の長軸上で該第1の楕円体の中心より心基部側に位置する第1の短軸横断断層像から、前記第1の短軸横断断層像より更に心基部側に位置する第2の短軸横断断層像まで、それぞれ中隔側の心壁に、心室中心から見て所定角度以上の連続した途切れが存在するか否かを調べることと;
    前記第2の短軸横断断層像において、前記途切れが存在する短軸横断断層像が連続している場合、前記連続している短軸横断断層像のうち最も心尖部側の短軸横断断層像を、心基部の開始を表す横断断層像であると特定することと;
    前記第2の短軸横断断層像において、前記途切れが存在する短軸横断断層像が連続していない場合:
    ・ 前記第2の短軸横断断層像または該第2の短軸横断断層像より心尖部側に位置する短軸横断断層像において、前記途切れが存在する他の短軸横断断層像があれば、前記他の短軸横断断層像のうち最も心基部側の短軸横断断層像を、心基部の開始を表す横断断層像であると特定することと;
    ・ 前記第2の横断断層像または該第2の短軸横断断層像より心尖部側に、前記途切れが存在する他の短軸横断断層像がない場合、前記第2の短軸横断断層像より心基部側の短軸横断断層像であって、前記途切れが存在する最も心尖部側の短軸横断断層像を、心基部の開始を表す横断断層像であると特定することと;
    を含む、方法。
  19. 記憶装置に格納されたプログラムがプロセッサに実行されることにより、前記プロセッサを備えるコンピュータが動作する方法において、心筋の核医学画像データにおいて心筋輪郭点を判定する方法であって、
    請求項14から18のいずれかに記載の方法により求めた心室内の点から球放射状に前記画像データの画素値の変化を調べると共に、調べた各方向における画素値最大点の集合を近似する第1の楕円体を求めることと;
    前記第1の楕円体に基づいて複数のトレース面を抽出すると共に、前記複数のトレース面の各々において前記画像データから心筋輪郭点を判定することと;
    を含み、ここで、
    前記第1の楕円体の心尖部側の少なくとも一部において、前記トレース面は、前記第1の楕円体の長軸上の点を頂点とし、前記第1の楕円体の面に垂直な母線を有する円錐面状に抽出され;
    前記第1の楕円体の心基部側の少なくとも一部において、前記トレース面は、前記長軸に垂直な面状に抽出され;
    前記心筋輪郭点を判定することは:
    前記トレース面の各々について、それぞれトレース中心を設定すること、ただし前記トレース面が円錐面状である場合、該トレース面を、前記長軸方向の座標を無視して2次元の面であるように扱って、前記トレース中心を設定することと;
    前記トレース面の各々について、前記設定したトレース中心から放射状に画素値のプロファイルを作成すること、ただし前記トレース面が円錐面状である場合、該トレース面を、前記長軸方向の座標を無視して2次元の面であるように扱って、前記画素値のプロファイルを作成することと;
    を含むと共に、前記作成したプロファイルの各々について、画素値最大点から見て前記トレース中心側において該プロファイルが判定ラインと交差する点のうち、前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、該プロファイルにおける心筋の内膜点と判定することと;前記作成したプロファイルの各々について、画素値最大点から見て前記トレース中心の反対側において該プロファイルが判定ラインと交差する点のうち、前記画素値最大点に最も近い点またはその近傍を、該プロファイルにおける心筋の外膜点と判定することと;の少なくともいずれかを含む;
    方法。
  20. 前記判定ラインを、前記プロファイルにおける画素値の最大値と最小値との差に所定の検索閾値を乗算したものに基づいて定めることと;
    前記内膜点および前記外膜点の両方を判定する場合において、前記判定した前記内膜点と前記外膜点と間の距離が所定の範囲に収まらない場合、前記検索閾値を変化させて前記判定ラインを更新し、前記更新した判定ラインにより前記内膜点および前記外膜点の判定を再実行することと;
    を更に含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記トレース中心を前記心室中心とすることと;
    前記トレース面が円錐面状である場合、該トレース面を、前記長軸方向の座標を無視して2次元平面であるように扱った面を、請求項14に記載の短軸横断断面像として扱うことと;
    を含む、請求項19または20に記載の方法。
  22. コンピュータ装置のプロセッサで実行されることにより、前記コンピュータ装置に、請求項1から21のいずれかに記載の方法を遂行させるプログラムコードを備える、コンピュータプログラム。
  23. プロセッサ及び記憶装置を備えるコンピュータ装置であって、前記記憶装置は、前記プロセッサで実行されることにより、前記コンピュータ装置に、請求項1から21のいずれかに記載の方法を遂行させるプログラムコードを備えるコンピュータプログラムを格納する、コンピュータ装置。
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