JP5714357B2 - 光酸発生剤が連結したフラーレン誘導体を含有するレジスト組成物並びにこれを用いたレジストパターン形成方法 - Google Patents

光酸発生剤が連結したフラーレン誘導体を含有するレジスト組成物並びにこれを用いたレジストパターン形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、レジスト組成物及びレジストパターン形成方法に関するものである。詳しくは光酸発生剤(以下、PAG(Photo Acid Generator)とも言う)が連結した特定の構造を有するフラーレン誘導体を含有するレジスト組成物と、それを用いたパターン形成方法に関するものである。
近年、LSI(大規模集積回路)の高集積化と高速度化に伴い、急速にパターンの微細化が進んでいる。パターン微細化の手法としては、一般的に露光源の短波長化が用いられる。具体的には、g線、i線のような紫外線から、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)を露光源とするリソグラフィー技術に移行しており、最近では更なる微細化のために水の屈折率を利用した液浸ArFリソグラフィーや露光を2回行うダブルパターニング技術についても量産化検討が行われている。また、より短波長の高エネルギー線を用いる技術として、EB(電子線)や、EUV(極紫外線:13.5nm)光を露光源として用いるリソグラフィー技術が研究されている。EB露光ではスループットの低さが影響を生じさせる可能性があるのに対して、EUV光を用いた場合の波長は、ArFの波長と比較して1/10以下となり、極微細パターン形成方法の技術として注目を浴びている。
レジスト材料には、これらの様々な波長を有する露光源に対する感度、微細パターンを形成できる解像性等のリソグラフィー特性が必要とされる。これらの要求を満たすレジスト組成物として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等の極性有機溶媒に高溶解性を有するとともに、均一な膜形成が可能で、紫外線、X線、電子ビーム等の種々の露光によって形成されるエネルギー分布に従って光化学反応が生じ、現像液に対する溶解性が変化する基盤成分が用いられる。これら光化学反応の中でも、特に酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基盤成分と、露光により酸を発生する酸発生剤と、線幅やレジストパターンの側面のラフネス(粗度)であるラインエッジラフネス(以下、LERと略記する)及びライン左右のエッジのLERにより生じるライン幅のラフネス(粗度)であるラインウイズラフネス(以下、LWRと略記する)を制御するための含窒素有機化合物とを含有する化学増幅型レジスト組成物が微細パターン形成のために用いられる。これらのうち、露光した箇所がアルカリ現像液に溶解するレジストに用いられるレジスト組成物をポジ型レジスト組成物、露光した箇所がアルカリ現像液に溶解しなくなるレジストに用いられるレジスト組成物をネガ型レジスト組成物という。
LERは、フォトレジストパターン壁面にできる凹凸のことを指す。この凹凸の大きさは、配線の断線、ショート等を引き起こすため、極微細パターンを形成するフォトレジストにおいては、LERの低減化が強く求められている。
また、LWRは、ライン左右のエッジ側面のLERにより生じるライン幅のゆらぎの事を指し、LERとLWRは統計的に強い相関関係があるといわれており、LER同様にLWRの低減化が強く求められている。
例えば、LERは、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅のばらつき等の原因となるため、微細なパターン形成時にはLERの低減化が課題となる。特に線幅32nm以下の微細パターンを形成可能なEUVリソグラフィーにおいては、3nm以下のLERが求められ、LWRも同様に3nm以下の数値が求められている。
従来、このような化学増幅型レジスト組成物の基盤成分としては、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、メタクリル樹脂などのポリマーが用いられている。また、これらポリマーの水酸基の一部を酸解離性基に置換することによって、ポジ型レジスト組成物へ適用している。
しかしながら、このようなレジスト組成物を用いてパターンを形成した場合、パターンの上面や側面にラフネスが生じる可能性がある。
従来用いられている基盤成分となるポリマーは、分子サイズが一般的に3nm以上のことが多い。また、パターン形成時の現像工程においては、現像液に対して通常1分子単位で溶解するため、レジスト組成物の基盤成分としてポリマーを用いた場合、目標とするLERやLWRを達成するのは極めて困難である。したがってこのような問題に対して、分子サイズがポリマーサイズより小さい基盤成分として、低分子性材料を用いるレジスト組成物が提案されている(非特許文献1〜3)。
ところで、1990年にC60フラーレンの大量合成方法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が精力的に行われている。フラーレン及びフラーレン誘導体は分子量が小さく、また製造手法によっては単一化合物での製造も可能であるため、微細パターン形成に有利である。また、一般的にレジスト膜の炭素濃度とドライエッチング耐性については相関があるといわれており、炭素濃度が非常に高いフラーレンやフラーレン誘導体はエッチング耐性に優れるといった特徴を有している。
これらフラーレン誘導体をレジスト用途に用いられる溶媒への溶解性を付与したフラーレン誘導体が開発され(特許文献1)、実際にKrF露光やEB露光が行われ、それらの有用性が確認されている(特許文献2)。また、特定のフラーレン誘導体に関しては、EUV露光が行われ線幅32nm以下の微細パターニングの形成と高いエッチング耐性が報告されている(非特許文献4)。
特開2006−56878号公報 特開2008−33102号公報
J. Photopolym. Sci. and Tech. 2004, Vol. 17, No.3, p435 J. Photopolym. Sci. and Tech. 2008, Vol. 21, No.3, p443 J. Vac. Sci. Technol. Vol.27, 2009, No.5, p2138 J. Journal of Applied Physics. 2010, 49, 06GF04
しかしながら、上記のフラーレン誘導体をレジスト組成物として使用するにあたり、高解像度及び高感度を達成するとともに、LWRを向上させることが課題とされていた。また、極微細パターンを形成可能なEUVリソグラフィーを行うにあたっては、従来の化学増幅型レジスト組成物を上回る性能、特に、解像度、感度、LWRがより良好であることが要求されており、特に近年、パターンが微細化されるにつれて、LWRの低減に対する要求が高くなっている。一般に、解像度、感度、LWRはトレードオフの関係にあり、解像度、感度を悪化させることなくLWRの低減、すなわち、3つの性能をバランスよく向上させることが強く求められている。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、極微細パターンを形成可能な、例えばEUV光ならびに電子線を用いたリソグラフィーにおいて、解像度、感度、LWRの3つの性能をバランスよく向上させることが可能な分子性材料を基盤成分として含有するレジスト組成物、及びこれを用いたレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、PAG(光酸発生剤)を均一に分散させる目的で、PAG(光酸発生剤)が連結した特定の置換基を有するフラーレン誘導体をポジ型及びネガ型レジスト組成物、特に化学増幅型レジスト組成物の基盤成分として用いると、例えばEUV光ならびに電子線を用いたリソグラフィーにおいて、解像度、感度を悪化させることなくLWRの低減、すなわち、3つの性能をバランスよく向上させることが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、下記(1)〜(10)に存する。
(1)下記一般式(1)で表される光酸発生剤が連結したフラーレン誘導体(A)、含窒素有機化合物(B)、及び有機溶媒(C)を含有することを特徴とするレジスト組成物。
Figure 0005714357
(式(1)において、
Ar、Arは、それぞれ独立に炭素数6〜18の芳香族性を有する炭化水素基を表し、
Xは光酸発生剤を有する有機基を表わし、aは1〜3の整数を表し、
Rは水素原子又は酸不安定基を表わし、bは1〜3の整数を表し、ここでRのうち少なくとも1つは酸不安定基であり、
mは1以上10以下の整数を表わし、
nは1以上20以下の整数を表わし、
m+nは2以上20以下の整数を表わし、
丸で示される構造はフラーレン骨格を表わす。)
(2)前記一般式(1)で表される光酸発生剤が連結したフラーレン誘導体(A)が、下記一般式(2)で表わされる部分構造を1箇所又は2箇所有する
ことを特徴とする請求項1に記載のレジスト組成物。
Figure 0005714357
(フラーレン骨格が有する式(2)で表わされる部分構造において、C1が水素原子又は任意の基と結合しており、C6〜C10が各々独立に、少なくとも1箇所以上の−Ar−(OX)または−Ar−(OR)で表わされる基と結合している。また、上記一般式(2)中、C1〜C10は、フラーレン骨格を構成する炭素原子を表わす。)
(3)前記一般式(1)中のXで表わされる光酸発生剤を有する有機基において、光酸発生剤がカチオン部位で結合していることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載のレジスト組成物。
(4)前記一般式(1)中のXで表わされる光酸発生剤を有する有機基において、光酸発生剤がアニオン部位で結合していることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載のレジスト組成物。
(5)前記一般式(1)のRのうち少なくとも1つに酸不安定基を含むフラーレン誘導体(A)を含有する、ポジ型レジスト組成物であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
(6)フラーレン誘導体(A)、含窒素有機化合物(B)、及び、有機溶媒(C)に加えて、更に、架橋剤成分(D)を含む、ネガ型レジスト組成物であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
(7)前記一般式(1)中のXで表わされる光酸発生剤を有する有機基のうち、光酸発生剤がオニウム塩系酸発生剤であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
(8)含窒素有機化合物(B)が第3級脂肪族アミンであることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
(9)前記一般式(1)中の酸不安定基が、第3級アルキルオキシカルボニル基であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
(10)上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のレジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を加熱処理する工程、選択的に露光する工程、必要に応じて加熱する工程、及び前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むことを特徴とするレジストパターン形成方法。
本発明によれば、例えばEUV光ならびに電子線を用いたリソグラフィーにおいて、解像度、LWRを悪化させることなく感度を向上させること、すなわち、3つの性能をバランスよく向上させることが可能なフラーレン誘導体を含むレジスト組成物、並びに本発明のレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。
[1.レジスト組成物]
本発明のレジスト組成物は、一般式(1)で表される光酸発生剤が連結したフラーレン誘導体(A)、含窒素有機化合物(B)、及び有機溶媒(C)を含有する。
フラーレン誘導体(A)は、例えばEUVや電子線による露光により発生する酸の供給源であり、かつ、アルカリ現像液溶解性が変化するものである。フラーレン誘導体(A)は、露光時に発生した酸の作用によりアルカリ現像液溶解性が増大するものであってもよく、また低減するものであってもよい。本発明のレジスト組成物は、フラーレン誘導体(A)が前者の場合はポジ型レジスト組成物となり、後者の場合はネガ型レジスト組成物となる。本発明のレジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であってもよく、ネガ型レジスト組成物であってもよい。
本発明のレジスト組成物は、ネガ型レジスト組成物である場合、通常PAG(光酸発生剤)が連結したフラーレン誘導体(A)、含窒素有機化合物(B)、及び有機溶媒(C)に加えて、必要に応じて更に架橋剤成分(D)を含有している。
ネガ型レジスト組成物は、レジストパターン形成時にEUVや電子線露光により酸が発生すると、当該酸が作用してフラーレン誘導体(A)と架橋剤成分(D)との間で架橋が起こり、レジスト組成物がEUVや電子線露光部においてアルカリ現像液可溶性から不溶性へと変化し、アルカリ現像が可能となる。
本発明のレジスト組成物が、ポジ型レジスト組成物である場合は、通常フラーレン誘導体(A)として酸不安定基を有するものが用いられる。ポジ型レジスト組成物は、レジストパターン形成時にEUVや電子線露光により酸が発生すると、当該酸が作用して酸不安定基が反応し、解離することによって、レジスト組成物がEUVや電子線露光部においてアルカリ現像液不溶性から可溶性へと変化し、アルカリ現像が可能となる。
[2−1.フラーレン誘導体(A)]
本発明で用いられるフラーレン誘導体(A)は、PAG(光酸発生剤)が連結した特定の部分構造を有するフラーレン誘導体である。ここで、「フラーレン」とは、閉殻構造を有する炭素クラスターであり、フラーレンの炭素数は、通常60〜130の偶数である。
フラーレンの具体例としては、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びこれらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスター等が挙げられる。なお、本明細書では、炭素数i(ここでiは任意の自然数を表す。)のフラーレン骨格を適宜、一般式「Ci」で表す。
また、「フラーレン誘導体」とは、フラーレン骨格を有する化合物類の総称である。即ち、フラーレン誘導体には、フラーレン骨格上に置換基を有したものの他、フラーレン骨格の内部に金属や化合物等を内包するもの及び他の金属原子や化合物と錯体を形成したもの等も含まれる。
本発明のレジスト組成物に含有されるフラーレン誘導体(A)が有するフラーレン骨格は制限されないが、中でもC60又はC70が好ましく、C60がより好ましい。C60及びC70はフラーレンの製造時に主生成物として得られるので、入手が容易であるという利点がある。即ち、本発明のフラーレン誘導体は、C60又はC70の誘導体であることが好ましく、C60の誘導体であることがより好ましい。また、コストの観点ではC60の誘導体とC70の誘導体の混合物であることが好ましい。この場合、C60の誘導体とC70の誘導体の混合比は任意であり、レジスト組成物の特徴によって好ましい範囲を決定すればよい。
本発明におけるフラーレン誘導体(A)は下記一般式(1)で表わされる。
Figure 0005714357
式(1)において、Ar、Arは、それぞれ独立に炭素数6〜18の芳香族性を有する炭化水素基を表し、Xは光酸発生剤を有する有機基を表わし、aは1〜3の整数を表し、Rは水素原子又は酸不安定基を表わし、bは1〜3の整数を表し、mは1以上10以下の整数を表わし、nは0以上20以下の整数を表わし、m+nは2以上20以下の整数を表わし、丸で示される構造はフラーレン骨格を表わす。
フラーレン骨格を構成する炭素原子に結合する、下記一般式(3)又は(4)で表される基について説明する。一般式(3)又は(4)で表される基は、炭素数6〜18の芳香族性を有する炭化水素基(ArまたはAr)に1〜3個のOX基(XはPAG(光酸発生剤)を有する有機基)が結合した基、又は1〜3個のOR基(Rは水素原子又は酸不安定基)が結合した基である。ここで、光酸発生剤を有する有機基Xを、酸発生基と呼ぶ。
Figure 0005714357
Figure 0005714357
上記、炭素数6〜18の芳香族性を有する炭化水素基(ArまたはAr)の具体的な例としては、フェニル基、ビニルフェニル基、ジビニルフェニル基、トリビニルフェニル基等のビニルフェニル基;ビフェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、アセナフチレニル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、フルオラセニル基、アセフェナンチレニル基、アセアンチレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、テトラセニル基等の環状炭化水素基が挙げられる。
これらの中で、原料調達の観点からフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナレニル基、ピレニル基が好ましく、合成の容易さからフェニル基、ナフチル基が特に好ましい。
なお、ArとArは同一であってもよく、互いに異なってもよい。
上記、炭素数6〜18の芳香族性を有する炭化水素基(ArまたはAr)がフラーレンと結合する位置は限定されず任意であるが、例えばナフタレン骨格の場合、原料調達の観点や合成の容易さからβ−位で結合していることが好ましい。他の骨格に関しては、上記観点で好ましい結合位置を各々決めることができる。
一般式(1)において、炭素数6〜18の芳香族性を有する炭化水素基(ArまたはAr)と結合しているOX基(XはPAG(光酸発生剤)を有する有機基)又はOR基(Rは水素原子又は酸不安定基)の数、すなわち式(1)におけるa、bはそれぞれ1〜3である。通常、合成が容易である観点からはOX基(XはPAG(光酸発生剤)を有する有機基)又はOR基(Rは水素原子又は酸不安定基)の数は1個であることが好ましく、また現像液溶解性やEUV光が照射された際のプロトン源の増大という観点では、OX基(XはPAG(光酸発生剤)を有する有機基)又はOR基(Rは水素原子又は酸不安定基)の数は2個もしくは3個が好ましい。
また、EUVネガ型レジスト組成物として用いる場合は、フラーレン誘導体(A)のOR基のRが水素原子であることが好ましく、EUVポジ型レジスト組成物として用いる場合は、アルカリ現像液に溶解しない程度に酸不安定基を有することが好ましい。水素原子と酸不安定基の比は本発明のレジスト組成物が機能すれば任意である。
なお、OX基(XはPAG(光酸発生剤)を有する有機基)又はOR基(Rは水素原子又は酸不安定基)が芳香族性を有する炭化水素基(ArまたはAr)に結合する位置は限定されず任意であり、複数のOX基(XはPAG(光酸発生剤)を有する有機基)又はOR基がある場合はその相対的な位置関係も、制限されず任意であるが、例えばナフトール基の場合、原料調達の観点からamphi(アンフィ)の位置、即ちβ位(2位)でフラーレンと結合し、6位の位置に水酸基が結合していることが好ましい。
本発明に用いられるフラーレン誘導体(A)において、一般式(3)又は(4)で表される構造の基は、合成上の観点から「4−OR−C64−」、「3−OR−C64−」、「3,4−(OR)2−C63−」、「3,5−(OR)2−C63−」、「3,4,5−(OR)−C6−」、「β−(6−OR−C1 06)−」、又は「4−OX−C64−」、「3−OX−C64−」、「3,4−(OX)2−C63−」、「3,5−(OX)2−C63−」、「3,4,5−(OX)−C6−」、「β−(6−OX−C1 06)−」等のフェノール類、カテコール類、ピロガロール類、ナフトール類が特に好ましい。
一般式(1)において、mは一般式(3)で表される置換基の付加数を表す。露光工程におけるH発生の観点から、mは通常1以上であり、有機溶媒(C)への溶解性や塗布性の観点から通常10以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下である。
また、一般式(1)において、nは一般式(4)で表される置換基の付加数を表す。有機溶媒(C)や現像処理工程におけるアルカリ現像液への溶解性の観点から、nは通常1以上、好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上であり、製造コストや合成が容易である観点から通常20以下、好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。
mとnは、フラーレンとの反応性、有機溶媒(C)への溶解性、露光工程における反応性、及び現像処理工程におけるアルカリ現像液への溶解性の観点から、m+nは通常2以上、好ましくは5以上であり、さらに好ましくは6以上であり、製造コストや合成が容易である観点から通常20以下、好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下の数を表す。
[2−2.酸発生基]
次に、一般式(3)中のArに結合しているOX基のうち、Xで表される酸発生基について詳細に説明する。
本発明の酸発生基Xは、酸発生剤が炭素数6〜18の芳香族性を有する炭化水素基(Ar)のフェノール性水酸基と結合するものである。なお、酸発生剤は直接炭化水素基(Ar)のフェノール性水酸基と結合してもよく、連結基を介して炭化水素基(Ar)のフェノール性水酸基と結合してもよい。
光酸発生剤としては特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト組成物用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、グリオキシム系酸発生剤、ジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤、スルホン酸エステル誘導体等が挙げられる。これらの中でも、オニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤が好ましく、またオニウム塩系酸発生剤がより好ましく、スルホニウム塩系及びヨードニウム塩系の酸発生剤がさらに好ましい。
酸発生剤としては、上述の酸発生剤の1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上組み合わせる場合は、その種類と比率は任意である。
本発明においては、酸発生剤として、フッ素化アルキルスルホン酸イオンを有するオニウム塩系酸発生剤を用いることが特に好ましい。
オニウム塩系酸発生剤のうち、スルホニウム塩系の具体例としては、下記一般式(5)の構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 0005714357
(式中R2〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜20の有機基を表し、R5は直鎖、分岐または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表す)
一般式(5)中のR2〜R4は、炭素数1〜20の有機基を表わし、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基や、アリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示している。これらの水素原子の一部または全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、R2とR3とは環を形成していてもよく、環を形成する場合は炭素数1〜10のアルキレン基を示す。また、R2からR4は互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(5)中のR2〜R4の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n―ブチル基、sec―ブチル基、tert―ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基;2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソプロピル
基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等のオキソアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基;p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert―ブトキシフェニル基、m−tert―ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert―ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基;メチルナフチル基、エチルナフチル基、ジメチルナフル基、ジエチルナフチル基等のアルキルナフチル基;メトキシナフチル基、エトキシナフチル、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等のアラルキル基、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソアルキル基等が挙げられる。
これらの中でも、アリール基が好ましく、特にフェニル基やナフチル基が好ましい。
一般式(5)中のR5は直鎖、分岐または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。直鎖又は分岐状のアルキル基としては、通常炭素数1以上であり、通常炭素数12以下、好ましくは炭素数8以下、より好ましくは炭素数4以下である。環状のアルキル基としては、通常炭素数4以上、好ましくは炭素数5以上、より好ましくは炭素数6以上であり、通常炭素数12以下、好ましくは炭素数10以下、より好ましくは炭素数8以下である。
これら直鎖、分岐または環状のアルキル基の水素原子の少なくとも一部はフッ素原子に置換されていることが好ましい。フッ素原子への置換率は、通常10%以上、好ましくは50%以上であり、通常100%以下である。特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したフッ化アルキル基が、酸の強度が高くなるので好ましい。
オニウム塩系酸発生剤のうち、ヨードニウム塩系酸発生剤の具体例としては、下記一般式(6)の構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 0005714357
(式中R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の有機基を表し、Rは直鎖、分岐または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表す)
一般式(6)中のR6、R7は、前述の一般式(5)中のR2〜R4と同様の有機基を用いることが出来る。すなわち、一般式(6)中のR6、R7は、炭素数1〜20の有機基を表わし、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基や、アリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示している。これらの水素原子の一部または全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、R6とR7とは環を形成していてもよく、環を形成する場合は炭素数1〜10のアルキレン基を示す。また、R6とR7は互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(6)のR6、R7としては、アリール基が好ましく、特にフェニル基やナフチル基が好ましい。
一般式(6)中のR8は、一般式(5)中のR5と同様に、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を用いることが出来る。また、上記直鎖、分岐または環状のアルキル基の水素原子の少なくとも一部がフッ素原子により置換されていることが好ましいことも、一般式(5)中のR5と同様である。
本発明で用いられる酸発生剤は、直接または連結基を介して一般式(3)における炭素数6〜18の芳香族性を有する炭化水素基(Ar)上のフェノール性水酸基と結合することで、酸発生基Xを形成する。
酸発生剤が直接結合している場合は、例えば、スルホニウム塩系またはヨードニウム塩系の酸発生剤において、式(5)または式(6)のR〜Rに結合している水素原子もしくはフッ素原子が1個抜けて、式(5)または式(6)のR〜Rの炭素と、炭化水素基(Ar)との間に、エーテル結合を介して結合している。
酸発生剤が連結基を介して結合している場合は、連結基は、2価の基であれば、本発明の効果が著しく損なわれない限り任意であるが、中でも炭素数が、1以上の有機基が好ましく、より好ましくは2以上、さらに好ましくは4以上であり、また20以下の有機基が好ましく、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下の範囲である。連結基が有する炭素数が多すぎる場合、フラーレン誘導体(A)のサイズが大きくなり、LERやLWRに影響を与える可能性がある。
連結基の例としては、脂肪族炭化水素を有する基、芳香環を有する基、ヘテロ原子を有する基(例えば、―O−、−S−、−NH−、C=O)等が挙げられる。
連結基が脂肪族炭化水素を有する基である場合、脂肪族炭化水素としては、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、また、環状であってもよい。さらに、飽和結合のみを有していてもよいし、不飽和結合を有していてもよく、環状の場合は複素環であってもよい。
連結基が芳香環を有する基である場合、芳香環としては、複素環であってもよいし、縮合多環であってもよい。
連結基は、置換基を有していてもよい。この置換基は、1種が単独又は複数で置換していてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
連結基は、上記例示した基の1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
また、連結基は、合成の観点から、酸発生剤と炭化水素基(Ar)に結合するフェノール性水酸基とアセタール、エーテル、エステル、カーボネートを形成していることが好ましい。
一般式(3)中のXで表わされる光酸発生剤を有する有機基において、酸発生剤がカチオン部位で結合してもよく、一般式(3)中のXで表わされる光酸発生剤を有する有機基において、酸発生剤がアニオン部位で結合していてもよい。
すなわち、酸発生剤は、酸発生剤のカチオン部位で連結基に結合していてもよく、また、酸発生剤のアニオン部位で連結基に結合していてもよい。
酸発生剤がカチオン部位で結合する場合には、例えば、スルホニウム塩系またはヨードニウム塩系の酸発生剤において、式(5)または式(6)のカチオン部位に存在するR、R、R、R又はRに水酸基を導入し、この水酸基のビニルエーテル化を行い、末端に生じたビニル基と炭化水素基(Ar)のフェノール性水酸基とを反応させることでアセタールを有する連結基を形成することにより、酸発生剤のカチオン部位と炭化水素基(Ar)のフェノール性水酸基とを結合する。
酸発生剤がアニオン部位で結合する場合には、例えば、スルホニウム塩系またはヨードニウム塩系の酸発生剤において、式(5)または式(6)のアニオン部位に存在するR又はRの末端部位を−CHBrや−CHOHに置換し、臭素原子や水酸基と連結基とを反応させて炭化水素基(Ar)のフェノール性水酸基と結合しても良いし、連結基を介さず直接炭化水素基(Ar)のフェノール性水酸基と結合させても良い。
上記のように、本発明のレジスト組成物に含まれるフラーレン誘導体(A)は、フラーレン骨格上の炭素に結合する炭化水素基に酸発生剤が連結されていることにより、酸発生剤をレジスト膜に均一に分散することが可能なうえ、フラーレン誘導体(A)に連結された酸発生基から水素イオン(H)の発生を行うことができる。これにより、フラーレン誘導体(A)の近傍で水素イオン(H)の発生することが可能となり、レジスト膜の感度を向上させるという効果を奏する。
[2−3.酸不安定基]
次に、一般式(4)中のArに結合しているOR基のうち、Rが酸不安定基である場合について詳細に説明する。フラーレン誘導体(A)が、ポジ型レジスト組成物に用いられる場合、一般式(4)中のRのうち少なくとも1つは酸不安定基であることが好ましい。
酸不安定基の具体例としては、第3級(tert−)アルキル基、第3級アルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アルコキシアルキル基、環状エーテル基等があげられる。
酸不安定基が第3級アルキル基である場合の具体例としては、tert−ブチル基、tert−アミル基等の鎖状の第3級アルキル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等の、脂肪族環式基を含む第3級アルキル基等があげられる。また、脂肪族環式基は多環式基、単環式基のいずれでもよい。脂肪族環式基の具体的な例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロデカン、アダマンタン等のポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などがあげられる。これら、脂肪族環式基はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、フッ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
酸不安定基が第3級アルキルオキシカルボニル基である場合、第3級アルキル基部位は、上記酸不安定基が第3級アルキル基である場合と同様のものを挙げることができる。第3級アルキルオキシカルボニル基の具体例としては、tert−ブチルオキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
酸不安定基がアルコキシカルボニルアルキル基の場合、下記一般式(7)で表わされる基が好ましい。
Figure 0005714357
(一般式(7)中、Yは直鎖状、分岐状又は環状アルキル基であって、その構造中にヘテロ原子を含んでいてもよく、pは1〜3の整数である)
は、その構造中にヘテロ原子を含んでいてもよい。すなわち、Yは、水素原子の一部又は全部がヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、またYの炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよい。ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む基としては、ヘテロ原子自体であってもよく、またヘテロ原子と炭素原子及び/又は水素原子とからなる基であってもよい。
が直鎖状アルキル基の場合、炭素数1〜5であることが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基等が挙げられ、原料調達の観点からメチル基、エチル基が好ましい。
また、Yが分岐状アルキル基の場合、炭素数4〜10であることが好ましく、具体的にはイソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられ、この中でも特にtert−ブチル基が好ましい。
が環状アルキル基の場合、炭素数3〜20であることが好ましく、具体的にはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、アダマンチル基等があげられ、この中でも特にアダマチル基が好ましい。
また、環状アルキル基の場合、酸素原子と結合している該環状アルキル基の炭素原子が、酸素原子以外に低級アルキル基と結合していることが好ましい。ここの低級アルキル基は炭素数1〜5の直鎖状、分岐状のアルキル基であることが好ましく、特に原料調達の観点からメチル基、エチル基であることが特に好ましい。すなわち、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基が特に好ましい。
なお、一般式(7)中におけるpは1〜3の整数であり、原料調達の観点からpは1であることが好ましい。
酸不安定基がアルコキシアルキル基の場合、下記一般式(8)で表わされる基が好ましい。
Figure 0005714357
(一般式(8)中、Yは直鎖状、分岐状又は環状アルキル基であって、その構造中にヘテロ原子を含んでいてもよく、Yは水素原子または低級アルキル基である)
一般式(8)中のYとしては、一般式(7)中のYと同様のものが挙げられる。中でも、分岐状アルキル基、環状アルキル基が好ましい。
一般式(8)中のYは、水素原子または低級アルキル基である。Yの低級アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基であって、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、原料調達の観点から、水素原子、またはメチル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。
酸不安定基が環状エーテル基の場合、具体的にテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等があげられる。
これら、酸不安定基のうち、第3級アルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルキル基が好ましく、特に第3級アルキルオキシカルボニル基が好ましい。また、これら酸不安定基は、一種類を用いてもよく、また複数の種類を用いてもよい。複数の種類を用いる場合は、その種類と数、それぞれの酸不安定基の比率等は任意である。
[2−4.フラーレン誘導体(A)の部分構造]
本発明におけるフラーレン誘導体(A)は、下記一般式(2)で表される部分構造を1箇所又は2箇所含有することが好ましい。ここで、C1は水素原子又は任意の置換基と結合しており、C6〜C10は各々独立に、一般式(3)又は(4)で表わされる基と結合している。なお、以下の説明において、C1に結合する水素原子及び置換基を総称して、適宜「R10」という。
また、一般式(3)又は(4)で表される基を、適宜「R20」という。
Figure 0005714357
式(2)において、C1〜C10は、フラーレン骨格を構成する炭素原子を表わす。
以下、まずC1と結合している基(即ち、R10)について、詳細に説明する。
一般式(2)中、C1は水素原子又は任意の置換基(即ち、R10)と結合している。前記の置換基は、本発明のフラーレン誘導体成分として優れた物性を大幅に損ねるものでなければ、その種類に制限は無い。
10の例としては、ハロゲン原子、有機基、その他の置換基などが挙げられる。
10がハロゲン原子である場合、その具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。なかでも、製造の容易さから塩素原子及び臭素原子が好ましい。
10が有機基である場合、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基等の直鎖又は分岐状の鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基;アリル基、クロチル基、シンナミル基等のアルケニル基;ベンジル基、p−メトキシベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;フェニル基、ビフェニル基、ナ
フチル基、アントラセニル基、トルイル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリーロキシ基;モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノジエチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アリーロキシカルボニル基;チエニル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、フリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基等の5員複素環基;ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピペリジル基、ピペラジル基、モルホリル基等の6員複素環基;チオホルミル基、チオアセチル基、チオベンゾイル基等のチオカルボニル基;トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、モノメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジエチルシリル基、モノエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジイソプロピルシリル基、モノイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、モノフェニルシリル基等の置換シリル基等が挙げられる。
また、R10が有機基である場合には、本発明のフラーレン誘導体成分として優れた物性を大幅に損なわない限り、前記有機基は更に別の置換基を有していてもよい。R10の有機基が有していてもよい置換基の例としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基(ヒドロキシル基)、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等が挙げられる。また、これらの置換基が更に一以上の置換基によって多重に置換されていてもよい。
さらに、R10が有機基である場合、炭素数は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1以上、また、通常30以下である。R10が置換基を有する場合には、置換基を含めた炭素数が、上記規定の範囲を満たすことが好ましい。
また、R10が上記のハロゲン原子、有機基以外の置換基である場合、その具体例としては、水酸基(ヒドロキシ基)、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、シアノ基、シリル基、ニトロ基等が挙げられる。
上記のうち、R10として好ましい基としては、水素原子;ハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;アリル基、クロチル基、シンナミル基等のアルケニル基等が挙げられる。
中でも、R10としては、合成の容易さ及び耐酸化性の観点からアルキル基がより好ましく、EUVアウトガス低減の観点から安定性の高いメチル基が特に好ましい。
本発明に用いられるフラーレン誘導体(A)では、式(2)のC6〜C10が、各々独立に、一般式(3)又は(4)で表される基(即ち、R20)と結合している。なお、式(2)のC6〜C10に結合する一般式(3)又は(4)で表される基は互いに同じ構造の基であってもよく、異なる構造の基であってもよいが、合成が容易である点から、一般式(3)で表される基は全て同じ構造の基であることが好ましく、また、一般式(4)で表される基は全て同じ構造の基であることが好ましい。
また、本発明に用いられるフラーレン誘導体(A)において、式(2)のC6〜C10に結合するR20は、酸発生基からのH発生の観点から、少なくとも一つは一般式(3)で表される基と結合していることが好ましい。
本明細書では、一般式(2)のC1が水素原子又は任意の置換基(即ち、R10)と結合し、C6〜C8が各々独立に一般式(3)又は(4)で表される基(即ち、R20)と結合した部分構造を、「3重付加部分構造」という場合がある。また、一般式(2)のC1が水素原子又は任意の置換基(即ち、R10)と結合し、C6〜C10が各々独立に一般式(3)又は(4)で表される基(即ち、R20)と結合した部分構造を、「5重付加部分構造」という場合がある。
本発明に用いられるフラーレン誘導体(A)の例を以下に挙げる。ただし、本発明のフラーレン誘導体(A)は、以下に挙げる例に限定されるものではない。
・フラーレン骨格上に本発明の5重付加部分構造を1つ有する、一般式Ci(R205(R10)で表される5重付加フラーレン誘導体。
・フラーレン骨格上に本発明の3重付加部分構造を1つ、本発明の5重付加部分構造を1つ有する、一般式Ci(R208(R102で表される8重付加フラーレン誘導体。
・フラーレン骨格上に本発明の5重付加部分構造を2つ有する、一般式Ci(R2010(R102で表される10重付加フラーレン誘導体。
これらの中でも、本発明のフラーレン誘導体(A)としては、製造が容易であり、単一化合物が製造できるため、分布の幅を狭められる観点からはフラーレン骨格上に本発明の5重付加部分構造を1つ有する、一般式Ci(R205(R10)で表される5重付加フラーレン誘導体が好ましく、また、 シリコン基板との密着性やEUV露光時のプロトン源増大、アルカリ現像液への溶解性の観点からはCi(R2010(R102で表される10重付加フラーレン誘導体が好ましい。なお、酸発生剤が連結していない、上記5重付加体、8重付加体及び10重付加体の構造は中村らによって明らかにされている。
本発明のレジスト組成物中、フラーレン誘導体(A)の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
例えば、EUV光を用いる場合のレジスト膜厚は、通常10nm以上、200nm以下、好ましくは20nm以上、100nm以下、最も好ましくは30nm以上、80nm以下である。また同様に、所望のパターンの最小加工寸法に応じても調整可能である。
本発明のレジスト組成物に含まれるフラーレン誘導体は、全てが一般式(1)で示されるものでなくともよい。すなわち、レジスト組成物は、フラーレン骨格を構成する炭素原子に結合する一般式(3)又は(4)で表される基の付加数が異なるフラーレン誘導体(A)の混合物(以降、「平均組成物」ともいう)を含むものであってもよい。
なお、本発明のレジスト組成物は、通常、2つ以上のフラーレン誘導体を含む平均組成物として得られる。
この場合のレジスト組成物に含まれる平均組成物について、レジスト組成物中に含まれる、フラーレン誘導体(A)に結合する一般式(3)で表わされる置換基の平均付加数をMと、フラーレン誘導体(A)に結合する一般式(4)で表わされる置換基の平均付加数をNと表わすことができる。
ここで、平均付加数Mとは、ある系に存在するフラーレン誘導体が有するフラーレン骨格1つに対する一般式(3)で表される置換基の付加数の平均値のことを表す。本発明のフラーレン誘導体の平均付加数Mは、プロトンNMRの積分比等から算出することができる。また、LC−MSやMS等のデータからも導くことができる。
露光工程におけるH発生の観点から、Mは通常0.2以上、好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.6以上であり、有機溶媒(C)への溶解性や塗布性の観点から通常3.0以下、好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下の数を表す。
また、平均付加数Nとは、ある系に存在するフラーレン誘導体が有するフラーレン骨格1つに対する一般式(4)で表される置換基の付加数の平均値のことを表す。本発明のフラーレン誘導体の平均付加数Nは、プロトンNMRの積分比等から算出することができる。また、LC−MSやMS等のデータからも導くことができる。
有機溶媒(C)や現像処理工程におけるアルカリ現像液への溶解性の観点から、Nは通常2以上、好ましくは4以上、さらに好ましくは6以上であり、製造コストや合成が容易である観点の観点から通常20以下、好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下の数を表す。
[2−5.フラーレン誘導体(A)の製造方法]
フラーレン骨格に炭化水素基(ArまたはAr)を導入した化合物の製造方法は、特開2010−24221号公報や特開2010−59110号公報を参照することができる。また、酸不安定基の導入方法は、特開2006−56878号公報や、特開2010−24221号公報を参照することができる。
本発明のフラーレン誘導体(A)における酸発生基の導入方法も、酸不安定基の導入方法と同様な手法を用いることができる。すなわち、フラーレン誘導体中の炭化水素基(Ar)におけるフェノール性水酸基に特定の酸発生基を導入する工程を経て、本発明のフラーレン誘導体(A)を合成することができる。酸発生基の導入は、以下の(1)〜(4)の方法で、光酸発生剤、または炭化水素基(Ar)を有するフラーレン誘導体と、反応剤とを反応させることにより行うことができるが、酸発生基の導入方法は以下の例に限定されるものではない。
(1)エステル化剤と反応させて、エステル化する。
(2)カーボネート化剤と反応させて、カーボネート化する。
(3)エーテル化剤と反応させて、エーテル化する。
(4)アセタール化剤と反応させて、アセタール化する。
なお、酸発生基として光酸発生剤の一部がこれらエステル化剤、カーボネート化剤、エーテル化剤、アセタール化剤としての機能を有している場合は、フラーレン誘導体中の炭化水素基(Ar)におけるフェノール性水酸基と直接結合することが可能である。また、上記エステル化剤、カーボネート化剤、エーテル化剤、アセタール化剤が2官能性を有している場合は、連結基としてフラーレン誘導体中の炭化水素基(Ar)におけるフェノール性水酸基と光酸発生剤に導入した水酸基を結合し、本発明のフラーレン誘導体(A)を合成することができる。
[3.含窒素有機化合物(B)]
本発明のレジスト組成物は、ポジ型及びネガ型のいずれの場合においても、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等を向上させるために、含窒素有機化合物(B)を含有する。この含窒素有機化合物(B)はこれまでに報告されている任意のものを使用すればよいが、環状アミン、脂肪族アミンが好ましい。特に、第2級脂肪族アミン、第3級脂肪族アミンが好ましく、第3級脂肪族アミンが最も好ましい。ここで脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、炭素数は1〜15が好ましい。
含窒素有機化合物(B)の具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等の第1級脂肪族アルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n‐プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の第2級脂肪族アルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチ
ルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等の第3級脂肪族アルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。
また、他の具体例としては、ピペリジン、ピペラジン等の脂肪族単環式アミン;1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン等の脂肪族多環式アミンが挙げられる。
これらの中でも、炭素数5〜10の第3級脂肪族アミンが好ましく、特に炭素数8のトリ‐n‐オクチルアミン(以下、「TOA」と略記する)が好ましい。
含窒素有機化合物(B)としては、これらの含窒素有機化合物の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上組み合わせる場合は、その種類と比率は任意である。
本発明のレジスト組成物における含窒素有機化合物(B)の含有量は、フラーレン誘導体(A)を含む平均組成物100重量部に対して、LERやLWR低減の観点から、通常0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上であり、感度向上の観点から、通常20重量部以下、10重量部以下が更に好ましく、5重量部以下が最も好ましい。
含窒素有機化合物(B)の含有量が上記範囲の場合、露光時の解像度、感度を向上させて、LWRを低減することができる。一方、含窒素有機化合物(B)の含有量が多すぎる場合はレジスト組成物中の酸を過剰に捕捉し露光時の感度に影響が出る場合があり、少なすぎる場合はレジスト組成物中の酸を充分に捕捉できずLER並びにLWR、解像度に影響が出る場合がある。
[4.有機溶媒(C)]
本発明のレジスト組成物は、ポジ型及びネガ型のいずれの場合においても、有機溶媒(C)を含有する。この有機溶媒(C)は使用する各成分を溶解させ、均一な溶液になればよく、従来の化学増幅型レジスト組成物の有機溶媒としてこれまでに報告されている任意のものを使用することができる。
有機溶媒(C)の具体例としては、γ―ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル化合物;前記多価アルコール類又は前記エステル化合物のモノメチルエーテル体、モノエチルエーテル体、モノプロピルエーテル体、モノブチルエーテル体等のモノアルキルエーテル体が挙げられる。
また、ジオキサン等の環状エーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アミルベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等の芳香族系有機溶媒;N,N−ジメチル
アセトアミド等のアミン類などが挙げられる。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略記する)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMEと略記する)、乳酸エチル(以下、ELと略記する)、シクロヘキサノン(以下、CHNと略記する)が好ましく、例えば、EUV露光時のアウトガス低減の観点ではPGMEが最も好ましく、塗布性の観点ではPGMEA、EL、CHNが最も好ましい。
有機溶媒(C)としては、これらの有機溶媒の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上組み合わせる場合は、その種類と比率は任意である。
有機溶媒(C)の使用量は特に制限はないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定すればよい。本発明のレジスト組成物の固形分濃度としては通常0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲になるように用いられる。
[5.架橋剤成分(D)]
本発明のレジスト組成物は、ネガ型レジスト組成物として用いる場合には、架橋剤成分(D)を含有することが好ましい。この架橋剤成分(D)は特に限定されず、従来の化学増幅型ネガレジスト組成物に用いられている架橋剤の中から任意のものを使用することができる。
架橋剤成分(D)の具体例としては、2,3−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルノルボルナン、2−ヒドロキシ−5,6−ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、シクロヘキサンジメタノール、3,4,8−トリヒドロキシトリシクロデカン、3,4,9−トリヒドロキシトリシクロデカン、2−メチル−2−アダマンタノール、1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン等のヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環状炭化水素、又はその含酸素誘導体が挙げられる。
また、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、グリコールウリル等のアミノ基含有化合物にホルムアルデヒド、又はホルムアルデヒドと低級アルコールを反応させ、該アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基、又は低級アルコキシメチル基等で置換した化合物が挙げられる。
これらのうち、アミノ基含有化合物としてメラミンを用いたものをメラミン系架橋剤、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素等を用いたものを尿素系架橋剤、グリコールウリルを用いたものをグリコールウリル系架橋剤という。これらのうち、メラミン系架橋剤が特に好ましい。
メラミン系架橋剤としては、メラミンとホルムアルデヒドを反応させて、アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基で置換した化合物、メラミンとホルムアルデヒドと低級アルコールとを反応させて、アミノ基の水素原子を低級アルコキシメチル基で置換した化合物等が挙げられる。具体例としては、ヘキサメトキシメチルメラニン、ヘキサエトキシメチルメラニン、ヘキサプロポキシメチルメラニン、ヘキサブトキシメチルメラニン等が挙げられ、なかでもヘキサメトキシメチルメラニンが好ましい。
また、分子内にベンゼン環を1〜6有するフェノール誘導体であり、ヒドロキシアルキル基及び/又はアルコキシアルキル基を分子内全体で2以上有し、ヒドロキシアルキル基及び/又はアルコキシアルキル基のいずれかをベンゼン環に結合している化合物を挙げることができる。好ましくは分子量が1500以下、分子内にベンゼン環を1〜6有し、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基をあわせて2以上有するフェノール誘導体を挙げることができる。これらのフェノール誘導体の具体例としては、旭有機工業(株)製の商品名で、26DMPC、46DMOC、DM−BIPC−F、DM−BIOC−F、TM−BIP−Aが挙げられ、架橋度の観点から、テトラメチロールビスフェノールAのTM−BIP−Aが好ましい。
架橋剤成分(D)としては、これらの架橋剤成分の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上組み合わせる場合は、その種類と比率は任意である。
本発明のレジスト組成物における架橋剤成分(D)の含有量は、フラーレン誘導体(A)を含む平均組成物100重量部に対して、架橋反応の観点から、通常1重量部以上、好ましくは3重量部以上、さらに好ましくは5重量部以上であり、レジスト溶液への溶解性の観点から、通常50重量部以下、40重量部以下が更に好ましく、30重量部以下が最も好ましい。
上記範囲とすることで、フラーレン誘導体(A)との架橋反応が十分進行し、良好なレジストパターンが形成される上、レジスト組成物の保存安定性が良好であり、露光に対する感度の経時的劣化が抑制される。
本発明のレジスト組成物においては、その優れた特性を著しく損なわない限り、前述の必須成分に加えて、1種類又は2種類以上の界面活性剤等の第三成分を含有していてもよい。
[6.レジスト組成物の作製方法]
本発明のレジスト組成物の作製方法は特に制限はないが、通常フラーレン誘導体(A)を含有する平均組成物、含窒素有機化合物(B)、及び有機溶媒(C)を、またネガ型レジスト組成物の場合は更に架橋剤成分(D)を所定の装置で攪拌しながら混合・溶解させる方法、超音波を照射する方法等により調製することができる。
[7.レジストパターン形成方法]
本発明のレジストパターン形成方法は、上記本発明のレジスト組成物を用いて、基板上に塗布しレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を加熱処理する工程、選択的に露光する工程、必要に応じて加熱する工程、及び前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
[7−1.レジスト膜を形成する工程]
本発明のレジスト組成物を、基板上に、スプレー法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法などの任意の塗布方法を用いて塗布することによりレジスト膜を形成することができるが、均一な薄膜が形成できる観点でスピンコート法が好ましい。
なお、塗布対象となる基板に制限はなく、その寸法、形状は任意である。また、基板の材質にも制限はないが、例えば半導体集積回路の製造プロセスにおいては、基板として通常シリコン、さらにシリコンカーバイド(SiC)、窒化物半導体、ダイヤモンド等のワイドギャップ半導体、GaAsやAlGaAs等の化合物半導体基板が用いられる。また、レジスト膜が形成される基板で、ドライエッチングなどにより所望のパターンに加工される薄膜材料としては、ポリシリコン薄膜、またはポリシリコン薄膜と金属薄膜との積層膜、Al、W、Cu、Moなどの金属薄膜、Si酸化膜、Si窒化膜、Si酸窒化膜などの絶縁体薄膜などがあげられる。また上記所望のパターンに加工される薄膜材料上に有機膜を5nm以上、30nm以下、好ましくは10nm以上、25nm以下、最も好ましくは10nm以上、20nm以下に形成し、その上層に本発明のレジスト組成物のレジスト膜を形成することもある。
さらにいわゆる多層レジスト構造における上層レジストとして本発明のレジスト組成物のレジスト膜が表面に形成されることもある。典型的な多層レジスト構造は、表面から上層レジスト、中間層、下層構造となる。または、必要に応じてさらに層数が増えることもある。たとえば上記加工すべき薄膜上に、下層として塗布型カーボン膜、中間層として有機Si系膜、その上層に有機膜、最上層にレジスト膜といった順に形成される。下層としては塗布型カーボン膜、スパッタにより形成されたカーボン膜、スピンコートにより形成され、熱処理を施した有機膜などがある。また、中間層としてはSi酸化膜、Si窒化膜、Si酸窒化膜、スピンオングラス(SOG)膜、TiN膜、有機Si系膜などがある。
レジスト膜厚は、露光方法等に応じて適宜選択され、例えば、EUV光を用いる場合のレジスト膜厚は、10nm以上、200nm以下、好ましくは20nm以上、100nm以下、最も好ましくは30nm以上、80nm以下である。また、所望のパターンの最小加工寸法に応じても膜厚が決定される。
レジスト膜厚が、薄すぎるとレジストパターンの寸法が所望の寸法から大きく変動する傾向があり、厚すぎると解像度が不良となる傾向がある。
[7−2.レジスト膜を加熱する工程:プリベーク工程]
上記の本発明のレジスト組成物により形成したレジスト膜は、加熱することによりレジスト膜に残留している有機溶媒を除去する。加熱温度は、通常70℃以上、好ましくは90℃以上であり、通常250℃以下、好ましくは150℃以下の範囲で加熱する。加熱時間は、通常10秒以上、好ましくは30秒以上、さらに好ましくは60秒間以上であり、通常300秒以下、好ましくは150秒以下、さらに好ましくは100秒以下の間で加熱する。加熱温度及び加熱時間が上記範囲の場合、レジスト膜中に十分に熱が伝わり、レジスト膜に残留している有機溶媒を効果的に除去することができる。また、製造時の生産性を向上させることができる。
[7−3.選択的に露光する工程]
レジスト膜の露光は、露光源を用いて所望のマスクパターンを介して行われる。露光源としては、EUV、EB、KrF、ArF、g線、i線を用いることが出来る。
これらの中でも、解像度に優れた微細パターニングを可能とする観点から、EUVを用いることが好ましい。
例えば、露光に用いられるEUV露光源としては、LPPと呼ばれる、レーザー光をスズやその化合物、キセノンなどのターゲットに照射して発生したプラズマからEUV光を取り出すEUV露光源、DPPと呼ばれる、タングステンやシリコンカーバイドなどからなる電極の近傍に、スズやその化合物、キセノンを存在させて、高電圧放電により生したプラズマからEUV光を取り出すEUV露光源、レーザー光をターゲットに照射し、かつ放電させて生じたプラズマからEUV光を取り出すEUV露光源、または放射光光源からEUV光を取り出るEUV露光源などが用いられる。
これらのEUV光源からEUV光を取り出すには反射型または透過型のフィルターが使用される。
現像後に得られるレジストパターンの寸法は露光量により変動するので、露光量は所望の寸法となるように調整するのが好ましく、例えば、所望の寸法に対してプラスマイナス10%以内にする露光量が好ましく、プラスマイナス5%以内にする露光量が特に好ましい。
[7−4.加熱する工程:ポストエクスポージャーベーク]
選択的EUV露光後の膜に対して、露光により発生した酸をレジスト膜中に効果的に拡散させるために加熱する。加熱温度は、通常70℃以上、好ましくは80℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは150℃以下の範囲で加熱を行う。加熱時間は、通常10秒以上、好ましくは30秒以上、さらに好ましくは60秒以上であり、通常300秒以下、好ましくは150秒以下、さらに好ましくは100秒以下の間で加熱する。加熱温度及び加熱時間が上記範囲の場合、レジスト膜中に十分に熱が伝わり、露光により発生した酸を効果的に拡散することができる。また、製造時の生産性を向上させることができる。
[7−5.現像工程]
上記工程を施した膜に対して、アルカリ現像液を用いて現像処理することにより、レジストパターンを形成することができる。
アルカリ現像液としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の水溶液や、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)の水溶液が挙げられ、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは2重量%以上であり、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下の水溶液を用いる。また、通常10秒以上、好ましくは20秒間以上であり、通常180秒間以下、好ましくは120秒間以下の間、浸漬法、パドル法、スプレー法等の常法により現像する。
現像液中には、本発明のレジストパターン形成方法の優れた特性を著しく損なわない限り、界面活性剤などの任意の成分が含有されていてもかまわない。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
なお、本明細書の記載において、THFはテトラヒドロフランを表わし、DMSOはジメチルスルホキシドを表わす。さらに、Meはメチル基を表わし、Phはフェニル基を表わす。また、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル基(−CHCOOMeAdをMAdM基と表わし、4−フェニレンジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩をPAGaと表わす。
{フラーレン誘導体の合成例}
[合成例1:C60(4−OH−C4.9(4−O−MAdM−C5.1(−CHの製造]
特開2010−24221号公報、実施例1を参照して製造したフラーレン誘導体C60(4−OH−C10(−CH(14.40g、8.57mmol)のTHF溶液(432mL)に、炭酸カリウム(72g、0.52mol)、ブロモ酢酸−2−メチル−2−アダマンチル(Br−CH−COOMeAd)(11.27g、39.24mmol)を加え、65℃で9時間加熱攪拌した。次に、反応液をセライトろ過(展開液THF)し、溶媒を濃縮した。その後、酢酸エチル(600mL)で抽出したのち、1NのHCl(375mL)で分液したのち、イオン交換水(300mL)で5回有機層を洗浄した。溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を濃縮し、ヘキサン(800mL)で晶析した。50℃で真空乾燥を行なうことで、C60(4−OH−C4.9(4−O−MAdM−C5.1(−CHを黄色固体(20.95g;収率89.4%)の生成物として得た。
得られた生成物をH−NMR及びHPLCにて測定した。なお、H−NMRはDMSO−d6を溶媒とし、400MHzにて測定した。
また、H−NMRの測定結果は、以下の通りであった。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz)]
9.80〜9.00ppm(brs,OH,4.9H),8.00〜6.0ppm(m,Ph,40H),4.90〜4.40ppm(m,−CH−,10.2H),2.30〜1.20ppm(m,AdM&C60Me,92.7H)
また、HPLCは、0.5mg/mLのTHF溶液を調製し、以下の測定条件で測定した。
カラム種類:ODSカラム(Shiseido製 製品番号90806 MG)
カラムサイズ:75mm×4.6mmφ
溶離液:水/THF=30/70
検出器:UV290nm
HPLC測定の結果、リテンションタイム
0.90minに0.55(Area%)、
1.18minに4.48(Area%)、
1.54minに14.60(Area%)、
2.22minに24.89(Area%)、
2.97minに26.09(Area%)、
4.6〜5.0minに18.22(Area%)、
7.6〜9.0minに8.12(Area%)、
11.2〜15.0minに2.95(Area%)
で観測された。LC−MS(高速液体クロマトグラフ−質量分析)測定の結果、これらピークはリテンションタイムの順番で分子量が1680.4、1886.5、2092.6、2298.8、2504.9、2711.0、2817.2、3023.3であり、水酸基10個に対してそれぞれ、0〜7MAdM基が導入された化合物であることが確認された。
以上の結果から、得られた生成物が、原料の水酸基数10個のうち平均的に51%MAdM基が導入されたフラーレン誘導体の混合物である、表題化合物C60(4−OH−C4.9(4−O−MAdM−C5.1(−CHであることが確認された。
[合成例2:C60(4−OH−C5.7(4−O−MAdM−C4.3(−CHの製造]
ブロモ酢酸−2−メチル−2−アダマンチル(Br−CH−COOMeAd)の量を9.92g(34.54mmol)に変更した以外は、合成例1と同様に製造することにより、C60(4−OH−C5,7(4−O−MAdM−C4.3(−CHを黄色固体(19.52g;収率88.3%)の生成物として得た。
得られた生成物を合成例1と同様にH−NMR及びHPLCにて測定した。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz)]
9.80〜9.00ppm(brs,OH,5.7H),8.00〜6.0ppm(m,Ph,40H),4.90〜4.40ppm(m,−CH−,8.6H),2.30〜1.20ppm(m,AdM&C60Me,79.1H)
HPLC測定の結果、リテンションタイム
0.90minに1.71(Area%)、
1.18minに8.51(Area%)、
1.54minに21.40(Area%)、
2.22minに28.44(Area%)、
2.97minに23.42(Area%)、
4.6〜5.0minに12.37(Area%)、
7.6〜9.0minに3.48(Area%)、
11.2〜15.0minに0.67(Area%)
で観測された。
以上の結果から、得られた生成物が、原料の水酸基数10個のうち平均的に43%MAdM基が導入されたフラーレン誘導体の混合物である、表題化合物C60(4−OH−C5.7(4−O−MAdM−C4.3(−CHであることが確認された。
[合成例3:C60(4−OH−C6.1(4−O−MAdM−C3.9(−CHの製造]
特開2010−24221号公報、実施例1を参照して製造したフラーレン誘導体C60(4−OH−C10(−CH(9.60g、5.71mmol)のTHF溶液(288mL)に、炭酸カリウム(48g、0.35mol)、ブロモ酢酸−2−メチル−2−アダマンチル(Br−CH−COOMeAd)(5.05g、17.58mmol)を加え、65℃で7時間加熱攪拌した。次に、反応液をセライトろ過(展開液THF)し、溶媒を濃縮した。その後、酢酸エチル(400mL)で抽出したのち、1NのHCl(250mL)で分液したのち、イオン交換水(200mL)で5回有機層を洗浄した。溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を濃縮し、ヘキサン(533mL)で晶析した。50℃で真空乾燥を行なうことで、C60(4−OH−C6.1(4−O−MAdM−C3.9(−CHを黄色固体(10.59g;収率75.0%)の生成物として得た。
得られた生成物を合成例1と同様にH−NMR及びHPLCにて測定した。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz)]
9.80〜9.00ppm(brs,OH,6.1H),8.00〜6.0ppm(m,Ph,40H),4.90〜4.40ppm(m,−CH−,7.8H),2.30〜1.20ppm(m,AdM&C60Me,72.3H)
HPLC測定の結果、リテンションタイム
0.90minに6.68(Area%)、
1.18minに16.17(Area%)、
1.54minに27.58(Area%)、
2.22minに25.46(Area%)、
2.97minに15.16(Area%)、
4.6〜5.0minに6.57(Area%)、
7.6〜9.0minに1.82(Area%)、
11.2〜15.0minに0.57(Area%)
で観測された。
以上の結果から、得られた生成物が、原料の水酸基数10個のうち平均的に39%MAdM基が導入されたフラーレン誘導体の混合物である、表題化合物C60(4−OH−C6.1(4−O−MAdM−C3.9(−CHであることが確認された。
[合成例4:4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩の製造]
4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩(みどり化学製:HDS−109)4.5g、炭酸カリウム1.55gをDMSO13.5mLに溶解させた。その後、クロロエチルビニルエーテルを1.20g添加し80℃で15時間加熱攪拌した。反応液を25℃まで冷却後、ろ過により固形分を取り除き、水10gを加え、ヘキサン10gで水層を洗浄した。ジクロロメタン120g及び水40gを加え攪拌し、ジクロロメタン層に目的物を抽出した。溶媒を留去し、室温で真空乾燥することで、オイル上の目的化合物を4.89g得た(収率97%)。得られた化合物はH−NMRを測定し、表題化合物であることを確認した。
H−NMR(CDCl,400MHz)]
7.67−7.7ppm(m,Ph,12H),7.24ppm(m,Ph,2H),6.49ppm(dd,−O−C−CH,1H),4.31ppm(m,−O−CH−C ,2H),4.24ppm(d,−O−CH−CH−O−,1H),4.06ppm(m,−O−CH−CH−O−,3H)
上記合成例で得た表題化合物の反応経路を下記反応式(a)に示す。
Figure 0005714357
[合成例5:C60(4−OH−C4.0(4−O−MAdM−C5.1(4−O−CH(Me)−O−C−O−PAGa−C0.9(−CHの製造]
合成例1で製造したC60(4−OH−C4.9(4−O−MAdM−C5.1(−CH0.5gをTHF20mLに溶解させた後、合成例4で製造した4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩を0.23g、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム2mgを添加し、25℃で3時間攪拌した。その後酢酸エチル80mLで希釈した後、イオン交換水30mLで抽出洗浄を行った。有機層をイオン交換水50mLで5回洗浄し、溶媒を留去した後ヘキサン100mLで晶析した。その後、50℃で真空乾燥を行なうことで、C60(4−OH−C4.0(4−O−MAdM−C5.1(4−O−CH(Me)−O−C−O−PAGa−C0.9(−CHを黄色固体(0.59g)の生成物として得た。
得られた生成物を合成例1と同様にH−NMRにて測定した。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz)]
9.80〜9.00ppm(m,OH,4.0H),
8.00〜6.0ppm(m,Ph,52.6H),
4.90〜4.40ppm(m,−CH−,10.2H),
4.40〜4.00ppm(m,−O−C(Me)−O− −O−,4.5H),
2.30〜1.20ppm(m,−O−CH(Me)−O−C−O−&AdM&C60Me,95.4H)
特に、PAG連結部位のメチレンピークと水酸基ピークの積分比から、PAGの平均導入量を0.9、平均付加数Mを0.9と算出した。
[合成例6:C60(4−OH−C4.8(4−O−MAdM−C4.3(4−O−CH(Me)−O−C−O−PAGa−C0.9(−CHの製造]
合成例5において用いたC60(4−OH−C4.9(4−O−MAdM−C5.1(−CHの代わりに、合成例2で製造したC60(4−OH−C5.7(4−O−MAdM−C4.3(−CH0.5gを使用し、合成例4で製造した4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩の量を0.15gに変更した以外は、合成例5と同様に製造することにより、C60(4−OH−C4.8(4−O−MAdM−C4.3(4−O−CH(Me)−O−C−O−PAGa−C0.9(−CHを黄色固体(0.58g)の生成物として得た。
得られた生成物を合成例5と同様にH−NMRにて測定した。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz)]
9.80〜9.00ppm(m,OH,4.8H),
8.00〜6.0ppm(m,Ph,52.6H),
4.90〜4.40ppm(m,−CH−,8.6H),
4.40〜4.00ppm(m,−O−C(Me)−O− −O−,4.5H),
2.30〜1.20ppm(m,−O−CH(Me)−O−C−O−&AdM&C60Me,81.8H)
特に、PAG連結部位のメチレンピークと水酸基ピークの積分比から、PAGの平均導入量を0.9、平均付加数Mを0.9と算出した。
[合成例7:C60(4−OH−C5.0(4−O−MAdM−C4.3(4−O−CH(Me)−O−C−O−PAGa−C0.7(−CHの製造]
合成例2で製造したC60(4−OH−C5.7(4−O−MAdM−C4.3(−CH1.0gをTHF40mLに溶解させた後、合成例4で製造した4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩を0.20g、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム4mgを添加し、25℃で3時間攪拌した。その後酢酸エチル180mLで希釈した後、イオン交換水60mLで抽出洗浄を行った。有機層をイオン交換水100mLで5回洗浄し、溶媒を留去した後ヘキサン200mLで晶析した。その後、50℃で真空乾燥を行なうことで、C60(4−OH−C5.0(4−O−MAdM−C4.3(4−O−CH(Me)−O−C−O−PAGa−C0.7(−CHを黄色固体(1.08g)の生成物として得た。
得られた生成物を合成例5と同様にH−NMRにて測定した。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz)]
9.80〜9.00ppm(m,OH,5.0H),
8.00〜6.0ppm(m,Ph,49.8H),
4.90〜4.40ppm(m,−CH−,8.6H),
4.40〜4.00ppm(m,−O−C(Me)−O− −O−,3.5H),
2.30〜1.20ppm(m,−O−CH(Me)−O−C−O−&AdM&C60Me,81.2H)
特に、PAG連結部位のメチレンピークと水酸基ピークの積分比から、PAGの平均導入量を0.7、平均付加数Mを0.7と算出した。
[合成例8:C60(4−OH−C5.2(4−O−MAdM−C3.9(4−O−CH(Me)−O−C−O−PAGa−C0.9(−CHの製造]
合成例5において用いたC60(4−OH−C4.9(4−O−MAdM−C5.1(−CHの代わりに、合成例3で製造したC60(4−OH−C6.1(4−O−MAdM−C3.9(−CH0.5gを使用し、合成例4で製造した4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩の量を0.12gとし、有機層をイオン交換水50mLで6回洗浄するように変更した以外は、合成例5と同様に製造することにより、C60(4−OH−C5.2(4−O−MAdM−C3.9(4−O−CH(Me)−O−C−O−PAGa−C0.9(−CHを黄色固体(0.48g)の生成物として得た。
得られた生成物を実施例1と同様にH−NMRにて測定した。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz)]
9.80〜9.00ppm(m,OH,5.2H),
8.00〜6.0ppm(m,Ph,52.6H),
4.90〜4.40ppm(m,−CH−,7.8H),
4.40〜4.00ppm(m,−O−C(Me)−O− −O−,4.5H),
2.30〜1.20ppm(m,−O−CH(Me)−O−C−O−&AdM&C60Me,81.8H)
特に、PAG連結部位のメチレンピークと水酸基ピークの積分比から、PAGの平均導入量を0.9、平均付加数Mを0.9と算出した。
合成例5〜8で得たフラーレン誘導体の組成を表1に示す。
Figure 0005714357
{EUVレジスト評価}
[実施例1:合成例5で得られたフラーレン誘導体を含有するポジ型レジストのパターニング評価
上記合成例5で製造したフラーレン誘導体(以下、「A1」と記す)、該(A1)に対して、含窒素有機化合物(B)としてTOAを3wt%、界面活性剤としてDIC製のR−30を0.1wt%混合したポジ型レジスト感光組成物を、混合溶媒PGMEA/CHN/EL(重量比2/2/6)に対して、合計2.40wt%溶かし、0.1μmのフィルターを通すことでポジ型レジスト組成物を作成した。次に、(株)半導体先端テクノロジーズ所有の、小フィールドEUV露光装置(SFET)にインライン中にて接続してあるスピンコーター&デベロッパー装置(アクト12、東京エレクトロン社製)に12インチシリコンウエハセットをセットし、下層膜組成物溶液を3cc滴下し、2000rpmにてスピンコートした。次に、205℃、90秒の熱処理を行い、続けて、23℃に冷却し、膜厚5nmの下層膜を形成した。続けて、該下層膜を塗布した12インチシリコンウエハ上に、該ポジ型レジスト組成物溶液を3cc滴下し1850rpmにてスピンコートした。次に、110℃、90秒のプリベークを行い、冷却し、膜厚50nmのレジスト薄膜を形成した。引き続き、該レジスト薄膜が形成されたウエハを、DPP光源(イクストリーム社製)から発せられた光を、集光ミラーおよび照明光学系およびSiZrフィルターを介してEUV光(波長13.5nm)を選択的に露光可能な光源として使用した、該小フィールドEUV露光装置(SFET)にインライン中でセットし、該レジスト薄膜へ微細パターンの露光を行った。露光はステップアンドリピート方式で9ショット実施し、露光量は38〜62mJ/cmであった。
次に露光後、インラインにて露光され該レジスト薄膜が形成されたウエハを、スピンコーター&デベロッパー装置(アクト12、東京エレクトロン社製)に送り、110℃、90秒の露光後ベークを行い、冷却した後、TMAH 0.26N(2.38w%)水溶液により現像した。現像時間は30秒であった。引き続き30秒間超純水でリンスした後、乾燥させた。次に日立ハイテク社製測長SEM S9380IIに、該現像したレジスト薄膜付ウエハをセットし、微細パターンを観察したところ、露光量38mJ/cmで60nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が62.6nm)、露光量44mJ/cmで45nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が45.5nm)、露光量53mJ/cmで32nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が28.6nm)、が形成できているのを確認した。このラインパターンのラインウイズラフネス(LWR)は60nm−hp、45nm−hp、32nm−hpそれぞれ4.4nm、4.7nm、6.8nm(3σ値)であった。
また、各ラインの線幅60nm、45nm、32nmに対して、露光量を変化させて、それぞれのライン幅を測定し、露光量に対する線幅の数値をプロットした。次に線形近似を行い、それぞれ丁度60nm、45nm、32nmに達する時のEUV露光量(以下Esizeと略す)を算出したところ、Esize(60nm)は39.4mJ/cm、Esize(45nm)は44.5mJ/cm、Esize(32nm)は51.4mJ/cmであった。Esize結果一覧を表2に記す。
更に、Japanese Journal of Applied Physics, 48, 2009, 106504に記載されている通り、EUVレジストパターンでは、LWRと感度のルート(√)の数値は反比例することが報告されている。そこで各レジストの代表的な線幅において、K=LWR*(EUV感度)^0.5という指標を導入し、上記測定値を用いてK値での評価を行った。K値ならびにK値算出に用いた感度とLWRの数値一覧結果を表3、表4に記す。
[実施例2:合成例6で得られたフラーレン誘導体をA2成分として含有するポジ型レジストのパターニング評価
実施例1において用いたフラーレン誘導体(A1)の代わりに、上記合成例6で製造したフラーレン誘導体(以下、「A2」と記す)を使用した以外は、実施例1と同様にして、
ポジ型レジスト組成物を作成した。次に、実施例1と同様にして、下層膜を形成した。続けて、該ポジ型レジスト組成物溶液を1800rpmにてスピンコートした以外は、実施例1と同様にして、膜厚50nmのレジスト薄膜を形成した。引き続き、実施例1と同様にして、該レジスト薄膜へ微細パターンの露光を行った。露光はステップアンドリピート方式で9ショット実施し、露光量は42〜58mJ/cmであった。
次に露光後、実施例1と同様にして、露光後ベーク、冷却、現像、リンス、及び乾燥を行った。次に、実施例1と同様にして、微細パターンを観察したところ、露光量42mJ/cmで60nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が56.4nm)、露光量44mJ/cmで45nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が45.6nm)、露光量50mJ/cmで32nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が34.1nm)、が形成できているのを確認した。このラインパターンのラインウイズラフネス(LWR)は60nm−hp、45nm−hp、32nm−hpそれぞれ4.8nm、5.1nm、7.8nm(3σ値)であった。
また、実施例1同様に、Esizeを算出したところ、Esize(60nm)は40.0mJ/cm、Esize(45nm)は44.5mJ/cm、Esize(32nm)は51.3mJ/cm2であった。Esizeの結果一覧を表2に記す。
更に、実施例1同様に、K値並びにK値ならびにK値算出に用いた感度とLWRの数値一覧結果を表3、表4に記す。
[実施例3:合成例7で得られたフラーレン誘導体を含有するポジ型レジストのパターニング評価
実施例1において用いたフラーレン誘導体(A1)の代わりに、上記合成例7で製造したフラーレン誘導体(以下、「A3」と記す)を使用し、該(A3)に対して、含窒素有機化合物(B)としてTOAを1.5wt%混合した以外は、実施例1と同様にして、ポジ型レジスト組成物を作成した。次に、実施例1と同様にして、下層膜を形成した。続けて、該ポジ型レジスト組成物溶液を1900rpmにてスピンコートした以外は、実施例1と同様にして、膜厚50nmのレジスト薄膜を形成した。引き続き、実施例1と同様にして、該レジスト薄膜へ微細パターンの露光を行った。露光はステップアンドリピート方式で9ショット実施し、露光量は34〜50mJ/cmであった。
次に露光後、実施例1と同様にして、露光後ベーク、冷却、現像、リンス、及び乾燥を行った。次に、実施例1と同様にして、微細パターンを観察したところ、露光量34mJ/cmで60nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が55.8nm)、露光量36mJ/cmで45nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が42.7nm)、露光量38mJ/cmで32nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が33.6nm)、が形成できているのを確認した。このラインパターンのラインウイズラフネス(LWR)は60nm−hp、45nm−hp、32nm−hpそれぞれ5.9nm、5.8nm、8.1nm(3σ値)であった。
また、実施例1同様に、Esizeを算出したところ、Esize(60nm)は31.2mJ/cm、Esize(45nm)は34.9mJ/cm、Esize(32nm)は37.8mJ/cmであった。Esizeの結果一覧を表2に記す。
更に、実施例1同様に、K値並びにK値ならびにK値算出に用いた感度とLWRの数値一覧結果を表3、表4に記す。
[実施例4:合成例7で得られたフラーレン誘導体を含有するポジ型レジストのパターニング評価
実施例1において用いたフラーレン誘導体(A1)の代わりに、上記合成例7で製造したフラーレン誘導体(A3)を使用し、該(A3)に対して、含窒素有機化合物(B)としてTOAを2wt%混合した以外は、実施例1と同様にして、ポジ型レジスト組成物を作成した。次に、実施例1と同様にして、下層膜を形成し、膜厚50nmのレジスト薄膜の形成、及び該レジスト薄膜へ微細パターンの露光を行った。露光はステップアンドリピート方式で9ショット実施し、露光量は38〜62mJ/cmであった。
次に露光後、実施例1と同様にして、露光後ベーク、冷却、現像、リンス、及び乾燥を行った。次に、実施例1と同様にして、微細パターンを観察したところ、露光量41mJ/cmで60nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が61.7nm)、露光量47mJ/cmで45nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が44.8nm)、露光量53mJ/cmで32nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が31.2nm)、が形成できているのを確認した。このラインパターンのラインウイズラフネス(LWR)は60nm−hp、45nm−hp、32nm−hpそれぞれ4.1nm、4.3nm、6.6nm(3σ値)であった。
また、実施例1同様に、Esizeを算出したところ、Esize(60nm)は42.6mJ/cm、Esize(45nm)は46.9mJ/cm、Esize(32nm)は52.6mJ/cmであった。Esizeの結果一覧を表2に記す。
更に、実施例1同様に、K値並びにK値ならびにK値算出に用いた感度とLWRの数値一覧結果を表3、表4に記す。
[実施例5:合成例8で得られたフラーレン誘導体を含有するポジ型レジストのパターニング評価
実施例1において用いたフラーレン誘導体(A1)の代わりに、上記合成例8で製造したフラーレン誘導体(以下、「A4」と記す)を使用した以外は、実施例1と同様にして、ポジ型レジスト組成物を作成した。次に、実施例1と同様にして、下層膜を形成し、膜厚50nmのレジスト薄膜の形成、及び該レジスト薄膜へ微細パターンの露光を行った。露光はステップアンドリピート方式で9ショット実施し、露光量は38〜62mJ/cmであった。
次に露光後、実施例1と同様にして、露光後ベーク、冷却、現像、リンス、及び乾燥を行った。次に、実施例1と同様にして、微細パターンを観察したところ、露光量56mJ/cmで60nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が55.5nm)、露光量59mJ/cmで45nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が44.3nm)、露光量62mJ/cmで32nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が35.7nm)、が形成できているのを確認した。このラインパターンのラインウイズラフネス(LWR)は60nm−hp、45nm−hp、32nm−hpそれぞれ3.9nm、4.4nm、6.2nm(3σ値)であった。
また、実施例1同様に、Esizeを算出したところ、Esize(60nm)は51.7mJ/cm、Esize(45nm)は58.1mJ/cm、Esize(32nm)は65.6mJ/cmであった。Esizeの結果一覧を表2に記す。
更に、実施例1同様に、K値並びにK値ならびにK値算出に用いた感度とLWRの数値一覧結果を表3、表4に記す。
[比較例1:合成例1で得られたフラーレン誘導体をA5成分として含有するポジ型レジストのパターニング評価]
実施例1において用いたフラーレン誘導体(A1)の代わりに、上記合成例1で製造したフラーレン誘導体(以下、「A5」と記す)を使用し、ポジ型レジスト感光組成物に、該(A5)に対して、光酸発生剤としてみどり化学製のHDS−109を20wt%混合し、混合溶媒としてPGMEA/CHN/EL(重量比85/5/10)を使用した以外は、実施例1と同様にして、ポジ型レジスト組成物を作成した。次に、実施例1と同様にして、下層膜を形成した。続けて、該ポジ型レジスト組成物溶液を1000rpmにてスピンコートした以外は、実施例1と同様にして、膜厚60nmのレジスト薄膜を形成した。引き続き、実施例1と同様にして、該レジスト薄膜へ微細パターンの露光を行った。露光はステップアンドリピート方式で9ショット実施し、露光量は54〜86mJ/cmであった。
次に露光後、実施例1と同様にして、露光後ベーク、冷却、現像、リンス、及び乾燥を行った。次に、実施例1と同様にして、微細パターンを観察したところ、露光量54mJ/cmで60nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が61.3nm)、露光量66mJ/cmで45nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が43.4nm)、露光量74mJ/cmで32nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が30.6nm)、が形成できているのを確認した。このラインパターンのラインウイズラフネス(LWR)は60nm−hp、45nm−hp、32nm−hpそれぞれ4.1nm、4.5nm、6.2nm(3σ値)であった。
また、実施例1同様に、Esizeを算出したところ、Esize(60nm)は55.0mJ/cm、Esize(45nm)は64.9mJ/cm、Esize(32nm)は76.5mJ/cmであった。Esizeの結果一覧を表2に記す。
更に、実施例1同様に、K値並びにK値ならびにK値算出に用いた感度とLWRの数値一覧結果を表3、表4に記す。
[比較例2:合成例2で得られたフラーレン誘導体を含有するポジ型レジストのパターニング評価]
実施例1において用いたフラーレン誘導体(A1)の代わりに、上記合成例2で製造したフラーレン誘導体(以下、「A6」と記す)を使用し、ポジ型レジスト感光組成物に、該(A6)に対して、光酸発生剤としてみどり化学製のHDS−109を20wt%混合し、混合溶媒としてPGMEA/CHN/EL(重量比85/5/10)を使用した以外は、実施例1と同様にして、ポジ型レジスト組成物を作成した。次に、実施例1と同様にして、下層膜を形成した。続けて、該ポジ型レジスト組成物溶液を1400rpmにてスピンコートした以外は、実施例1と同様にして、膜厚50nmのレジスト薄膜を形成した。引き続き、実施例1と同様にして、該レジスト薄膜へ微細パターンの露光を行った。露光はステップアンドリピート方式で6ショット実施し、露光量は71〜86mJ/cmであった。
次に露光後、実施例1と同様にして、露光後ベーク、冷却、現像、リンス、及び乾燥を行った。次に、実施例1と同様にして、微細パターンを観察したところ、露光量71mJ/cmで60nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が49.7nm)、露光量71mJ/cmで45nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が42.3nm)、露光量80mJ/cmで32nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が31.3nm)、が形成できているのを確認した。このラインパターンのラインウイズラフネス(LWR)は60nm−hp、45nm−hp、32nm−hpそれぞれ4.4nm、4.3nm、6.0nm(3σ値)であった。
また、実施例1同様に、Esizeを算出したところ、Esize(60nm)は59.8mJ/cm2、Esize(45nm)は68.4mJ/cm、Esize(32nm)は78.8mJ/cmであった。Esizeの結果一覧を表2に記す。
更に、実施例1同様に、K値並びにK値ならびにK値算出に用いた感度とLWRの数値一覧結果を表3、表4に記す。
[比較例3:合成例2で得られたフラーレン誘導体を含有するポジ型レジストのパターニング評価]
実施例1において用いたフラーレン誘導体(A1)の代わりに、上記合成例2で製造したフラーレン誘導体(A6)を使用し、ポジ型レジスト感光組成物に、該(A6)に対して、光酸発生剤としてみどり化学製のHDS−109を15wt%、含窒素有機化合物(B)としてTOAを1.5wt%混合し、混合溶媒としてPGMEA/CHN/EL(重量比85/5/10)を使用した以外は、実施例1と同様にして、ポジ型レジスト組成物を作成した。次に、実施例1と同様にして、下層膜を形成した。続けて、該ポジ型レジスト組成物溶液を1400rpmにてスピンコートした以外は、実施例1と同様にして、膜厚50nmのレジスト薄膜を形成した。引き続き、実施例1と同様にして、該レジスト薄膜へ微細パターンの露光を行った。露光はステップアンドリピート方式で9ショット実施し、露光量は57〜72mJ/cmであった。
次に露光後、実施例1と同様にして、露光後ベーク、冷却、現像、リンス、及び乾燥を行った。次に、実施例1と同様にして、微細パターンを観察したところ、露光量57mJ/cmで60nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が48.4nm)、露光量57mJ/cmで45nm−hpのポジ型パターン(ラインの線幅が38.8nm)、が形成できているのを確認した。32nm−hpパターンはいずれのショットでもパターン倒れ、剥がれが発生し、良好なパターンは形成できなかった。このラインパターンのラインウイズラフネス(LWR)は60nm−hp、45nm−hpそれぞれ4.9nm、6.3nm(3σ値)であった。
また、実施例1同様に、Esizeを算出したところ、Esize(60nm)は47.5mJ/cm、Esize(45nm)は49.4mJ/cmであった。Esizeの結果一覧を表2に記す。
更に、実施例1同様に、K値並びにK値ならびにK値算出に用いた感度とLWRの数値一覧結果を表3、表4に記す。
Figure 0005714357
※表2中()内の数値は計算値。
※E60は60nmhp時のEsize、E45は45nmhp時のEsize、
E32は32nmhp時のEsizeを示す。
※比較例3は、32nmhp時パターン倒れと剥がれが発生し、解像しなかった。
Figure 0005714357
※表3中()内の数値は計算値。
※比較例3は、32nmhp時パターン倒れと剥がれが発生し、解像しなかった。
Figure 0005714357
※比較例3は、32nmhp時パターン倒れと剥がれが発生し、解像しなかった。
表2に示す酸発生基(OX)導入率9%、7%は、それぞれHDS−109換算でフラーレン誘導体に対して20wt%、15wt%に相当する。
表2から明らかなように、同じ保護化率(MAdM率)、OX導入率、TOA量における実施例と比較例との感度(Esize)を比較した場合(例えば、実施例1と比較例1や、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3)、本発明のレジスト組成物を用いた場合に、大幅に感度を向上させることができることが分かる。
さらに、表3、表4から明らかなように、同じ保護化率(MAdM率)、OX導入率、TOA量におけるK(=LWR*(EUV感度)^0.5)の値を比較した場合、本発明のレジスト組成物を用いた場合のK値は、対応する比較例のレジスト組成物を用いた場合のK値よりも概ね低い値となっている。また、本発明のレジスト組成物を用いた場合には、LWRが同程度でありながらも、感度を向上させることにより、低いK値を示していることが分かる。
(効果の説明)
本発明により、レジスト組成物中のフラーレン誘導体に、光酸発生剤を結合させることで、高解像度においてLWRと感度の性能を両立して、レジスト組成物の性能を向上させることが可能となった。
極微細パターンを形成可能なEUVリソグラフィーに適用可能である。

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)で表される光酸発生剤が連結したフラーレン誘導体(A)、含窒素有機化合物(B)、及び有機溶媒(C)を含有することを特徴とするレジスト組成物。
    Figure 0005714357
    (式(1)において、
    Ar、Arは、それぞれ独立に炭素数6〜18の芳香族性を有する炭化水素基を表し、
    Xは光酸発生剤を有する有機基を表わし、aは1〜3の整数を表し、
    Rは水素原子又は酸不安定基を表わし、bは1〜3の整数を表し、ここでRのうち少なくとも1つは酸不安定基であり、
    mは1以上10以下の整数を表わし、
    nは1以上20以下の整数を表わし、
    m+nは2以上20以下の整数を表わし、
    丸で示される構造はフラーレン骨格を表わす。)
  2. 前記一般式(1)で表される光酸発生剤が連結したフラーレン誘導体(A)が、下記一般式(2)で表わされる部分構造を1箇所又は2箇所有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のレジスト組成物。
    Figure 0005714357
    (フラーレン骨格が有する式(2)で表わされる部分構造において、C1が水素原子又は任意の基と結合しており、C6〜C10が各々独立に、少なくとも1箇所以上の−Ar−(OX)または−Ar−(OR)で表わされる基と結合している。また、上記一般式(2)中、C1〜C10は、フラーレン骨格を構成する炭素原子を表わす。)
  3. 前記一般式(1)中のXで表わされる光酸発生剤を有する有機基において、前記光酸発生剤がカチオン部位で結合している
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
  4. 前記一般式(1)中のXで表わされる光酸発生剤を有する有機基において、前記光酸発生剤がアニオン部位で結合している
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
  5. 前記一般式(1)のRのうち少なくとも1つに酸不安定基を含む前記フラーレン誘導体(A)を含有する、ポジ型レジスト組成物である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
  6. 前記フラーレン誘導体(A)、前記含窒素有機化合物(B)、及び、前記有機溶媒(C)に加えて、更に、架橋剤成分(D)を含む、ネガ型レジスト組成物である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
  7. 前記一般式(1)中のXで表わされる光酸発生剤を有する有機基のうち、前記光酸発生剤がオニウム塩系酸発生剤である
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
  8. 含窒素有機化合物(B)が第3級脂肪族アミンである
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
  9. 前記一般式(1)中の酸不安定基が、第3級アルキルオキシカルボニル基である
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
  10. 前記一般式(1)で表される光酸発生剤が連結したフラーレン誘導体(A)は、下記一般式(3)で表される置換基の平均付加数Mが0.2以上3.0以下であり、下記一般式(4)で表される置換基の平均付加数Nが2以上20以下である
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
    Figure 0005714357
    Figure 0005714357
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のレジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を加熱処理する工程、選択的に露光する工程、必要に応じて加熱する工程、及び前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むことを特徴とするレジストパターン形成方法。
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