JP5713440B2 - 酸化物超電導薄膜とその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導薄膜とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、臨界電流密度Jcや臨界電流値Icが高い酸化物超電導薄膜とその製造方法に関する。
液体窒素の温度で超電導性を有する高温超電導体の発見以来、ケーブル、限流器、マグネットなどの電力機器への応用を目指した高温超電導線材の開発が活発に行われている。中でも、基板上に酸化物超電導薄膜を形成させた酸化物超電導薄膜線材が注目されている。
前記酸化物超電導薄膜の製造方法の1つに、塗布熱分解法(Metal Organic Deposition、略称:MOD法)がある(特許文献1)。
この方法は、Y(イットリウム)などのRE(希土類元素)、Ba(バリウム)、Cu(銅)の各有機金属化合物を溶媒に溶解して製造された原料溶液(MOD溶液)を基板に塗布して塗布膜を形成した後、例えば、500℃付近で仮焼熱処理して、有機金属化合物を熱分解させ、熱分解した有機成分を除去することにより酸化物超電導薄膜の前駆体である仮焼膜を作製後、作製した仮焼膜をさらに高温(例えば750〜800℃付近)で本焼熱処理することにより結晶化を行って、REBaCu7−Xで表される超電導薄膜(REBCO超電導薄膜)の層を製造するものであり、主に真空中で製造される気相法(蒸着法、スパッタ法、パルスレーザ蒸着法等)に比較して製造設備が簡単で済み、また大面積や複雑な形状への対応が容易である等の特徴を有しているため、広く用いられている。
このようなMOD法を用いて臨界電流密度Jcや臨界電流値Icが高い酸化物超電導薄膜線材を得るために、通常は、配向金属基材上に中間層を形成させた配向金属基板の表面で、原料溶液の塗布処理と仮焼熱処理を繰り返し行って仮焼膜を積層、厚膜化した後、本焼熱処理を施して、厚膜の酸化物超電導薄膜を作製したり、原料溶液の塗布処理、仮焼熱処理、本焼熱処理を繰り返し行って、厚膜の酸化物超電導薄膜を作製したりすることが行われている(図3参照)。
特開2007−165153号公報
しかしながら、このように厚膜の酸化物超電導薄膜を作製しているにも拘わらず、充分に臨界電流密度Jcや臨界電流値Icを高くすることができず、優れた超電導特性を有する酸化物超電導薄膜が得られないことがあった。
例えば、YBCO超電導薄膜では、膜厚が0.3μm以下の場合には、2MA/cm以上の高いJcを得ることができるが、膜厚が約0.3μmを超えた場合には、Jcが落ちてしまいIcが伸びないという問題があった。
このため、厚膜の酸化物超電導薄膜であっても、Jcが低下せず、膜厚に応じた高いIcの酸化物超電導薄膜を提供することができる技術が望まれていた。
本発明者は、上記したYBCO超電導薄膜のように、酸化物超電導層を積層して膜厚を厚くした場合、Jcが低下する原因につき検討を行い、従来のMOD法においては、Jcに大きな関係を持つピンが充分に形成されず、Jcの低下を招いていると推測した。
そこで、本発明者は、厚膜の酸化物超電導薄膜における理想的なピンの配置状態、具体的には、酸化物超電導薄膜中にコヒーレンス長に合った、サイズ30nm未満のナノ微粒子が約100nm間隔で分散している状態(図2(a)参照)を想定し、そのために、適量の前記ナノ微粒子(例えば、Agナノ粒子)を溶媒(例えば、アルコール系溶媒)中に分散させた分散液をMOD溶液に添加した液を原料として、厚膜の酸化物超電導薄膜を作製した。
しかし、得られた酸化物超電導薄膜では、理想的なピンの配置状態は形成されておらず、ナノ微粒子は、熱処理過程において約200nmのサイズに凝集されていた(図2(b)参照)。そして、この大きさの粒子は、ピンとしては機能しないため、Jcが低下していた。
そこで、本発明者は、このようなナノ微粒子の凝集を抑制して、充分なピンを形成させる方法につき、さらに、実験、検討を行った。その結果、積層されるMOD膜(仮焼膜または本焼膜)の間にナノ微粒子を配置して、膜厚方向のナノ微粒子の間隔を広げておけば、ナノ微粒子の凝集が抑制され、充分なピンを形成できることが分かった。
具体的には、前記のように、ナノ微粒子分散液をMOD溶液に添加して成膜するのではなく、ナノ微粒子分散液とMOD溶液とを交互に使用して、MOD溶液を用いた仮焼膜あるいは本焼膜の作製工程と、ナノ微粒子分散液を用いたナノ微粒子の前記仮焼膜あるいは本焼膜上へのナノ微粒子の付着工程とを繰り返すことにより、膜厚方向にナノ微粒子の凝集が発生しない間隔を保持して、ナノ微粒子が適切に分散されて充分に有効なピンが形成された酸化物超電導薄膜を製造することができ、Jcの低下が抑制された高いIcの酸化物超電導薄膜を提供できることが分かった。
本発明は、以上の知見に基づくものであり、請求項1に記載の発明は、
有機金属化合物溶液を用いて、塗布熱分解法により、酸化物超電導薄膜を製造する酸化物超電導薄膜の製造方法であって、
有機金属化合物溶液の塗布、仮焼熱処理、本焼熱処理を行い、所定厚みの酸化物超電導層を作製する酸化物超電導層作製工程と、
ピンとして機能するナノ微粒子の溶液を、前記酸化物超電導層の上に塗布した後乾燥して、酸化物超電導層の上に前記ナノ微粒子を付着させるナノ微粒子付着工程
とを有しており、
前記酸化物超電導層作製工程と、前記ナノ微粒子付着工程とを交互に行い、
前記ナノ微粒子が所定間隔で層状に設けられた酸化物超電導薄膜を製造することを特徴とする酸化物超電導薄膜の製造方法である。
また、請求項2に記載の発明は、
有機金属化合物溶液を用いて、塗布熱分解法により、酸化物超電導薄膜を製造する酸化物超電導薄膜の製造方法であって、
有機金属化合物溶液の塗布、仮焼熱処理を行い、所定厚みの仮焼膜を作製する仮焼膜作製工程と、
ピンとして機能するナノ微粒子の溶液を、前記仮焼膜の上に塗布した後乾燥して、仮焼膜の上に前記ナノ微粒子を付着させるナノ微粒子付着工程
とを有しており、
前記仮焼膜作製工程と、前記ナノ微粒子付着工程とを交互に行い、
その後、本焼熱処理を施し、
前記ナノ微粒子が所定間隔で層状に設けられた酸化物超電導薄膜を製造することを特徴とする酸化物超電導薄膜の製造方法である。
請求項1の発明においては、酸化物超電導層作製工程と、ナノ微粒子付着工程とを交互に行うことにより、ナノ微粒子が膜厚方向に所定間隔で層状に設けられた厚膜の酸化物超電導薄膜を製造している。
また、請求項2の発明においては、仮焼膜作製工程と、ナノ微粒子付着工程とを交互に行うことにより、ナノ微粒子が、所定間隔で、層状に設けられた厚膜の仮焼膜を形成した後、これに本焼熱処理を施して、ナノ微粒子が、膜厚方向に所定間隔で、層状に設けられた厚膜の酸化物超電導薄膜を製造している。
ナノ微粒子を膜厚方向に所定間隔で層状に配置することにより、ナノ微粒子の凝集が抑制されるため、ナノ微粒子はピンとして充分に機能することができ、厚膜の酸化物超電導薄膜であっても、Jcの低下を抑制することができる。この結果、膜厚に応じた高いIcを得ることができる。
なお、酸化物超電導層作製工程において作製される酸化物超電導層の厚み、および仮焼膜作製工程において作製される仮焼膜の厚みは、ナノ微粒子が熱処理においても凝集することがなく、ピンとして有効に機能することができる間隔となるように、適宜設定される。このとき、1回の成膜処理で作製できる酸化物超電導層や仮焼膜の厚みが不足する場合には、設定された厚みとなるまで、成膜処理を繰り返し、積層してもよい。
ナノ微粒子としては、酸化物超電導薄膜の超電導特性に悪影響を与える材料でない限り、限定されず、例えば、Ag(銀)、Au(金)、Pt(白金)、BaCeO(セリウム酸バリウム)、BaTiO(チタン酸バリウム)、BaZrO(ジルコン酸バリウム)などを挙げることができ、コヒーレンス長に対応したサイズのナノ微粒子が好ましく使用できる。
ナノ微粒子の溶液に使用される溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール系の溶媒を挙げることができる。
ナノ微粒子の溶液は、酸化物超電導層作製工程において作製された酸化物超電導層、または、仮焼膜作製工程において作製された仮焼膜の上に、膜面上でナノ微粒子の凝集が発生しないように、ナノ微粒子を適切に分散させて塗布される。
請求項3に記載の発明は、
前記ナノ微粒子が層状に設けられている膜厚方向の間隔が、0.1μmを超え、0.5μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸化物超電導薄膜の製造方法である。
酸化物超電導薄膜に磁場を掛けた時でも、Jcが低下しないようにするためには、高密度にナノ微粒子が配置されていることが好ましい。即ち、酸化物超電導層や仮焼膜を挟んだナノ微粒子間の間隔は狭い方が好ましい。しかし、狭くなりすぎると、ナノ微粒子の凝集が発生しやすい。好ましい間隔は、0.1μmを超え0.5μm以下の間隔である。
請求項4に記載の発明は、
前記ナノ微粒子の粒子径が、30nm未満であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の酸化物超電導薄膜の製造方法である。
30nm未満の粒子径は、前記したコヒーレンス長に対応したサイズであるため、ピンとして充分機能させることができる。
請求項5に記載の発明は、
前記ナノ微粒子の溶液に、分散剤が添加されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の酸化物超電導薄膜の製造方法である。
ナノ微粒子の溶液に分散剤を添加することにより、ナノ微粒子の凝集の発生を抑制することができ好ましい。具体的な分散剤としては、例えば、アクリル酸重合体、オレフィン−マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミンなどを挙げることができる。
請求項6に記載の発明は、
前記分散剤を、有機金属化合物溶液の仮焼熱処理前に、熱処理により、分解して除去する分散剤除去工程を有していることを特徴とする請求項5に記載の酸化物超電導薄膜の製造方法である。
分散剤は有機物であり、溶媒乾燥時、ナノ微粒子と共に、酸化物超電導層や仮焼膜の上に残る恐れがある。このため、次の酸化物超電導層や仮焼膜を作製する前、より具体的には、有機金属化合物溶液の仮焼熱処理の前に、500℃×1時間程度の熱処理を施して分散剤の分解、除去を行うことが好ましい。
請求項7に記載の発明は、
前記塗布熱分解法が、フッ素フリーMOD法であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の酸化物超電導薄膜の製造方法である。
MOD法としては、原料溶液にフッ素を含む有機金属化合物を用いるTFA−MOD法とフッ素を含まない有機金属化合物を用いるフッ素フリーMOD法(FF−MOD法)とがあり、FF−MOD法は、TFA−MOD法と異なり、フッ化水素ガスなどの危険なガスを発生することがなく、環境にやさしく、また処理設備が不要である。
しかし、従来のFF−MOD法では、厚膜化してもIcを伸ばすことが困難であった。このようなFF−MOD法に本発明を適用することにより、前記した本発明の効果を顕著に発揮させることができる。
上記本発明に加えて、以下に本発明に関連する技術について説明する。
本発明に関連する第1の技術は、
ピンとして機能するナノ微粒子が、膜厚方向に、所定間隔で、層状に設けられていることを特徴とする酸化物超電導薄膜である。
ナノ微粒子が、膜厚方向に、所定間隔で、層状に設けられているため、ナノ微粒子がピンとして充分に機能する。このため、厚膜の酸化物超電導薄膜であっても、Jcの低下が抑制されて、膜厚に応じた高いIcを得ることができる。
このような酸化物超電導薄膜は、前記した製造方法を適用することにより得ることができる。
本発明に関連する第2の技術は、
前記ナノ微粒子が層状に設けられている膜厚方向の所定間隔が、0.1μmを超え、0.5μm以下であることを特徴とする第1の技術に記載の酸化物超電導薄膜である。
ナノ微粒子が0.1μmを超え0.5μm以下の間隔で配置された酸化物超電導薄膜は、ナノ微粒子の凝集の発生が抑制されて、ピンとしてナノ微粒子を充分に機能させることができるため好ましい。
本発明に関連する第3の技術は、
前記ナノ微粒子の粒子径が、30nm未満であることを特徴とする第1の技術または第2の技術に記載の酸化物超電導薄膜である。
30nm未満の粒子径は、コヒーレンス長に対応したサイズであるため、ナノ微粒子がピンとして充分機能する。
本発明によれば、厚膜の酸化物超電導薄膜であっても、Jcが低下せず、膜厚に応じた高いIcの酸化物超電導薄膜を製造、提供することができる。
実施例のYBCO超電導薄膜の製造工程を示す模式的な断面図である。 比較例のYBCO超電導薄膜を説明するための模式的な断面図である。 従来のYBCO超電導薄膜の製造工程を示す模式的な断面図である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
以下に、FF−MOD法を用いてYBCO超電導薄膜を形成した実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
まず、ナノ微粒子を層状に設けた3層タイプの実施例A1、A2、および層内にナノ微粒子を分散させた単層タイプの比較例A1、ナノ微粒子を用いなかった比較例A2について説明し、次に、ナノ微粒子の膜厚方向の間隔を変えた実施例Bについて説明する。
(実施例A1)
1.YBCO超電導薄膜の構成
実施例Aは、表1に示すように、Ag粒(ナノ微粒子)を層間に分散させた3層タイプのYBCO超電導薄膜であり、各層を同じ厚みにし、総厚を375nmに設定したものである。
2.YBCO超電導薄膜の製造
図1(a)〜(e)は、実施例A1のYBCO超電導薄膜の製造工程を模式的に示す断面図である。本実施例のYBCO超電導薄膜の製造工程では、仮焼熱処理工程において、Ag粒(ナノ微粒子)を層間に分散させた3層の仮焼膜の積層体を作製した後、本焼熱処理を行う。以下、具体的に説明する。
(1)溶液の作製
(a)MOD溶液の作製
まず、Y、Ba、Cuの各アセチルアセトナート塩から出発してY:Ba:Cu=1:2:3の比率(モル比)で合成し、アルコールを溶媒としたMOD溶液を作製した。なお、MOD溶液のY3+、Ba2+、Cu2+を合わせた総カチオン濃度を1mol/Lとした。
(b)ナノ微粒子溶液の作製
粒子径25nmのナノAg分散液(1wt%)を用意した。
(2)仮焼熱処理工程(ナノ微粒子付着工程を含む)
(a)第1層目
基板として、SUS上に順にCu層、Ni層を形成させたクラッド基板の上に、Y、YSZ、CeOの3層からなる中間層を設けた基板1を準備した。そして、基板1上に、前記のように作製したMOD溶液を塗布して塗膜を作製した。次に、塗膜を、大気雰囲気下、500℃まで昇温後、1時間保持して、第1層目の仮焼膜2を作製した(図1(a))。
(b)ナノ微粒子付着工程
第1層目の仮焼膜2の上に、前記のように作製したナノ微粒子溶液を塗布し、塗膜を作製した。その後、塗膜を、大気雰囲気下、500℃で1時間かけて熱処理を行って分散剤を分解させ、第1層目の仮焼膜2の上面に、200個/μmの付着密度で、Ag粒3を付着させた(図1(b))。
(c)第2層目
第1層目の仮焼膜2と同じ作製条件で、第2層目の仮焼膜2を作製し、第1層目と第2層目の仮焼膜2の間にAg粒3を層状に形成した(図1(c))。
(d)ナノ微粒子付着工程
上記と同じ条件で、第2層目の仮焼膜2の上面に、Ag粒3を層状に形成した(図1(d))。
(e)第3層目
第1層目の仮焼膜2と同じ作製条件で、第3層目の仮焼膜2を作製して、第2層目と第3層目の仮焼膜2の間にAg粒3を層状に形成した(図1(e))。
(3)本焼熱処理工程
このようにして作製された仮焼膜積層体を、酸素濃度100ppmのアルゴン/酸素混合ガス雰囲気下で、800℃まで昇温した後、そのまま90分間保持して本焼熱処理を行った。本焼熱処理終了後、500℃まで2時間で降温した時点でガス雰囲気を酸素濃度100vol%ガスに切り替えて、さらに約6時間かけて室温まで炉冷し、YBCO超電導薄膜を製造した。
(実施例A2)
実施例A2は、Ag粒を、仮焼膜の上面ではなく、本焼成膜の上面に付着させることにより、Ag粒を層状に形成しながら、本焼成膜を積層してYBCO超電導薄膜を形成したものであり、前記の点以外は、実施例A1と同じ条件でYBCO超電導薄膜を形成したものである。
(比較例A1)
比較例A1は、Ag粒をMOD溶液に直接添加して作製した単層タイプのYBCO超電導薄膜であって、YBCO超電導薄膜の厚みは実施例A1と同じ375nmに形成したものである。具体的には、実施例A1と同じ条件で、作製したMOD溶液3mlにナノ微粒子溶液(10wt%)0.1mlを添加混合して原料溶液を作製し、この原料溶液を基板上に塗布し、実施例A1と同じ条件で、仮焼熱処理および本焼熱処理を行って単層タイプのYBCO超電導薄膜を製造した。
(比較例A2)
比較例A2は、ナノ粒子を添加しない単層タイプのYBCO超電導薄膜であって、YBCO超電導薄膜の厚みは実施例A1と同じ375nmに形成したものである。具体的には、実施例A1と同じ条件で作製したMOD溶液を基板上に塗布し、実施例A1と同じ条件で、仮焼熱処理および本焼熱処理を行って単層タイプのYBCO超電導薄膜を製造した。
(測定)
実施例A1、A2および比較例A1、A2で得られたYBCO超電導薄膜を用いて、77K、自己磁場下において、JcおよびIcを測定した。表1に測定結果を示す。
Figure 0005713440
(考察)
Ag粒を含む実施例A1、A2および比較例A1は、Ag粒を含まない比較例A2よりもJcおよびIcが高い値を示していることが分かる。これは、Ag粒がYBCO超電導層に対してピン止め点として機能したためであると推定される。
一方、実施例A1、A2と比較例A1は、共にAg粒を含むにもかかわらず、実施例A1、A2は、比較例A1よりも、JcおよびIcの値が大幅に大きくなっている。比較例A1のYBCO超電導薄膜では、図2(a)に示すように、Ag粒が凝集することなく分散しているのが、理想的な状態であるが、断面SEMにより調べた結果、図2(b)に示すように、YBCO超電導薄膜4中でAg粒3が凝集して約200nmのサイズにAg粒凝集体3Aが形成されていることが分かった。このことから、比較例A1はAg粒の凝集によりピン止め点として機能が低下していることが分かる。これに対して、実施例A1、A2は、Ag粒が凝集していないため、Ag粒のピン止め機能が充分に発揮され、JcおよびIcが大きな値を示している。なお、実施例A1、A2は、上記のように製造工程は異なるが、JcおよびIcの値はほぼ同じになった。
(実施例B)
実施例B1〜B6は、いずれも、実施例A1と同様に、Ag粒を層状に設けて仮焼膜を作製後、本焼熱処理を行ってYBCO超電導薄膜を形成したものである。具体的には、各実施例の各層の厚みを、表2に示した通りに形成したこと以外は、実施例A1と同じ条件でYBCO超電導薄膜を形成したものである。
(測定)
実施例B1〜B6で得られたYBCO超電導薄膜を用いて、77K、自己磁場下において、JcおよびIcを測定した。表2に測定結果を示す。
Figure 0005713440
(考察)
実施例B3、B4は、JcおよびIcが良好な値を示し、その次に、実施例B2、B5が、良好な値を示した。一方、実施例B1の場合、層状に配置されたAg粒の上下間の間隔が狭くなりすぎているため、ナノ微粒子の凝集が発生し易くなっており、JcおよびIcが小さくなっていることが分かる。逆に、実施例B6の場合、間隔が広くなりすぎているため、Ag粒は凝集しないが、ピン止め点としての機能を充分に発揮できていないため、高いJcおよびIcが得られていないことが分かる。これにより、ナノ微粒子の膜厚方向の間隔は、100nmを超え、500nm以下の間隔であることが好ましいことが分かる。
以上、本発明を実施の形態に基づき説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
1 基板
2 YBCO超電導層
3 Ag粒
3A Ag粒凝集体
4 YBCO超電導薄膜

Claims (7)

  1. 有機金属化合物溶液を用いて、塗布熱分解法により、酸化物超電導薄膜を製造する酸化物超電導薄膜の製造方法であって、
    有機金属化合物溶液の塗布、仮焼熱処理、本焼熱処理を行い、所定厚みの酸化物超電導層を作製する酸化物超電導層作製工程と、
    ピンとして機能するナノ微粒子の溶液を、前記酸化物超電導層の上に塗布した後乾燥して、酸化物超電導層の上に前記ナノ微粒子を付着させるナノ微粒子付着工程
    とを有しており、
    前記酸化物超電導層作製工程と、前記ナノ微粒子付着工程とを交互に行い、
    前記ナノ微粒子が所定間隔で層状に設けられた酸化物超電導薄膜を製造することを特徴とする酸化物超電導薄膜の製造方法。
  2. 有機金属化合物溶液を用いて、塗布熱分解法により、酸化物超電導薄膜を製造する酸化物超電導薄膜の製造方法であって、
    有機金属化合物溶液の塗布、仮焼熱処理を行い、所定厚みの仮焼膜を作製する仮焼膜作製工程と、
    ピンとして機能するナノ微粒子の溶液を、前記仮焼膜の上に塗布した後乾燥して、仮焼膜の上に前記ナノ微粒子を付着させるナノ微粒子付着工程
    とを有しており、
    前記仮焼膜作製工程と、前記ナノ微粒子付着工程とを交互に行い、
    その後、本焼熱処理を施し、
    前記ナノ微粒子が所定間隔で層状に設けられた酸化物超電導薄膜を製造することを特徴とする酸化物超電導薄膜の製造方法。
  3. 前記ナノ微粒子が層状に設けられている膜厚方向の間隔が、0.1μmを超え、0.5μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸化物超電導薄膜の製造方法。
  4. 前記ナノ微粒子の粒子径が、30nm未満であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の酸化物超電導薄膜の製造方法。
  5. 前記ナノ微粒子の溶液に、分散剤が添加されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の酸化物超電導薄膜の製造方法。
  6. 前記分散剤を、有機金属化合物溶液の仮焼熱処理前に、熱処理により、分解して除去する分散剤除去工程を有していることを特徴とする請求項5に記載の酸化物超電導薄膜の製造方法。
  7. 前記塗布熱分解法が、フッ素フリーMOD法であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の酸化物超電導薄膜の製造方法。
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