JP2012123998A - 酸化物超電導薄膜線材とその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導薄膜線材とその製造方法 Download PDF

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Toshiya Kumagai
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Abstract

【課題】原料溶液の1回塗布当たり塗布厚を厚くした場合であっても、仮焼膜表面に凹凸の皺が発生することがなく、効率的に厚膜の酸化物超電導薄膜を作製して、高いIcの酸化物超電導薄膜を提供する。
【解決手段】基板上に、フッ素を含まない有機金属化合物を原料とする酸化物超電導薄膜を、塗布熱分解法により形成する酸化物超電導薄膜線材の製造方法であって、有機金属化合物を溶媒に溶解して調製された原料溶液を基板上に塗布して塗膜を作製する塗膜作製工程と、塗膜を溶媒の沸点と有機金属化合物の熱分解開始温度との間の温度雰囲気に所定時間保持して溶媒を乾燥させ除去する溶媒乾燥除去工程と、溶媒が乾燥、除去された塗膜を加熱することにより有機金属化合物を熱分解し、有機成分を除去して、仮焼膜を作製する仮焼熱処理工程と、仮焼膜を結晶化させて酸化物超電導薄膜を作製する本焼熱処理工程とを備えている酸化物超電導薄膜線材の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導薄膜線材とその製造方法に関し、詳しくは、塗布熱分解法により、優れた超電導特性を有する酸化物超電導薄膜が基材上に形成された酸化物超電導薄膜線材とその製造方法に関する。
液体窒素の温度で超電導性を有する高温超電導体の発見以来、ケーブル、限流器、マグネットなどの電力機器への応用を目指した高温超電導線材の開発が活発に行われている。中でも、酸化物超電導体を薄膜化した酸化物超電導薄膜線材が注目されている。
酸化物超電導薄膜線材の製造方法の1つに、塗布熱分解法(Metal Organic Deposition、略称:MOD法)がある(特許文献1)。
この方法は、Y(イットリウム)などのRE(希土類元素)およびBa(バリウム)、Cu(銅)の各有機金属化合物(金属塩)を溶媒に溶解して製造された原料溶液(MOD溶液)を基板に塗布して塗布膜を形成した後、例えば、500℃付近で仮焼熱処理して、有機金属化合物を熱分解させ、熱分解した有機成分を除去することにより酸化物超電導薄膜の前駆体である仮焼膜を作製後、作製した仮焼膜をさらに高温(例えば750〜800℃付近)で本焼熱処理することにより結晶化を行って、REBaCu7−Xで表されるREBCO超電導薄膜を形成させて酸化物超電導薄膜線材を製造するものであり、主に真空中で製造される気相法(蒸着法、スパッタ法、パルスレーザ蒸着法等)に比較して製造設備が簡単で済み、また大面積や複雑な形状への対応が容易である等の特徴を有しているため、広く用いられている。
前記MOD法としては、原料溶液にフッ素を含む有機金属化合物を用いるTFA−MOD法(Metal Organic Deposition using TriFluoroAcetates)とフッ素を含まない有機金属化合物を用いるフッ素フリーMOD法(FF−MOD法)とがある。
TFA−MOD法を用いると、面内配向性に優れた酸化物超電導薄膜を得ることができる。しかし、この方法では、仮焼時にフッ化物であるBaF(フッ化バリウム)が生成され、このBaFが本焼時に分解して危険なフッ化水素ガスを発生する。このため、フッ化水素ガスを処理する装置、設備が必要となる。
これに対して、FF−MOD法は、フッ化水素ガスのような危険なガスを発生することがないため、環境にやさしく、また処理設備が不要であるという利点を有している。
特開2007−165153号公報
このようなFF−MOD法において、より高い臨界電流値Icの酸化物超電導薄膜線材を得るために、前記した原料溶液の塗布、仮焼熱処理、本焼熱処理を繰り返すことにより、酸化物超電導薄膜を積層して、厚膜化を図ることが行われている。
近年、このような酸化物超電導薄膜の積層に替えて、原料溶液の塗布厚を厚くして、厚膜の効率的な作製(時間短縮)が検討されているが、塗布厚を厚くした場合、仮焼熱処理により、仮焼膜表面に凹凸の皺が多く発生して膜厚にバラツキが生じることが大きな問題となっている。
即ち、膜厚にバラツキが生じた仮焼膜に本焼熱処理を施しても、Icは膜厚が薄い部分に依存するため、高いIcの酸化物超電導薄膜線材を得ることができない。
このため、原料溶液の塗布厚を厚くした場合であっても、仮焼膜表面に凹凸の皺が発生することがなく、効率的に厚膜の酸化物超電導薄膜を作製して、高いIcの酸化物超電導薄膜線材を提供することができる技術が望まれていた。
本発明者は、上記課題を解決するために、原料溶液の塗布厚が厚い場合に仮焼膜に皺が発生する原因につき鋭意検討し、以下の知見を得た。
原料溶液中の溶媒の沸点は、一般に、有機金属化合物(金属塩)の熱分解開始温度よりも低く、仮焼熱処理のための昇温途中、有機金属化合物の熱分解が開始する前に、溶媒の乾燥が開始する。
しかしながら、従来の仮焼熱処理における昇温パターンは、図5に示すように直線的(連続的)であったため、溶媒の乾燥が充分に行われない内に、有機金属化合物の熱分解が開始し、溶媒の乾燥と有機金属化合物の熱分解が同時進行する。この結果、塗膜表面からのガス(溶媒の乾燥ガスおよび有機金属化合物の熱分解に伴う有機成分のガス)の揮散が激しくなり、また分解した金属塩が結晶成長して大きくなるため、図6に示すように、基板1上には、表面に凹凸の皺が発生した仮焼膜2bが形成されることが分かった。
具体的には、例えば、YBCO酸化物超電導薄膜を形成する場合、原料溶液は、Y(イットリウム)、Ba(バリウム)およびCu(銅)の金属塩を、沸点が150℃以下のピリジン、プロピオン酸、ブタノール等の溶媒に溶解することにより作製される。
この原料溶液を基板上に塗布して作製された塗膜に対して、500℃まで昇温し、所定時間保持することにより仮焼熱処理が施される。このとき、まず、溶媒の沸点を超えた時点から溶媒の乾燥が開始し(150℃以下)、その後、図7のTG−DTA図に示すように、250℃付近でCu金属塩の熱分解が開始し、400℃付近でYやBaの金属塩の熱分解が開始する。なお、図7において、実線は温度とDTAとの関係を示し、一点鎖線は温度とTGとの関係を示している。
しかし、従来の仮焼熱処理における昇温パターンは、前記したように、直線的な昇温であったため、溶媒の乾燥開始温度からCu金属塩の熱分解開始温度までの間隔が短く、溶媒が乾燥しきらないうちに、Cu金属塩の熱分解が開始することとなる。この結果、溶媒の乾燥とCu金属塩の熱分解が同時進行することとなり、溶媒の乾燥ガスおよび金属塩の熱分解に伴う有機成分のガスの揮散と、分解した金属塩の結晶成長とが相俟って、表面に凹凸の皺がある仮焼膜が形成される。
このため、従来の方法を用いて表面に凹凸の皺がない仮焼膜を形成する場合には、仮焼膜の厚さとしては0.2〜0.3μmが限界で、本焼後の膜厚も0.15μm程度が限度になっていた。
そこで、本発明者は、溶媒の乾燥除去過程と有機金属化合物(金属塩)の熱分解過程を分離し、溶媒の乾燥、除去を溶媒の沸点よりも高く、有機金属化合物の熱分解開始温度よりも低い温度雰囲気で充分行い、溶媒が充分に乾燥、除去された状態で有機金属化合物の熱分解を開始させることにより、溶媒の乾燥と有機金属化合物の熱分解の同時進行が抑制され、凹凸の皺の発生を抑制することができると考え、実験によりこれを確認した。
請求項1に記載の発明は、上記の知見に基づくものであり、
基板上に、フッ素を含まない有機金属化合物を原料とする酸化物超電導薄膜を、塗布熱分解法により形成する酸化物超電導薄膜線材の製造方法であって、
前記有機金属化合物を溶媒に溶解して調製された原料溶液を、前記基板上に塗布して塗膜を作製する塗膜作製工程と、
前記塗膜を、前記溶媒の沸点と前記有機金属化合物の熱分解開始温度との間の温度雰囲気に、所定時間保持して、前記溶媒を乾燥させ、除去する溶媒乾燥除去工程と、
溶媒が乾燥、除去された前記塗膜を加熱することにより、前記有機金属化合物を熱分解し、有機成分を除去して、仮焼膜を作製する仮焼熱処理工程と、
前記仮焼膜を結晶化させて、酸化物超電導薄膜を作製する本焼熱処理工程と
を備えている
ことを特徴とする酸化物超電導薄膜線材の製造方法である。
本請求項の発明においては、仮焼熱処理工程に先立って、溶媒の沸点(沸点が異なる複数の溶媒が使用されている場合は、最も高い沸点)と有機金属化合物(金属塩)の熱分解開始温度(具体的には、各金属塩の熱分解開始温度の内で最も低い温度)との間の温度雰囲気に、塗膜を所定時間保持する溶媒乾燥除去工程を設けているため、溶媒の乾燥と金属塩の熱分解とが同時進行することが抑制される。なお、前記の所定時間とは、溶媒の乾燥、除去を充分に行うに必要な時間を指しており、溶媒に対応して適宜決定される。
この結果、厚膜の塗膜であっても皺の発生が抑制された仮焼膜を作製することができ、この仮焼膜に本焼熱処理を施すことにより、例えば、前記した従来の本焼後の膜厚0.15μm程度の酸化物超電導薄膜に比べ、0.4〜0.5μm程度の膜厚で皺がない酸化物超電導薄膜を得ることができ、高いIcの酸化物超電導薄膜線材を効率よく製造することができる。
このように、本請求項の発明によれば、原料溶液の一度の塗布により厚膜で皺がない酸化物超電導薄膜を得ることができるが、この厚膜の酸化物超電導薄膜をさらに積層しても良く、これにより、より高いIcの酸化物超電導薄膜線材を提供することができる。
請求項2に記載の発明は、
前記溶媒除去工程における温度雰囲気が150〜250℃であり、保持時間が30〜60分であることを特徴とする請求項1に記載の超電導線材の製造方法である。
前記したように、溶媒の沸点は、一般に、金属塩の熱分解開始温度よりも低く、一般的に用いられるピリジン、プロピオン酸、ブタノール等の溶媒は、150℃以下の沸点を有している。このため、150℃以上の温度雰囲気であれば、溶媒の乾燥を確実に開始させることができる。一方、250℃を超える温度雰囲気であれば、金属塩の熱分解が開始する恐れがある。
原料溶液の組成により、溶媒量は変化するが、一般的に、前記温度雰囲気に30分以上曝すことにより、溶媒を充分に乾燥させて除去することができる。一方、溶媒が乾燥された後も徒に前記温度雰囲気に曝すことは生産コストの上昇を招くため、60分を超えないことが好ましい。
請求項3に記載の発明は、
請求項1または請求項2に記載の酸化物超電導薄膜線材の製造方法を用いて作製された酸化物超電導薄膜が積層されていることを特徴とする酸化物超電導薄膜線材である。
前記したように、本発明に係る酸化物超電導薄膜線材の製造方法を用いることにより、原料溶液の一度の塗布から厚膜で皺がない仮焼膜や本焼膜を形成させることができる。そして、前記したように、このように皺がない仮焼膜や本焼膜は、積層しても皺の発生が抑制されるため、積層することにより、さらに高いIcの酸化物超電導薄膜線材を提供することができる。
本発明によれば、原料溶液の塗布厚を厚くした場合であっても、仮焼膜表面に凹凸の皺が発生することがなく、効率的に厚膜の酸化物超電導薄膜を作製して、高いIcの酸化物超電導薄膜線材を提供することができる。
実施例1の溶媒乾燥除去工程および仮焼熱処理工程における昇温パターンを示す図である。 実施例1による仮焼膜を模式的に示す断面図である。 実施例1のYBCO膜の表面の顕微鏡の拡大写真を示す図である。 比較例1のYBCO膜の表面の顕微鏡の拡大写真を示す図である。 従来例の仮焼熱処理工程における昇温パターンを示す図である。 従来例による仮焼膜を模式的に示す断面図である。 原料溶液の有機金属化合物の熱分解状況を示すTG−DTA特性である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
1.実施例
以下の製造工程に従って酸化物超電導薄膜線材を製造した。
(1)実施例1
(a)MOD溶液の作製
まず、YBCO超電導薄膜形成用に、Y、Ba、Cuの各アセチルアセトナート塩から出発してY:Ba:Cu=1:2:3の比率(モル比)で合成し、ブタノール(沸点:114℃)を溶媒としたMOD溶液を作製した。なおMOD溶液のY3+、Ba2+、Cu2+を合わせた総カチオン濃度を約2mol/Lとした。
(b)塗膜作製工程
2cm角の最表面に配向金属層を備えた基板1上にエピタキシャル成長させた結晶層で最表面がCeOである中間層2上に、YBCO用のMOD溶液をスピンコート法を用いて塗布して塗膜を作製した。
(c)溶媒乾燥除去工程および仮焼熱処理工程
図1は、実施例1の溶媒乾燥除去工程および仮焼熱処理工程における昇温パターンを示す図である。作製した塗布膜を、大気圧の空気雰囲気下で、図1に示すように、平均5℃/分の昇温速度で、150℃まで加熱し、150℃で30分間保持して溶媒の乾燥、除去を行った。その後、平均5℃/分の昇温速度で、500℃まで加熱し、2時間保持して仮焼熱処理を行い、仮焼膜を作製した。
図2は、実施例1による仮焼膜を模式的に示す断面図である。この段階で、仮焼膜を観察したところ、図2に示すように、基板1上には、表面全面に皺が発生していない仮焼膜2aが形成されていることが確認された。
(d)本焼熱処理
作製した仮焼膜を、従来一般的に行われている方法により、本焼熱処理を行った。具体的には、酸素濃度100ppmのアルゴン/酸素混合ガス雰囲気下で、770℃まで10℃/分の昇温速度で昇温後、そのまま60分間保持して本焼熱処理を実施した。本焼熱処理を実施後、520℃まで約3時間で降温しつつ、雰囲気を酸素100%の雰囲気へと切り替えた。その後、酸素濃度を保ちつつ、さらに5時間かけて室温まで炉冷して、平均膜厚約0.5μmのYBCO超電導薄膜を有するYBCO超電導薄膜線材を作製した。
(2)実施例2
実施例2では、作製した塗布膜を、溶媒乾燥除去工程において、平均5℃/分の昇温速度で、200℃まで加熱し、200℃で30分間保持したこと以外は、実施例1と同じ条件で平均膜厚約0.5μmのYBCO超電導薄膜を有するYBCO超電導薄膜線材を作製した。
(3)実施例3
実施例3では、実施例1と同じ条件で、MOD溶液の塗布、溶媒乾燥除去および仮焼熱処理を行い、これを3回繰り返して、仮焼膜を作製したこと以外は、実施例1と同じ条件で平均膜厚約1.5μmのYBCO超電導薄膜を有するYBCO超電導薄膜線材を作製した。
2.比較例
(1)比較例1
比較例1では、作製した塗布膜を、溶媒乾燥除去工程を設けずに、平均5℃/分の昇温速度で、500℃まで連続的に昇温させ、500℃で2時間保持して仮焼熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件で平均膜厚0.5μmのYBCO超電導薄膜を有するYBCO超電導薄膜線材を作製した。
(2)比較例2
比較例2では、作製した塗布膜を、溶媒乾燥除去工程において、平均5℃/分の昇温速度で、150℃まで加熱し、この温度で1分間保持したこと以外は、実施例1と同じ条件で平均膜厚0.5μmのYBCO超電導薄膜を有するYBCO超電導薄膜線材を作製した。
3.超電導薄膜の表面観察およびIcの測定
実施例1〜3および比較例1、2で得られたYBCO超電導薄膜線材を用いて、YBCO超電導薄膜の表面観察およびIcの測定を行なった。
(1)超電導薄膜の表面観察
図3は、実施例1のYBCO超電導薄膜の表面の顕微鏡の拡大写真を示す図である。図4は、比較例1のYBCO膜の表面の顕微鏡の拡大写真を示す図である。実施例1では、図3に示すように、YBCO超電導薄膜の表面に皺の発生がなく、比較例1では、図4に示すように、YBCO超電導薄膜の表面全面に皺が発生していることが確認された。表1に、実施例1〜3および比較例1、2のYBCO超電導薄膜の表面の観察結果を示す。
(2)Icの測定
各YBCO超電導薄膜線材の超電導特性(Ic)を、77K、自己磁場下において測定し、単位幅(1cm)当たりのIc(A/cm)を求めた。表1に測定結果を示す。
4.YBCO超電導薄膜線材の評価
表1より、実施例1〜3の場合は、いずれもYBCO超電導薄膜の表面に皺が発生せず、Icが高いのに対して、比較例1、2の場合は、いずれもYBCO超電導薄膜の表面に皺が発生しており、Icが低いことが分かる。
これにより、溶媒を充分に蒸発、除去した後、仮焼熱処理を行うことにより、超電導薄膜の表面に皺が発生せず、良好な超電導特性が得られることが確認できた。特に、実施例3では、実施例1と同じ条件で、MOD溶液の塗布、溶媒乾燥除去および仮焼熱処理を行い、これを3回繰り返して、仮焼膜を作製した後、超電導薄膜を作製したため、実施例1、2と比べて、さらに高いIcが得られることが確認できた。
なお、比較例2では、溶媒乾燥除去のための設定温度を、実施例1と同じ温度に設定したが、保持時間が短いため、溶媒が充分に乾燥せず、その後の加熱により、溶媒乾燥とCu金属塩の熱分解が同時に進行したものと考えられる。
以上のように、本発明に従うことにより、MOD溶液の1回塗布当たり塗布厚を厚くした場合であっても、超電導薄膜の表面に皺が発生することがなく、高IcのYBCO超電導薄膜線材を得ることができることが確認できた。
以上、本発明を実施の形態に基づき説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
1 基板(中間層を含む)
2a、2b 仮焼膜

Claims (3)

  1. 基板上に、フッ素を含まない有機金属化合物を原料とする酸化物超電導薄膜を、塗布熱分解法により形成する酸化物超電導薄膜線材の製造方法であって、
    前記有機金属化合物を溶媒に溶解して調製された原料溶液を、前記基板上に塗布して塗膜を作製する塗膜作製工程と、
    前記塗膜を、前記溶媒の沸点と前記有機金属化合物の熱分解開始温度との間の温度雰囲気に、所定時間保持して、前記溶媒を乾燥させ、除去する溶媒乾燥除去工程と、
    溶媒が乾燥、除去された前記塗膜を加熱することにより、前記有機金属化合物を熱分解し、有機成分を除去して、仮焼膜を作製する仮焼熱処理工程と、
    前記仮焼膜を結晶化させて、酸化物超電導薄膜を作製する本焼熱処理工程と
    を備えている
    ことを特徴とする酸化物超電導薄膜線材の製造方法。
  2. 前記溶媒除去工程における温度雰囲気が150〜250℃であり、保持時間が30〜60分であることを特徴とする請求項1に記載の超電導線材の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の酸化物超電導薄膜線材の製造方法を用いて作製された酸化物超電導薄膜が積層されていることを特徴とする酸化物超電導薄膜線材。
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