JP2007165153A6 - 厚膜テープ状re系(123)超電導体の製造方法。 - Google Patents
厚膜テープ状re系(123)超電導体の製造方法。 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】臨界電流値が高い厚膜のテープ状RE系(123)超電導体を製造する。
【解決手段】ハステロイ基板上にGd2Zr2O7およびCeO2を順次形成した複合基板上にYおよびBaのトリフルオロ酢酸塩とCuのナフテン酸塩を溶解した原料溶液を塗布し、仮焼熱処理を施した後、超電導体生成の熱処理より低い温度で中間熱処理を施し、次いで、最高加熱温度760℃、水蒸気分圧13.5%、酸素分圧0.09%のアルゴンガス雰囲気中で超電導体生成の熱処理を施すことにより、約2μmの厚さを超えるYBCO超電導膜を有するテープ状RE系(123)超電導体を製造する。
【選択図】図9
【解決手段】ハステロイ基板上にGd2Zr2O7およびCeO2を順次形成した複合基板上にYおよびBaのトリフルオロ酢酸塩とCuのナフテン酸塩を溶解した原料溶液を塗布し、仮焼熱処理を施した後、超電導体生成の熱処理より低い温度で中間熱処理を施し、次いで、最高加熱温度760℃、水蒸気分圧13.5%、酸素分圧0.09%のアルゴンガス雰囲気中で超電導体生成の熱処理を施すことにより、約2μmの厚さを超えるYBCO超電導膜を有するテープ状RE系(123)超電導体を製造する。
【選択図】図9
Description
本発明は、酸化物超電導体の製造方法に係り、特に超電導マグネット、超電導ケーブル、電力機器等に有用な厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法に関する。
酸化物超電導体は、その臨界温度(Tc)が液体窒素温度を超えることから超電導マグネット、超電導ケーブル及び電力機器等への応用が期待されており、種々の研究が鋭意進められている。
酸化物超電導体を上記の分野に適用するためには、臨界電流密度(Jc)が高く、かつ高い臨界電流(Ic)値を有する長尺の線材を製造する必要があり、一方、長尺テープを得るためには、強度及び可撓性の観点から金属テープ上に酸化物超電導体を形成する必要がある。また、Nb3SnやNb3Al等の金属系超電導体と同等に実用レベルで使用可能とするためには、Ic値が500A/cm(77K、自己磁界中)程度のIc値が必要である。
また酸化物超電導体はその結晶方位により超電導特性が変化することから、面内配向性を向上させることが必要であり、このためにも酸化物超電導体をテープ状の基板上に形成する必要がある。この場合、臨界電流密度を向上させるためには、酸化物超電導体のc軸を基板の板面に垂直に配向させ、かつそのa軸(又はb軸)を基板面に平行に面内配向させて、超電導状態の量子的結合性を良好に保持する必要がある。
テープ状のRE系酸化物超電導体、即ち、RE1+x Ba2-x Cu3 Oy系酸化物超電導体(ここでREは、Y、Nd、Sm、Gd、Eu,Yb、Pr又はHoから選択された少なくとも1種以上の元素を示す。以下RE系(123)超電導体と称する。)の製造方法として、MOD法(Metal Organic Deposition Processes:金属有機酸塩堆積法)が知られている。
このMOD法は、金属有機酸塩を熱分解させるもので、金属成分の有機化合物が均一に溶解した溶液を基板上に塗布した後、これを加熱して熱分解させることにより基板上に薄膜を形成する方法であり、非真空プロセスであることから低コストで高速成膜が可能であるため長尺のテープ状酸化物超電導線材の製造に適する利点を有する。
MOD法においては、出発原料である金属有機酸塩を熱分解させると通常アルカリ土類金属(Ba等)の炭酸塩が生成されるが、この炭酸塩を経由する固相反応による酸化物超電導体の形成には800℃以上の高温熱処理を必要とする。更に、厚膜化を行った際、結晶成長のための核生成が基板界面以外の部分からも生じるため結晶成長速度を制御することが難しく、結果として、面内配向性に優れた超電導膜を得ることが難しい。
MOD法において、炭酸塩を経由せずにRE系(123)超電導体を形成する方法として、フッ素を含む有機酸塩(例えば、TFA塩:トリフルオロ酢酸塩)を出発原料とし、水蒸気雰囲気中で熱処理を行いフッ化物の分解を経由して超電導体を得る方法が近年精力的に行われている。このTFA塩を出発原料とするMOD法では、塗布膜の仮焼後に得られるフッ素を含むアモルファス前駆体と水蒸気との反応により超電導体を作製するが、熱処理中の水蒸気分圧によりフッ化物の分解速度を制御できることから超電導体の結晶成長速度が制御でき、その結果、優れた面内配向性を有する超電導膜が作製できる。また、同法では比較的低温で基板からRE系(123)超電導体をエピタキシャル成長させることかできる。
上述のように、MOD法によりテープ状の酸化物超電導体を製造する場合、実用化のためにはIc値を向上させるための厚膜化が必要不可欠である。TFA塩を出発原料とするMOD法によりこの厚膜化を達成するためには、TFA塩を含む原料溶液の粘性を高くして塗布膜を厚くすることが考えられるが、1回当たりの塗布膜厚が厚くなると、熱処理により分解生成するHF及びCO2 ガスの発生量が増加するため仮焼時に塗布膜が飛散する現象が生じ、結果として高特性を有するテープ状酸化物超電導厚膜を製造することは難しい。
超電導厚膜を作製するために、原料の塗布及び仮焼の工程を繰返して行うことで仮焼膜を厚膜化する方法が考えられるが、上記の従来技術による仮焼熱処理法では、金属有機酸塩の分解速度に影響する仮焼熱処理中の昇温速度が速いためにTFA塩を始めとする金属有機酸塩の分解が不十分であり、仮焼により得られる酸化物超電導前駆体膜中に溶媒や有機鎖が残存する傾向がある。そのため、その後の結晶化熱処理中の昇温時に、残存していたフッ化物等の有機鎖が急激に分解して膜中にクラックやポアが発生する。
この傾向は、塗布と仮焼熱処理を繰り返して多層構造の酸化物超電導前駆体膜を形成して厚膜化する場合に著しくなる。その結果、得られた前駆体厚膜を結晶化し超電導膜を得る際にエピタキシャル成長が困難となり、面内配向性に優れた超電導厚膜を得ることが難しく、Jc特性が頭打ちとなる。更に、クラックの発生によりJc特性は著しく低下する。
このような問題を解決するために、仮焼熱処理中の昇温速度を制御することにより、金属有機酸塩を十分に分解させ、高いJcと厚膜化を達成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、基板上に形成した酸化物超電導前駆体の熱処理時の仮焼熱処理温度及び/又は結晶化熱処理雰囲気中の導入ガスの水蒸気分圧を制御することにより、高配向性と高Jcを有する厚膜のテープ状酸化物超電導体を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、上記の仮焼熱処理中の昇温速度を制御する方法や仮焼熱処理温度及び/又は結晶化熱処理雰囲気中の導入ガスの水蒸気分圧を制御する方法においては、従来よりも厚膜化は達成されるものの、その膜厚は1μm程度に止まり、結晶化熱処理を改良した方法においても2μm程度になるとクラックが発生し、2μmを超える厚膜化には限界があった。
本発明は、高いIc値を得るために必要不可欠な厚膜化の際のクラック発生の問題を解決するためになされたもので、仮焼厚膜を結晶化し超電導体を生成する熱処理時のクラックの発生を防止し、高いIc値を有する厚膜のテープ状RE系(123)超電導体を製造する方法を提供することをその目的とする。
従来法で厚膜化を図った場合において、膜にクラックが生じる原因について調査した。TFA塩を出発原料とするMOD法の特徴は、結晶化熱処理においてフッ素を含む前駆体と水蒸気との反応により超電導体が生成することであり、水蒸気分圧により結晶成長速度を制御できることである。セラミックス膜の結晶化時に発生するクラックには、結晶成長速度が影響することが多い。そこで、まず結晶化時の水蒸気分圧とYBa2Cu3O7−y(以下YBCO)結晶の成長速度との関係を調査した。
(水蒸気モル分率XH2OとYBCO結晶の成長速度との関係)
基板として、LaAlO3 (100)単結晶基板(以下LAO)を用い、この基板上に各金属のトリフルオロ酢酸塩をY:Ba:Cuのモル比が1:2:3となるようにメタノールに溶解した原料溶液を塗布し、最高加熱温度400℃の過熱及び冷却過程により仮焼熱処理を施した後、温度勾配25℃/minで最高加熱温度775℃、酸素分圧0.1%のアルゴンガス雰囲気(ガス流量1l/min、大気圧)中で結晶化熱処理を施して、0.3μmのYBCO超電導膜を形成した。
基板として、LaAlO3 (100)単結晶基板(以下LAO)を用い、この基板上に各金属のトリフルオロ酢酸塩をY:Ba:Cuのモル比が1:2:3となるようにメタノールに溶解した原料溶液を塗布し、最高加熱温度400℃の過熱及び冷却過程により仮焼熱処理を施した後、温度勾配25℃/minで最高加熱温度775℃、酸素分圧0.1%のアルゴンガス雰囲気(ガス流量1l/min、大気圧)中で結晶化熱処理を施して、0.3μmのYBCO超電導膜を形成した。
このときの水蒸気分圧とYBCO超電導相の成長速度との関係を図1に示す。ここでXH2Oは、水蒸気分圧PH2Oをモル分率で表したもので、例えば、PH2O=13.5%はXH2O=0.135に相当する。この結果、YBCO超電導相の成長速度は、水蒸気分圧が上昇するにつれて増大することが明らかとなった。尚、本条件下で得られたいずれの膜にも、クラック発生は認められなかった。
本結果を受け、次に、結晶化時の水蒸気分圧と得られる超電導膜のJc特性との関係を調査した。
(水蒸気分圧PH2OとJc値との関係)
基板として、ハステロイ上にGd2Zr2O7およびCeO2を順次形成した複合基板を用い、この基板上にYおよびBaのトリフルオロ酢酸塩とCuのナフテン酸塩をY:Ba:Cuのモル比が1:2:3となるように2-オクタノン中に溶解した原料溶液を塗布し、最高加熱温度400℃の過熱及び冷却過程により仮焼熱処理を施した後、温度勾配25℃/minで最高加熱温度760℃、酸素分圧0.1%のアルゴンガス雰囲気(ガス流量1l/min、大気圧)中で結晶化熱処理を施して、1.2μmのYBCO超電導膜を形成した。
基板として、ハステロイ上にGd2Zr2O7およびCeO2を順次形成した複合基板を用い、この基板上にYおよびBaのトリフルオロ酢酸塩とCuのナフテン酸塩をY:Ba:Cuのモル比が1:2:3となるように2-オクタノン中に溶解した原料溶液を塗布し、最高加熱温度400℃の過熱及び冷却過程により仮焼熱処理を施した後、温度勾配25℃/minで最高加熱温度760℃、酸素分圧0.1%のアルゴンガス雰囲気(ガス流量1l/min、大気圧)中で結晶化熱処理を施して、1.2μmのYBCO超電導膜を形成した。
このときの水蒸気分圧とYBCO超電導膜のJc値との関係を図2に示す。この結果から明らかなように、本結晶化条件下では、YBCO超電導膜のJc値は、水蒸気分圧がPH2O=13.5%までは水蒸気分圧の上昇とともに増大するが、この値を超えるとYBCO超電導膜中のクラックの発生やポアの生成によりJc値は急激に低下する。
以上の図1および図2の結果から、製造速度の観点からはYBCO超電導相の成長速度が大きい(水蒸気分圧が大きい)方が望ましいが、超電導特性上の点からはYBCO超電導相の成長速度の増加には限界があり、この傾向はYBCO超電導膜が増大するにつれて大きくなることがわかった。
そこで、今後の厚膜高Ic化のためにクラックが発生しない適正熱処理条件を検討する目的から、各YBCOの膜厚に対し、クラックが発生しない臨界水蒸気分圧を調査した。各YBCO膜の膜厚における水蒸気分圧とクラック発生との関係を図3に示す。その結果、臨界水蒸気分圧は、YBCOの膜厚と結晶化時の昇温速度に依存性を示し、YBCOの膜厚が増大するに従って臨界水蒸気分圧が低くなり、高速化の観点からは成長速度が遅い領域の水蒸気分圧下でしか厚膜が焼成できないことがわかった。
次に、クラック発生の原因を調べるために、膜厚が2.2μmのYBCO膜について、結晶化時の膜の組織観察を行った。熱処理を開始し炉内温度が結晶化温度に到達した時点で試料を炉から取り出し、YBCO生成の結晶化が始まる直前の膜断面の組織を観察した。図4に示した電子顕微鏡による観察の結果から、加熱処理の際の昇温時の急激な有機分の分解・脱離後に形成するポアが大きくまた数が多いことに起因し組織が荒れていること、フッ化物が多く存在していることがわかった。ポアが多く荒れたこの組織が、その後のYBCO相生成に伴う膜の堆積収縮時の局所的な歪み応力の起点となり、これがクラック発生の原因となっていると考えられる。
以上の結果から、高Ic化の目的達成には厚膜でクラックが発生しない熱処理条件を見出すことが必要不可欠であり、そのためにはYBCO生成温度に至る前に有機分あるいはフッ化物をゆっくり排出させ、平坦な膜質で結晶化に移行させる必要があることが判明した。
本発明による厚膜のテープ状RE系(123)超電導体を製造する方法は、上述知見に基づいてなされたもので、基板上に、RE系(123)超電導体を構成する金属元素を含む原料溶液を塗布した後、仮焼熱処理を施し、次いで超電導体生成の熱処理を施すことによりRE系(123)超電導体を製造する方法において、仮焼熱処理と超電導体生成の熱処理との間に超電導体生成の熱処理温度より低い温度で中間熱処理を施すことを特徴とし、この中間熱処理によりYBCOの結晶化温度に至る前に仮焼での残存有機分あるいは剰余フッ化物を排出することができるものである。
そして、膜厚が2.2μmのYBCO膜について、550℃にて1時間中間熱処理を行い、その後、炉内温度が結晶化温度に到達した時点で試料を炉から取り出し、YBCO生成の結晶化が始まる直前の膜断面の組織を観察し、中間熱処理の効果を確認した。図5に示した電子顕微鏡による観察の結果から、図4で見られたポアが中間熱処理により著しく減少していることが認められ、膜断面の荒れも減少し緻密になっていることが確認された。
ここで、中間熱処理と従来の熱処理のプロファイルを図6に示す。図6(A)は従来の熱処理のプロファイルを示したもので、約400℃までの加熱に続く冷却過程により構成される仮焼熱処理の後、約760℃までの加熱に続く所定時間の定温維持および冷却過程により構成される超電導体生成の熱処理により、RE系(123)超電導体が製造される。
本発明においては、同図(B)に示すように、例えば、約500℃までの加熱に続く冷却過程により構成される仮焼熱処理の後、約550℃までの加熱に続く所定時間の定温維持により構成される中間熱処理と、これに続く約760℃までの加熱および所定時間の定温維持並びに冷却過程により構成される超電導体生成の熱処理により、RE系(123)超電導体が製造される。即ち、仮焼熱処理と超電導体生成の熱処理との間に超電導体生成の熱処理温度より低い温度で中間熱処理を施すものである。
以上のように、仮焼熱処理は、中間熱処理の熱処理温度より低い温度で施すことが好ましく、また、中間熱処理および超電導体生成の熱処理は、図6(B)に示すように連続する加熱および冷却過程により構成することが好ましい。加熱および冷却過程により構成される仮焼熱処理は、原料溶液の塗布と塗布後の仮焼熱処理を複数回に亘って施すこともできる。複数回の仮焼熱処理温度は同一温度でなくてもよい。
一方、本発明における仮焼熱処理および中間熱処理は、図7に示すように、それぞれ加熱および冷却過程により構成することもできる。同図(A)は、中間熱処理中で所定時間維持するもので、一方、同図(B)は、中間熱処理を加熱および冷却過程のみにより構成するものであり、いずれの方法も用いることができる。双方とも仮焼熱処理および中間熱処理を、それぞれ加熱および冷却過程により構成し、原料溶液の塗布と塗布後の仮焼熱処理を複数回に亘って施し、その後、中間熱処理を少なくとも1回施すことが好ましく、この場合中間熱処理は原料溶液の塗布後に施すこともできる。
また、中間熱処理とその後に施す超電導体生成の熱処理を、連続する加熱および冷却過程により構成することもできる。複数回の仮焼熱処理温度は同一温度でなくてもよい。原料溶液の塗布後に中間熱処理を施す場合には、加熱および冷却過程により構成される中間熱処理に原料溶液塗布後の仮焼熱処理が実質的に含まれることになる。
即ち、原料溶液として、有機溶媒とフッ素を含む金属有機酸塩の混合溶液を用いるTFA―MOD法により、基板上にRE系(123)超電導体を形成する場合、従来の方法により塗布および仮焼を繰返して膜厚化すると、前述のように、金属有機酸塩の分解が不十分となり、結晶化熱処理中の昇温時に残存していたフッ化物が急激に分解して膜中にクラックやポアが発生するため、厚膜中の余剰フッ化物をより温度の高い中間熱処理によって確実に取り除く必要が生ずる。しかしながら、中間熱処理温度が仮焼熱処理温度よりも高いことから、同一昇温速度で比較すると仮焼熱処理よりも一回の熱処理時間が長くなるため、厚膜化するほど総熱処理時間が増大する。
高速厚膜化の要求に対しては、本発明は、図8(A)または(B)に示す方法により実施することができる。
図8(A)に示す本発明の方法においては、仮焼熱処理および中間熱処理を、連続する加熱および冷却過程により構成し、かつ原料溶液の塗布並びにこの連続する加熱および冷却過程を複数回に亘って施して高速厚膜化を図るものである。この場合には、所定温度までの加熱過程で仮焼熱処理が施され、これに続く加熱および冷却過程により中間熱処理が施される。この場合の複数回の仮焼熱処理温度および中間熱処理温度は、それぞれ同一温度でなくてもよい。
一方、図8(B)に示す本発明の方法においては、仮焼熱処理および中間熱処理を、それぞれ加熱および冷却過程により構成し、原料溶液の塗布と塗布後の仮焼熱処理を複数回に亘って施し、その後、原料溶液を塗布して行なう中間熱処理を複数回に亘って施すようにしたものである。本方法は、ある膜厚までは従来の仮焼方法を取り入れ、それ以降は原料溶液の塗布後の中間熱処理を施すことにより高速化を図るものである。なお、この場合の複数回の仮焼熱処理温度および中間熱処理温度は、それぞれ同一温度でなくてもよい。
さらに、本発明による厚膜のテープ状RE系(123)超電導体の製造方法は、図8(C)に示すように、基板上に、RE系(123)超電導体を構成する金属元素を含む原料溶液を塗布した後、仮焼熱処理を施し、次いで超電導体生成の熱処理を施すことによりRE系(123)超電導体を製造する方法において、加熱および冷却過程により構成される仮焼熱処理と、仮焼熱処理の温度より高く、かつ超電導体生成の熱処理温度より低い温度の加熱および冷却過程により構成される中間熱処理とを原料溶液の塗布後に連続して施し、原料溶液の塗布後の仮焼熱処理および中間熱処理を複数回に亘って施した後、超電導体生成の熱処理を施すようにしたものである。
TFA―MOD法を用いた本発明による厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法は、2軸配向性基板上に、RE1+x Ba2-x Cu3 Oy超電導体を構成する金属元素のフッ素を含む金属有機酸塩と有機溶媒からなる原料溶液を塗布した後、仮焼熱処理を施し、次いで超電導体生成の熱処理を施すことにより超電導体を製造する方法において、仮焼熱処理と超電導体生成の熱処理との間に、RE1+x Ba2-x Cu3 Oy超電導体の生成温度未満の中間熱処理を施すとともに、仮焼熱処理を混合溶液中の有機溶媒の揮散および金属有機酸の分解温度以上で、かつ中間熱処理の熱処理温度より低い温度で施すようにしたものである。
本発明においては、仮焼熱処理と超電導体生成の熱処理との間に超電導体生成の熱処理温度より低い温度で中間熱処理を施すことにより、厚膜化に伴う超電導体生成の熱処理時に発生するクラックの発生を防止し、高いIc値を有する2μmを超える厚膜のテープ状RE系(123)超電導体を製造することができる。
また、上記の中間熱処理を施すことにより、超電導体生成の熱処理時の水蒸気分圧を高くして高速厚膜化を達成することが可能となる。
本発明は、以上述べたように、仮焼熱処理と超電導体生成の熱処理との間に超電導体生成の熱処理温度より低い温度で中間熱処理を施すことを主な特徴とするものである。
そして、上記の中間熱処理は、350〜750℃の温度範囲で施し、この中間熱処理の熱処理温度より低い温度で仮焼熱処理を施すことが好ましい。また、この中間熱処理は、RE系(123)超電導体と非反応性のガス中に水蒸気及び酸素を含む混合ガス雰囲気中で施すことが好ましいが、酸素、アルゴンまたは大気中で施すことも可能である。混合ガス雰囲気を採用する場合は、1%以下の酸素分圧であることが好ましい。
本発明は、TFA―MOD法を採用することにより、その効果がより発揮されるが、この場合の原料溶液としては、有機溶媒と金属有機酸塩、例えば、カルボキシル基を有する金属塩、アミノ基を有するアミン類金属塩、アミノ基及びカルボキシル基からなるアミノ酸金属塩、硝酸塩、金属アルコキシド、アセチルアセトナートのいずれか1種以上と有機溶媒との混合溶液が用いられ、特に、トリフルオロ酢酸塩、ナフテン酸塩、オクチルサン酸塩、ネオデカン酸塩、イソノナン酸塩または三酢酸塩のいずれか1種以上を含む混合溶液が用いられる。この場合において、原料溶液として、有機溶媒とフッ素を含む金属有機酸塩の混合溶液を用いることがより好ましい。
TFA―MOD法における仮焼熱処理は、混合溶液中の有機溶媒の揮散および金属有機酸の分解温度以上で、かつ中間熱処理の熱処理温度より低い温度で施すことが好ましく、一方、中間熱処理は、BaF2の分解温度およびRE系(123)超電導体の生成温度未満で施される。この中間熱処理により主にBaF2以外のフッ素が低減され、中間熱処理に続く超電導体生成の熱処理時の反応を効率よく達成することができる。
本発明において使用される基板としては、単結晶基板又は2軸配向性の多結晶基板のいずれも用いることができる。
単結晶基板としてはLaAlO3 (100)単結晶基板(LAO単結晶基板)等を用いることができ、一方、多結晶基板としては配向性Ni基板やIBAD法(Ion Beam Assisted Deposition)を用いた複合基板等を用いることができる。
配向性Ni基板は、冷間において強圧延加工したNi基板を真空中で熱処理を施して高配向させたもので、RABiTS(商標:rolling-assisted biaxially textured-substrates)と称されている。この配向性Ni基板の上に、高温の不活性ガス雰囲気中でエレクトロンビーム蒸着によりセリウムを堆積させ、この堆積中に水蒸気を存在させることにより、CeO2 のエピタキシャル層の薄膜を設け、さらにその上にスパッタリング法により高温減圧下でYSZ(イットリウム安定化ジルコニア)の厚膜を形成したものを基板として用いることができる。
このCeO2 層及びYSZ層はバッファ層としての機能を有し、超電導層との反応を抑制して超電導特性の低下を防止し、超電導層との整合性を維持するために配置されている。さらに、上記のYSZ層の上にY1+x Ba2-x Cu3 Oy(以下、YBCOという。)超電導体との結晶学的な整合性により優れたCeO2 の薄膜を設けたものも基板として用いることができる。
さらに、IBAD法を用いた複合基板は、非磁性で高強度のテープ状Ni系基板上(ハステロイ等)に、このNi系基板に対して斜め方向からイオンを照射しながら、ターゲットから発生した粒子を堆積させて形成した高配向性を有し超電導体を構成する元素との反応を抑制する中間層(CeO2 、Y2 O3 、YSZ等)を設けたもので、上記の中間層を2層構造としたもの(YSZ又はZr2 R X2 O7 /CeO2 又はY2 O3 等:Rxは、Y、Nd、Sm、Gd、Ei、Yb、Ho、Tm、Dy、Ce、La又はErを示す。)もよく適合する(特開平4−329867号、特開平4−331795号,特願2000−333843号)。
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1
基板として、ハステロイ上にGd2Zr2O7およびCeO2を順次形成した複合基板を用い、この基板上にYおよびBaのトリフルオロ酢酸塩とCuのナフテン酸塩をY:Ba:Cuのモル比が1:2:3となるように2-オクタノン中に金属含有量が1.2mol/lの濃度に溶解した原料溶液を塗布し、温度勾配2℃/minで最高加熱温度500℃、水蒸気分圧2.1%の酸素ガス雰囲気(ガス流量1l/min、大気圧)中で仮焼熱処理を施した。
基板として、ハステロイ上にGd2Zr2O7およびCeO2を順次形成した複合基板を用い、この基板上にYおよびBaのトリフルオロ酢酸塩とCuのナフテン酸塩をY:Ba:Cuのモル比が1:2:3となるように2-オクタノン中に金属含有量が1.2mol/lの濃度に溶解した原料溶液を塗布し、温度勾配2℃/minで最高加熱温度500℃、水蒸気分圧2.1%の酸素ガス雰囲気(ガス流量1l/min、大気圧)中で仮焼熱処理を施した。
次いで、水蒸気分圧13.5%、酸素分圧0.09%(ガス流量1l/min、大気圧)の雰囲気中で室温から550℃まで5℃/minの温度勾配で加熱し、この温度で1〜2時間保持して中間熱処理を施した。
以上の中間熱処理の後、550℃から3℃/minの温度勾配で過熱し、最高加熱温度760℃、水蒸気分圧13.5%、酸素分圧0.09%のアルゴンガス雰囲気(ガス流量1l/min、大気圧)中で超電導体生成の熱処理を施した。
図8に示す方法により塗布回数を変えて製造したテープ状RE系(123)超電導体のYBCO超電導膜の厚さを図9の白丸で示す。同図において、白丸はクラックの発生が認められない場合に対応している。
以上の本発明の方法により、仮焼熱処理と超電導体生成の熱処理との間で中間熱処理を施して製造されたYBCO超電導膜は、約2.5〜4μmの範囲に亘っていずれもクラックの発生は認められない。
比較例1
実施例1と同一の基板および原料溶液を用い、図6(A)に示す方法により仮焼熱処理および超電導体生成の熱処理を施した。
実施例1と同一の基板および原料溶液を用い、図6(A)に示す方法により仮焼熱処理および超電導体生成の熱処理を施した。
仮焼熱処理は、温度勾配2℃/minで最高加熱温度400℃、水蒸気分圧2.1%の酸素ガス雰囲気(ガス流量1l/min、大気圧)中で施した。
一方、超電導体生成の熱処理は、温度勾配を2〜25℃/minの範囲で変動させ、最高加熱温度760℃、水蒸気分圧1〜25%の範囲で酸素分圧0.1%のアルゴンガス雰囲気(ガス流量1l/min、大気圧)中で施した。
塗布回数を変えて製造したテープ状RE系(123)超電導体のYBCO超電導膜の厚さと水蒸気分圧との関係を、温度勾配を変動因子として表した図9において、温度勾配の白抜き記号はクラックの発生が認められない場合に対応しており、黒で塗りつぶした記号はクラックの発生が認められた場合に対応している。
この結果から明らかなように、仮焼熱処理と超電導体生成の熱処理との間で中間熱処理を施さずに製造されたYBCO超電導膜は、YBCO超電導相の成長速度を増大させるために水蒸気分圧を上昇させると0.5〜1.2μm程度の膜厚しか得られない。一方、厚膜化を図るために水蒸気分圧を低下させた場合でも2μm程度の膜厚が限界である。
(表面形態の比較)
図10(A)は、上記実施例1におけるYBCO超電導膜厚が3.9μmの場合の光学顕微鏡によるYBCO超電導膜の表面形態を示したもので、同図(B)は、上記比較例1におけるYBCO超電導膜厚が2.2μm(超電導体生成の熱処理は、温度勾配を2℃/min、水蒸気分圧13.5%)の場合の光学顕微鏡によるYBCO膜の表面形態を示したものである。尚、同図(B)における黒線はクラック部分を明確化するために表記されている。
図10(A)は、上記実施例1におけるYBCO超電導膜厚が3.9μmの場合の光学顕微鏡によるYBCO超電導膜の表面形態を示したもので、同図(B)は、上記比較例1におけるYBCO超電導膜厚が2.2μm(超電導体生成の熱処理は、温度勾配を2℃/min、水蒸気分圧13.5%)の場合の光学顕微鏡によるYBCO膜の表面形態を示したものである。尚、同図(B)における黒線はクラック部分を明確化するために表記されている。
この図から明らかなように、実施例1と同一の水蒸気分圧13.5%で中間熱処理を施さずにYBCO超電導膜を形成した場合には、クラックが発生し、超電導特性が著しく低下する。また、電子顕微鏡による観察の結果、上記比較例1に対応する試料については、昇温時の急激なフッ化物の分解、脱離による大きなポアの発生が認められたのに対し、上記実施例1に対応する試料については、中間熱処理を施すことによって膜中の残存ポアが極めて少なく、その結果、膜質も緻密になっていることが明瞭に観察された。
実施例2
実施例1と同様の方法により仮焼熱処理と超電導体生成の熱処理との間で中間熱処理を施して製造したテープ状RE系(123)超電導体のYBCO超電導体についてIc値(77K、自己磁界中)を測定した。YBCO超電導膜の厚さとIc値の関係を図11中の白丸で示す。
実施例1と同様の方法により仮焼熱処理と超電導体生成の熱処理との間で中間熱処理を施して製造したテープ状RE系(123)超電導体のYBCO超電導体についてIc値(77K、自己磁界中)を測定した。YBCO超電導膜の厚さとIc値の関係を図11中の白丸で示す。
比較例2
比較例1と同様の方法により基板上に仮焼膜を形成し、この上にYBCO超電導膜を形成した。超電導体生成の熱処理は、温度勾配を2〜25℃/minの範囲で変動させ、最高加熱温度760℃、水蒸気分圧6.3〜13.5%の範囲で酸素分圧0.05〜1%のアルゴンガス雰囲気(ガス流量1l/min)中で超電導体生成の熱処理を施した。
比較例1と同様の方法により基板上に仮焼膜を形成し、この上にYBCO超電導膜を形成した。超電導体生成の熱処理は、温度勾配を2〜25℃/minの範囲で変動させ、最高加熱温度760℃、水蒸気分圧6.3〜13.5%の範囲で酸素分圧0.05〜1%のアルゴンガス雰囲気(ガス流量1l/min)中で超電導体生成の熱処理を施した。
塗布回数を変えて製造したテープ状RE系(123)超電導体のYBCO超電導膜の厚さとIc値(77K、自己磁界中)の関係を図11中の黒丸で示す。
(Ic値、膜厚の比較)
以上の実施例2および比較例2の結果から明らかなように、仮焼熱処理と超電導体生成の熱処理との間で中間熱処理を施して製造されたYBCO超電導膜は、
約2.5〜4μmの範囲に亘っていずれも最高Ic値470A/cmまでの高い値を示すのに対し、仮焼熱処理と超電導体生成の熱処理との間で中間熱処理を施さずに製造されたYBCO超電導膜は、膜厚が増大するにつれてIc値も増加するが、膜厚に限界があるためIc値は400から430A/cm程度に留まる。
以上の実施例2および比較例2の結果から明らかなように、仮焼熱処理と超電導体生成の熱処理との間で中間熱処理を施して製造されたYBCO超電導膜は、
約2.5〜4μmの範囲に亘っていずれも最高Ic値470A/cmまでの高い値を示すのに対し、仮焼熱処理と超電導体生成の熱処理との間で中間熱処理を施さずに製造されたYBCO超電導膜は、膜厚が増大するにつれてIc値も増加するが、膜厚に限界があるためIc値は400から430A/cm程度に留まる。
本発明により超電導体の厚膜化が可能になるため、高いIc値を有する厚膜テープ状RE系(123)超電導体を製造することができ、非真空プロセスであるMOD法により超電導層を形成するため、長尺線材に適し、その製造コストを著しく低減させることができ、電導マグネット、超電導ケーブル及び電力機器等へ適用することができる。
Claims (22)
- 基板上に、RE系(123)超電導体を構成する金属元素を含む原料溶液を塗布した後、仮焼熱処理を施し、次いで超電導体生成の熱処理を施すことによりRE系(123)超電導体を製造する方法において、前記仮焼熱処理と前記超電導体生成の熱処理との間に前記超電導体生成の熱処理温度より低い温度で中間熱処理を施すことを特徴とする厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 仮焼熱処理は、前記中間熱処理の熱処理温度より低い温度で施すことを特徴とする請求項1記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 中間熱処理および超電導体生成の熱処理は、連続する加熱および冷却過程により構成されることを特徴とする請求項1または2記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 仮焼熱処理および中間熱処理は、それぞれ加熱および冷却過程により構成されることを特徴とする請求項1または2記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 仮焼熱処理および中間熱処理は、連続する加熱および冷却過程により構成され、かつ前記原料溶液の塗布並びに前記連続する加熱および冷却過程を複数回に亘って施すことを特徴とする請求項1または2記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 仮焼熱処理および中間熱処理は、それぞれ加熱および冷却過程により構成され、前記原料溶液の塗布と塗布後の前記仮焼熱処理を複数回に亘って施し、前記中間熱処理を少なくとも1回施すことを特徴とする請求項1または2記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 仮焼熱処理は、加熱および冷却過程により構成され、前記原料溶液の塗布と塗布後の前記仮焼熱処理を複数回に亘って施し、前記中間熱処理および前記超電導体生成の熱処理は、連続する加熱および冷却過程により構成されることを特徴とする請求項1または2記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 仮焼熱処理および中間熱処理は、それぞれ加熱および冷却過程により構成され、前記原料溶液の塗布と塗布後の前記仮焼熱処理および前記原料溶液の塗布と塗布後の前記中間熱処理を、それぞれ複数回に亘って施すことを特徴とする請求項1または2記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 基板上に、RE系(123)超電導体を構成する金属元素を含む原料溶液を塗布した後、仮焼熱処理を施し、次いで超電導体生成の熱処理を施すことによりRE系(123)超電導体を製造する方法において、前記原料溶液を塗布しその後連続して加熱および冷却過程により構成される前記仮焼熱処理と、前記仮焼熱処理の温度より高く、かつ前記超電導体生成の熱処理温度より低い温度の加熱および冷却過程により構成される中間熱処理とを施し、次いで前記原料溶液の塗布と塗布後の前記仮焼熱処理および前記中間熱処理を複数回に亘って施した後、前記超電導体生成の熱処理を施すことを特徴とする厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 中間熱処理は、350〜750℃の温度範囲であることを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 中間熱処理は、RE系(123)超電導体と非反応性のガス中に水蒸気及び酸素を含む混合ガス雰囲気中で施すことを特徴とする請求項10記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 中間熱処理は、酸素、アルゴンまたは大気中で施すことを特徴とする請求項10記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 混合ガスは、1%以下の酸素分圧であることを特徴とする請求項12記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 原料溶液は、カルボキシル基を有する金属塩、アミノ基を有するアミン類金属塩、アミノ基及びカルボキシル基からなるアミノ酸金属塩、硝酸塩、金属アルコキシド、アセチルアセトナートのいずれか1種以上と有機溶媒との混合溶液からなることを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 原料溶液は、有機溶媒とトリフルオロ酢酸塩、ナフテン酸塩、オクチルサン酸塩、ネオデカン酸塩、イソノナン酸塩または三酢酸塩のいずれか1種以上を含む混合溶液からなることを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 原料溶液は、有機溶媒とフッ素を含む金属有機酸塩の混合溶液からなることを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 仮焼熱処理は、混合溶液中の有機溶媒の揮散および金属有機酸の分解温度以上で、かつ中間熱処理の熱処理温度より低い温度で施されることを特徴とする請求項15または16記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 中間熱処理は、BaF2の分解温度およびRE系(123)超電導体の生成温度未満であることを特徴とする請求項16または17記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 基板は、2軸配向性基板であることを特徴とする請求項1乃至18いずれか1項記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- RE系(123)超電導体は、RE1+X Ba2-X Cu3 OY (ここでREは、Y、Nd、Sm、Gd、Eu,Yb、Pr又はHoから選択された少なくとも1種以上の元素を示す。以下同じ。)からなることを特徴とする請求項1乃至19いずれか1項記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 2軸配向性基板上に、RE1+X Ba2-X Cu3 OY超電導体を構成する金属元素のフッ素を含む金属有機酸塩と有機溶媒からなる原料溶液を塗布した後、仮焼熱処理を施し、次いで超電導体生成の熱処理を施すことにより超電導体を製造する方法において、前記仮焼熱処理と前記超電導体生成の熱処理との間に、前記RE1+X Ba2-X Cu3 OY超電導体の生成温度未満の中間熱処理を施すとともに、前記仮焼熱処理を混合溶液中の有機溶媒の揮散および金属有機酸の分解温度以上で、かつ中間熱処理の熱処理温度より低い温度で施すことを特徴とする厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
- 超電導体の膜厚は、2.0μm以上であることを特徴とする請求項1乃至21いずれか1項記載の厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法。
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