JP2009104813A - 超伝導材 - Google Patents

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Abstract

【課題】Tcが高く、ピンニング力の大きい超伝導体を提供する。
【解決手段】MgB2からなる超伝導物質層と、MgB2及びNiからなるメッシュ状の混合層とを交互に積層し、磁場を印加した場合に、内部に侵入する量子化磁束の間隔と混合層とが一致するように膜厚を調製することにより、量子化磁束によって生じるローレンツ力を効率良くピンニングし、なおかつ、ピンニングセンター層を含まない超伝導体と同等の超伝導転移温度を保持する。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、核磁気共鳴装置、医療用MRI装置などの信号検出コイル、超伝導マグネット、超伝導線などに用いる超伝導材に関する。
超伝導体は、電気抵抗がゼロの状態で電流を流すことができる材料であるため、超電導材料を用いた様々な研究が行われている。例えば、核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance)装置(以下、NMR装置と称す)のパルス発生兼信号検出用コイルの材料に超伝導体を用いることが検討されている。
従来、NMR装置のパルス発生兼信号検出用コイルの材料には銅が用いられている。この銅の代わりに超伝導材料を用いることができれば、感度を向上させたり、計測時間を大幅に短縮させたりすることができる。特に、NMR装置のパルス発生兼信号検出用コイルは、信号を検出する機能とパルス波を発生させる機能とを兼ね備える必要があり、パルス発生兼信号検出用コイルには大きな電流を流さなければならないため、超伝導体を用いることが検討されている。
このような用途に用いる超伝導体としては、例えば、二ホウ化マグネシウム(MgB2)がある。MgB2は、金属系超伝導体の中で超伝導転移温度(Tc)が39Kと最も高い。また、Mg及びBは自然界に豊富に存在するため、低コストでMgB2を製造することができるとともに、環境に対する負荷が小さい。さらに、MgB2は、超伝導という特殊な量子状態がどの程度の空間的変化を持っているかを示すコヒーレンス長が酸化物超伝導体に比べて長いという性質を具えているため、超伝導体の結晶粒界を薄くする必要がなく、配向化する手間が不要である。
図13は、超伝導体における量子化磁束線及びローレンツ力の方向を示す図である。
図13に示すように、超伝導体に下部臨界磁場Hc1以上の磁場をかけると量子化磁束が形成され、超伝導体の内部に量子化磁束が侵入する。この状態で超伝導体に電流を流すと、この量子化磁束にローレンツ力が加わるため、量子化磁束が動くことによるエネルギーロスが発生し、このロスがジュール熱に変換されることにより電気抵抗が発生してしまう。そこで、この量子化磁束を固定するために、MgO、SiC等の非超伝導物質(ピンニングセンター)の小さな粒を超伝導体の内部に分散させることによって、発生するローレンツ力をピンニングして超伝導状態を保持する技術が知られている。
また、大きな電流を流すために臨界電流密度(Jc)を向上させる技術としては、超伝導物質からなる箔と、非超伝導物質からなる箔とを交互に積層させる技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平3−263714号公報 X. Zeng et al., "In situ epitaxial MgB2 thin films for superconducting electronics,"Nature Materials, vol.1,pp.35-38,2002.
しかしながら、前述したようにピンニングセンターを超伝導体の内部に分散させた場合、量子化磁束とピンニングセンターとが重なる体積が小さいため、ピンニング力が小さい。このため、電気抵抗をゼロで流すことができる電流値が小さくなってしまうという問題点がある。そこで、ピンニング力を大きくするために、例えば、特許文献1に示すように超伝導物質と非超伝導物質とを交互に積層して、ピンニングセンターの体積を増加させると、非超伝導物質の割合が大きくなり、超伝導転移温度(Tc)が低下してしまうという問題点がある。
本発明は前述の問題点に鑑み、Tcが高く、ピンニング力の大きい超伝導材を提供することを目的としている。
本発明の超伝導材は、非酸化物の超伝導物質からなる単層と、前記超伝導物質及び非超伝導物質の混合層とが交互に積層していることを特徴とする。
本発明によれば、超伝導物質及び非超伝導物質の混合層を超伝導材の中に設けたので、Tcが高く、ピンニング力の大きい超伝導体を提供することできる。
本発明者は、前述した課題を解決すべく鋭意検討した結果、超伝導物質からなる層と、前記超伝導物質及び非超伝導物質の混合層(ピンニングセンター層)とを交互に積層することにより、量子化磁束に加わるローレンツ力を効率よくピンニングすることができ、しかも超伝導転移温度(Tc)を維持できることを見いだした。
図1は、量子化磁束が侵入する位置を示す図である。
図1に示すように、一般に超伝導体は、下部臨界磁界Hc1以上の磁場が発生すると、超伝導体の内部に侵入してくる磁界が量子化されて、三角格子を形成するように量子化磁束が並ぶ性質を有している。従って、量子化磁束が並ぶ位置にピンニングセンター層が設けられていると、電流が流れた場合に量子化磁束に加わるローレンツ力がピンニングされる。
なお、超伝導物質としては、MgB2が好ましい。前述したようにMgB2は、金属系超伝導材料の中で超伝導転移温度(Tc)が39Kと最も高く、低コストでMgB2を製造することができるとともに、環境に対する負荷が小さい。さらに、コヒーレンス長が酸化物超伝導体に比べて長い(約2.5nm)ため、配向化する手間が不要である。
また、ピンニングセンター層の厚さについては、層が厚くなるほど非超伝導物質が占める割合が大きくなり、その分Tcが低下する可能性がある。したがって、非常に薄い層厚でも大きなピンニング効果が得られる強磁性金属(例えば、Ni、Fe、Coなど)を非超伝導物質に用いることが好ましい。Ni、Fe、Coなどの強磁性体は、磁束をひきつける性質を有するため、非常に薄い層厚でも大きなピンニング効果が得られる。また、非超伝導物質にBを用いてもよい。BはMgB2を構成する元素であって単体では絶縁性の物質であるので、本発明のような積層構造を作製する際に使用する非超伝導物質として好ましい。
また、印加する磁場の大きさによって量子化磁束の間隔Lも変化する。以下、量子化磁束の間隔を計算する方法について説明する。量子化磁束線1本の大きさφ0は、以下の数1に示す式により求めることができる。
(h:プランク定数、e:電荷素量)
次に、単位面積当たりの量子化磁束線の本数nは、以下の数2に示す式により求めることができる。
また、図1に示す三角格子の面積SはL2/√3(m2)であり、1つの三角格子を通過する量子化磁束線は1/2本であることから、印加磁場Bと量子化磁束の間隔L(m)との関係は、以下の数3に示す式で表すことができる。
以上のような計算手順により量子化磁束の間隔Lを求めることができる。印加磁場(磁束密度)Bと量子化磁束の間隔Lとの関係を表1に示す。
以上のように、印加磁場の大きさによって、量子化磁束の間隔は異なる。したがって、量子化磁束に加わるローレンツ力を効率よくピンニングできるようにするには、超伝導物質の層の厚さは超伝導物質のコヒーレンス長の2倍以上42nm以下で、かつ超伝導物質及び非超伝導物質の混合層(ピンニングセンター層)の厚さは0.1nm以上超伝導物質のコヒーレンス長の2倍以下であることが好ましい。
超伝導物質の層の厚さが超伝導物質のコヒーレンス長の2倍よりも小さいと、量子化磁束線同士が重なってしまい、ピンニング効果が得られないことがある。そして、超伝導物質の層の厚さが42nmを超えると、1T以上の磁場中では十分に高いピンニング力が得られないことがある。つまり、超伝導物質の層の厚さが42nmよりも厚くしても1T未満の磁場を与えることしかできなくなり、ピンニング力のことを考慮する必要がない。また、通常の銅線を用いた電磁石であっても1T未満の磁場を安定して発生させることができるため、例えば本発明の超伝導材を電磁石として用いる場合、1T未満の磁場を発生させるために高コストの超伝導材を電磁石として使用する経済的メリットはない。したがって、超伝導物質の層の厚さは超伝導物質のコヒーレンス長の2倍以上42nm以下であることが好ましい。逆に更にピンニングセンター層の厚さは超伝導物質のコヒーレンス長の2倍であるときに最も高いピンニング力を与える。これ以上の厚さになるとピンニング力が緩やかに低下してしまい、超伝導電流が流れる超伝導層の割合が少なくなってしまうため、臨界電流密度が低下してしまう。逆に0.1nm未満であると、層が薄すぎるため、量子化磁束線をひきつけるピンニング力が不足し、ピンニング効果が得られない。したがって、超伝導物質としてMgB2を用いた場合には、超伝導物質の層の厚さは5nm〜42nmで、かつ超伝導物質及び非超伝導物質の混合層(ピンニングセンター層)の厚さは0.1nm〜5nmであることが好ましい。
図2〜図4は、本発明の実施形態に係る超伝導材の構造を示す図である。図2に示す本発明の実施形態においては、超伝導層21と混合層22とが交互に積層されている。超伝導層21は超伝導物質(MgB2)から構成されており、混合層22には非超伝導メッシュが含まれている。なお、非超伝導メッシュの隙間には、超伝導物質(MgB2)が入り込んでいる。
前述したように、超伝導体は、磁場を印加すると三角格子を形成するように量子化磁束が並ぶ性質を有している。図2に示す実施形態のように、量子化磁束が並ぶ位置に混合層22が設けられていると、電流が流れた場合に量子化磁束に加わるローレンツ力がピンニングされる。これにより、超伝導転移温度(Tc)を低下させずにピンニング力を大きくすることができる。
図3に示す実施形態では、混合層32に複数の非超伝導線が含まれており、その隙間に超伝導物質が入り込んでいる。また、図4に示す実施形態では、超伝導膜中に非超伝導凝集物が分散して混合層42が構成されている。
図2または図3に示す混合層の形成に当たっては、まず、超伝導層21上に非超伝導層を形成し、レーザー光、イオンビーム、電子ビームなどを用いて取り除きたい部分を非超伝導層から取り除く。そして、非超伝導層上に超伝導物質層を成膜する。この成膜の際に、非超伝導層の隙間に超伝導物質が入り込み、混合層が形成される。なお、レーザー光、イオンビーム、電子ビームなどを用いて直接エッチングを行わず、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて非超伝導層の一部を取り除いてもよい。
また、図4に示す混合層の形成に当たっては、非超電導体を凝集させながら超伝導膜を形成する。超伝導体としてMgB2を用い、非超電導体としてNiを用いる場合、MgB2とNiとが反応しない程度に高い温度で例えば、300〜500℃程度の温度で成膜する。
なお、図2〜図4に示す混合層における超電導物質の割合は、30〜70vol%であることが好ましい。これは、30vol%未満であると、ピンニング効果が得られず、また、70vol%を超えると、Tcが低下してしまうからである。
次に、本発明の実施例について説明する。
図5は、本実施例で用いた電子ビーム蒸着装置及び同軸型真空アーク蒸着源の概略を示す図である。
図5に示すように、Mg原料缶1には純度99.9%のMg原料が満たされており、B原料缶2には純度99.5%のB原料が満たされている。また、Mg原料缶1及びB原料缶2の上には、Mg、Bの酸化を防止するためにそれぞれMg側シャッター3、B側シャッター4が設けられており、超伝導層を成膜するときに、Mg側シャッター3、及びB側シャッター4が開く。また、非超伝導体を供給する同軸型真空アーク蒸着源5が設けられており、混合層を成膜するときに、この同軸型真空アーク蒸着源5からNiなどの非超伝導体が放出される。
一方、装置の上部には、基板6が取り付けられる。さらにその上部にはハロゲンランプヒーター7が取り付けられており、このハロゲンランプヒーター7を用いて基板6の表面付近の温度が調節される。また、基板6の下にはメインシャッター8が設けられており、成膜する時に、このメインシャッター8が開く。さらに、基板6の横には、形成される膜厚を測定する膜厚計9が設けられている。
本実施例では、図5に示す装置において、まず、両面研磨されたSi基板を基板6としてセットし、装置内を真空(10-7Pa以下)にした。次に、Mg側シャッター3、B側シャッター4、及びメインシャッター8を開き、電子銃11から放出される電子ビームにより、それぞれの原料缶1、2に満たされているMg及びBをスパッタリングし、Si基板上にMg及びBを蒸着させて、膜厚計9の計測で17nmの厚さになるまでMgB2層を超伝導層として成膜した。この時、ハロゲンランプヒーター7によって、Si基板付近の温度を250℃に保った。
次に、Mg側シャッター3、及びB側シャッター4を閉じ、同軸型真空アーク蒸着源5からNiを放出し、膜厚計9の計測で0.3nmの厚さになるまでNi層を成膜した。この時、ハロゲンランプヒーター7によって、Si基板付近の温度を400℃付近に保った。そして、Ni層が0.3nmの厚さにまで成膜した後、取り出した。
次に、取り出した超伝導材に対して、フォトリソグラフィを用いて図2に示すようなメッシュ状になるようにエッチッグを行った。このとき、Ni層を除去する部分の正方形の一辺が100nmとなるようにし、Ni層を除去する面積の割合が50%となるようにした。
次に、Ni層をエッチングした超伝導材をセットし、再びMg側シャッター3、及びB側シャッター4を開き、前述した手順と同様にMgB2層を成膜した。この時、Ni層のエッチングされた箇所にMgB2が充填され、混合層(ピンニングセンター層)が形成された。以上のような手順を繰り返し、MgB2層とピンニングセンター層とが交互に積層された超伝導材(厚さは約300nm)を作製した。
また、比較例として、前述したNi層のエッチング処理を省略して、MgB2層とNi層とが交互に積層された超伝導材を3種類(MgB2層の厚さがそれぞれ42nm、24nm、15nm)作製した。さらに、MgB2層のみを積層した超伝導材も作製した。
図6は、印加磁場Bを6Tとした時における量子化磁束の間隔を示す図、及び前記実施例の方法で作製した超伝導材の断面を示す写真である。図6に示すように、本実施例で作製した超伝導材のNi層の間隔(=MgB2層の厚み)は17nmであることを確認した。
図7は、比較例で作製した超伝導材の超伝導転移温度(Tc)の測定結果を示す図である。また、図8は、本実施例で作製した超伝導材の超伝導転移温度(Tc)の測定結果を示す図である。
図7に示すように、MgB2層とNi層とが交互に積層された超伝導材の場合は、MgB2層の厚さが小さくなるに従ってTcが低下してしまうことがわかる。一方、図8に示すように、本実施例の超伝導材(メッシュ状のもの)のTcは、Ni層無しの超伝導材とほぼ同じTcであった。
次に、印加磁場(B)に対する臨界電流密度(Jc)及び要素ピン力(Fp)の依存性を調べるために、Jc及びFpの測定を行った。なお、FpについてはFp=Jc×Bで計算した。
図9は、本実施例で作製した超伝導材のJcと、HPCVD(Hybrid Physical-Chemical Vapor Deposition)法で作製したMgB2薄膜のJcとを示す図である。本実施例で作製した超伝導材のJcは、HPCVD法により作製したMgB2薄膜のJcよりも大きいことがわかる。なお、HPCVD法によるMgB2薄膜の作製方法は非特許文献1に記載されている。
図10は、本実施例で作製した超伝導材のFpと、Nb−Ti線材のFpとを示す図である。なお、比較例で用いたNb−Ti線材は、極細多芯線と呼ばれる構造の丸い断面を持つ線であり、銅の内部に、1ミクロン程度の直径のNb−Ti合金の細線が撚られた状態で数千本部埋め込まれた構造となっている。本実施例で作製した超伝導材のFpの最大値は61GN/m3であり、Nb−Ti線材のFpの最大値は約25GN/m3であった。本実施例で作製した超伝導材は、Nb−Ti線材と比較してピンニング力が優れていることがわかる。また、印加磁場が6Tの時の量子化磁束の間隔は、表1に示すように17.3nmであり、Ni層が積層されている部分に量子化磁束が効率良く通過するため、本実施例で作製した超伝導材は、印加磁場が6Tの時にFpが最大となる。
印加磁場が6Tよりも大きい場合には、量子化磁束線の間隔はピンニングセンター層の間隔より小さくなり、量子化磁束線の一部がその間にある超電導物質内を通過してしまうため、Fpが小さくなる。また、印加磁場が6Tよりも小さい場合にも、量子化磁束線の並ぶ周期とNi層の周期とがずれてしまい、量子化磁束線の一部が超電導物質内を通過してしまうため、Fpが小さくなる。
図11は、比較例で作製した、MgB2層のみを積層した超伝導材において、印加磁場の方向を変えた場合のJcの比較を示す図である。図11に示すように、Ni層のようなピンニング層がない場合は、薄膜に垂直に磁場を印加した方が薄膜に平行に磁場を印加するよりもJcが高かった。これは、MgB2は、基板との界面から表面に向かって成長した柱状結晶となっており、その柱状結晶の結晶粒界がピンニングセンターとして機能しているからである。
図12は、本実施例で作製した超伝導材において、印加磁場の方向を変えた場合のJcの比較を示す図である。図12に示すように、Ni層のようなピンニング層がある場合は、薄膜に平行に磁場を印加した方が薄膜に垂直に磁場を印加するよりもJcが高かった。このことから、Ni層がピンニング層として機能していることがわかる。
以上のように本実施例では、メッシュ状のNi層がピンニング層として機能することにより、Jcを向上させることができるとともに、Niなどの非超伝導物質を含まない超伝導材のTcとほぼ同等のTcが得られた。これにより、NMR装置やMRI装置などの信号検出コイルに用いた場合には、感度を向上させたり、計測時間を大幅に短縮させたりすることができる。
量子化磁束が侵入する位置を示す図である。 本発明における超伝導物質及び非超伝導物質の混合層(ピンニングセンター層)のメッシュ状パターンを示す図である。 本発明における超伝導物質及び非超伝導物質の混合層(ピンニングセンター層)の縞状パターンを示す図である。 本発明における超伝導物質及び非超伝導物質の不連続混合層(ピンニングセンター層)のパターンを示す図である。 本発明の実施例で用いた電子ビーム蒸着装置及び同軸型真空アーク蒸着源の概略を示す図である。 印加磁場Bを6Tとした時における量子化磁束の間隔を示す図、及び本発明の実施例で作製した超伝導材の断面を示す写真である。 比較例で作製した超伝導材の超伝導転移温度(Tc)の測定結果を示す図である。 本発明の実施例で作製した超伝導材の超伝導転移温度(Tc)の測定結果を示す図である。 本発明の実施例で作製した超伝導体のJcと、HPCVD法で作製したMgB2薄膜のJcとを示す図である。 本発明の実施例で作製した超伝導体のFpと、現有製品であるNb−Ti線材(約25GN/m3)のFpとを示す図である。 比較例で作製した、Ni層の代わりに同じMgB2層を間欠的に積層した超伝導体において、印加磁場の方向を変えた場合のJcの比較を示す図である。 本発明の実施例で作製した超伝導体において、印加磁場の方向を変えた場合のJcの比較を示す図である。 超伝導体における量子化磁束線及びローレンツ力の方向を示す図である。
符号の説明
1 Mg原料缶
2 B原料缶
3 Mg側シャッター
4 B側シャッター
5 同軸型真空アーク蒸着源
6 基板
7 ハロゲンランプヒーター
8 メインシャッター
9 膜厚計
11 電子銃
21 超伝導層
22、32、42 混合層

Claims (9)

  1. 非酸化物の超伝導物質からなる単層と、前記超伝導物質及び非超伝導物質の混合層とが交互に積層していることを特徴とする超伝導材。
  2. 前記混合層に含まれる超伝導物質は、前記非酸化物の超伝導物質からなる単層と両側で接続されていることを特徴とする請求項1に記載の超伝導材。
  3. 前記超伝導物質が、MgB2であることを特徴とする請求項1または2に記載の超伝導材。
  4. 前記非超伝導物質が強磁性体であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の超伝導材。
  5. 前記非超伝導物質がBであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の超伝導材。
  6. 前記超伝導物質からなる単層の厚さが前記超伝導物質のコヒーレンス長の2倍以上42nm以下であり、前記超伝導物質及び非超伝導物質の混合層の厚さが0.1nm以上前記超伝導物質のコヒーレンス長の2倍以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の超伝導材。
  7. 前記超伝導物質からなる単層の厚さが5nm〜42nmであり、前記超伝導物質及び非超伝導物質の混合層の厚さが0.1nm〜5nmであることを特徴とする請求項3に記載の超伝導材。
  8. 前記混合層における超伝導物質及び非超伝導物質がメッシュ状に形成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の超伝導材。
  9. 前記混合層における超伝導物質及び非超伝導物質が縞状に形成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の超伝導材。
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