JP2003123556A - MgB2系超伝導体及びその製造方法 - Google Patents
MgB2系超伝導体及びその製造方法Info
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Abstract
ピンニングセンターを導入することにより臨界電流密度
を大幅に改善した、可撓性を有する長尺のMgB 2硼化
物金属系超伝導体とその製造方法を提供する。 【解決手段】金属管にMgB2粉末を充填し、線引きや
圧延によりMgB2系超伝導体を製造する方法におい
て、MgB2粉末成型体中に展延性を有する金属を内蔵
することを特徴とするMgB2系超伝導体及びその製造
方法。
Description
(MRI)等の超伝導マグネット用線材あるいは超伝導
送電等の電力輸送用導体として使用される硼化物金属系
超伝導線材などのMgB2系超伝導体とその製造方法に
関する。
界温度(Tc)が、従来の金属系超伝導体の臨界温度よ
りも約2倍高い硼化物金属系超伝導体の存在が最近見出
された。
は、約40Kの高いTcを示すことから、液体ヘリウム
(4.2K)で冷却する必要のあったNbTiやNb3
Sn等の従来の金属系超伝導体に比べ、格段に有利な冷
却条件で使用できるため実用上極めて有望な超伝導材料
として研究開発が進められている。
くて脆い性質を有するので、線材の形に加工する手法と
して次のような方法が行われている。すなわち、MgB
2組成の硼化物粉末を金属管に充填し、これをスエージ
ング、線引き、圧延等の方法により所望の径の線材ある
いは厚さのテープに加工し、これに適当な熱処理を施す
ことにより金属管内部の硼化物粉末を焼結してMgB2
系超伝導線材などの超伝導体を製造する方法である。
材の芯部分に当る硼化物超伝導体部分が硬くて脆いた
め、可撓性のある線材を得ることが困難であった。この
ためコイル等として線材を利用する場合においても許容
される曲率半径が制限され、巻き線工程や取り扱い上の
制約が大きかった。
し、熱処理を施した従来の線材製造法では、超伝導体組
織中へのピンニングセンターの導入が不十分なため、実
用上最も重要な臨界電流密度(Jc)、特に、磁場中に
おける臨界電流密度の低下が著しく、酸化物系高温超伝
導体と同様大きな問題であった。
の組織に有効なピンニングセンターを導入することによ
り磁場中における臨界電流密度を大幅に改善した、可撓
性を有する長尺のMgB2硼化物金属系超伝導線材など
の超伝導体とその製造方法を提供するものである。
導体。
たはそれらの合金であることを特徴とする(1)に記載
のMgB2系超伝導体。
らの合金であることを特徴とする(1)に記載のMgB
2系超伝導体。
れらの合金であることを特徴とする(1)に記載のMg
B2系超伝導体。
比で2〜50%の範囲であることを特徴とする(1)〜
(4)のいずれかに記載のMgB2系超伝導体。
金属の小片とを混合する工程と、この混合物を金属管内
に充填した後、所望形状の超伝導体に延伸する工程とを
備えたことを特徴とするMgB2系超伝導体の製造方
法。
たはそれらの合金であることを特徴とする(7)に記載
のMgB2系超伝導体の製造方法。
らの合金であることを特徴とする(6)に記載のMgB
2系超伝導体の製造方法。
れらの合金であることを特徴とする(6)に記載のMg
B2系超伝導体の製造方法。
形状から選択された一種又は二種以上であることを特徴
とする(6)〜(9)のいずれかに記載のMgB2系超
伝導体の製造方法。
る混合物に対して、得られる超伝導体の断面比で2〜5
0%の範囲になるように添加されることを特徴とする請
求項6〜10のいずれかに記載のMgB2系超伝導体の
製造方法。
ることを特徴とする(6)〜(11)のいずれかに記載
のMgB2系超伝導体の製造方法。
工程の途中に100℃〜900℃で熱処理する工程を備
えたことを特徴とする(6)〜(11)のいずれかに記
載のMgB2系超伝導体の製造方法。
の製造方法は、酸化物高温超伝導体と同様に金属管に超
伝導体粉末を充填後、線引きや圧延等により線材やテー
プに加工し、適当な熱処理によって超伝導線材を作製す
るPIT法(Powder in Tube)に基づくものであるが、
充填するMgB2硼化物粉末に展延性のある金属の小片
(粉末、線、箔等)を混合して、この混合物を金属管に
充填し、線引きや圧延等により線材などの超伝導体に延
伸する。この際、混合物に内蔵された金属の小片は、微
細に延伸され、MgB2硼化物粉末が緻密な組織を形成
することを助けるとともに組織中に均一に分布する。こ
のため、内蔵金属が無い場合に比べ、線材自体の可撓性
が大幅に向上する。また、MgB2硼化物超伝導体の組
織中に均一微細に分布した微小な常伝導金属は、磁束線
のピンニングセンターとして作用するため、磁場中にお
ける臨界電流密度が大幅に改善される。このようなピン
ニングセンターの導入は、NbTi合金母材中にα−T
i相を析出させたNbTi線材で知られている。
ンターであるが、本発明により導入されるピンニングセ
ンターは、内蔵された展延性のある金属が各種加工を受
けることによって、線状あるいは面状の微細フィラメン
トのピンニングセンターとなるため、より効果的なピン
ニングセンターとして作用するものである。
g,Al,Cu等の高電気伝導性金属、FeやNi等の
磁性を持つ金属、In,Pb,Sn等の低融点金属の
他、Nb,V,Ta等の高融点金属が考えられる。
材の可撓性の向上とピン止め効果に有効である他、Mg
B2系超伝導線材内部の冷却効率を高め、さらに超伝導
状態から常伝導状態への遷移に対しても低抵抗な電流バ
イパスとして働くため、MgB2系超伝導線材の安定化
に寄与する。
束線のピン止め力の強化にはより有効である。また、外
部より磁場を印加することにより均一微細に分布した微
小な金属を外部磁場の方向に配向させることが可能とな
るため可撓性を向上させる上でより効果的となる。さら
に低融点金属はMgB2粉末となじんで、微細なフィラ
メントに加工され易く、MgB2結晶の結合度を改善し
て臨界電流の向上に役立つ。
または加工の途中で、熱処理を行わないことを特徴の一
つとしているが、熱処理を行う場合には、加工によって
均一微細に分布した金属が凝集してピン止め効果が低下
しない温度範囲で熱処理を行うことが望ましい。具体的
には、MgB2超伝導体が分解し、超伝導特性が劣化す
る900℃より低く、また、焼鈍の効果が期待できる1
00℃よりも高い熱処理温度範囲とする必要がある。こ
の場合、高融点金属は、加工によって均一微細に分布し
た金属が熱処理行程において凝集しにくく、熱処理によ
るピン止め効果の低下が少ない長所を持つ。混合する金
属小片は、超伝導体に加工された後に内蔵金属が断面積
比で2〜50%の範囲となるように添加するのが好適
で、内蔵金属量が断面積比で2%より少ないと内蔵の効
果がなく、内蔵量が断面積比で50%より多すぎると超
伝導特性が却って低下する。
金属管の内径にもよるが、好ましくは100μm以下、
より好ましくは10μm以下が良い。なお、ここでは線
材を例にとって説明したが、本発明はプレス成型した棒
(電流リードなど)や円筒(磁気シールドなど)の製造
にも適用できる。
粉末と、MgB2粉末との混合物を、外径8mm、内径
6mmのNi金属管に充填後、線引き、圧延加工し、厚
さ0.2〜1.2mmのMgB2超伝導テープ線材を作
製した。内蔵したCu粉末量は、テープの断面積比で約
10%である。加工後、熱処理を行わずに超伝導特性を
評価したところ、Tcは、38から39Kで超伝導遷移
を示した。また、液体ヘリウム(4.2K)中における
自己磁場下の臨界電流(Ic)は、厚さ0.3mm、巾
5mmのテープ線材で100Aであった。これは、約5
0,000A/cm2のJcに相当する。
線材では、液体ヘリウム中における自己磁場下のIcは
50Aで、わずかのひずみによりIcが急激に低下し、
測定のばらつきが大きかった。このように、Cu粉末を
内蔵したNiシースMgB2硼化物系超伝導線材はJc
が向上するとともに、可撓性が改善され、曲げ特性の向
上が認められた。
i粉末と、MgB2粉末との混合物を、外径8mm、内
径6mmのCu金属管に充填後、線引き、圧延加工し、
厚さ0.2〜1.0mmのMgB2超伝導テープ線材を
作製した。内蔵したNi粉末量は、テープの断面積比で
約8%であった。加工後、熱処理を行わずに超伝導特性
を評価したところ、Tcは約37Kであった。また、液
体ヘリウム(4.2K)中における自己磁場下のIc
は、厚さ0.3mm、巾5mmのテープ線材で50Aで
あった。これは、約8,000A/cm2のJcに相当
する。これに対し、Ni粉末を内蔵しないテープ線材で
は、液体ヘリウム中における自己磁場下のIcは10A
であった。このように、Ni粉末を内蔵したCuシース
MgB2硼化物超伝導テープ線材は、Ni粉末を内蔵し
ないテープ線材に比べ、Jcが向上すると共に、線状あ
るいは箔状に伸延されたNi粉末がMgB2粉末組織の
機械的性質を改善するため大幅な曲げ特性の向上が認め
られた。
n粉末と、MgB2粉末との混合物を、外径8mm、内
径6mmのNi金属管に充填後、スウェジングおよび線
引き加工し、直径1〜2mmのMgB2超伝導丸線材を
作製した。内蔵したIn粉末量は、丸線材の断面積比で
約11%である。加工後、熱処理を行わずに超伝導特性
を評価したところ、Tcは約37Kであった。また、液
体ヘリウム(4.2K)中における自己磁場下のIc
は、直径1mmの丸線材で60Aであった。これは、約
30,000A/cm2のJcに相当する。Inは、柔
らかく加工性に富む金属であるため、サブミクロン程度
までの微細なフィラメント状に加工できる。これに対
し、In粉末を内蔵しない丸線材では、液体ヘリウム中
における自己磁場下のIcは15Aであった。このよう
に、In粉末を内蔵したNiシースMgB2硼化物系超
伝導線材は、テープ線材と同様にJcが向上するととも
に、丸線材においても可撓性が改善され、曲げ特性の向
上が認められた。
作製されたMgB2硼化物系超伝導線材などの超伝導体
は、展延性のある金属がMgB2硼化物中に均一微細に
分散するため、可撓性のある長尺の超伝導体の製造が可
能となる。この結果、超伝導体を取り扱う上での制約が
大幅に改善され、コイル等の製造が容易になる。また、
線引きや圧延等の加工後、MgB2硼化物中に均一微細
に分散した内蔵金属は線状あるいは面状のピンニングセ
ンターとして働くため、磁場中におけるJcが大幅に改
善される。そのため、高磁場発生用のコイルへの応用範
囲が大幅に広がるとともに、電力送電等大電流導体とし
ての応用も有望となる。実用的な本超伝導体を用いるこ
とにより、高価な液体ヘリウムを使わずに20K前後に
おいて、4.2Kにおける冷却能力よりも約1桁高い冷
却能力が得られる冷凍機を使うことにより冷却の負担を
軽減し、操作性に優れた超伝導機器の製作が容易にな
り、超伝導応用の飛躍的発展に寄与する。
場中におけるJcが大幅に改善されるとともに、可撓性
に優れた長尺のMgB2硼化物系超伝導体とその製造法
を提供するものである。
Claims (13)
- 【請求項1】 展延性を有する金属を内蔵するMgB2
系超伝導体。 - 【請求項2】 内蔵金属は、高電気伝導性金属またはそ
れらの合金であることを特徴とする請求項1に記載のM
gB2系超伝導体。 - 【請求項3】 内蔵金属は、磁性金属またはそれらの合
金であることを特徴とする請求項1に記載のMgB2系
超伝導体。 - 【請求項4】 内蔵金属は、低融点金属またはそれらの
合金であることを特徴とする請求項1に記載のMgB2
系超伝導体。 - 【請求項5】 内蔵金属は、超伝導体断面の面積比で2
〜50%の範囲であることを特徴とする請求項1〜4の
いずれかに記載のMgB2系超伝導体。 - 【請求項6】 MgB2粉末と、展延性を有する金属の
小片とを混合する工程と、この混合物を金属管内に充填
した後、所望形状の超伝導体に延伸する工程とを備えた
ことを特徴とするMgB2系超伝導体の製造方法。 - 【請求項7】 金属小片は、高電気伝導性金属またはそ
れらの合金であることを特徴とする請求項7に記載のM
gB2系超伝導体の製造方法。 - 【請求項8】 金属小片は、磁性金属またはそれらの合
金であることを特徴とする請求項6に記載のMgB2系
超伝導体の製造方法。 - 【請求項9】 金属小片は、低融点金属またはそれらの
合金であることを特徴とする請求項6に記載のMgB2
系超伝導体の製造方法。 - 【請求項10】 金属小片は、粉末、線及び箔の形状か
ら選択された一種又は二種以上であることを特徴とする
請求項6〜9のいずれかに記載のMgB2系超伝導体の
製造方法。 - 【請求項11】 金属小片は、金属管に充填される混合
物に対して、得られる超伝導体の断面比で2〜50%の
範囲になるように添加されることを特徴とする請求項6
〜10のいずれかに記載のMgB2系超伝導体の製造方
法。 - 【請求項12】 熱処理工程なしに超伝導体とすること
を特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載のMgB
2系超伝導体の製造方法。 - 【請求項13】 超伝導体とする工程の後または工程の
途中に100℃〜900℃で熱処理する工程を備えたこ
とを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載のMg
B2系超伝導体の製造方法。
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