JP5712843B2 - 横リブの疲労向上構造および鋼床版 - Google Patents
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Description
このような鋼床版に用いられる縦リブとしては、断面U字形のUリブなどの閉断面リブと、上下に延びる平板状の平板リブや、上下に延びる板状の下端部に拡大部を有した断面形状のバルブプレートリブ(バルブリブ)などの開断面リブと、が知られている。そして、これらの縦リブの断面形状に応じて横リブの切り欠き形状および溶接位置が規定されている。
すなわち、デッキプレートの上を走行する車両の車輪の位置、すなわちデッキプレートに作用する動荷重の位置により、繰返し応力作用が生じている。そのため、デッキプレートと横リブとの溶接部、および縦リブと横リブとが交差する位置の溶接部におけるルート部から疲労き裂が発生する可能性が高くなっている。
横リブと縦リブとの接合部における発生応力を低減させる方法としては、横リブの間隔を狭くすることが行われている。通常の鋼床版は横リブの間隔を2.5mまで広げることが許されているが、それを1.25m間隔まで狭くして発生応力を低減しても、十分な疲労防止効果は得られていない。さらに、この間隔を狭くするほど溶接接合箇所が増加し、製作コストが増加する。ただし、この場合、デッキプレートと横リブとの溶接部の応力を低減させるまでには至らない。
また、鉛直リブは圧縮応力と曲げ応力のみが作用するのに対し、横リブとデッキプレートの溶接部は圧縮のみならず引張も作用することから、デッキプレートと横リブの交差部に半円切り欠き工法を適用してもルート側からの疲労き裂発生を防止することができないため、十分な効果が得られず、その点で改良の余地があった。
このように本発明の横リブの疲労向上構造では、圧縮応力と引張応力との両方に対応することができるので、例えば走行する車両の車輪の位置によって圧縮、引張の両方の曲げが発生するデッキプレートと、横リブとの溶接部を備えた鋼床版に対してはとくに好適である。
このような範囲に横リブ同士の間隔を設定することで、横リブ影響線の主要な部分にトラック等の車両の後輪荷重が1台分のみとなるようにすることができ、横リブの板状部材側の止端部から生じる疲労き裂をより確実に防止することができる。なお、普通のバルブリブや平板リブの場合は横リブ間隔は2.5m以下に制限されている。
この場合、既設の横リブに対して、半円切欠部と開先部を設け、このとき開先部の形状を例えばJ型、或いは半U型に形成することでオーバーヘッドとなる施工条件であっても補修溶接を行うことができる。したがって、止端部とルート部の両方に作用する発生応力を低減することが可能な補修構造を実現することができ、これら止端部とルート部からの疲労き裂を防止することができる。
図1に示すように、本実施の形態による横リブの疲労向上構造は、道路橋の鋼床版1に適用されている。すなわち、この道路橋は、図示しない基礎や支柱からなる下部工と、支柱間に渡って架設される鋼製の主桁2、2と、一対の主桁2、2間に支持される中間部の鋼床版11および主桁2の両側方に支持される片持ち状の鋼床版12と、を有して構成されている。そして、鋼床版1(11、12)は、主桁2に支持される複数の横リブ3と、この横リブ3に交差して支持される複数の縦リブをなすバルブリブまたは板リブなど(以下、統一して開断面リブ4、4、…という)と、これらの横リブ3および開断面リブ4の上側に溶接固定されるデッキプレート5(板状部材)とを備えて構成されている。
ここで、横リブ3、3同士の間隔は、現在の道路橋示方書では最大2.5mに制限されている。さらに、バルブリブや板リブを縦リブとして用いる構造の場合は、この間隔は1.5m以下など非常に小さくなる傾向がある。これは、バルブリブの寸法が200mm程度と小さく、輪荷重によるモーメントにより発生応力が高くなるためである。板リブも座屈制限により基本的に板厚の13倍程度に高さが制限されるため、12mm厚の板の場合で150mm程度の高さにしかならないため、やはり横リブ間隔が小さくなる傾向にある。
ここで、切り欠き凹部3Cにおいて、スカラップ3Dを挟む両側端縁のうち、後述する半円切欠部31が形成される一方(図4で紙面右側)を第1側端縁3c(側端縁)といい、他方(図4で紙面左側)を第2側端縁3bという。
そして、図4に示すように、その開先を溶接材で埋めたうえで、各々の開先部32から、切り欠き凹部3Cの半円切欠部31の切欠方向に隣り合う第2側端縁3bの下端(スカラップ3Dの上端部分4D)まで、所定の脚長を確保したまわし溶接(溶接部W1、W2、W3)が形成される。
図4(a)、(b)に示すように、横リブ3における切り欠き凹部3Cの第1側端縁3aに半円切欠部31を設けることで、デッキプレート5に作用する曲げ応力を低減することができるので、横リブ3のデッキプレート5側の止端部Pから生じる疲労き裂を防止することができる。また、デッキプレート5と横リブ3の第3溶接部W3に作用する圧縮応力を低減することができるので、この第3溶接部W3に発生する止端からの疲労き裂を防止することができる。
そして、切り欠き凹部3Cの上端に開先部32を設けることで、デッキプレート5と横リブ3の間の溶接ルート部Rに作用する引張応力を低減することができるので、横リブ3のデッキプレート5側のルート部Rに生じる疲労き裂を防止することができる。
また、半円切欠部31の半径寸法を大きくすることなく、上述した疲労向上効果を発揮することが可能となるので、横リブ3に要求される剛性や強度を低下させることがないという利点がある。
図7に示すように、比較例1、比較例2、実施例の順で発生応力が小さくなっているのがわかる。そして、比較例1、比較例2においては、第2ルート部Rbでは、比較例1と比較例2がほぼ同じ発生応力となっている。つまり、止端部Pにおける発生応力は、比較例1で略325MPaであり、比較例2で略275MPaとなることから、比較例2で半円切欠部31を設けることで発生応力が15%程度低減されることがわかる。しかし、第2ルート部Rbでの発生応力は、比較例1と比較例2が共に略175Mpaであり、両者の差が生じていないことから、比較例2における半円切欠部31のみを設けた効果が第2ルート部Rbには及ばないことがわかる。
図8に示すように、本第2の実施の形態による横リブの疲労向上構造は、道路橋の新型鋼床版1Aに適用されている。すなわち、この道路橋は、図示しない基礎や支柱からなる下部工と、支柱間に渡って架設される鋼製の主桁2、2(図1参照)と、一対の主桁2、2間に支持される中間部の鋼床版11および主桁2の両側方に支持される片持ち状の鋼床版12と、を有して構成されている。そして、鋼床版1A(11、12)は、主桁2に支持される複数の横リブ3と、この横リブ3に交差して支持される複数の略L字状リブ6、6、…(縦リブ)と、これらの横リブ3および略L字状リブ6の上側に溶接固定されるデッキプレート5(板状部材)とを備えて構成されている。
また、図9および図10に示すように、略L字状リブ6は、上下に延びるウェブ6Aと、このウェブ6Aの下端部に連続するフランジ6Bとから略L字形または略T字形の断面を有して形成されている。この断面は原則的には溶接組み立て部材であるが、圧延部材でもかまわない。
図11(a)、(b)に示すように、第3の実施の形態による横リブの疲労向上構造は、既設の鋼床版1に対する補強、補修に適用した一例であり、開先部32の形状をJ型、或いは半U型に形成したものである。
この場合、既設の横リブ3に対して、半円切欠部31と開先部32を設ける。このとき、開先部32がJ型、或いは半U型となっているので、オーバーヘッドとなる施工条件であっても補修溶接(図11(b)の符号W4)が可能となり、上述した第1の実施の形態と同様の疲労向上構造を実現することができる。そのため、止端部Pとルート部Rの両方に作用する発生応力を低減することができ、これら止端部Pとルート部Rからの疲労き裂を防止して、疲労寿命を向上させることができる。
また、半円切欠部31や開先部32の大きさについても横リブ3の厚さ寸法やピッチなどの条件に基づいて適宜設定することが可能である。
2 主桁
3 横リブ
3A ウェブ
3B フランジ
3C 切り欠き凹部
4 開断面リブ(縦リブ)
5 デッキプレート(板状部材)
6 略L字状リブ(縦リブ)
31 半円切欠部
32 開先部
t 横リブの厚さ寸法
P 止端部
R ルート部
Ra 第1ルート部
Rb 第2ルート部
Claims (6)
- 複数の横リブと、これら横リブに交差して支持される複数の開断面の縦リブと、これらの横リブおよび縦リブの上側に溶接固定される板状部材とを備えた溶接構造に使用される横リブの疲労向上構造であって、
前記横リブには、上下に延びるウェブを少なくとも有し、このウェブには、上方に開口し、かつ、下方に第1側端縁と第2側端縁を有して延びる複数の切り欠き凹部が形成されてなり、
各々の該切り欠き凹部の第1側端縁には、半円切欠部が形成されるとともに、該半円切欠部の上方で前記切り欠き凹部の上縁端に開先部が設けられ、
各々の該開先部から、当該切り欠き凹部の前記半円切欠部の切欠方向に隣り合う第2側端縁下端まで、所定の脚長を確保したまわし溶接が形成されていることを特徴とする横リブの疲労向上構造。 - 前記開先部において、前記切り欠き凹部の第1側端縁の延長線が前記板状部材と交差する点と、前記開先部のルート部との前記板状部材に沿う方向の寸法は、前記横リブの厚さ寸法の1/2よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の横リブの疲労向上構造。
- 前記溶接構造は、既設構造物であり、
該既設構造物に対して、前記半円切欠部が設けられるとともに、前記開先部が設けられ補修溶接がされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の横リブの疲労向上構造。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の横リブの疲労向上構造が鋼床版であって、
複数の前記横リブは主桁に支持されるとともに、
これらの横リブおよび縦リブの上側に溶接固定される前記板状部材がデッキプレートであることを特徴とする鋼床版。 - 前記横リブは、上下に延びるウェブを少なくとも有し、このウェブには、上方に開口して下方に延びる複数の切り欠き凹部が形成され、
前記縦リブは、上下に延びるウェブと、このウェブの下端部に連続するフランジとから略逆T字形または略L字形の断面を有し、前記横リブの切り欠き凹部に対応した位置の前記フランジが切り欠かれて形成され、
前記横リブの前記切り欠き凹部に前記縦リブのウェブが挿通された状態で、該横リブおよび縦リブのウェブ同士が前記切り欠き凹部に沿って溶接接合されていることを特徴とする請求項4に記載の鋼床版。 - 前記横リブ同士の間隔が3m以上かつ8m以下の範囲に設定されていることを特徴とする請求項5に記載の鋼床版。
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