JP5712019B2 - インペラとモータの連結構造 - Google Patents
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このようなポンプ装置として、出願人は特開2010−031836号公報に記載のものを先に提案している。このポンプ装置では、インペラが樹脂製であることから単純な平滑表面をもつシャフトをインペラ側の孔に圧入するだけではシャフトとインペラ間の高い締結力が期待できないため、シャフトとインペラの一体回転とインペラの抜け止めを確実なものとする目的でシャフト側にローレットを形成してインペラの結合筒部に圧入している。
これにより、締結力低下などのおそれなしに長期間の実用が可能になった。
そして、単純な丸軸の場合と比較して、ローレット軸の圧入ではシャフトとインペラの軸心が合わせづらくなる。軸心が一致しない場合には高回転時に振動が発生して不安定な動作になる可能性があるので、軸心合わせに手間がかかる分だけこの点でもコスト低減が困難となる。
シャフトに従来のようなコストのかかるローレットを形成しないでもインペラを強固にモータのシャフトに結合することができる。
また、固定部材を板材から形成することにより、コストを低減でき、ローレットに比較して軸方向のサイズも小さくて済む。
固定部材保持部はシャフトガイド部よりモータ側に設けられた凹部であって、固定部材をその凹部の底面に着座させるとともに、固定部材の抜け止め手段を有することが、インペラの正規位置維持のために望ましい。
抜け止め手段としては固定部材保持部の熱カシメとすることができる。
ベース部から軸部を延ばすことによりシャフトガイド部を長くすることができる。そして、固定部材の中心孔とシャフトガイド部がずれたり傾いたりしても、シャフトは長いシャフトガイド部によって位置決めされるので、インペラの回転軸線とシャフトの回転軸線が精度良く芯合わせされる。
固定部材保持部で固定部材の熱カシメを行なっても、オイルシール部から離れているので、シール性能に影響を与えない。
金属製の筒部材をシールリップとの摺接面とすることにより、シールリップの磨耗が防止される。
また、筒部材はベース部において径方向に延びて径方向延在部を形成することにより、インペラの羽根を支持する剛性が高くなる。
そして、径方向延在部をベース部における羽根を避けた領域に少なくとも位置させることにより、羽根間の平坦面を治具などで押すことにより容易確実にインペラ(固定部材)をシャフトに圧入することができる。
図1は風呂水ポンプ装置1の外観斜視図、図2は上下反転して示すその縦断面図である。ただし、図2においてモータMは一部破断部を除いて外面を示している。以下の説明では組み立て過程を含む内部構造の理解を容易にするため、部材配置の上下関係は図2に示した状態におけるものとする。
風呂水ポンプ装置1は、ケース2内にポンプPとこれを駆動するモータMを収納して構成される。
ケース2は本体部3、第1蓋4および第2蓋5から構成され、内部がモータハウジング6とポンプハウジング7とに区画されて、ポンプハウジング7内にポンプPが構成されている。
底壁11を備える空間は横隔壁12の上側空間とつながり、第1蓋4との間にポンプハウジング7を形成する。
横隔壁12を上壁とする空間は下端開口を閉じる第2蓋5との間にモータハウジング6を形成する。本体部3に取り付けられた状態で第2蓋5の外面(下面)は底壁11の下面と面一になる。
以下の説明では、第1蓋4および第2蓋5を含まない状態でも本体部3における対応する空間を便宜的にモータハウジング6およびポンプハウジング7と呼ぶ。
第1蓋4は本体部3の上端を閉じ、その結合部にシールリング8が設けられて水密としている。
横隔壁12の上面にはインペラを囲むリング状の縦壁21が一体に設けられている。
縦壁21には上からインペラカバー40が被せられて、横隔壁12との間にインペラ室20を形成している。
円盤部41の中央には接続口45から延びる第3吸入通路47が開口している。接続口45は縦隔壁10にそって横隔壁12より下方位置まで所定量延びた底壁46を有する広口で、縦隔壁10に対して垂直な方向に開口している。第3吸入通路47は底壁46の上部から延びている。
図3に示すように、横隔壁12上面の縦壁21には略直径線上の対称位置に切り欠き22が設けられ、それぞれ当該切り欠き22から流れ出る水がリングの接線方向を向くようにガイド壁23を備えている。インペラカバー40のリング壁42にも対応する切り欠き43が接線方向に向いて設けられている。また、ポンプハウジング7内の水を呼び水としてインペラ室20内へ戻すための戻し孔24を備えている。
以上のように、インペラ室20にインペラ50を配置してポンプPがいわゆる自吸式遠心ポンプとして構成される。
一方、図2に戻って、ポンプハウジング7の底壁11には円形断面の吸入口15が所定長さ下方に突出して設けられ、吸入口15からはポンプハウジング7内の中間高さまで第1吸入通路16が延びている。第1吸入通路16の下半部は上半部よりも内径を大きくしてあり、その段部の上半部側にはフィルタ格子17が一体成型されている。
第1吸入通路16とインペラカバー40の間に通路部材30を設けてある。通路部材30は下端を第1吸入通路16に接続した逆L形の第2吸入通路31と、そのモータハウジング6側に向いた上端部につながってインペラカバー40の接続口45に嵌め込まれる拡張室32とからなっている。
拡張室32内には第2吸入通路31の上端開口に面して逆止弁35が設置され、第2吸入通路31側への水の逆流を防止する。
なお、インペラカバー40はその所定部位が第1蓋4の底壁に当接して、これによりインペラカバー40ならびに通路部材30がその取付け位置から抜け止めされる。
なお、図3に示すように、ポンプハウジング7の吐出口19と対向する側壁には呼水口14が設けられ、呼び水をポンプハウジング7に供給できるようになっている。呼水口14は、図2に仮想線で示すように、縦隔壁10の高さの略中間位置で、吐出口19より第1蓋4側になっている。
第2蓋5の固定は図1に示すように、第2蓋5から延びるフック28を本体部3に形成した爪29と係合させることにより行なわれる。第2蓋5の側壁には切り欠き27が設けられ、モータの電気端子39を外部に臨ませるようになっている。
まず、横隔壁12にはモータハウジング6側(下方)へ突出するシール保持部26が形成され、シール保持部26の下端面から上述のモータ支持部25がモータハウジング6内に延びている。
シール保持部26およびモータ支持部25は同一の軸線S上に並んでおり、インペラ50およびモータのシャフト38の回転軸線が軸線S上に乗る。
シール保持部26の内側にポンプハウジング7側(上側)からオイルシール65が挿入されて保持される。
ベース部51の中央はリング板52側に断面山形に膨出している。
ベース部51からはリング板52と反対方向に軸部55が延びている。ベース部51、リング板52、羽根53および軸部55は一体の樹脂製である。
なお、モータMのシャフト38と中心孔56の同軸度が確保されれば、モータMのシャフト38と中心孔56の間に微小な隙間を設けても良い。ただし、モータMのシャフト38と中心孔56の寸法にバラツキがあっても両者の間に大きな隙間ができないようにするため、モータMのシャフト38と中心孔56はこのバラツキを吸収可能な程度の圧入(軽圧入)関係となることが望ましい。
インペラ50には金属製の筒部材60が一体にモールドされている。筒部材60はベース部51の下面から軸部55の外面にそって延びるシール円筒部62と、ベース部51の板厚内を径方向外方へ羽根53と重なる付近まで延びる補強円板部61と、シール円筒部62の先端から軸部内方へ延びる内径フランジ部63とからなっている。上述の軸部55の中心孔56は内径フランジ部63近くまで延びており、中間孔57よりも十分に長くなっている。
シール円筒部62は上述のように軸部55の所定範囲の外面を覆って露出しており、その外周がオイルシール65との摺動面となる。
軸部55は筒部材60の内径フランジ部63よりも先端側において外径をシール円筒部62と略同一に抑え、シール円筒部62よりも太くならないように設定してある。
また、例えば軸径2〜3mmのシャフト38に対して固定部材70の板厚は1mm程度とすればよい。
なお、固定部材70の周縁が非円形とは、周縁にそって中心孔71の中心Gからの距離が不均一であることを意味し、対応する形状の固定部材保持部に嵌め込まれることにより回転が伝達可能となる。したがって、非円形としてD形、多角形、偏心円その他、適宜の形状を採用することができるが、振動発生やそれによるオイルシール65への影響を考慮すると、中心孔71の中心Gに関して点対称の形状が好ましい。
シール保持部26には、その内径面にオイルシール65の環状基部66が圧入され、環状基部66から内径方向に延びたシールリップ67、68がインペラ50のシール円筒部62に弾性的に当接する。シール円筒部62はシールリップ67、68との摺接面となる。なお、シール円筒部62のシールリップ67、68との摺接面の内周側には中心孔56が存在し、モータMのシャフト38が圧入されるが、この圧入はモータMのシャフト38と中心孔56の同軸度を確保するためのものであるため、軸部55に与える影響が少ない。このため、モータMのシャフト38が圧入されてもシール円筒部62が変形することがない。
ここでは、オイルシール65が取り付けられた状態でその上面は横隔壁12の上面よりも沈んでいる。
まず、本体部3のモータハウジング6にモータMを取り付け、そのシャフト38の先端をモータ支持部25およびシール保持部26を貫通させて横隔壁12上面に臨ませる。
そして、インペラ50を以下の手順で取付ける。
まずあらかじめ、インペラ50の固定部材保持部58に固定部材70を嵌め込んだうえ、熱カシメして固定部材70を取り付けておく。
また、横隔壁12のシール保持部26に、環状基部66を圧入して、オイルシール65を取り付ける。
ここでは、軸部55先端(固定部材保持部58)の固定部材70の中心孔71がシャフト38の径よりも小さく、金属部材同士の圧入となるため、ベース部51における羽根53を避けたスペース部分を不図示の押圧治具で押し込んでいく。
なお、シャフト38は同一の径でモータMを貫通し、他端が軸受け部37と反対側の軸受け部36から露出している(図2参照)。押圧治具はシャフト38の他端を保持することにより、インペラ50を押し込む力がシャフト38からモータMの軸受けなどに伝達されることがない。このため、インペラ50を押し込む力によりモータMが破壊されることを防ぐことができる。
これにより、インペラ50の軸部55がオイルシール65を通過し、次いでシール円筒部62がシールリップ67、68の穴に進入する。
シャフト38が固定部材に対して斜めに挿し込まれた場合でも、中心孔56が長いのでシャフト38は当該中心孔56で位置決め(ガイド)され、固定部材70の方が変位してインペラ50の回転軸線とシャフト38の回転軸線が精度良く芯合わせされる。
固定部材70の製品誤差や軸部55との取付け誤差で連結前の固定部材70の中心孔71が軸部55の中心孔56の軸線からずれていた場合でも、樹脂の軸部55は内径フランジ部63位置で薄くなり、また固定部材保持部58の肉厚も薄いので変形して、固定部材70の変位を許し、自動的に芯合わせされる。
軸部55の固定部材保持部58は固定部材70の外形と対応し、固定部材70はシャフト38と圧入関係になっているから、インペラ50はシャフト38と一体回転可能となる。
この連結状態において、インペラ50の羽根53を挟んだベース部51とリング板52は横隔壁12上の縦壁21内に収まる。また、インペラ50の軸部55先端はモータMの軸受け部37の端面とわずかな間隙をおいて対向する。
インペラ50とシャフト38の連結したあとは任意の段階で、モータハウジング6の第2蓋5を取り付ける。
ここでは、まず逆止弁35を通路部材30の拡張室32内の設定部位に設置するとともに、拡張室32の開口端をインペラカバー40の接続口45に嵌め込んで、あらかじめ通路部材30とインペラカバー40を結合してサブアセンブリとしておく。
それから、インペラカバー40をそのリング壁42が縦壁21に被さるように位置合わせしながら横隔壁12上に載置する一方、通路部材30の下端を第1吸入通路16に接続させて、サブアセンブリを本体部3に組み込む。
最後に第1蓋4を本体部3に取り付けて、風呂水ポンプ装置1の組み立てが完了する。
まず、一端を風呂水内に位置させたホースの他端を吸入口15に挿し込み、吐出口に接続したホースを例えば洗濯機へ導くとともに、呼水口14を例えば水道水につなぐ。
そして、水がインペラ室20を満たして所定の水位になるまで呼び水として水道水を呼水口14からポンプハウジング7へ供給する。これは、インペラ50の羽根53まわりに水が存在しないと遠心ポンプとして機能しないために、使用開始に当たってまずインペラ室20が水没する程度まで水を供給するものであり、ポンプハウジング7へ供給された呼び水は戻し孔24からインペラ室20に流れ込む。
なお、使用状態においてモータMはオイルシール65より上部に位置することになるので、使用中においてオイルシール65から少々の水が漏れてもモータM内部にまで及ぶことはない。
また、シャフト38と固定部材70はともに金属製であるため、圧入される長さが小さくても強い圧入強度を得ることができる。このため、ローレットに比較して軸方向のサイズも小さくて済み、全体のサイズを小型にできる。
さらに、シャフト38は、固定部材70が圧入される箇所にローレットを設ける必要がない。このため、モータの軸受け部37と固定部材70が圧入される箇所を近づけることが可能になる。
そして固定部材70は簡単な形状であるため、とくに板材から形成することができるから、コストが低減するうえ、この点でもローレットに比較して軸方向のサイズも小さくて済み、全体のサイズを小型にできる。
また、金属性筒部材60のシール円筒部62がオイルシール65との摺接面となっているので、ヒケや湯じわ、残留ガスによる荒れ肌などから逃れられない樹脂面との直接接触と比較して、シールリップ67、68の磨耗が防止される。
そしてとくに、補強円板部61はベース部51における全周にわたって延びているので、羽根53間の平坦面を治具などで押すことにより容易確実にインペラ50(固定部材70)をシャフト38に圧入することができる。
2 ケース
3 本体部
4 第1蓋
5 第2蓋
6 モータハウジング
7 ポンプハウジング
8 シールリング
10 縦隔壁
11 底壁
12 横隔壁
14 呼水口
15 吸入口
16 第1吸入通路
17 フィルタ格子
19 吐出口
20 インペラ室
21 縦壁
22 切り欠き
23 ガイド壁
24 戻し孔
25 モータ支持部
26 シール保持部
27 切り欠き
28 フック
29 爪
30 通路部材
31 第2吸入通路
32 拡張室
35 逆止弁
36、37 軸受け部
38 シャフト
39 電気端子
40 インペラカバー
41 円盤部
42 リング壁
43 切り欠き
45 接続口
46 底壁
47 第3吸入通路
50 インペラ
51 ベース部
52 リング板
53 羽根
55 軸部
56 中心孔
57 中間孔
58 固定部材保持部
59 底壁
60 筒部材
61 補強円板部
62 シール円筒部
63 内径フランジ部
65 オイルシール
66 環状基部
67、68 シールリップ
70 固定部材
71 中心孔
72 2面幅部
M モータ
P ポンプ
Claims (14)
- 流体ポンプにおける樹脂製のインペラとモータの連結構造であって、
前記インペラが、その回転軸線上にモータの金属製シャフトがガイドされ挿入されるシャフトガイド部と、固定部材保持部とを有し、
前記シャフトが圧入される中心孔を備えるとともに周縁が非円形の金属製の固定部材を前記固定部材保持部に保持して、
前記シャフトを前記シャフトガイド部に挿入するとともに、前記固定部材の中心孔に圧入してインペラとモータを結合したことを特徴とするインペラとモータの連結構造。 - 前記固定部材の周縁が前記中心孔に関して点対称であることを特徴とする請求項1に記載のインペラとモータの連結構造。
- 前記固定部材が板材から形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインペラとモータの連結構造。
- ポンプがインペラの軸方向モータと反対側から流体を吸い込み、径方向へ吐き出す構成であり、
前記固定部材保持部が前記シャフトガイド部よりモータ側に設けられた凹部であって、
前記固定部材を前記凹部の底壁に着座させるとともに、前記固定部材の抜け止め手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載のインペラとモータの連結構造。 - 前記抜け止め手段が前記固定部材保持部の側壁の熱カシメであることを特徴とする請求項4に記載のインペラとモータの連結構造。
- 前記シャフトガイド部がインペラのベース部からモータ側へ延びる軸部に設けられるとともに、固定部材保持部が前記軸部の先端に設けられ、
前記シャフトガイド部の長さが前記固定部材の軸方向厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1または5のいずれか1に記載のインペラとモータの連結構造。 - 前記軸部がインペラ室とモータ側空間の間に設けたオイルシールを貫通してモータ側空間へ延びて、前記固定部材保持部が前記オイルシールよりもモータ側に位置していることを特徴とする請求項6に記載のインペラとモータの連結構造。
- 前記軸部の外面には金属製の筒部材が一体にモールドされ、該筒部材のモータ側の端が前記固定部材保持部より所定距離手前で径方向内側へ延びて、固定部材保持部に保持された前記固定部材と軸方向に対向することを特徴とする請求項7に記載のインペラとモータの連結構造。
- 前記筒部材は前記ベース部において径方向に延びて径方向延在部を形成していることを特徴とする請求項8に記載のインペラとモータの連結構造。
- 前記筒部材の径方向延在部は前記ベース部における羽根を避けた領域に少なくとも位置していることを特徴とする請求項9に記載のインペラとモータの連結構造。
- 前記筒部材が前記オイルシールとの摺接面となっていることを特徴とする請求項8から10のいずれか1に記載のインペラとモータの連結構造。
- 前記軸部の外面には金属製の筒部材が一体にモールドされ、該筒部材のモータ側の端が前記固定部材保持部より所定距離手前で径方向内側へ延びて、固定部材保持部に保持された前記固定部材と軸方向に対向することを特徴とする請求項6に記載のインペラとモータの連結構造。
- 前記筒部材は前記ベース部において径方向に延びて径方向延在部を形成していることを特徴とする請求項12に記載のインペラとモータの連結構造。
- 前記筒部材の径方向延在部は前記ベース部における羽根を避けた領域に少なくとも位置していることを特徴とする請求項13に記載のインペラとモータの連結構造。
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