JP5710322B2 - ハニカム構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、排ガスを処理するハニカム構造体に関する。
自動車からの排ガスの浄化に関しては、多くの技術が開発されているが、交通量の増大もあって、まだ十分な排ガス対策がとられているとは言い難い。日本国内においても、世界的にも自動車排ガス規制は、さらに強化されて行く方向にある。
このような規制に対応するため、排ガスシステムにおいて、排ガス中に含まれる所定の成分を処理することが可能な触媒担体が使用されている。また、このような触媒担体用の部材として、ハニカム構造体が知られている。
このハニカム構造体は、例えば、長手方向に沿って、該ハニカム構造体の一方の端面から他方の端面まで延伸する複数のセル(貫通孔)を有し、これらのセルは、触媒が担持されたセル壁により、相互に区画されている。従って、このようなハニカム構造体に排ガスを流通させた場合、セル壁に担持された触媒によって、排ガスに含まれるHC(炭化水素化合物)、CO(一酸化炭素)、NOx(窒素酸化物)等の物質が改質(酸化または還元)され、排ガス中のこれらの成分を処理することができる。
一般に、このようなハニカム構造体のセル壁(基材)は、コージェライトで構成されている。また、このセル壁には、γ−アルミナからなる触媒担持層が形成され、この触媒担持層には、白金および/またはロジウムなどの貴金属触媒が担持されている。
また、触媒が活性になる温度よりも低い排ガス温度での浄化性能を高めるために、比較的低抵抗のハニカム構造体を使用し、このハニカム構造体に電圧印加用の電極を設け、ハニカム構造体に通電を行うことにより、ハニカム構造体を自己加熱する技術が提案されている(特許文献1)。
実開昭49−124412号公報
特許文献1に記載の従来のハニカム構造体では、両端部に設置された電極を介してハニカム構造体に通電を行うことにより、ハニカム構造体を抵抗加熱することができる。
しかしながら、一般に電流は、両電極間を最短経路で流れる傾向にある。このため、特許文献1に記載の従来のハニカム構造体では、電極からの距離が遠い位置、すなわち、ハニカム構造体の径方向の中心部分近傍では、電流が流れにくく、温度が上がりにくいという問題がある。ハニカム構造体の一部に、このような加熱不十分箇所が存在すると、触媒の活性が十分に発揮されず、ハニカム構造体の排ガスに対する浄化性能が低下してしまう。
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、本発明では、比較的容易に全体を抵抗加熱することが可能なハニカム構造体を提供することを目的とする。
本発明では、
複数の貫通孔が長手方向に並設された1つまたは複数の導電性ハニカムユニットを有する略円柱状のハニカム構造体であって、
対となる第1および第2の電極を有し、
第1の電極は、当該ハニカム構造体の外周面にあり、第2の電極は、当該ハニカム構造体の中心軸近傍にあることを特徴とするハニカム構造体が提供される。
ここで、当該ハニカム構造体の前記中心軸近傍の第2の電極は、略円筒形状であり、
当該ハニカム構造体の長手方向に垂直な方向の断面において、当該ハニカム構造体の外周形状と前記中心軸近傍の第2の電極の内周形状とは、略同心円となっていても良い。
また、当該ハニカム構造体は、前記中心軸近傍の第2の電極が金属棒であっても良い。
また、当該ハニカム構造体は、接着層を介して接着された複数の導電性ハニカムユニットで構成され、各導電性ハニカムユニットに、一対の電極が形成されても良い。
また、当該ハニカム構造体の中心軸近傍の第2の電極は、略円筒形状であり、
当該ハニカム構造体の長手方向に垂直な方向の断面において、当該ハニカム構造体の外周円の直径に対する前記中心軸近傍の第2の電極で構成される内周円の直径の比は、1/4以下であっても良い。
また、当該ハニカム構造体は、該ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の形状が略扇形の柱状ハニカムユニットが複数個結束されて構成され、
前記柱状ハニカムユニットの外周面のうち、前記略扇形の中心角を構成する2平面であって、該2平面が交差してできる交線近傍と、前記略扇形の円弧を構成する曲面のそれぞれに、電極が形成されても良い。
また、当該ハニカム構造体において、前記1つまたは複数の導電性ハニカムユニットは、対となる第1および第2の電極間の抵抗値が1Ω〜10Ωの範囲であっても良い。
また、当該ハニカム構造体において、前記対となる第1および第2の電極は、溶射またはスパッタで形成されても良い。
また、当該ハニカム構造体において、前記1つまたは複数の導電性ハニカムユニットのセル壁には、触媒が担持されていても良い。
また、当該ハニカム構造体において、前記触媒は、白金、ロジウムまたはパラジウムであり、アルミナ層を介して担持されていても良い。
また、当該ハニカム構造体において、前記1つまたは複数の導電性ハニカムユニットは、炭化珪素を主成分としても良い。
本発明では、容易に全体を抵抗加熱することが可能なハニカム構造体を提供することが可能となる。
本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示した斜視図である。 図1に示したハニカム構造体の端面の上面図である。 本発明のハニカム構造体の別の一例を模式的に示した斜視図である。 図3のハニカム構造体を構成するハニカムユニットの一例を模式的に示した斜視図である。 本発明のハニカム構造体のさらに別の一例を模式的に示した斜視図である。 図5のハニカム構造体を構成するハニカムユニットの一例を模式的に示した斜視図である。
以下、図面により本発明の形態を説明する。
(第1の構成)
図1には、本発明によるハニカム構造体を模式的に示す。また、図2には、図1に示したハニカム構造体100の端面の上面図を示す。
図1に示すように、本発明のハニカム構造体100は、1つの導電性ハニカムユニットから構成され、2つの開口された端面110Aおよび110Bと、両端面110A、110Bをつなぐ外側面120とを有する。また、ハニカム構造体100は、複数のセル(貫通孔)122と、該セル122を区画するセル壁124とを有する。セル122は、ハニカム構造体100の長手方向に沿って、端面110Aから端面110Bまで延伸し、両端面110A、110Bで開口されている。
ハニカム構造体100(導電性ハニカムユニット)は、例えば炭化珪素(SiC)を主成分とした材料で構成されるが、抵抗を低下させるため、さらに、例えば窒化アルミニウム(AlN)のような、少量の抵抗調整成分が添加されている。ハニカム構造体100のセル壁124には、触媒が担持されている。
ハニカム構造体100は、中心軸Oに沿って延伸する略円柱状の形状を有する。
ここで、図2に明確に示すように、ハニカム構造体100の中心軸Oと中心軸Oから半径rの距離にある領域内には、セル122およびセル壁124は、形成されていない。その代わりに、この領域には、略円柱状の金属棒180が装着されている。換言すれば、ハニカム構造体100は、その半径方向の中心部分に中心軸Oと同軸上に配置され、第1の端面110Aから第2の端面110Bまで延在する金属棒180と、その外側の排気ガスが導入され得る領域140(すなわち、セル122およびセル壁124で構成された領域)とを有する。
ハニカム構造体100の第1の電極135は、外周面120上に設置されている。また、金属棒180と領域140の界面部分には、中心軸Oの方向に沿って第2の電極138が設置されている。従って、金属棒180は、第2の電極138用の接続端子の一部として機能する。
ここで、特許文献1のような従来のハニカム構造体では、ハニカム構造体の両端部に設置された電極を介してハニカム構造体に通電を行うことにより、ハニカム構造体を抵抗加熱する。
しかしながら、一般に電流は、両電極間を最短経路で流れる傾向にある。このため、そのような構成のハニカム構造体では、電極からの距離が遠い位置、すなわち、ハニカム構造体の径方向の中心部分近傍では、電流が流れにくく、温度が上がりにくいという問題がある。また、ハニカム構造体の一部に、このような加熱不十分箇所が存在すると、隔壁に担持された触媒の活性が十分に発揮されず、ハニカム構造体の排ガスに対する浄化性能が低下してしまう。
これに対して、本発明の形態によるハニカム構造体100では、第1の電極135は、ハニカム構造体100の外側面120上に設置され、第2の電極138は、ハニカム構造体100の半径方向中心部分に設置された金属棒180の周囲に設置されている。このような構成では、通電の際に、電流は、ハニカム構造体100の半径方向に沿って流れるようになる。従って、本発明によるハニカム構造体100では、従来のハニカム構造体のような、中心部分では電流が流れにくく、全体にわたって均一に加熱することができなくなるという問題が発生しない。すなわち、本発明によるハニカム構造体100では、ハニカム構造体100の全体にわたって、より均一に加熱を行うことが可能となる。また、その結果、ハニカム構造体100の全体にわたって、セル壁124(隔壁)に担持された触媒の活性が十分に発揮されるようになり、排ガスをより効率的に浄化することが可能となる。
なお、金属棒180の半径rの値は、特に限られない。しかしながら、ハニカム構造体100の半径Rに対する金属棒の半径rの比は、4:1〜10:1の範囲であることが好ましい。ハニカム構造体100の半径Rに対する金属棒の半径rの比が大きくなり過ぎると、排ガス浄化に寄与する断面積が相対的に低下する。また、ハニカム構造体100の半径Rに対する金属棒の半径rの比が小さくなり過ぎると、大電流の通電の際に、第2の電極138および/または金属棒180に、過熱または破損が生じ得る。
金属棒180の材質は、金属である限り、特に限られない。金属棒180は、例えば、ステンレス、ニッケル基合金等であっても良い。
なお、第1および第2の電極135、138の材質や設置方法は、特に限られない。第1および第2の電極135、138は、例えば金属のような導電性材料で構成される。また、第1の電極135は、例えば、金属の溶射、スパッタリング法、または蒸着法等により設置されても良い。同様に、第2の電極138は、例えば、小径溶射ガンを用いた金属の溶射、スラリーの流し込み塗布等により設置されても良い。
このように、本発明では、ハニカム構造体の中心軸近傍およびハニカム構造体の外周面のそれぞれに、電極が形成され、これらが一対の電極(第1および第2の電極)を構成する。従って、一対の電極(第1および第2の電極)に通電することにより、ハニカム構造体を構成するセル壁全体に電流が流れるため、ハニカム構造体全体を均一に発熱させることができる。
また、ハニカム構造体の中心軸近傍にある電極(第2の電極)が略円筒形状の場合であって、前記ハニカム構造体の長手方向に垂直な方向の断面において、前記ハニカム構造体の外周の形状と前記中心軸近傍の電極(第2の電極)の内周の形状が、略同心円となっている場合には、略円筒状形状の電極(第2の電極)とハニカム構造体の外周電極(第1の電極)との距離が等しくなるため、ハニカムセルの電気抵抗値は、ほぼ等しくなる。よって、通電した場合、発熱量は、ハニカム構造体全体で均一となる。
(第2の構成)
図1に示したハニカム構造体100は、一つの導電性ハニカムユニットで構成されたハニカム構造体、いわゆる「一体構造」となっている。しかしながら、本発明は、複数の導電性ハニカムユニットで構成されたハニカム構造体、いわゆる「分割構造」のハニカム構造体にも適用することができる。なお、導電性ハニカムユニットを単にハニカムユニットとも称することにする。
図3には、本発明による「分割構造」のハニカム構造体200を示す。また、図4には、図3に示したハニカム構造体200を構成するハニカムユニットの一例を模式的に示す。
図3に示すように、本発明のハニカム構造体200は、2つの開口された端面210Aおよび210Bを有する。また、ハニカム構造体200の外周面には、後述する接着層250が設置された部分を除き、第1の電極235が設置されている。
さらに、ハニカム構造体200は、その中心部分に、中心軸Oに沿って端面210Aから端面210Bまで延在する金属棒280を有する。
ハニカム構造体200は、複数のハニカムユニットを接着層250を介して複数個接合させることにより構成される。例えば、図3の例では、ハニカム構造体200は、ハニカムユニット230A〜230Dの4個のハニカムユニットで構成されている。
図4に示すように、ハニカムユニット230Aは、略1/4円の略扇形状の端面214A、214Bを有する柱状構造を有する。ただし、ハニカムユニット230Aは、略扇形状の中心点から半径rの距離内にある領域がくり抜かれており、ここには、略1/4円柱の側面形状を有する内側表面237Aが形成されている。従って、ハニカムユニット230Aは、外側の湾曲表面234Aと、内側の湾曲表面237Aと、矩形状の略平坦な2つの側面との合計4つの側面を有する。
図3の例では、ハニカムユニット230B〜230Dも、ハニカムユニット230Aと同様の形状を有する。
ハニカムユニット230Aは、該ハニカムユニット230Aの長手方向に沿って端面214Aから端面214Bまで延伸し、両端面214A、214Bで開口された複数のセル222と、該セル222を区画するセル壁224とを有する。ハニカムユニット230Aは、例えば炭化珪素(SiC)を主成分とした材料で構成され、これに抵抗を低下させるため、例えば窒化アルミニウム(AlN)のような、少量の抵抗調整成分が添加されている。ハニカムユニット230Aのセル壁224には、触媒が設置されている。
ハニカムユニット230Aの外側湾曲表面234Aには、全体にわたって、第1の電極235Aが設置されている。また、ハニカムユニット230Aの内側湾曲表面237Aには、全体にわたって、第2の電極238Aが設置されている。
ハニカム構造体200は、各ハニカムユニット230A〜230Dの湾曲表面234A〜234D上の第1の電極235A〜235Dがハニカム構造体200の外周面を構成するようにして、各ハニカムユニット230A〜230Dを組み合わせることにより構成される。また、各ハニカムユニット230A〜230Dの内側表面237A〜237D上の第2の電極238A〜238Dによって形成された略円柱状の空間には、内側表面237A〜237D上の第2の電極238A〜238Dと接触するようにして、金属棒280が装着される。
このようなハニカム構造体200においても、前述のような本発明による効果が得られることは、当業者には明らかである。
(第3の構成)
次に、図5および図6を参照して、本発明のハニカム構造体のさらに別の一例を説明する。図5は、本発明のハニカム構造体のさらに別の一例を模式的に示した斜視図であり、図6は、図5のハニカム構造体を構成するハニカムユニットの一例を模式的に示した斜視図である。
図5に示すように、このハニカム構造体300は、2つの開口された端面310Aおよび310Bを有する。また、ハニカム構造体300の外周面には、接着層350が設置された部分を除き、第1の電極335が設置されている。
ハニカム構造体300は、複数の導電性ハニカムユニットを接着層350を介して複数個接合させることにより構成される。なお、導電性ハニカムユニットを単にハニカムユニットとも称することにする。例えば、図5の例では、ハニカム構造体300は、ハニカムユニット330A〜330Dの4個のハニカムユニットで構成されている。
図6に示すように、ハニカムユニット330Aは、略1/4円の略扇形状の端面314A、314Bを有する柱状構造を有する。
ここで、ハニカムユニット330Aは、前述のハニカムユニット230Aとは異なり、略1/4円柱状状の形状を有する。すなわち、ハニカムユニット330Aの側面は、湾曲表面334Aと、2つの矩形状の平坦面337とで構成される。ここで、2つの矩形状の平坦面337が交差する線を、ハニカムユニット330Aの中心軸O'と称することにする。
図5の例では、ハニカムユニット330B〜330Dも、ハニカムユニット330Aと同様の形状を有する。
ハニカムユニット330Aは、該ハニカムユニット330Aの長手方向に沿って端面314Aから端面314Bまで延伸し、両端面314A、314Bで開口された複数のセル322と、該セル322を区画するセル壁324とを有する。ハニカムユニット330Aは、例えば炭化珪素(SiC)を主成分とした材料で構成され、これに抵抗を低下させるため、例えば窒化アルミニウム(AlN)のような、少量の抵抗調整成分が添加されている。ハニカムユニット330Aのセル壁324には、触媒が担持されている。
また、ハニカムユニット330Aの外側湾曲表面334Aには、全体にわたって、第1の電極335Aが設置されている。また、ハニカムユニット330Aの中心軸O'およびその近傍には、「L」字型に、第2の電極338Aが設置されている。
より詳しく説明すると、第2の電極338Aは、ハニカムユニット330Aの中心軸O'に対して垂直な面においては、ハニカムユニット330Aの中心軸O'から、各平坦面337に沿って、長さpの範囲に延在している。また、第2の電極338Aは、ハニカムユニット330Aの中心軸O'の方向に対しては、ハニカムユニット330Aの第1の端面314Aから第2の端面314Bの全体にわたって延在している。
ハニカム構造体300は、各ハニカムユニット330A〜330Dの湾曲表面334A〜334D上の第1の電極335A〜335Dがハニカム構造体300の外周面を構成するようにして、各ハニカムユニット330A〜330Dを組み合わせることにより構成される。
このようなハニカム構造体300においても、前述のような本発明による効果が得られることは、当業者には明らかである。
特に、この構成の場合、電極は、ハニカムユニットの2つの平坦面の一部に形成されるため、電極の設置によって、触媒反応を担うセル数が減ってしまうことがない。前述した略円筒形状の電極を中心軸近傍の電極とした場合は、略円筒形状の電極の内側のセルは、発熱しないため、触媒反応に寄与しない。また、棒状電極を配置した場合は、その部分は、セルが存在しないデッドスペースとなるため、触媒反応のための有効体積が減少する。
しかしながら、本発明の第3の構成の場合は、電極がハニカムユニットの外周に形成されるため、デッドスペースが生じず、触媒反応のための十分な有効体積を確保することができる。
(ハニカム構造体の詳細について)
次に、本発明によるハニカム構造体を構成する各部材の構成について、より詳しく説明する。なお、以下の記載では、主として、図3に示す構造のハニカム構造体200を構成する部材について、説明する。しかしながら、本記載の一部が図1に示す構造のハニカム構造体100についても適用できることは、当業者には明らかである。また、図3において、各ハニカムユニット230A〜230Dは、同様の構成であるため、ここでは、ハニカムユニット230Aを取り上げ、その構成を説明する。
(ハニカムユニット)
ハニカムユニット230Aの全体としての抵抗値は、室温(例えば25℃)で、1Ω〜10Ωであることが好ましい。これにより、両電極235A、238A間に印加される電圧が、例えばハイブリッド型車両において通常のバッテリが有する電圧値程度であっても、ハニカム構造体200を十分に加熱することができる。なお、ハニカムユニット230Aの抵抗値が1Ωを下回ると、十分な発熱量が得られなくなる。
ハニカムユニット230Aは、炭化珪素(SiC)等を主体とした無機材料で構成され、必要な場合、さらに、窒化アルミニウム(AlN)のような抵抗調整成分が少量添加される。
ハニカムユニット230Aの長手方向に対して垂直な断面の形状は、特に限定されるものではなく、いかなる形状であっても良い。ただし、各ハニカムユニットの断面の形状は、各ハニカムユニットを組み合わせてハニカム構造体を構成した際に、略円柱状のハニカム構造体が得られるようにする。また、各ハニカムユニットの断面の形状は、各ハニカムユニットを組み合わせてハニカム構造体を構成した際に、中心部分に、円柱状の金属棒を装着することの可能な空間が得られるようにする。
ハニカムユニット230Aのセル密度は、15.5〜186個/cm(100〜1200cpsi)の範囲であることが好ましく、46.5〜170個/cm(300〜1100cpsi)の範囲であることがより好ましく、62〜155個/cm(400〜1000cpsi)の範囲であることがさらに好ましい。
ハニカムユニット230Aの気孔率は、10%〜60%の範囲であることが好ましい。
ハニカムユニット230Aのセル壁224の厚さは、特に限定されないが、ハニカムユニットの強度の点から望ましい下限は、0.1mmであり、ハニカム構造体の浄化性能の観点から望ましい上限は、0.4mmであることが好ましい。
ハニカムユニット230Aのセル壁224に担持される触媒は、特に限られず、例えば、白金、ロジウム、パラジウム等が使用されても良い。これらの触媒は、アルミナ層を介して、セル壁224に担持されても良い。
(接着層)
ハニカム構造体200の接着層250は、接着層用ペーストを原料として形成される。接着層用ペーストは、無機粒子、無機バインダ、無機繊維、および/または有機バインダを含んでも良い。
接着層用ペーストの無機粒子としては、炭化珪素(SiC)が望ましい。
無機バインダとしては、無機ゾルまたは粘土系バインダ等を用いることができ、上記無機ゾルの具体例としては、例えば、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、または水ガラス等が挙げられる。また、粘土系バインダとしては、例えば、白土、カオリン、モンモリロナイト、セピオライト、またはアタパルジャイト等の粘土等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
これらの中では、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライトまたはアタパルジャイトが望ましい。
また、無機繊維の材料としては、アルミナ、シリカ、炭化珪素、シリカアルミナ、ガラス、チタン酸カリウム、またはホウ酸アルミニウムが望ましい。これらの無機繊維は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。また、これらの中では、シリカアルミナが特に望ましい。
有機バインダとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。有機バインダの中では、カルボキシルメチルセルロースが望ましい。
接着層250の厚さは、0.3〜2mmの範囲であることが好ましい。接着層250の厚さが0.3mm未満では十分なハニカムユニットの接合強度が得られない。また接着層250の厚さが2mmを超えると、ハニカム構造体の圧力損失が大きくなる。なお、接合させるハニカムユニットの数は、ハニカム構造体の大きさに合わせて適宜選定される。
(ハニカム構造体)
本発明のハニカム構造体200は、略円柱状の形状を有する。中心部分に設置される金属棒280の材質は、金属等の導電性材料であれば、特に限られない。
(ハニカム構造体の作製方法)
次に、本発明によるハニカム構造体の製造方法を簡単に説明する。なお、以下の記載では、図3に示したハニカム構造体200を製造する方法について説明する。ただし、この記載から、当業者が図1に示したハニカム構造体100を製造することができることは明らかである。
(ハニカムユニットの製造)
まず、炭化珪素(SiC)を含む無機粒子を主成分とした原料ペーストを用いて押出成形等を行い、ハニカムユニット成形体を作製する。ハニカムユニット成形体は、例えば、図4に示したような、断面が略扇型形状で、中心O側部分がそれよりも小さな断面略扇型形状で切り取られた柱状体の形状を有する。すなわち、ハニカムユニット成形体は、略1/4円状の断面と、外側の湾曲表面および内側湾曲表面を含む4つの側面と、を有している。
なお、ハニカムユニットの抵抗率調整のため、原料ペースト中には、さらに、適量の窒化アルミニウム(AlN)等を添加しても良い。
原料ペーストには、これらの他に有機バインダ、分散媒および成形助剤を成形性にあわせて適宜加えてもよい。有機バインダとしては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂等から選ばれる1種以上の有機バインダが挙げられる。有機バインダの配合量は、無機粒子、無機バインダおよび無機繊維の合計100重量部に対して、1〜10重量部が好ましい。
分散媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(ベンゼンなど)およびアルコール(メタノールなど)などを挙げることができる。成形助剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸およびポリアルコール等を挙げることができる。
原料ペーストは、特に限定されるものではないが、混合および混練することが好ましく、例えば、ミキサーまたはアトライタなどを用いて混合してもよく、ニーダーなどで十分に混練してもよい。原料ペーストを成形する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、押出成形などによってセルを有する形状に成形することが好ましい。
次に、得られた成形体は、乾燥することが好ましい。乾燥に用いる乾燥機は、特に限定されるものではないが、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機および凍結乾燥機などが挙げられる。また、得られた成形体は、脱脂することが好ましい。脱脂する条件は、特に限定されず、成形体に含まれる有機物の種類や量によって適宜選択するが、おおよそ400℃、2時間が好ましい。更に、得られた成形体は、焼成することが好ましい。焼成条件としては、特に限定されるものではないが、おおよそ2200℃が好ましい。
(電極の形成)
次に、各ハニカムユニットの外側湾曲表面および内側湾曲表面に、電極を設置する。ここで、第1の電極は、外側湾曲表面の全体に設置され、第2の電極は、内側湾曲表面の全体に設置される。
前述のように、電極の材質および設置方法は、特に限られない。第1および第2の電極は、例えば金属で構成される。また、第1および第2の電極は、例えば、金属の溶射、スパッタリング法、蒸着法、またはスラリーの流し込み塗布等により設置されても良い。
電極の厚さは、例えば、1μm〜200μmの範囲であることが好ましい。
(ハニカム構造体の組み立て)
その後、各ハニカムユニットのセル壁に、触媒が担持される。
次に、以上の工程で得られたハニカムユニットの側面に、後に接着層となる接着層用ペーストを均一な厚さで塗布した後、この接着層用ペーストを介して、順次他のハニカムユニットを結合する。この工程を繰り返し、中心部分がくり抜かれた略円柱状のハニカム構造体を作製する。
次にこのハニカム構造体を加熱して、接着層用ペーストを乾燥して、固化させて、接着層を形成させるとともに、ハニカムユニット同士を固着させる。
複数のハニカムユニットを接着層によって接合させた後に、このハニカム構造体を脱脂することが好ましい。この脱脂処理により、接着層用のペーストに有機バインダが含まれている場合、これらの有機バインダを脱脂除去することができる。脱脂条件は、含まれる有機物の種類や量によって適宜選定されるが、700℃、2時間程度が好ましい。
次に、ハニカム構造体の中心部に、各ハニカムユニットの電極部分と接するようにして、金属棒を設置する。なお、金属棒の設置は、必ずしもこの段階で行う必要はない。金属棒の設置は、例えば、接着層用ペーストを介してハニカムユニット同士を結合する工程において、行っても良い。
以上の工程により、本発明によるハニカム構造体を作製することができる。
100 ハニカム構造体
110A、110B 端面
120 外周面
122 セル
124 セル壁
135 第1の電極
138 第2の電極
140 領域
180 金属棒
200 ハニカム構造体
210A、210B 端面
214A、214B ハニカムユニットの端面
222 セル
224 セル壁
230 ハニカムユニット
230A〜230D ハニカムユニット
234A 湾曲側面
235、235A 第1の電極
237A 内側表面
238A 第2の電極
250 接着層
280 金属棒
300 ハニカム構造体
310A、310B 端面
314A、314B ハニカムユニットの端面
322 セル
324 セル壁
330 ハニカムユニット
330A〜330D ハニカムユニット
334A 湾曲側面
335、335A 第1の電極
337 平坦面
338A 第2の電極
350 接着層

Claims (6)

  1. 複数の貫通孔が長手方向に並設された複数の導電性ハニカムユニットを有する略円柱状のハニカム構造体であって、
    対となる第1および第2の電極を有し、
    第1の電極は、当該ハニカム構造体の外周面にあり、第2の電極は、当該ハニカム構造体の中心軸近傍にあり、
    当該ハニカム構造体は、該ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の形状が略扇形の柱状ハニカムユニットが複数個結束されて構成され、
    前記柱状ハニカムユニットの外周面のうち、前記略扇形の中心角を構成する2平面であって、該2平面が交差してできる交線近傍と、前記略扇形の円弧を構成する曲面のそれぞれに、電極が形成されることを特徴とするハニカム構造体。
  2. 記導電性ハニカムユニットは、対となる第1および第2の電極間の抵抗値が1Ω〜10Ωの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 前記対となる第1および第2の電極は、溶射またはスパッタで形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のハニカム構造体。
  4. 記導電性ハニカムユニットのセル壁には、触媒が担持されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一つに記載のハニカム構造体。
  5. 前記触媒は、白金、ロジウムまたはパラジウムであり、アルミナ層を介して担持されていることを特徴とする請求項に記載のハニカム構造体。
  6. 記導電性ハニカムユニットは、炭化珪素を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一つに記載のハニカム構造体。
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