JP5709013B2 - 神経分化誘導ペプチド及びその利用 - Google Patents

神経分化誘導ペプチド及びその利用 Download PDF

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Description

本発明は、神経分化誘導性を有するペプチドとその利用に関する。特にそのペプチドを有効成分とする神経分化誘導剤に関する。
なお、本願は2009年4月10日に出願された日本国特許出願第2009−095641号に基づく優先権を主張しており、当該日本国出願の全内容は本明細書中に参照として援用されている。
再生医療分野における一つの課題として神経細胞の再生が挙げられる。例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病その他の中枢神経系疾患の治療として、神経幹細胞或いは胚性幹細胞(ES細胞)を利用して神経細胞を再生することが期待されている(特許文献1)。しかし、胚性幹細胞等は入手(採取)が困難である。また、これら幹細胞は患部にそのまま移植されても神経細胞にほとんど分化せず生着も困難である。仮に生着した場合でもグリア細胞に分化してしまうものがほとんどである。
また、神経幹細胞、皮膚幹細胞、脂肪幹細胞等の体性(成体)幹細胞は、比較的入手が容易な幹細胞であり、これら幹細胞より神経細胞を分化することができれば医療産業上の利用価値は高い。しかし、従来、短時間に且つ高効率にこれら体性幹細胞から神経細胞を分化誘導する方法は未だ確立されておらず、かかる方法の確立、具体的には、そのような目的に適する神経分化誘導剤の開発が望まれている。例えば特許文献2には、ピロリドン誘導体を有効成分とする神経分化誘導剤が記載されているが、体性幹細胞から神経細胞を分化誘導する効果については記載がない。
近年、幹細胞の神経細胞への分化を誘導する機能を有するペプチド(神経分化誘導ペプチド)の利用が注目されている。例えば、特許文献3には、神経幹細胞や皮膚幹細胞からの神経分化を誘導し得るペプチド(VHLペプチド)が記載されている。
日本国特許出願公開2004−357543号公報 日本国特許出願公開平9−323928号公報 日本国特許出願公開2005−330206号公報
トレンド・イン・セルバイオロジー(trends in CELLBIOLOGY)、8巻、1998年、pp.410−415 ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(THEJOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY)、281巻(35号)、2006年、pp.25223−25230
本発明は、上記特許文献2に記載されるような従前の化学物質を成分とする神経分化誘導剤の開発アプローチとは異なるアプローチにより創出されたものであり、特許文献3に記載されるような既知の神経分化誘導ペプチドよりも高い神経分化誘導活性を有する人工ペプチドの提供を目的とする。また、そのようなペプチドを有効成分とする神経分化誘導剤(薬学的組成物)の提供を他の目的とする。また、そのようなペプチドを使用して神経細胞を生産する方法および神経細胞を発生させる方法を提供することを他の目的とする。
本発明によって提供される神経分化誘導ペプチドは、それ単独で自然界において神経分化誘導ペプチドとして存在するものではない人為的に設計された合成ペプチドである。
本発明者らは、脳の神経細胞中でアミロイド前駆体タンパク質(Amyloid
Precursor Protein:APP)がセクレターゼによって切断されて典型的には40若しくは42アミノ酸残基から成るアミロイドβタンパク質が産生し、該アミロイドβが脳内において凝集(蓄積)されることにより神経細胞が破壊され、その結果としてアルツハイマー病が発症するというアミロイド仮説において、いわばアルツハイマー病の出発物質ともいうべきアミロイド前駆体タンパク質の性状を詳細に検討し、該アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドに着目した。
そして、アミロイド前駆体タンパク質中のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列の全部または一部を含むようにして作製した合成ペプチドが、種々の幹細胞に対して高い神経分化誘導活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
さらに、本発明者は、核小体局在シグナル(NoLS:Nucleolar localization signal)として知られるアミノ酸配列(非特許文献2参照)が細胞外から核内(典型的には核小体)へのペプチド移行に関与するアミノ酸配列であることを見出し、該アミノ酸配列を含むように構成された合成ペプチドを使用することにより、幹細胞から神経細胞への分化効率を著しく高め得ることを見出した。
ここで開示される神経分化誘導ペプチドは、少なくとも一種の幹細胞を神経細胞に分化誘導し得るペプチド(以下「神経分化誘導ペプチド」ともいう。)である。
即ち、本発明によって提供される神経分化誘導ペプチドの一態様は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)中のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列を含む。
また、本発明によって提供される神経分化誘導ペプチドの他の一態様は、上記シグナルペプチドを構成するアミノ酸配列の一部分であって該配列のN末端アミノ酸残基から数えて少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成るN末端側部分アミノ酸配列を含む。
また、本発明によって提供される神経分化誘導ペプチドの他の一態様は、上記シグナルペプチドを構成するアミノ酸配列の一部分であって該配列のC末端アミノ酸残基から数えて少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を含む。
本明細書において、ここで開示される神経分化誘導ペプチドに含まれるアミロイド前駆体タンパク質(APP)中のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列または該シグナルペプチド配列中の部分アミノ酸配列(即ち上記のN末端側部分アミノ酸配列とC末端側部分アミノ酸配列)を総称して「APPシグナルペプチド関連配列」という。
なお、本明細書中に記載されるアミノ酸配列は、常に左側がN末端側であり右側がC末端側である。
ここで開示される神経分化誘導ペプチドの好ましい一態様では、上記アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドは、以下のアミノ酸配列:
MLPGLALLLLAAWTARA(配列番号2);または
MLPSLALLLLAAWTVRA(配列番号3);
であり、
上記APPシグナルペプチド関連配列は、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列それ自体であるか、或いは、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の一部分であって該配列のN末端アミノ酸残基から数えて少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成るN末端側部分アミノ酸配列、若しくは、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の一部分であって該配列のC末端アミノ酸残基から数えて少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列である。なお、これらAPPシグナルペプチド関連配列は、配列番号2及び配列番号3の各々に記載されたとおりのアミノ酸配列の他、これらアミノ酸配列に部分的な改変が施された改変アミノ酸配列を包含し得る。
また、ここで開示される神経分化誘導ペプチドの好ましい一態様は、核小体局在シグナルを構成する以下のアミノ酸配列:
KKRTLRKNDRKKR(配列番号1)
をさらに含む人為的に合成されたペプチドである。
また、ここで開示される神経分化誘導ペプチドの好ましい一態様は、上記核小体局在シグナルを構成するアミノ酸配列のN末端側にAPPシグナルペプチド関連配列を含むように構成されている。
また、ここで開示される神経分化誘導ペプチドの特に好ましい一態様は、ペプチドを構成する全アミノ酸残基数が50以下である。
本発明によって提供される神経分化誘導ペプチドの好ましい具体例として、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30および配列番号31のうちから選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列から構成される合成ペプチドが挙げられる。
また、本発明は、他の側面として、ここで開示されるいずれかの神経分化誘導ペプチドと、薬学上許容され得る少なくとも一種の担体とを含有する、少なくとも一種の幹細胞を神経細胞に分化誘導し得る神経分化誘導剤を提供する。
すなわち、ここで開示される神経分化誘導剤は、神経分化誘導ペプチドとして、アミロイド前駆体タンパク質(APP)中のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列、または、該シグナルペプチドを構成するアミノ酸配列の一部分であって該配列のN末端アミノ酸残基から数えて少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成るN末端側部分アミノ酸配列若しくは該シグナルペプチドを構成するアミノ酸配列の一部分であって該配列のC末端アミノ酸残基から数えて少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を、APPシグナルペプチド関連配列として含む人為的に合成されたペプチドを含有する。
好ましくは、上記アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドは、以下のアミノ酸配列:
MLPGLALLLLAAWTARA(配列番号2);または
MLPSLALLLLAAWTVRA(配列番号3);
であり、上記APPシグナルペプチド関連配列は、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列であるか、或いは、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の一部分であって該配列のN末端アミノ酸残基から数えて少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成るN末端側部分アミノ酸配列、若しくは、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の一部分であって該配列のC末端アミノ酸残基から数えて少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列である。
また好ましくは、神経分化誘導剤に含有される神経分化誘導ペプチドは、核小体局在シグナルを構成する以下のアミノ酸配列:
KKRTLRKNDRKKR(配列番号1)
をさらに含む人為的に合成されたペプチドである。
また好ましくは、神経分化誘導剤に含有される神経分化誘導ペプチドは、上記核小体局在シグナルを構成するアミノ酸配列のN末端側に上記APPシグナルペプチド関連配列を含む。ペプチドを構成する全アミノ酸残基数が50以下であることが特に好ましい。
神経分化誘導剤に含有される神経分化誘導ペプチドの好適例として、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30および配列番号31のうちから選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列から構成される合成ペプチドが挙げられる。
また、本発明は他の側面として、ここで開示される神経分化誘導剤若しくは神経分化誘導ペプチドを利用する種々の方法を提供する。
即ち、本発明は、少なくとも一種の細胞材料から神経細胞を生産する方法を提供する。この方法は、ここで開示されるいずれかの合成ペプチド若しくは該合成ペプチドを含む神経分化誘導剤(薬学的組成物)を用意し、該ペプチド若しくは該神経分化誘導剤を上記細胞材料に供給することを特徴とする。
また、本発明は、生体又は生組織中に神経細胞を発生させる方法を提供する。この方法は、ここで開示されるいずれかの合成ペプチド若しくは該合成ペプチドを含む神経分化誘導剤(薬学的組成物)を用意し、生体または生体外に一時的又は永久的に摘出された生組織に上記合成ペプチド若しくは該合成ペプチドを含む神経分化誘導剤(薬学的組成物)を付与することを特徴とする。
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの合成ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む、天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド(例えばそれら配列により実質的に構成されるポリヌクレオチド)を提供する。
好ましいポリヌクレオチドとして、配列番号4〜31のうちのいずれかに示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(例えばそれら配列により実質的に構成されるポリヌクレオチド)が挙げられる。
本発明の神経分化誘導ペプチドは、上述のとおり、APPシグナルペプチド関連配列(好ましくはAPPシグナルペプチド関連配列に加えて核小体局在シグナル(NoLS)を構成するアミノ酸配列)を含む単純な構成の合成ペプチドであるため容易に製造することができる。このため、所望する量のペプチド(延いては神経分化誘導剤)を容易に調製することができる。
また、本発明によると、そのような神経分化誘導ペプチド(神経分化誘導剤)を利用することにより、従来は困難であった非神経細胞(典型的には神経幹細胞、脂肪幹細胞、皮膚幹細胞等の体性幹細胞、或いは胚性幹細胞)を神経細胞(ニューロン)に分化誘導することが容易に実現される。このため、比較的大量に調達し得る細胞材料(脂肪幹細胞等)を使用して、用途(例えば、神経の再生が要求されるような神経疾患の治療)に応じて所望される量の神経細胞を供給することができる。或いはまた、神経再生が必要な患部や体外に摘出した一時的又は永久的な生組織(細胞塊等の培養物を含む)に適当量を投与することにより、神経細胞の発生を実現することができる。
図1は、マウス神経幹細胞の培養液にサンプルペプチド(サンプル1)を培養液中の濃度が0.5μMとなるように添加して7日間培養した後、培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)であり、微分干渉コントラスト(DIC)画像と、DAPIによる核染色画像と、蛍光色素標識抗チューブリン抗体を使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光画像とを重ねた(マージした)画像である。 図2は、使用したペプチドがサンプル2であることを除いて図1の蛍光顕微鏡写真(画像)を撮影したときと同じ条件及び材料で培養した培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)である。 図3は、使用したペプチドがサンプル3であることを除いて図1の蛍光顕微鏡写真(画像)を撮影したときと同じ条件及び材料で培養した培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)である。 図4は、使用したペプチドがサンプル4であることを除いて図1の蛍光顕微鏡写真(画像)を撮影したときと同じ条件及び材料で培養した培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)である。 図5は、使用したペプチドがサンプル5であることを除いて図1の蛍光顕微鏡写真(画像)を撮影したときと同じ条件及び材料で培養した培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)である。 図6は、使用したペプチドがサンプル6であることを除いて図1の蛍光顕微鏡写真(画像)を撮影したときと同じ条件及び材料で培養した培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)である。 図7は、使用したペプチドがサンプル7であることを除いて図1の蛍光顕微鏡写真(画像)を撮影したときと同じ条件及び材料で培養した培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)である。 図8は、使用したペプチドがサンプル8であることを除いて図1の蛍光顕微鏡写真(画像)を撮影したときと同じ条件及び材料で培養した培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)である。 図9は、使用したペプチドがサンプル9であることを除いて図1の蛍光顕微鏡写真(画像)を撮影したときと同じ条件及び材料で培養した培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)である。 図10は、使用したペプチドがサンプル10であることを除いて図1の蛍光顕微鏡写真(画像)を撮影したときと同じ条件及び材料で培養した培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)である。 図11は、使用したペプチドがサンプル11であることを除いて図1の蛍光顕微鏡写真(画像)を撮影したときと同じ条件及び材料で培養した培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)である。 図12は、使用したペプチドがサンプル12であることを除いて図1の蛍光顕微鏡写真(画像)を撮影したときと同じ条件及び材料で培養した培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)である。 図13は、使用したペプチドがサンプル13であることを除いて図1の蛍光顕微鏡写真(画像)を撮影したときと同じ条件及び材料で培養した培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)である。 図14は、使用したペプチドがサンプル14であることを除いて図1の蛍光顕微鏡写真(画像)を撮影したときと同じ条件及び材料で培養した培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)である。 図15は、使用したペプチドがサンプル15であることを除いて図1の蛍光顕微鏡写真(画像)を撮影したときと同じ条件及び材料で培養した培養細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)である。 図16は、マウス神経幹細胞を神経分化培地(神経分化誘導ペプチドは添加していない。)で7日間培養した後の培養細胞の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)であり、DIC画像と、DAPIによる核染色画像と、蛍光色素標識抗チューブリン抗体を使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光画像とを重ねた(マージした)画像である。 図17は、マウス神経幹細胞を一般の成長培地(神経分化誘導ペプチドは添加していない。)で7日間培養した後の培養細胞の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)であり、DIC画像と、DAPIによる核染色画像と、蛍光色素標識抗チューブリン抗体を使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光画像とを重ねた(マージした)画像である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば神経分化誘導ペプチドの一次構造や鎖長)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばペプチド合成、ポリヌクレオチド合成、ペプチドを成分とする神経分化誘導剤(薬剤組成物)の調製に関するような一般的事項)は、医学、薬学、有機化学、生化学、遺伝子工学、タンパク質工学、分子生物学、衛生学等の分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の説明では、場合に応じてアミノ酸をIUPAC-IUBガイドラインで示されたアミノ酸に関する命名法に準拠した1文字表記(但し配列表では3文字表記)で表す。
また、本明細書中で引用されている全ての文献の全ての内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
本明細書において「人為的に合成された神経分化誘導ペプチド」とは、そのペプチド鎖がそれのみで独立して自然界に安定的に存在するものではなく、人為的な化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって製造され、所定の系(例えば神経分化誘導剤を構成する組成物)の中で安定して存在し得るペプチド断片をいう。
本明細書において「ペプチド」とは、複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、ペプチド鎖に含まれるアミノ酸残基の数によって限定されないが、典型的には全アミノ酸残基数が100以下、好ましくは50以下である。
本明細書において「アミノ酸残基」とは、特に言及する場合を除いて、ペプチド鎖のN末端アミノ酸及びC末端アミノ酸を包含する用語である。また、本明細書において所定のアミノ酸配列に対して「部分的な改変が施されたアミノ酸配列(改変アミノ酸配列)」とは、当該所定のアミノ酸配列が有する神経分化誘導性を損なうことなく、1個または数個(例えば2,3個)のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加(挿入)されて形成されたアミノ酸配列をいう。例えば、1個又は数個(典型的には2個又は3個)のアミノ酸残基が保守的に置換したいわゆる同類置換(conservative amino acid replacement)によって生じた配列(例えば塩基性アミノ酸残基が別の塩基性アミノ酸残基に置換した配列)、或いは、所定のアミノ酸配列について1個又は数個(典型的には2個又は3個)のアミノ酸残基が付加(挿入)した若しくは欠失した配列等は、本明細書でいう「部分的な改変が施された配列(改変アミノ酸配列)」に包含される典型例である。
また、本明細書において「ポリヌクレオチド」とは、複数のヌクレオチドがリン酸ジエステル結合で結ばれたポリマー(核酸)を指す用語であり、ヌクレオチドの数によって限定されない。種々の長さのDNAフラグメント及びRNAフラグメントが本明細書におけるポリヌクレオチドに包含される。また、「人為的に設計されたポリヌクレオチド」とは、そのヌクレオチド鎖(全長)がそれ単独で自然界に存在するものではなく、化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって人為的に合成されたポリヌクレオチドをいう。
本発明者は、ヒト、チンパンジー、カニクイザル、マウス、ラット等の哺乳動物の脳の神経細胞中で産生されるアミロイド前駆体タンパク質(APP)のシグナルペプチドに対応するアミノ酸配列を含むように合成した比較的短いペプチドが顕著な神経分化誘導活性を発揮し得ることを見出した。昨今、シグナルペプチドの機能に関する研究が進められている(例えば総説として上記非特許文献1が挙げられる。)が、当該APPのシグナルペプチド配列の利用によって少なくとも一種の幹細胞(例えば種々の体性幹細胞や胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、等)の神経分化誘導が実現されることを示唆する文献はない。
本発明の実施にあたって好ましく利用されるアミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2及び配列番号3にそれぞれ示されている。
即ち、配列番号2として示す以下のアミノ酸配列:
MLPGLALLLLAAWTARA(配列番号2)
は、ヒト、チンパンジーならびにカニクイザルの脳の神経細胞で産生されるアミロイド前駆体タンパク質の17アミノ酸残基から構成されるシグナルペプチド配列である。
また、配列番号3として示す以下のアミノ酸配列:
MLPSLALLLLAAWTVRA(配列番号3);
は、マウスならびにラットの脳の神経細胞で産生されるアミロイド前駆体タンパク質の17アミノ酸残基から構成されるシグナルペプチド配列である。
而して本発明の神経分化誘導ペプチドを構築するにあたっては、APPシグナルペプチド関連配列として、上記配列番号2または配列番号3に示すアミノ酸配列(17アミノ酸残基から構成される)をそのまま適用することができる。
或いは、配列番号2または配列番号3のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成るN末端側部分アミノ酸配列、換言すればN末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から6番目のアラニン残基迄を必須とし、それよりもC末端側のアミノ酸残基の使用は任意とするN末端側部分アミノ酸配列をAPPシグナルペプチド関連配列として使用することができる。即ち、N末端側部分アミノ酸配列の具体例は次のとおりである。
<1> 配列番号2のシグナルペプチド配列由来のN末端側部分アミノ酸配列:
(1).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から6番目のアラニン残基迄の合計6アミノ酸残基から成る配列;
(2).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から7番目のロイシン残基迄の合計7アミノ酸残基から成る配列;
(3).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から8番目のロイシン残基迄の合計8アミノ酸残基から成る配列;
(4).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から9番目のロイシン残基迄の合計9アミノ酸残基から成る配列;
(5).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から10番目のロイシン残基迄の合計10アミノ酸残基から成る配列;
(6).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から11番目のアラニン残基迄の合計11アミノ酸残基から成る配列;
(7).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から12番目のアラニン残基迄の合計12アミノ酸残基から成る配列;
(8).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から13番目のトリプトファン残基迄の合計13アミノ酸残基から成る配列;
(9).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から14番目のスレオニン残基迄の合計14アミノ酸残基から成る配列;
(10).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から15番目のアラニン残基迄の合計15アミノ酸残基から成る配列;
(11).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から16番目のアルギニン残基迄の合計16アミノ酸残基から成る配列。
<2> 配列番号3のシグナルペプチド配列由来のN末端側部分アミノ酸配列:
(1).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から6番目のアラニン残基迄の合計6アミノ酸残基から成る配列;
(2).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から7番目のロイシン残基迄の合計7アミノ酸残基から成る配列;
(3).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から8番目のロイシン残基迄の合計8アミノ酸残基から成る配列;
(4).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から9番目のロイシン残基迄の合計9アミノ酸残基から成る配列;
(5).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から10番目のロイシン残基迄の合計10アミノ酸残基から成る配列;
(6).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から11番目のアラニン残基迄の合計11アミノ酸残基から成る配列;
(7).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から12番目のアラニン残基迄の合計12アミノ酸残基から成る配列;
(8).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から13番目のトリプトファン残基迄の合計13アミノ酸残基から成る配列;
(9).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から14番目のスレオニン残基迄の合計14アミノ酸残基から成る配列;
(10).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から15番目のバリン残基迄の合計15アミノ酸残基から成る配列;
(11).N末端アミノ酸残基から数えて1番目のメチオニン残基から16番目のアルギニン残基迄の合計16アミノ酸残基から成る配列。
或いはまた、配列番号2または配列番号3のシグナルペプチド配列のC末端アミノ酸残基から数えて少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列、換言すればN末端アミノ酸残基から数えて13番目のトリプトファン残基から17番目(即ちC末端)のアラニン残基迄を必須とし、それよりもN末端側のアミノ酸残基の使用は任意とするC末端側部分アミノ酸配列をAPPシグナルペプチド関連配列として使用することができる。即ち、C末端側部分アミノ酸配列の具体例は次のとおりである。
<3> 配列番号2のシグナルペプチド配列由来のC末端側部分アミノ酸配列:
(1).N末端アミノ酸残基から数えて13番目のトリプトファン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計5アミノ酸残基から成る配列;
(2).N末端アミノ酸残基から数えて12番目のアラニン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計6アミノ酸残基から成る配列;
(3).N末端アミノ酸残基から数えて11番目のアラニン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計7アミノ酸残基から成る配列;
(4).N末端アミノ酸残基から数えて10番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計8アミノ酸残基から成る配列;
(5).N末端アミノ酸残基から数えて9番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計9アミノ酸残基から成る配列;
(6).N末端アミノ酸残基から数えて8番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計10アミノ酸残基から成る配列;
(7).N末端アミノ酸残基から数えて7番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計11アミノ酸残基から成る配列;
(8).N末端アミノ酸残基から数えて6番目のアラニン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計12アミノ酸残基から成る配列;
(9).N末端アミノ酸残基から数えて5番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計13アミノ酸残基から成る配列;
(10).N末端アミノ酸残基から数えて4番目のグリシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計14アミノ酸残基から成る配列;
(11).N末端アミノ酸残基から数えて3番目のプロリン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計15アミノ酸残基から成る配列;
(12).N末端アミノ酸残基から数えて2番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計16アミノ酸残基から成る配列。
<4> 配列番号3のシグナルペプチド配列由来のC末端側部分アミノ酸配列:
(1).N末端アミノ酸残基から数えて13番目のトリプトファン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計5アミノ酸残基から成る配列;
(2).N末端アミノ酸残基から数えて12番目のアラニン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計6アミノ酸残基から成る配列;
(3).N末端アミノ酸残基から数えて11番目のアラニン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計7アミノ酸残基から成る配列;
(4).N末端アミノ酸残基から数えて10番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計8アミノ酸残基から成る配列;
(5).N末端アミノ酸残基から数えて9番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計9アミノ酸残基から成る配列;
(6).N末端アミノ酸残基から数えて8番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計10アミノ酸残基から成る配列;
(7).N末端アミノ酸残基から数えて7番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計11アミノ酸残基から成る配列;
(8).N末端アミノ酸残基から数えて6番目のアラニン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計12アミノ酸残基から成る配列;
(9).N末端アミノ酸残基から数えて5番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計13アミノ酸残基から成る配列;
(10).N末端アミノ酸残基から数えて4番目のセリン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計14アミノ酸残基から成る配列;
(11).N末端アミノ酸残基から数えて3番目のプロリン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計15アミノ酸残基から成る配列;
(12).N末端アミノ酸残基から数えて2番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計16アミノ酸残基から成る配列。
設計される神経分化誘導ペプチドは、前記APPシグナルペプチド関連配列またはその改変アミノ酸配列のみから成るペプチドであってもよいが、神経分化誘導活性の向上の観点からは、いわゆる細胞膜通過ドメイン(タンパク質導入ドメイン:Protein Transduction Domain)を構成するアミノ酸配列の利用が好ましい。好適例を配列番号33,34及び35に示す。配列番号33は、HIVのTATに含まれるタンパク質導入ドメインのアミノ酸配列と該配列から成るペプチドを示している。配列番号34は、前記TATを改変したタンパク質導入ドメイン(PTD4)のアミノ酸配列と該配列から成るペプチドを示している。配列番号35は、ショウジョウバエ(Drosophila)の変異体AntennapediaのANTの関連アミノ酸配列と該配列から成るペプチドを示している。なお、配列表に示した上述の細胞膜通過ドメインはあくまでも例示であり、使用可能なドメインはこれらに限定されない。本発明の実施に使用可能な様々な細胞膜通過ドメインが本願出願当時に出版されている数々の文献に記載されている。それら細胞膜通過ドメインのアミノ酸配列は一般的な検索手段によって容易に知ることができる。
特に、以下のアミノ酸配列:
KKRTLRKNDRKKR(配列番号1)
の利用が好ましい。
本発明者は、上記非特許文献2に記載されるように核小体局在シグナル(NoLS)として知られる上記配列番号1に示すアミノ酸配列と、目的とする他のアミノ酸配列(何らかの機能と関連付けられる比較的短い配列、即ちペプチドモチーフ)を構成するアミノ酸配列とを含むペプチドを合成し、培養中の真核細胞に添加したところ、当該ペプチドが高効率に対象細胞の細胞膜を通過し得ること、さらには高効率に核膜を通過し得ることを見出した。
即ち、本発明によると、目的とするAPPシグナルペプチド関連配列(神経分化誘導に関連するペプチドモチーフ)を上記配列番号1に示すアミノ酸配列(以下「核小体局在シグナル関連配列」ともいう。)と組み合わせて得られた人工ペプチドを構築(合成) し、対象とする真核細胞に添加することによって、当該人工ペプチドを真核細胞の外部(細胞膜の外側)から核内(好ましくは核小体)に高効率に移送することができる。
本発明によって提供される神経分化誘導ペプチドは、少なくとも一つのアミノ酸残基がアミド化されているものが好ましい。アミノ酸残基(典型的にはペプチド鎖のC末端アミノ酸残基)のカルボキシル基のアミド化により、神経分化誘導ペプチドの構造安定性(例えばプロテアーゼ耐性)を向上させ得る。
神経分化誘導ペプチドは、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が100以下が望ましく、50以下が好ましい。このような鎖長の短いペプチドは、化学合成が容易であり、容易に神経分化誘導ペプチドを提供することができる。なお、ペプチドのコンホメーション(立体構造)については、使用する環境下で神経分化誘導性を発揮する限りにおいて、特に限定されるものではないが、免疫原(抗原)になり難いという観点から直鎖状又はへリックス状のものが好ましい。このような形状のペプチドはエピトープを構成し難い。かかる観点から、神経分化誘導剤に適用する神経分化誘導ペプチドとしては、直鎖状であり比較的低分子量(典型的には50以下(特に40以下)のアミノ酸残基数)のものが好適である。
全体のアミノ酸配列に対するAPPシグナルペプチド関連配列の占める割合(即ちペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数に占めるAPPシグナルペプチド関連配列部分を構成するアミノ酸残基数の個数%)は、神経分化誘導活性を失わない限り特に限定されないが、当該割合は20%以上が望ましく、30〜50%が好ましい。なお、本発明の神経分化誘導ペプチドとしては、全てのアミノ酸残基がL型アミノ酸であるものが好ましいが、神経分化誘導活性を失わない限りにおいて、アミノ酸残基の一部又は全部がD型アミノ酸に置換されているものであってもよい。
本発明の神経分化誘導ペプチドは、神経分化誘導性を失わない限りにおいて、APPシグナルペプチド関連配列ならびに核小体局在シグナル関連配列に含まれ得ない配列を部分的に含み得る。特に限定するものではないが、かかる部分配列としてはペプチド鎖におけるAPPシグナルペプチド関連配列部分の3次元形状(典型的には直鎖形状)を維持し得る配列が好ましい。例えば、APPシグナルペプチド関連配列部分と核小体局在シグナル関連配列部分とを連結するリンカー配列(ヒンジ部)が挙げられる。かかるリンカー配列の典型例として、1〜9個程度(例えば1個、2個又は3個)のグリシン残基及び/又はセリン残基で構成されたリンカー配列が挙げられる(後述する実施例参照)。
ここで開示される神経分化誘導ペプチドのうちペプチド鎖の比較的短いものは、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することができる。例えば、従来公知の固相合成法又は液相合成法のいずれを採用してもよい。アミノ基の保護基としてBoc(t-butyloxycarbonyl)或いはFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。
ここで開示されるアミノ酸残基数が100以下(特に50以下)の神経分化誘導ペプチドは、市販のペプチド合成機(例えば、Intavis AG社、Applied Biosystems社等から入手可能である。)を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列、修飾(C末端アミド化等)部分を有するペプチド鎖として容易に合成することができる。
或いは、遺伝子工学的手法に基づいて神経分化誘導ペプチドを生合成してもよい。このアプローチは、ペプチド鎖の比較的長いポリペプチドを製造する場合に好適である。すなわち、所望する神経分化誘導ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(ATG開始コドンを含む。)のDNAを合成する。そして、このDNAと該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する。)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築する。
一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、動物(哺乳類)細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的の神経分化誘導ペプチドを得ることができる。一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、哺乳類細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的の神経分化誘導ペプチドを得ることができる。
なお、組換えベクターの構築方法及び構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法等は、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
例えば、宿主細胞内で効率よく大量に生産させるために融合タンパク質発現システムを利用することができる。すなわち、目的の神経分化誘導ペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子(DNA)を化学合成し、該合成遺伝子を適当な融合タンパク質発現用ベクター(例えばノバジェン社から提供されているpETシリーズおよびアマシャムバイオサイエンス社から提供されているpGEXシリーズのようなGST(Glutathione S-transferase)融合タンパク質発現用ベクター)の好適なサイトに導入する。そして該ベクターにより宿主細胞(典型的には大腸菌)を形質転換する。得られた形質転換体を培養して目的の融合タンパク質を調製する。次いで、該タンパク質を抽出及び精製する。次いで、得られた精製融合タンパク質を所定の酵素(プロテアーゼ)で切断し、遊離した目的のペプチド断片(設計した神経分化誘導ペプチド)をアフィニティクロマトグラフィー等の方法によって回収する。このような従来公知の融合タンパク質発現システム(例えばアマシャムバイオサイエンス社により提供されるGST/Hisシステムを利用し得る。)を用いることによって、本発明の神経分化誘導ペプチドを製造することができる。
或いは、無細胞タンパク質合成システム用の鋳型DNA(即ち神経分化誘導ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む合成遺伝子断片)を構築し、ペプチド合成に必要な種々の化合物(ATP、RNAポリメラーゼ、アミノ酸類等)を使用し、いわゆる無細胞タンパク質合成システムを採用して目的のポリペプチドをインビトロ合成することができる。無細胞タンパク質合成システムについては、例えばShimizuらの論文(Shimizu et al., Nature Biotechnology, 19, 751-755(2001))、Madinらの論文(Madin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97(2), 559-564(2000))が参考になる。これら論文に記載された技術に基づいて、本願出願時点において既に多くの企業がポリペプチドの受託生産を行っており、また、無細胞タンパク質合成用キット(例えば、日本の東洋紡績(株)から入手可能なPROTEIOS(商標)Wheat germ cell-free protein synthesis kit)が市販されている。
従って、上述のようにして、利用するアミノ酸配列(APPシグナルペプチド関連配列)をひとたび決定し、ペプチド鎖を設計しさえすれば、そのアミノ酸配列に従って無細胞タンパク質合成システムによって目的の神経分化誘導ペプチドを容易に合成・生産することができる。例えば、日本の(株)ポストゲノム研究所のピュアシステム(登録商標)に基づいて本発明の神経分化誘導ペプチドを容易に生産することができる。
ここで開示される神経分化誘導ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドは、従来公知の方法によって容易に製造(合成)することができる。すなわち、設計したアミノ酸配列を構成する各アミノ酸残基に対応するコドンを選択することによって、神経分化誘導ペプチドのアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列が容易に決定され、提供される。そして、ひとたびヌクレオチド配列が決定されれば、DNA合成機等を利用して、所望するヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチド(一本鎖)を容易に得ることができる。さらに得られた一本鎖DNAを鋳型として用い、種々の酵素的合成手段(典型的にはPCR)を採用して目的の二本鎖DNAを得ることができる。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもよく、RNA(mRNA等)の形態であってもよい。DNAは、二本鎖又は一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、上述のように、種々の宿主細胞中で又は無細胞タンパク質合成システムにて、神経分化誘導ペプチド生産のための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。
本発明によると、新規なアミノ酸配列の神経分化誘導ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが提供される。例えば、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が50以下(好ましくは40以下)であって、配列番号1〜35で示されるそれぞれのアミノ酸配列或いは該配列の改変配列を含むアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む(又はそれら配列から実質的に構成された)人為的に設計されたポリヌクレオチドが提供される。
好適な本発明の神経分化誘導ペプチドは少なくとも一種の細胞に対して高い神経分化誘導活性を有する。このため、神経分化誘導剤の有効成分として好適に使用し得る。なお、神経分化誘導剤に含有される神経分化誘導ペプチドは、神経分化誘導活性を損なわない限りにおいて、塩の形態であってもよい。例えば、常法に従って通常使用されている無機酸又は有機酸を付加反応させることにより得られ得る該ペプチドの酸付加塩を使用することができる。或いは、神経分化誘導活性を有する限り、他の塩(例えば金属塩)であってもよい。
神経分化誘導剤は、有効成分である神経分化誘導ペプチドの他、使用形態に応じて薬学(医薬)上許容され得る種々の担体を含み得る。希釈剤、賦形剤等としてペプチド医薬において一般的に使用される担体が好ましい。神経分化誘導剤の用途や形態に応じて適宜異なり得るが、典型的には、水、生理学的緩衝液、種々の有機溶媒が挙げられる。適当な濃度のアルコール(エタノール等)水溶液、グリセロール、オリーブ油のような不乾性油であり得る。或いはリポソームであってもよい。また、神経分化誘導剤に含有させ得る副次的成分としては、種々の充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、色素、香料等が挙げられる。
神経分化誘導剤の形態に関して特に限定はない。例えば、典型的な形態として、液剤、懸濁剤、乳剤、エアロゾル、泡沫剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセル、軟膏が挙げられる。また、注射等に用いるため、使用直前に生理食塩水又は適当な緩衝液(例えばPBS)等に溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。
なお、神経分化誘導ペプチド(主成分)及び種々の担体(副成分)を材料にして種々の形態の薬剤(組成物)を調製するプロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる製剤方法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。処方に関する詳細な情報源として、例えばComprehensive Medicinal Chemistry, Corwin Hansch監修,Pergamon Press刊(1990)が挙げられる。この書籍の全内容は本明細書中に参照として援用されている。
本発明によって提供される神経分化誘導剤は、その形態及び目的に応じた方法や用量で使用することができる。
例えば、ここで開示されるAPPシグナルペプチド関連配列を含む神経分化誘導ペプチド(即ち該ペプチドを含む神経分化誘導剤)は、液剤として、静脈内、筋肉内、皮下、皮内若しくは腹腔内への注射によって患者(即ち生体)に所望する量だけ投与することができる。或いは、錠剤等の固体形態のものは経口投与することができる。これにより、生体内で、典型的には患部又はその周辺に存在する体性幹細胞から、神経細胞を発生(生産)させることができる。このため、神経再生が有力な治療法となる種々の神経疾患を効果的に治療することが可能となる。例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳梗塞、脊髄損傷による身体の麻痺、脳挫傷、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、脳腫瘍、網膜変性症等の神経疾患を再生医療的アプローチによって治療することが実現される。
或いはまた、生体から一時的に又は永久的に摘出した細胞材料、即ち生組織や細胞塊(例えば体性幹細胞の培養物)に、適当量の神経分化誘導剤(神経分化誘導ペプチド)を付与することによって、体外(インビトロ)で神経細胞を効率よく発生させることができる。このことは当該細胞材料中に所望する神経細胞を大量に生産し得ることを意味する。
而して、大量に生産された神経細胞、或いは該生産された神経細胞を含む細胞材料(生組織や細胞塊)を再び生体内(典型的には神経再生が要求されている患部)に戻すことによっても、生体に直接神経分化誘導剤(神経分化誘導ペプチド)を投与する場合と同様の治療効果が得られ得る。
以上の説明から明らかなように、本発明はまた、ここで開示される神経分化誘導ペプチドのいずれかを利用することによって、神経疾患治療に有用な、神経細胞に分化誘導された細胞、細胞塊又は生組織を提供することができる。
また、本発明の神経分化誘導ペプチドをコードするポリヌクレオチドは、いわゆる遺伝子治療に使用する素材として用い得る。例えば、神経分化誘導ペプチドをコードする遺伝子(典型的にはDNAセグメント、或いはRNAセグメント)を適当なベクターに組み込み、目的とする部位に導入することにより、常時、生体(細胞)内で本発明に係る神経分化誘導ペプチドを発現させることが可能である。従って、本発明の神経分化誘導ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAセグメント、RNAセグメント等)は、上述した患者等に対し、神経疾患を治療し又は予防する薬剤として有用である。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1:ペプチド合成>
表1に示す計15種類のペプチド(サンプル1〜15)を後述するペプチド合成機を用いて製造した。なお、表1に各サンプルペプチドのアミノ酸配列と総アミノ酸残基数を記載している。
表1に示すように、各サンプルペプチドは、いずれもペプチド鎖のC末端側に配列番号1に示す核小体局在シグナル関連配列を含み、且つ、1個のグリシン残基から成るリンカーを挟んでそのN末端側に配列番号2又は配列番号3に示すAPPシグナルペプチド由来のアミノ酸配列を含むように構成されており、全体が19〜31アミノ酸残基から成る直鎖状の化学合成ペプチドである。
サンプル1とサンプル2は、いずれもグリシンリンカーよりもN末端側に配列番号2に示すAPPシグナルペプチド配列から選択された部分アミノ酸配列を有している。
即ち、サンプル1は、APPシグナルペプチド関連配列として、配列番号2のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて1番目(N末端)のメチオニン残基から6番目のアラニン残基迄の合計6アミノ酸残基から成るN末端側部分アミノ酸配列を有する。
サンプル2は、APPシグナルペプチド関連配列として、配列番号2のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて7番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計11アミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を有する。
また、サンプル3は、APPシグナルペプチド関連配列として、配列番号3のシグナルペプチド配列全体を有する。
サンプル4〜15は、いずれもグリシンリンカーよりもN末端側に配列番号3に示すAPPシグナルペプチド配列から選択された部分アミノ酸配列を有している。
即ち、サンプル4は、APPシグナルペプチド関連配列として、配列番号3のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて3番目のプロリン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計15アミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を有する。
サンプル5は、APPシグナルペプチド関連配列として、配列番号3のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて4番目のセリン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計14アミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を有する。
サンプル6は、APPシグナルペプチド関連配列として、配列番号3のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて5番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計13アミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を有する。
サンプル7は、APPシグナルペプチド関連配列として、配列番号3のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて6番目のアラニン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計12アミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を有する。
サンプル8は、APPシグナルペプチド関連配列として、配列番号3のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて7番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計11アミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を有する。
サンプル9は、APPシグナルペプチド関連配列として、配列番号3のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて8番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計10アミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を有する。
サンプル10は、APPシグナルペプチド関連配列として、配列番号3のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて9番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計9アミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を有する。
サンプル11は、APPシグナルペプチド関連配列として、配列番号3のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて10番目のロイシン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計8アミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を有する。
サンプル12は、APPシグナルペプチド関連配列として、配列番号3のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて11番目のアラニン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計7アミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を有する。
サンプル13は、APPシグナルペプチド関連配列として、配列番号3のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて12番目のアラニン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計6アミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を有する。
そして、サンプル14は、APPシグナルペプチド関連配列として、配列番号3のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて13番目のトリプトファン残基から17番目(C末端)のアラニン残基迄の合計5アミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を有する。
一方、サンプル15は、配列番号3のシグナルペプチド配列のN末端アミノ酸残基から数えて7番目のロイシン残基から12番目のアラニン残基迄の合計6アミノ酸残基から成るアミノ酸配列を有する。即ち、サンプル15は、本明細書において規定される上記N末端側部分アミノ酸配列にもC末端側部分アミノ酸配列にも該当しない。即ち、サンプル15は、本明細書において規定されるAPPシグナルペプチド関連配列を有さないペプチドである。
上述した各ペプチドは、市販のペプチド合成機(Intavis AG社製品 Multi Pep RS)を用いて固相合成法(Fmoc法)により合成した。なお、縮合剤としてHATU(O-(7-azabenzotriazol-l-yl)-l,l,3,3-tetramethyluronium
hexafluoro-phosphate、渡辺化学工業(株)製品)およびDIEA(ジイソプロピルエチルアミン、和光純薬工業(株)製品)を使用し、固相合成法に用いた樹脂及びアミノ酸はNOVA biochem社から購入した。なお、アミノ酸配列のC末端をアミド化する場合には、固相担体として「Rink Amide resin (100〜200 mesh)」 を使用すればよいが、本実施例では使用していない。
而して、上記ペプチド合成機の合成プログラムに準じて脱保護基反応及び縮合反応を反復して樹脂に結合するFmoc−アミノ酸からペプチド鎖を伸長していき、目的の鎖長の合成ペプチドを得た。具体的には、20%ピペリジン/ジメチルホルムアミド(DMF)(ペプチド合成用グレード、和光純薬工業(株)製品)によって、アミノ酸のアミノ保護基であるFmocを切断除去し、DMFで洗浄し、Fmoc−アミノ酸(-OH)各4eqを反応させ、DMFで洗浄する操作を反復した。そして、ペプチド鎖の伸長反応が全て終了した後、20%ピペリジン/DMFによりFmoc基を切断し、DMF、エタノールの順で上記反応物を洗浄した。
固相合成後、合成したペプチド鎖を樹脂と共に遠沈管に移し、エタンジオール1.8mL、m-クレゾール0.6mL、チオアニソール3.6mL及びトリフルオロ酢酸24mLを加え、室温で2時間撹拌した。その後、ペプチド鎖に結合していた樹脂を濾過して除去した。
次いで、濾液に冷ジエチルエーテルを加え、氷冷水で冷却してペプチド沈澱物を得た。その後、遠心分離(2500rpmで5分間)によって上澄みを廃棄した。沈殿物に冷ジエチルエーテルを新たに加えて十分に撹拌した後、上記と同じ条件で遠心分離を行った。この撹拌と遠心分離の処理を計3回反復して行った。
得られたペプチド沈殿物を真空乾燥し、高速液体クロマトグラフ(Waters 600:Waters社製品)を用いて精製を行った。
具体的には、プレカラム(日本ウォーターズ(株)製品、Guard-Pak
Delta-pak C18 A300)及びC18逆相カラム(日本ウォーターズ(株)製品、XTerra(登録商標)カラム、MS C18、5μm、4.6×150mm)を使用し、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液と0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液との混合液を溶離液に用いた。即ち、溶離液に含まれる上記トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液の分量を経時的に増大させつつ(容積比で10%から80%への濃度勾配を設ける)、1.5mL/分の流速で上記カラムを用いて30〜40分間の分離精製を行った。なお、逆相カラムから溶離したペプチドは紫外線検出器(490E Detector:Waters社製品)を用いて波長:220nmで検出され、記録チャート上にピークとして示される。
また、溶離した各ペプチドの分子量をPerSeptive Biosystems社製のVoyager DE RP(商標)を用いてMALDI-TOF/MS(Matrix-Assisted Laser Desorption Time of Flight Mass Spectrometry:マトリックス支援レーザーイオン化−飛行時間型−質量分析)に基づいて決定した。その結果、目的のペプチドが合成・精製されていることが確認された。
<実施例2:合成ペプチドの神経分化誘導活性評価>
上記実施例1で得られた合成ペプチド(サンプル1〜15)のそれぞれについて神経分化誘導活性を調べた。
即ち、サンプルペプチドを、マウスから採取した神経幹細胞の培養液(マウス神経幹細胞増殖培地:Cell Applications社製品)中に添加し、インキュベーションした。添加濃度は、何れのペプチドについても0.5μMとした。
そして、ペプチドを添加して7日間経過後、各培養細胞について、DAPI(4',6-diamidino-2-phenylindole)による核染色を行い、蛍光顕微鏡で観察した。また、同じサンプルに対して神経分化誘導マーカーによる評価を行った。即ち、ニューロン(神経細胞)を識別するマーカーとしてチューブリン(具体的にはβ3−チューブリン)を採用し、当該チューブリンを識別する蛍光色素標識抗チューブリン抗体を用いた蛍光抗体法によって培養液中のチューブリンの存在(即ちニューロンの存在)の有無を確認した。結果を図1〜図15に示す。図の番号と使用したサンプルペプチドの番号は対応している。
これら図面は、各サンプルペプチドを添加して7日間培養した後のマウス神経幹細胞の神経分化の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)であり、DIC画像と、DAPIによる核染色画像と、蛍光色素標識抗チューブリン抗体を使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光画像とを重ねた(マージした)画像である。
なお、ポジティブコントロールとして、いずれのペプチドも添加することなく、マウス神経幹細胞をマウス神経幹細胞分化培地(Cell Applications社製品)で培養し、培養開始から7日間経過した後に上記と同様の処理及び蛍光顕微鏡観察を行った。結果を図16に示す。
また、ネガティブコントロールとして、いずれのペプチドも添加することなく、マウス神経幹細胞をマウス神経幹細胞増殖培地(Cell Applications社製品)で培養し、培養開始から7日間経過した後に上記と同様の処理及び蛍光顕微鏡観察を行った。結果を図17に示す。
上記評価試験の結果、サンプル1〜14の人工ペプチド(神経分化誘導ペプチド)を添加した場合(図1〜14参照)、ポジティブコントロール(図16)以上の顕著な神経分化が認められた。即ち、サンプル1〜14のいずれのペプチドを添加した場合でも、蛍光色素標識抗チューブリン抗体の存在による蛍光発色が良好に認められた。なかでもサンプル2,6,7,8のペプチドに特に高い神経分化誘導活性が認められた。一方、同じ増殖培地を使用したネガティブコントロールでは、このような蛍光発色(神経分化)は認められなかった(図17)。
このことは、サンプルペプチドの添加によって、神経幹細胞がニューロンに分化したことを示しており、神経分化誘導に関連するペプチドモチーフとしてのAPPシグナルペプチドの有用性を示すものである。
<実施例3:顆粒剤の調製>
サンプル1のペプチド50mgと結晶化セルロース50mg及び乳糖400mgとを混合した後、エタノールと水の混合液1mLを加え混練した。この混練物を常法に従って造粒し、神経分化誘導ペプチドを主成分とする顆粒剤(顆粒状神経分化誘導剤)を得た。
上述のように本発明の神経分化誘導ペプチドは高い神経分化誘導活性を有しているため、医薬用のペプチド成分として利用することができる。
配列番号1〜配列番号35 合成ペプチド

Claims (10)

  1. 少なくとも一種の幹細胞を神経細胞に分化誘導し得る神経分化誘導剤であって、
    アミロイド前駆体タンパク質(APP)中のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列、または、該シグナルペプチドを構成するアミノ酸配列の一部分であって該配列のN末端アミノ酸残基から数えて少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成るN末端側部分アミノ酸配列若しくは該シグナルペプチドを構成するアミノ酸配列の一部分であって該配列のC末端アミノ酸残基から数えて少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列を、APPシグナルペプチド関連配列として含む人為的に合成されたペプチドと、
    薬学上許容され得る少なくとも一種の担体と、
    を含有し、
    ここで、前記ペプチドを構成する全アミノ酸残基数が31以下である、神経分化誘導剤。
  2. 前記アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドは、以下のアミノ酸配列:
    MLPGLALLLLAAWTARA(配列番号2);または
    MLPSLALLLLAAWTVRA(配列番号3);
    であり、
    前記APPシグナルペプチド関連配列は、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列であるか、或いは、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の一部分であって該配列のN末端アミノ酸残基から数えて少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成るN末端側部分アミノ酸配列、若しくは、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の一部分であって該配列のC末端アミノ酸残基から数えて少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列である、請求項1に記載の神経分化誘導剤。
  3. 前記ペプチドは、核小体局在シグナルを構成する以下のアミノ酸配列:
    KKRTLRKNDRKKR(配列番号1)
    をさらに含む人為的に合成されたペプチドである、請求項1または2に記載の神経分化誘導剤。
  4. 前記ペプチドは、前記核小体局在シグナルを構成するアミノ酸配列のN末端側に前記APPシグナルペプチド関連配列を含む、請求項3に記載の神経分化誘導剤。
  5. 前記ペプチドは、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30および配列番号31のうちから選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列から構成される合成ペプチドである、請求項に記載の神経分化誘導剤。
  6. 少なくとも一種の幹細胞を神経細胞に分化誘導し得る人為的に合成されたペプチドであって、
    アミロイド前駆体タンパク質(APP)中のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列、または、該シグナルペプチドを構成するアミノ酸配列の一部分であって該配列のN末端アミノ酸残基から数えて少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成るN末端側部分アミノ酸配列若しくは該シグナルペプチドを構成するアミノ酸配列の一部分であって該配列のC末端アミノ酸残基から数えて少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列をAPPシグナルペプチド関連配列として含み、且つ、
    核小体局在シグナルを構成する以下のアミノ酸配列:
    KKRTLRKNDRKKR(配列番号1)
    をさらに含み、
    ここで、前記ペプチドを構成する全アミノ酸残基数が31以下である、ペプチド。
  7. 前記アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドは、以下のアミノ酸配列:
    MLPGLALLLLAAWTARA(配列番号2);または
    MLPSLALLLLAAWTVRA(配列番号3);
    であり、
    前記APPシグナルペプチド関連配列は、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列であるか、或いは、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の一部分であって該配列のN末端アミノ酸残基から数えて少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成るN末端側部分アミノ酸配列、若しくは、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の一部分であって該配列のC末端アミノ酸残基から数えて少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から成るC末端側部分アミノ酸配列である、請求項に記載のペプチド。
  8. 前記核小体局在シグナルを構成するアミノ酸配列のN末端側に前記APPシグナルペプチド関連配列を含む、請求項6または7に記載のペプチド。
  9. 配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30および配列番号31のうちから選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列から構成される、請求項に記載のペプチド。
  10. 少なくとも一種の細胞材料から神経細胞を生産する方法であって、
    請求項1〜のいずれかに記載の神経分化誘導剤または請求項6〜9のいずれかに記載のペプチドを前記細胞材料に供給することを特徴とする神経細胞の生産方法。
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